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閲覧履歴

アルンブリグ錠30mg

抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤

1錠 4185.2円

添付文書番号

4291069F1022_1_04

企業コード

400256

作成又は改訂年月

2021年5月改訂
(第4版)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤

承認等

販売名

アルンブリグ錠30mg

販売名コード

4291069F1022

販売名英字表記

ALUNBRIG Tablets 30mg

販売名ひらがな

あるんぶりぐじょう30mg

承認番号等

承認番号
30300AMX00027

販売開始年月

2021年4月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

アルンブリグ錠90mg

販売名コード

4291069F2029

販売名英字表記

ALUNBRIG Tablets 90mg

販売名ひらがな

あるんぶりぐじょう90mg

承認番号等

承認番号
30300AMX00028

販売開始年月

2021年4月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ブリグチニブ

警告

  1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療機関において、がん化学療法に十分な知識及び経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又は患者の家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  2. 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部CT検査等の実施など、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

アルンブリグ錠30mg
有効成分
1錠中
ブリグチニブとして  30mg
添加剤
乳糖水和物、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、疎水性コロイド状シリカ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、マクロゴール4000、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン
アルンブリグ錠90mg
有効成分
1錠中
ブリグチニブとして  90mg
添加剤
乳糖水和物、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、疎水性コロイド状シリカ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、マクロゴール4000、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン

製剤の性状

アルンブリグ錠30mg
剤形円形のフィルムコーティング錠
色調白色~オフホワイト
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
約7.1mm
大きさ(厚さ)
約3.6mm
質量約156mg
識別コードU3
アルンブリグ錠90mg
剤形楕円形のフィルムコーティング錠
色調白色~オフホワイト
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(長径)
約14.8mm
大きさ(短径)
約6.7mm
大きさ(厚さ)
約5.1mm
質量約468mg
識別コードU7

効能又は効果

ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

効能又は効果に関連する注意

  1. 十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html
  2. 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

用法及び用量

通常、成人にはブリグチニブとして、1日1回90mgを7日間経口投与する。その後、1日1回180mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

用法及び用量に関連する注意

副作用が発現した場合には、以下の基準を考慮して、本剤を休薬、減量又は中止すること。
ただし、本剤1日1回90mgを超える投与量の投与時において、14日間以上休薬し再開する場合、本剤の投与量は、休薬の理由を問わず7日間は1日1回90mgとすること。7日間の投与後の投与量は、副作用や患者の状態に応じて1日1回120mg又は180mgとすることができる。
用量レベル
用量レベル
本剤の1日用量(1日1回投与)
レベル2
180mg
レベル1
120mg
レベル0
90mg
レベル-1
60mg
中止
60mgで忍容性が得られない場合は、本剤の投与を中止すること。
副作用に対する休薬、減量、中止基準
副作用
程度注)
処置
間質性肺疾患
Grade 1
  • ベースラインに回復するまで休薬する。回復後、同一用量で投与再開できる。
  • 再発した場合、投与中止する。
Grade 2
  • ベースラインに回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
  • 再発した場合、投与中止する。
Grade 3又は4
投与中止する。
高血圧
Grade 3
Grade 1以下に回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
Grade 4
  • Grade 1以下に回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
  • 再発した場合、投与中止する。
徐脈
Grade 2又は3
  • Grade 1以下又は心拍数が60回/分以上に回復するまで休薬する。
    • 徐脈を起こすことが知られている併用薬があり、当該併用薬が投与中止又は減量された場合、回復後、同一用量で投与再開できる。
    • 徐脈を起こすことが知られている併用薬が投与中止・減量されない場合、又は当該併用薬がない場合、回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
Grade 4
  • Grade 1以下又は心拍数が60回/分以上に回復するまで休薬する。
    • 徐脈を起こすことが知られている併用薬があり、当該併用薬が投与中止又は減量された場合、回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
    • 徐脈を起こすことが知られている併用薬がない場合、投与中止する。
  • 再発した場合、投与中止する。
視覚障害
Grade 2又は3
Grade 1以下に回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
Grade 4
投与中止する。
クレアチンキナーゼ(CK)上昇
Grade 3又は4
(Grade 2以上の筋肉痛又は脱力を伴う)
  • Grade 1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後、同一用量又は1用量レベル減量して投与再開できる。
  • 再発した場合、Grade 1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
リパーゼ又はアミラーゼ上昇
Grade 3
  • Grade 1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後、同一用量で投与再開できる。
  • 再発した場合、Grade 1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
Grade 4
Grade 1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
高血糖
適切な治療を行っても250mg/dLを超える高血糖が持続する場合
血糖がコントロールできるまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
上記以外の副作用
Grade 3
  • ベースラインに回復するまで休薬する。回復後、同一用量又は1用量レベル減量して投与再開できる。
  • 再発した場合、Grade 1以下に回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
Grade 4
  • ベースラインに回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
  • 再発した場合、投与中止する。
注)GradeはNCI-CTCAE ver 4.03に準じる。

重要な基本的注意

  1. 間質性肺疾患があらわれることがあるので、息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。また、胸部CT検査等の実施など、患者の状態を十分観察すること。必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLCO)等の検査を行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 間質性肺疾患又はその既往歴のある患者
    間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。

腎機能障害患者

  1. 重度の腎機能障害(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)のある患者
    減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。

肝機能障害患者

  1. 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
    減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。

生殖能を有する者

  1. 妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること。
  2. パートナーが妊娠する可能性のある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
  3. 生殖可能な年齢の男性に投与する場合には、造精機能の低下があらわれる可能性があることを考慮すること。反復投与毒性試験(ラット及びサル)で、最大臨床用量(180mg/日)におけるブリグチニブの曝露量(AUC)のそれぞれ約0.6倍及び0.12倍の曝露量で精巣毒性(ラットで精巣、精巣上体の大きさ及び重量の低値並びに精細管の変性及び精巣上体における精子減少、サルで精巣、精巣上体の大きさ及び重量の低値)が認められた。また、これらの精巣、精巣上体に対する作用は、ラットでは回復性がみられなかった,

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
ラットを用いた胚・胎児発生毒性試験において、最大臨床用量(180mg/日)におけるブリグチニブの曝露量(AUC)の約0.5倍の曝露量で胎児重量の低値及び骨格変異が、約0.8倍の曝露量で吸収胚数及び着床後死亡率の増加並びに奇形(外表、内臓及び骨格)が認められている。

授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤は乳汁中に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

本剤は、主に薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
強い又は中程度のCYP3A阻害剤
イトラコナゾール
クラリスロマイシン
ジルチアゼム
グレープフルーツ(ジュース)
本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は避け、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用が避けられない場合は、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
左記薬剤等との併用により本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
強い又は中程度のCYP3A誘導剤
リファンピシン
フェニトイン
カルバマゼピン

セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の効果が減弱するおそれがあるため、これらの薬剤との併用は避け、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
左記薬剤等との併用により本剤の代謝が促進され、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 間質性肺疾患(6.3%)
  2. 膵炎(頻度不明)
  3. 肝機能障害(32.2%)
    ALT、AST、AL-P等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。

その他の副作用

20%以上
5~20%未満
5%未満
頻度不明
呼吸器
咳嗽
呼吸困難、肺炎
上気道感染
血液
好中球減少症、血小板減少症、白血球減少症、貧血、リンパ球減少症
活性化部分トロンボプラスチン時間延長
循環器
高血圧
徐脈、心電図QT延長、頻脈
動悸
消化器
下痢(40.4%)、悪心
口内炎、嘔吐、便秘、食欲減退、腹痛
口内乾燥、消化不良
鼓腸
精神神経系
頭痛、味覚異常、末梢性ニューロパチー、浮動性めまい、不眠症
記憶障害
筋・骨格系
CK上昇(54.8%)
筋肉痛
関節痛、四肢痛
筋骨格系胸痛、筋骨格硬直
肝臓
LDH上昇
皮膚
発疹
光線過敏性反応、そう痒症
皮膚乾燥
その他
リパーゼ上昇、アミラーゼ上昇
疲労
血中クレアチニン上昇、血中コレステロール上昇、非心臓性胸痛、疼痛、発熱、浮腫、高血糖、視力障害、体重減少、高インスリン血症、高尿酸血症、低リン酸血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、高カルシウム血症
胸部不快感

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

非臨床試験に基づく情報
  1. 反復投与毒性試験(ラット)で、最大臨床用量(180mg/日)におけるブリグチニブの曝露量(AUC)の約0.6倍の曝露量で非回復性の白内障及び網膜変性が認められた。
  2. 遺伝毒性試験成績から、本剤は異数性誘発作用に起因した小核誘発性を持つと考えられたが、変異原性又は染色体構造異常誘発性は無いと考えられた。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回及び反復投与
    日本人ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に、本剤90mgを1日1回7日間経口投与した後180mgを1日1回経口投与したときの、投与1日目(単回投与)及び投与22日目(反復投与)の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を以下に示す。
    血漿中薬物動態パラメータ
    パラメータ
    (単位)
    Cmax
    (ng/mL)
    tmax
    (h)
    AUC24
    (h∙ng/mL)
    90mg単回投与
    (N=9)
    414.0
    (52.2)
    3.98
    (1.02、7.88)
    5045注1)
    (48.4)
    180mg反復投与
    (N=9)
    2119
    (62.5)
    2.08
    (1.12、6.03)
    31130
    (60.0)
    幾何平均値(%幾何変動係数)〔tmaxは中央値(最小値、最大値)〕
    注1)N=8
    血漿中濃度-時間プロファイル

吸収

  1. 食事の影響
    健康成人21例にブリグチニブ180mg注2)を単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるブリグチニブのCmax及び全身曝露量(AUC)の幾何平均値の比は、それぞれ0.87及び0.98であった(外国人データ)。

分布

非小細胞肺癌患者にブリグチニブ180mg注2)を1日1回経口投与したときの定常状態における分布容積(Vz/F)の幾何平均値(変動係数)は306.6L(58.2%)であった(外国人データ)。
健康成人にブリグチニブ90mgを単回経口投与したときのブリグチニブの血漿蛋白結合率は約91%であった(外国人データ),

代謝

ブリグチニブは主に薬物代謝酵素CYP2C8及びCYP3A4により代謝される(in vitro)。
健康成人6例に14Cブリグチニブ180mg注2)を単回経口投与したとき、投与24時間後までの血漿中に、主に未変化体及びM36(N-脱メチル化体)が検出された(血漿中総放射能濃度に対する割合はそれぞれ91.5及び3.5%)(外国人データ)。

排泄

非小細胞肺癌患者にブリグチニブ180mg注2)を1日1回経口投与したとき、定常状態におけるブリグチニブの見かけの経口クリアランス(CL/Fss)の幾何平均値(変動係数)は8.88L/h(47.1%)、t1/2zは23.9時間(29.9%)であった(外国人データ)。
健康成人6例に14Cブリグチニブ180mg注2)を単回経口投与したとき、投与336時間後までの放射能の尿中及び糞中排泄率はそれぞれ25.0及び64.8%であった。また、投与240時間後までの尿中及び糞便中には、それぞれ未変化体及びM36、並びに未変化体、M36及びM28(システイン抱合体)が検出された(投与放射能に対する割合は、それぞれ21.4及び1.54%、並びに26.5、25.3及び9.09%)(外国人データ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    ブリグチニブ90mg注2)を単回経口投与したとき、腎機能が正常(eGFR≥90mL/min/1.73m2)な健康成人8例に対する重度(eGFR<30mL/min/1.73m2)の腎機能障害患者8例の非結合型ブリグチニブのCmax,u及びAUC∞,uの幾何平均値の比は、それぞれ1.14及び1.92であった(外国人データ)。
  2. 肝機能障害患者
    ブリグチニブ90mg注2)を単回経口投与したとき、健康成人9例に対する重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者6例の非結合型ブリグチニブのCmax,u及びAUC∞,uの幾何平均値の比は、それぞれ1.65及び1.37であった(外国人データ)。

薬物相互作用

  1. イトラコナゾール
    健康成人20例にブリグチニブ1日1回90mg注2)とイトラコナゾール(強いCYP3A阻害剤)1回200mgを1日2回併用投与したとき、ブリグチニブ単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、それぞれ1.21及び2.01であった(外国人データ)。
  2. リファンピシン
    健康成人20例にブリグチニブ1日1回180mg注2)とリファンピシン(強いCYP3A誘導剤)1日1回600mgを併用投与したとき、ブリグチニブ単独投与時に対するリファンピシン併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、それぞれ0.40及び0.20であった(外国人データ)。
  3. ベラパミル、ジルチアゼム、エファビレンツ(生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション)
    ブリグチニブ90mg単独投与時に対するベラパミル又はジルチアゼム(中程度のCYP3A阻害剤)併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、ベラパミル併用下においてそれぞれ1.15及び1.38、ジルチアゼム併用下においてそれぞれ1.13及び1.43と推定された。
    また、ブリグチニブ90mg単独投与時に対するエファビレンツ(中程度のCYP3A誘導剤)併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、それぞれ0.83及び0.53と推定された。
  4. その他
    健康成人20例にブリグチニブ1日1回90mg注2)とゲムフィブロジル(強いCYP2C8阻害剤、国内未承認)1回600mgを1日2回併用投与したとき、ブリグチニブ単独投与時に対するゲムフィブロジル併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、それぞれ0.59及び0.88であった(外国人データ)。
    ブリグチニブはP糖蛋白質(P-gp)、BCRP及びOATP1A2の基質となり、CYP3A4の誘導作用並びにP-gp、BCRP、OCT1、MATE1及びMATE2-Kの阻害作用を示した(in vitro)。
    ALK融合遺伝子陽性又はROS1融合遺伝子陽性の固形癌患者15例にブリグチニブ1日1回180mg反復投与とミダゾラム(CYP3A基質)1回3mgを単回併用投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対するブリグチニブ併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、それぞれ0.84及び0.74であった(外国人データ)。
注2)本剤の承認された用法及び用量は「通常、成人にはブリグチニブとして、1日1回90mgを7日間経口投与する。その後、1日1回180mgを経口投与する。」である。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内第Ⅱ相試験(Brigatinib-2001試験、J-ALTA試験)
    ALKチロシンキナーゼ阻害剤治療後に増悪したALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に、本剤90mgを1日1回、7日間経口投与した後180mgを1日1回経口投与した。本試験のメインコホート(アレクチニブ、又はアレクチニブ及びクリゾチニブ治療後の患者)において、主要評価項目とされたRECIST第1.1版に基づく独立画像評価委員会判定による奏効(完全奏効又は部分奏効)率[95%信頼区間]は29.8%[16.5、44.2](14/47例)であった(2019年9月26日データカットオフ)。
    本試験に登録された患者において、副作用発現頻度は98.6%(71/72例)であった。主な副作用は、血中CK増加75.0%(54例)、下痢40.3%(29例)、高血圧37.5%(27例)、悪心33.3%(24例)、リパーゼ増加31.9%(23例)、アミラーゼ増加30.6%(22例)、AST増加29.2%(21例)及び口内炎27.8%(20例)であった(2020年1月22日データカットオフ)。
  2. 海外第Ⅲ相試験(AP26113-13-301試験、ALTA-1L試験)
    ALKチロシンキナーゼ阻害剤による治療歴のないALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者275例を対象に、本剤(1日1回90mgを7日間経口投与後1日1回180mgを経口投与、137例)とクリゾチニブ(1回250mgを1日2回経口投与、138例)の有効性及び安全性を比較する非盲検無作為化比較試験を実施した。主要評価項目とされた盲検下独立画像評価委員会判定による無増悪生存期間の結果は以下の表及び図のとおりであり、クリゾチニブと比べて本剤で有意な延長が認められた(2018年2月19日データカットオフ)。
    本剤群の副作用発現頻度は91.2%(124/136例)であった。主な副作用は、血中CK増加44.1%(60例)、下痢40.4%(55例)、悪心22.8%(31例)、リパーゼ増加22.1%(30例)、AST増加21.3%(29例)であった(2019年6月28日データカットオフ)。
    独立画像評価委員会判定による無増悪生存期間(ITT集団)
    本剤群
    N=137
    クリゾチニブ群
    N=138
    中央値(月)
    [95%信頼区間]
    NE
    [NE、NE]
    9.8
    [9.0、12.9]
    ハザード比*1
    [95%信頼区間]
    0.49
    [0.32、0.74]
    p値(両側)*2
    p=0.0006
    NE:推定不能、*1:層別Cox比例ハザードモデル、*2:層別log-rank検定
    Kaplan-Meier曲線(2018年2月19日データカットオフ)

薬効薬理

作用機序
ブリグチニブはALK融合タンパクのチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられる。
抗腫瘍作用
ブリグチニブは、ALK融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来NCI-H3122又はNCI-H2228細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ブリグチニブ(Brigatinib)[JAN]
化学名
{2-[(5-クロロ-2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]アニリノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]フェニル}ジメチル-λ5-ホスファノン
分子式
C29H39ClN7O2P
分子量
584.09
性状
オフホワイト~ベージュの固体
化学構造式

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

〈アルンブリグ錠30mg〉
患者さん用パッケージ付PTP 28錠(14錠シート×2)
PTP20錠(10錠×2)
〈アルンブリグ錠90mg〉
患者さん用パッケージ付PTP 14錠(7錠シート×2)
PTP20錠(10錠×2)

主要文献

1
ブリグチニブのラット6ヶ月間経口投与毒性試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.6.3)
2
ブリグチニブのサル6ヶ月間経口投与毒性試験及び56日間回復性試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.6.3)
3
ブリグチニブのラット胚・胎児発生毒性試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.6.6)
4
ブリグチニブの国内第Ⅱ相試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.2.2)
5
ブリグチニブの食事の影響試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.1.2)
6
ブリグチニブの海外第Ⅰ/Ⅱ相試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
7
ブリグチニブの肝機能障害患者における臨床薬理試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
8
ブリグチニブの腎機能障害患者における臨床薬理試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
9
ブリグチニブのIn vitro代謝試験(2021年1月22日承認、CTD2.6.4.5)
10
ブリグチニブのマスバランス試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
11
ブリグチニブのリファンピシン、イトラコナゾール及びゲムフィブロジルとの臨床薬物相互作用試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
12
ブリグチニブのPBPKモデリング&シミュレーション(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
13
ブリグチニブのIn vitro薬物トランスポーター相互作用試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.4.7)
14
ブリグチニブの国内第Ⅱ相試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.3.3、2.7.4.2)
15
ブリグチニブの海外第Ⅲ相試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.3.3、2.7.4.2)
16
ブリグチニブのALK阻害活性評価試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.2.2)

文献請求先及び問い合わせ先

武田薬品工業株式会社 くすり相談室
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