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ヒルトニン2mg注射液

遷延性意識障害治療剤、脊髄小脳変性症治療剤

1管 3808円

添付文書番号

7223401A2020_2_03

企業コード

400061

作成又は改訂年月

2023年7月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

87119

薬効分類名

遷延性意識障害治療剤脊髄小脳変性症治療剤

承認等

販売名

ヒルトニン1mg注射液

販売名コード

7223401A2020

販売名英字表記

HIRTONIN INJECTION

販売名ひらがな

ひるとにん1mgちゅうしゃえき

承認番号等

承認番号
15800AMZ00495

販売開始年月

1985年10月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

ヒルトニン2mg注射液

販売名コード

7223401A3026

販売名英字表記

HIRTONIN INJECTION

販売名ひらがな

ひるとにん2mgちゅうしゃえき

承認番号等

承認番号
15800AMZ00496

販売開始年月

1985年10月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

プロチレリン酒石酸塩水和物注射液

組成・性状

組成

ヒルトニン1mg注射液
有効成分
1アンプル(1mL)中:
プロチレリン酒石酸塩水和物  1.464mg
プロチレリンとして  1mg
添加剤
1アンプル(1mL)中:D-ソルビトール(50mg)、pH調節剤
ヒルトニン2mg注射液
有効成分
1アンプル(1mL)中:
プロチレリン酒石酸塩水和物  2.928mg
プロチレリンとして  2mg
添加剤
1アンプル(1mL)中:D-ソルビトール(50mg)、pH調節剤

製剤の性状

ヒルトニン1mg注射液
pH5.5~6.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
色・剤形
無色澄明の液
ヒルトニン2mg注射液
pH5.5~6.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
色・剤形
無色澄明の液

効能又は効果

  • 下記疾患に伴う昏睡、半昏睡を除く遷延性意識障害
    ・頭部外傷
    ・くも膜下出血、ただし意識障害固定期間3週以内
  • 脊髄小脳変性症における運動失調の改善

用法及び用量

〈遷延性意識障害(ただし、昏睡、半昏睡を除く)〉
通常、成人には疾患に応じて、下記の用量を1日1回10日間静注又は点滴静注する。
静脈内注射の場合は、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は注射用水5~10mLに希釈して、徐々に注射する。
1)頭部外傷:1回プロチレリン酒石酸塩水和物として0.732~2.92mg(プロチレリンとして0.5~2mg)
2)くも膜下出血(ただし、意識障害固定期間3週以内):1回プロチレリン酒石酸塩水和物として2.92mg(プロチレリンとして2mg)
〈脊髄小脳変性症〉
通常、成人には1日1回プロチレリン酒石酸塩水和物として0.732~2.92mg(プロチレリンとして0.5~2mg)を筋肉内又は静脈内に注射するが、重症例にはプロチレリン酒石酸塩水和物として2.92mg(プロチレリンとして2mg)を注射する。
2~3週間連日注射した後、2~3週間の休薬期間をおく。以後、これを反復するか、週2~3回の間歇注射を行う。
静脈内注射の場合は、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は注射用水5~10mLに希釈して、徐々に注射する。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 心障害のある患者
    本剤は血圧および脈拍数を一過性に上昇させることがある。
  2. 遺伝性果糖不耐症の患者
    本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
  3. 下垂体腺腫の患者

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. ショック様症状(頻度不明)
    一過性の血圧低下、意識喪失等があらわれることがある。
  2. 痙攣(頻度不明)
  3. 下垂体卒中(頻度不明)
    下垂体腺腫患者に投与した場合、頭痛、視力・視野障害等を伴う下垂体卒中があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には外科的治療等適切な処置を行うこと。
  4. 血小板減少(頻度不明)

その他の副作用

5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
循環器
脈拍数の変動、熱感、顔面潮紅感、動悸、胸部圧迫感、血圧の変動
消化器
悪心
嘔吐、食欲不振、腹痛、口渇
異味感
心窩部不快感
肝臓
ALTの上昇
Al-Pの上昇
ASTの上昇
血液
白血球減少
貧血
精神神経系
興奮、多弁、頭痛、めまい、しびれ感
振戦、不眠
不安
過敏症
発疹、そう痒
その他
尿意、発熱、発汗、悪寒、倦怠感、浮腫
排尿障害
脱力感、咽頭違和感、乳房腫大、乳汁分泌

適用上の注意

薬剤投与時の注意
  1. 静脈内投与にあたってはできるだけゆっくり投与すること。急速に静脈内注射すると、一過性の尿意、悪心、熱感等があらわれやすい。
  2. 筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に注意すること。
    1. 同一部位への反復注射は行わないこと。
      なお、小児には特に注意すること。
    2. 神経走行部位を避けるよう注意すること。
    3. 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 本剤の連用により、TRHに対するTSH分泌反応が低下するので、定められた投与期間を標準として投与すること。
  2. 本剤の連用によるTSH分泌反応低下は連用中止1週ないし2週後に回復するので、TRHテストを施行する場合はその後に行うこと。
  3. 甲状腺ホルモン剤、抗甲状腺剤、副腎皮質ステロイド剤投与中の患者ではTRHに対するTSH分泌反応が変化することがある。

薬物動態

血中濃度

  1. 点滴静注時の血中濃度
    健康成人にプロチレリンとして0.5、2mg(各4例)を120分間で点滴静注すると、血中プロチレリン濃度は投与開始15分後に0.5mg投与で663pg/mL(投与前値は126pg/mL)、2mg投与で3,150pg/mL(投与前値は101pg/mL)を示し、点滴中はほぼ同値を持続するが、終了後急速に低下する。0.5、2mg投与時の血中濃度の半減期はそれぞれ約18分、約9分である。
  2. 静注時の血中濃度
    健康成人(10例)にプロチレリンとして2mgを静注すると、血中プロチレリン濃度は投与5分後に16,660pg/mLを示し、30分後には1,003pg/mL、120分後には19.3pg/mLと速やかに低下する。血中濃度の半減期は4.5分である。
  3. 筋注時の血中濃度
    健康成人(5例)にプロチレリンとして2mgを筋注すると、血中プロチレリン濃度は、投与5分後に8,940pg/mLを示し、以後漸減するが、120分後でも283pg/mLであり、比較的長時間高値を持続する。血中濃度の半減期は19.6分である。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈遷延性意識障害(ただし、昏睡、半昏睡を除く)〉
  1. 国内臨床試験
    昏睡、半昏睡を除く軽症遷延性意識障害患者を対象として、プロチレリンとして1日0.5、2mgを10日間静注又は点滴静注した二重盲検比較対照試験において、頭部外傷に伴う意識障害ではプロチレリン非投与群に比し0.5及び2mg投与の有用性が、また、くも膜下出血に伴う意識障害では意識障害固定期間3週以内の症例に対し、2mg投与の有用性が認められている。
    意識障害の症状別では、プロチレリン投与群で周囲の人への疎通性、場所に関する見当識等の改善が優れることが認められている。なお、二重盲検比較対照試験を含む338例についての臨床試験の結果は次表のとおりであり、遷延性意識障害患者の意欲・自発性の低下、情動障害等の改善に効果が認められている。
    疾患別臨床効果
    疾患名
    1日投与量
    症例数
    有効(又は
    改善)以上
    やや有効(又
    は軽度改善)以上
    頭部外傷に伴う遷延性意識障害
    0.5mg
    90
    32(35.6)
    58(64.4)
    1mg
    63
    31(49.2)
    47(74.6)
    2mg
    91
    46(50.5)
    68(74.7)
    244
    109(44.7)
    173(70.9)
    くも膜下出血に伴う遷延性意識障害
    2mg
    94
    50(53.2)
    72(76.6)
    338
    159(47.0)
    245(72.5)
    数字は例数、( )内はパーセント
〈脊髄小脳変性症〉
  1. 国内臨床試験
    脊髄小脳変性症患者の内、小脳型運動失調(LCCA及びOPCA等)で発症後15年までの軽・中等症例(自力で起立・歩行が可能な例)を対象として、プロチレリンとして1日0.5mg又は2mgを15日間筋注した二重盲検比較対照試験においてプロチレリン非投与群に比し、全般改善度で2mg投与群が、失調改善度及び有用度で0.5mg投与群が優れ、症状別では2mg投与群における構音障害等の改善効果が高く、本剤の有用性が認められている。
    なお、二重盲検比較対照試験を含む432例についての臨床試験の結果は次表のとおりである。1日投与量、投与期間は大部分が0.5mg又は2mg、15~21日間である。
    全般改善度
    疾患名
    症例数
    中等度改善以上
    軽度改善以上
    脊髄小脳変性症
    晩発性小脳皮質萎縮症
    112
    17(15)
    65(58)
    オリーブ核・橋・小脳萎縮症
    260
    35(13)
    148(57)
    脊髄小脳型
    25
    2 (8)
    12(48)
    その他
    35
    5(14)
    17(49)
    432
    59(14)
    242(56)
    数字は例数、( )内はパーセント

その他

〈遷延性意識障害(ただし、昏睡、半昏睡を除く)〉
  1. 一般臨床試験
    健康成人にプロチレリンとして1日0.5mgを7日間静注、意識障害患者に1日0.5~2mgを10日間静注あるいは点滴静注するとプロチレリンに対するTSH分泌反応は低下するが、投与終了後1週あるいは2週で正常の反応に回復する。また、その他の下垂体前葉ホルモン(LH、FSH、GH、PRL)、甲状腺ホルモン(T3、T4)及び副腎皮質ホルモン(コルチゾール)に対しては、プロチレリン連用による影響は特に認められていない,,,
〈脊髄小脳変性症〉
  1. 一般臨床試験
    脊髄小脳変性症患者にプロチレリンとして1日0.5mg又は2mgを3週間筋注又は静注すると2mg投与例でTSH及びT3の低下がみられるが、その他のホルモン(LH、FSH、GH、PRL、T4、コルチゾール)及び0.5mg投与例では影響は特に認められていない。

薬効薬理

作用機序
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンである。脳下垂体前葉での甲状腺刺激ホルモンTSH及びプロラクチンの産生を促進する。臨床的には、脳エネルギー代謝改善作用を示すので、脳血管障害などの際の意識障害等に用いられる。
自発運動亢進作用
正常マウスに2.5mg/kg静注、下垂体摘出マウスに10mg/kg静注及び正常ラットに5mg/kg腹腔内投与により、自発運動亢進が認められる。この作用は、本剤が中脳-辺縁系ドーパミンニューロン終末部位である側坐核におけるドーパミン活性を高めることによると考えられる,
覚醒促進作用
  1. 正常マウスに0.6mg/kg、正常ラットに2.4mg/kg、下垂体摘出ラットに2.4mg/kgの静注により、ペントバルビタール睡眠時間を短縮し、正常マウスに0.6mg/kg静注によりエタノール麻酔時間を短縮する。また、正常ラットに5mg/kg静注によりペントバルビタール前処置による脳内グルコース利用率の低下に拮抗する。
  2. 意識障害モデル動物(頭部外傷マウス、脳幹圧迫ネコ、視床下部電気破壊ネコ)において、0.16mg/kg~5mg/kg静注により行動上及び脳波上覚醒反応が早期に認められる,,
脳波賦活作用
正常ネコに0.1mg/kg静注により脳波賦活作用を示し、その作用点は視床下部及び脳幹であると考えられる。
運動失調改善作用
遺伝性運動失調マウスであるRolling mouse Nagoyaに25mg/kg腹腔内投与、また、シトシンアラビノシドによる小脳変性運動失調ラットに5又は10mg/kg腹腔内投与により、運動量の増加とともに転倒回数の減少等運動失調改善作用が認められる。この作用は小脳内ノルアドレナリン代謝回転の促進作用によるものと考えられる。なお、小脳サイクリックヌクレオチド(c-GMP、c-AMP)の増加も一部関与していると考えられる。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
プロチレリン酒石酸塩水和物(Protirelin Tartrate Hydrate)
化学名
5-Oxo-L-prolyl-L-histidyl-L-prolinamide monotartrate monohydrate
分子式
C16H22N6O4・C4H6O6・H2O
分子量
530.49
性状
白色~微帯黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。水に溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
化学構造式

包装

〈ヒルトニン1mg注射液〉
1mL×10アンプル
〈ヒルトニン2mg注射液〉
1mL×10アンプル

主要文献

1
仁瓶禮之 他:日本内分泌学会雑誌. 1979;55:1089-1097
2
仁瓶禮之 他:厚生省新薬開発研究 脊髄小脳変性症治療剤開発研究班(以下脊小開)昭和54年度研究業績. 1980:221-223
3
佐野圭司 他:神経研究の進歩. 1979;23:184-210
4
祖父江逸郎 他:神経研究の進歩. 1982;26:1190-1214
5
松村茂次郎 他:広島医学. 1979;32:436-444
6
石井鐐二 他:新潟医学会雑誌. 1978;92:829-837
7
三好正規 他:ホルモンと臨床. 1979;27:1055-1062
8
中條 武 他:Neurol.Med.Chir.(Tokyo). 1980;20:289-301
9
満間照典 他:新薬と臨牀. 1983;32:1147-1150
10
第十七改正日本薬局方解説書. 廣川書店;2016:C-4803-C-4810
11
井上雅義:武田研究所報. 1976;35:194-203
12
Miyamoto M. et al.:Eur.J.Pharmacol. 1977;44:143-152
13
Nagai Y. et al.:J.Neurochem. 1980;35:963-971
14
間中信也 他:医学のあゆみ. 1977;102:867-869
15
福田尚久 他:日薬理誌. 1979;75:321-331
16
土居孝行 他:薬理と治療. 1978;6:3229-3237
17
佐治美昭 他:武田研究所報. 1977;36:39-45
18
安藤一也 他:脊小開 昭和55年度研究業績. 1981:179-182
19
名川雄児 他:脊小開 昭和56年度研究業績. 1982:157-160
20
小長谷正明 他:臨床神経学. 1980;20:181-188
21
名川雄児 他:脊小開 昭和56年度研究業績. 1982:152-156

文献請求先及び問い合わせ先

武田テバ薬品株式会社 武田テバDIセンター
〒453-0801 名古屋市中村区太閤一丁目24番11号
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製造販売業者等

製造販売元
武田テバ薬品株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号
販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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