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ヒーロンV眼粘弾剤2.3%シリンジ0.6mL

眼科手術補助剤

1筒 7162.2円

作成又は改訂年月

2018年6月作成
(第1版)

日本標準商品分類番号

871319

薬効分類名

眼科手術補助剤

承認等

販売名

ヒーロンV眼粘弾剤2.3%シリンジ0.6mL

販売名コード

1319720Y1040

承認・許可番号

23000AMX00195000
HealonV Ophthalmic Viscoelastic Substance 2.3% syringe 0.6mL

薬価基準収載年月

2018年6月

販売開始年月

2018年6月

貯法・使用期限等

貯法
凍結を避け、2〜8℃で遮光保存
使用期限
外箱に記載(製造から3年)

組成

有効成分(含量)
[1製剤(0.6mL)中]
日局 精製ヒアルロン酸ナトリウム(13.8mg)
添加物
塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、pH調節剤

性状

性状 無色澄明な粘稠性のある液
pH 7.1〜7.6
粘度 2.2〜5.0(kPa・s)
浸透圧比 1.0〜1.4(生理食塩液に対する比)

一般的名称

精製ヒアルロン酸ナトリウム製剤

原則禁忌

・本剤の成分又は蛋白系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
・緑内障、高眼圧症の患者〔術後に著しい眼圧上昇を起こすおそれがある。[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「適用上の注意4.除去方法」の項参照]〕

効能又は効果

白内障手術・眼内レンズ挿入術における手術補助

用法及び用量

白内障手術・眼内レンズ挿入術を連続して施行する場合には、通常0.3〜0.6mLを前房内へ注入する。また、必要に応じて、眼内レンズのコーティングに約0.1mL使用する。ただし、白内障手術又は眼内レンズ挿入術のみを施行する場合には、以下のとおりとする。
白内障手術:通常0.1〜0.3mLを前房内へ注入する。
眼内レンズ挿入術:眼内レンズ挿入前に、通常0.1〜0.4mLを前房内へ注入する。また、必要に応じて、眼内レンズのコーティングに約0.1mL使用する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

本剤は粘弾性が高く術後に本剤の除去が不十分な場合には、著しい眼圧上昇を起こすおそれがあるので、本剤の使用にあたっては、除去方法について十分に理解し、術後本剤の除去を徹底するとともに、眼圧上昇に注意すること[「重要な基本的注意」及び「適用上の注意4.除去方法」の項参照]。

使用上の注意

重要な基本的注意

注意深く、ゆっくりと注入すること。
過量に注入しないこと(術後の眼圧上昇の原因となる可能性がある)。
超音波乳化吸引術を行う前に吸引灌流を行い、水晶体と本剤との間に灌流液で満たした空間を作ること(空間が不十分なまま超音波乳化吸引を行うとチップの閉塞により、灌流不全となり角膜熱傷を起こすことがある)。
特に手術直後は、注意深く眼圧を観察すること。もし眼圧上昇があらわれた場合は適切な処置を行うこと。
手術後、吸引灌流し、挿入したレンズの後方や前房隅角等眼内すべてから本剤を完全に除去すること(眼圧上昇を起こすことがある)。

副作用

副作用等発現状況の概要

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

その他の副作用

以下のような副作用が現れた場合、症状に応じて適切な処置を行うこと。
眼圧上昇、角膜浮腫、近視、虹彩炎、角膜熱傷、炎症反応、嚢胞様黄斑浮腫、角膜混濁、前房出血、虹彩新生血管、虹彩後癒着、結膜癒着不全、散瞳、水晶体混濁、浅前房、疼痛、霧視、かゆみ
その他
嘔気・嘔吐、眼内レンズ表面の混濁
注:角膜熱傷は海外において市販後に本剤で報告されている。またそれ以外は他の眼科用ヒアルロン酸ナトリウム製剤において認められている。

適用上の注意

投与経路
本剤は眼科用剤として、用法・用量にしたがって投与し、血管内へは投与しないこと。
投与時
本剤は冷所に保存するので、投与に先立って室温に30分以上保つことが望ましい。
本剤の使用にあたっては、添付の滅菌済カニューレ(25G)を使用し、カニューレがシリンジに完全に装着したことを確認してから使用すること。装着が完全でないと、使用中にカニューレが外れ重大な事故が起こるおそれがある。
本剤の有効成分である精製ヒアルロン酸ナトリウムは、ベンザルコニウム塩化物等の第4級アンモニウム塩及びクロルヘキシジンにより沈殿を生じることがあるので十分注意すること。
本剤の開封後の使用は1回限りとし、残液は容器とともに廃棄すること。
添付の滅菌済カニューレの使用上の注意
本品はガンマ線滅菌され、1回限りの使用になっている。再使用はしないこと。
包装が破損しているものや、汚れているもの、製品そのものに異常が見られるものは使わないこと。
包装を開けたらすぐに使用し、使用後は処分すること。
除去方法1)
海外で実施された 2種類の除去方法について、先発製剤(ヒーロンV0.6)での比較試験が実施されている。その結果、Behind the Lens(BTL)法群はRock'n Roll法群に比べて、術後早期の眼圧上昇が少なく(下記)、本剤の除去方法は BTL法を用いるのが望ましい。小瞳孔等によりBTL法を実施することが困難な場合は、Rock'n Roll法を用いて、除去を行う。
除去方法別の眼圧変化 平均±SD(mmHg)
BTL法群(n=80)
術前:15.9±2.7
術後5時間:22.4±7.6
術後24時間:16.8±4.3
Rock'n Roll法群(n=79)
術前:15.7±2.8
術後5時間:25.6±10.4
術後24時間:16.0±3.9
Behind the Lens(BTL)法

超音波装置の灌流/吸引モード設定:標準的なI/Aチップ0.3mm使用
流量 20〜25mL/min
吸引圧注) 250〜300mmHg(最高500mmHgまで吸引可能)
灌流ボトル高 目の高さより60〜70cm上
注:ペリスタルティックポンプの場合には上限よりに、ベンチュリーポンプの場合には下限よりにセットする。
前房がまだ本剤で満たされており、眼内レンズをセンタリングしていない状態で除去を開始する。
吸引口を上に向けて、灌流せずにI/Aチップを眼内レンズの裏に入れ、灌流/吸引を開始する。
本剤を水晶体のうから除去した後、眼内レンズのセンタリングを確認する。本剤を水晶体のうから除去する間、灌流を継続することにより水晶体を膨張させ続けることができ、水晶体のうを吸引する危険性が少なくなる。灌流を続けながら、チップを光学部の裏から取り出し、光学部の表側に置く。
虹彩面または光学部表面でI/Aチップを円を描くように回しながら除去を続け、次に前房隅角に注意しながら前房内をさらに洗浄する。
Rock'n Roll法

超音波装置の灌流/吸引モード設定:標準的なI/Aチップ0.3mm使用
流量 25〜30mL/min
吸引圧注) 350〜500mmHg
灌流ボトル高 目の高さより60〜70cm上
注:ペリスタルティックポンプの場合には上限よりに、ベンチュリーポンプの場合には下限よりにセットする。
リニア・コントロールの場合、術者が足のペダルを十分に押し下げて灌流/吸引の操作を行う。
虹彩面上で円を描くようにI/Aチップを回す。
I/Aチップを眼内レンズの光学部の表面に置く。眼内レンズ光学部の片側を静かに押さえつけて、I/Aチップを回転させ、水晶体のう内へ灌流液を導く。
I/Aチップの吸引口を水晶体のうの赤道面に向け、数秒間この状態を維持し、それから本剤が完全に除去されるまで眼内レンズ光学部のもう一方の側で同様の手順を繰り返す。最後に隅角を含め前房内を洗浄し、必要であれば2)、3)の手順を繰り返す。

薬物動態

[参考]2)
ウサギの眼球の前房内に投与したヒアルロン酸ナトリウムは、低分子化されることなく48時間後にはほぼ100%が前房隅角から消失する。
血中に移行したヒアルロン酸は主に肝臓で単糖に代謝され、その後糖蛋白質合成に再利用されるものと、二酸化炭素に分解されるものがあると考えられた。

臨床成績

先発製剤(ヒーロンV0.6)について、国内7施設79例においてヒアルロン酸ナトリウム1%製剤(ヒーロン)を対照薬とした比較臨床試験が実施され、有効性と安全性が確認された。有効性が「良い」・「非常に良い」と判定された症例は、「超音波水晶体乳化吸引術中の眼内滞留能」において77.2%、「連続環状嚢切開中の前房深度の形成能」において97.5%であった。
また、角膜保護作用の指標である角膜内皮細胞減少率は2.1%であり、1%製剤と同等であった。3)

薬効薬理

前房深度形成能4,5)
ブタ摘出眼球で本剤及び先発製剤(ヒーロン V0.6眼粘弾剤 2.3%)を用いた試験において、白内障手術及び眼内レンズ挿入術の全ての段階で前房が形成され、特に連続環状嚢切開による前嚢切開時及び超音波水晶体乳化吸引術による水晶体摘出術時において十分な前房深度形成能が認められた。その結果、手術空間が十分に確保され、手術の容易性を向上させた。
(表1参照)
角膜内皮保護作用4,5)
ユカタンミニブタ(n=6)で右眼・本剤、左眼・先発製剤(ヒーロンV0.6眼粘弾剤2.3%)を用いた眼内レンズ挿入術を実施し、角膜内皮細胞保護効果を検証した。術後14日までの経過観察において、試験全体で角膜内皮細胞数、角膜厚及び細胞密度に関して、明らかな左右差はみられず、本剤は先発製剤と同等の角膜内皮保護効果を有することを確認した。
前房深度形成能及び角膜内皮保護作用の機序4,5)
前房深度形成能についてはヒアルロン酸ナトリウムの高い粘稠性に基づくと考えられる。また、角膜内皮保護作用についてはその高い粘稠性が一種の潤滑剤として働いていること及び深い前房を形成することで手術空間が十分に確保されることに基づくと考えられる。

薬効薬理の表

表1 前房深度(対処置前(%)±SD)
  注入後 水晶体除去後
本剤 n=10 156.11±4.60 94.90±4.04
先発製剤 n=3 156.60±5.67 84.53±5.09

有効成分に関する理化学的知見

一般名
精製ヒアルロン酸ナトリウム(Purified Sodium Hyaluronate)
分子式
(C14H20NNaO11)n
分子量
平均分子量150万〜390万
構造式
性状
本品は白色の粉末、粒又は繊維状の塊である。本品は水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
本品は吸湿性である。

取扱い上の注意

安定性試験の概要
加速試験(25℃、相対湿度60%、6ヵ月)及び長期保存試験(5℃、24ヵ月)の結果、ヒーロンV眼粘弾剤2.3%シリンジ0.6mLは貯法で定められた条件下において3年間安定であることが推測された。

包装

無色ガラス容器(内筒)入り注射筒(外筒はプラスチック製)入り
0.6mL×1筒
滅菌済カニューレ(25G)1本

主要文献及び文献請求先

主要文献

1
社内資料
2
武智和男ほか.基礎と臨床 1985;19:3093-3120
3
社内資料
4
社内資料
5
社内資料

文献請求先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。

エイエムオー・ジャパン 株式会社
〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-13-1
TEL. 03-5402-8920
FAX. 03-5402-8593

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
エイエムオー・ジャパン 株式会社
東京都港区虎ノ門5-13-1

その他の説明(付属機器の取り扱い等)

〔ヒーロンV眼粘弾剤2.3%シリンジ0.6mLの使用法〕
注射筒及びカニューレが落ちないように注意してシールをはがす。
注射筒及びカニューレを取り出す。
●つまんで引き出す方法

●清潔域に落とす方法
無色ガラス容器(内筒)を完全に押し込み、針でゴム栓を突き破る。

〈注意〉
必ず最初に無色ガラス容器(内筒)の後端を指で押して、最後まで押し込むこと。
プランジャーロッド(押子)を先に使用すると本剤の逆流又は流出のおそれがある。
プランジャーロッド(押子)を外す。
プランジャーロッド(押子)をゴムのプランジャー(押子先端)にねじ込む。
添付の滅菌済カニューレを使用し、しっかり回して固定する。

開封後の使用は1回限りとする。
<注意>
ブリスター内は無菌包装されています。開封前に破れ、はがれ等があった場合は使用しないでください。

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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