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タイロゲン筋注用0.9mg

遺伝子組換えヒト型甲状腺刺激ホルモン製剤

1瓶 106865円

作成又は改訂年月

**
2021年11月改訂
(第7版)
*
2017年5月改訂

日本標準商品分類番号

87799

日本標準商品分類番号等

**2020年6月
2012年5月

薬効分類名

遺伝子組換えヒト型甲状腺刺激ホルモン製剤

承認等

販売名

タイロゲン筋注用0.9mg

販売名コード

7990403E1025

承認・許可番号

22000AMX02370000
THYROGEN

薬価基準収載年月

2008年12月

販売開始年月

2009年1月

貯法・使用期限等

貯法
2〜8℃、遮光保存
使用期限
包装に表示されている期限内に使用すること

規制区分

生物由来製品
処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1バイアルを日局注射用水1.2mLで溶解した時の1.0mL中
有効成分:1バイアル中の含量
ヒトチロトロピン アルファ(遺伝子組換え)注1):0.9mg
添加物:1バイアル中の含量
D-マンニトール:29mg
塩化ナトリウム:1.9mg
リン酸二水素ナトリウム一水和物:1.1mg
リン酸水素二ナトリウム七水和物:3.0mg
注1)チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生。本剤は製造工程でドナーウシ血清を使用している。また、セルバンク調製時にドナーウシ血清、ドナー仔ウシ血清及びウシ胎児血清を使用している。

性状

本剤は白色〜類白色の凍結乾燥粉末又は塊である。本剤1バイアルをとり、日局注射用水1.2mLを加えて溶かすとき、無色澄明な液で異物を認めない。

一般的名称

ヒトチロトロピン アルファ(遺伝子組換え)筋注用凍結乾燥製剤
Thyrotropin human alfa(genetical recombination)

禁忌

本剤の成分又は甲状腺刺激ホルモン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
妊婦、妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

効能又は効果

効能又は効果に関連する使用上の注意

本剤は甲状腺全摘又は準全摘術を施行された患者以外の患者には有効性及び安全性は確立していないのでそれらの患者には投与しないこと。
分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は準全摘術を施行された患者における、放射性ヨウ素シンチグラフィと血清サイログロブリン(Tg)試験の併用又はTg試験単独による診断の補助。
分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は準全摘術を施行された遠隔転移を認めない患者における残存甲状腺組織の放射性ヨウ素によるアブレーションの補助。

用法及び用量

本品1バイアルに日局注射用水1.2mLを加えて溶解し、その1mL(ヒトチロトロピン アルファ(遺伝子組換え)として0.9mg)を臀部筋肉内に24時間間隔で2回投与する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

放射性ヨウ素の投与は、本剤最終投与24時間後とする。スキャニングは、放射性ヨウ素投与48時間〜72時間後に行う。ただし術後アブレーションの際のスキャニングは、放射線量の減衰を考慮して適切な時期に行うこと。Tg試験を実施する時の血清検体の採取は、本剤最終投与72時間後とする。

使用上の注意

慎重投与

転移癌のある甲状腺癌患者[腫瘍の増大による局所的な浮腫や出血の可能性がある。(局所的な腫瘍の拡大が患者の生死に関わる場合には、本剤の投与に先立ち、副腎皮質ステロイド剤を前もって投与することを推奨する。)]
心疾患を有する又は既往歴のある患者、多量の残存甲状腺組織がある患者[血清中の甲状腺ホルモン濃度が上昇することがある。また、ごく稀に甲状腺機能亢進症や心房細動を発現するとの報告がある。]
ウシ甲状腺刺激ホルモンの投与を受けたことのある患者[過敏症状発現の可能性を上昇させるおそれがある。]
腎機能障害患者[放射性ヨウ素の服用量は、核医学医師によって注意深く使用すること。透析を必要とする末期腎不全患者では、本剤の排泄が遅くなり、高い血中濃度の延長をもたらす。]
肝機能が低下している患者[投与経験が少なく安全性が確立していない。]

重要な基本的注意

本剤は、甲状腺癌患者の管理に精通した医師の監督下に使用すること。
本剤投与後のTg濃度は、一般に、甲状腺ホルモン投与中止後のTg濃度よりも低く、両処置間でのTg濃度は必ずしも相関しない。
本剤はたん白質製剤であるため、重篤な過敏症状が発現する可能性は否定できないので、観察を十分に行い、過敏症状等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
本剤の投与後に、残存甲状腺組織または転移癌の増大が起きることがあり、これにより、腫瘍部位によっては、急性症状を示すことがある。例えば、中枢神経系転移癌患者で、片麻痺、不全片麻痺又は視力喪失が生じた。本剤投与後に、転移部位での喉頭浮腫痛や気管切開を要する呼吸困難も認められている。局所的な腫瘍の拡大が患者の生死に関わる場合には、副腎皮質ステロイド剤を前もって投与することを推奨する。

副作用

副作用等発現状況の概要

○診断補助
国内臨床試験での承認時までの調査における10例中7例(70.0%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。副作用としては、白血球減少3件3例(30%)、眼瞼浮腫1件1例(10%)、悪心1件1例(10%)、嘔吐1件1例(10%)、食欲減退1件1例(10%)、呼吸困難1件1例(10%)、白血球増加1件1例(10%)、尿中ブドウ糖陽性1件1例(10%)、血中乳酸脱水素酵素増加1件1例(10%)が認められた。
海外臨床試験4試験において419例中96例(22.9%)に副作用が認められた。主な症状として、悪心50件46例(11.0%)、頭痛39件28例(6.7%)、無力症14件13例(3.1%)、めまい10件9例(2.1%)等が認められた。
○アブレーション補助
海外臨床試験2試験において62例中18例(29.0%)に副作用が認められた。主な症状として、悪心9件7例(11.3%)、疲労6件5例(8.1%)、味覚消失4件3例(4.8%)、骨痛3件3例(4.8%)等が認められた。

その他の副作用

消化器
10%以上1)
悪心
消化器
1〜10%1)
嘔吐
消化器
1%未満1)
食欲不振、消化不良、腹痛、下痢、口渇
*消化器
頻度不明2)
腹部不快感
精神神経系
1〜10%1)
頭痛、浮動性めまい、異常感覚
精神神経系
1%未満1)
錯感覚、情動不安定
血液
1%未満1)
白血球減少
血管系
1%未満1)
血管拡張
循環器
1%未満1)
高血圧
筋・骨格系
1%未満1)
骨痛、頸痛
呼吸器
1%未満1)
呼吸困難
呼吸器
頻度不明2)
発声障害
泌尿器
頻度不明2)
頻尿
皮膚
1%未満1)
発疹3)、蕁麻疹、脱毛症、発汗、紅斑性丘疹
1%未満1)
眼球炎
その他
1〜10%1)
無力症、疲労、悪寒
その他
1%未満1)
インフルエンザ様症状4)、味覚消失、疼痛、発熱、投与部位反応、味覚異常、浮腫、高コレステロール血症
その他
頻度不明2)
倦怠感、異常感、胸部不快感
注:1)発現頻度は国内及び海外臨床試験の結果を合算し算出した。
注:2)国内の自発報告等で報告されたものを頻度不明とした。
注:3)本剤投与時の過敏症については、臨床試験、市販後調査、進行性疾患の患者に対する一般臨床試験において、蕁麻疹、発疹、そう痒症、潮紅、呼吸器徴候および症状が報告されている。
注:4)本剤の投与は、発熱(38℃以上)、悪寒、戦慄、筋肉痛、関節痛、疲労、無力症、倦怠感、頭痛(限局性ではない)を伴う一過性(48時間以内)のインフルエンザ様症状(FLSとも呼ばれる)の原因となることがある。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

動物での生殖試験は実施されておらず、妊婦への投与に関する安全性は確立していない。また、本剤がヒトの母乳中へ移行するかは不明である。妊婦、妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦には投与しないこと。

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。

過量投与

海外における臨床試験3例および一般試験1例が、推奨されたものより高用量の本剤が投与された。臨床試験の2例は2.7mgの筋肉内投与後に悪心が発現し、うち1例は、脱力、浮動性めまい及び頭痛を併発した。残りの1例は3.6mgの筋肉内投与後に悪心、嘔吐及びほてりが発現した。また、一般試験では、甲状腺摘出術が施されていない77歳の患者が、6日間で本剤0.9mgの4回投与を受け、2日後に心房細動、心代償不全及び致命的な心筋梗塞を発現した。
さらに、海外における臨床試験で1例が、本剤0.3mgを単回静脈内投与され、15分後に重度の悪心、嘔吐、発汗、低血圧及び頻脈が発現した。
過量投与及び静脈内投与された患者に対する治療法として、体液バランスの調整及び制吐薬の投与が考えられる。

適用上の注意

投与経路
本剤は筋肉内注射にのみ使用すること。
調製方法
バイアルに日本薬局方注射用水1.2mLを加え溶解する。異物や変色の見られたバイアルは使用しないこと。また、溶解後は速やかに使用すること。
各バイアルは1回限りの使用とすること。

その他の注意

本剤誘発Tg試験を放射性ヨウ素シンチグラフィと併用しても、甲状腺癌を検出できない、あるいは疾患の程度を過小評価する危険性があることに注意が必要である。必要に応じて、甲状腺ホルモン投与中止後に放射性ヨウ素シンチグラフィを併用してTg試験を実施することを考慮すること。
抗Tg抗体はTg測定に干渉し、Tg濃度の正しい測定を困難にする。従って、抗Tg抗体陽性症例においては、本剤投与後の放射性ヨウ素スキャン像が陰性もしくは低レベル期であっても、例えば、甲状腺癌の局在及び程度を確認するための甲状腺ホルモン投与中止後スキャンを追加実施する等を考慮すること。

薬物動態

分化型甲状腺癌により甲状腺全摘術を施行された患者(日本人9例)および全摘又は準全摘術を施行された患者(外国人3例)に本剤を24時間間隔で2回投与した国内1)および海外2)臨床試験における血中濃度パラメータ(平均値±標準偏差)を表に、国内臨床試験における血清中TSH濃度の推移(平均値±標準偏差)を図に示した。

薬物動態の表

  Tmax(時間) Cmax(μIU/mL)
日本人(9例) 28.75±14.21 240.8±65.9
外国人(3例) 28.0(3例とも28.0) 220.3±45.6

臨床成績

○診断補助
〈国内第III相臨床試験1)
3施設において合計10例の分化型甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌)により甲状腺を全摘し、その後の残存甲状腺組織、分化型甲状腺癌及び転移癌の有無を診断する予定の患者を対象とした臨床試験では、放射性ヨウ素シンチグラムの評価において、本剤投与法と甲状腺ホルモン投与中止法を比較すると、「同等」以上が70%となった。また、甲状腺ホルモン中止法における陽性患者に対する本剤投与法でのTg試験単独及び放射性ヨウ素シンチグラフィとの併用に関して、それぞれの感度は100%(3/3例)及び90%(9/10例)となった。
〈海外第III相臨床試験3)
分化型甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌)で甲状腺全摘、準全摘術を施行された患者(113例)を対象とした臨床試験では、放射性ヨウ素シンチグラムの評価において、本剤投与法と甲状腺ホルモン投与中止法と比較すると、「同等」以上が92.0%となった。また、甲状腺ホルモン中止法における陽性患者に対する本剤投与法でのTg試験単独及び放射性ヨウ素シンチグラフィとの併用に関して、それぞれの感度は72%(41/57例)及び88%(50/57例)となった。
○アブレーション補助
〈海外第III相臨床試験4)、5)
甲状腺全摘又は準全摘術を施行された低危険度の分化型甲状腺癌患者(63例)を対象とし、術後の残存甲状腺組織のアブレーションに、本剤を用いた群と甲状腺ホルモン中止法を用いた群を比較し評価した。アブレーション後の「甲状腺床への放射性ヨウ素の目視的取込みなし又は取込みが0.1%未満」を奏効基準とした奏効率は、解析対象症例60例において、両群とも100%を示した。また、「甲状腺床への放射性ヨウ素の目視的取込みなし」を奏効基準とした場合、解析対象症例60例において本剤投与法の75%(24/32例)、甲状腺ホルモン中止法の86%(24/28例)の患者がアブレーションは奏効したと評価された。

本試験参加患者(63例)のうち追跡調査可能な48例を対象に、本剤を用いた頸部/全身シンチグラフィを用いたフォローアップ試験を3.4〜4.4年後に実施した。その結果、解析対象43例において両群とも100%の奏効率が示された。

臨床成績の表

○診断補助:〈国内第III相臨床試験1)
放射性ヨウ素シンチグラムの優劣評価 (10例)
優れている(本剤投与>甲状腺ホルモン投与中止法) 0例
(0%)
同等(本剤投与=甲状腺ホルモン投与中止法) 7例
(70%)
劣っている(本剤投与<甲状腺ホルモン投与中止法) 3例
(30%)
同等以上(本剤投与≧甲状腺ホルモン投与中止法) 7例
(70%)
○診断補助:〈海外第III相臨床試験3)
放射性ヨウ素シンチグラムの優劣評価 (113例)
優れている(本剤投与>甲状腺ホルモン投与中止法) 3例
(2.7%)
同等(本剤投与=甲状腺ホルモン投与中止法) 101例
(89.4%)
劣っている(本剤投与<甲状腺ホルモン投与中止法) 9例
(8.0%)
同等以上(本剤投与≧甲状腺ホルモン投与中止法) 104例
(92.0%)
○アブレーション補助:〈海外第III相臨床試験4)、5)
平均年齢
(歳)
性別
(女性:男性)
癌タイプ
(乳頭:濾胞)
アブレーション奏効基準(8ヵ月後測定)
0.1%未満の取込み
アブレーション奏効基準(8ヵ月後測定)
目視的取込みなし
本剤投与群 44 26:7 30:3 32/32
(100%)
24/32
(75%)
甲状腺ホルモン中止法 43 24:6 29:1 28/28
(100%)
24/28
(86%)
甲状腺床への取込み 本剤投与法
(n=25)
甲状腺ホルモン中止法
(n=18)
目視的取込みなし及び0.1%未満の取込み 25例(100%) 18例(100%)

薬効薬理

本剤は、甲状腺由来細胞へのヨウ素摂取促進作用や甲状腺ホルモン及びTg産生促進作用を示す、ヒト型甲状腺刺激ホルモンの遺伝子組換え製剤である。
ウシ甲状腺膜を用いたcAMP産生作用
ウシ甲状腺のミクロゾーム分画を用いたin vitro試験において、本剤による用量依存的なcAMPの産生作用が認められた。
甲状腺刺激作用
マウスに甲状腺ホルモンであるトリヨードチロニン(T3)をあらかじめ経口又は皮下投与して甲状腺機能を低下させた後、ヒトチロトロピン アルファを腹腔内に投与すると、血漿中テトラヨードチロニン(T4)が用量依存的に増加した。
また、カニクイザルにヒトチロトロピン アルファを筋肉内投与すると、用量依存的に血漿中T3及びT4の増加が認められた。
放射性ヨウ素摂取促進作用
アカゲザルにヒトチロトロピン アルファの筋肉内投与を行い、続いて放射性ヨウ素(123I)を静脈内投与したところ、頸部への123I摂取率増加が認められた。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ヒトチロトロピン アルファ(遺伝子組換え)
Thyrotropin human alfa(genetical recombination)
化学名
ヒト下垂体細胞に由来するヒトTSH-cDNAの発現により、チャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される210個のアミノ酸残基(C1039H1602N274O307S27;分子量:23,708)からなる糖たん白質(分子量:約40,000)

取扱い上の注意

本剤は溶解後、速やかに使用すること。なお、やむを得ず溶解後に保存する場合は、2〜8℃で保存し、24時間以内に使用すること。

包装

タイロゲン筋注用0.9mg:2バイアル

主要文献及び文献請求先

主要文献

1
小西淳二,ほか,核医学,47(4):479-496, 2010
2
Meier CA, et al., J Clin Endoclinol Metab., 78(1):188-196, 1994
3
Haugen BR, et al., J Clin Endoclinol Metab., 84(11):3877-3885, 1999
4
Pacini F, et al., J Clin Endoclinol Metab., 91(3):926-932, 2006
5
Elisei R, et al., J Clin Endoclinol Metab., 94(11):4171-4179, 2009

文献請求先

サノフィ株式会社 コールセンター くすり相談室
〒163-1488 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号
フリーダイヤル 0120-109-905
(03)6301-3010

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売
サノフィ株式会社
〒163-1488 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号
SANOFI GENZYME

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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