医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

メプセヴィ点滴静注液10mg

ムコ多糖症VII型治療剤

1瓶 259932円

添付文書番号

3959427A1020_2_02

企業コード

166617

作成又は改訂年月

2022年7月改訂
(第2版)

日本標準商品分類番号

873959

薬効分類名

ムコ多糖症VII型治療剤

承認等

販売名

メプセヴィ点滴静注液10mg

販売名コード

3959427A1020

販売名英字表記

MEPSEVII Intravenous Infusion

販売名ひらがな

めぷせゔぃてんてきじょうちゅうえきじゅうみりぐらむ

承認番号等

承認番号
30400AMX00001000

販売開始年月

2022年8月

貯法、有効期間

貯法
2~8℃に保存
有効期間
36ヵ月

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること
生物由来製品

一般的名称

ベストロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)点滴静注製剤

警告

  1. Infusion reaction、アナフィラキシーが発現する可能性があるので、緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与中及び投与終了後は十分な観察を行うこと。また、重篤なinfusion reaction、アナフィラキシーが発現した場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。
  2. 急性熱性疾患又は呼吸器疾患のある患者に投与した場合、過敏症反応により症状の急性増悪が起こる可能性があるので、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対しアナフィラキシーショックの既往歴のある患者

組成・性状

組成

メプセヴィ点滴静注液10mg
有効成分
ベストロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)注)  10mg
添加剤
リン酸二水素ナトリウム水和物  15.6mg
塩化ナトリウム  39.4mg
L-ヒスチジン  15.5mg
ポリソルベート20  0.5mg
注)チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。本剤はセルバンク調製時にウシ胎児血清及びブタ膵臓由来トリプシンを使用している。

製剤の性状

メプセヴィ点滴静注液10mg
pH5.5~6.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
性状
無色から微黄色の澄明の液であり、わずかに白濁を呈する

効能又は効果

ムコ多糖症VII型

効能又は効果に関連する注意

中枢神経系症状に対する有効性は認められていない。

用法及び用量

通常、ベストロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり4mgを隔週点滴静注する。

用法及び用量に関連する注意

  1. 日局生理食塩液で希釈した後に投与すること。本剤の投与は輸液ポンプを用いて、総量を4時間以上かけて投与すること。初めの1時間で総量の2.5%を投与し、その後、患者の忍容性を十分確認しながら投与速度を上げて投与すること。
  2. 本剤の投与によりinfusion reaction(蕁麻疹、発疹等)が発現することがある。これらの症状を軽減させるため、抗ヒスタミン剤を単独又は解熱鎮痛剤との併用で本剤投与開始30~60分前に前投与すること。

重要な基本的注意

  1. 本剤はタンパク質製剤であり、重篤なアナフィラキシー反応が発現する可能性があるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。
  2. 本剤の投与によりinfusion reaction(蕁麻疹、発疹等)が発現する可能性がある。infusion reactionがあらわれた場合には、投与速度を下げるか、一旦投与を中止し、適切な薬剤治療(抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等)や緊急処置を行うこと。
  3. 脊髄/頚髄圧迫はムコ多糖症VII型患者に認められる重篤な合併症であり、本剤の投与により頚部及び脊椎の可動が改善した場合に脊髄損傷を引き起こす可能性がある。脊髄圧迫又は頚部不安定の徴候や症状(頚部痛、背部痛、四肢脱力、反射の変化、尿・便失禁等)を観察し、適切な処置を行うこと。
  4. 本剤のワーキングセルバンク調製時に使用されたウシ胎児血清について、由来するウシの管理に関する情報が遡及不能であるが、伝達性海綿状脳症(TSE)に対する理論的なリスク評価を行い、一定の安全性を確保する目安に達していることを確認している。また、本剤の投与によりTSEが伝播したとの報告はない。これらのことから、本剤によるTSE伝播のリスクは極めて低いものと考えられるが、TSE伝播の理論的リスクを完全には否定できないため、疾患の治療上の必要性を十分に検討した上で、本剤を投与すること。投与に際しては、その旨を患者及びその家族に説明することを考慮すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. ナトリウム摂取制限をしている患者
    本剤は、1バイアルあたり39.4mgの塩化ナトリウムを含有し、投与時は9mg/mL(0.9%)の塩化ナトリウム注射液を用いて倍量に調製されるので、ナトリウム摂取制限の必要な患者に投与する場合は注意すること。
  2. 急性熱性疾患又は呼吸器疾患のある患者
    投与前及び投与中は患者の状態を観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。また、投与日を遅らせることを考慮すること。過敏症反応によって症状の急性増悪が起こる可能性がある。
  3. 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者

腎機能障害患者

腎機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

肝機能障害患者

肝機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行に関するデータはない。

小児等

1歳未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. Infusion reaction(8.7%)、アナフィラキシー(4.3%)
    呼吸窮迫、チアノーゼ、酸素飽和度低下、血圧低下等が認められた場合には投与を中止し、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤の投与及び気道確保等の適切な処置を行うこと。

その他の副作用

10%以上
10%未満
胃腸
下痢
皮膚および皮下組織
蕁麻疹、発疹
そう痒症
一般・全身
注入部位血管外漏出、注入部位腫脹
注)副作用発現頻度は、海外臨床試験UX003-CL301、CL201、CL203及びCL202試験に基づいて算出した。

適用上の注意

薬剤調製時の注意
  1. 患者の体重に基づいて本剤の投与量を算出し、投与に必要なバイアル数を決定すること。
  2. 冷蔵庫より必要なバイアルを取り出し、室温になるまで放置すること。
  3. 調製前に目視にてバイアルを確認し、変色又は異物が認められる場合は使用しないこと。
  4. 本剤は日局生理食塩液で倍量に希釈した後に患者に投与するため、本剤の投与量と同容量の日局生理食塩液を準備すること。
  5. 本剤の必要量をバイアルから抜き取り、必要量の日局生理食塩液が入った点滴バッグにゆっくり添加し、静かに混和すること。急激な振盪は避けること。
  6. 本剤には防腐剤が含まれていないので、希釈後は速やかに使用すること。希釈後直ちに使用できない場合は、2~8℃で保存し、36時間以内に使用すること。
  7. 他剤との混合を行わないこと。
  8. 各バイアルは一回限りの使用とすること。
薬剤投与時の注意
  1. タンパク質を吸着しにくい0.2μmインラインフィルターを通して投与すること。
  2. 輸液ポンプを用いて、総量を4時間以上かけて投与すること。初めの1時間で総量の2.5%を投与し、その後、投与速度を上げて投与すること。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
本剤はタンパク質製剤であり、本剤に対するIgG抗体が産生される可能性がある。海外臨床試験において23例中18例、国内臨床試験において3例中2例に抗ベストロニダーゼ アルファ抗体の産生が認められた。中和抗体は海外臨床試験の11例に認められた。

薬物動態

血中濃度

  1. 反復投与
    ムコ多糖症VII型患者(8~25歳)に、本剤4mg/kgを隔週で反復静脈内投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった(外国人データ)。
    表1 本剤4mg/kgを隔週で反復静脈内投与したときの血清中の本薬の薬物動態パラメータ
    薬物動態パラメータ
    1日目
    (n=12)
    8週目
    (n=8)
    Cmax(μg/mL)
    14.5±5.05
    20.3±7.85
    AUC0-t(μg・h/mL)
    45.8±14.9a)
    69.1±16.2b)
    tmax(h)
    3.92
    [2.33, 4.32]
    3.89
    [3.52, 4.00]
    t1/2(h)
    3.01±0.783a)
    3.00±0.590b)
    CL(L/h/kg)
    0.0918±0.0441a)
    0.0541±0.0109b)
    Vss(L/kg)
    0.280±0.0954a)
    0.193±0.0483b)
    平均値±標準偏差、tmaxは中央値[範囲]
    a)6例、b)4例
    ムコ多糖症VII型患者(1~5歳)に、本剤4mg/kgを隔週で反復静脈内投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった(外国人データ)。
    表2 本剤4mg/kgを隔週で反復静脈内投与したときの血清中の本薬の薬物動態パラメータ
    薬物動態パラメータ
    1日目
    (n=8)
    24週目
    (n=8)
    48週目
    (n=7)
    Cmax(μg/mL)
    9.28±6.53
    12.9±9.73
    9.31±4.37
    AUC0-t(μg・h/mL)
    29.6±22.4
    44.0±44.6
    32.0±19.5
    tmax(h)
    4.04
    [0.63, 6.00]
    4.07
    [4.00, 5.50]
    4.05
    [1.00, 5.00]
    平均値±標準偏差、tmaxは中央値[範囲]

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内臨床試験
    ムコ多糖症VII型患者(3例、4~36歳)を対象とした非盲検非対照試験において、本剤の安全性及び有効性を検討した。本剤4mg/kgを隔週で52週間点滴静脈内投与した結果、被験者ごとの尿中デルマタン硫酸濃度、6分間歩行試験の歩行距離及び努力性肺活量の推移は、表3のとおりであった。
    表3 本剤投与後の尿中デルマタン硫酸濃度、6分間歩行試験の歩行距離及び努力性肺活量の推移
    開始時
    24週目
    52週目
    尿中DS濃度(g/moLクレアチニン)
    被験者1
    81.98
    16.27
    17.86
    被験者2
    64.33
    20.78
    13.38
    被験者3
    30.25
    14.32
    18.62
    6分間歩行試験の歩行距離(m)
    被験者1
    224
    300
    345
    被験者2
    231
    365
    300
    被験者3
    180
    269
    230
    努力性肺活量(L)
    被験者1
    被験者2
    2.77
    2.43
    2.54
    被験者3
    0.62
    0.64
    0.62
    副作用は認められなかった。
  2. 海外第III相無作為化試験
    ムコ多糖症VII型患者(12例、8~25歳)を対象に、プラセボ対照開始時二重盲検試験注)において、本剤の有効性及び安全性を検討した。本剤4mg/kgを隔週で48週間点滴静脈内投与を行った。主要評価項目である投与24週における尿中デルマタン硫酸濃度のベースラインからの変化率は、表4のとおりであった。
    表4 ベースラインから本剤投与24週までの尿中デルマタン硫酸濃度の変化率
    測定時点
    平均値±標準偏差
    ベースラインから投与24週までの変化率(%)
    尿中デルマタン硫酸濃度(g/moLクレアチニン)
    ベースライン
    (n=12)
    175.2±46.7
    -64.82±2.468
    p<0.0001
    投与24週
    (n=11)
    61.5±15.8
    また、副次評価項目である投与24週における6分間歩行試験の歩行距離のベースラインからの変化量は、20.8±16.75m(最小二乗平均値±標準誤差、n=6)であった。
    副作用の発現頻度は66.7%(8/12例)であった。主な副作用(2例以上に発現)は、アナフィラキシー様反応16.7%(2/12例)であった。
    注)プラセボの投与期間が異なる投与群が4群(①本剤を48週間投与、②プラセボを8週間投与後に本剤を40週間投与、③プラセボを16週間投与後に本剤を32週間投与、④プラセボを24週間投与後に本剤を24週間投与)設定され、それぞれに対して被験者を無作為に割り付け、各群においてプラセボの投与期間が満了した時点で盲検下でプラセボから本剤に切り替える試験。

薬効薬理

作用機序
ムコ多糖症VII型は、ライソゾーム酵素であるβ-グルクロニダーゼ(GUS)の遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患である。GUSはグリコサミノグリカン(GAG)のデルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸及びヘパラン硫酸のグルクロニダーゼ残基を加水分解するが、ムコ多糖症VII型ではGUSが欠損あるいは欠乏しているため、GAGが蓄積し、胎児水腫、骨変形等を呈する。遺伝子組換えGUS製剤である本剤をムコ多糖症VII型患者に投与すると、オリゴ糖鎖上にあるマンノース-6-リン酸(M6P)部分を介して、酵素が細胞表面のM6P受容体と特異的に結合して細胞内に取り込まれ、蓄積したGAGを分解する。
薬理作用
ムコ多糖症VII型モデルマウスに反復静脈内投与した結果、肝臓、脾臓、副腎、腎臓等においてGUS酵素活性が認められた。また、尿中GAGの減少が認められた。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ベストロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)
Vestronidase Alfa (Genetical Recombination)
本質
ベストロニダーゼ アルファは、遺伝子組換えヒトβ-グルクロニダーゼであり、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。ベストロニダーゼ アルファは、629個のアミノ酸残基からなるサブユニット4分子から構成される糖タンパク質(分子量:約317,000)である。

取扱い上の注意

凍結、振盪を避けること。開封後は遮光して保存すること。

承認条件

  1. 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

包装

メプセヴィ点滴静注液10mg:1バイアル

主要文献

1
社内資料:外国人ムコ多糖症VII型患者を対象とした臨床試験(UX003-CL301)(承認年月日:2022年1月20日、CTD2.7.2.2.2、2.7.2.3.1、2.7.2.4.1)
2
社内資料:外国人ムコ多糖症VII型患者を対象とした臨床試験(UX003-CL203)(承認年月日:2022年1月20日、CTD2.7.2.2.3、2.7.2.3.1、2.7.2.4.1)
3
社内資料:日本人ムコ多糖症VII型患者を対象とした臨床試験(SDG001)(承認年月日:2022年1月20日、CTD2.7.2.2.4、2.7.2.3.1、2.7.2.4.1)
4
社内資料:ムコ多糖症VII型モデルマウスにおける薬理試験(UX003-PC001)(承認年月日:2022年1月20日、CTD2.6.2)

文献請求先及び問い合わせ先

Ultragenyx Japan株式会社
おくすり相談窓口
〒135-0063 東京都江東区有明三丁目7番26号
有明フロンティアビルB棟9階
フリーダイヤル:0120-635-111
受付時間:9:00~17:00(土・日・祝日及び会社休日を除く)

製造販売業者等

製造販売元
Ultragenyx Japan株式会社
〒135-0063 東京都江東区有明三丁目7番26号
有明フロンティアビルB棟9階

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

MESSAGE

MESSAGE

LABEL