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バンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」

グリコペプチド系抗生物質製剤

1瓶 909.6円

作成又は改訂年月

2021年1月作成
(第1版)

日本標準商品分類番号

876113

薬効分類名

グリコペプチド系抗生物質製剤

承認等

販売名

バンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」

販売名コード

6113001B1135

承認・許可番号

30200AMX00339000
VANCOMYCIN HYDROCHLORIDE Powder 0.5g「MEIJI」

薬価基準収載年月

薬価基準収載

販売開始年月

2021年5月

貯法・使用期限等

貯法
室温保存
使用期限
バイアル及び外箱に最終年月表示

規制区分

処方箋医薬品注1)
注1)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1バイアル中に下記の成分を含有する。
有効成分
日局バンコマイシン塩酸塩0.5g(力価)
添加物
マクロゴール400、D-マンニトール

性状

剤形散剤
性状塊又は粉末(無菌製剤)
白色

一般的名称

バンコマイシン塩酸塩散

警告

本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「用法・用量に関連する使用上の注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。

禁忌

本剤の成分によるショックの既往歴のある患者

効能又は効果

効能又は効果に関連する使用上の注意

感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

効能又は効果/用法及び用量

感染性腸炎
<適応菌種>
バンコマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、クロストリジウム・ディフィシル
<適応症>
感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)
骨髄移植時の消化管内殺菌

用法及び用量

感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)
用時溶解し、通常、成人1回0.125〜0.5g(力価)を1日4回経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
骨髄移植時の消化管内殺菌
用時溶解し、通常、成人1回0.5g(力価)を非吸収性の抗菌剤及び抗真菌剤と併用して1日4〜6回経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

腎障害のある患者には、投与量・投与間隔の調節を行い、慎重に投与すること。[「慎重投与」、「薬物動態」の項参照]
本剤を感染性腸炎に投与するとき、7〜10日以内に下痢、腹痛、発熱等の症状改善の兆候が全くみられない場合は投与を中止すること。
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現を防ぐため、次のことに注意すること。
感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行うこと。
原則として他の抗菌薬及び本剤に対する感受性を確認すること。
投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か否か判定し、疾病の治療上必要な最低限の期間の投与にとどめること。

使用上の注意

慎重投与

本剤の成分又はペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
ペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質による難聴又はその他の難聴のある患者[難聴が発現又は増悪するおそれがある。]
腎障害のある患者[重度の腸管炎症のある患者では、吸収され、蓄積するおそれがあり、バンコマイシン塩酸塩の静脈内投与で報告されているものと同様な副作用が発現する危険性があるので注意すること。(「副作用 重大な副作用」、「薬物動態」の項参照)]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]

重要な基本的注意

偽膜性大腸炎等の腸管病変が重篤でかつ高度の腎障害患者(血液透析中等)では、本剤の経口投与により蓄積を起こす可能性があり、バンコマイシン塩酸塩の静脈内投与で報告されているものと同様な副作用が発現する危険性があるので注意すること。[「副作用 重大な副作用」、「薬物動態」の項参照]

相互作用

併用注意

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
コレスチラミン同時に投与すると本剤の臨床効果が減弱するおそれがあるので、数時間間隔をあけて投与すること。コレスチラミンは腸管内でバンコマイシンと結合する。

副作用

副作用等発現状況の概要

副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

(頻度不明)
ショック
ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状(血圧低下、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴り、発汗等)があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注射用バンコマイシン塩酸塩製剤で、アナフィラキシー、急性腎障害、間質性腎炎、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎、薬剤性過敏症症候群2)、第8脳神経障害、偽膜性大腸炎、肝機能障害、黄疸があらわれることが報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

過敏症注2)
頻度不明
発熱、発疹、潮紅、悪寒、蕁麻疹、そう痒
血液
頻度不明
好酸球増多、白血球減少、血小板減少、貧血
肝臓
頻度不明
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇
消化器
頻度不明
下痢、悪心・嘔吐、食欲不振
腎臓
頻度不明
BUN上昇、クレアチニン上昇
その他
頻度不明
口内炎、舌炎
注2)症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているが、特に腎機能障害が高度(血液透析中等)でかつ偽膜性大腸炎等の腸管病変が高度の患者では、吸収され、排泄が遅延して蓄積を起こす可能性があるので、腎機能等に注意して、慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
授乳中の婦人には、投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を中止すること。[静脈内投与により、ヒト母乳中への移行が認められている。]

適用上の注意

調製方法
本剤はバイアル入りの散剤(無菌)である。骨髄移植時の消化管内殺菌を目的とする場合は、注射器を用い5〜10mLの溶解液(注射用水等)で溶解する。
調製時
薬剤溶液そのままで服用しにくい場合には、単シロップ等で矯味してもよい。
服用時(骨髄移植時の消化管内殺菌を目的とする場合)
用時溶解液は無菌のものを用い、溶解後は直ちに服用すること。また、服用にあたっては口腔内殺菌のために薬剤溶液で十分含嗽した後飲用することが望ましい。

薬物動態

通常、経口投与によってほとんど吸収されず、高い消化管内濃度が得られる。また、血中にはほとんど認められない。
ただし、腸管に病変のある患者において、吸収され尿中に排泄されたとの報告がある。
血中濃度、糞便中濃度、尿中濃度
健康成人3)
(表1参照)
偽膜性大腸炎の患者4)
(表2参照)
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染性腸炎の患者5)
(表3参照)
腎機能障害を有する偽膜性大腸炎の患者(外国人によるデータ)
(表4参照)
代謝
(参考)
バンコマイシン塩酸塩は点滴静注(承認外用法)後、72時間までに90%以上が尿中に未変化体として排泄された9)
その他
(参考)
血清蛋白結合率:健康成人に1.0g(力価)点滴静注(承認外用法・用量)時の血清を用い、遠心限外ろ過法にて測定された血清蛋白結合率は34.3%であった9)
表1 経口投与時の血中濃度、糞便中濃度、尿中濃度
1日投与量
投与期間
n血中濃度
(μg/mL)
糞便中濃度
(μg/g)
尿中濃度
(μg/mL)
500mg(力価)×4/日
7日
1測定限界
(2.5)以下
2500〜4750検出されず
(測定法:bioassay)
表2 経口投与時の血中濃度、糞便中濃度、尿中濃度
1日投与量
投与期間
n血中濃度
(μg/mL)
糞便中濃度
(μg/g)
尿中濃度
(μg/mL)
500mg(力価)×4/日
5〜19日
6測定限界
(1.25)以下
(n=3)
726〜8370
(n=5)
測定限界
(1.25)以下
(n=1)
2.44〜94.6
(尿中排泄率:0.15
〜1.65%)
(n=3)
(測定法:bioassay)
表3 経口投与時の血清中濃度、糞便中濃度、尿中濃度
1日投与量
投与期間
n血清中濃度
(μg/mL)
糞便中濃度
(μg/g)
尿中濃度
(μg/mL)
500mg(力価)×4/日
2〜19日
49測定限界
(1.0)以下
(n=26)
500〜5500注3)
(n=9)
測定限界
(0.39)以下〜23.4
(n=7)
注3)水様性下痢を呈した1例では、10.5〜92.5(μg/g)を示した。
〔測定法:血清中濃度;FPIA(蛍光偏光免疫測定法)、糞便中濃度・尿中濃度;bioassay〕
表4 経口投与時の血清中濃度
No. 年齢、性基礎疾患1日投与量
投与期間
血清中濃度
(μg/mL)
114歳、女6)無腎、血液透析中250mg(力価)×4/日×8日13.5〜34.0
262歳、男7)腎不全500mg(力価)×4/日×8日
1000mg(力価)/日×9日
500mg(力価)/日×3日
11.4〜20.3
332歳、男8)糖尿病、血液透析中250mg(力価)×4/日×11日約4.5〜7.0
445歳、男8)血液透析中250mg(力価)×4/日
投与期間不明
2.4〜2.6
545歳、男8)血液透析中125mg(力価)×4/日
投与期間不明
2.4〜3.4
663歳、男8)糖尿病、血液透析中250mg(力価)×4/日
投与期間不明
0.0
728歳、男8)糖尿病性腎症500mg(力価)×4/日
投与期間不明
0.7〜9.8
〔測定法:No.1;RIA(放射免疫測定法)、No.2〜7;FPIA(蛍光偏光免疫測定法)〕

臨床成績

クロストリジウム・ディフィシルによる偽膜性大腸炎4)
(表5参照)
平均下痢改善日数(4行/日以下)は約4日、平均解熱日数(37.5℃以下)は約6日であった。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染性腸炎
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染性腸炎に対する有効率は100%であった10)
下痢、腹痛、腹部膨満等の腸炎症状及び発熱の正常化日数は3〜4日であった。
表5
疾患名有効例数/有効性評価
対象例数
有効率
(%)
クロストリジウム・ディフィシルによる偽膜性大腸炎12/1392.3

薬効薬理

抗菌作用
バンコマイシンは試験管内でブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、クロストリジウム・ディフィシル、アクチノマイセス、ラクトバチルスに抗菌力を示す。グラム陰性菌には抗菌力を示さない11)
バンコマイシンは試験管内でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して抗菌力を有し、他の抗菌剤との間に交差耐性を示さない12)。また、MRSAを用いた試験管内継代培養試験において、バンコマイシンに対する耐性化は低い13)
作用機序
バンコマイシンの作用は細菌の細胞壁合成阻害によるものであり、その抗菌作用は殺菌的である11)
生物学的同等性試験
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、クロストリジウム・ディフィシルに対する最小発育阻止濃度(MIC)比較試験(in vitro)及びハムスター偽膜性大腸炎モデルにおける治療効果比較試験において、バンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」と標準製剤[散剤、0.5g(力価)]の生物学的同等性が確認された14)

有効成分に関する理化学的知見

性 状
バンコマイシン塩酸塩は白色の粉末である。
本品は水に溶けやすく、ホルムアミドにやや溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
本品は吸湿性である。
一般名
バンコマイシン塩酸塩 Vancomycin Hydrochloride
略 号
VCM
化学名
(1S,2R,18R,19R,22S,25R,28R,40S)-50-[3-Amino-2,3,6-trideoxy-3-C-methyl-α-L-lyxo-hexopyranosyl-(1→2)-β-D-glucopyranosyloxy]-22-carbamoylmethyl-5,15-dichloro-2,18,32,35,37-pentahydroxy-19-[(2R)-4-methyl-2-(methylamino)pentanoylamino]-20,23,26,42,44-pentaoxo-7,13-dioxa-21,24,27,41,43-pentaazaoctacyclo[26.14.2.23,6.214,17.18,12.129,33.010,25.034,39]pentaconta-3,5,8,10,12(50),14,16,29,31,33(49),34,36,38,45,47-pentadecaene-40-carboxylic acid monohydrochloride
分子式
C66H75Cl2N9O24・HCl
分子量
1485.71
構造式

取扱い上の注意

安定性試験
包装製品を用いた長期保存試験(25℃、相対湿度60%、24ヵ月)の試験結果を用い、「安定性データの評価に関するガイドライン」(平成15年6月3日付、医薬審発第0603004号)に基づく統計解析を実施した結果、バンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された15)

承認条件

使用施設を把握すると共に施設の抽出率、施設数を考慮して以下の対策を講ずること。
適切な市販後調査(感受性調査を含む)を継続し、情報を収集すること。
収集した情報を解析し、適正な使用を確保するために医療機関に対し、必要な情報提供を継続すること。
安全性定期報告に準じた報告書を年1回厚生労働省に提出すること。

包装

10バイアル

主要文献及び文献請求先

主要文献

1
厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2
厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性過敏症症候群
3
舟田 久ほか:感染症学雑誌.1979;53(4):182
4
島田 馨ほか:最新医学.1982;37(8):1558
5
小西敏郎ほか:Surg.Today.1997;27:826
6
Thompson,C.M.,et al.:Int.J.Pediatr.Nephrol.1983;4(1):1
7
Spitzer,P.G.,et al.:Ann.Intern.Med.1984;100(4):533
8
Matzke,G.R.,et al.:Am.J.Kidney Dis.1987;9(5):422
9
中島光好ほか:Chemotherapy.1992;40(2):210
10
小西敏郎ほか:Chemotherapy.1994;42(4):436
11
グッドマン・ギルマン薬理書(下)第12版 廣川書店.2013:1992-1998
12
永田 弘ほか:Chemotherapy.1992;40(5):581
13
青木泰子ほか:感染症学雑誌.1990;64(5):549
14
バンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」の生物学的同等性試験に関する資料(社内資料)
15
バンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」の安定性に関する資料(社内資料)

文献請求先

文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。

Meiji Seika ファルマ株式会社 くすり相談室
〒104-8002 東京都中央区京橋2-4-16
フリーダイヤル(0120)093-396 電話(03)3273-3539
FAX(03)3272-2438

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
Meiji Seika ファルマ株式会社
東京都中央区京橋2-4-16

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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