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ハプトグロビン静注2000単位「JB」

血漿分画製剤

1瓶 44376円

作成又は改訂年月

**2021年1月改訂
(第12版)D13
*2016年5月改訂

日本標準商品分類番号

876343

日本標準商品分類番号等

1992年12月

薬効分類名

血漿分画製剤

承認等

ハプトグロビン静注2000単位「JB」

販売名コード

6343419X1046

承認・許可番号

22700AMX00626
Haptoglobin I.V.2000 units “JB” 

薬価基準収載年月

1985年12月

販売開始年月

1986年6月

貯法・使用期限等

貯法
凍結を避け10℃以下に保存
有効期間
検定合格の日から2年(最終有効年月日は瓶ラベル及び外箱に表示)

基準名

生物学的製剤基準
人ハプトグロビン

規制区分

特定生物由来製品
処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

有効成分〔1瓶(100mL)中〕
人ハプトグロビン 2,000単位
添加物〔1瓶(100mL)中〕
塩化ナトリウム 0.9g,水酸化ナトリウム 適量,塩酸 適量
備考
人ハプトグロビンは,ヒト血液に由来する.
(採血国:日本,採血の区別:献血)
※1単位は1mgのヘモグロビンを結合する.
本剤は,製造工程(不溶化ヘパリンによる吸着処理)で,ブタ小腸粘膜由来成分(ヘパリン)を使用している.

性状

性状・剤形本剤は1mL中に人ハプトグロビン20単位を含有する黄褐色の澄明な液剤である.
pH6.0〜7.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)

特殊記載項目

本剤は,貴重な人血液を原料として製剤化したものである.原料となった血液を採取する際には,問診,感染症関連の検査を実施するとともに,製造工程における一定の不活化・除去処理を実施し,感染症に対する安全対策を講じているが,人血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため,疾病の治療上の必要性を十分に検討の上,必要最小限の使用にとどめること.(「使用上の注意」の項参照)

禁忌

本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者

原則禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

熱傷・火傷,輸血,体外循環下開心術などの溶血反応に伴うヘモグロビン血症,ヘモグロビン尿症の治療

用法及び用量

通常,成人では1回4,000単位を緩徐に静脈内に点滴注射するか,体外循環時に使用する場合は灌流液中に投与する.
症状により適宜反復投与する.
年齢,体重により適宜増減する.
(参考)小児に対する投与量は,通常1回2,000単位を目安とすること.

用法及び用量に関連する使用上の注意

急速な注入により,血圧降下を起こすことがあるので,注射速度をできるだけ緩徐にすること.

使用上の注意

慎重投与

ハプトグロビン欠損症の患者〔過敏反応を起こすおそれがある.〕
IgA欠損症の患者〔抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある.〕
肝障害のある患者〔ハプトグロビン-ヘモグロビン複合体は肝臓で処理されるため,肝臓に負担がかかるおそれがある.〕
溶血性・失血性貧血の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある.〕
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある.〕

重要な基本的注意

患者への説明:本剤の使用にあたっては,疾病の治療における本剤の必要性とともに,本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが,血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを,患者に対して説明し,理解を得るよう努めること.
1
*本剤の原材料となる献血者の血液については,HBs抗原,抗HCV抗体,抗HIV-1抗体,抗HIV-2抗体,抗HTLV-1抗体陰性で,かつALT(GPT)値でスクリーニングを実施している.更に, HBV,HCV及びHIVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し,適合した血漿を本剤の製造に使用しているが,当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する.本剤は,以上の検査に適合した血漿を原料として,Cohnの低温エタノール分画で得た画分から人ハプトグロビンを濃縮・精製した製剤であり,ウイルス不活化・除去を目的として,製造工程において60℃,10時間の液状加熱処理及びウイルス除去膜によるろ過処理を施しているが,投与に際しては,次の点に十分注意すること.
血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること.
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない.しかしながら,製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの,理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので,投与の際には患者への説明を十分行い,治療上の必要性を十分検討の上投与すること.

副作用

副作用等発現状況の概要

総症例数2,483例中3例(0.12%)3件の副作用が報告されている.副作用は,血圧降下2件(0.08%),嘔吐1件(0.04%)であった.(再審査終了時)

重大な副作用

ショック(0.1%未満),アナフィラキシー(頻度不明)
ショック,アナフィラキシーがあらわれることがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,喘鳴,胸内苦悶,血圧低下,脈拍微弱,チアノーゼ等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.

その他の副作用

過敏症注)
頻度不明
発疹,蕁麻疹
消化器
0.1%未満
嘔吐
その他の副作用の注意
上記のような症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発現した場合には,適切な処置を行うこと.
注)このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない.感染した場合には胎児への障害(流産,胎児水腫,胎児死亡)が起こる可能性がある.〕

小児等への投与

低出生体重児,新生児に対する安全性は確立していない.

臨床検査結果に及ぼす影響

本剤には原料血漿由来のコリンエステラーゼが含まれており,投与後にコリンエステラーゼ活性値が上昇することがあるので,臨床診断に際しては注意すること.

適用上の注意

混濁しているものを投与してはならない.
輸液と混じて点滴する場合,輸液はpH5.0〜10.5のものを使用すること.
使用後の残液は再使用しないこと.

薬物動態

〈参考〉動物における薬物動態(ラット)
Wistar系ラットにおける静脈内1回投与では,血中半減期は20時間,人ハプトグロビン-ラットヘモグロビン複合体は4.4時間であった.
5回連続投与では蓄積性は認められなかった.臓器内分布は,1回投与では,膵臓以外では血液と同様の減衰曲線を描いた.膵臓では初期いくぶん高い値を示すが,その後急激に低下し,24時間後には,肝,腎の1/2まで減少し,以後は他の臓器と同じ勾配で減少した.人ハプトグロビン-ラットヘモグロビン複合体投与群では,心臓,肺臓,脳,骨髄では血液と同じ減衰曲線を描いたが,肝臓,腎臓,膵臓では緩慢な減衰を示した1)

臨床成績

〈血色素尿に対する臨床成績〉
高度の溶血のために血色素尿を呈し,腎障害を併発する危険性のある症例159例,すなわち熱傷,火傷,輸血後溶血,溶血性疾患,体外循環下開心術など159例を対象とした臨床試験において,血色素尿の消失効果で判定した有効率は89.3%(142/159)であった2).なお,疾患別血色素尿に対する臨床成績は表(臨床成績の表)のとおりであった.
投与量は成人(16歳以上)では大多数の症例が1回4,000単位を用いており,臨床効果も良好であった.15歳以下では乳児を含め1回2,000単位を用いた症例が多かった.なお,高度の溶血を伴う症例で,投与したハプトグロビンが消費され再度遊離ヘモグロビンが増加している場合には,必要に応じて反復投与がなされている症例もあった.
また,市販後に実施された臨床研究会での成績は,重症熱傷3)で90.5%(19/21),体外循環下開心術4)で84.6%(22/26),食道静脈瘤硬化療法5)で100%(21/21)の有効率であった.

臨床成績の表

有効率
熱傷・火傷83.9%(52/62)
体外循環97.5%(78/80)
輸血及び溶血性疾患100%(10/10)

薬効薬理

溶血モデルに対するハプトグロビンの効果(家兎)6〜8)
正常家兎に家兎59Fe-ヘモグロビン(Hb)単独投与群,家兎59Fe-ヘモグロビンと人ハプトグロビン(Hb-Hp)の混合液投与群を比較した結果,Hb-Hp投与群では,腎へのヘモグロビンの取り込み及び沈着が軽減され,病理所見においても異常が認められなかった.
また,Hb-Hp投与群では血色素尿の消失,尿量の確保,腎機能が保持されていた.
溶血液とエンドトキシンによる溶血モデルに対するハプトグロビンの効果(イヌ)9)
イヌにエンドトキシンを投与し前処理を行った後,生理食塩液を投与した群(第1群),溶血液と生理食塩液を同時に投与した群(第2群),溶血液とハプトグロビンを同時に投与した群(第3群)について比較検討した.その結果,第2群では尿量やクレアチニンクリアランスなどを指標とした腎機能低下が顕著に認められたが,第3群では第2群に比べ,腎機能低下が抑制された.

取扱い上の注意

記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから,本剤を投与した場合は,医薬品名(販売名),その製造番号(ロット番号),投与した日,投与を受けた患者の氏名,住所等を記録し,少なくとも20年間保存すること.

包装

ハプトグロビン静注2000単位「JB」 100mL  1瓶

主要文献及び文献請求先

主要文献

1
日本血液製剤機構:内部資料(ヒト・ハプトグロビンのラット静脈内投与後における体内分析,代謝および排泄)
2
大城 孟 他:基礎と臨床 1984;18(11):5913-5940
3
太田宗夫 他:救急医学 1992;16(13):1813-1819
4
川島淳宏 他:基礎と臨床 1992;26(3):1197-1205
5
杉町圭蔵 他:臨床と研究 1992;69(4):1257-1264
6
大城 孟 他:最新医学 1975;30(4):656-667
7
大城 孟 他:最新医学 1975;30(5):879-885
8
Ohshiro,T.et al.:Res.Exp.Med.(Berl) 1980;177:1-12
9
矢野賢一 他:応用薬理 1987;33(6):949-973

**文献請求先

主要文献に記載の内部資料につきましても下記にご請求下さい.
一般社団法人 日本血液製剤機構 くすり相談室
〒108-0023 東京都港区芝浦3-1-1
電話0120-853-560

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

**製造販売元
一般社団法人 日本血液製剤機構
東京都港区芝浦3-1-1

その他の説明(付属機器の取り扱い等)

この製品は献血血液から製造されています.

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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