作成又は改訂年月
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2021年10月改訂
(第17版)D19
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2021年1月改訂
日本標準商品分類番号
日本標準商品分類番号等
2008年2月
薬効分類名
承認等
ヘブスブリンIH静注1000単位
販売名コード
承認・許可番号
22100AMX01668
HebsbulinIH I.V.1000 units
薬価基準収載年月
販売開始年月
貯法・使用期限等
貯法
凍結を避け10℃以下に保存
有効期間
検定合格の日から3年(最終有効年月日は瓶ラベル及び外箱に表示)
基準名
生物学的製剤基準
ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン
規制区分
特定生物由来製品
処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること
*組成
有効成分〔1瓶(5mL)中〕
抗HBs抗体 1,000国際単位
添加物〔1瓶(5mL)中〕
D-ソルビトール 250mg,水酸化ナトリウム 適量,塩酸 適量
備考
抗HBs抗体は,ヒト血液に由来する.
(採血国:米国,採血の区別:非献血)
*性状
性状・剤形 | 本剤は1mL中に抗HBs抗体200国際単位を含有する無色ないし淡黄色の澄明な液剤である. |
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pH | 5.0〜6.0 |
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浸透圧比 | 約1(生理食塩液に対する比) |
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特殊記載項目
本剤は,貴重な人血液を原料として製剤化したものである.原料となった血液を採取する際には,問診,感染症関連の検査を実施するとともに,製造工程における一定の不活化・除去処理を実施し,感染症に対する安全対策を講じているが,人血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため,疾病の治療上の必要性を十分に検討の上,必要最小限の使用にとどめること.(「使用上の注意」の項参照)
禁忌
本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者
HBs抗原陽性者(肝移植施行患者を除く.)
原則禁忌
効能又は効果
1HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防
HBs抗原陽性のレシピエントにおける肝移植後のB型肝炎再発抑制
HBc抗体陽性ドナーからの肝移植後のレシピエントにおけるB型肝炎発症抑制
*用法及び用量
本剤は効能・効果に応じて以下のとおり投与する.
なお,本剤は直接静注するか,又は日本薬局方生理食塩液など中性に近い補液に混じて点滴静注する.直接静注する場合は,きわめて徐々に行うこと.
1.HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防
通常,成人に対して,1回1,000〜2,000国際単位(5〜10mL)を使用する.
小児には1回32〜48国際単位(0.16〜0.24mL)/kg体重を使用する.
投与の時期は事故発生後7日以内とする.なお,48時間以内が望ましい.
2.HBs抗原陽性のレシピエントにおける肝移植後のB型肝炎再発抑制
通常,成人には,無肝期に5,000〜10,000国際単位(25〜50mL),術後初期に1日当たり2,000〜10,000国際単位(10〜50mL)を投与する.小児には,無肝期に100〜200国際単位(0.5〜1mL)/kg体重,術後初期に1日当たり40〜200国際単位(0.2〜1mL)/kg体重を投与する.術後初期の投与は7日間以内とする.その後,患者の状態に応じ血中HBs抗体価200〜1,000国際単位/L以上を維持するように投与する.
3.HBc抗体陽性ドナーからの肝移植後のレシピエントにおけるB型肝炎発症抑制
通常,成人には,無肝期に10,000国際単位(50mL),術後初期に1日当たり10,000国際単位(50mL)を投与する.小児には,無肝期に200国際単位(1mL)/kg体重,術後初期に1日当たり200国際単位(1mL)/kg体重を投与する.術後初期の投与は7日間以内とする.その後,患者の状態に応じ血中HBs抗体価200国際単位/L以上を維持するように投与する.
用法及び用量に関連する使用上の注意
1点滴静注により投与することが望ましい.直接静注する場合はきわめて徐々に行うこと(低・無ガンマグロブリン血症の患者には注意すること).
肝移植患者に対して本剤を大量投与する場合,必要投与量を直接又は生理食塩液等中性に近い補液に混じ,30分〜60分以上かけてシリンジポンプ等を用いて静注するか又は点滴静注し,経過を十分に観察すること.
肝移植患者に使用する場合,血中HBs抗体価の低下によるB型肝炎再発又は発症を防ぐため患者の状態に応じて適宜血中HBs抗体価を測定し,本剤の投与量及び血中HBs抗体価の測定間隔を調節すること.特に、血中HBs抗体価に影響を与える因子(術前のHBV-DNA量、術中の出血量,術後の腹水貯留・ドレナージ等)が患者毎に異なっている術後早期並びに患者の肝機能に変化が生じた際には頻回に血中HBs抗体価を測定することが望ましい.
使用上の注意
慎重投与
IgA欠損症の患者〔抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある.〕
腎障害のある患者〔腎機能を悪化させるおそれがある.〕
溶血性・失血性貧血の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある.〕
4免疫不全患者・免疫抑制状態の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある.〕
5遺伝性果糖不耐症の患者〔本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず,低血糖,肝不全,腎不全等が誘発されるおそれがある.〕
重要な基本的注意
患者への説明:本剤の使用にあたっては,疾病の治療における本剤の必要性とともに,本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが,血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを,患者に対して説明し,理解を得るよう努めること.
本剤の原材料となる血液については,HBs抗原,抗HCV抗体,抗HIV-1抗体,抗HIV-2抗体陰性であることを確認している.更に,プールした試験血漿については,HIV-1,HBV及びHCVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し,適合した血漿を本剤の製造に使用しているが,当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する.本剤は,以上の検査に適合した高力価の抗HBs抗体を含有する血漿を原料として,Cohnの低温エタノール分画で得た画分からポリエチレングリコール4000処理,DEAEセファデックス処理等により抗HBs人免疫グロブリンを濃縮・精製した製剤であり,ウイルス不活化・除去を目的として,製造工程において60℃,10時間の液状加熱処理及びウイルス除去膜によるろ過処理を施しているが,投与に際しては,次の点に十分注意すること.
血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること.
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない.しかしながら,製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの,理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので,投与の際には患者への説明を十分行い,治療上の必要性を十分検討の上投与すること.
ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので,注意して使用し,経過を十分観察すること.
相互作用
併用注意
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン,おたふくかぜワクチン,風疹ワクチン,これら混合ワクチン,水痘ワクチン等) | 本剤の投与を受けた者は,生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので,生ワクチンの接種は本剤投与後3ヵ月以上延期すること.また,生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は,投与後3ヵ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい. | 本剤の主成分は免疫抗体であるため,中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある. |
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副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない.
重大な副作用
ショック(頻度不明)
ショックを起こすことがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,喘鳴,胸内苦悶,血圧低下,脈拍微弱,チアノーゼ等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
重大な副作用(類薬)
急性腎障害(頻度不明)
静注用人免疫グロブリンの投与により,急性腎障害があらわれることが報告されているので,観察を十分に行い,尿量減少,クレアチニンの上昇,BUNの上昇等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
その他の副作用
1過敏症注)
頻度不明
発疹,そう痒感,顔面潮紅,局所性浮腫等
2循環器
頻度不明
血圧降下
3肝臓
頻度不明
AST(GOT),ALT(GPT)等の上昇
消化器
頻度不明
悪心・嘔吐,下痢
血液
頻度不明
好中球減少
6その他
頻度不明
けん怠感,発熱,頭痛
その他の副作用の注意
上記のような症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発現した場合には,適切な処置を行うこと.
注)このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない.感染した場合には胎児への障害(流産,胎児水腫,胎児死亡)が起こる可能性がある.〕
**臨床検査結果に及ぼす影響
本剤には供血者由来の各種抗体(各種感染症の病原体又はその産生物質に対する免疫抗体, 自己抗体等)が含まれており,投与後の血中にこれらの抗体が一時検出されることがあるので,臨床診断には注意を要する.
適用上の注意
調製時
生理食塩液,ソルビトール加電解質液等の中性に近い輸液・補液剤以外の他剤との混合注射を避けること.
使用後の残液は,細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり,しかも保存剤が含有されていないため).
投与時
不溶物の認められるもの又は混濁しているものは使用してはならない.
その他の注意
HBs抗原陽性のレシピエントにおける肝移植後のB型肝炎再発抑制及びHBc抗体陽性ドナーからの肝移植後のレシピエントにおけるB型肝炎発症抑制においては,必要に応じて抗ウイルス剤の併用を考慮すること.
*薬物動態
本剤を10名の健康成人男性を対象に,乾燥ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリンを対照薬として,cross-over法による単回静脈内投与を行った.脱落した1例を除く9例において血清中抗HBs抗体価の動態を比較検討した結果は次表のとおりであった.1)
信頼区間法において血清中抗HBs抗体価−時間曲線下面積(AUC0-35)及び平均滞留時間(MRT0-35)の差の信頼区間が対照薬の±20%以内であることより本剤と対照薬は生物学的に同等と判断された.
薬物動態の表
| 本剤 | 乾燥ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン |
AUC0-35(日・国際単位/mL) | 13.57±2.88 | 12.70±3.17 |
MRT0-35(日) | 13.2±0.5 | 12.8±1.1 |
t1/2(日) | 22.3±3.2 | 20.8±5.4 |
薬効薬理
血中に入ったB型肝炎ウイルス(HBV)は肝細胞に取り込まれ増殖する.本剤を投与すると,血中に存在しているHBVは肝細胞に取り込まれる前に血流中で抗HBs抗体により中和処理される.なお,HBVが肝細胞に侵入した後では,本剤を受動免疫として投与しても効果は期待できない.
取扱い上の注意
記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから,本剤を投与した場合は,医薬品名(販売名),その製造番号(ロット番号),投与した日,投与を受けた患者の氏名,住所等を記録し,少なくとも20年間保存すること.
包装
主要文献及び文献請求先
主要文献
1
豊城隆明:臨牀と研究 2000;77(7):1419-1430
*文献請求先
一般社団法人 日本血液製剤機構 くすり相談室
〒108-0023 東京都港区芝浦3-1-1
電話0120-853-560
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
*製造販売元
一般社団法人 日本血液製剤機構
東京都港区芝浦3-1-1
保険適用(給付上)の注意
「HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防」の目的で使用した場合の保険給付については,下記のとおりであるので,その取扱いについては十分ご留意ください.
(1)汚染の原因(適用範囲):負傷し,HBウイルス感染の危険が極めて高いと判断され,縫合,消毒,洗浄等の処置及び本製剤の注射が行われた場合
業務上:労災保険適用,業務外:健康保険等適用
(2)汚染の原因(適用範囲):既存の負傷にHBs抗原陽性血液が付着し,HBウイルス感染の危険が極めて高いと判断され,縫合,消毒,洗浄等の処置及び本製剤の注射が行われた場合
業務上:労災保険適用,業務外:健康保険等適用