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ゾーフィゴ静注

放射性医薬品・抗悪性腫瘍剤

1回分 697614円

添付文書番号

4291432A1025_1_07

企業コード

630004

作成又は改訂年月

2022年11月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

放射性医薬品・抗悪性腫瘍剤

承認等

販売名

ゾーフィゴ静注

販売名コード

4291432A1025

販売名英字表記

Xofigo iv injection

販売名ひらがな

ぞーふぃごじょうちゅう

承認番号等

承認番号
22800AMX00383000

販売開始年月

2016年6月

貯法、有効期間

貯法
遮光して室温保存
有効期間
検定日より14日間

基準名

放射性医薬品基準
塩化ラジウム(223Ra)注射液

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

塩化ラジウム(223Ra)

警告

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法及び放射線治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

組成・性状

組成

ゾーフィゴ静注
有効成分
1バイアル(5.6mL)中
塩化ラジウム(223Ra)としてラジウム223を  6160kBq含有(検定日時において)
添加剤
塩化ナトリウム  35.3mg/5.6mL
クエン酸ナトリウム水和物  46.5mg/5.6mL
pH調整剤  適量

製剤の性状

ゾーフィゴ静注
pH6.0~8.0
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
色・性状
無色澄明の注射液

効能又は効果

骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌

効能又は効果に関連する注意

  1. 内臓転移のある前立腺癌における有効性及び安全性は確立していない。
  2. 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

用法及び用量

通常、成人には、1回55kBq/kgを4週間間隔で最大6回まで、緩徐に静脈内投与する。

用法及び用量に関連する注意

  1. 外科的又は内科的去勢術と併用しない場合の有効性及び安全性は確立していない。
  2. 副作用があらわれた場合は、重症度等に応じて以下の基準を考慮して、本剤の投与を延期又は中止すること。
    本剤の投与延期・中止の目安
    副作用
    処置
    グレード3以上の好中球減少、貧血、血小板減少
    グレード2以下に回復するまで投与を延期し、回復を確認後、投与を再開する。前回投与から6週間以内にグレード2以下に回復しない場合には、投与を中止する。
    グレード3以上の下痢、悪心、嘔吐、便秘
    グレード2以下に回復するまで投与を延期し、回復を確認後、投与を再開する。
    グレード4のその他の事象
    7日を超えて持続する場合は、投与を中止する。
    グレードはCTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)v3.0に準じる。
  3. 化学療法未治療で無症候性又は軽度症候性の骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者に対する本剤とアビラテロン酢酸エステル及びプレドニゾロンの併用投与は推奨されない。

重要な基本的注意

骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 骨髄抑制のある患者
    骨髄抑制が増強するおそれがある。
  2. 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎等)の患者
    本剤の主な排泄経路は糞中であるため、症状を増悪させるおそれがある。
  3. 脊髄圧迫のある患者又は脊髄圧迫の可能性のある患者
    本剤投与前に適切な処置を行うこと。

生殖能を有する者

  1. 本剤投与中及び投与後6ヵ月間は適切な避妊を行うよう指導すること。本剤は放射性医薬品である。
  2. 生殖可能な年齢の患者に投与する場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 骨髄抑制
    好中球減少(3.9%)、血小板減少(7.4%)、貧血(19.3%)、白血球減少(3.2%)、リンパ球減少(2.0%)、汎血球減少(1.7%)等があらわれることがある。

その他の副作用

5%以上
1~5%未満
1%未満
精神神経系
浮動性めまい、嗜眠、頭痛
消化器
悪心、下痢、嘔吐、食欲減退
便秘、腹痛
上腹部痛
呼吸器
呼吸困難
咳嗽
肝臓
AST上昇、γ-GTP上昇
筋・骨格系
骨痛
関節痛
筋骨格痛
その他
疲労
発熱、体重減少、無力症、味覚異常、末梢性浮腫、脱水
全身健康状態低下、倦怠感、尿路感染、注射部位反応、悪寒

適用上の注意

薬剤投与前の注意
  1. 希釈又は他剤と混合しないこと。
  2. 投与前に目視による確認を行い、注射液に変色や微粒子が認められる場合、容器に破損が認められる場合等、異常が認められる場合には使用しないこと。
薬剤投与時の注意
  1. 投与前後に、静脈ラインを生理食塩液でフラッシュすること。
  2. 投与量は以下の式で算出する。
    投与量(mL)=[体重(kg)×用量(55kBq/kg)]/[減衰係数×1100kBq/mL]
    ※:「19.有効成分に関する理化学的知見」の項参照
  3. 投与速度:約1分間かけて緩徐に静脈内投与すること。
  4. バイアルは一回限りの使用とすること。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 放射線曝露により、二次発癌や遺伝子異常のリスクが増加する可能性がある。
  2. 化学療法未治療で無症候性又は軽度症候性注)の骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者を対象に、アビラテロン酢酸エステル及びプレドニゾン(国内未承認)/プレドニゾロンとの併用で、本剤又はプラセボを投与する二重盲検無作為化国際共同第Ⅲ相試験の結果、本剤群ではプラセボ群と比較して、死亡率(本剤群38.5%、プラセボ群35.5%)及び骨折の発現率(本剤群28.6%、プラセボ群11.4%)が高い傾向が認められた。
    注)Brief Pain Inventory-Short Form(BPI-SF)の項目の3(過去24時間で最悪の疼痛)のスコア(0~10)が0(無症候性)又は1~3(軽度症候性)

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    日本人去勢抵抗性前立腺癌患者に本剤55kBq/kg又は110kBq/kg注)を単回投与後、血中放射能濃度は速やかに減少した(各々N=3)。
    投与量
    55kBq/kg
    (N=3)
    110kBq/kg
    (N=3)
    AUC(kBq・h/mL)
    0.674/13.9
    0.812/21.2
    Cmax(kBq/mL)
    0.323/35.6
    0.425/28.3
    t1/2(h)
    18.8/19.7
    15.4/53.3
    幾何平均値/幾何CV%
    また、第Ⅰ相試験において検討された用量範囲(51~276kBq/kg)注)で薬物動態はおおむね線形性を示すと考えられた(外国人データ)。
  2. 反復投与
    第Ⅰ相試験の成績から反復投与による本薬の薬物動態への影響は認められず、蓄積性は臨床的に問題にならないと考えられた(外国人データ)。

分布

  1. 本剤投与後、ラジウム223は主に骨及び骨転移部位に分布、又は腸管内に排出される。日本人去勢抵抗性前立腺癌患者に本剤55kBq/kg及び110kBq/kg注)を単回投与後、骨への放射能の取り込みは投与2時間後までに最大となり、骨中放射能の投与放射能に対する割合の平均値は52%であった。腸管内放射能は投与6時間後に最大となり、投与放射能に対する割合の平均値は64%であった。心臓、肝臓、腎臓、膀胱、脾臓等の臓器への特異的な取り込みは認められなかった(N=6)。
  2. 吸収線量
    日本人去勢抵抗性前立腺癌患者に本剤55kBq/kg及び110kBq/kg注)を単回投与後の体内分布データから、MIRD法に基づき吸収線量を算出した(N=4)。
    臓器・組織
    平均値(mGy/MBq)
    変動係数(%)
    骨形成細胞
    761
    17
    赤色骨髄
    91.6
    17
    大腸壁上部
    24.4
    41
    大腸壁下部
    18.8
    44
    全身
    14.0
    20
    小腸壁
    5.42
    34
    腎臓
    2.00
    17
    肝臓
    1.87
    17
    膀胱壁
    1.54
    84
    心臓壁
    0.954
    34
    卵巣
    0.269
    36
    胆のう壁
    0.151
    35
    子宮
    0.144
    33
    胃壁
    0.0776
    32
    副腎
    0.0637
    20
    筋肉
    0.0606
    25
    膵臓
    0.0605
    26
    0.0498
    17
    脾臓
    0.0440
    26
    精巣
    0.0330
    27
    1.17
    ―※
    甲状腺
    0.0319
    17
    皮膚
    0.0313
    21
    胸腺
    0.0224
    17
    胸部
    0.0170
    18
    ※:肺における吸収線量はモデルから推定した平均血中放射能濃度推移に基づき算出したため、変動係数については計算できない。

代謝

ラジウム223は二価陽イオン(223Ra2+)の放射性同位元素であり、アクチニウム系列の壊変により消失し、代謝は受けない。

排泄

本剤投与後のラジウム223の主要排泄経路は糞中排泄である。日本人去勢抵抗性前立腺癌患者に本剤55kBq/kgを単回投与72時間後の累積糞中排泄率の平均値は56%、単回投与48時間後の累積尿中排泄率の平均値は1.5%であった(N=3)。肝胆道系排泄は認められなかった。日本人去勢抵抗性前立腺癌患者に本剤55kBq/kg及び110kBq/kg注)を単回投与7日後の全身放射能の残存率の平均値は22%であった(N=6)。
注)承認用法・用量:1回55kBq/kgを4週間間隔で最大6回まで、緩徐に静脈内投与する。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内第Ⅱ相試験
    ドセタキセル水和物に不応又は不耐で、内臓転移がなく、症候性の骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者※1を対象に、標準的治療※2との併用で、本剤55kBq/kgを4週間間隔で6回投与する非盲検非対照試験を実施した。本剤が投与された49例において、主要評価項目である投与開始後12週時点における総ALPのベースラインからの変化率の平均値(95%信頼区間)は-19.3(-28.0~-10.7)%であった。
    副作用は本剤が投与された49例中27例(55.1%)に認められた。主な副作用は、貧血15例(30.6%)、リンパ球減少12例(24.5%)、血小板減少6例(12.2%)、下痢5例(10.2%)、悪心5例(10.2%)等であった。
  2. 国外第Ⅲ相試験
    ドセタキセル水和物に不応又は不耐で、内臓転移がなく、症候性の骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者※1を対象に、標準的治療※2との併用で、本剤55kBq/kg又はプラセボを4週間間隔で6回投与する二重盲検無作為化比較試験を実施した。主要評価項目である全生存期間(OS)の中間解析(本剤群541例、プラセボ群268例)において、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的に有意なOSの延長が認められた〔中央値(95%信頼区間):本剤群14.0(12.0~15.8)ヵ月、プラセボ群11.1(8.8~12.9)ヵ月、ハザード比(95%信頼区間):0.681(0.542~0.857)、p=0.00096(層別log-rank検定)、2010年10月14日データカットオフ〕。
    ※1:内臓転移又は短径3cmを超えるリンパ節腫脹のある患者、クローン病又は潰瘍性大腸炎の患者、半身外部放射線治療歴のある患者、切迫状態にある又は明らかな脊髄圧迫のある患者は除外した。
    ※2:局所的な外部放射線治療、鎮痛剤、コルチコステロイド製剤、LH-RHアゴニスト製剤、LH-RHアンタゴニスト製剤、抗アンドロゲン製剤、エストロゲン製剤、ビスホスホネート製剤、デノスマブ(遺伝子組換え)等。なお、デノスマブ(遺伝子組換え)は国内第Ⅱ相試験でのみ併用が許容された。
    副作用は本剤が投与された600例中386例(64.3%)に認められた。主な副作用は、悪心125例(20.8%)、貧血110例(18.3%)、下痢100例(16.7%)、骨痛95例(15.8%)、疲労73例(12.2%)等であった。

薬効薬理

作用機序
ラジウム223は、カルシウムに類似した性質を有しており、骨転移巣のように骨代謝が亢進している部位に集積し、高エネルギーのアルファ線を放出することにより、近接する腫瘍細胞等に対してDNA二重鎖切断等を誘発し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている,,

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
塩化ラジウム(223Ra)(Radium(223Ra)chloride)
化学名
塩化ラジウム(223Ra)
分子式
223RaCl2
分子量
293.91
核物理学的特性(223Raとして)
物理的半減期:11.43日
アルファ線エネルギー:5.0~7.5MeV(95.3%)
ベータ線エネルギー(平均):0.445MeV、0.492MeV(3.6%)
ガンマ線エネルギー:0.01~1.27MeV(1.1%)
減衰表
経過日数 
減衰係数 
経過日数 
減衰係数 
-14
2.39 
0.96 
-13
2.24 
0.90 
-12
2.11 
0.85 
-11
1.99 
0.80 
-10
1.87 
0.75 
-9
1.76 
0.71 
-8
1.66 
0.67 
-7
1.56 
0.63 
-6
1.47 
0.59 
-5
1.38 
10 
0.56 
-4
1.30 
11 
0.52 
-3
1.22 
12 
0.49 
-2
1.15 
13 
0.46 
-1
1.08 
14 
0.44 
1.02 
注)経過日数は、検定日の前(-)又は後の日数を示す。

取扱い上の注意

本剤は、医療法その他の放射線防護に関する法令、関連する告示及び通知(患者退出等を含む)等を遵守し、適正に使用すること。

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

1バイアル

主要文献

1
社内資料: アビラテロン酢酸エステル及びプレドニゾン(国内未承認)/プレドニゾロンとの併用に関する二重盲検無作為化国際共同第Ⅲ相試験
2
社内資料: 去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国内第Ⅰ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.4)
3
社内資料: 骨転移を有する進行性がん患者を対象とした国外第Ⅰ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.1)
4
社内資料: 去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国外第Ⅰ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.2)
5
社内資料: 症候性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.12)
6
社内資料: 症候性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国外第Ⅲ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.6)
7
Bruland OS, et al.: Clin Cancer Res. 2006; 12: 6250s-6257s
8
Kassis AI, et al.: J Nucl Med. 2005; 46: 4S-12S
9
社内資料: 塩化ラジウム(223Ra)のDNA分子二重鎖切断誘発作用(2016年3月28日承認、CTD2.6.2.2.1.1.4)

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大阪市北区梅田二丁目4番9号

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