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ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%「トーワ」

外用合成副腎皮質ホルモン剤

1g 7.3円

添付文書番号

2646701M2199_1_04

企業コード

480235

作成又は改訂年月

2022年11月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

872646

薬効分類名

外用合成副腎皮質ホルモン剤

承認等

販売名

ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%「トーワ」

販売名コード

2646701M2199

販売名英字表記

BETAMETHASONE VALERATE OINTMENT 0.12% “TOWA”

承認番号等

承認番号
22900AMX00122

販売開始年月

1984年6月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

一般的名称

ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)[これらの疾患が増悪するおそれがある。]
  2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  3. 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある。]
  4. 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が遅延するおそれがある。]

組成・性状

組成

ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%「トーワ」
有効成分
日局 ベタメタゾン吉草酸エステル…  1.2mg
添加剤
白色ワセリン、流動パラフィン

製剤の性状

ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%「トーワ」
剤形軟膏剤
色調白色~微黄色、半透明

効能又は効果

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、皮膚そう痒症、痒疹群(じん麻疹様苔癬、ストロフルス、固定じん麻疹を含む)、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、光沢苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、ジベルバラ色粃糠疹、紅斑症(多形滲出性紅斑、結節性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑)、紅皮症(悪性リンパ腫による紅皮症を含む)、慢性円板状エリテマトーデス、薬疹・中毒疹、円形脱毛症(悪性を含む)、熱傷(瘢痕、ケロイドを含む)、凍瘡、天疱瘡群、ジューリング疱疹状皮膚炎(類天疱瘡を含む)、痔核、鼓室形成手術・内耳開窓術・中耳根治手術の術創

効能又は効果に関連する注意

皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。

用法及び用量

通常、1日1~数回、適量を患部に塗布する。
なお、症状により適宜増減する。

重要な基本的注意

  1. 大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用により、副腎皮質ホルモン剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがある。
  2. 本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は、使用を中止すること。
  3. 症状改善後は、できるだけ速やかに使用を中止すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。

小児等

長期・大量使用又は密封法(ODT)により発育障害を来すとの報告がある。
また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること。

高齢者

大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用に際しては特に注意すること。一般に副作用があらわれやすい。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障(頻度不明)
    眼瞼皮膚への使用に際しては眼圧亢進、緑内障を起こすことがある。
    大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、緑内障、後嚢白内障等があらわれることがある。

その他の副作用

0.1~5%未満注1)
頻度不明
過敏症
皮膚の刺激感、接触性皮膚炎、発疹
中心性漿液性網脈絡膜症
皮膚の感染症注2)
細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛嚢炎・せつ等)、真菌症(カンジダ症、白癬等)、ウイルス感染症
その他の皮膚症状注3)
魚鱗癬様皮膚変化、紫斑、多毛、色素脱失
ステロイドざ瘡(尋常性ざ瘡に似るが、白色の面皰が多発する傾向)、ステロイド酒さ・口囲皮膚炎(口囲、顔面全体に紅斑、丘疹、毛細血管拡張、痂皮、鱗屑)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張)
下垂体・副腎皮質系
下垂体・副腎皮質系機能の抑制注4)
注1)再評価結果を含む
注2)このような症状があらわれた場合には、適切な抗菌剤、抗真菌剤等を併用し、症状が速やかに改善しない場合には、本剤の使用を中止すること。密封法(ODT)の場合に起こりやすい。
注3)長期連用により、このような症状があらわれた場合には徐々にその使用を差し控え、副腎皮質ホルモンを含有しない薬剤に切り替えること。
注4)大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により発現した事象。投与中止により急性副腎皮質機能不全に陥る危険性があるため、投与を中止する際は患者の状態を観察しながら徐々に減量すること。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
  1. 使用時
    化粧下、ひげそり後等に使用することのないよう注意すること。
  2. 使用部位
    眼科用として使用しないこと。

薬物動態

吸収

正常なヒト腋窩皮膚に0.15% 3H-標識ベタメタゾン吉草酸エステルクリームを30分、1時間、2時間、4時間、8時間密封法(ODT)により塗布後、薬剤を除去し、オートラジオグラフ法により経表皮吸収及び経皮膚付属器官吸収を検討した結果、共に吸収が良好であった。
表16-1 経表皮吸収及び経皮膚付属器官吸収
部位\密封(ODT)時間
30分
1時間
2時間
4時間
8時間
角質層
マルピギー層
++
毛嚢壁(外側)
++
++
++
毛嚢壁(内側)
++
++
皮脂腺
++
++
アポクリン腺細胞
++
++
アポクリン腺腔
++
判定基準(?:存在不明 -:認められない +:認められた ++:著明に認められた)

排泄

乾癬患者2例及び天疱瘡患者1例に0.1% 3H-標識ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏を密封法(ODT)により塗布した場合、7日間の尿中回収率は塗布量の2.0~18.5%であった(外国人データ)。
表16-2 尿中回収率
疾患名
塗布面積
1日塗布量
(ODT)
塗布日数
7日間の尿中
回収率(合計)
乾癬
体表の50%
20mg
1日間
2.0%
乾癬
体表の50%
25mg
2日間
8.7%
天疱瘡
体表の20%
10mg
3日間
18.5%
注:ベタメタゾン換算量

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内臨床試験
    0.064%ベタメタゾンジプロピオン酸エステル軟膏・クリーム承認時の二重盲検比較試験において0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏・クリームを対照薬として使用した。0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏の有効性評価対象例は131例であり、有効率は85.5%(112例)であった。
    表17-1 臨床成績
    疾患名
    剤形
    使用方法
    使用
    期間
    有効例数/有効
    性評価対象例数
    有効率
    (%)
    湿疹・皮膚炎群
    (湿潤型)
    軟膏
    2~3回/日
    単純塗布
    1週間
    42/44
    95.5
    乾癬
    軟膏
    2~3回/日
    単純塗布
    2週間
    28/43
    65.1
    軟膏
    1回/日
    密封法
    (ODT)
    2週間
    42/44
    95.5

薬効薬理

作用機序
ステロイドは細胞質に存在する熱ショック蛋白質、抑制蛋白質と複合体を形成したステロイド受容体に結合後核内に移行し、ステロイド反応性の遺伝子を活性化させ、その薬理作用を発揮すると考えられている。また、血管内皮細胞やリンパ球等の細胞膜の障害を抑制するような膜の安定性に関与する作用や、フォスフォリパーゼA2と呼ばれる細胞膜リン脂質からロイコトリエンやプロスタグランジンなど種々の炎症惹起物質を誘導する重要な酵素の機能を抑える作用も知られている。
その作用機序としては、単量体のステロイドとその受容体が複合体を形成することで、NFκBやAP-1と呼ばれるサイトカイン産生の誘導や細胞接着分子の発現等を調節している細胞内転写因子の機能を抑制することで、2量体の受容体と結合した場合、リポコルチン等の誘導を介して、炎症を制御すると考えられている。免疫抑制作用に関しては、リンパ球に対する直接的な機能抑制、アポトーシスの誘導によると考えられている。
薬理作用
  1. 皮膚血管収縮試験
    ベタメタゾン吉草酸エステルは健康成人20例における皮膚血管収縮試験において、フルオシノロンアセトニドに比べて3.6倍の皮膚血管収縮能を示した(外国人データ)。
薬力学的試験
抗炎症作用:Wistar系雄性ラット(n=45)において足蹠浮腫抑制法及び毛細血管透過性試験法にて抗炎症作用を検討した結果、ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%「トーワ」及びリンデロン-V軟膏0.12%間に有意差は認められなかった。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ベタメタゾン吉草酸エステル
(Betamethasone Valerate)
化学名
9-Fluoro-11β,17,21-trihydroxy-16β-methylpregna-
1,4-diene-3,20-dione 17-pentanoate
分子式
C27H37FO6
分子量
476.58
性状
白色の結晶性の粉末で、においはない。クロロホルムに溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
化学構造式
融点
約190℃(分解)

取扱い上の注意

遮光して保存すること。

包装

5g×10[チューブ]
100g[瓶]

主要文献

1
Vermeer,B.J.et al.:Dermatologica.1974;149:299-304
2
Zugerman,C.et al.:Arch.Dermatol.1976;112:1326
3
久木田淳ほか:西日本皮膚科.1971;33:129-137
4
Butler,J.et al.:Br.J.Dermatol.1966;78:665-668
5
安田利顕ほか:臨床評価.1974;2:271-297
6
片山一朗:アレルギー.2006;55:1279-1283
7
McKenzie,A.W.et al.:Arch.Dermatol.1964;89:741-746
8
社内資料:薬力学的試験

文献請求先及び問い合わせ先

東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
0120-108-932 FAX 06-7177-7379

製造販売業者等

製造販売元
東和薬品株式会社
大阪府門真市新橋町2番11号

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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