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パラアミノ馬尿酸ソーダ注射液10%*(AFP)

腎機能検査用薬

1管 1299円

添付文書番号

7225401A1036_1_02

企業コード

530258

作成又は改訂年月

2021年11月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

877225

薬効分類名

腎機能検査用薬

承認等

販売名

パラアミノ馬尿酸ソーダ注射液10%

販売名コード

7225401A1036

販売名英字表記

SODIUM PARA-AMINOHIPPURATE Injection 10%

販売名ひらがな

ぱらあみのばにょうさんそーだちゅうしゃえき10%

承認番号等

承認番号
15300AMZ00149

販売開始年月

1951年8月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

パラアミノ馬尿酸ナトリウム注

組成・性状

組成

パラアミノ馬尿酸ソーダ注射液10%
有効成分
1アンプル(20mL)中
パラアミノ馬尿酸ナトリウム(無水物として)2.0g(10W/V%)
添加剤
1アンプル(20mL)中
乾燥亜硫酸ナトリウム 0.04g、酒石酸

製剤の性状

パラアミノ馬尿酸ソーダ注射液10%
pH7.0~8.5(日本薬局方)
浸透圧比2.7~3.0(生理食塩液対比)
性状
無色~微黄色澄明の液

効能又は効果

腎機能検査(両腎・分腎の有効腎血流量の測定による)

用法及び用量

〈腎血漿流量測定(両腎)〉
標準法(点滴静注法)
初回量として、パラアミノ馬尿酸ナトリウム注射液をとり、場合によっては必要量のマンニトール注射液又はチオ硫酸ナトリウム注射液を加え、パラアミノ馬尿酸ナトリウムの濃度が0.5~1.2%位になるように生理食塩液又は注射用水などで希釈して約50mLとし、1分間に約10mLの速度で5分間で静注する。
次いで維持量として、パラアミノ馬尿酸ナトリウムの濃度が0.4~0.7%になるように、パラアミノ馬尿酸ナトリウム注射液を必要量のマンニトール注射液又はチオ硫酸ナトリウム注射液と混ぜ、生理食塩液又は注射用水などで希釈した混合液を、1分間に約3mLの速度で検査終了時まで持続点滴注入する。
簡便法(1回注入法)
パラアミノ馬尿酸ナトリウム注射液(10%)10~20mLを、場合によっては、必要量のマンニトール注射液又はチオ硫酸ナトリウム注射液の混液として、約10分間かけて徐々に静注する。
〈腎血漿流量測定(分腎)〉
仰臥位にて太いテフロン針を留置し、ついでパラアミノ馬尿酸ナトリウムとして体重1kgあたり0.007gに相当する量を負荷する。引き続き、あらかじめ用意した灌流液注1)を1分間に約10mLの速度で点滴注入する。点滴開始後5~10分後にADHを負荷注2)し、さらに15分後座位をとらせる。
注1)灌流液組成
マンニトール:80g(20%マンニトール400mL)
PAH:10%注射液の場合13mL
ADH:ADH負荷量×1.8(mL)
以上に生理食塩液を加えて総量を1,000mLとする。
注2)ADH負荷量
負荷すべき量(mL)=ADH溶液1mL×体重(kg)×1/2×1/100
ADH溶液:20U/mLのバソプレシン注射液1mLに生理食塩液19mLを加えて1U/mLに調整する。

特定の背景を有する患者に関する注意

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ペニシリン系抗生物質
アンピシリン
ペニシリンの作用が増強するおそれがある。
本剤がペニシリンの尿中排泄を阻害し、ペニシリンの血中濃度を上昇させると考えられている。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

0.1~5%未満
0.1%未満
消化器
悪心、嘔吐、下痢、口渇
その他
頭痛
熱感(大量投与時に腰部、心窩部、会陰部等)

適用上の注意

薬剤投与時の注意
本剤の注入にあたっては、注入速度に留意すること。
測定時の注意
〈腎血漿流量測定(両腎)〉
  1. 前処理
    1. 試験前日は、検査結果に影響を与えないため、サルファ剤、パラアミノサリチル酸カルシウム(PAS)、解熱薬、利尿薬等の服用は避ける。
    2. 必要に応じて患者の身長・体重を測定し、体表面積を求める。
    3. 試験開始約1時間前に水適量を飲ませる(簡便法の場合には試験開始約30分前に飲ませる)。
    4. 開始直前に採血、採尿し、ブランク・ヘマトクリット値測定用とする。
  2. 採血、採尿
    測定時の血漿中濃度を約2mg/dL(1~5mg/dL)に保つように投与する。
    標準法(点滴静注法)
    1. 点滴静注開始20分後に膀胱に挿入したカテーテルより排尿し約20mLの生理食塩液で2回膀胱を洗浄し、空気を送入吸引して膀胱を完全に空虚にし、この時刻を0分とする。
    2. 15~30分の間隔で2~3回採尿し、採尿時間とその尿量(膀胱洗浄液を含む)を正確に測定する。
    3. 各採尿と採尿の間に採血し、採血時間を記録する。
    簡便法(1回注入法)
    1. 注射終了後25分で完全に排尿させ、排尿完了時刻を0分とする。
    2. 10分後及び20分後に注射の他側静脈より5mL採血し、時刻を正確に記録する。
    3. 30分後完全に排尿させ容量及び時刻を記録する。
  3. 定量
    尿及び血漿中のパラアミノ馬尿酸の濃度を定量する。
〈腎血漿流量測定(分腎)〉
  1. 前処理
    14.2.1(1)-(3)のほか14.2.1(4)項の採血後に、クレアチニンも定量する。また、原則として検査前日に浣腸し、当日朝禁食とする。
  2. 採血、採尿
    1. 局所麻酔薬でsaddle blockを行ってのち、砕石位にして、尿管カテーテル挿入を試みる。女性は両側に、男性は患側のみに7号ポリエチレンカテーテルをそれぞれ15~20cmの高さまで挿入する。男性の場合の健側尿は膀胱留置カテーテルよりの尿を代用する。
    2. 両健腎からの尿流が安定したところで分腎尿の採集を開始する。開始直前に10mLの静脈採血を行い、10分間尿、3回連続採集後さらに静脈採血を行う。安定した3回連続採尿ののち灌流液を5%糖液300mL/hrにかえてからフェノールスルホンフタレイン(PSP)1mLを管注し、さらに15分間の分腎尿を採集して検査を終わる。
    3. 検査終了後は尿管カテーテルを抜去し、膀胱にカテーテルを留置したまま帰室させ5%糖液の総量2,000mLを6時間で点滴する。その間の点滴量に見合った尿量を確認したうえで留置カテーテルも抜去する。
  3. 定量
    静脈採血:パラアミノ馬尿酸、クレアチニン定量
    10分間分腎尿:尿量測定、Na、クレアチニン、パラアミノ馬尿酸定量
    15分間分腎尿:尿量、PSP定量
計算
パラアミノ馬尿酸クリアランスによって得られる各数値の計算式は次の14.3.1-14.3.4のとおりである。14.3.1、14.3.2の項目については必要に応じて体表面積を求め、日本人の標準体表面積1.48m2当りの値に補正する。クリアランス試験実施に際しての尿及び血漿中パラアミノ馬尿酸濃度の測定法、平均血漿中パラアミノ馬尿酸濃度の算出法その他の注意事項については省略し、計算式だけを列記した。実施の実際については文献,を参照。
  1. 腎血漿流量Renal Plasma Flow、RPF(有効腎血漿流量Effective Renal Plasma Flow、ERPF)
    RPF=UPAHV/PPAHただし、1<PPAH<5
  2. 腎血流量Renal Blood Flow、RBF(有効腎血流量Effective Renal Blood Flow、ERBF)
    RBF=RPF×100/(100-Ht)
  3. 濾過率Filtration Fraction、FF
    FF=GFR/RPF
    RPF:腎血漿流量(mL/min)
    UPAH:尿中パラアミノ馬尿酸濃度(mg/dL)
    PPAH:血漿中平均パラアミノ馬尿酸濃度(mg/dL)
    V:1分間尿量(mL/min)
    RBF:腎血流量(mL/min)
    Ht:ヘマトクリット値(%)
    FF:濾過率
    GFR:糸球体濾過量(mL/min)
  4. 除去率Renal Extraction Ratio、EPAH
    EPAH=(PPAH-P´PAH)/PPAH
    EPAH:除去率
    PPAH:動脈血中パラアミノ馬尿酸濃度
    PAH:腎静脈血中パラアミノ馬尿酸濃度
    除去率の測定は腎静脈カテーテル法を必要とするため一般的ではないが、除去率が得られれば全腎血漿流量、全腎血流量、真の糸球体濾過量などが計算できる。
〔参考〕
基準値
わが国で発表されている健康成人の平均値の例は次のとおりである。
(日本人の標準体表面積1.48m2当りの値に補正。)
腎血漿流量(標準法)mL/min
♂607 ♀522
♂562 ♀527
腎血漿流量(簡便法)mL/min
♂470 ♀433
♂519 ♀496
650
除去率%
87.3
87.9
片側性腎主幹動脈狭窄判定基準
Stamey:患側の尿量67%以上減少、PAH濃度100%以上上昇
Osius&Smith:患側のPSP濃度2倍以上
Howard:患側の尿量60%以上減少、Na濃度15%以上減少、クレアチニン濃度50%以上上昇
Rapoport:TRFR(tubular rejection fraction ratio)=(LNa×Rcr)/(Lcr×RNa)
  左腎動脈狭窄 0.62以下
  右腎動脈狭窄 1.62以上
診断上の注意
芳香族第一級アミノ基を有する薬剤(サルファ剤、パラアミノサリチル酸製剤等)、プロペネシド、解熱薬、利尿薬は、本剤の尿中排泄を阻害するため、併用により本検査の測定値に誤差を生じることがある。

薬物動態

分布

  1. 血漿蛋白結合
    本剤は血漿中では赤血球に取り込まれず血漿中に存在し、約17%が血漿蛋白と結合し、残りの83%が遊離の状態で存在する。

排泄

本剤を健康成人に静脈注射すると腎の糸球体で一部が濾過され他は主として尿細管から排泄される。血漿中濃度が低い場合(5mg/dL以下)には、腎を1回循環する間にほぼ完全に腎組織を流れる血漿中から除去され、尿中に排泄される。

薬効薬理

測定法
腎動脈から血液によって腎臓に運ばれ、腎臓の糸球体及び尿細管からその全量が尿中に排泄されてしまい、腎静脈中には全く検出されないような物質のクリアランスを測定すれば、その値が腎血漿流量を示すことになる。血漿中濃度が低い場合(5mg/dL以下)には、パラアミノ馬尿酸クリアランス値(CPAH)は腎排泄組織を流れる血漿量(有効腎血漿流量Effective Renal Plasma Flow、ERPF)に等しくなる。有効腎血漿流量は全腎血漿流量の85~90%であるからパラアミノ馬尿酸クリアランス(CPAH)は厳密には全腎血漿流量を表すものとはいえないが、一般にパラアミノ馬尿酸クリアランス(CPAH)をもって腎血漿流量(RPF)としている。臨床診断上、RPFは腎疾患時にはその疾患の進行とともに低下し、全身の循環不全(うっ血性心不全及びショック時)時は減少する。
なお、全腎血漿流量は腎静脈カテーテル法を応用してパラアミノ馬尿酸の除去率(Extraction Ratio、EPAH)を求めることにより測定される。除去率(EPAH)は急性糸球体腎炎、高血圧症などで腎障害が進行した場合には減少する。
また臨床的に腎血管性高血圧が疑われる症例に、本剤による分腎機能検査を行うことにより、腎動脈の狭窄という解剖学的異常と高血圧という機能的異常とを結びつけて、手術成績を予測判断することが可能である。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
パラアミノ馬尿酸ナトリウム(Sodium p-Aminohippurate)
化学名
sodium;2-[(4-aminobenzoyl)amino]acetate
分子式
C9H9N2NaO3・H2O
分子量
234.19
性状
白色の結晶性の粉末である。
水に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくい。
化学構造式
略名
PAH

包装

20mL[1アンプル]

主要文献

1
金井正光 他:臨床検査法提要 改訂第30版 金原出版.1993;1442-1448
2
大島研三 他:日本臨床.1951;9(7):575-583
3
畠 亮 他:日本泌尿器科学会誌.1978;69(8):1019-1027
4
小酒井望 他:負荷試験 医学書院.1972;65-69
5
松野貞雄:大阪大学医学雑誌.1959;11(4):903-924
6
金子好宏:日本臨床.1951;9(6):537-539
7
上田 泰:臨床病理.1954;2(1):18-31

文献請求先及び問い合わせ先

アルフレッサ ファーマ株式会社 製品情報部
〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号
TEL 06-6941-0306 FAX 06-6943-8212

製造販売業者等

製造販売元
アルフレッサ ファーマ株式会社
大阪市中央区石町二丁目2番9号

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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