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エンテカビル錠0.5mg「CMX」

抗ウイルス化学療法剤

1錠 89円

添付文書番号

6250029F1032_1_05

企業コード

260054

作成又は改訂年月

2024年3月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

87625

薬効分類名

抗ウイルス化学療法剤

承認等

販売名

エンテカビル錠0.5mg「CMX」

販売名コード

6250029F1032

販売名英字表記

ENTECAVIR TABLETS 0.5mg「CMX」

承認番号等

承認番号
22900AMX00161000

販売開始年月

2017年6月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
2年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

エンテカビル水和物錠

警告

本剤を含むB型肝炎に対する治療を終了した患者で、肝炎の急性増悪が報告されている。
そのため、B型肝炎に対する治療を終了する場合には、投与終了後少なくとも数ヵ月間は患者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行うこと。経過に応じて、B型肝炎に対する再治療が必要となることもある。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

エンテカビル錠0.5mg「CMX」
有効成分
1錠中
エンテカビル水和物  0.53mg
エンテカビルとして  0.5mg
添加剤
乳糖水和物、結晶セルロース、クロスポビドン、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール400、酸化チタン

製剤の性状

エンテカビル錠0.5mg「CMX」
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(厚さ)
3.7mm
垂線
8.3mm
質量206mg
識別コードETV 0.5
性状
白色~微黄白色の三角形のフィルムコート錠

効能又は効果

B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルスの増殖抑制

効能又は効果に関連する注意

本剤投与開始に先立ち、HBV DNA、HBV DNAポリメラーゼあるいはHBe抗原により、ウイルスの増殖を確認すること。

用法及び用量

本剤は、空腹時(食後2時間以降かつ次の食事の2時間以上前)に経口投与する。
通常、成人にはエンテカビルとして0.5mgを1日1回経口投与する。
なお、ラミブジン不応(ラミブジン投与中にB型肝炎ウイルス血症が認められる又はラミブジン耐性変異ウイルスを有するなど)患者には、エンテカビルとして1mgを1日1回経口投与することが推奨される。

用法及び用量に関連する注意

  1. 本剤は食事の影響により吸収率が低下するので、空腹時(食後2時間以降かつ次の食事の2時間以上前)に投与すること。
  2. 腎機能障害患者では、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、下表を参考にして、クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者並びに血液透析又は持続携行式腹膜透析を施行されている患者では、投与間隔の調節が必要である。
    腎機能障害患者における用法・用量の目安
    クレアチニンクリアランス(mL/min)
    通常用量
    ラミブジン不応患者
    30以上50未満
    0.5mgを2日に1回
    1mgを2日に1回
    10以上30未満
    0.5mgを3日に1回
    1mgを3日に1回
    10未満
    0.5mgを7日に1回
    1mgを7日に1回
    血液透析注)又は持続携行式腹膜透析(CAPD)患者
    0.5mgを7日に1回
    1mgを7日に1回
    注)血液透析日は透析後に投与する。

重要な基本的注意

  1. 本剤によるB型慢性肝疾患の治療は、投与中のみでなく投与終了後も十分な経過観察が必要であり、経過に応じて適切な処置が必要なため、B型慢性肝疾患の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで使用すること。
  2. 本剤は、投与中止により肝機能の悪化もしくは肝炎の重症化を起こすことがある。本内容を患者に説明し、患者が自己の判断で投与を中止しないように十分指導すること。
  3. 本剤の投与終了により肝炎の悪化が認められることがあるので、本剤の投与を終了する場合には、投与終了後少なくとも数ヵ月間は患者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行うこと。
  4. 本剤の投与中は定期的に肝機能検査を行うなど十分注意すること。
  5. 本剤による治療により他者へのHBV感染が避けられることは証明されていない旨を患者に説明すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. HIV/HBV重複感染患者
    抗HIV療法を併用していないHIV/HBVの重複感染患者には本剤の投与を避けることが望ましい。抗HIV療法を受けていないHIV/HBVの重複感染患者のB型肝炎に対して本剤を投与した場合、薬剤耐性HIVが出現する可能性がある。

腎機能障害患者

高い血中濃度が持続するおそれがある。

肝機能障害患者

  1. 肝移植患者
    シクロスポリン又はタクロリムス等の腎機能を抑制する可能性のある免疫抑制剤が投与されている肝移植患者では、本剤の投与開始前と投与中に腎機能の観察を十分に行うこと。
    肝移植患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした国内臨床試験は実施していない。
  2. 非代償性肝硬変患者
    非代償性肝硬変患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした国内臨床試験は実施していない。

生殖能を有する者

妊娠の可能性がある女性に対しては避妊するよう指導すること。胎児の発育に影響を及ぼすおそれがある。

妊婦

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験において、ラットでは母動物及び胚・胎児に毒性が認められ、ウサギでは胚・胎児のみに毒性が認められた。ラット及びウサギの曝露量は、ヒト1mg投与時の曝露量のそれぞれ180倍及び883倍に相当する。
  2. 新生児のHBV感染を防止するため適切な処置を行うこと。本剤が母体から新生児へのHBV感染に及ぼす影響についてはデータがない。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、乳汁中に移行することが報告されている。本剤がヒトの乳汁中に分泌されるか否かは不明である。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の腎機能を定期的に観察しながら投与間隔を調節するなど慎重に投与すること。本剤は主に腎から排泄されるが、高齢者では若年者よりも腎機能が低下していることが多い。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

指示文
エンテカビルは主に腎から排泄されるため、腎機能障害作用のある薬剤や尿細管分泌により排泄される薬剤と併用した場合には、本剤又は併用薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。このような薬剤と併用する場合には副作用の発現に注意し、患者の状態を十分に観察すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 肝機能障害(頻度不明)
    本剤での治療中にAST、ALTが上昇することがある。AST、ALTの上昇が認められた場合、より頻回に肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと。検査値等の経過から、肝機能障害が回復する兆候が認められない場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  2. 投与終了後の肝炎の悪化(頻度不明)
  3. アナフィラキシー(頻度不明)
  4. 乳酸アシドーシス(頻度不明)
    乳酸アシドーシスがあらわれることがあり、死亡例も報告されている。
  5. 脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(頻度不明)
    死亡例を含む脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が、本剤を含むヌクレオシド類縁体の単独又は抗HIV薬との併用療法で報告されている。

その他の副作用

10%以上
3%以上10%未満
3%未満
胃腸障害
下痢、悪心、便秘、上腹部痛
全身障害及び投与局所様態
倦怠感
感染症及び寄生虫症
鼻咽頭炎
筋骨格系及び結合組織障害
筋硬直
神経系障害
頭痛
浮動性めまい
皮膚及び皮下組織障害
発疹、脱毛
臨床検査
血中アミラーゼ増加、リパーゼ増加、血中乳酸増加、白血球数減少
AST上昇、ALT上昇、血中ビリルビン増加、血中ブドウ糖増加、BUN上昇、尿潜血陽性、尿中白血球陽性、好酸球数増加

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

非臨床試験に基づく情報
  1. がん原性
    2年間がん原性試験がマウス(エンテカビルとして:0.004、0.04、0.4及び4mg/kg/日)とラット(エンテカビルとして、雄:0.003、0.02、0.2及び1.4mg/kg/日、雌:0.01、0.06、0.4及び2.6mg/kg/日)で行われている。雄マウスの0.04mg/kg以上、雌マウスの4mg/kgの投与量で肺腺腫の発生率上昇が観察された。雌雄マウスの最高用量群で肺癌の発生率上昇が観察された。腫瘍発生に先立ち肺胞細胞の増殖が認められたが、ラット、イヌ及びサルでこのような変化が観察されていないことから、肺腫瘍はマウスに特有な所見であり、ヒトの安全性との関連は低いと考えられた。これ以外に高用量群で、雄マウスの肝癌、雌マウスの良性血管腫瘍、雌雄ラットの脳神経膠腫、並びに雌ラットの肝腺腫及び肝癌の発生率が上昇した。これらは、臨床用量での曝露量と比べて高い曝露量で観察されたことから、ヒトの安全性に関連を持つものではないと考えられた。
  2. 変異原性
    培養ヒトリンパ球にin vitroで染色体異常を誘発したが、微生物を用いた復帰突然変異試験(Ames試験)、哺乳類細胞を用いた遺伝子突然変異試験及びシリアンハムスター胚細胞を用いた形質転換試験で、遺伝毒性は認められていない。また、ラットを用いた経口投与による小核試験とDNA修復試験も陰性を示している。
  3. 生殖毒性
    ラットの生殖発生毒性試験において受胎能への影響は認められなかった。げっ歯類及びイヌを用いた毒性試験において精上皮変性が認められた。なお、臨床用量での曝露量と比べて高い曝露量で1年間投与したサルでは、精巣の変化は認められなかった。

薬物動態

血中濃度

  1. 生物学的同等性試験
    とバラクルード錠0.5mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(エンテカビルとして0.5mg)を健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中エンテカビル濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
    判定パラメータ
    参考パラメータ
    AUCt
    (ng・hr/mL)
    Cmax
    (ng/mL)
    Tmax
    (hr)
    T1/2
    (hr)
    14.8±2.4
    5.0±1.3
    0.8±0.4
    49.0±11.8
    バラクルード錠0.5mg
    14.9±2.7
    4.7±1.1
    0.9±0.6
    46.6±10.3
    (Mean±S.D., n=24)
    血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

吸収

  1. 食事の影響
    エンテカビルを食事とともに投与すると吸収率が低下する。エンテカビル0.5mgを標準高脂肪食又は軽食とともに経口投与したとき、吸収(tmax)はわずかに遅延し(食事とともに投与:1~1.5時間、絶食時:0.75時間)、Cmaxは44~46%、AUCは18~20%低下した(外国人データ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者における薬物動態
    エンテカビル1mgを腎機能障害患者に単回投与した時の薬物動態パラメータを表2に示す。腎機能の低下に応じてエンテカビルの曝露量は増加した。クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者には、エンテカビルの投与間隔を調節することが推奨される(外国人データ)。
    表2. 腎機能障害患者にエンテカビル1mgを単回経口投与した時の薬物動態パラメータ
    腎機能
    クレアチニンクリアランス
    (mL/min)
    正常
    >80
    (n=6)
    軽度
    >50~80
    (n=6)
    中等度
    30~50
    (n=6)
    重度
    <30
    (n=6)
    重度
    HDa
    (n=6)
    重度
    CAPDa
    (n=4)
    Cmax
    (ng/mL)
    平均値
    (変動係数%)
    8.1
    (30.7%)
    10.4
    (37.2%)
    10.5
    (22.7%)
    15.3
    (33.8%)
    15.4
    (56.4%)
    16.6
    (29.7%)
    AUC0-T
    (ng・hr/mL)
    平均値
    (変動係数%)
    27.9
    (25.6%)
    51.5
    (22.8%)
    69.5
    (22.7%)
    145.7
    (31.5%)
    233.9
    (28.4%)
    221.8
    (11.6%)
    ClR
    (mL/min)
    平均値
    (標準偏差)
    383.2
    (101.8)
    197.9
    (78.1)
    135.6
    (31.6)
    40.3
    (10.1)
    NA
    NA
    Cltot/F
    (mL/min)
    平均値
    (標準偏差)
    588.1
    (153.7)
    309.2
    (62.6)
    226.3
    (60.1)
    100.6
    (29.1)
    50.6
    (16.5)
    35.7
    (19.6)
    ClR=腎クリアランス、Cltot/F=みかけの全身クリアランス、HD=血液透析、CAPD=持続携行式腹膜透析
    a 4時間のHDで投与量の約13%、CAPDで投与量の約0.3%が除去された。
    NA:データなし
  2. 肝移植患者における薬物動態
    小規模のパイロット試験では、肝移植後シクロスポリン(n=5)又はタクロリムス(n=4)を常時服用しているHBV感染患者のエンテカビルの曝露量は腎機能が正常である成人の約2倍であった。曝露量の増加は肝移植患者の腎機能の低下によるものと考えられた(外国人データ)。

薬物相互作用

エンテカビルは主に腎から排泄されるので、腎機能障害作用のある薬剤や尿細管分泌が競合するような薬剤と併用した場合には、エンテカビル又は併用薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。ラミブジン、アデホビルピボキシル又はフマル酸テノホビルジソプロキシルとエンテカビルを併用した場合、相互作用は認められなかった(外国人データ)。

薬効薬理

作用機序
エンテカビルはHBVポリメラーゼを選択的に阻害するグアノシンヌクレオシド類似体である。本剤は細胞内でリン酸化され、エンテカビル三リン酸に変化する。エンテカビル三リン酸は、内在性のデオキシグアノシン三リン酸と競合し、HBVポリメラーゼの塩基のプライミング、プレゲノムmRNAからのマイナス鎖の逆転写、HBV DNAのプラス鎖の合成の三つの活性すべてを阻害する。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
エンテカビル水和物(Entecavir Hydrate)
化学名
9-[(1S,3R,4S)-4-Hydroxy-3-(hydroxymethyl)-2-methylenecyclopentyl]guanine monohydrate
分子式
C12H15N5O3・H2O
分子量
295.29
性状
本品は白色の粉末である。本品はN,N-ジメチルアセトアミドにやや溶けやすく、N,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けにくく、メタノールに溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
化学構造式

包装

〈エンテカビル錠0.5mg「CMX」〉
70錠[14錠(PTP)×5]

主要文献

1
社内資料:生物学的同等性試験
2
エンテカビルの薬物動態に及ぼす高脂肪食又は軽食の影響試験(バラクルード錠:2006年7月26日承認, 申請資料概要2.7.6.2)
3
腎機能障害患者を対象とした薬物動態試験(バラクルード錠:2006年7月26日承認, 申請資料概要2.7.2.2, 2.7.6.2)
4
B型肝炎ウイルスに再感染した肝移植患者におけるエンテカビルの薬物動態の検討(バラクルード錠:2006年7月26日承認, 申請資料概要2.7.2.2, 2.7.6.2)
5
薬物相互作用試験(バラクルード錠:2006年7月26日承認, 申請資料概要2.7.2.2, 2.7.6.2)
6
髙折修二ほか監訳:グッドマン・ギルマン薬理書(第12版), 廣川書店 2013;2101-2102

文献請求先及び問い合わせ先

株式会社ケミックス
学術部
〒222-0033 横浜市港北区新横浜2-15-10
電話 0120-769-031 FAX 045-476-9034

製造販売業者等

製造販売元(輸入)
株式会社ケミックス
横浜市港北区新横浜2-15-10
提携
YUNG SHIN PHARMACEUTICAL INDUSTRIAL CO.,LTD.

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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