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閲覧履歴

ジャカビ錠5mg

抗悪性腫瘍剤ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤

1錠 3763.5円

添付文書番号

4291034F1029_1_10

企業コード

300242

作成又は改訂年月

2021年1月改訂
(第1版、効能変更、用法及び用量変更)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤

承認等

販売名

ジャカビ錠5mg

販売名コード

4291034F1029

販売名英字表記

JAKAVI Tablets

販売名ひらがな

じゃかびじょう5mg

承認番号等

承認番号
22600AMX00759000

販売開始年月

2014年9月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

ジャカビ錠10mg

販売名コード

4291034F2025

販売名英字表記

JAKAVI Tablets

販売名ひらがな

じゃかびじょう10mg

承認番号等

承認番号
22900AMX00507000

販売開始年月

2017年5月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ルキソリチニブリン酸塩

警告

  1. 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療又は造血幹細胞移植に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
  2. 本剤の投与により、結核、敗血症等の重篤な感染症が発現し、死亡に至った症例が報告されていることから、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

組成・性状

組成

ジャカビ錠5mg
有効成分・含量
1錠中ルキソリチニブリン酸塩6.60mg(ルキソリチニブとして5mg)
添加剤
乳糖、セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
ジャカビ錠10mg
有効成分・含量
1錠中ルキソリチニブリン酸塩13.2mg(ルキソリチニブとして10mg)
添加剤
乳糖、セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム

製剤の性状

ジャカビ錠5mg
色・剤形
白色の素錠
識別コード
NVR L5
形状
直径(mm)
7.5
厚さ(mm)
3.6
質量(g)
0.16
ジャカビ錠10mg
色・剤形
白色の素錠
識別コード
NVR L10
形状
直径(mm)
9.3
厚さ(mm)
4.5
質量(g)
0.32

効能又は効果

  • 骨髄線維症
  • 真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)
  • 造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)

効能又は効果に関連する注意

〈骨髄線維症〉
  1. 患者のリスク分類、脾臓の大きさ等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
  2. 病理組織学的検査を行い、骨髄線維症と診断された患者に使用すること。
〈真性多血症〉
  1. ヒドロキシカルバミドによる適切な治療を行っても十分な効果が認められない場合、又はヒドロキシカルバミドによる治療が不適当と判断される場合に本剤の投与を考慮すること。
  2. 臨床試験に組み入れられた患者の脾臓の大きさ等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉
  1. 臨床試験に組み入れられた患者の移植片対宿主病の重症度等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

用法及び用量

〈骨髄線維症〉
通常、成人には本剤を1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。用量は、ルキソリチニブとして1回5mg~25mgの範囲とし、患者の状態により適宜増減する。
〈真性多血症〉
通常、成人にはルキソリチニブとして1回10mgを開始用量とし、1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜増減するが、1回25mg1日2回を超えないこと。
〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉
通常、成人及び12歳以上の小児にはルキソリチニブとして1回10mgを1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜減量する。

用法及び用量に関連する注意

〈骨髄線維症、真性多血症〉
  1. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
  2. 十分な効果が認められず、血球数から増量可能と判断できる場合は、1回の投与量を5mgずつ2週間以上の間隔をあけて増量することができる。ただし、本剤の初回投与後、4週間は増量しないこと。
〈骨髄線維症〉
  1. 本剤の投与開始にあたっては、血小板数に基づき次表を参考に開始用量を決定すること。
    血小板数注)
    開始用量
    20万/mm3
    1回20mg1日2回
    10万/mm3以上20万/mm3以下
    1回15mg1日2回
    注)血小板数5万/mm3以上10万/mm3未満の患者に対する開始用量の情報は限られているため、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、本剤の投与の可否を慎重に検討すること。血小板数5万/mm3以上10万/mm3未満の患者に投与可能と判断する場合、1回5mg1日2回から投与を開始するとともに、観察を十分に行い、有害事象の発現に十分注意すること。血小板数5万/mm3未満の患者に対する投与は避けること。
  2. 本剤の投与中に血小板数が減少した場合、下表を参考に減量又は休薬を考慮すること。なお、血小板数が休薬前の数値以上に回復した場合には、1回5mg1日2回から投与を再開できる。ただし、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
    血小板数
    1回あたりの用量(1日2回)
    25mg
    20mg
    15mg
    10mg
    5mg
    10万/mm3以上
    12.5万/mm3未満
    20mg
    変更なし
    7.5万/mm3以上
    10万/mm3未満
    10mg
    10mg
    10mg
    変更なし
    5万/mm3以上
    7.5万/mm3未満
    5mg
    5mg
    5mg
    5mg
    変更なし
    5万/mm3未満
    休薬
  3. 本剤の投与中に好中球数が500/mm3未満に減少した場合には休薬すること。なお、好中球数が休薬前の数値以上に回復した場合には、1回5mg1日2回から投与を再開できる。ただし、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
〈真性多血症〉
  1. 血小板数が5万/mm3以上10万/mm3未満の患者における開始用量の情報は得られていないため、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、本剤の投与の可否を慎重に検討すること。血小板数5万/mm3以上10万/mm3未満の患者に投与可能と判断する場合、低用量から投与を開始するとともに、観察を十分に行い、有害事象の発現に十分注意すること。血小板数5万/mm3未満の患者に対する投与は避けること。
  2. 本剤の投与中に血小板数又はヘモグロビンが減少した場合、下表を参考に減量又は休薬を考慮すること。減量幅は、1回の投与量として5mgとする。なお、血小板数及びヘモグロビンが休薬前の数値以上に回復した場合には、1回5mg1日2回から投与を再開できる。ただし、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
    血小板数
    5万/mm3以上、10万/mm3未満
    減量
    5万/mm3未満
    休薬
    ヘモグロビン
    8g/dL以上、12g/dL未満
    減量
    8g/dL未満
    休薬
  3. 本剤の投与中に好中球数が1,000/mm3未満に減少した場合には休薬すること。なお、好中球数が休薬前の数値以上に回復した場合には、1回5mg1日2回から投与を再開できる。ただし、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉
  1. 副作用により本剤を休薬、減量する場合は、以下の基準を考慮すること。以下の基準の1段階減量として、1回10mg1日2回で投与している場合は1回5mg1日2回に、1回5mg1日2回で投与している場合は1回5mg1日1回に減量する。1回5mg1日1回で投与している場合は、本剤を休薬すること。
    血小板数
    1.5万/mm3以上2万/mm3未満
    1段階減量する。減量後7日以内に2万/mm3以上に回復した場合は、減量前の用量を再開してもよい。
    減量後7日を過ぎても2万/mm3以上に回復しない場合は、1段階減量を維持する。
    1.5万/mm3未満
    2万/mm3以上になるまで休薬し、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。
    好中球数
    500/mm3以上750/mm3未満
    1段階減量する。1,000/mm3超に回復した場合は、減量前の用量を再開する。
    500/mm3未満
    500/mm3を超えるまで休薬し、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。1,000/mm3超に回復した場合は、休薬前の用量注)を再開してもよい。
    総ビリルビン上昇:移植片対宿主病に伴う肝病変を有さない場合
    3×ULN超、5×ULN以下
    3×ULN以下になるまで、1段階減量する。
    5×ULN超、10×ULN以下
    3×ULN以下になるまで最長14日間休薬する。14日以内に3×ULN以下に回復した場合は、休薬前の用量注)で投与を再開してもよい。14日を過ぎても3×ULN以下に回復しない場合は、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。
    10×ULN超
    3×ULN以下になるまで休薬し、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。
    総ビリルビン上昇:移植片対宿主病に伴う肝病変を有する場合
    3×ULN超
    3×ULN以下になるまで、1段階減量を継続する。
    注)休薬前に当該事象により既に1段階減量している場合は、減量前の用量とする。
    ULN:基準値上限
  2. 治療効果が認められた場合は、本剤の漸減を検討すること。本剤の漸減は、ステロイドの投与中止後に、2カ月ごとに1段階を目安とし、副作用により減量する場合の1段階減量と同じ減量幅とすること。なお、本剤の漸減中に症状が再発した場合は、本剤の漸増等の適切な対応を行うこと。

重要な基本的注意

  1. 血小板減少症、貧血、好中球減少症があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うこと。
  2. 免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化することがある。肝炎ウイルス、結核等が再活性化するおそれがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤の投与開始前に適切な処置の実施を考慮すること。本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。
  3. 帯状疱疹があらわれることがあるので、本剤の投与開始前に、患者に対して帯状疱疹の初期症状について説明し、異常が認められた場合には速やかに連絡し、適切な処置を受けるよう指導すること。
  4. 出血があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血液検査等を実施すること。
  5. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査等を実施すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)
    結核を活動化させるおそれがある。
  2. 感染症(敗血症、肺炎、ウイルス感染等)を合併している患者
    免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。
  3. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性かつHBc抗体若しくはHBs抗体陽性の患者
    B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれるおそれがある。
  4. 移植片対宿主病に伴う肝病変(総ビリルビン値が正常値上限の3倍以上)を有する患者
    より頻回に血球数を測定し、投与量を調節することが望ましい。

腎機能障害患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。活性代謝物の血中濃度が上昇するとの報告がある。

肝機能障害患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。未変化体の血中濃度が上昇するとの報告がある。

生殖能を有する者

妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)において、胚・胎児毒性(着床後死亡の増加、胎児重量の減少)が認められたとの報告がある。

授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、本剤及び本剤の代謝物が乳汁中に移行し、母体血漿中濃度の13倍であったとの報告がある。

小児等

〈骨髄線維症、真性多血症〉
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉
12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。臨床試験において、高齢者(65歳超)では、65歳以下の患者と比較して、血小板減少症、心不全等の発現が増加することが報告されている。

相互作用

本剤は主として代謝酵素CYP3A4で代謝され、CYP3A4に比べて寄与率は小さいがCYP2C9によっても代謝される。また、in vitroの検討から、本剤はP-糖蛋白(P-gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)を阻害する可能性が示唆されている。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
強力なCYP3A4阻害剤
イトラコナゾール
リトナビル
クラリスロマイシン等
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP3A4阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず強力なCYP3A4阻害剤と本剤を併用投与する場合には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
これらの薬剤の強力なCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
CYP3A4及びCYP2C9を阻害する薬剤
フルコナゾール等
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
これらの薬剤の2つの代謝酵素(CYP3A4及びCYP2C9)の阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
CYP3A4阻害剤
エリスロマイシン
シプロフロキサシン
アタザナビル
ジルチアゼム
シメチジン等
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP3A4阻害剤と本剤を併用投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
これらの薬剤のCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
CYP3A4誘導剤
リファンピシン
フェニトイン
セイヨウオトギリソウ〔St. John’s Wort(セント・ジョーンズ・ワート)〕含有食品等
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱する可能性があるので、CYP3A4誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
これらの薬剤のCYP3A4誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 骨髄抑制
    血小板減少症(35.1%)、貧血(31.1%)、好中球減少症(9.2%)、汎血球減少症(0.9%)等があらわれることがある。
  2. 感染症(17.2%)
    細菌、真菌、ウイルス又は原虫による重篤な感染症(帯状疱疹(1.8%)、尿路感染(2.5%)、結核(0.1%)等)や日和見感染が発現又は悪化することがあり、死亡に至った症例が報告されている。本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察すること。
  3. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
    本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を実施するとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  4. 出血
    脳出血等の頭蓋内出血(0.1%)(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等)、胃腸出血(1.3%)、処置後出血(0.1%)、鼻出血(1.4%)、血尿(0.8%)等があらわれることがあり、死亡に至った症例が報告されている。
  5. 間質性肺疾患(頻度不明)
  6. 肝機能障害
    AST(3.5%)、ALT(5.2%)の上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った症例が報告されている。
  7. 心不全(0.5%)

その他の副作用

5%以上
1~5%未満
1%未満
感染症
-
肺炎、敗血症
サイトメガロウイルス感染、BKウイルス感染
血液及びリンパ系障害
白血球数減少
-
-
代謝及び栄養障害
-
体重増加、高コレステロール血症
高トリグリセリド血症、体液貯留、低カルシウム血症、食欲減退
精神障害
-
不眠症
-
神経系障害
-
頭痛、浮動性めまい
末梢性ニューロパチー、錯感覚
心臓障害
-
-
動悸
血管障害
-
高血圧
-
呼吸器系障害
-
鼻咽頭炎、呼吸困難、咳嗽
ラ音
胃腸障害
下痢
悪心、腹痛、嘔吐、便秘、腹部膨満、口内炎、鼓腸
口内乾燥、口腔内潰瘍形成、消化不良、上腹部痛、リパーゼ上昇、アミラーゼ上昇
肝胆道系障害
-
γ-GTP増加、ALP増加、血中ビリルビン増加
-
皮膚及び皮下組織障害
-
挫傷
発疹、寝汗
筋骨格系障害
-
筋痙縮、四肢痛、筋肉痛、関節痛
骨痛、背部痛、血中CPK上昇
腎及び尿路障害
-
血中尿素増加、血中クレアチニン上昇
-
全身障害
-
末梢性浮腫、無力症、発熱、疲労
-
臨床検査
-
-
APTT延長

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 心血管系事象のリスク因子を有する関節リウマチ患者を対象としたJAK阻害剤トファシチニブクエン酸塩の海外臨床試験の結果、主要評価項目である主要な心血管系事象(Major Adverse Cardiovascular Events:MACE)及び悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率について、TNF 阻害剤群に対するハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ1.33(0.91, 1.94)及び1.48(1.04, 2.09)であり、95%信頼区間上限は予め設定していた非劣性マージン1.8 を超え、TNF 阻害剤群に対する非劣性が検証されなかったことが報告されている。また、本剤でも、国内市販後の自発報告において、心血管系事象の発現が認められている。
非臨床試験に基づく情報
  1. イヌを用いた心血管系への影響に関する試験では、心拍数増加を伴う血圧低下が認められ、ラットを用いた呼吸機能検査では、分時換気量減少が認められた。
  2. イヌを用いた26及び52週間反復投与毒性試験において、皮膚乳頭腫の発現が認められた。また、本剤との因果関係は明らかでないものの、本剤投与後に非黒色腫皮膚癌(基底細胞癌、扁平上皮癌、メルケル細胞癌を含む)等の悪性腫瘍(二次発がん)の発現が報告されている。
  3. 幼若ラットを用いた毒性試験において、骨成長の抑制と骨折が認められた。幼若ラットでの曝露量(AUC)は、最⼤推奨用量を投与した成人でのAUCの1.5倍(骨成長の抑制)、13倍(骨折)であった。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    健康被験者にルキソリチニブ10、25、50及び100mgを空腹時に単回経口投与したとき、未変化体の血漿中濃度は投与後0.5時間(Tmax中央値)でCmaxに達し、その後、2.5~3.4時間の半減期で消失した。Cmax及びAUCは投与量にほぼ比例した。
    注)本剤の承認された用法及び用量での1日最大用量は50mgである。
    健康被験者にルキソリチニブ10、25、50及び100mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
    投与量
    Cmax
    (nmol/L)
    Tmax注)
    (h)
    T1/2
    (h)
    AUCinf
    (h・nmol/L)
    CL/F
    (L/h)
    10mg
    (n=8)
    621±107
    (613)
    0.5
    (0.25-1.5)
    3.18±1.31
    (2.98)
    2,290±914
    (2,160)
    15.9±4.89
    (15.1)
    25mg
    (n=8)
    1,450±718
    (1,320)
    0.5
    (0.25-1.5)
    2.51±0.638
    (2.44)
    4,020±1,220
    (3,830)
    22.6±9.09
    (21.3)
    50mg
    (n=8)
    2,380±495
    (2,330)
    0.5
    (0.25-1.5)
    2.86±0.542
    (2.81)
    8,650±2,230
    (8,430)
    19.8±4.20
    (19.4)
    100mg
    (n=8)
    5,430±1,260
    (5,300)
    0.5
    (0.25-1.5)
    3.40±0.907
    (3.28)
    22,600±7,780
    (21,500)
    15.9±4.94
    (15.2)
    平均値±標準偏差(幾何平均値)、注)中央値(最小値-最大値)
    健康被験者にルキソリチニブ10、25、50及び100mgを単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
  2. 反復投与
    健康被験者にルキソリチニブ10及び25mgを7日間1日2回反復経口投与したときAUCの累積比はそれぞれ1.12及び1.03で大きな累積は認められなかった。
    健康被験者にルキソリチニブ10及び25mgを1日2回反復経口投与したときの薬物動態パラメータ
    投与量
    反復
    投与
    Cmax
    (nmol/L)
    Tmax注)
    (h)
    AUC0-12h
    (h・nmol/L)
    AUC0-12h
    (7日目/初日)
    10mg
    (n=8)
    1日目
    577±70.8
    (573)
    0.375
    (0.25-1.0)
    1,920±678
    (1,830)
    -
    7日目
    587±187
    (562)
    0.5
    (0.25-1.0)
    2,180±949
    (2,040)
    1.12±0.117
    (1.11)
    25mg
    (n=8)
    1日目
    1,200±357
    (1,160)
    0.5
    (0.25-1.5)
    3,600±838
    (3,500)
    -
    7日目
    1,290±271
    (1,260)
    0.5
    (0.25-0.5)
    3,720±864
    (3,620)
    1.03±0.0568
    (1.03)
    平均値±標準偏差(幾何平均値)、注)中央値(最小値-最大値)

吸収

  1. 食事の影響
    健康被験者(16例)に食後にルキソリチニブ20mgを単回経口投与したとき、空腹時に比べTmaxは0.5時間から1.75時間に延長し、Cmaxは42%低下した。AUCは6.4%低下したが比(食後/空腹)の90%信頼区間は0.80~1.25の範囲内であった。

分布

ルキソリチニブのヒト血漿中及び血清中での非結合型分率は、3.2~4.8%であった(in vitro)。

代謝

ルキソリチニブは主としてCYP3A4で代謝され、またCYP3A4に比べて寄与率は小さいがCYP2C9によっても代謝されると考えられる(in vitro)。

排泄

健康被験者(6例)に14C標識したルキソリチニブ25mgを単回経口投与したとき放射能の総回収率は96%で、尿及び糞中にそれぞれ74%及び22%が回収された。尿及び糞中に回収された放射能に占める未変化体の割合は1%未満であった。放射能の70%以上が投与後24時間以内に回収された(外国人のデータ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    健康被験者(クレアチニンクリアランス(CLcr)80mL/min超)、軽度腎機能障害患者(CLcr 50~80mL/min)、中等度腎機能障害患者(CLcr 30~49mL/min)、重度腎機能障害患者(CLcr 30mL/min未満)及び透析を受けている末期腎機能障害患者にルキソリチニブ25mgを単回経口投与したとき、未変化体の血漿中濃度は同様であった(各群8例)。8種類の活性代謝物のAUC(合計)は、未変化体のAUCに対して、健康被験者で61%、軽度、中等度及び重度腎機能障害患者で79%、117%及び173%、投与前及び投与後に透析を行った患者で346%及び297%で、腎機能障害の重症度の上昇により増加する傾向を示した(外国人のデータ)。
  2. 肝機能障害患者
    健康被験者、軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類 A)、中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類 B)及び重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類 C)にルキソリチニブ25mgを単回経口投与したとき、AUCは、健康被験者に比べて軽度、中等度及び重度障害患者でそれぞれ87%、28%及び65%高かったが、3つの患者群間で重症度とAUCの間に明確な関係は認められなかった(各群8例)。Cmaxは肝機能障害患者と健康被験者で差はなかった。半減期は、健康被験者(2.8時間)に比べて肝機能障害患者(各患者群で4.1~5.0時間)で延長した(外国人のデータ)。

薬物相互作用

  1. ケトコナゾール(強力なCYP3A4阻害剤、国内未発売の経口剤)
    健康被験者(16例)にケトコナゾール(200mg、1日2回4日間)反復投与時、ルキソリチニブ10mgを併用したときルキソリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ33%及び91%増加し、半減期は3.7時間から6.0時間に延長した(外国人のデータ)。
  2. エリスロマイシン(CYP3A4阻害剤)
    健康被験者(14例)にエリスロマイシン(500mg、1日2回4日間)反復投与時、ルキソリチニブ10mgを併用したとき、ルキソリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ8%及び27%増加したが、半減期に差はなかった(外国人のデータ)。
  3. リファンピシン(CYP3A4誘導剤)
    健康被験者(12例)にリファンピシン(600mg、1日1回11日間)反復投与時、ルキソリチニブ50mgを併用投与したとき、ルキソリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ52%及び71%低下し、半減期は3.3時間から1.7時間に短縮した。8種類の活性代謝物のAUC(合計)に大きな変化はなく、未変化体に対する代謝物の相対的な曝露量は2倍以上に増加した(外国人のデータ)。
  4. ルキソリチニブの経口投与後、腸で薬物濃度が高くなった場合、P-糖蛋白(P-gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)を阻害する可能性が示唆された(in vitro)。
  5. ミダゾラム(CYP3A4基質)
    健康被験者(23例)にルキソリチニブ25mg(1日2回1日間)を反復投与時、ミダゾラム経口液剤4mgを併用したとき、ルキソリチニブはミダゾラムの薬物動態に大きな影響を及ぼさなかった(外国人のデータ)。
  6. 経口避妊薬
    健康被験者(24例)にルキソリチニブ25mg(1日2回10日間)を反復投与時、経口避妊薬(エチニルエストラジオール30μg及びレボノルゲストレル150μgを含有)を併用したとき、ルキソリチニブはエチニルエストラジオール及びレボノルゲストレルの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人のデータ)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈骨髄線維症〉
  1. 国際共同第Ⅱ相試験(A2202試験)
    骨髄線維症患者※1を対象とした非盲検非対照試験において、ベースラインの血小板数に基づき本剤を経口投与した。本剤の開始用量は、ベースラインの血小板数が10万~20万/mm3の場合15mg1日2回、20万/mm3超の場合20mg1日2回とした。
    合計120例(日本人患者30例を含む)に本剤が投与された。骨髄線維症患者における合併症の主な要因である脾腫に関して、主要評価項目である24週時に脾臓容積がベースラインから35%以上縮小した被験者の割合は31.7%であった。
    副作用発現頻度は、本剤投与群で92.5%(111/120例(日本人30例を含む))であった。主な副作用は、貧血58.3%(70/120例)、血小板数減少28.3%(34/120例)、血小板減少症26.7%(32/120例)等であった。
    (2013年6月7日カットオフ)
  2. 海外第Ⅲ相試験(351試験)
    骨髄線維症患者※1を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、ベースラインの血小板数に基づき本剤を経口投与した。本剤の開始用量は、ベースラインの血小板数が10万~20万/mm3の場合15mg1日2回、20万/mm3超の場合20mg1日2回とした。
    合計309例がルキソリチニブ群(155例)又はプラセボ群(154例)に無作為に割付けされた。主要評価項目である24週時に脾臓容積がベースラインから35%以上縮小した被験者の割合はルキソリチニブ群で41.9%、プラセボ群で0.7%であり、プラセボ群と比較してルキソリチニブ群で有意に高かった(Fisherの正確検定p<0.0001)。
    副作用発現頻度は、本剤投与群で76.1%(118/155例)であった。主な副作用は、本剤投与群では血小板減少症34.2%(53/155例)、貧血25.2% (39/155例)、疲労12.9%(20/155例)等であった。
    (2013年1月25日カットオフ)
  3. 海外第Ⅲ相試験(A2352試験)
    骨髄線維症患者※1を対象とした非盲検無作為化比較試験において、ベースラインの血小板数に基づき本剤を経口投与した。本剤の開始用量は、ベースラインの血小板数が10万~20万/mm3の場合15mg1日2回、20万/mm3超の場合20mg1日2回とした。
    合計219例がルキソリチニブ群(146例)又はBest Available Therapy群(73例)に無作為に割付けされた。主要評価項目である48週時に脾臓容積がベースラインから35%以上縮小した被験者の割合はルキソリチニブ群で28.5%、Best Available Therapy群で0%であり、Best Available Therapy群と比較してルキソリチニブ群で有意に高かった(p<0.0001、Cochran-Mantel-Haenszelの正確検定)。
    副作用発現頻度は、本剤投与群で82.9%(121/146例)であった。主な副作用は、本剤投与群では血小板減少症43.8%(64/146例)、貧血32.9% (48/146例)、体重増加11.0%(16/146例)等であった。
    (2012年12月1日カットオフ)
    ※1:試験対象患者
    • 原発性骨髄線維症、真性多血症又は本態性血小板血症から移行した骨髄線維症患者(WHO分類及びIWG-MRT規準に基づき診断)
    • IWG-MRTリスク分類の高リスク又は中間-2リスクの患者
    • 造血幹細胞移植が不適応の患者
    • 季肋下に5cm以上の脾腫を有する患者
〈真性多血症〉
  1. 国際共同第Ⅲ相試験(B2301試験)
    真性多血症患者※2を対象とした非盲検無作為化比較試験において、開始用量10mg1日2回とし、被験者の状態により5mg1日1回から25mg1日2回の範囲で本剤を経口投与した。合計222例(日本人患者18例を含む)がルキソリチニブ群(110例)又はBest Available Therapy群(112例)に無作為に割付けされた。主要評価項目である32週時の奏効※3率はルキソリチニブ群で22.7%、Best Available Therapy群で0.9%であり、Best Available Therapy群と比較してルキソリチニブ群で有意に高かった(p<0.0001、層別Cochran-Mantel-Haenszel検定)。
    48週時点での副作用発現頻度は、本剤投与群で70.9%(78/110例(日本人6例を含む))であった。主な副作用は、貧血21.8%(24/110例)、血小板減少症10.9%(12/110例)、体重増加8.2%(9/110例)等であった。
    ※2:試験対象患者
    • 真性多血症患者(WHO分類)
    • ヒドロキシカルバミド抵抗性又は不耐容で瀉血依存の患者
    • 脾臓容積が450cm3以上の脾腫を有する患者
    ※3:奏効は、以下の両基準に該当した場合
    • ヘマトクリットコントロール:瀉血実施基準を「連続2回の検査で、ヘマトクリット値が45%超かつベースライン値より3%以上高い、又は48%超のいずれかに該当する場合」とし、無作為化から8週時まで瀉血実施1回以下、かつ8週時から32週時まで瀉血実施不要。
    • 脾臓容積35%以上縮小:32週時のMRI又はCTに基づく脾臓容積がベースラインから35%以上縮小。
〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉
  1. 国際共同第Ⅲ相試験(C2301試験)
    造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)患者※4を対象とした非盲検無作為化比較試験において、開始用量10mg1日2回とし本剤を経口投与した。合計309例(日本人患者30例を含む)がルキソリチニブ群(154例)又はBest Available Therapy群(155例)に無作為に割付けされた。主要評価項目である投与28日時の奏効※5率はルキソリチニブ群で62.3%、Best Available Therapy群で39.4%であり、Best Available Therapy群と比較してルキソリチニブ群で有意に高かった(p<0.0001、Cochran-Mantel-Haenszel検定)。
    副作用発現頻度は、本剤投与群で66.4%(101/152例(日本人9例を含む))であった。主な副作用は、血小板減少症23.0%(35/152例)、貧血16.4%(25/152例)、血小板数減少14.5%(22/152例)等であった。
    (2020年1月6日カットオフ)
    ※4:12歳以上のステロイド抵抗性急性GVHD(グレードII~IV)の患者
    ※5:追加の全身治療がなく、国際標準基準で完全奏効又は部分奏効を得られた患者
  2. 国際共同第Ⅲ相試験(D2301試験)
    造血幹細胞移植後の慢性GVHD患者※6を対象とした非盲検無作為化比較試験において、開始用量10mg1日2回とし本剤を経口投与した。合計329例(日本人患者37例を含む)がルキソリチニブ群(165例)又はBest Available Therapy群(164例)に無作為に割付けされた。中間解析を行い、主要評価項目及び2つの主な副次的評価項目のいずれかで統計学的有意差が認められなかった場合には試験を続行する計画であった。中間解析(2019年7月9日カットオフ)において、ルキソリチニブ群97例、Best Available Therapy群99例が評価され、主要評価項目である投与24週時の奏効※7率はルキソリチニブ群で50.5%、Best Available Therapy群で26.3%であり、Best Available Therapy群と比較してルキソリチニブ群で有意に高かった(p=0.0003、Cochran-Mantel-Haenszel検定、有意水準片側1.176%)。
    最終解析(2020年5月8日カットオフ)において、主要評価項目である投与24週時の奏効※7率はルキソリチニブ群で49.7%、Best Available Therapy群で25.6%であり、Best Available Therapy群と比較してルキソリチニブ群で高かった。
    副作用発現頻度は、本剤投与群で67.9%(112/165例(日本人22例を含む))であった。主な副作用は、貧血23.6%(39/165例)、好中球減少症10.9%(18/165例)、ALT増加10.3%(17/165例)等であった。
    ※6:12歳以上のステロイド抵抗性慢性GVHD(中等症又は重症)の患者
    ※7:追加の全身治療がなく、NIH基準で完全奏効又は部分奏効を得られた患者

薬効薬理

作用機序
ルキソリチニブは、JAK1及びJAK2を選択的に阻害し、STAT等を介したサイトカイン及び成長因子のシグナル伝達を抑制することで、造血及び免疫機能を制御する。
薬理作用
  1. JAK1及びJAK2阻害作用(in vitro)
    ルキソリチニブは、in vitroで野生型及び変異型(V617F)のJAK2活性を阻害し、そのシグナル伝達を抑制した,。また、骨髄線維症における臨床症状の原因の一つと考えられているIL-6の細胞内シグナル伝達に関わるJAK1の活性を阻害した。
  2. 動物モデルにおける造血系腫瘍抑制作用(in vivo)
    変異型JAK2(V617F)を発現させたマウス腫瘍細胞株を移植したマウスにおいて、ルキソリチニブは脾臓重量を減少させ、炎症性サイトカインであるIL-6及びTNF-αの血中濃度の上昇を抑制した,。変異型JAK2(V617F)を発現するマウス由来骨髄細胞を移植し、赤血球数増加等の真性多血症様の症状を呈したマウスにおいて、ルキソリチニブは赤血球数、白血球数及び脾臓重量を減少させた。
  3. 動物モデルにおけるGVHD抑制作用(in vivo)
    ルキソリチニブは、急性GVHDマウスモデルにおいて、炎症性サイトカインIFNγ、IL-1β及びTNFαの抑制、STAT3/STAT5リン酸化の阻害、及び病変組織への免疫細胞浸潤の抑制に寄与した。さらに、慢性GVHDモデルにおいて、皮膚及び肺の炎症を減少させた。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ルキソリチニブリン酸塩(Ruxolitinib Phosphate)
化学名
(3R)-3-Cyclopentyl-3-[4-(7H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)-1H-pyrazol-1-yl]propanenitrile monophosphate
分子式
C17H18N6・H3PO4
分子量
404.36
性状
白色の粉末である。水にやや溶けやすく、エタノールにやや溶けにくく、アセトニトリルに極めて溶けにくい。
化学構造式
融点
194~198℃
分配係数
-0.057(1-オクタノール/pH1.0緩衝液)、2.562(1-オクタノール/pH4.3緩衝液)、2.814(1-オクタノール/pH7.4緩衝液)

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

〈ジャカビ錠5mg〉
20錠 [10錠(PTP)×2]
120錠 [10錠(PTP)×12]
〈ジャカビ錠10mg〉
20錠 [10錠(PTP)×2]

主要文献

1
社内資料:国内第Ⅰ相臨床試験(1101試験)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2-2.2.1)[20142625]
2
社内資料:国内第Ⅰ相臨床試験(1102試験)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2-2.2.2)[20142624]
3
社内資料:蛋白結合率(2014年7月4日承認、CTD2.7.2-2.1.1)[20142634]
4
社内資料:CYP代謝酵素の同定(2014年7月4日承認、CTD2.7.2-2.1.2)[20142639]
5
Shilling,A.D.et al.:Drug Metab.Dispos. 2010; 38(11),2023-2031[20142299]
6
社内資料:腎機能障害患者を対象とした試験(142試験)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2-2.4.2)[20142631]
7
社内資料:肝機能障害患者を対象とした試験(137試験)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2-2.4.1)[20142632]
8
Shi.J.G., Chen.X., Emm.T.et al.: J. Clin. Pharmacol. 2012; 52(6),809-818[20142301]
9
社内資料:膜透過性,薬物トランスポーター阻害及び腸でのCYP3A4,Pgp,BCRP阻害(2014年7月4日承認、CTD2.7.2-2.1.3)[20142641]
10
社内資料:ミダゾラムとの薬物相互作用(2103試験)(2015年9月24日承認、CTD2.7.2-2.2)[20151293]
11
社内資料:経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)との薬物相互作用(2102試験)(2015年9月24日承認、CTD2.7.2-2.1)[20151292]
12
Mesa,R.A.:Blood 2009; 113(22),5394-5400[20142280]
13
社内資料:骨髄線維症患者を対象としたアジア国際共同第Ⅱ相臨床試験(2202試験)(2014年7月4日承認、CTD2.7.6-4.2.1)[20142622]
14
社内資料:骨髄線維症患者を対象とした海外第Ⅲ相臨床試験(351試験)(2014年7月4日承認、CTD2.7.6-4.1.1)[20142620]
15
社内資料:骨髄線維症患者を対象とした海外第Ⅲ相臨床試験(2352試験)(2014年7月4日承認、CTD2.7.6-4.1.2)[20142621]
16
Tefferi,A.and Vardiman,J.W.:Leukemia 2008; 22(1),14-22[20142281]
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Barosi,G.et al.:Leukemia 2008; 22(2),437-438[20142282]
18
Cervantes,F.et al.:Blood 2009; 113(13),2895-2901[20142283]
19
社内資料:真性多血症患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(2301試験)(2015年9月24日承認、CTD2.7.6-4.1.1)[20151295]
20
Barosi,G.et al.:Br.J.Haematol. 2010; 148(6),961-963[20155488]
21
社内資料:急性移植片対宿主病を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(C2301試験)(2023年8月23日承認、CTD2.7.6-4.1.1)[20220004]
22
Harris AC, Young R, Devine S, et al.: Biol Blood Marrow Transplant 2016 ; 22(1):4-10[20220362]
23
社内資料:慢性移植片対宿主病を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(D2301試験)(2023年8月23日承認、CTD2.7.6-4.1.2)[20220005]
24
Lee SJ, Wolff D, Kitko C, et al.: Biol Blood Marrow Transplant 2015; 21(6):984-999[20210063]
25
社内資料:In vitro酵素阻害作用(2014年7月4日承認、CTD2.6.2-2.1)[20142613]
26
社内資料:In vitro腫瘍増殖抑制作用(2014年7月4日承認、CTD2.6.2-2.2)[20142614]
27
社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(2014年7月4日承認、CTD2.6.2-2.3)[20142618]
28
社内資料:In vivoサイトカイン産生抑制作用(2014年7月4日承認、CTD2.6.2-2.3)[20142616]
29
社内資料:In vivo(変異型JAK)腫瘍増殖抑制作用(2015年9月24日承認、CTD2.6.2-2.2.1)[20151290]
30
社内資料:In vivo急性GVHD抑制作用(2023年8月23日承認、CTD2.6.2-2.1)[20220001]
31
社内資料:In vivo慢性GVHD抑制作用(2023年8月23日承認、CTD2.6.2-2.2)[20220002]

文献請求先及び問い合わせ先

ノバルティスファーマ株式会社 ノバルティスダイレクト
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