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アドセトリス点滴静注用50mg

抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗CD30 モノクローナル抗体

1瓶 474325円

添付文書番号

4291425D1021_1_14

企業コード

400256

作成又は改訂年月

2023年7月改訂
(第3版、効能変更、用法及び用量変更)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗CD30 モノクローナル抗体

承認等

販売名

アドセトリス点滴静注用50mg

販売名コード

4291425D1021

販売名英字表記

ADCetris for I.V. Infusion 50mg

販売名ひらがな

あどせとりすてんてきじょうちゅうよう50mg

承認番号等

承認番号
22600AMX00031

販売開始年月

2014年4月

貯法、有効期間

貯法
凍結を避け、2~8℃で保存。
有効期間
4年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること
生物由来製品

一般的名称

ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)注

警告

  1. 本剤を投与する場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  2. 外国で実施された臨床試験において、中等度及び重度の肝機能障害を有する患者に対して本剤を投与後に真菌感染症により死亡に至った例が報告されていることから、これらの患者への投与の可否を慎重に判断すること。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある患者
  2. ブレオマイシン塩酸塩を投与中の患者

組成・性状

組成

アドセトリス点滴静注用50mg
有効成分
1バイアル中
ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)注1) 55mg注2)
添加剤
1バイアル中
トレハロース水和物  770mg
クエン酸水和物  2.3mg
クエン酸ナトリウム水和物  61.7mg
ポリソルベート80  2.2mg
注1)本剤は遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。
注2)注射液吸引時の損失を考慮し、1バイアルから50mgを注射するに足る量を確保するために過量充填されており、10.5mLで溶解した時に5mg/mLとなる。

製剤の性状

アドセトリス点滴静注用50mg
剤形注射剤(バイアル)
pH約6.6(日局注射用水10.5mLにて溶解時)
浸透圧比約1(日局注射用水10.5mLにて溶解時)注3)
性状
白色~灰白色の塊又は粉末(凍結乾燥製剤)
注3)日局生理食塩液に対する比

効能又は効果

CD30陽性の下記疾患:
  • ホジキンリンパ腫
  • 末梢性T細胞リンパ腫
  • 再発又は難治性の皮膚T細胞リンパ腫

効能又は効果に関連する注意

  1. 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
  2. 免疫組織化学法等により検査を行い、CD30抗原が陽性であることが確認された患者に使用すること。なお、CD30陽性の確認は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。

用法及び用量

〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉
ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジンとの併用において、通常、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として以下の用量を2週間に1回、最大12回点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
・成人には、1回1.2mg/kg(体重)
・小児には、1回48mg/m2(体表面積)
〈未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫〉
シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩及びプレドニゾロンとの併用において、通常、成人には、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8 mg/kg(体重)を最大8回点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉
通常、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8mg/kg(体重)を点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
〈再発又は難治性のCD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫〉
通常、成人には、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8mg/kg(体重)を点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

用法及び用量に関連する注意

〈効能共通〉
  1. 調製後の希釈液を30分以上かけて点滴静脈内投与すること。
  2. 好中球減少症が発現した場合には、以下の基準を参考に、本剤を休薬すること。
    好中球数
    処置
    1,000/mm3以上
    同一用法・用量で、投与を継続する。
    1,000/mm3未満
    ベースライン又は1,000/mm3以上に回復するまで休薬する。
〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉
  1. 末梢神経障害が発現した場合には、以下の基準を参考に、本剤を休薬、減量、中止すること。
    Grade注)
    処置
    成人
    小児
    Grade1(機能障害はなく、知覚障害、反射消失のみ)
    同一用法・用量で、投与を継続する。
    Grade2(機能障害はあるが、日常生活に支障はない)
    0.9mg/kgに減量して投与を継続する。
    36mg/m2に減量して投与を継続する。
    Grade3(日常生活に支障がある)
    Grade2以下に回復するまで休薬する。回復した場合は、0.9mg/kgに減量して投与を再開する。
    神経毒性を有する併用薬剤については、各電子添文を参照し、減量を考慮する。
    Grade2以下に回復するまで休薬する。回復した場合は、36mg/m2に減量して投与を再開する。
    神経毒性を有する併用薬剤については、各電子添文を参照し、減量を考慮する。
    Grade4(障害をきたす感覚ニューロパチー、生命を脅かす又は麻痺をきたす運動ニューロパチー)
    投与中止する。
〈未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫〉
  1. 末梢神経障害が発現した場合には、以下の基準を参考に、本剤を減量、中止すること。
    Grade注)
    処置
    Grade1(機能障害はなく、知覚障害、反射消失のみ)
    同一用法・用量で、投与を継続する。
    Grade2(機能障害はあるが、日常生活に支障はない)
    感覚ニューロパチー:
    同一用法・用量で、投与を継続する。
    運動ニューロパチー:
    1.2mg/kgに減量して投与を継続する。
    Grade3(日常生活に支障がある)
    感覚ニューロパチー:
    1.2mg/kgに減量して投与を継続する。
    運動ニューロパチー:
    投与中止する。
    Grade4(障害をきたす感覚ニューロパチー、生命を脅かす又は麻痺をきたす運動ニューロパチー)
    投与中止する。
〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫及び皮膚T細胞リンパ腫〉
  1. 本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用における有効性及び安全性は確立していない。
  2. 末梢神経障害が発現した場合には、以下の基準を参考に、本剤を休薬、減量、中止すること。
    Grade注)
    処置
    Grade1(機能障害はなく、知覚障害、反射消失のみ)
    同一用法・用量で、投与を継続する。
    Grade2(機能障害はあるが、日常生活に支障はない)
    ベースライン又はGrade1以下に回復するまで休薬する。回復した場合は、1.2mg/kgに減量して投与を再開する。
    Grade3(日常生活に支障がある)
    Grade4(障害をきたす感覚ニューロパチー、生命を脅かす又は麻痺をきたす運動ニューロパチー)
    投与中止する。
    注)GradeはNCI-CTCAEに基づく。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. Infusion reactionがあらわれることがあるので、本剤の投与は重度のInfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。2回目以降の本剤投与時に初めて重度のInfusion reactionを発現することもあるので、本剤投与中はバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)、臨床検査値及び自他覚症状等、患者の状態を十分に観察すること。
  2. 骨髄抑制があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。また、好中球減少やリンパ球減少があらわれることがあるので、免疫不全の徴候について綿密な検査を行うこと。
  3. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。
  4. 急性膵炎があらわれることがあるので、定期的に膵酵素を含む検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。
  5. 劇症肝炎、肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。
〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉
  1. 本剤とドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジンとの併用投与、又は本剤とシクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)との併用投与において、高頻度に発熱性好中球減少症が認められたことから、成人に本剤とこれらの薬剤を併用投与する際には、最新のガイドライン等を参考に予防投与(一次予防)を含めたG-CSF製剤の使用を考慮すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 感染症を合併している患者
    骨髄抑制等により、感染症が増悪するおそれがある。
  2. 末梢神経障害のある患者
    末梢神経障害が増悪するおそれがある。

腎機能障害患者

  1. 重度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス値<30mL/min)
    減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の構成成分であるモノメチルアウリスタチンE(MMAE)の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。

肝機能障害患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。 MMAEの血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
外国臨床試験において、中等度及び重度(Child-Pugh分類 B及びC)の肝機能障害を有する患者に対して本剤を投与後に真菌感染症により死亡に至った例が報告されている。

生殖能を有する者

パートナーが妊娠する可能性のある男性患者には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。動物試験(ラット)で精巣毒性が報告されている。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与による胎児への危険性(流産又は胎児毒性)について患者に十分説明すること。動物試験(ラット)では、ヒト推奨用量(1.8mg/kgを3週に1回投与)と同程度の曝露量となる3mg/kgの投与で、胚・胎児毒性が認められた。

授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行は不明である。

小児等

〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉
低出生体重児、新生児、乳児又は5歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
〈未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫及び再発又は難治性のCD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫〉
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉
低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。

相互作用

in vitro試験において、本剤の構成成分であるMMAEは主にCYP3A4で代謝される。

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ブレオマイシン塩酸塩
(ブレオ)
肺毒性(間質性肺炎等)が発現するおそれがある。
機序は不明であるが、ブレオマイシン塩酸塩を含む併用化学療法(ABVD療法注))に本剤を併用したところ、非感染性の肺毒性の発現がABVD療法よりも高い頻度で認められた,,
併用禁忌に関する注釈
注)ABVD:ドキソルビシン塩酸塩、ブレオマイシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ダカルバジン

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A4阻害剤
ケトコナゾール等
本剤をケトコナゾールと併用したところ、本剤の血中濃度には変化は認められなかったものの、MMAEの血中濃度のAUC0-∞及びCmaxが34%及び25%増加した。本剤を強力なCYP3A4阻害剤と併用すると、好中球減少症等のMMAEによる毒性の発現頻度が高まる可能性があるので、併用する場合は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
MMAEの代謝には主にCYP3A4が関与しているため、CYP3A4阻害剤との併用により、MMAEの代謝が阻害され、MMAEの血中濃度が増加する可能性がある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 末梢神経障害(56.2%)
    末梢性感覚ニューロパチー(31.9%)、末梢性ニューロパチー(14.0%)、錯感覚(8.0%)、末梢性運動ニューロパチー(5.8%)、感覚鈍麻(3.2%)、筋力低下(2.3%)、脱髄性多発ニューロパチー(0.3%)、神経痛(0.8%)等があらわれることがあるので、しびれ、筋力低下等が認められた場合は、休薬、減量等の適切な処置を行うこと。
  2. 感染症(23.8%)
    細菌、真菌、ウイルス等による重篤な感染症(肺炎(3.6%)、敗血症(2.0%)等)があらわれることがある。また、ニューモシスティス、カンジダ等の真菌、ヘルペス等のウイルスによる日和見感染に注意すること。
  3. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
    本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  4. 骨髄抑制(58.2%)
    好中球減少(49.4%)、発熱性好中球減少症(13.3%)、貧血(12.9%)、白血球減少(11.5%)、血小板減少(4.3%)、リンパ球減少(3.2%)があらわれることがある。
  5. Infusion reaction(8.1%)
    アナフィラキシー(0.1%)、悪心(2.1%)、悪寒(1.0%)、そう痒症(0.7%)、咳嗽(0.4%)、じん麻疹(0.4%)、呼吸困難(0.6%)、低酸素症(0.2%)等を含むInfusion reactionがあらわれることがあるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中断し、適切な処置(酸素吸入、昇圧剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤の投与等)を行うとともに、症状が回復するまで患者を十分に観察すること。また、投与再開する場合は、必要に応じて投与速度を減じて慎重に投与すること。重篤なInfusion reactionが認められた場合は、投与を中止すること。
  6. 腫瘍崩壊症候群(0.4%)
    異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
  7. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.2%)
  8. 急性膵炎(0.1%)
    腹痛等の膵炎を示唆する症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  9. 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(9.4%)
    劇症肝炎、ALT、AST等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。
  10. 肺障害(1.1%)
    呼吸不全(0.3%)、肺浸潤(0.3%)、肺臓炎(0.6%)、間質性肺疾患(0.1%)、急性呼吸窮迫症候群(0.1%)、器質化肺炎(頻度不明)等の肺障害があらわれることがある。

その他の副作用

10%以上
5%以上10%未満
5%未満
精神・神経系
頭痛、味覚異常
浮動性めまい、不眠症、嗜眠、記憶障害、知覚過敏
消化器
悪心(42.2%)、便秘、嘔吐、下痢、口内炎
腹痛、消化不良
上腹部痛、口腔咽頭痛、口腔内痛、口腔内潰瘍形成、腹部膨満、腹部不快感、胃食道逆流性疾患、鼓腸、咽頭炎、胃炎、吐血、舌潰瘍
呼吸器
呼吸困難
咳嗽、労作性呼吸困難、しゃっくり、湿性咳嗽、肺塞栓症、鼻出血、鼻閉、咽喉絞扼感
血液/リンパ系
リンパ節症、好酸球増加症
皮膚
脱毛症
斑状丘疹状皮疹、そう痒症、発疹、皮膚乾燥、寝汗、注入部位疼痛、紅斑性皮疹、爪変色、多汗症、斑状皮疹、紅斑、じん麻疹、皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、そう痒性皮疹
結膜炎、眼充血
代謝異常
食欲減退
脱水、高血糖、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、低リン酸血症
その他
疲労、発熱
体重減少、筋肉痛、関節痛、無力症
四肢痛、骨痛、悪寒、上気道感染、筋痙縮、疼痛、背部痛、ほてり、口腔カンジダ症、頻脈、筋骨格痛、倦怠感、口腔ヘルペス、尿路感染、非心臓性胸痛、静脈炎、末梢性浮腫、鼻炎、顎痛、気道感染、帯状疱疹、潮紅、低血圧、単純ヘルペス、腫瘍フレア、毛包炎、頸部痛、LDH増加、AL-P増加、粘膜の炎症

適用上の注意

薬剤調製時の注意
  1. 溶解
    1. 本剤は、1バイアルに日局注射用水10.5mLを加えると、濃度5mg/mLの溶解液になる。溶解の際には、日局注射用水をゆっくりとバイアル内に注入し、泡立てないよう静かに回転させて混和すること。溶解後の液は無色澄明〜わずかに乳白色であることを確認する。変色や粒子が認められた場合は使用しないこと。
      <必要量の計算>
      体重から換算した投与量
      必要量(mL)=用量(mg/kg)×体重注1)(kg)/5(mg/mL)
      注1)体重が100kgを超える場合は100kgとして計算する。
      体表面積から換算した投与量注2)
      必要量(mL)=用量(mg/m2)×体表面積(m2)/5(mg/mL)
      注2)未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫の小児患者に対して適用される。
    2. 溶解後速やかに希釈しない場合は、2〜8℃(凍結させないこと)で保存し、24時間以内に投与すること。未使用分は廃棄すること。
  2. 希釈
    1. 必要量をバイアルから抜き取り最終濃度が0.4〜1.2mg/mLとなるように日局生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈する。強く攪拌すると凝集体を形成するおそれがあるので、バッグを静かに回転させて混和すること。他剤と混和してはならない。
    2. 希釈後速やかに投与しない場合は、2〜8℃(凍結させないこと)で保存し、溶解後から24時間以内に投与すること。未使用分は廃棄すること。
薬剤投与時の注意
投与前後には、ラインを生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液でフラッシュすること。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
臨床試験において本剤に対する抗体の産生が報告されている。
非臨床試験に基づく情報
  1. 単回投与毒性試験(ラット)及び反復投与毒性試験(ラット及びサル)において胸腺のリンパ組織枯渇が認められた。
  2. 本剤のリンカーの構成成分であるマレイミドは、細菌突然変異試験法(エームズ試験)において変異原性が認められた。

薬物動態

血中濃度

〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉
  1. 日本人患者に4週間を1サイクルとした1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジン投与との併用下で本剤1.2mg/kgを点滴静注したときの本剤の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。サイクル1の1日目(C1D1)に対するサイクル3の1日目(C3D1)投与時のAUC0-τの幾何平均比は1.01であり、本剤の顕著な蓄積性は示唆されなかった。
    本剤の薬物動態パラメータ
    投与量
    投与時期
    Cmax
    (μg/mL)
    AUC0-τ
    (day・μg/mL)
    t1/2
    (day)
    1.2 mg/kg
    C1D1
    (n=4)
    30.6
    (18.7)
    48.0
    (24.9)
    3.75
    (18.3)
    C3D1
    (n=3)
    21.7
    (24.0)
    53.5
    (24.2)
    4.54
    (10.7)
    幾何平均(%変動係数)
〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉
  1. 日本人患者に3週間に1回本剤1.2mg/kg又は1.8mg/kg注)を点滴静注したときの本剤の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。1回目に対する2回目投与時のAUC0-τ及びCmaxの幾何平均比はそれぞれ1.07〜1.12及び0.94〜1.08であり、本剤の顕著な蓄積性は示唆されなかった。
    本剤の薬物動態パラメータ
    投与量注)
    投与回数
    Cmax(μg/mL)
    AUC0-τ(day・μg/mL)
    t1/2(day)
    1.2mg/kg (n=3)
    1
    18.89(34)
    40.17(29)
    4.94(41)
    2
    20.31(40)
    44.94(47)
    5.06(65)
    1.8mg/kg (n=3)
    1
    31.47(9.6)
    66.76(1.5)
    7.42(49)
    2
    29.60(13)
    71.42(13)
    7.29(13)
    幾何平均(%変動係数)
    注)本剤の再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫患者に対する承認用量は1.8mg/kgを3週間に1回投与である。

分布

本剤の定常状態における分布容積は6〜10Lであった。MMAEのヒト血漿蛋白に対するin vitro結合率は68〜82%であった。また、in vitro試験により、MMAEはP-糖蛋白の基質であることが示された。

代謝

in vitro試験により、MMAEは主にCYP3A4で代謝されることが示された。

排泄

造血器腫瘍患者に本剤1.8mg/kgを点滴静注したとき、投与後1週間までに投与量の約24%がMMAEとして尿糞中に排泄された(外国人データ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    軽度から重度の腎機能障害を有する造血器腫瘍患者に本剤1.2mg/kgを投与したとき、重度の腎機能障害患者におけるMMAEのAUC0-∞及びCmaxは腎機能正常患者より約1.9及び2.1倍高値であった(外国人データ)。
    MMAEの薬物動態パラメータ
    パラメータ
    腎機能障害
    総計(n=10)
    軽度(n=4)
    中等度(n=3)
    重度(n=3)
    AUC0-∞
    0.85
    1.09
    1.90
    1.16
    Cmax
    0.78
    0.92
    2.07
    1.10
    腎機能正常患者のパラメータ値に対する幾何平均比
    腎機能障害(クレアチニンクリアランス値):軽度(>50〜80mL/min)、中等度(30〜50mL/min)、重度(<30mL/min)
  2. 肝機能障害患者
    軽度から重度の肝機能障害を有する造血器腫瘍患者に本剤1.2mg/kgを投与したとき、肝機能障害患者におけるMMAEのAUC0-∞及びCmaxは肝機能正常患者より約2.3及び1.7倍高値であった(外国人データ)。
    MMAEの薬物動態パラメータ
    パラメータ
    肝機能障害
    総計(n=7)
    軽度(n=1)
    中等度(n=5)
    重度(n=1)
    AUC0-∞
    3.51
    2.21
    1.77
    2.29
    Cmax
    2.79
    1.63
    1.21
    1.68
    肝機能正常患者のパラメータ値に対する幾何平均比
    肝機能障害(Child-Pugh分類):軽度(A)、中等度(B)、重度(C)
  3. 小児等
    〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉
    1. 5歳以上18歳未満の小児患者(日本人患者2例を含む)に4週間を1サイクルとした1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジン投与との併用下で本剤48mg/m2を点滴静注したときの本剤の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。サイクル1の1日目(C1D1)に対するサイクル3の1日目(C3D1)投与時のAUC0-τの幾何平均比は1.3であり、本剤の顕著な蓄積性は示唆されなかった。C1D1における半減期は3.78日であった。
      本剤の薬物動態パラメータ
      投与量
      投与時期
      Cmax
      (μg/mL)
      AUC0-τ
      (day・μg/mL)
      48mg/m2
      C1D1
      22.5(22.6)
      (n=57)
      46.7(33.5)
      (n=57)
      C3D1
      26.4(21.3)
      (n=55)
      61.1(29.2)
      (n=54)
      幾何平均(%変動係数)
    〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉
    1. 2歳以上18歳未満の日本人小児患者に3週間に1回本剤1.8mg/kgを点滴静注したときの本剤の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。1回目に対する2回目投与時のAUC0-τ及びCmaxの幾何平均比はそれぞれ0.9569及び1.082であり、本剤の顕著な蓄積性は示唆されなかった。
      本剤の薬物動態パラメータ
      投与量
      投与回数
      Cmax(μg/mL)
      AUC0-τ(day・μg/mL)
      t1/2(day)
      1.8mg/kg (n=6)
      1
      28.77(25.88)
      71.22(29.48)
      4.541(37.65)
      2
      29.76(9.049)
      62.10(46.52)
      5.101(56.78)
      幾何平均(%変動係数)

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉
  1. 国際共同第Ⅲ相試験(非盲検試験)
    未治療の進行期(Ann Arbor分類Ⅲ又はⅣ期)古典的ホジキンリンパ腫患者1,334例(日本人患者23例を含む。本剤+AVD投与群注1)664例、ABVD投与群注2)670例)を対象に、ABVD投与を対照として本剤+AVD投与の有効性及び安全性を評価した。
    主要評価項目である修正無増悪生存期間(mPFS)注3)は盲検下にて中央判定委員会により評価(中央判定)され、ABVD投与群に対する本剤+AVD投与群の優越性が検証された(2017年4月20日データカットオフ)。
    中央判定に基づく修正無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(2017年4月20日データカットオフ)
    国際共同第Ⅲ相試験成績(中央判定)
    本剤+AVD投与群注1)
    (n=664)
    ABVD投与群注2)
    (n=670)
    mPFSイベント数(件)
    117
    146
    ハザード比(95%信頼区間) 注4)
    0.770(0.603, 0.983)
    p値注5)
    0.035
    mPFSの中央値(月)
    (95%信頼区間)
    NE注6)
    (48.2, NE)
    NE
    (NE, NE)
    注1) 本剤+AVD投与:4週間を1サイクルとし、各サイクルの1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩25mg/m2、ビンブラスチン硫酸塩6mg/m2、ダカルバジン375mg/m2、本剤1.2mg/kgの順に静脈内投与した。これを最大6サイクルまで繰り返した。
    注2) ABVD投与:4週間を1サイクルとし、各サイクルの1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩25mg/m2、ブレオマイシン塩酸塩10単位/m2、ビンブラスチン硫酸塩6mg/m2、ダカルバジン375mg/m2の順に静脈内投与した。これを最大6サイクルまで繰り返した。
    注3) イベントに該当する事象として、病勢の進行及び死亡に加え、フロントライン治療終了時点で中央判定委員会により完全寛解と評価されず抗がん化学療法又は放射線療法を受けた場合も含めてmPFSと定義した。
    注4) 無作為化の層別因子による層別Cox回帰モデル
    注5) 無作為化の層別因子による層別ログランク検定、有意水準両側0.05
    注6) NE:Not Estimable(推定不能)
    副作用発現頻度は、本剤+AVD投与群で97%〔641/662例(日本人10例含む)〕及びABVD投与群で94%〔617/659例(日本人13例含む)〕であった。主な副作用は、好中球減少症〔本剤+AVD投与群55%(366例)、ABVD投与群41%(270例)、以下同順〕、悪心〔48%(319例)、52%(342例)〕、便秘〔33%(216例)、25%(168例)〕、嘔吐〔27%(182例)、24%(156例)〕、末梢性感覚ニューロパチー〔27%(180例)、16%(107例)〕、疲労〔26%(169例)、27%(178例)〕、末梢性ニューロパチー〔25%(163例)、11%(73例)〕、脱毛症〔24%(159例)、20%(135例)〕及び発熱性好中球減少症〔18%(120例)、7%(46例)〕であった。
  2. 国際共同第 Ⅰ/Ⅱ相試験 (非盲検試験)
    5歳以上18歳未満の未治療のCD30陽性の進行期(Ann Arbor分類Ⅲ又はⅣ期)古典的ホジキンリンパ腫患者を対象に、第Ⅱ相パートでは、51例(日本人患者2例を含む)にAVDとの併用において本剤48mg/m2を投与注7)した。有効性は下表のとおりであった。
    国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験成績(第II相パート、試験治療終了時)(中央判定)
    ホジキンリンパ腫(n=51)
    完全寛解(CR)例数(%)
    38(75)
    部分寛解(PR)例数(%)
    6(12)
    奏効率(CR+PR)(95%信頼区間)
    86%(73.7, 94.3)
    注7)4週間を1サイクルとし、各サイクルの1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩25mg/m2、ビンブラスチン硫酸塩6mg/m2、ダカルバジン375mg/m2、本剤48mg/m2の順に静脈内投与した。これを最大6サイクルまで繰り返した。
    副作用発現頻度は、 96%(49/51例)であった。主な副作用は、嘔吐75%(38例)、悪心67%(34例)、好中球減少症55%(28例)、白血球数減少37%(19例)、好中球数減少35%(18例)、口内炎、腹痛〔以上、27%(14例)〕、便秘25%(13例)、貧血22%(11例)及び脱毛症20%(10例)であった。
〈未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫〉
  1. 国際共同第Ⅲ相試験(二重盲検比較試験)
    未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫患者注8)452例(日本人患者43例を含む。本剤+CHP投与群注9)及びCHOP投与群注10)各226例)を対象に、CHOP投与を対照として本剤+CHP投与の有効性及び安全性を評価した。
    主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)注11)は盲検下にて中央判定委員会により評価(中央判定)され、CHOP投与群に対する本剤+CHP投与群の優越性が検証された(2018年8月15日データカットオフ)。
    中央判定に基づく無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(2018年8月15日データカットオフ)
    国際共同第Ⅲ相試験成績(中央判定)
    本剤+CHP投与群注9)
    (n=226)
    CHOP投与群注10)
    (n=226)
    PFSイベント数(件)
    95
    124
    ハザード比(95%信頼区間) 注12)
    0.71(0.54,0.93)
    p値注13)
    0.0110
    PFSの中央値(月)
    (95%信頼区間)
    48.20
    (35.15, -)
    20.80
    (12.68, 47.57)
    副次評価項目である全生存期間(OS)は、CHOP投与群と比較して本剤+CHP投与群で統計学的に有意な延長が認められた(2018年8月15日データカットオフ)。
    全生存期間のKaplan-Meier曲線(2018年8月15日データカットオフ)
    国際共同第Ⅲ相試験成績
    本剤+CHP投与群注9)
    (n=226)
    CHOP投与群注10)
    (n=226)
    OSイベント数(件)
    51
    73
    ハザード比(95%信頼区間) 注12)
    0.66(0.46,0.95)
    p値注13)
    0.0244
    OSの中央値(月)
    (95%信頼区間)
    NE注14)
    (NE, NE)
    NE
    (54.2, NE)
    注8) 対象とされた病理組織型は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)・ALK陽性型、sALCL・ALK陰性型、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(PTCL-NOS)、血管免疫芽球性T 細胞リンパ腫(AITL)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、肝脾T細胞リンパ腫であり、肝脾T細胞リンパ腫を除く全ての病理組織型の患者が組み入れられた。
    注9) 本剤+CHP投与:3週間を1サイクルとし、各サイクルの1日目に、シクロホスファミド水和物750mg/m2、ドキソルビシン塩酸塩50mg/m2、本剤1.8mg/kgを静脈内投与し、各サイクルの1~5日目にプレドニゾン100mg(国内未承認)を経口投与する。これを6~8サイクル繰り返した。
    注10) CHOP投与:3週間を1サイクルとし、各サイクルの1日目に、シクロホスファミド水和物750mg/m2、ドキソルビシン塩酸塩50mg/m2、ビンクリスチン硫酸塩1.4mg/m2(上限2mg)を静脈内投与し、各サイクルの1~5日目にプレドニゾン100mg(国内未承認)を経口投与する。これを6~8サイクル繰り返した。
    注11) イベントに該当する事象として、病勢の進行及び死亡に加え、残存腫瘍又は病勢進行により抗がん化学療法を受けた場合も含めてPFSと定義した。
    注12) 無作為化の層別因子による層別Cox回帰モデル
    注13) 無作為化の層別因子による層別ログランク検定、有意水準両側0.05
    注14) NE:Not Estimable(推定不能)
    副作用発現頻度は、本剤+CHP投与群で90%〔201/223例(日本人20例含む)〕及びCHOP投与群で85%〔193/226例(日本人23例含む)〕であった。主な副作用は、末梢性感覚ニューロパチー〔本剤+CHP投与群44%(98例)、CHOP投与群38%(87例)、以下同順〕、好中球減少症〔34%(75例)、30%(68例)〕、悪心〔32%(71例)、27%(61例)〕、便秘〔21%(47例)、22%(50例)〕、脱毛症〔17%(38例)、13%(30例)〕、下痢〔16%(36例)、7%(16例)〕、疲労〔16%(36例)、16%(36例)〕及び発熱性好中球減少症〔16%(35例)、12%(28例)〕であった。
〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉
  1. 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(非盲検試験)
    再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び全身性未分化大細胞リンパ腫患者(皮膚に限局した皮膚原発性未分化大細胞リンパ腫患者を除く)を対象に、第Ⅱ相パートでは、それぞれ9例及び5例に本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り最大16サイクルまで投与した。有効性は下表のとおりであった。
    国内試験成績(第Ⅱ相パート)(中央判定)
    ホジキンリンパ腫(n=9)
    全身性未分化大細胞リンパ腫(n=5)
    完全寛解(CR)例数(%)
    5(56)
    4(80)
    部分寛解(PR)例数(%)
    1(11)
    1(20)
    奏効率(CR+PR)(95%信頼区間)
    67%(29.9, 92.5)
    100%(54.9, 100.0)
    副作用発現頻度は、100%(14/14例)であった。主な副作用は、好中球減少症86%(12例)、リンパ球減少症、白血球減少症〔以上、71%(10例)〕、末梢性感覚ニューロパチー64%(9例)、疲労36%(5例)、貧血、鼻咽頭炎〔以上、29%(4例)〕、LDH増加、発疹、食欲減退、ALT増加、AST増加、下痢、上気道感染〔以上、21%(3例)〕であった。
  2. 海外第Ⅱ相試験(非盲検試験)
    再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫患者(自家造血幹細胞移植後)102例を対象に、本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り最大16サイクルまで投与した。有効性は下表のとおりであった。
    海外第Ⅱ相試験成績(中央判定)
    ホジキンリンパ腫(n=102)
    完全寛解(CR)例数(%)
    34(33)
    部分寛解(PR)例数(%)
    42(41)
    奏効率(CR+PR)(95%信頼区間)
    75% (64.9, 82.6)
    副作用発現頻度は、91%(93/102例)であった。主な副作用は、末梢性感覚ニューロパチー42%(43例)、悪心35%(36例)及び疲労34%(35例)であった。
  3. 海外第Ⅱ相試験(非盲検試験)
    再発又は難治性のCD30陽性の全身性未分化大細胞リンパ腫患者(皮膚に限局した皮膚原発性未分化大細胞リンパ腫患者を除く)58例を対象に、本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り最大16サイクルまで投与した。有効性は下表のとおりであった。
    海外第Ⅱ相試験成績(中央判定)
    全身性未分化大細胞リンパ腫(n=58)
    完全寛解(CR)例数(%)
    34(59)
    部分寛解(PR)例数(%)
    16(28)
    奏効率(CR+PR)(95%信頼区間)
    86%(74.6, 93.9)
    副作用発現頻度は、91%(53/58例)であった。主な副作用は、末梢性感覚ニューロパチー41%(24例)、悪心26%(15例)及び疲労22%(13例)であった。
  4. 海外第Ⅱ相試験(非盲検試験)
    再発又は難治性のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫患者35例を対象に、本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り投与した。有効性は下表のとおりであった。
    海外第Ⅱ相試験成績(治験責任医師判定)
    合計(n=34)
    血管免疫芽球性T 細胞リンパ腫(n=13)
    末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(n=21)
    完全寛解(CR)例数(%)
    8(24)
    5(38)
    3(14)
    部分寛解(PR)例数(%)
    6(18)
    2(15)
    4(19)
    奏効率(CR+PR)(95%信頼区間)
    41%(24.6, 59.3)
    54%(25.1, 80.8)
    33%(14.6, 57.0)
    副作用発現頻度は、80%(28/35例)であった。主な副作用は、末梢性感覚ニューロパチー37%(13例)及び疲労20%(7例)であった。
  5. 国内第Ⅰ相試験(非盲検試験)
    2歳以上18歳未満の再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び全身性未分化大細胞リンパ腫患者(皮膚に限局した皮膚原発性未分化大細胞リンパ腫患者を除く)それぞれ4例及び2例を対象に、本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り投与した。有効性は下表のとおりであった。
    国内第Ⅰ相試験成績(治験責任医師判定)
    ホジキンリンパ腫(n=4)
    全身性未分化大細胞リンパ腫(n=1)
    完全寛解(CR)例数(%)
    1(25)
    1(100)
    部分寛解(PR)例数(%)
    1(25)
    0(0)
    奏効率(CR+PR)(95%信頼区間)
    50%(6.8, 93.2)
    100%(2.5, 100.0)
    副作用発現頻度は、100%(6/6例)であった。主な副作用は、白血球数減少83%(5例)、発熱67%(4例)、好中球数減少50%(3例)、リンパ球数減少、ALT増加、AST増加、体重減少〔以上、33%(2例)〕であった。
  6. 海外第Ⅰ/Ⅱ相試験(非盲検試験)
    2歳以上18歳未満注15)の再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び全身性未分化大細胞リンパ腫患者(皮膚に限局した皮膚原発性未分化大細胞リンパ腫患者を除く)を対象に、第Ⅱ相パートでは、それぞれ9例及び15例に本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り最大16サイクルまで投与した。引き続き臨床的ベネフィットが得られると判断された患者に限定し16サイクルを超えて投与した。有効性は下表のとおりであった。
    海外第Ⅰ/Ⅱ相試験成績(第Ⅱ相パート)(中央判定)
    ホジキンリンパ腫(n=9)
    全身性未分化大細胞リンパ腫(n=15)
    完全寛解(CR)例数(%)
    2(22)
    6(40)
    部分寛解(PR)例数(%)
    1(11)
    2(13)
    奏効率(CR+PR)(95%信頼区間)
    33%(7.5, 70.1)
    53%(26.6, 78.7)
    注15) ホジキンリンパ腫患者の場合、5歳以上18歳未満
    副作用発現頻度は、70%(23/33例)であった。主な副作用は、悪心24%(8例)、錯感覚、発熱〔以上、15%(5例)〕、好中球減少症、末梢性感覚ニューロパチー〔以上、12%(4例)〕であった。
〈再発又は難治性のCD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫〉
  1. 国内第Ⅱ相試験(非盲検試験)
    再発又は難治性のCD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫患者16例(コホート1注16)13例、コホート2注17)3例)を対象に、本剤1.8mg/kgを投与した。本剤は3週間に1回を1サイクルとし、中止基準に該当しない限り最大16サイクルまで投与した。有効性は下表のとおりであった。
    国内第Ⅱ相試験成績(中央判定)
    コホート1注16)
    (n=13)
    コホート1注16)+
    コホート2注17)
    (n=16)
    ORR4注18)
    例数(%)
    (95%信頼区間)
    9 (69.2)
    (38.6, 90.9)
    10 (62.5)
    (35.4, 84.8)
    注16)菌状息肉症(MF)又は原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)の患者を対象とし、いずれの患者も組み入れられた。
    注17)MF及びpcALCL以外のリンパ増殖性疾患の患者を対象とし、リンパ腫様丘疹症及び原発性皮膚γδT細胞リンパ腫の患者が組み入れられた。
    注18)4ヵ月以上持続する奏効(CR+PR)
    副作用発現頻度は、100%(16/16例)であった。主な副作用は、末梢性ニューロパチー56%(9例)、発熱、好酸球増加症〔以上、25%(4例)〕、倦怠感、下痢、薬疹、肝機能異常〔以上、19%(3例)〕であった。
  2. 海外第Ⅲ相試験(非盲検試験)
    再発又は難治性のCD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫患者注19)131例(本剤投与群注20)66例、治験責任医師が選択した化学療法投与群注21)65例)を対象に、治験責任医師が選択した化学療法投与を対照として本剤投与の有効性及び安全性を評価した。有効性は下表及び下図のとおりであった(2016年5月31日データカットオフ)。
    海外第Ⅲ相試験成績(中央判定)
    本剤投与群注20)
    (n=64)
    治験責任医師が選択した化学療法投与群注21)
    (n=64)
    ORR4注22)
    例数(%)
    (95%信頼区間)
    36 (56.3)
    (44.1, 68.4)
    8 (12.5)
    (4.4, 20.6)
    群間差
    (95%信頼区間)注23)
    43.5 (27.6, 56.5)
    p値注24)
    <0.001
    無増悪生存期間(PFS)注25)
    イベント数(件)
    36
    50
    ハザード比
    (95%信頼区間)注26)
    0.270 (0.169, 0.430)
    p値注27)
    <0.001
    中央値(月)
    (95%信頼区間)
    16.7
    (14.9, 22.8)
    3.5
    (2.4, 4.6)
    中央判定に基づく無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
    (2016年5月31日データカットオフ)
    注19)MF又はpcALCLの患者を対象とし、いずれの患者も組み入れられた。
    注20)3週間に1回を1サイクルとし、本剤1.8mg/kgを最大16サイクル静脈内投与した。
    注21)治験責任医師の選択により、メトトレキサート5~50mgを週1回又はベキサロテン300mg/m2を1日1回、最大48週間経口投与した。
    注22)4ヵ月以上持続する奏効(CR+PR)
    注23)ベースライン時の病理組織型(MF又はpcALCL)を層別因子としたNewcombeの方法により調整
    注24)ベースライン時の病理組織型(MF又はpcALCL)を層別因子としたCochran-Mantel-Haenszel検定、有意水準両側0.05
    注25)主要評価項目であるORR4に続き、階層的な検定手順により副次評価項目について仮説検定を実施した。p値は副次評価項目を重み付きHolm法により調整
    注26)ベースライン時の病理組織型(MF又はpcALCL)を層別因子とした層別Cox回帰モデル
    注27)ベースライン時の病理組織型(MF又はpcALCL)を層別因子とした層別ログランク検定、有意水準両側0.05
    副作用発現頻度は、本剤投与群で86%(57/66例)及び治験責任医師が選択した化学療法投与群で71%(44/62例)であった。主な副作用は、末梢性感覚ニューロパチー〔本剤投与群44%(29例)、治験責任医師が選択した化学療法投与群0%(0例)、以下同順〕、悪心〔32%(21例)、8%(5例)〕、疲労〔27%(18例)、23%(14例)〕及び下痢〔18%(12例)、5%(3例)〕であった。

薬効薬理

作用機序
ブレンツキシマブ ベドチンは、細胞障害活性を有するMMAEと抗CD30 IgG1型キメラ抗体をプロテアーゼで切断されるリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。本剤の腫瘍増殖抑制作用は、まずCD30発現細胞にADCが結合し、ADC-CD30複合体として細胞内に取り込まれた後、蛋白質分解反応によってMMAEが遊離することによって発現する。遊離したMMAEがチューブリンに結合することにより、微小管形成が阻害され、細胞周期の停止とアポトーシスが誘導される。
抗腫瘍作用
  1. In vitro試験
    本剤は、CD30陽性ホジキンリンパ腫由来L540cy細胞株及びCD30陽性未分化大細胞リンパ腫由来Karpas 299細胞株の増殖を阻害した。
  2. In vivo試験
    本剤は、CD30陽性ホジキンリンパ腫由来L428細胞株及びL540cy細胞株、又はKarpas 299細胞株を皮下移植した異種移植マウスにおいて腫瘍増殖を抑制し、また、Karpas 299細胞株を静脈内に注入したマウスにおいて生存期間を延長した。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)
(Brentuximab Vedotin(Genetical Recombination))〔JAN〕
化学構造式
本質
ブレンツキシマブ ベドチン(分子量:約153,000)は、抗体薬物複合体であり、遺伝子組換えモノクローナル抗体(分子量:約148,000)の平均3~5個のCys残基に、MMAEとリンカーからなるベドチン(1-(6-{[(2S)-1-({ (2S)-5-カルバモイルアミノ-1-[(4-{[(2S)-{[(2S)-1-{[(3R, 4S, 5S)-1-{(2S)-2-[(1R, 2R)-3-{[(1S, 2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル](メチル)アミノ}-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル]アミノ}-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル]メチルカルバモイルオキシ}メチルフェニル)アミノ]-1-オキソペンタン-2-イル}アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル]アミノ}-6-オキソヘキシル)-2,5-ジオキソピロリジン-3-イル基;C68H106N11O15;分子量:1317.63)が結合している。抗体部分は、キメラモノクローナル抗体(cAC10)で、マウス抗ヒトCD30抗体の可変部及びヒトIgG1の定常部からなり、チャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される。タンパク質部分は、447個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2分子及び218個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2分子で構成される糖タンパク質である。

取扱い上の注意

個装箱開封後は遮光保存すること。

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

1バイアル

主要文献

1
ブレンツキシマブ ベドチンの反復投与毒性試験(2014年1月17日承認、CTD 2.6.6.3)
2
ブレンツキシマブ ベドチンの生殖発生毒性試験(2014年1月17日承認、CTD 2.6.6.6)
3
Duggan DB et al.: J Clin Oncol.2003;21(4):607-614.
4
Martin WG et al.: J Clin Oncol.2005;23(30):7614-7620.
5
Hoskin PJ et al.: J Clin Oncol.2009;27(32):5390-5396.
6
ブレンツキシマブ ベドチンの臨床薬理試験成績(2014年1月17日承認、CTD 2.7.2.2、2.7.2.3)
7
ブレンツキシマブ ベドチンの国際共同第Ⅲ相試験成績①(社内資料)
8
ブレンツキシマブ ベドチンの国内第Ⅰ/Ⅱ相試験成績(2014年1月17日承認、CTD 2.7.2.2、2.7.6.5)
9
ブレンツキシマブ ベドチンの非臨床薬物動態試験成績(2014年1月17日承認、CTD 2.6.4.4、2.6.4.5)
10
ブレンツキシマブ ベドチンの国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験成績(2022年5月26日承認、CTD 2.7.2.2、2.7.6.1)
11
ブレンツキシマブ ベドチンの国内第Ⅰ相試験成績(社内資料)
12
ブレンツキシマブ ベドチンの国際共同第Ⅲ相試験成績②(社内資料)
13
ブレンツキシマブ ベドチンの海外臨床試験成績①(2014年1月17日承認、CTD 2.7.3.2、2.7.6.3)
14
ブレンツキシマブ ベドチンの海外臨床試験成績②(2014年1月17日承認、CTD 2.7.6.4)
15
ブレンツキシマブ ベドチンの海外臨床試験成績③(社内資料)
16
ブレンツキシマブ ベドチンの海外臨床試験成績④(社内資料)
17
ブレンツキシマブ ベドチンの国内第II相試験成績(2023年11月24日承認、CTD 2.7.6.2)
18
ブレンツキシマブ ベドチンの海外臨床試験成績⑤(2023年11月24日承認、CTD 2.7.6.1)
19
Katz J et al.: Clin Cancer Res., 17(20):6428-6436, 2011.
20
ブレンツキシマブ ベドチンの薬効薬理試験成績(2014年1月17日承認、CTD 2.6.2.2)
21
ブレンツキシマブ ベドチンの非臨床薬理試験成績(2014年1月17日承認、CTD 2.6.2.2)

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