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閲覧履歴

ケタラール静注用200mg

注射用全身麻酔剤

1瓶 718円

添付文書番号

1119400A1031_3_10

企業コード

430573

作成又は改訂年月

2020年1月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

871119

薬効分類名

注射用全身麻酔剤

承認等

販売名

ケタラール静注用50mg

販売名コード

1119400A3026

販売名英字表記

KETALAR FOR INTRAVENOUS INJECTION

販売名ひらがな

けたらーるじょうちゅうよう50mg

承認番号等

承認番号
22200AMX00043

販売開始年月

2010年7月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
50mg 5年

規制区分

劇薬
麻薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

ケタラール静注用200mg

販売名コード

1119400A1031

販売名英字表記

KETALAR FOR INTRAVENOUS INJECTION

販売名ひらがな

けたらーるじょうちゅうよう200mg

承認番号等

承認番号
21600AMZ00251

販売開始年月

1970年2月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
200mg 4年

規制区分

劇薬
麻薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

静注用ケタミン塩酸塩

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 脳血管障害、高血圧(収縮期圧160mmHg以上、拡張期圧100mmHg以上)、脳圧亢進症及び重症の心代償不全の患者[一過性の血圧上昇作用、脳圧亢進作用がある。]
  3. 痙攣発作の既往歴のある患者[痙攣を誘発することがある。]
  4. 外来患者[麻酔前後の管理が行き届かない。]

組成・性状

組成

ケタラール静注用50mg
有効成分
1アンプル中
ケタミン塩酸塩(日局)  57.7mg/5mL
ケタミンとして  50mg/5mL
添加剤
1アンプル中
ベンゼトニウム塩化物0.5mg、等張化剤、pH調節剤
ケタラール静注用200mg
有効成分
1バイアル中
ケタミン塩酸塩(日局)  230.7mg/20mL
ケタミンとして  200mg/20mL
添加剤
1バイアル中
ベンゼトニウム塩化物2.0mg、等張化剤、pH調節剤

製剤の性状

ケタラール静注用50mg
剤形
色調無色澄明
pH3.5~5.5
浸透圧比約1(生理食塩液対比)
ケタラール静注用200mg
剤形
色調無色澄明
pH3.5~5.5
浸透圧比約1(生理食塩液対比)

効能又は効果

手術、検査および処置時の全身麻酔および吸入麻酔の導入

用法及び用量

通常、ケタミンとして、初回体重1kg当り1~2mgを静脈内に緩徐(1分間以上)に投与し、必要に応じて、初回量と同量又は半量を追加投与する。

用法及び用量に関連する注意

  1. 麻酔方法
    本剤の用法及び用量は患者の感受性、全身状態、手術々式、麻酔方法等に応じてきめるが、一般に行われている方法を示すと次のとおりである。
    手術の少なくとも6時間前から絶飲絶食とし、アトロピン硫酸塩水和物等の前投薬を行い、次いで本剤の1回量を緩徐に静注する。麻酔の維持には、本剤の追加投与を行うが、手術の時間が長くなる場合には点滴静注法が用いられる。投与速度は最初30分間が0.1mg/kg/分、それ以後は0.05mg/kg/分を一応の基準として、必要に応じ若干これを増減し、手術終了の30分前に投与を中止する,。なお、手術の種類によっては、吸入麻酔剤に切り替える。また必要によりスキサメトニウム塩化物水和物等の筋弛緩剤を併用する。
  2. 作用発現及び持続
    健康成人に通常用量を静注した場合、30秒~1分で手術可能な麻酔状態が得られ、作用は5~10分前後持続する。

重要な基本的注意

  1. 本剤の使用に際しては、一般の全身麻酔と同様に適応、投与法、用量は医師が判断し、麻酔開始より患者が完全に覚醒するまで、患者の全身状態を専任の医師が注意深く監視すること。
    また、呼吸・循環管理等ができるような整備された手術の状態で使用すること。
  2. 麻酔を行う際にはあらかじめ絶食させておくこと。
  3. 麻酔前に酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具を手もとに準備しておくこと。
  4. 麻酔を行う際には原則として麻酔前投薬を行うこと。
  5. 手術が内臓の痛覚路への侵襲を含む場合、他の鎮痛剤を併用すること。
  6. 本剤には筋弛緩作用がほとんどないので、開腹術等には、筋弛緩剤の併用がすすめられる。
  7. 本剤による麻酔時には咽喉頭反射が維持されているので、咽喉頭に機械的刺激を与えないこと。従って、咽頭、喉頭及び気管支の手術、処置には筋弛緩剤の使用その他の方法により反射を除くこと。
  8. 麻酔中は気道に注意して呼吸・循環に対する観察を怠らないこと。
  9. 麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 急性・慢性アルコール中毒の患者
    一般に麻酔がかかりにくい。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
中枢神経系抑制剤
バルビツール酸系薬剤、向精神薬、麻薬性鎮痛剤等
覚醒が遅延することがあるので、減量するなど注意すること。
本剤の作用が増強されるためと考えられる。
ツボクラリン
本剤がツボクラリンの筋弛緩作用を増強させることがある。
本剤がツボクラリンの蛋白結合を阻害すると考えられている。
β-遮断剤
血圧下降作用が増強するおそれがある。また、一般にβ-遮断剤を投与中の患者は高血圧症の場合が多いので、本剤の一過性の血圧上昇作用に注意すること。
本剤の二次的な血圧下降作用が増強される。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 急性心不全(頻度不明)
  2. 呼吸抑制(2.5%)、無呼吸(頻度不明)、舌根沈下(頻度不明)
    過量投与した場合及び静注速度が速い場合に起こることがあるので、静脈内投与に際しては、1分以上時間をかけて緩徐に注射すること。
    なお、呼吸抑制の症状があらわれた場合には、補助呼吸を行うなど適切な処置を行うこと。
  3. 痙攣(0.4%)
    喉頭痙攣、声門痙攣又は全身痙攣等が起こることがあるので、このような症状があらわれた場合には筋弛緩剤を投与の上、気管内挿管のもとに調節呼吸を行うなど、適切な処置を行うこと。
  4. 覚醒時反応(頻度不明)
    夢のような状態、幻覚あるいは興奮、錯乱状態等が起こることがあり、通常数時間で回復するが、まれに24時間以内に再び起こることがある。
    覚醒時反応を防ぐには、回復期の早期に患者に話しかけたりするような不必要な刺激は避け、完全に覚醒するまで患者のバイタルサインを監視するなど、全身状態の観察を十分に行うこと。また、ジアゼパム、ドロペリドール等の前投薬を行うことが望ましい。
    興奮、錯乱状態等の激しい覚醒時反応に対する処置としては、短時間作用型又は超短時間作用型バルビツール酸系薬剤の少量投与、あるいはジアゼパム投与を行うことが望ましい。

その他の副作用

1.5%以上
1.5%未満
頻度不明
循環器
不整脈、低血圧
徐脈、血圧下降注)、血圧上昇注)
呼吸器
過呼吸
中枢神経系
頭痛
筋緊張亢進、不随意運動、めまい・ふらつき
精神神経系
興奮、精神症状
呻吟
感覚器
流涙
複視、眼振、眼内圧上昇
過敏症
発疹
皮膚紅斑
消化器
悪心・嘔吐、食思不振
唾液分泌過多
口渇、腹痛
その他
発熱、発汗、悪寒
顔面潮紅
しゃっくり、なきじゃくり、眼瞼浮腫
注)血圧上昇作用は一過性で、二次的に血圧降下を招く場合がある。

適用上の注意

薬剤投与時の注意
  1. バルビツール酸系薬物のナトリウム塩及びジアゼパムと混合すると沈殿を生じるので、同じ注射筒を使用しないこと。
  2. 本剤は静注用にのみ使用すること。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
外国において、乱用により依存性が生じたとの報告がある。

薬物動態

血中濃度

健康成人男性6例にトリチウム標識ケタミン1mg/kgを静注したところ、トリチウム活性は二相性を示し、第一相(組織からの再分布)は投薬後3~5分以内に0.4~0.7μg/mL、第二相(代謝物)は1~2時間に0.6~0.7μg/mLに達した。未変化のケタミン血中濃度は静注後速やかに0.27~0.37μg/mLに達し、その生物学的半減期は4時間であった(外国人データ)。

分布

  1. 血漿蛋白結合率
    In vitroにおいて、成人血漿における血漿蛋白結合率は47%であった(外国人データ)。

代謝

ケタミンの主代謝経路は、肝臓においてチトクロームP450によりノルケタミンとなる。また、ヒドロオキシノルケタミンやデヒドロノルケタミンなどに変化するが、薬理活性はほとんどない。ノルケタミンだけがケタミンの1/3~1/5の麻酔作用をもつ。

排泄

健康成人男性6例にトリチウム標識ケタミン1mg/kgを静注したところ、5日後迄に91%が尿中に、3%が糞便中に排泄された(外国人データ)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内一般臨床試験
    6施設363例について実施された。本剤は、手術及び検査のための麻酔として使用され、また、一般に大手術に際しては笑気麻酔等の他の麻酔法と併用して使用された。
    本剤を静脈内投与すると1分以内に意識消失し、その持続時間は、疼痛反応消失でみると1~2mg/kgで10~20分、言語応答消失でも同様であった,
    また、睡眠持続時間でみると1.0mg/kgで6分、2.0mg/kgでは10分であり、全例で手術可能な麻酔状態が得られた,,,,,

薬効薬理

作用機序
興奮性神経伝達の抑制(NMDA型グルタミン酸受容体拮抗作用):ケタミンは非競合性拮抗薬としてMg2+結合部位と重なるフェンシクリジン結合部位に結合してNMDA受容体機能に拮抗する。大脳に密に存在するNMDA受容体の遮断が麻酔作用に、脊髄後角痛覚系の二次ニューロンNMDA型受容体の遮断が鎮痛作用に関与する。
麻酔・鎮痛作用
動物実験(ウサギ・ネコ)において、新皮質(例:連合野)、皮質下領域(例:視床)には抑制的に作用する一方、海馬等辺縁系を活性化する脳波的所見があり、ケタミンは新皮質-視床系と、辺縁系に対し解離的に作用する。
循環器系、呼吸器系等に対する作用
  1. 血圧に対する作用
    本剤により一過性の血圧上昇作用がみられ、投与後1~5分に最高に達するが、以後緩徐に下降し、投与前値に対する増加率は静注では平均32%である。また、二次的に血圧降下をきたす場合がある。
  2. 脈拍に対する作用
    通常の用量(1~3mg/kg)により、一過性の頻脈がみられ、1~3分で最高に達し、以後正常に復する。頻脈は初回投与の時に著明である。
  3. 頭蓋内圧に対する作用
    本剤の静注により、脳脊髄液圧は上昇し、1~3分で最高値に達し、15~20分で注射前値に復する。繰り返し投与するとその都度同じ程度に上昇する。
  4. 脳血流量に対する作用
    本剤の静注により、脳血流量は62%増加するが、脳血管の炭酸ガスに対する反応性並びに脳血流自己調節機序は温存されている。
  5. 呼吸に対する作用
    本剤により投与後2~3分で軽度の呼吸抑制があらわれるが一過性である。急速に高用量を静脈内投与すると呼吸抑制は強く、呼吸停止となることがある。筋の緊張が亢進するため、呼吸が不規則になることがある。
    喘息患者にケタミン1~2mg/kgを静注した場合、発作を誘発又は増悪することはないが、気管支痙縮を軽減する作用はない,
  6. 筋弛緩作用
    本剤には筋弛緩作用がない。なお、急速静脈内投与により筋緊張が亢進することがある。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ケタミン塩酸塩(Ketamine Hydrochloride)
化学名
(2RS)-2-(2-Chlorophenyl)-2-(methylamino)cyclohexanone monohydrochloride
分子式
C13H16ClNO・HCl
分子量
274.19
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。
ギ酸に極めて溶けやすく、水又はメタノールに溶けやすく、エタノール(95)又は酢酸(100)にやや溶けにくく、無水酢酸又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
水溶液(1→10)は旋光性を示さない。
化学構造式
融点
約258℃(分解)
分配係数
フラスコ振とう法による本品の水とオクタノールの分配係数log Pow(Pow=オクタノール相の濃度/水相の濃度)は1.4(pH7.0)であった。

包装

〈ケタラール静注用50mg〉
5mL 5アンプル
〈ケタラール静注用200mg〉
20mL 1バイアル 10バイアル

主要文献

1
田宮恵子ほか:麻酔 1973;22(1):79-84
2
劔物 修ほか:麻酔 1977;26(10):1119-1123
3
Domino EF, et al.:Clin Pharmacol Ther. 1965;6(3):279-291
4
Chang T, et al.:Clin Res. 1970;18:597
5
Dayton PG, et al.:Eur J Clin Pharmacol. 1983;24(6):825-831
6
山村秀夫ほか:新臨床麻酔学全書 第2巻B 金原出版 1984:89-92
7
橘 直矢ほか:麻酔 1966;15(13):1323-1328
8
岩月賢一ほか:麻酔 1967;16(9):680-685
9
藤田俊夫ほか:麻酔 1967;16(12):1089-1094
10
藤森 貢ほか:麻酔 1968;17(6):522-527
11
石橋俊元ほか:外科診療 1968;10(9):1144-1148
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相馬俊臣ほか:広島麻酔医学会雑誌 1968;4(2):101-105
13
田中千賀子ほか:NEW薬理学 改訂第7版 南江堂 2017:351-352
14
渋谷 健ほか:東京医科大学雑誌 1969;27(2):249-256
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Corssen G, et al.:Anesth Analg. 1968;47(6):746-759
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Takeshita H, et al.:Anesthesiology 1972;36(1):69-75
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20
Waltemath CL, et al.:Anesthesiology 1974;41(5):473-476

文献請求先及び問い合わせ先

第一三共株式会社 製品情報センター
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
TEL:0120-189-132
0120-065-132(がん・医療用麻薬専用)

製造販売業者等

製造販売元
第一三共プロファーマ株式会社
東京都中央区日本橋本町3-5-1
販売元
第一三共株式会社
東京都中央区日本橋本町3-5-1

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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