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ミカファンギンNa点滴静注用75mg「明治」

キャンディン系抗真菌剤

1瓶 2603円

作成又は改訂年月

**
2020年12月改訂
(第3版)
*
2020年9月改訂

日本標準商品分類番号

876179

日本標準商品分類番号等

*2020年9月

薬効分類名

キャンディン系抗真菌剤

承認等

販売名

ミカファンギンNa点滴静注用50mg「明治」

販売名コード

6179400D1055

承認・許可番号

30200AMX00350000
MICAFUNGIN Na for I.V. Infusion 50mg「MEIJI」

薬価基準収載年月

2020年6月

販売開始年月

2020年7月

貯法・使用期限等

貯法
遮光・室温保存
(バイアルはUVカットフィルムで遮光している)
使用期限
バイアル及び外箱に最終年月表示

規制区分

劇薬
処方箋医薬品注1)
注1)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1バイアル中に下記の成分を含有する。
有効成分
ミカファンギンナトリウム 50mg(力価)
添加物
精製白糖 200mg
pH調節剤

性状

形状塊(凍結乾燥品)
白色
溶解時のpH及び浸透圧比
含量/溶解液量(溶解液)pH浸透圧比
50mg(力価)/100mL(生理食塩液)4.5〜8.0約1
75mg(力価)/100mL(生理食塩液)4.5〜8.0約1
150mg(力価)/100mL(生理食塩液)4.5〜8.0約1
300mg(力価)/100mL(生理食塩液)4.5〜8.0約1
50mg(力価)/100mL(ブドウ糖注射液(5w/v%))3.5〜7.0約1
75mg(力価)/100mL(ブドウ糖注射液(5w/v%))3.5〜7.0約1
150mg(力価)/100mL(ブドウ糖注射液(5w/v%))3.5〜7.0約1
300mg(力価)/100mL(ブドウ糖注射液(5w/v%))3.5〜7.0約1
(浸透圧比:日局生理食塩液対比)

販売名

ミカファンギンNa点滴静注用75mg「明治」

販売名コード

6179400D2051

承認・許可番号

30200AMX00351000
MICAFUNGIN Na for I.V. Infusion 75mg「MEIJI」

薬価基準収載年月

2020年6月

販売開始年月

2020年7月

貯法・使用期限等

貯法
遮光・室温保存
(バイアルはUVカットフィルムで遮光している)
使用期限
バイアル及び外箱に最終年月表示

規制区分

劇薬
処方箋医薬品注1)
注1)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1バイアル中に下記の成分を含有する。
有効成分
ミカファンギンナトリウム 75mg(力価)
添加物
精製白糖 200mg
pH調節剤

性状

形状塊(凍結乾燥品)
白色
溶解時のpH及び浸透圧比
含量/溶解液量(溶解液)pH浸透圧比
50mg(力価)/100mL(生理食塩液)4.5〜8.0約1
75mg(力価)/100mL(生理食塩液)4.5〜8.0約1
150mg(力価)/100mL(生理食塩液)4.5〜8.0約1
300mg(力価)/100mL(生理食塩液)4.5〜8.0約1
50mg(力価)/100mL(ブドウ糖注射液(5w/v%))3.5〜7.0約1
75mg(力価)/100mL(ブドウ糖注射液(5w/v%))3.5〜7.0約1
150mg(力価)/100mL(ブドウ糖注射液(5w/v%))3.5〜7.0約1
300mg(力価)/100mL(ブドウ糖注射液(5w/v%))3.5〜7.0約1
(浸透圧比:日局生理食塩液対比)

一般的名称

注射用ミカファンギンナトリウム

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

効能又は効果/用法及び用量

アスペルギルス属及びカンジダ属による下記感染症
真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症
*造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防

用法及び用量

成人
アスペルギルス症
通常、成人にはミカファンギンナトリウムとして50〜150mg(力価)を1日1回点滴静注する。重症又は難治性アスペルギルス症には症状に応じて増量できるが、1日300mg(力価)を上限とする。
カンジダ症
通常、成人にはミカファンギンナトリウムとして50mg(力価)を1日1回点滴静注する。重症又は難治性カンジダ症には症状に応じて増量できるが、1日300mg(力価)を上限とする。
*造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防
成人にはミカファンギンナトリウムとして50mg(力価)を1日1回点滴静注する。
点滴静注に際しては、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は補液に溶解し、75mg(力価)以下では30分以上、75mg(力価)を超えて投与する場合は1時間以上かけて行う。
溶解にあたっては、注射用水を使用しないこと。[溶液が等張とならないため。]
小児
アスペルギルス症
通常、小児にはミカファンギンナトリウムとして1〜3mg(力価)/kgを1日1回点滴静注する。重症又は難治性アスペルギルス症には症状に応じて増量できるが、1日6mg(力価)/kgを上限とする。
カンジダ症
通常、小児にはミカファンギンナトリウムとして1mg(力価)/kgを1日1回点滴静注する。重症又は難治性カンジダ症には症状に応じて増量できるが、1日6mg(力価)/kgを上限とする。
*造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防
小児にはミカファンギンナトリウムとして1mg(力価)/kgを1日1回点滴静注する。
点滴静注に際しては、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は補液に溶解し、1時間以上かけて行う。
溶解にあたっては、注射用水を使用しないこと。[溶液が等張とならないため。]

用法及び用量に関連する使用上の注意

本剤の使用に際しては、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
成人に対しては、下記の点に注意すること。
アスペルギルス症及びカンジダ症:体重50kg以下の患者に対しては、体重換算で1日あたり6mg(力価)/kgを超えないこと。
*造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防:
*好中球数が500個/mm3以上に回復するなど、適切な時期に投与を終了すること。
*体重50kg以下の患者に対しては、体重換算で1日あたり1mg(力価)/kgを超えないこと。
小児に対しては、下記の点に注意すること。
アスペルギルス症及びカンジダ症:体重50kg以上の患者に対しては、1日あたり300mg(力価)を超えないこと。
*造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防:
*好中球数が500個/mm3以上に回復するなど、適切な時期に投与を終了すること。
*体重50kg以上の患者に対しては、1日あたり50mg(力価)を超えないこと。

使用上の注意

慎重投与

薬物過敏症の既往歴のある患者。特に他のキャンディン系抗真菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者には注意すること。
肝障害のある患者[肝障害を悪化させることがある。]

重要な基本的注意

定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[本剤投与中の患者で肝機能障害、黄疸があらわれることがある。(「重大な副作用」の項参照)また、動物試験において肝変異細胞巣の発生とその一部の腫瘍化が認められている。(「その他の注意」の項参照)]
小児では、臨床試験において、成人に比べ肝機能障害の頻度が高いことが観察されているので、十分配慮すること。
*本剤の予防投与開始後においてアスペルギルス症又はカンジダ症が発症した場合は、漫然と使用せず、他の薬剤に変更する、又は本剤を増量するなど適切な処置を行うこと。
本剤投与開始後において、原因菌がアスペルギルス属又はカンジダ属でないことが明確になった場合、又は本剤投与で効果が認められない場合は、漫然と使用せず、他の薬剤に変更するなど適切な処置を行うこと。

相互作用

併用注意

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
シロリムス本剤との併用によりシロリムスのAUCが21%上昇したとの報告がある。併用する場合は患者の状態を慎重に観察し、シロリムスの副作用発現に注意し必要に応じてシロリムスの投与量を調節すること。機序不明

副作用

副作用等発現状況の概要

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

(頻度不明)
血液障害
白血球減少、好中球減少、溶血性貧血(血管内溶血を含む)、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、溶血性貧血については、投与開始直後にあらわれることもあるので、溶血が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
ショック、アナフィラキシー
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、口内異常感、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、必要に応じて気道の確保、アドレナリン、ステロイド、抗ヒスタミン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTP、Al‐Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性腎障害
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

肝臓
頻度不明
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al‐P上昇、LDH上昇、γ‐GTP上昇
代謝異常
頻度不明
カリウム上昇、カリウム低下、低カルシウム血症、低マグネシウム血症
血液
頻度不明
好酸球増多
皮膚
頻度不明
発疹
循環器
頻度不明
動悸、高血圧
消化器
頻度不明
下痢、悪心、嘔吐、軟便
腎臓
頻度不明
BUN上昇、クレアチニン上昇、クレアチニンクリアランス低下
**その他
頻度不明
静脈炎、関節炎、悪寒、頭痛、CK(CPK)上昇、発熱、血管痛、ミオグロビン上昇、注射部位反応(腫脹、疼痛、紅斑等)
[参考]海外臨床試験で認められた副作用
(1)アスペルギルス症及びカンジダ症
肝臓
頻度不明
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al‐P上昇、高ビリルビン血症
代謝異常
頻度不明
低マグネシウム血症、低カルシウム血症、高クロール血症、低カリウム血症
血液
頻度不明
白血球減少、血小板減少、貧血
皮膚
頻度不明
発疹
循環器
頻度不明
血管拡張、高血圧
消化器
頻度不明
嘔吐、嘔気、下痢
腎臓
頻度不明
クレアチニン上昇、BUN上昇
その他
頻度不明
発熱、腹痛、無力症、さむけ、静脈炎、頭痛
*(2)造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防
*肝臓
頻度不明
高ビリルビン血症
*代謝異常
頻度不明
低マグネシウム血症、低カリウム血症、低リン酸塩血症
*血液
頻度不明
白血球減少
*皮膚
頻度不明
発疹
*消化器
頻度不明
嘔吐、嘔気、下痢
*その他
頻度不明
腹痛

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、用量に留意するなど慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦等
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
授乳婦
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)において母乳中に移行することが報告されている。(「薬物動態」の項参照)]

小児等への投与

小児では、臨床試験において、成人に比べ肝機能障害の頻度が高いことが観察されているので、十分配慮すること。
低出生体重児、新生児に対する使用経験は少ない。
海外臨床試験では、低出生体重児において血漿中濃度が低くなる傾向がみられている。[「薬物動態」の項参照]

適用上の注意

調製方法
本剤は溶解時、泡立ちやすく、泡が消えにくいので強く振り混ぜないこと。
投与時
光により徐々に分解するので直射日光を避けて使用すること。また、調製後、点滴終了までに6時間を超える場合には点滴容器を遮光すること。[点滴チューブを遮光する必要はない。]
溶解後の光安定性
含量/溶解液量:50mg(力価)/100mL生理食塩液
試験項目:光分解物(%)
溶解直後:−
6時間後:4.09
24時間後:9.76
試験項目:力価残存率(%)
溶解直後:100
6時間後:94.2
24時間後:85.5
含量/溶解液量:300mg(力価)/100mL生理食塩液
試験項目:光分解物(%)
溶解直後:−
6時間後:0.97
24時間後:3.62
試験項目:力価残存率(%)
溶解直後:100
6時間後:98.8
24時間後:95.3
含量/溶解液量:50mg(力価)/100mLブドウ糖注射液(5w/v%)
試験項目:光分解物(%)
溶解直後:−
6時間後:2.00
24時間後:6.07
試験項目:力価残存率(%)
溶解直後:100
6時間後:96.6
24時間後:91.7
−:未検出、保存条件:遮光なし、25℃、白色蛍光灯下(3,000ルクス)
配合禁忌
本剤は他剤と配合したとき、濁りが生じることがある。また、本剤は塩基性溶液中で不安定であるため、力価の低下が生じることがある。下記1に配合直後に濁りが生じる主な薬剤を、下記2に配合直後に力価低下が生じる主な薬剤を示す。
1 配合直後に濁りが生じる主な薬剤
バンコマイシン塩酸塩、アルベカシン硫酸塩、ゲンタマイシン硫酸塩、トブラマイシン、ジベカシン硫酸塩、ミノサイクリン塩酸塩、シプロフロキサシン、パズフロキサシンメシル酸塩、シメチジン、ドブタミン塩酸塩、ドキサプラム塩酸塩水和物、ペンタゾシン、ナファモスタットメシル酸塩、ガベキサートメシル酸塩、チアミンジスルフィド・ピリドキシン塩酸塩・ヒドロキソコバラミン酢酸塩、メナテトレノン、乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン、ドキソルビシン塩酸塩
2 配合直後に力価低下が生じる主な薬剤
アンピシリンナトリウム、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、アシクロビル、ガンシクロビル、アセタゾラミドナトリウム

その他の注意

ラットに4週間反復静脈内投与した試験において、高用量群の32mg/kg投与群に血中AST(GOT)及びALT(GPT)などの上昇と単細胞壊死などの肝障害像が認められた。なお、3ヵ月間反復静脈内投与試験の32mg/kg投与群及び6ヵ月間反復静脈内投与試験の20及び32mg/kg投与群では、これら所見に加え、肝変異細胞巣の増加も認められたが、3ヵ月間反復静脈内投与試験の20mg/kg投与群では肝変異細胞巣は認められなかった。また、ラットに32mg/kgを6ヵ月間反復静脈内投与し、その後18ヵ月間休薬した試験及び3ヵ月間反復静脈内投与し、その後21ヵ月間休薬した試験において、対照群に比べ肝細胞腫瘍の有意な増加が認められた。また、ラットに6ヵ月間反復静脈内投与した試験において、高用量群である32mg/kg投与群に尿量、尿中Na及び尿中Clの増加が認められた。一方、10mg/kg投与群にこれらの所見は認められなかった。なお、ラットに20及び32mg/kgを3ヵ月及び6ヵ月間反復静脈内投与したときの平均AUCは、ヒトに300mg/日を投与したときのAUCのそれぞれ2.2倍及び3.5倍に相当する。
イヌに長期間反復静脈内投与した試験(3.2、10及び32mg/kg、9ヵ月間)において、中及び高用量群に精子細胞及び精母細胞の障害による精細管萎縮あるいは精巣上体中精子数の減少が認められ、高用量群ではこれら所見に加え精細管上皮(セルトリ細胞)の空胞化が認められた。また、ラットの受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験(3.2、10及び32mg/kg)における全ての用量群で、雌雄親動物の受胎能及び初期胚発生は正常であったが、中及び高用量群に精巣上体頭部管上皮の空胞化、また高用量群には精巣上体中精子数の減少が認められた。
In vitro試験において、ミカファンギンナトリウム製剤はイトラコナゾールとの併用によりイトラコナゾールのクリプトコックス・ネオフォルマンス注2)に対する作用を減弱させた。
注2)クリプトコックス属は本剤の適応外菌種である。

薬物動態

血漿中濃度
健康成人
単回投与1)
健康成人23例に本剤注3)25mg、50mg及び75mgを30分あるいは150mgを1時間かけて静脈内持続投与したとき、血漿中未変化体のAUCは投与量に比例して増加した。血漿中濃度は投与終了時に最高となり、消失半減期は13.9時間であった。

(表3参照)
(注)本剤注3)の承認された成人の1日用量はアスペルギルス症:50〜150mg(重症又は難治性では300mgまで)、カンジダ症:50mg(重症又は難治性では300mgまで)である。
反復投与1)
健康成人6例に本剤注3)75mgを1日1回、7日間、30分間かけて静脈内持続投与したとき、血漿中未変化体濃度は第4日には定常状態に達し、最終投与時のCmaxは10.87μg/mL、消失半減期は14.0時間であった。血漿蛋白結合率は99.8%以上であった。
高齢者1)
高齢者10例(平均71歳、66〜78歳)及び非高齢者10例(平均22歳、20〜24歳)に本剤注3)50mgを1時間かけて静脈内持続投与すると、血漿中未変化体濃度は高齢者群、非高齢者群とも同様な推移を示し、両群間でCmax、AUC0-∞、T1/2及び蛋白結合率に差はみられなかった。
深在性真菌症患者1)(成人)
深在性真菌症の患者65例に本剤注3)12.5mg、25mg、50mg、75mg、100mg及び150mgを反復投与したとき、消失半減期は13.5時間であり、各投与量間で差はみられなかった。
(注)本剤注3)の承認された成人の1日用量はアスペルギルス症:50〜150mg(重症又は難治性では300mgまで)、カンジダ症:50mg(重症又は難治性では300mgまで)である。
深在性真菌症患者2)(小児)
深在性真菌症の8ヵ月〜15歳の小児患者19例(のべ26例)に本剤注3)1mg/kg(7例)、2mg/kg(9例)、3mg/kg(9例)及び6mg/kg(1例)を1〜3時間かけて静脈内持続投与したとき、定常状態でのCmaxは、投与量に比例して増加した。消失半減期は13.1時間であった。乳児(3例)の血漿中濃度は幼児、学童に比べてやや低い傾向がみられた。
(表4参照)
深在性真菌症患者2)(低出生体重児:外国人データ)
深在性真菌症の584〜2014gの低出生体重患者22例に本剤注3)0.75mg/kg、1.5mg/kg及び3mg/kgを30分以上かけて単回静脈内持続投与した。低出生体重児のCmaxは小児より低く、半減期は短かった。
(表5参照)
移植患者3)(外国人データ)
骨髄移植あるいは末梢血幹細胞移植を受けた成人患者を対象に、米国では本剤注3)12.5〜200mgを、また英国では3〜8mg/kg(約230〜600mg)を1日1回、1時間かけて反復静脈内持続投与した。定常状態(投与7日目)における未変化体のAUCは投与量に比例し、消失半減期はいずれの投与量においてもほぼ一定した値であった。
(表6参照)
(注)本剤注3)の承認された成人の1日用量はアスペルギルス症:50〜150mg(重症又は難治性では300mgまで)、カンジダ症:50mg(重症又は難治性では300mgまで)である。
代謝3〜5)
代謝物として8種類が同定又は推定された。ミカファンギンは主に肝で代謝を受けると考えられるが、ヒトの尿及び糞中にミカファンギンの側鎖の水酸化体(M5)が主代謝物として投与量の3.7%排泄された。M5はチトクロームP450のCYP1A2、2B6、2C及び3Aにより生成し、その他、カテコール体(M1)はミカファンギンからサルファターゼにより、メトキシ体(M2)はM1からCOMT(catechol O‐methyltransferase)により、開環体(M3)はミカファンギンから水溶液中で非酵素的に生成すると考えられた。
排泄3)(外国人データ)
ミカファンギンは主に糞中に排泄され、外国人の健康成人6例に14C標識ミカファンギンナトリウム28.3mgを1時間かけて静脈内持続投与したとき、投与後7日までの尿及び糞中放射能の排泄率はそれぞれ投与放射能の7.36%及び43.80%であった。尿中及び糞中には未変化体がそれぞれ投与放射能の0.70%、11.71%排泄され、他は代謝物であった。
なお、血漿中放射能濃度の推移は投与終了時で2.29μg eq./mL、投与後24時間で0.84μg eq./mL、投与後7日で0.19μg eq./mLとなった。投与後42〜51日では、投与後7日の約1/8である0.023μg eq./mLまで減少した。
[参考]
乳汁中移行6)
哺育中ラットに14C標識ミカファンギンナトリウムを1mg/kg静脈内投与したとき、乳汁中放射能濃度は投与後6時間で最高濃度となり、その濃度は血漿中放射能濃度と同程度であった。また、投与後24時間以後は血漿中放射能濃度と並行して消失した。
注3)ミカファンギンナトリウム注射剤
表3 薬物動態学的パラメータ
投与量
(mg)
例数Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(μg・hr/mL)
T1/2
(hr)
2562.52±0.280.5±034.3±5.814.0±1.2
5065.23±0.380.5±074.3±6.214.2±1.2
7567.90±1.350.5±0106.5±13.413.3±0.7
150514.30±1.311.0±0216.6±23.114.0±0.9
25〜1502313.9±1.0
−:算出せず
平均値±S.D.
表4 薬物動態学的パラメータ
投与量
(mg/kg
例数Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hr)
175.03±2.3313.0±1.8
2910.25±4.4512.3±1.9
3914.76±5.5214.4±3.2
6121.1111.3
1〜62613.1±2.4
−:算出せず、※:n=8
平均値±S.D.
表5 薬物動態学的パラメータ
体重
(g)
投与量
(mg/kg
例数Cmax
(μg/mL)
AUC0-24hr
(μg・hr/mL)
CLt
(mL/min/kg
T1/2※2
(hr)
500-10000.7541.31±0.318.8±1.41.32±0.215.5
>10000.7562.53±0.9216.5±9.00.97±0.828.0
>10001.564.51±1.3444.1±24.00.64±0.15※17.8※1
>1000369.28±5.3159.5±29.01.19±1.328.2
※1:n=5、※2:調和平均値
平均値±S.D.
表6 定常状態時の薬物動態学的パラメータ
投与量例数Cmax
(μg/mL)
AUC0-24hr
(μg・hr/mL)
T1/2
(hr)
米国
(mg)
12.5
73.9±7.315.6±11.69.9±1.8
米国
(mg)
25
84.8±2.724.4±7.513.8±4.0
米国
(mg)
50
76.4±5.749.0±11.112.5±2.6
米国
(mg)
75
88.3±4.866.1±20.613.2±4.4
米国
(mg)
100
728.2±22.9110.0±31.813.9±3.1
米国
(mg)
150
817.6±8.4166.4±49.313.1±2.5
米国
(mg)
200
826.5±20.7208.3±65.515.9±4.8
英国
(mg/kg
3
821.1±2.8234±33.614.0±1.4
英国
(mg/kg
4
1029.2±6.2339±72.214.2±3.2
英国
(mg/kg
6
838.4±6.9479±15714.9±2.6
英国
(mg/kg
8
860.8±26.9663±21217.2±2.3
平均値±S.D.

臨床成績

国内における成績
成人
臨床試験7)
(表7参照)
製造販売後調査(使用成績調査)8)
(表8参照)
(注)本剤注3)の承認された成人の1日用量はアスペルギルス症:50〜150mg(重症又は難治性では300mgまで)、カンジダ症:50mg(重症又は難治性では300mgまで)である。
小児
臨床試験9)
(表9参照)
海外における成績
小児10)
(表10参照)
注3)ミカファンギンナトリウム注射剤
表7 疾患別臨床効果
菌種疾患名有効例/症例数有効率(%)
アスペルギルス属侵襲性肺アスペルギルス症6/1060.0
アスペルギルス属慢性壊死性肺アスペルギルス症6/8
アスペルギルス属肺アスペルギローマ10/1662.5
アスペルギルス属小計22/3464.7
カンジダ属カンジダ血症3/3
カンジダ属食道カンジダ症5/5
カンジダ属小計8/8
合計合計30/4271.4
表8 疾患別臨床効果
疾患名有効例/症例数有効率(%)
アスペルギルス症92/13070.8
カンジダ症390/45286.3
表9 疾患別臨床効果
菌種疾患名有効例/症例数有効率(%)
アスペルギルス属侵襲性肺アスペルギルス症2/2
アスペルギルス属侵襲性肺アスペルギルス症(疑)※11/1
アスペルギルス属小計3/3
カンジダ属カンジダ血症1/2
カンジダ属カンジダ血症(疑)※24/5
カンジダ属肺カンジダ症(疑)※32/3
カンジダ属小計7/1070.0
合計合計10/1376.9
※1:臨床症状及び画像所見から侵襲性肺アスペルギルス症が強く疑われたもの。
※2:血清診断(β‐D‐グルカン陽性)及び臨床症状からカンジダ血症が強く疑われたもの。
※3:血清診断(β‐D‐グルカン陽性あるいは抗原検査陽性)、臨床症状及び画像所見から肺カンジダ症が強く疑われたもの。
表10 疾患別臨床効果
菌種疾患名有効例/症例数有効率(%)
アスペルギルス属侵襲性肺アスペルギルス症1/3
アスペルギルス属アスペルギルス血症2/2
アスペルギルス属小計3/5
カンジダ属カンジダ血症8/1266.7
カンジダ属食道カンジダ症4/4
カンジダ属小計12/1675.0
合計合計15/2171.4

薬効薬理

抗真菌作用
深在性真菌症の主要起因菌であるカンジダ属及びアスペルギルス属に対して幅広い抗真菌スペクトルを有し、フルコナゾール耐性のカンジダ属に対しても強力なin vitro活性を示す11)。カンジダ属に対する作用は殺菌的であり、アスペルギルス属に対しては発芽抑制及び菌糸の伸長抑制作用を示す11,12)
マウスの播種性カンジダ症、口腔・食道カンジダ症、播種性アスペルギルス症及び肺アスペルギルス症において高い防御又は治療効果を示す13)
作用機序
真菌細胞壁の主要構成成分である1,3‐β‐D‐glucanの生合成を非競合的に阻害する12)
耐性菌
カンジダ属において本剤に低感受性もしくは耐性を示す株が報告されている。キャンディン系抗真菌剤に対する感受性低下にはグルカン合成酵素複合体の構成要素であるFKSタンパクの変異が関与しているとの報告がある14〜17)

有効成分に関する理化学的知見

性 状
ミカファンギンナトリウムは白色の粉末である。
本品は水に溶けやすく、アセトンにほとんど溶けない。
一般名
ミカファンギンナトリウム Micafungin Sodium
略 号
MCFG
化学名
Sodium 5-[(1S,2S)-2-[(3S,6S,9S,11R,15S,18S,20R,21R,24S,25S,26S)-3-[(R)-2-carbamoyl-1-hydroxyethyl]-11,20,21,25-tetrahydroxy-15-[(R)-1-hydroxyethyl]-26-methyl-2,5,8,14,17,23-hexaoxo-18-[4-[5-(4-pentyloxyphenyl)isoxazol-3-yl]benzoylamino]-1,4,7,13,16,22-hexaazatricyclo[22.3.0.09,13]heptacos-6-yl]-1,2-dihydroxyethyl]-2-hydroxyphenyl sulfate
分子式
C56H70N9NaO23S
分子量
1292.26
構造式

取扱い上の注意

安定性試験
包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6ヵ月)の結果、ミカファンギンNa点滴静注用50mg「明治」及びミカファンギンNa点滴静注用75mg「明治」は、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された18,19)

包装

ミカファンギンNa点滴静注用50mg「明治」
10バイアル
ミカファンギンNa点滴静注用75mg「明治」
10バイアル

主要文献及び文献請求先

主要文献

1
ファンガード点滴用:2002年10月8日承認、申請資料概要ヘ.3.1)
2
ファンガード点滴用:2006年4月20日承認、CTD2.7.2
3
ファンガード点滴用:2002年10月8日承認、申請資料概要ヘ.3.2)
4
ファンガード点滴用:2002年10月8日承認、申請資料概要ヘ.2.3)
5
ファンガード点滴用:2002年10月8日承認、申請資料概要ヘ.4.2)
6
ファンガード点滴用:2002年10月8日承認、申請資料概要ヘ.2.4)
7
ファンガード点滴用:2002年10月8日承認、申請資料概要ト.1.1)
8
ファンガード点滴用:2013年6月13日再審査報告書
9
ファンガード点滴用:2006年4月20日承認、CTD2.7.6
10
ファンガード点滴用:2006年4月20日承認、CTD2.7.3
11
ファンガード点滴用:2002年10月8日承認、申請資料概要ホ.1.1)
12
ファンガード点滴用:2002年10月8日承認、申請資料概要ホ.1.2)
13
ファンガード点滴用:2002年10月8日承認、申請資料概要ホ.1.3)
14
Garcia-Effron, G., et al.:Antimicrob. Agents Chemother. 2009;53(1):112-122
15
Garcia-Effron, G., et al.:Antimicrob. Agents Chemother. 2009;53(9):3690-3699
16
Castanheira, M., et al.:Antimicrob. Agents Chemother. 2010;54(6):2655-2659
17
Beyda, N. D., et al.:Ann. Pharmacother. 2012;46(7-8):1086-1096
18
社内資料:ミカファンギンNa点滴静注用50mg「明治」の安定性に関する資料
19
社内資料:ミカファンギンNa点滴静注用75mg「明治」の安定性に関する資料

文献請求先

文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。

Meiji Seika ファルマ株式会社 くすり相談室
〒104-8002 東京都中央区京橋2-4-16
フリーダイヤル(0120)093-396 電話(03)3273-3539
FAX(03)3272-2438

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
Meiji Seika ファルマ株式会社
東京都中央区京橋2-4-16

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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