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ダルビアス点滴静注用135mg

抗悪性腫瘍剤/有機ヒ素製剤

1瓶 31692円

添付文書番号

4291462D1022_1_01

企業コード

390294

作成又は改訂年月

2022年6月作成
(第2版)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤/有機ヒ素製剤

承認等

販売名

ダルビアス点滴静注用135mg

販売名コード

4291462D1022

販売名英字表記

DARVIAS Injection 135mg

販売名ひらがな

だるびあすてんてきじょうちゅうよう135mg

承認番号等

承認番号
30400AMX00208000

販売開始年月

2022年8月

貯法、有効期間

貯法
冷所(2~8℃)
有効期間
36ヵ月

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ダリナパルシン

警告

本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

組成・性状

組成

ダルビアス点滴静注用135mg
有効成分
1バイアル中
ダリナパルシン注)  150mg
添加剤
1バイアル中
pH調節剤
注)本剤は調製時の損失を考慮し、1バイアルから135mgを注射可能な量として確保するために過量充填されており、1.8mLで溶解したときに75mg/mLとなる。

製剤の性状

ダルビアス点滴静注用135mg
pH4.5~6.0*
浸透圧比約1.4*(生理食塩液に対する比)
性状
白色~灰白色の塊(凍結乾燥ケーキ)
本剤を注射用水で溶解するとき、無色澄明の液となる。
*:本剤1バイアルを注射用水1.8mLに溶解したとき

効能又は効果

再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫

効能又は効果に関連する注意

  1. 本剤投与の適応となる疾患の診断は、病理診断に十分な経験を持つ医師又は施設により行うこと。
  2. 臨床試験に組み入れられた患者の病理組織型等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

用法及び用量

通常、成人にはダリナパルシンとして1日1回300mg/m2(体表面積)を1時間かけて5日間点滴静注した後、16日間休薬する。この21日間を1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

用法及び用量に関連する注意

  1. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
  2. 本剤の投与により、副作用が発現した場合には、以下の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。
    副作用発現時の休薬、減量又は中止の目安
    副作用
    処置
    Grade1又は2*のせん妄、錯乱等の精神障害、中枢神経障害
    症状が回復するまで休薬する。回復後は同量で投与を再開することができる。
    Grade3*の副作用(悪心・嘔吐、下痢及び臨床的意義のない無症候性の検査値異常を除く)
    Grade1又は開始前のGradeに回復するまで休薬する。回復後は200mg/m2に減量して投与を再開することができる。200mg/m2に減量後に再発した場合には、投与を中止する。
    Grade3*の悪心・嘔吐、下痢
    対症療法で症状が改善しない場合には、回復するまで休薬する。回復後は200mg/m2に減量して投与を再開することができる。200mg/m2に減量後に再発した場合には、投与を中止する。
    Grade4*の副作用(臨床的意義のない無症候性の検査値異常を除く)
    投与を中止する。
    *:GradeはNCI-CTCAE v4.0による

重要な基本的注意

  1. 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
  2. せん妄、錯乱等の精神障害があらわれることがあるので、症状について患者等に説明をし、異常が認められた場合には医師等に連絡するように指導すること。
  3. QT間隔延長があらわれることがあるため、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて電解質補正を行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者
    QT間隔延長が起こるおそれがある。

腎機能障害患者

本剤は主に腎臓から排泄されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

生殖能を有する者

  1. 妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
  2. パートナーが妊娠する可能性のある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
  3. 生殖可能な男性に投与する場合には、造精機能の低下があらわれる可能性があることを考慮すること。動物実験(マウス、ラット、イヌ)において、精巣精細管の変性・萎縮、伸長精子細胞の変性、精巣上体中の精子数減少等が報告されている。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)において、胚致死及び生存胎児数減少が認められた。また、ヒトへのヒ素の過剰な長期摂取により、自然流産及び死産のリスク増加等の生殖発生に対する有害性を示す可能性が報告されている。

授乳婦

本剤投与中及び投与終了後一定期間は授乳を避けさせること。本剤のヒト乳汁中への移行は確認していないが、無機ヒ素において乳汁への移行が報告されている。また、ヒ素化合物が混入したミルクを摂取した乳児において死亡例や皮膚症状の発生が報告されている。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
クラリスロマイシン、モキシフロキサシン、ベプリジル等
QT間隔延長を増強するおそれがあるため、患者の状態を十分に観察すること。
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用によりQT間隔延長作用が増強するおそれがある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 骨髄抑制
    貧血(12.3%)、好中球減少(12.3%)、血小板減少(12.3%)、白血球減少(4.6%)、リンパ球減少(4.6%)、発熱性好中球減少症(1.5%)等があらわれることがある。
  2. 感染症
    肺炎(1.5%)、敗血症性ショック(1.5%)、帯状疱疹(1.5%)等があらわれることがある。
  3. 精神障害
    せん妄(9.2%)、錯乱(3.1%)、幻覚(3.1%)、不眠症(3.1%)、不安(1.5%)、失見当識(1.5%)等があらわれることがある。
  4. 中枢神経障害
    傾眠(3.1%)、浮動性めまい(3.1%)、脳梗塞(1.5%)、回転性めまい(1.5%)、認知障害(1.5%)等があらわれることがある。
  5. QT間隔延長(3.1%)

その他の副作用

5%以上
5%未満
神経系障害
味覚障害、末梢性感覚ニューロパチー
感覚鈍麻、末梢性ニューロパチー、頭痛
心臓
心筋炎、心電図PR延長
血管系
血管痛
聴力低下
消化器
嘔吐
便秘、悪心、下痢、口内炎、腹痛、消化不良、口腔障害
皮膚
発疹、脱毛症、ざ瘡様皮膚炎、斑状丘疹状皮疹、爪線状隆起
泌尿器
血中クレアチニン増加
代謝
食欲減退
高カリウム血症、低カリウム血症、脱水、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症
肝臓
AST増加、ALT増加
肝障害、γ-GTP増加
全身
疲労(倦怠感)、発熱
異常感、歩行障害、低体温、末梢性浮腫
その他
注入に伴う反応、血中ALP増加、LDH増加、CRP増加

適用上の注意

薬剤調製時の注意
  1. 調製時には、防護具(眼鏡、手袋、マスク等)を着用すること。薬液が皮膚に付着した場合は直ちに石鹸及び流水で洗い流すこと。また、粘膜に付着した場合は直ちに流水で洗い流すこと。
  2. 本剤1バイアルに注射用水1.8mLを注入後、澄明で均一になるまでバイアルを振り混ぜ、75mg/mLの溶解液を調製する。
  3. 溶解液調製後は速やかに希釈液を調製すること。なお、溶解後やむを得ず保存する場合は、室温では6時間以内、2~8℃では24時間以内に希釈すること。
  4. 必要な投与量を含有する溶解液をバイアルから抜き取り、生理食塩液250mLに加えて混和し、希釈液を調製する。
  5. 希釈液調製後は速やかに投与すること。なお、希釈後やむを得ず保存する場合は室温で保存し、24時間以内に投与すること。
  6. 他の注射剤と配合又は混注しないこと。
薬剤投与時の注意
  1. 投与前に溶液を目視により確認すること。異物又は変色が確認された場合は使用しないこと。
  2. 中心静脈から投与することが望ましい。末梢静脈から投与する場合には、血管外への薬液の漏出に注意して慎重に投与すること。末梢静脈からの投与により投与部位の異常が発現することがある。

その他の注意

非臨床試験に基づく情報
  1. 遺伝毒性試験において、細菌を用いた復帰突然変異試験の結果で変異原性が認められた。
  2. イヌを用いた反復投与毒性試験において、投与直後に過剰興奮、不快感、跳躍、転倒、異常運動、虚脱、嗜眠、嘔吐・嘔気、線維束性収縮等のヒ素曝露の急性症状に類似した一般状態の異常が認められた。

薬物動態

血中濃度

  1. 反復投与
    日本人の再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者18例に本剤300mg/m2を約1時間かけて5日間静脈内投与したときの血漿中ヒ素濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった 。なお、血漿中ヒ素濃度は、本剤投与後のヒ素を含有する化合物の総濃度を表している。
    血漿中ヒ素濃度推移(平均値±標準偏差、N=18)
    5日間静脈内投与したときのDay1及びDay5の血漿中ヒ素の薬物動態パラメータ
    Cmax
    (ng/mL)
    Tmax
    (h)
    AUC0-24
    (ng・h/mL)
    t1/2
    (h)
    Day1(N=18)
    906.3±167.0
    2.0(1-8)
    15475.6±3425.2
    NC
    Day5(N=18)
    1450.6±322.8
    2.0(1-4)
    25559.8±7987.4
    22.64±6.31
    平均値±標準偏差。Tmaxは中央値(範囲)として示した。
    NC:算出しなかった。

分布

ダリナパルシン(ヒ素濃度:0.5~10μg/mL)添加時のヒト血漿タンパク結合率は78.3~82.9%であり、ダリナパルシン(ヒ素濃度:1~10μg/mL)添加時のヒト血液/血漿中濃度比は5.53~7.00であった。なお、ダリナパルシンは血漿中で不安定なため、複数のヒ素含有化合物が含まれた値である。ジメチルアルシン酸(ヒ素濃度:0.1~10μg/mL)はヒト血漿タンパクに結合しなかった,in vitro)。

代謝

日本人を含む再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者に本剤300mg/m2を5日間静脈内投与したとき、Day5の投与1~4時間後の血漿中での主成分はジメチルアルシン酸であった(試料中総ヒ素に対する割合は91.8%) 。ダリナパルシンからジメチルアルシン酸への変換は主に非酵素的な分解であることが示唆された(in vitro)。

排泄

日本人を含む再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者に本剤300mg/m2を5日間静脈内投与したとき、Day5の投与24時間後までの尿中ヒ素排泄率は67.7%であり、尿中での主成分はジメチルアルシン酸であった(試料中総ヒ素に対する割合は99%超) 。

薬物相互作用

  1. その他
    ジメチルアルシン酸はCYP2B6、CYP2C8及びCYP3A4を誘導した (in vitro)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国際共同第II相試験(SP-02L02試験)
    再発又は難治性のPTCL患者注) 65例(日本人37例を含む)を対象に、本剤300mg/m2を5日間静脈内投与した後に16日間休薬する21日間を1サイクルとして投与を繰り返した。有効性評価対象57例における奏効率は、19.3%(11/57例)(90%信頼区間:11.2~29.9%)であった。病理組織型別の奏効率は下表のとおりであった 。
    注)対象とされた病理組織型は、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(PTCL-NOS)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、未分化大細胞リンパ腫・ALK陽性型及び未分化大細胞リンパ腫・ALK陰性型(ALK陰性ALCL)
    病理組織型
    例数
    完全
    奏効
    部分
    奏効
    安定
    病勢
    進行
    奏効
    (奏効率(%))
    合計
    57
    5
    6
    15
    31
    11(19.3)
    PTCL-NOS
    37
    2
    4
    12
    19
    6(16.2)
    AITL
    17
    3
    2
    3
    9
    5(29.4)
    ALK陰性ALCL
    3
    0
    0
    0
    3
    0
    安全性評価対象65例中45例(69.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(16.9%)、発熱(15.4%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加(15.4%)、倦怠感(13.8%)、貧血(12.3%)、食欲減退(10.8%)、血小板数減少(10.8%)、せん妄(9.2%)、好中球減少症(6.2%)、味覚不全(6.2%)、嘔吐(6.2%)、疲労(6.2%)、好中球数減少(6.2%)及び末梢性感覚ニューロパチー(6.2%)であった。

薬効薬理

作用機序
ダリナパルシンは、生体内における無機ヒ素化合物の代謝過程で生じる中間代謝物の一つであり、グルタチオン抱合体構造を有する有機ヒ素化合物である。ダリナパルシンは、ミトコンドリアの機能障害(膜電位の低下等)、細胞内活性酸素種の産生促進等を引き起こすことにより、アポトーシス及び細胞周期停止を誘導し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている,

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ダリナパルシン(JAN)
(Darinaparsin)
化学名
L-γ-Glutamyl-S-(dimethylarsanyl)-L-cysteinylglycine
分子式
C12H22AsN3O6S
分子量
411.31
性状
白色~灰白色の結晶性の粉末である。
化学構造式
融点
約196℃(分解)
溶解性
ジメチルスルホキシドに溶けやすく、水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。

取扱い上の注意

  1. 外箱開封後は遮光して保存すること。
  2. 使用後の残液及び薬液に触れた器具等は適用法令等に従って廃棄すること。

承認条件

  1. 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

包装

1バイアル

主要文献

1
再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を対象とした国際共同第II相試験(SP-02L02試験)(2022年6月20日承認、CTD2.7.6.7及び2.7.2.2.2.4)
2
ダリナパルシン及びジメチルアルシン酸のタンパク結合率(175048B及び202905試験)(2022年6月20日承認、CTD2.6.4.4.2)
3
ダリナパルシンの血球移行性(202908試験)(2022年6月20日承認、CTD2.6.4.4.3)
4
ダリナパルシン及びジメチルアルシン酸のCYP誘導試験(PBC473-003試験)(2022年6月20日承認、CTD2.6.4.7.2)
5
Garnier N et al. Mol Pharmacol. 2014; 85: 576-85
6
ダリナパルシンの作用機序(SP02-PD-01、SP02-PD-06及びRES-1002試験)(2022年6月20日承認、CTD2.6.2.2)

文献請求先及び問い合わせ先

日本化薬株式会社 医薬品情報センター
〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目1番1号
TEL.0120-505-282

製造販売業者等

製造販売元(輸入)
ソレイジア・ファーマ株式会社
東京都港区芝公園二丁目11番1号
販売元
日本化薬株式会社
東京都千代田区丸の内二丁目1番1号

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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