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フィブリノゲンHT静注用1g「JB」

血漿分画製剤(血液凝固剤)

1瓶 52165円

作成又は改訂年月

**
2022年3月改訂
(第27版)D24
*
2021年1月改訂

日本標準商品分類番号

876343

日本標準商品分類番号等

1998年3月
2022年3月

薬効分類名

血漿分画製剤(血液凝固剤)

承認等

フィブリノゲンHT静注用1g「JB」

販売名コード

6343411X1058

承認・許可番号

22700AMX00621
Fibrinogen HT I.V.1g “JB”

薬価基準収載年月

1987年4月

販売開始年月

1987年6月

貯法・使用期限等

貯法
凍結を避け10℃以下に保存
有効期間
検定合格の日から3年(最終有効年月日は瓶ラベル及び外箱に表示)

基準名

生物学的製剤基準
乾燥人フィブリノゲン

規制区分

特定生物由来製品
処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

有効成分〔1瓶中〕
凝固性たん白質 1g
添加物〔1瓶中〕
クエン酸ナトリウム水和物 536mg,L-アルギニン塩酸塩 711mg,水酸化ナトリウム 適量,塩酸 適量
添付溶剤
日局 注射用水 50mL
備考
凝固性たん白質は,ヒト血液に由来する.
(採血国:日本,採血の区別:献血)

性状

性状・剤形
本剤を添付溶剤で溶解するとき,ほとんど無色でわずかに混濁した液剤となる.
pH
6.0〜7.3
浸透圧比
約0.7(生理食塩液に対する比)
※本剤1瓶を添付溶剤に溶かした水溶液

特殊記載項目

本剤は,貴重な人血液を原料として製剤化したものである.原料となった血液を採取する際には,問診,感染症関連の検査を実施するとともに,製造工程における一定の不活化・除去処理を実施し,感染症に対する安全対策を講じているが,人血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため,疾病の治療上の必要性を十分に検討の上,必要最小限の使用にとどめること.(「使用上の注意」の項参照)

**効能・効果

**効能・効果に関連する使用上の注意

<後天性低フィブリノゲン血症>
・後天性低フィブリノゲン血症とは血中フィブリノゲン値が150mg/dLを下回る状態であることに注意し,本剤投与の適否を判断すること.
・本剤投与直前の血中フィブリノゲン値を必ず測定し,基本的に血中フィブリノゲン値の測定結果を確認した上で投与を開始すること.
・本剤投与の適否や投与開始時期の判断にあたっては,関連学会のガイドライン等,最新の情報を参考とすること.
1.先天性低フィブリノゲン血症の出血傾向
2.産科危機的出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲンの補充

**用法・用量

<先天性低フィブリノゲン血症>
注射用水に溶解し,静脈内に注入する.通常1回3gを用いる.なお,年齢・症状により適宜増減する.
<後天性低フィブリノゲン血症>
注射用水に溶解し,1回3 gを静脈内投与する.投与後に後天性低フィブリノゲン血症が改善されない場合は,同量を追加投与する.

**用法・用量に関連する使用上の注意

<効能共通>
・輸注速度が速すぎるとチアノーゼ,心悸亢進又は血管内凝固による栓塞を起こすおそれがあるのでゆっくり注入すること.
<後天性低フィブリノゲン血症>
・出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症が改善されない場合における本剤の追加投与の適否は,フィブリノゲン以外の因子の出血への関与の可能性も考慮して慎重に判断し,本剤を漫然と投与しないこと.なお,本剤の追加投与の適否の判断にあたっては,関連学会のガイドライン等,最新の情報を参考とすること.

使用上の注意

慎重投与

溶血性・失血性貧血の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある.〕
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある.〕

重要な基本的注意

患者への説明:本剤の使用にあたっては,疾病の治療における本剤の必要性とともに,本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが,血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを,患者に対して説明し,理解を得るよう努めること.
本剤の原材料となる献血者の血液については,HBs抗原,抗HCV抗体,抗HIV-1抗体,抗HIV-2抗体,抗HTLV-1抗体陰性で,かつALT(GPT)値でスクリーニングを実施している.更に, HBV,HCV及びHIVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し,適合した血漿を本剤の製造に使用しているが,当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する.本剤は,以上の検査に適合した血漿を原料として,Cohnの低温エタノール分画で得た画分から人フィブリノゲンを濃縮・精製した製剤であり,ウイルス不活化・除去を目的として,製造工程においてリン酸トリ-n-ブチル(TNBP)/ポリソルベート80処理,ウイルス除去膜によるろ過処理,凍結乾燥の後,80℃,72時間の加熱処理を施しているが,投与に際しては,次の点に十分注意すること.
血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること.
肝炎ウイルス感染のリスクを完全には否定できないので,観察を十分に行い,症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと.
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない.しかしながら,製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの,理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので,投与の際には患者への説明を十分行い,治療上の必要性を十分検討の上投与すること.
先天性低フィブリノゲン血症における本剤の使用は,フィブリノゲン値が著しく低下している患者に対するものであることに留意して投与すること.

副作用

副作用等発現状況の概要

本剤は,使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない.

重大な副作用

1
アナフィラキシーショック(頻度不明)
本剤の投与によりアナフィラキシーショックを起こすことがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,喘鳴,胸内苦悶,血圧低下,脈拍微弱,チアノーゼ等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
血栓塞栓症(頻度不明)
血栓塞栓症(深部静脈血栓症,腸間膜血栓症,肺塞栓症等)があらわれることがあるので,血中フィブリノゲン濃度,血小板数,血液凝固能(プロトロンビン時間等)等の血液検査を行うなど,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと.

その他の副作用

過敏症
頻度不明
悪寒,発熱

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない.感染した場合には胎児への障害(流産,胎児水腫,胎児死亡)が起こる可能性がある.〕

適用上の注意

調製時
ろ過網の目の細小な輸血セット(生物学的製剤基準通則44に規定する輸血用器具:人全血液等の血液製剤の輸血に適当と認められた器具であって,そのまま直ちに使用でき,かつ,1回限りの使用で使い捨てるもの)を用いて投与すること.
投与時
溶解時に沈殿の認められるものを投与してはならない.
一度溶解したものは1時間以内に使用すること.
使用後の残液は,細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり,しかも保存剤が含有されていないため).
他の製剤と混注しないこと.本剤をデキストラン製剤と混合すると複合物の沈殿を生じるので,各種デキストラン製剤の輸注に用いる輸液セットの共用は避けること.
電解質補液の輸注等により脱水等の体液異常を改善した後に点滴静注することが望ましい.

薬物動態

先天性低フィブリノゲン血症患者3症例に対して本剤を1回6g静注後に測定した血中半減期は3.3日〜4.2日であった1)
(注)本剤の承認された1回用量は,通常3gを用い,年齢・症状により適宜増減である.

臨床成績

先天性低フィブリノゲン血症患者5症例において認められた出血のエピソード44回に対する止血効果は著効43回,有効1回であった1)

**薬効薬理

フィブリノゲンは低フィブリノゲン血症に対する補充療法剤で,血漿中のフィブリノゲン濃度を高めることにより重篤な出血を阻止する.その作用機序は,フィブリノゲンがたん白分解酵素トロンビンに対する基質として働き,トロンビンの作用を受けてフィブリノペプタイドを遊離し,フィブリン(フィブリン・モノマー)に変わる.このフィブリン・モノマーが更にポリマーとなり,XIII因子,Ca2+の存在下でフィブリン塊を作り血液を凝固させると考えられている2,3)

取扱い上の注意

記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから,本剤を投与した場合は,医薬品名(販売名),その製造番号(ロット番号),投与した日,投与を受けた患者の氏名,住所等を記録し,少なくとも20年間保存すること.

包装

フィブリノゲンHT静注用1g「JB」1瓶
溶剤(日局 注射用水 50mL)添付
溶解移注針・通気針 付

主要文献及び文献請求先

主要文献

1
真木正博 他:基礎と臨床 1993;27(9):3803-3814
2
小西和彦,高木 尚:新版日本血液学全書 1979;11:261-296
3
河合 忠:血漿蛋白−その基礎と臨床,医学書院 1977;240-243

*文献請求先

一般社団法人 日本血液製剤機構 くすり相談室
〒108-0023 東京都港区芝浦3-1-1
電話0120-853-560

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

*製造販売元
一般社団法人 日本血液製剤機構
東京都港区芝浦3-1-1

フィブリノゲンHT静注用1g「JB」の溶解法及び溶解移注針の使い方

本剤のバイアル内は陰圧となっています.それは溶解に際し,凍結乾燥たん白塊の全体にすばやく水が行きわたって溶解を速くするためです.
本剤の溶解は添付の溶剤を用い,陰圧の取扱いに十分注意しないと溶解が困難となります.
(1)フィブリノゲンHT静注用1g「JB」(以下フィブリノゲンHTと略す)に添付の溶剤瓶を35℃〜37℃の温湯に5〜10分間浸して温める.
決して37℃を超えて加温してはいけない.
(2)溶剤瓶を温湯から取り出しフィブリノゲンHTと溶剤の両方の瓶のキャップを除去しゴム栓の表面を消毒する.
(3)溶解移注針の保護キャップのついている側を上にし,針を溶剤瓶のゴム栓に真っすぐ根元までさし込む.
(4)保護キャップをはずし,溶剤瓶と溶解移注針を逆さにし,フィブリノゲンHT瓶のゴム栓中央○印の中心部に真っすぐ根元までさし込む.このときフィブリノゲンHTの瓶内は陰圧であるため,溶剤は引き込まれる.なお,中央○印の中心部に針が差し込まれていないと溶剤全量がフィブリノゲンHT瓶に引き込まれないことがあるので注意すること.
(5)溶剤がフィブリノゲンHT瓶内に移り,溶剤瓶が空になればフィブリノゲンHT瓶から溶解移注針と溶剤瓶とを一緒に抜き取る.
(6)直ちにフィブリノゲンHT瓶をゆるやかに振って凍結乾燥たん白塊全体に溶剤を十分なじませた後,フィブリノゲンHT瓶を泡立てないように注意してゆるやかに振り完全に溶解させる.
(7)添付の通気針(a)を使ってフィブリノゲンHT瓶を平圧に戻す.
(8)完全に溶解が終わってからフィブリノゲンHT瓶に輸血セットの瓶針(b)をさし込む.フィブリノゲンHT瓶を適当な高さに吊りさげ,静注針(c)を患者の静脈へ刺入する.
この製品は献血血液から製造されています.

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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