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閲覧履歴

リアメット配合錠

抗マラリア剤

1錠 246.8円

添付文書番号

6419102F1024_1_04

企業コード

300242

作成又は改訂年月

2020年12月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

876419

薬効分類名

抗マラリア剤

承認等

販売名

リアメット配合錠

販売名コード

6419102F1024

販売名英字表記

Riamet Combination Tablets

販売名ひらがな

りあめっとはいごうじょう

承認番号等

承認番号
22800AMX00727000

販売開始年月

2017年3月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
24ヵ月

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

アルテメテル・ルメファントリン配合錠

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 妊婦(妊娠14週未満)又は妊娠している可能性のある女性
  3. リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、リファブチン、セイヨウオトギリソウ(St.John's wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、ホスフェニトインを投与中の患者

組成・性状

組成

リアメット配合錠
有効成分
1錠中アルテメテル  20mg
有効成分
1錠中ルメファントリン  120mg
添加剤
セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリソルベート80、無水ケイ酸

製剤の性状

リアメット配合錠
外形
大きさ
大きさ(直径)
約9mm
大きさ(厚さ)
約3.2mm
質量約0.24g
識別コードCG NC
性状
黄色の片面割線入りの素錠

効能又は効果

マラリア

効能又は効果に関連する注意

  1. 本剤はヒプノゾイト(マラリア原虫の休眠体)には効果がないため、マラリア原虫の休眠体が形成される三日熱マラリア及び卵形マラリアの治療に用いる場合は、再発に注意し、マラリア原虫の休眠体に対する活性を示す薬剤による治療を考慮すること。
  2. 意識障害や臓器不全を伴う重症マラリア患者においては、本剤の効果が十分に得られない可能性があるため、他の治療を考慮すること。
  3. 下痢又は嘔吐が認められている急性マラリアの患者では、代替治療を検討すべきであるが、本剤を用いる場合には、血液中のマラリア原虫数を慎重にモニターすること。

用法及び用量

通常、体重に応じて1回1錠~4錠(アルテメテル/ルメファントリンとして20mg/120mg~80mg/480mg)を初回、初回投与後8時間、その後は朝夕1日2回2日間(計6回)、食直後に経口投与する。
体重別の1回投与量は、下記のとおりである。
5kg以上15kg未満:20mg/120mg(1錠)
15kg以上25kg未満:40mg/240mg(2錠)
25kg以上35kg未満:60mg/360mg(3錠)
35kg以上:80mg/480mg(4錠)

用法及び用量に関連する注意

下痢又は嘔吐を来している患者では本剤の吸収が低下する可能性がある。本剤の投与後1時間以内に嘔吐した場合には、再投与させること。

重要な基本的注意

  1. 本剤の使用に際しては、マラリアに関して十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. QT延長を起こしやすい患者(先天性QT延長症候群のある患者、心疾患のある患者、低カリウム血症や低マグネシウム血症のある患者等)
    心電図モニターを行うなど観察を十分に行うこと。本剤はQT延長を起こすおそれがある。

生殖能を有する者

妊娠可能な女性には、必要に応じて本剤投与開始前に妊娠検査を実施し、妊娠していないことを確認すること。また、本剤投与中は有効な避妊を行うよう指導すること。

妊婦

妊娠14週未満の妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠14週以降の妊婦には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験の結果から、本剤の器官形成期の投与により重篤な先天性欠損が起こる可能性が示唆されている。アルテメテル・ルメファントリン又はアルテメテルの胚・胎児発生に関する試験(ラット及びウサギ)では、臨床曝露量(アルテメテル及びDHAとして)の等倍未満となる用量でアルテメテル及びルメファントリンを併用経口投与したとき、早期吸収胚数、総吸収胚数及び着床後胚死亡率の増加、並びに生存胎児数の減少が報告されている。アルテメテル・ルメファントリンの出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験(ラット)では、臨床曝露量(アルテメテル、DHA及びルメファントリンとして)の等倍以下となる用量でアルテメテル及びルメファントリンを併用経口投与したとき、妊娠期間の延長、着床後胚死亡率の増加及び生存胎児数の減少が認められたことが報告されている。Artemisinin系薬物を妊娠動物の器官形成期に投与した動物実験において、胚・胎児死亡及び催奇形性(ラット及びウサギ)、胎児死亡(サル)が報告されている。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験において、本剤の乳汁中への移行が示唆されている。

小児等

低出生体重児、新生児又は体重5kg未満の小児に対する臨床試験は実施していない。

高齢者

一般に生理機能が低下している。

相互作用

アルテメテル及びルメファントリンはいずれも主としてCYP3Aによって代謝される。

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
リファンピシン
(リファジン等)
カルバマゼピン
(テグレトール等)
フェノバルビタール
(フェノバール等)
フェニトイン
(アレビアチン、ヒダントール)
リファブチン
(ミコブティン)
セイヨウオトギリソウ(St.John's wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
ホスフェニトイン
(ホストイン)
アルテメテル及びルメファントリンの血中濃度が低下し、抗マラリア作用が減弱する可能性がある。
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、アルテメテル及びルメファントリンの代謝が促進される。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
QT延長を起こすことが知られている薬剤
キニーネ
クラスIa、クラスIIIの抗不整脈剤
ジソピラミド
プロカインアミド
キニジン
アミオダロン
ソタロール等
抗精神病薬
ピモジド
クロルプロマジン
ハロペリドール等
抗うつ剤
アミトリプチリン
イミプラミン等
マクロライド系抗菌剤
エリスロマイシン等
フルオロキノロン系抗菌剤
モキシフロキサシン等
アゾール系抗真菌剤
フルコナゾール等
QT延長が起こるおそれがある。
本剤はQT延長を起こすおそれがあるため、これらの薬剤との併用によりQT延長及びトルサード・ド・ポアントが起こるおそれがある。
メフロキン
本剤との併用によりルメファントリンの血中濃度が低下する。
メフロキンによる胆汁生成の低下により、ルメファントリンの吸収が低下するためと考えられる。
CYP3A阻害剤
イトラコナゾール
クラリスロマイシン等
アルテメテル及びルメファントリンの血中濃度が上昇し、QT延長が起こるおそれがある。
これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、アルテメテル及びルメファントリンの代謝が阻害される。
グレープフルーツジュース
アルテメテル及びルメファントリンの血中濃度が上昇する可能性があるので、本剤服用中はグレープフルーツジュースの飲用を避けさせること。
グレープフルーツジュースに含まれる成分のCYP3A阻害作用により、アルテメテル及びルメファントリンの代謝が阻害される。
エトラビリン
モダフィニル
エファビレンツ
ボセンタン
アルテメテル及びルメファントリンの血中濃度が低下し、抗マラリア作用が減弱する可能性がある。
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、アルテメテル及びルメファントリンの代謝が促進される。
CYP3Aで代謝される薬剤
アンプレナビル
ホスアンプレナビル等
これらの薬剤の血中濃度が低下し、効果が減弱する可能性がある。
アルテメテルとその活性代謝物dihydroartemisinin(DHA)には、肝薬物代謝酵素(CYPs)誘導作用が報告されている。
ロピナビル・リトナビル
アルテメテル及びDHAの血中濃度が低下し、ルメファントリンの血中濃度が上昇する。
ロピナビル・リトナビルのCYP3A阻害作用により、ルメファントリンの代謝が阻害されると考えられる。アルテメテル及びDHAの曝露量が低下した機序は不明である。
経口避妊薬
本剤との併用により、経口避妊薬の効果が減弱する可能性がある。経口避妊薬を投与中の患者には、追加で他の避妊方法を用いることが推奨される。
アルテメテルとDHAには、肝薬物代謝酵素(CYPs)誘導作用が報告されている。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. QT延長(頻度不明)
  2. アナフィラキシー(頻度不明)
    蕁麻疹、血管浮腫等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

頻度不明
代謝及び栄養障害
食欲減退
精神障害
睡眠障害
神経系障害
頭痛、浮動性めまい、間代、傾眠、感覚鈍麻、運動失調、錯感覚
心臓障害
動悸
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
咳嗽
胃腸障害
嘔吐、腹痛、悪心、下痢
皮膚及び皮下組織障害
発疹、そう痒症
筋骨格系及び結合組織障害
関節痛、筋肉痛
一般・全身障害
無力症、疲労、歩行障害
血液及びリンパ系障害
貧血、好酸球増加症
臨床検査
肝機能検査値異常

過量投与

  1. 処置
    心電図及びカリウム等の電解質をモニターすること。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

非臨床試験に基づく情報
  1. ラットを用いた受胎能及び初期胚発生に関する試験において、臨床曝露量(アルテメテル、DHA及びルメファントリンとして)の約8倍以上、約23倍以上及び約等倍となる用量でアルテメテル及びルメファントリンを併用経口投与したとき、異常精子数及び着床前胚死亡率の増加、並びに精巣上体精子数、精子運動性、授胎能、妊娠率、生存胚数及び着床数の低下が認められたことが報告されている。
  2. アルテメテルのラット及びイヌを用いた筋肉内投与による毒性試験において、ラットでは25mg/kg/日以上の用量で7日間以上、イヌでは20mg/kg/日以上の用量で8日間以上の投与により、脳幹の核でニューロン変性を主とする病理組織学的変化が認められた。一方、経口投与による13週間反復投与毒性試験では、最高用量(ラット:200mg/kg/日、イヌ:300mg/kg/日)群においても脳の変化は認められなかった。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    日本人健康成人男性に本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を高脂肪食摂取後に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった 。
    日本人健康成人男性に本剤80/480mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
    成分
    アルテメテル
    DHA
    ルメファントリン
    Cmax
    90.7±52.3
    (ng/mL)
    83.1±24.4
    (ng/mL)
    9.84±2.27
    (μg/mL)
    AUClast
    255±152
    (ng・h/mL)
    263±65.7
    (ng・h/mL)
    220±63.3
    (μg・h/mL)
    AUCinf
    280±156
    (ng・h/mL)
    283±64.7
    (ng・h/mL)
    231±69.6
    (μg・h/mL)
    Tmax(h)
    1.50(0.75;4.00)
    2.00(1.50;4.00)
    6.00(5.00;12.0)
    T1/2(h)
    2.09±1.39
    1.62±0.382
    87.4±22.0
    12例、平均±標準偏差、※:中央値(範囲)
    ○:80/480mg(20/120mg錠を4錠)投与時、アルテメテル
    ●:80/480mg(20/120mg錠を4錠)投与時、DHA
    ○:80/480mg(20/120mg錠を4錠)投与時、ルメファントリン
    日本人健康成人男性に本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を単回経口投与したときの血漿中濃度-時間推移(平均値±標準偏差、12例)
  2. 反復投与
    1. 健康成人に本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を高脂肪食摂取後に反復経口投与したとき、アルテメテルの血漿中濃度は時間依存的に減少し、DHAは増加すると考えられた。ルメファントリンの消失半減期が長いことから、曝露量は累積する傾向が認められた (外国人のデータ)。
    2. 12歳以下の小児マラリア患者を対象として、体重5kg以上15kg未満の患者には1錠、15kg以上25kg未満の患者には2錠、25kg以上35kg未満の患者には3錠を粉砕して投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった (外国人のデータ)。
      小児患者に本剤を粉砕して投与したときの薬物動態パラメータ(外国人のデータ)
      成分
      5kg以上
      15kg未満
      15kg以上
      25kg未満
      25kg以上
      35kg未満
      アルテメテル
      55例
      29例
      8例
       Cmax(ng/mL)
      188±168
      198±179
      174±145
      DHA
      56例
      29例
      8例
       Cmax(ng/mL)
      54.7±58.9
      79.8±80.5
      68.4±23.4
      ルメファントリン
      194例
      102例
      19例
       Cmax(μg/mL)
      6.13a)
      9.37b)
      21.9c)
       AUClast(μg・h/mL)
      577
      699
      1,150
      平均±標準偏差、a)101例、b)53例、c)1例

吸収

  1. 食事の影響
    健康成人男性にアルテメテル・ルメファントリン合剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を単回経口投与したとき、アルテメテルのCmax及びAUC0-tは空腹時投与ではそれぞれ52.3ng/mL(CV%:86%)及び143ng・h/mL(77%)であった。高脂肪食摂取後では104ng/mL(51%)及び338ng・h/mL(52%)であり、アルテメテルの曝露量は空腹時投与に比べ約2倍であった。ルメファントリンのCmax及びAUC0-168hは空腹時投与では383ng/mL(40%)及び6,806ng・h/mL(48%)であった。高脂肪食摂取後では5,099ng/mL(37%)及び107,845ng・h/mL(44%)であり、ルメファントリンの曝露量は空腹時投与に比べ約16倍であった (外国人のデータ)。

分布

ヒトにおけるアルテメテル及びルメファントリンの血漿蛋白結合率はそれぞれ95.4%及び99.7%であった。DHAの血清蛋白結合率は47%~76%であった。アルテメテル及びルメファントリンの血球移行率は11%及び8%であった 。

代謝

アルテメテルは活性代謝物のDHAに代謝され、主な代謝酵素はCYP3A4/5である。ルメファントリンはCYP3A4によりN-脱ブチル化される 。また、ルメファントリンは、in vitroにおいて、CYP2D6の活性を阻害した(Ki値:0.997μmol/L) 。成人マラリア患者に本剤4錠を1日2回3日間計6回投与したとき、ルメファントリンの活性代謝物であるdesbutyl-ルメファントリンが検出されたが、その曝露量はルメファントリンの曝露量の1%未満であった (外国人のデータ)。

排泄

本剤を粉砕して健康成人に単回経口投与したとき、アルテメテル及びルメファントリンともに尿中には排泄されず、アルテメテルの投与量の0.01%未満のDHAが検出された (外国人のデータ)。

薬物相互作用

  1. リファンピシン
    HIV-1と結核の重複感染を有するマラリア患者ではない成人にリファンピシン(600mg/日)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、単独投与に比べてアルテメテルのCmax及びAUC0-12hはそれぞれ約83%及び約89%減少、DHAのCmax及びAUC0-12hは約78%及び約85%減少、並びに投与8日目のルメファントリンの血漿中濃度及び投与3から25日目までのAUCは、約84%及び約68%減少した (外国人のデータ)。
  2. ケトコナゾール(経口剤は国内未発売)
    健康成人にケトコナゾール(初回投与400mg、4日間反復投与200mg/日)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、アルテメテルのCmax及びAUClastはそれぞれ約2.2倍(CV%:34~38%)及び約2.5倍(39~45%)に増加した。DHAのCmax及びAUClastは約1.4倍(39~43%)及び約1.7倍(29~36%)に増加した。ルメファントリンのCmax及びAUClastは約1.3倍(44~47%)及び約1.6倍(58~61%)に増加した (外国人のデータ)。
  3. メフロキン
    健康成人にメフロキン(初回投与500mg、2回目及び3回目投与250mg)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、アルテメテル及びDHAの曝露量に影響はみられなかった。ルメファントリンのCmax及びAUC0-816hはそれぞれ32%及び41%減少した。メフロキンのCmax及びAUCは4%減少及び18%増加した (外国人のデータ)。
  4. キニーネ(注射剤は国内未発売)
    健康成人にキニーネ(10mg/kg)の静脈内投与と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、ルメファントリン及びキニーネの血漿中濃度に影響は認められなかった。アルテメテルのCmax及びAUC62h-lastはそれぞれ17%(CV%:47~82%)及び46%(63~142%)減少した。DHAのCmax及びAUC62h-lastは11%(31~40%)及び37%(39~40%)減少した (外国人のデータ)。
  5. ロピナビル・リトナビル
    健康成人にロピナビル・リトナビル(400/100mg、1日2回)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、単独投与と比べてアルテメテルのCmax及びAUCinfはそれぞれ約22%及び約34%減少、DHAのCmax及びAUCinfは約36%及び約45%減少した。また、ルメファントリンのCmax及びAUCinfは、単独投与と比べて約1.4倍及び約2.3倍に増加した。ロピナビルの曝露量に本剤との併用による影響は認められなかった。リトナビルを単独投与したときのCmaxとAUC0-12hは516ng/mL及び3.07μg・h/mL、リトナビルと本剤を併用投与したときのCmaxとAUC0-12hは585ng/mL及び3.47μg・h/mLだった (外国人のデータ)。
  6. エファビレンツ
    健康成人にエファビレンツ(600mg/日)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、単独投与と比べてアルテメテルのCmax及びAUCinfはそれぞれ約21%及び約34%減少、DHAのCmax及びAUCinfは約38%及び約39%減少、ルメファントリンのCmax及びAUCinfは約4%増加及び約22%減少した。エファビレンツのCmax及びAUC0-24hは9%及び17%減少した (外国人のデータ)。
  7. グレープフルーツジュース
    健康成人において、アルテメテル100mgをグレープフルーツジュース350mLと共に服用したとき、アルテメテル及びDHAのCmax(107±28及び85±26ng/mL)及びAUC0-8h(336±53及び276±83ng・h/mL)は、水で服用したときのCmax(42±17及び67±34ng/mL)及びAUC0-8h(177±49及び239±105ng・h/mL)と比ベ高値を示した (外国人のデータ)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 外国第III相試験(A026試験)
    合併症のない急性熱帯熱マラリア(混合感染を含む)と診断された2歳以上の患者を対象とし、体重で調整した用量の本剤を初回、初回投与8時間後、その後は朝夕1日2回2日間(計6回)投与した本剤投与群とメフロキン錠及びarticulate錠を併用したMAS投与群とを比較する非盲検、ランダム化比較試験(総症例200例)を実施した。投与開始28日後の治癒率(PCR corrected)注1) (治癒例数/評価可能症例数注2) )は、本剤投与群で97.7%(130/133)、MAS投与群で100.0%(47/47)であった 。
    副作用発現頻度は、本剤投与群で22.0%(33/150例)であった。主な副作用は、食欲不振6.0%(9例)、浮動性めまい5.3%(8例)、無力症、悪心、腹痛各2.7%(4例)等であった。
  2. 外国第III相試験(A028試験)
    合併症のない急性熱帯熱マラリア(混合感染を含む)と診断された13歳以上かつ体重35kg以上の患者を対象とし、本剤4錠を初回、初回投与8時間後、その後は朝夕1日2回2日間(計6回)投与した本剤投与群とメフロキン錠及びartesunate錠を併用したMAS投与群とを比較する非盲検、ランダム化比較試験(総症例219例)を実施した。投与開始28日後の治癒率(PCR corrected)注1) (治癒例数/評価可能症例数注2) )は、本剤投与群で96.1%(148/154)、MAS投与群で100.0%(53/53)であった 。
    本剤投与群で副作用は発現しなかった。
  3. 外国第IV相試験(A2401試験)
    合併症のない急性熱帯熱マラリア(混合感染を含む)と診断された18歳以上のnon-immune注3) 患者を対象とし、本剤4錠を初回、初回投与8、24、36、48及び60時間後に計6回投与した非盲検、非対照試験(総症例165例)を実施した。投与開始28日後の治癒率(PCR corrected)注1) (治癒例数/評価可能症例数注2) )は、本剤投与群で96.0%(119/124)であった 。
    副作用発現頻度は、本剤投与群で29.1%(48/165例)であった。主な副作用は、不眠症6.7%(11例)、頭痛、回転性めまい、嘔吐各3.6%(6例)等であった。
  4. 外国第III相試験(A2403試験)
    合併症のない急性熱帯熱マラリアと診断された体重5kg以上25kg以下の患者を対象とし、体重で調整した用量の本剤を初回、初回投与8、24、36、48及び60時間後に計6回投与した非盲検、非対照試験(総症例310例)を実施した。投与開始28日後の治癒率(PCR corrected)注1) (治癒例数/評価可能症例数注2) )は、本剤投与群で96.7%(289/299)であった。体重カテゴリー別の投与開始28日後の治癒率は、下表のとおりであった 。
    投与群
    (被験者数)
    体重
    カテゴリー
    投与開始28日後の治癒率
    (PCR corrected) %
    (治癒例数/評価可能症例数 )
    本剤
    (310例)
    5kg以上
    15kg未満
    96.9(248/256)
    15kg以上
    25kg未満
    95.1(39/41)
    副作用発現頻度は、本剤投与群で24.5%(76/310例)であった。主な副作用は、貧血4.8%(15例)、嘔吐4.5%(14例)、間代4.2%(13例)、好酸球増加症3.9%(12例)、下痢3.5%(11例)等であった。
  5. 外国第III相試験(B2303試験)
    合併症のない急性熱帯熱マラリア(混合感染を含む)と診断された12歳以下かつ体重5kg以上35kg未満の患者を対象とし、体重で調整した用量の本剤を初回、初回投与8、24、36、48及び60時間後に計6回粉砕投与(本剤を粉砕した投与群)とアルテメテル・ルメファントリンの分散錠を同様に投与した群とを比較する単盲検、ランダム化比較試験(総症例899例)を実施した。投与開始28日後の治癒率(PCR corrected)注1) (治癒例数/評価可能症例数注2) )は、本剤を粉砕した投与群で96.2%(403/419)であった。体重カテゴリー別の28日後の治癒率は、下表のとおりであった 。
    投与群
    (被験者数)
    体重
    カテゴリー
    投与開始28日後の治癒率
    (PCR corrected) %
    (治癒例数/評価可能症例数 )
    本剤を粉砕して投与
    (452例)
    5kg以上
    10kg未満
    94.2(65/69)
    10kg以上
    15kg未満
    97.2(174/179)
    15kg以上
    25kg未満
    95.7(134/140)
    25kg以上
    35kg未満
    96.8(30/31)
    副作用発現頻度は、本剤を粉砕した投与群で12.4%(56/452例)であった。主な副作用は、嘔吐9.3%(42例)、発熱0.9%(4例)等であった。
  6. 外国第IV相試験(A2417試験)
    合併症のない急性熱帯熱マラリア(混合感染を含む)と診断された12歳以上の患者を対象とし、体重で調整した用量の本剤を初回、初回投与8、24、36、48及び60時間後に計6回投与した本剤投与群と、アドバコン・プログアニル配合錠投与群、メフロキン錠及びartesunate錠を併用したMAS投与群とを比較する非盲検、ランダム化比較試験(総症例265例)を実施した。投与開始28日後の治癒率(PCR corrected)注1) (治癒例数/評価可能症例数注2) )は、本剤投与群で100.0%(157/157)であった 。
    副作用発現頻度は、本剤投与群で3.1%(5/159例)であった。副作用は、浮動性めまい1.9%(3例)、腹痛0.6%(1例)、上腹部痛0.6%(1例)であった。
  7. 外国第III相試験(A026、A028、B2303試験)及び外国第IV相試験(A2401試験):混合感染患者
    合併症のない急性熱帯熱マラリア患者を対象とした試験において、被験者30例で熱帯熱マラリアと熱帯熱マラリア以外の混合感染が認められ(三日熱マラリア22例、四日熱マラリア6例、卵形マラリア2例)、中止例1例を除く29例でいずれも本剤投与開始3日目までに熱帯熱マラリア以外のマラリア原虫が消失した。このうち6例でマラリア原虫消失後に非熱帯熱マラリア原虫が再度確認された 。
注1)投与開始28日後の治癒率は「治験薬投与開始から7日以内に無性原虫が消失し、かつ28日後までに再燃がなかった被験者の割合」と定義した。無性原虫の消失は血液塗抹標本で確認した。顕微鏡検査で熱帯熱マラリア原虫が認められた場合、ベースラインと再感染時の血液検体をPCR法により比較し、新規感染か再燃かを判別した(PCR corrected)。
注2)解析対象はベースラインに熱帯熱マラリアの感染が確認され、かつ投与28日後までの原虫数が測定されている被験者で、試験期間中に本剤以外の抗マラリア薬を使用していない被験者とした。また、「効果不十分」により試験を中止した被験者を含めた。
注3)生後5年間又は過去5年間にマラリア流行地域に居住せず、過去5年間に急性熱帯熱マラリアと診断されたことのない患者

その他

  1. QT間隔に対する影響
    外国健康成人126例を対象に、本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を1日2回3日間計6回投与したときの心再分極への影響についてQT間隔を指標に検討した。初回投与後2.5~168時間までの計13の測定時点のうち、QTcF間隔のベースラインからの平均変化量の群間差(本剤群-プラセボ群)の最大値は、初回投与後68時間の7.45msであった。QTcF間隔のベースラインからの平均変化量の群間差の90%信頼区間の上限値は、初回投与後68、72、及び108時間で10msを上回り、本剤によるQT間隔の延長作用の可能性が確認された (外国人のデータ)。

薬効薬理

作用機序
本剤は、アルテメテル及びルメファントリンを1:6の比率で含有する。両成分とも、マラリア原虫の食胞内において作用する。アルテメテルは、DHAに速やかに代謝され、アルテメテル及びDHAが有するエンドペルオキシド架橋が赤血球のヘム鉄と反応することで反応性代謝物を産生し、抗マラリア活性を発揮する 。また、ルメファントリンは、食胞でのヘモグロビンの分解過程で、有毒な中間生成体であるヘムから毒性のないヘモゾインへの重合過程を阻害することで抗マラリア活性を発揮すると考えられている 。
抗マラリア活性
アルテメテル及びルメファントリンは、赤内型のP. falciparumに対し活性を示す 。また、in vitro及びin vivoのいずれにおいても、アルテメテル及びルメファントリンを併用投与しても耐性は認められなかった 。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
アルテメテル(Artemether)
化学名
(3R, 5aS, 6R, 8aS, 9R, 10S, 12R, 12aR)-10-Methoxy-3, 6, 9-trimethyldecahydro-1H-3, 12-epoxy[1, 2]dioxepino[4, 3-i]isochromene
分子式
C16H26O5
分子量
298.37
性状
白色の結晶性の粉末である。メタノール、2-プロパノール及びアセトンに溶けやすく、エタノールにやや溶けやすく、水に極めて溶けにくい。
化学構造式
一般的名称
ルメファントリン(Lumefantrine)
化学名
(1RS)-2-Dibutylamino-1-[(Z)-2, 7-dichloro-9-(4-chlorobenzylidene)-9H-fluoren-4-yl]ethanol
分子式
C30H32Cl3NO
分子量
528.94
性状
黄色の結晶性の粉末である。酢酸エチルにやや溶けにくく、メタノール、エタノール及び2-プロパノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
化学構造式

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

24錠[12錠(PTP)×2]

主要文献

1
社内資料:日本人健康成人男性における単回投与試験(2016年12月19日承認、CTD2.7.6-2.1.1)[20160935]
2
社内資料:外国人健康成人におけるQT間隔に対する影響(2016年12月19日承認、CTD2.7.6-3.1.1)[20160936]
3
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4
White, N.J. et al.:Clin. Pharmacokinet. 1999;37(2):105-125[20160919]
5
Colussi, D. et al.:Eur. J. Pharma. Sci. 1999;9(1):9-16[20160921]
6
Lefèvre, G. et al.:Clin. Drug Invest. 1999;18(6):467-480,[20160922]
7
Hatz, C. et al.:Am. J. Trop. Med. Hyg. 2008;78(2):241-247[20160924]
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Kiang, T.:Clinical Pharmacokinetic and Pharmacodynamic Drug Interactions Associated with Antimalarials 2014;13[20160923]
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Lamorde, M. et al.:AIDS 2013;27(6):961-965[20160928]
10
Lefèvre, G. et al.:Br. J. Clin. Pharmacol. 2002;54(5):485-492[20160925]
11
Lefèvre, G. et al.:Eur. J. Pharm. Sci. 2000;10(2):141-151[20160926]
12
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14
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15
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16
社内資料:外国人合併症のない急性熱帯熱マラリア患者を対象とした臨床試験の結果(2016年12月19日承認、CTD2.7.3-3.2.1)[20160937]
17
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18
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Hassan Alin, M. et al.:Am. J. Trop. Med. Hyg. 1999;61(3):439-445[20160934]
20
社内資料:アルテメテル、ルメファントリン及び併用に対する耐性発現検討(2016年12月19日承認、CTD2.6.2-2.1.5)[20160938]

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