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カーバグル分散錠200mg

高アンモニア血症治療剤

1錠 16596.9円

添付文書番号

3999041X1026_2_05

企業コード

870276

作成又は改訂年月

2020年10月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

873999

薬効分類名

高アンモニア血症治療剤

承認等

販売名

カーバグル分散錠200mg

販売名コード

3999041X1026

販売名英字表記

CARBAGLU dispersible tablets

販売名ひらがな

かーばぐるぶんさんじょう

承認番号等

承認番号
22800AMX00708

販売開始年月

2016年12月

貯法、有効期間

貯法
2~8℃保存
有効期間
36箇月

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

カルグルミン酸

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

カーバグル分散錠200mg
有効成分
1錠中 カルグルミン酸  200mg
添加剤
結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ヒプロメロース、軽質無水ケイ酸、ラウリル硫酸ナトリウム

製剤の性状

カーバグル分散錠200mg
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(長径)
約18.0mm
大きさ(短径)
約6.0mm
大きさ(厚さ)
約4.6mm
質量約500mg
識別コードcccc
色・剤形
両面に割線、片面に刻印入りの白色の棒状の錠剤

効能又は効果

下記疾患による高アンモニア血症
  • N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症
  • イソ吉草酸血症
  • メチルマロン酸血症
  • プロピオン酸血症

効能又は効果に関連する注意

適切な食事指導を行った上で、本剤を投与すること。

用法及び用量

通常、1日に体重kgあたり100mg~250mgより開始し、1日2~4回に分けて、用時、水に分散して経口投与する。その後は患者の状態に応じて適宜増減する。

用法及び用量に関連する注意

〈効能共通〉
  1. 投与開始時及び投与中も定期的に、血中アンモニア濃度等の臨床検査値、臨床症状等を確認し、患者の状態に応じて投与量を決定すること。
  2. 食事による血中アンモニア濃度の上昇を抑制するため、可能な限り食前に投与することが望ましい。
  3. 風邪、過激な運動、食事又は便秘等により高アンモニア血症が悪化した場合は適宜増量すること。また、高アンモニア血症の急性増悪が認められた場合には他の治療法も検討すること。
〈イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症による高アンモニア血症〉
  1. 高アンモニア血症が間欠的に生じることから、投与中は定期的に血中アンモニア濃度等の臨床検査値、臨床症状等を確認し、継続投与の必要性を検討すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下している。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

2%以上
2%未満
頻度不明
精神障害
高揚状態注)
神経系障害
神経系障害、味覚異常
頭痛
皮膚および皮下組織障害
多汗症
発疹
胃腸障害
下痢、嘔吐
一般・全身障害および投与部位の状態
発熱
心臓障害
徐脈
臨床検査
トランスアミナーゼ増加
頻度は、N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症患者又はイソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症による高アンモニア血症患者を対象とした外国のレトロスペクティブ研究で報告された副作用を併合した結果を記載した。
注)外国のレトロスペクティブ研究で報告されていないため、国内第III相試験における頻度を記載した。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
  1. 外箱等で光を避けた状態で、ボトルごと交付すること。
  2. 以下の注意点を患者に指導すること。
    1. 服用時
      • 本剤を噛み砕いたり、丸ごと飲み込んだりせず、水に分散させて服用すること。分散に際しては、水以外の液体は使用しないこと。
      • コップや経口用シリンジ等の容器に本剤1錠あたり2.5mL以上の水を加え、静かに振盪して、速やかに分散させること。経口投与が困難な場合は経鼻胃管等による投与を考慮すること。
      • 分散後は速やかに服用すること。
      • 本剤は完全には水に溶けないことから、本剤が容器に残った場合は、再度水に分散させて服用すること。経鼻胃管等の場合は再度水で流して投与すること。
    2. 保存時
      • 開封前は2~8℃で冷蔵保存し、開封時には室温に戻してから使用すること。開封後はボトルの蓋をしっかりと閉め、湿気を避けて30℃以下の室温で保存すること。
      • 未使用の錠剤及び分割錠はボトルの中で保存すること。

その他の注意

非臨床試験に基づく情報
雌雄ラットを用いた2年間反復投与がん原性試験において、ヒトに1日250mg/kgを投与した場合の曝露量(AUC)の約1.7~1.8倍以上の曝露量で、心臓における弁粘液腫様変化及び僧帽弁血栓症の発現頻度の増加及び増悪、血栓に起因する腎梗塞が認められたとの報告がある 。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    外国人健康成人男性12例にカルグルミン酸100mg/kgを空腹時に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは、下表のとおりであった (外国人データ)。
    外国人健康成人男性にカルグルミン酸100mg/kgを空腹時に単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC0-t
    (ng・h/mL)
    tmax
    (h)
    t1/2
    (h)
    Vd/F
    (L)
    CLr
    (mL/min)
    2708±818
    21126±6580
    3.00
    [2.00, 4.00](*1)
    6.00±1.50(*2)
    2783±1107
    295±73
    n=12、平均値±標準偏差
    *1)中央値[最小値, 最大値]
    *2)n=11
  2. 反復投与
    日本人のイソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症による高アンモニア血症患者(男性4例、6~16歳)に本剤を反復経口投与したときの各被験者の血漿中未変化体濃度は、下表のとおりであった 。
    日本人患者における血漿中未変化体濃度
    病型
    1日用量
    (mg/kg)
    採血直前の用量
    (mg/kg)
    評価時期
    血漿中未変化体濃度(ng/mL)(*1)
    イソ吉草酸血症
    118
    58.8
    投与1日目
    924
    投与4日目
    1850
    メチルマロン酸血症
    115
    38.5
    投与1日目
    2680
    投与3日目
    5350
    プロピオン酸血症
    103
    32.6
    投与1日目
    1940
    投与5日目
    2900
    プロピオン酸血症
    110
    36.6
    投与1日目
    1380
    投与5日目
    2880
    *1)投与1日目における血漿中未変化体濃度は本剤初回投与約2時間後、投与3~5日目における血漿中未変化体濃度は本剤投与約2~5時間後の範囲で測定された。

代謝

外国人健康成人男性3例に14C標識化したカルグルミン酸100mg/kgを空腹時に単回経口投与したとき、主な代謝物は確認されなかった (外国人データ)。
カルグルミン酸はCYP1A1/2、2B6、3A4/5及び2Cに対して誘導作用を示さず、CYP1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4/5に対して阻害作用を示さなかった (in vitroデータ)。

排泄

外国人健康成人男性3例に14C標識化したカルグルミン酸100mg/kgを空腹時に単回経口投与したとき、投与168時間後までに投与量の約9%が尿中に、最大60%が糞中に排泄された。大部分が未変化体として排泄された。投与24時間後までの総放射能に対する呼気中累積排泄率は0.53~3.8%であった (外国人データ)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症による高アンモニア血症〉
  1. 国内第III相試験
    日本人のイソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症による高アンモニア血症患者(男性4例、6~16歳)に本剤を経口投与したときの各被験者の血中アンモニア濃度は下表のとおりであった。投与期間は原則として5日間とされたが、治験担当医師により継続投与が必要と判断された場合は2週間とされた 。
    日本人患者における血中アンモニア濃度
    病型
    イソ吉草酸血症
    メチルマロン酸血症
    プロピオン酸血症
    プロピオン酸血症
    用法・用量
    118mg/kg/日, 分2
    115mg/kg/日, 分3
    103mg/kg/日, 分3
    110mg/kg/日, 分3
    1回毎の用量(mg)
    1000, 1000
    1000, 1000, 1000
    1600, 1400, 1400
    1200, 1200, 1200
    投与期間(日)
    4
    6
    5
    5
    血中アンモニア濃度(μg/dL)
    投与開始前
    184
    98
    74
    54
    投与1日目(*1)
    40
    70
    99
    22
    投与3~5日目(*2)
    28
    51
    67
    39
    *1)本剤初回投与約2時間後に測定された。
    *2)本剤投与約2~5時間後の範囲で測定された。
    副作用発現頻度は25.0%(1/4例)であり、発現した副作用は高揚状態であった。
  2. 海外レトロスペクティブ研究
    外国人のイソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症による高アンモニア血症患者57例(男性27例、女性30例)において、67回の高アンモニア血症が発現した。カルグルミン酸投与開始時における年齢(中央値[最小値, 最大値]、以下同様)は0[0, 265]ヵ月、体重は3.3[1.9, 75.3]kgであった。新生児は37例であった。
    高アンモニア血症発現毎の1日用量、血中アンモニア濃度の推移は下表のとおりであった。なお、1回の高アンモニア血症に対する評価期間はカルグルミン酸の投与終了時又は最大投与15日目までとされ、評価期間は4.0[1, 16]日間であった。16日間を超えて継続投与されたのは、67回の高アンモニア血症中3回であった 。
    高アンモニア血症発現毎の1日用量及び血中アンモニア濃度の推移(全体(*1)
    1日用量(mg/kg)
    血中アンモニア濃度
    (μg/dL)
    投与開始前
    387.0[136.8, 2939.4](48回)
    投与1日目
    105.3[17.9, 909.1](67回)
    306.9[17.6, 1098.9](32回)
    投与2日目
    98.8[20.0, 909.1](59回)
    170.1[39.6, 747.9](44回)
    投与3日目
    94.9[16.7, 909.1](44回)
    115.4[43.2, 332.1](32回)
    投与4日目
    86.7[20.0, 909.1](38回)
    80.1[26.1, 236.7](22回)
    最終評価時
    94.9[6.6, 909.1](67回)
    93.6[27.0, 284.4](48回)
    中央値[最小値, 最大値]、括弧内の回数は高アンモニア血症発現数
    *1)メチルマロン酸血症と誤診断された1例を含む
    病型別の高アンモニア血症発現毎の1日用量及び血中アンモニア濃度の推移
    イソ吉草酸血症(5例)
    メチルマロン酸血症(24例)
    プロピオン酸血症(27例)
    年齢(月齢)
    0[0, 45]
    0[0, 118]
    7[0, 265]
    体重(kg)
    2.6[2.0, 16.0]
    2.9[1.9, 26.5]
    7.6[1.9, 75.3]
    評価期間(日)
    5[2, 5]
    5[1, 15]
    4[1, 16]
    1日用量(mg/kg)
    投与1日目
    150.0[50.0, 200.0]
    (5回)
    117.6[17.9, 259.3]
    (28回)
    100.0[30.0, 909.1]
    (33回)
    最終評価時
    150.0[25.0, 355.8]
    (5回)
    74.1[16.6, 204.1]
    (28回)
    100.0[6.6, 909.1]
    (33回)
    血中アンモニア濃度(μg/dL)
    投与開始前
    783.0[295.2, 2939.4]
    (4回)
    446.0[137.0, 1562.4]
    (25回)
    383.4[136.8, 2160.0]
    (19回)
    最終評価時
    81.0[48.6, 167.4]
    (4回)
    104.4[77.4, 171.0]
    (25回)
    75.6[57.6, 114.7]
    (19回)
    中央値[最小値, 最大値]、括弧内の回数は高アンモニア血症発現数
    血中アンモニア濃度が60μmol/L(108μg/dL)以下に到達するまでの期間は、69%の患者で2日以内、81%の患者で3日以内であった。
    副作用発現頻度は1.8%(1/57例)であり、発現した副作用は神経系障害であった。
〈N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症による高アンモニア血症〉
  1. 海外レトロスペクティブ研究
    外国人のN-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症患者23例(男児14例、女児9例)について、カルグルミン酸投与開始時において新生児は9例、2~11ヵ月齢は9例、1~13歳は5例、体重(中央値[最小値, 最大値]、以下同様)は5.3[2.6, 43.0]kgであった。1日用量、血中アンモニア濃度の推移は下表のとおりであり、最終評価時におけるカルグルミン酸の投与期間は95.1[7.4, 248.5]ヵ月であった 。
    1日用量及び血中アンモニア濃度の推移
    1日用量(mg/kg)
    血中アンモニア濃度
    (μg/dL)
    投与開始前
    255.6[52.2, 2570.4](20例)
    投与1日目
    142.0[100, 396](19例)
    投与2日目
    140.0[59, 325](7例)
    110.7[45.0, 2142.0](14例)
    投与3日目
    118.0[36, 194](4例)
    97.2[19.8, 459.0](11例)
    投与4日目
    106.0[98, 231](3例)
    53.1[21.6, 223.2](6例)
    最終評価時
    16.0[5, 47](15例)
    45.0[12.6, 754.2](21例)
    中央値[最小値, 最大値]
    副作用発現頻度は17.4%(4/23例)であり、主な副作用は味覚異常、多汗症であった。

薬効薬理

作用機序
N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症は、尿素サイクル異常症の一つであり、NAGS遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患である。尿素サイクルの最初のステップを担うカルバミルリン酸合成酵素I(CPSI)の活性化に必要なN-アセチルグルタミン酸(NAG)を合成出来ないことにより、高アンモニア血症を呈する。
メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症及びイソ吉草酸血症は、有機酸代謝異常症に分類されており、アミノ酸代謝経路の酵素欠損による常染色体劣性遺伝疾患である。蓄積した中間代謝物によりNAGSが阻害されることにより、タンパク異化ストレスを契機に間欠的に高アンモニア血症を呈する。
カルグルミン酸はNAGの構造類似体であり、NAGに代わってCPSIを活性化し、尿素サイクルを賦活化させることにより血中アンモニア濃度を低下させる。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
カルグルミン酸(Carglumic Acid)[JAN]
化学名
(2S)-2-(Carbamoylamino)pentanedioic acid
分子式
C6H10N2O5
分子量
190.15
性状
白色の粉末又は無色の結晶である。本品は水にやや溶けにくく、有機溶媒にほとんど溶けない。
化学構造式
融点
159~163℃

承認条件

  1. 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

包装

5錠、60錠[バラ、乾燥剤入りポリプロピレン製キャップ並びにポリエチレン製ボトル]

主要文献

1
社内資料:がん原性試験(2016年9月28日承認、CTD2.6.6.5)
2
社内資料:薬物動態試験(外国)(2016年9月28日承認、CTD2.7.6.2)
3
社内資料:第III相臨床試験(国内)(2016年9月28日承認、CTD2.7.6.5)
4
社内資料:マスバランス試験(外国)(2016年9月28日承認、CTD2.7.6.3)
5
社内資料:薬物相互作用試験(2016年9月28日承認、CTD2.7.2.2.1)
6
社内資料:レトロスペクティブ研究(外国:有機酸代謝異常症)(2016年9月28日承認、CTD2.7.6.7)
7
社内資料:レトロスペクティブ研究(外国:N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症)(2016年9月28日承認、CTD2.7.6.6)

文献請求先及び問い合わせ先

レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社
〒107-0052 東京都港区赤坂4-8-18
TEL 03-4510-2922

製造販売業者等

製造販売元
レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社
東京都港区赤坂4-8-18

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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