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閲覧履歴

オングリザ錠2.5mg

選択的DPP-4阻害剤 2型糖尿病治療剤

1錠 59.8円

添付文書番号

3969017F1028_1_15

企業コード

230124

作成又は改訂年月

2021年11月改訂
(第2版)

日本標準商品分類番号

873969

薬効分類名

選択的DPP-4阻害剤 2型糖尿病治療剤

承認等

販売名

オングリザ錠2.5mg

販売名コード

3969017F1028

販売名英字表記

ONGLYZA Tablets 2.5mg

承認番号等

承認番号
22500AMX00877

販売開始年月

2013年7月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

オングリザ錠5mg

販売名コード

3969017F2024

販売名英字表記

ONGLYZA Tablets 5mg

承認番号等

承認番号
22500AMX00878

販売開始年月

2013年7月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

サキサグリプチン水和物

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤を投与すべきでない。]
  3. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]

組成・性状

組成

オングリザ錠2.5mg
有効成分
1錠中サキサグリプチン水和物  2.64mg
サキサグリプチンとして  2.5mg
添加剤
黄色三二酸化鉄、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖水和物、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、マクロゴール4000、塩酸(pH調整剤)、水酸化ナトリウム(pH調整剤)
オングリザ錠5mg
有効成分
1錠中サキサグリプチン水和物  5.29mg
サキサグリプチンとして  5mg
添加剤
クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース、酸化チタン、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖水和物、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、マクロゴール4000、塩酸(pH調整剤)、水酸化ナトリウム(pH調整剤)

製剤の性状

オングリザ錠2.5mg
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
8.2mm
大きさ(厚さ)
4.2mm
識別コードKH622(錠剤本体、PTPシートに表示)
性状
淡黄色のフィルムコーティング錠
重量
約240mg
オングリザ錠5mg
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
8.2mm
大きさ(厚さ)
4.2mm
識別コードKH623(錠剤本体、PTPシートに表示)
性状
淡紅色のフィルムコーティング錠
重量
約240mg

効能又は効果

2型糖尿病

効能又は効果に関連する注意

本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。

用法及び用量

通常、成人にはサキサグリプチンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて2.5mgを1日1回経口投与することができる。

用法及び用量に関連する注意

中等度以上の腎機能障害患者では、排泄の遅延により本剤の血中濃度が上昇するため、2.5mgに減量すること。
血清クレアチニン注)
(mg/dL)
クレアチニンクリアランス
(Ccr, mL/min)
投与量
中等度以上の腎機能障害患者
男性:>1.4
女性:>1.2
<50
2.5mg、1日1回
注)クレアチニンクリアランスに相当する換算値(年齢60歳、体重65kg)

重要な基本的注意

  1. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。
  2. 本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、常に投与継続の必要性について注意を払うこと。本剤を3ヵ月投与しても食後血糖に対する効果が不十分な場合、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。
  3. 低血糖症状、めまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
  4. 本剤とGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
  5. 急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 心不全(NYHA分類Ⅲ~Ⅳ)のある患者
    海外臨床試験において、本剤投与群(289/8280例、3.5%)ではプラセボ群(228/8212例、2.8%)と比較して、心不全による入院の発現率が高く(ハザード比1.27[95%信頼区間1.07-1.51])、リスク因子は両群ともに、心不全の既往や中等度以上の腎機能障害であったとの報告がある,
  2. 低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
    • 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
    • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
    • 激しい筋肉運動
    • 過度のアルコール摂取者
  3. 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者
    腸閉塞を起こすおそれがある。

腎機能障害患者

  1. 中等度以上の腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者
    患者の腎機能障害の程度に応じて適切な用量調節を行うこと。サキサグリプチン及び主要活性代謝物は血液透析により除去される。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
ラット及びウサギを用いた本剤単独投与による生殖発生毒性試験においては、催奇形性も母動物毒性も認められていないが、メトホルミンとの併用投与による生殖発生毒性試験において、ラットでは本剤との関連性は不明であるが胎児に催奇形性(頭蓋脊椎破裂)が、ウサギでは母動物毒性(致死、流産)が認められた。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

高齢者

経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下していることが多い。また、患者の腎機能障害の程度に応じて適切な用量調節を行うこと。

相互作用

本剤はCYP3A4/5により代謝され、主要活性代謝物を生成する。本剤の腎排泄には、能動的な尿細管分泌の関与が推定される。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
糖尿病用薬
スルホニルウレア剤
速効型インスリン分泌促進剤
α-グルコシダーゼ阻害剤
ビグアナイド系薬剤
チアゾリジン系薬剤
GLP-1受容体作動薬
SGLT2阻害薬
インスリン製剤
イメグリミン塩酸塩 等
低血糖症状が起こるおそれがある。特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
血糖降下作用の増強による。
血糖降下作用を増強する薬剤
β-遮断薬
サリチル酸剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
フィブラート系薬剤 等
血糖降下作用が増強し、さらに血糖が低下する可能性があるため、併用する場合には、血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
血糖降下作用の増強による。
血糖降下作用を減弱する薬剤
アドレナリン
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン 等
血糖降下作用が減弱し、血糖値が上昇する可能性があるため、併用する場合には、血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
血糖降下作用の減弱による。
CYP3A4/5阻害剤
イトラコナゾール 等
本剤の血中濃度が上昇する可能性があるため、併用する場合には、必要に応じて本剤を減量するなど注意すること。
CYP3A4/5に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 低血糖(0.5%)
    低血糖があらわれることがある。スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤との併用では重篤な低血糖症状があらわれ、特にスルホニルウレア剤では意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合は、糖質を含む食品等を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時はブドウ糖を投与すること。
  2. 急性膵炎(頻度不明)
    持続的な激しい腹痛等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  3. 過敏症反応(頻度不明)
    アナフィラキシー、血管浮腫及び皮膚剥脱等の重篤な過敏症反応があらわれることがある。
  4. 腸閉塞(0.5%未満)
    高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  5. 類天疱瘡(頻度不明)
    水疱、びらん等があらわれた場合には皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

0.5~2%未満
0.5%未満
頻度不明
神経系障害
めまい
頭痛
眼障害
白内障、霧視
心臓障害
動悸、期外収縮、心電図T波逆転
呼吸、胸郭及び縦隔障害
鼻咽頭炎、上気道感染、咳嗽
副鼻腔炎
胃腸障害
便秘、下痢、腹部不快感、胃炎
腹部膨満、腹痛、逆流性食道炎、胃腸炎、悪心、嘔吐、消化不良、口内炎、口唇炎、便潜血
肝胆道系障害
肝機能異常(ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇等)
皮膚及び皮下組織障害
発疹、湿疹、そう痒
じん麻疹、ざ瘡、冷汗
全身障害
浮腫、筋痙縮、倦怠感、無力症
代謝異常
2型糖尿病悪化、高尿酸血症、尿中アルブミン/クレアチニン比増加、血中ブドウ糖減少、グリコヘモグロビン増加、CK上昇
血液
貧血、白血球数増加、血小板数減少
その他
高血圧、頻尿、高カリウム血症、胸痛、白癬、腎結石、鼻出血、甲状腺腫瘤、尿路感染、関節痛

過量投与

  1. 処置
    サキサグリプチン及び主要活性代謝物は、血液透析(4時間)によりそれぞれ投与量の4%及び19%が除去される。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

非臨床試験に基づく情報
カニクイザルを用いた3ヵ月までの反復経口投与毒性試験において、2mg/kg/日以上の用量(AUCはヒトに1日1回5mg投与したときの4.6倍以上)で末梢部位(尾、指、陰嚢、鼻)の皮膚に病変(痂皮、潰瘍)が認められた。しかしながら、同様の皮膚毒性所見は他の動物種(マウス、ラット及びウサギ)並びにヒトでは報告されていない。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    健康成人(23例)に本剤1注1)、2.5、5mgを空腹時単回経口投与したときのサキサグリプチン及び主要活性代謝物の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである。
    空腹時単回経口投与したときのサキサグリプチン及び主要活性代謝物の平均血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
    空腹時単回経口投与したときのサキサグリプチンの血漿中薬物動態パラメータ
    投与量
    tmax
    (h)
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC0-∞
    (ng・h/mL)
    t1/2
    (h)
    1mg
    (n=7)
    0.8
    (0.5、2.0)
    4.8±1.2
    18.8±3.8
    6.0±2.1
    2.5mg
    (n=8)
    0.8
    (0.5、2.0)
    9.8±2.7
    41.4±10.2
    6.8±0.8
    5mg
    (n=8)
    0.8
    (0.5、2.0)
    18.7±3.4
    78.6±25.6
    6.5±1.0
    平均値±標準偏差
    tmax:中央値(最小値、最大値)
    空腹時単回経口投与したときの主要活性代謝物の血漿中薬物動態パラメータ
    投与量
    tmax
    (h)
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC0-∞
    (ng・h/mL)
    t1/2
    (h)
    1mg
    (n=7)
    1.5
    (1.0、2.0)
    6.8±1.9
    50.9±7.6
    10.8±0.7
    2.5mg
    (n=8)
    2.0
    (1.0、3.0)
    21.0±5.6
    148.1±28.9
    9.4±0.8
    5mg
    (n=8)
    1.5
    (0.8、3.0)
    44.4±12.2
    267.9±65.7
    8.6±1.3
    平均値±標準偏差
    tmax:中央値(最小値、最大値)
    また、2型糖尿病患者に本剤5mgを朝食前単回経口投与したとき、本剤は速やかに吸収され、血漿中のサキサグリプチンは投与後0.8時間で最高血漿中濃度に到達し、消失半減期は7.0時間であった。一方、血漿中の主要活性代謝物は投与後1.0時間で最高血漿中濃度に到達し、消失半減期は7.0時間であった。
  2. 反復投与
    健康成人(8例)に本剤10mg注1)を1日1回7日間朝食前反復投与及び2型糖尿病患者(20例)に本剤5mgを1日1回14日間朝食前反復投与したとき、Cmax、AUCτ及びCminから算出したサキサグリプチン及び主要活性代謝物の累積係数の平均値は約1であり、反復投与による累積はほとんど認められなかった,
注1)本剤の承認用量は1日1回5mg又は2.5mgである。

吸収

  1. バイオアベイラビリティ
    外国人健康成人(6例)に14C標識した本剤50mgを単回投与したとき、総放射能の尿中回収率に基づいたバイオアベイラビリティは74.9%以上であった。
  2. 食事の影響
    健康成人(25例)に本剤5mgを食後に単回経口投与したとき、空腹時と比較して、サキサグリプチンのCmaxは7.7%減少し、AUC0-∞は14.0%増加した。
    食後単回経口投与したときのサキサグリプチンの血漿中薬物動態パラメータ
    tmax
    (h)
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC0-∞
    (ng・h/mL)
    t1/2
    (h)
    空腹時
    0.5
    (0.3、2.0)
    34.5±9.8
    98.5±16.0
    6.6±1.2
    食後
    1.0
    (0.5、2.0)
    32.0±9.1
    112.2±16.6
    6.5±1.1
    平均値±標準偏差
    tmax:中央値(最小値、最大値)

分布

サキサグリプチン及び主要活性代謝物の非結合型分率はほぼ100%であり、ヒト血清中蛋白にほとんど結合しなかった(in vitro、平衡透析法)。

代謝

ヒト肝ミクロソーム及びヒトCYP発現系ミクロソームを用いた試験から、サキサグリプチンは主にCYP3A4/5により代謝されることが示された(in vitro)。

排泄

  1. 健康成人(8例)に本剤5mgを空腹時単回投与したときのサキサグリプチン及び主要活性代謝物の投与後24時間までの尿中排泄率は、それぞれ15.8%及び22.2%であった。また、サキサグリプチンの腎クリアランスは10.61L/h(177mL/min)であり、サキサグリプチンの腎排泄には、能動的な尿細管分泌の関与が推定される。
  2. サキサグリプチンは、腎臓及び肝臓の両経路により排泄される。外国人健康成人(6例)に14C標識した本剤50mgを単回投与したとき、投与後168時間までに投与放射能の75%が尿中に排泄され、22%が糞中に排泄された。尿中に排泄されたサキサグリプチン及び主要活性代謝物の割合は、投与放射能のそれぞれ24%及び36%であった。一方、糞中に排泄されたのは大部分がサキサグリプチンの酸化代謝物であり、サキサグリプチンの割合は投与量の約0.5%であった。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    外国人腎機能正常者及び外国人腎機能障害患者(40例)に本剤10mg注2)を単回経口投与したときのサキサグリプチンのAUC0-∞は、腎機能正常者に比べて、軽度(Ccr:50~80mL/min)、中等度(Ccr:30~50mL/min)、重度(Ccr:30mL/min未満)の腎機能障害患者でそれぞれ1.2倍、1.4倍、2.1倍になった。主要活性代謝物のAUC0-∞は、腎機能正常者に比べて、軽度、中等度、重度の腎機能障害患者でそれぞれ1.7倍、2.9倍、4.5倍になった。
    また、血液透析によりサキサグリプチン及び主要活性代謝物は体循環から除去され、4時間の血液透析により投与量のそれぞれ4%及び19%が除去された。
  2. 肝機能障害患者
    外国人健康成人及び外国人肝機能障害患者(36例)に本剤10mg注2)を単回経口投与したときのサキサグリプチンのAUC0-∞は、肝機能正常者に比べて、軽度(Child-Pugh分類A)、中等度(Child-Pugh分類B)、重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者でそれぞれ10%、38%、77%増加した。一方、主要活性代謝物のAUC0-∞は、軽度、中等度、重度の肝機能障害患者でそれぞれ22%、7%、33%低下した。
    サキサグリプチン及び主要活性代謝物のCmaxには肝機能障害による明らかな影響はみられなかった。サキサグリプチンのCmaxは、肝機能正常者に比べて軽度、中等度、重度肝機能障害患者でそれぞれ8%上昇、2%上昇及び6%低下した。一方、主要活性代謝物のCmaxは、軽度、中等度、重度の肝機能障害患者でそれぞれ18%、16%、59%低下した。
  3. 高齢者
    健康な外国人高齢者(65歳以上)及び外国人若年者(18~40歳)各28例に本剤10mg注2)を単回経口投与したとき、若年者に比べて、高齢者におけるサキサグリプチンのCmaxは23%上昇し、AUC0-∞は59%増加した。一方、主要活性代謝物のCmaxは7%低下し、AUC0-∞は35%増加した。
注2)本剤の承認用量は1日1回5mg又は2.5mgである。

薬物相互作用

  1. ジルチアゼム、ケトコナゾール(CYP3A4/5阻害剤)
    外国人健康成人に本剤とジルチアゼム又はケトコナゾールを併用投与したときのサキサグリプチン及び主要活性代謝物の薬物動態パラメータは以下のとおりである。モル換算したサキサグリプチンと主要活性代謝物の総曝露量(AUC0-∞)の増加はジルチアゼム併用で平均21%、ケトコナゾール併用で平均13%であった。
    併用薬
    併用薬
    用量
    本剤用量注)
    幾何平均値の比
    (併用時/非併用時)
    サキサグリプチン
    主要活性代謝物
    Cmax
    AUC0-∞
    Cmax
    AUC0-∞
    ジルチアゼム(n=12)
    360mg/日
    1日1回、9日間
    10mg単回投与
    1.63
    [1.40, 1.90]
    2.09
    [1.97, 2.23]
    0.57
    [0.50, 0.64]
    0.66
    [0.61, 0.71]
    ケトコナゾール(n=15)
    400mg/日
    1日2回、9日間
    100mg単回投与
    1.62
    [1.47, 1.80]
    2.45
    [2.30, 2.60]
    0.05
    [0.05, 0.06]
    0.12
    [0.10, 0.13]
    幾何平均値の比[90%信頼区間]
    注)本剤の承認用量は1日1回5mg又は2.5mgである。
  2. リファンピシン(CYP3A4/5誘導剤)
    外国人健康成人に本剤とリファンピシンを併用投与したときのサキサグリプチン及び主要活性代謝物の薬物動態パラメータは以下のとおりである。モル換算したサキサグリプチンと主要活性代謝物の総曝露量(AUC0-∞)の減少は平均27%であった。
    併用薬
    併用薬
    用量
    本剤用量
    幾何平均値の比
    (併用時/非併用時)
    サキサグリプチン
    主要活性代謝物
    Cmax
    AUC0-∞
    Cmax
    AUC0-∞
    リファンピシン(n=13)
    600mg/日
    1日1回、6日間
    5mg単回投与
    0.47
    [0.38, 0.57]
    0.24
    [0.21, 0.27]
    1.39
    [1.23, 1.56]
    1.03
    [0.97, 1.09]
    幾何平均値の比[90%信頼区間]
    DPP-4活性阻害率のAUC0-24hにリファンピシン併用による影響は認められなかった。
  3. その他の薬剤
    外国人健康成人に本剤とメトホルミンを併用投与したとき、サキサグリプチンのCmaxは21%低下したが、AUC0-∞に影響は認められなかった。なお、主要活性代謝物及びメトホルミンの薬物動態に影響は認められなかった。また、外国人健康成人に本剤とグリベンクラミド又はピオグリタゾンをそれぞれ併用投与したとき、本剤及び併用薬剤の薬物動態に影響は認められなかった。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内第Ⅱ相試験
    食事療法・運動療法を実施しても血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤1注)、2.5、5mg又はプラセボを1日1回12週間経口投与した。主要評価項目のHbA1c(NGSP値)のベースラインから投与12週までの変化量(平均値±標準誤差)は、プラセボ群(87例)−0.08±0.07%、本剤5mg群(81例)−0.90±0.07%であった。本剤5mg群とプラセボ群との差の点推定値[95%信頼区間]は−0.82[−1.05, −0.59]%であり、有意な差が認められた(p<0.0001、Dunnett検定)。
    副作用発現頻度はプラセボ群16.1%(14/87例)、本剤1mg注)群6.5%(6/93例)、2.5mg群13.6%(12/88例)、5mg群9.8%(8/82例)であった。なお、低血糖の副作用発現頻度は、本剤2.5mg群で1.1%(1/88例)であり、5mg群では低血糖の発現は認められなかった。
    注)本剤の承認用量は1日1回5mg又は2.5mgである。
  2. 国内第Ⅱ/Ⅲ相試験
    食事療法・運動療法を実施しても血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤2.5、5mg又はプラセボを1日1回24週間経口投与した結果は以下のとおりである。
    副作用発現頻度はプラセボ群12.2%(11/90例)、本剤2.5mg群13.0%(12/92例)、5mg群12.4%(12/97例)であった。なお、低血糖の副作用発現頻度は、本剤5mg群で1.0%(1/97例)であり、2.5mg群では低血糖の発現は認められなかった。
    国内第Ⅱ/Ⅲ相試験(24週時)の結果
    投与群
    HbA1c(NGSP値)(%)
    空腹時血糖(mg/dL)
    食後2時間血糖(mg/dL)a)
    投与前からの変化量
    プラセボとの差b)
    投与前からの変化量
    プラセボとの差b)
    投与前からの変化量
    プラセボとの差b)
    プラセボ(n=90)
    0.28±0.07
    3.2±2.74
    4.3±4.26
    サキサグリプチン5mg(n=97)
    −0.34±0.07
    −0.62c)
    [−0.84, −0.40]
    −7.0±2.64
    −10.2
    [−18.6, −1.8]
    −21.7±4.08
    −26.0
    [−39.1, −12.9]
    平均値±標準誤差
    a)食事(テストミール)負荷試験時のデータ
    b)点推定値[95%信頼区間]
    c)p<0.0001、Dunnett検定
  3. 国内第Ⅲ相試験(長期継続単独療法試験)
    食事療法・運動療法を実施しても血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象とした国内第Ⅱ/Ⅲ相試験に参加した患者に、本剤2.5又は5mgを継続投与した結果は以下のとおりである。また、最終評価時点(52週時)における空腹時血糖値のベースラインからの変化量の平均値[95%信頼区間]は、本剤5mg群で−3.3[−8.1, 1.5]mg/dLであった。
    副作用発現頻度は本剤2.5mg群18.5%(17/92例)、5mg群15.5%(15/97例)であった。なお、本剤の投与を52週継続した患者で、低血糖の副作用発現頻度は、本剤5mg群で2.1%(2/97例)であり、2.5mg群では低血糖の発現は認められなかった。
    国内第Ⅲ相試験(長期継続単独療法試験、52週時)の結果
    投与群
    HbA1c(NGSP値)(%)
    投与前からの変化量
    サキサグリプチン5mg(n=97)
    −0.35[−0.52, −0.19]
    平均値[95%信頼区間]
  4. 国内第Ⅲ相試験(長期単独療法試験)
    食事療法・運動療法を実施しても血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤5mgを1日1回52週間経口投与した結果は以下のとおりである。また、最終評価時点(52週時)の空腹時血糖値のベースラインからの変化量の平均値[95%信頼区間]は、本剤5mg群で−4.9[−9.4, −0.5]mg/dLであった。
    副作用発現頻度は15.2%(19/125例)であった。なお、52週間にわたって、低血糖の発現は認められなかった。
    国内第Ⅲ相試験(長期単独療法試験、52週時)の結果
    投与群
    HbA1c(NGSP値)(%)
    投与前からの変化量
    サキサグリプチン5mg(n=125)
    −0.51[−0.65, −0.36]
    平均値[95%信頼区間]
  5. 国内第Ⅲ相試験(長期併用療法試験)
    食事療法・運動療法に加えて、経口糖尿病用薬で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤5mgを1日1回52週間併用投与した結果は以下のとおりである。なお、52週までの併用投与時における低血糖の副作用発現頻度は、速効型インスリン分泌促進剤併用時10.5%(6/57例)、スルホニルウレア剤併用時8.2%(15/183例)、チアゾリジン系薬剤併用時1.9%(2/108例)、ビグアナイド系薬剤併用時1.7%(2/116例)、α-グルコシダーゼ阻害剤併用時0.9%(1/113例)であった。
    国内第Ⅲ相試験(長期併用療法試験、52週時)の結果
    投与群
    HbA1c(NGSP値)(%)
    投与前からの変化量
    スルホニルウレア剤併用(n=182)
    −0.50[−0.61, −0.38]
    α-グルコシダーゼ阻害剤併用(n=111)
    −0.83[−1.00, −0.66]
    ビグアナイド系薬剤併用(n=116)
    −0.64[−0.80, −0.47]
    チアゾリジン系薬剤併用(n=108)
    −0.51[−0.70, −0.32]
    速効型インスリン分泌促進剤併用(n=57)
    −0.60[−0.84, −0.37]
    平均値[95%信頼区間]
    スルホニルウレア剤併用群での副作用発現頻度は31.1%(57/183例)で、最も多くみられた副作用は低血糖8.2%(15/183例)であった。
    α-グルコシダーゼ阻害剤併用群での副作用発現頻度は16.8%(19/113例)で、最も多くみられた副作用は腹部膨満1.8%(2/113例)であった。
    ビグアナイド系薬剤併用群での副作用発現頻度は19.8%(23/116例)で、最も多くみられた副作用は便秘3.4%(4/116例)であった。
    チアゾリジン系薬剤併用群での副作用発現頻度は16.7%(18/108例)で、最も多くみられた副作用は便秘、下痢、腹部不快感、低血糖及び浮腫で、各2例(1.9%)であった。
    速効型インスリン分泌促進剤併用群での副作用発現頻度は35.1%(20/57例)で、最も多くみられた副作用は低血糖10.5%(6/57例)であった。

製造販売後調査等

  1. インスリン製剤との併用療法
    食事療法・運動療法に加えて、インスリン製剤(持効型、中間型又は混合型(速効型又は超速効型成分が50%以下))のいずれかを単剤で使用しており、かつ1日の投与回数は3回以下、かつ1日投与量は8単位以上40単位以下で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤5mg又はプラセボを1日1回16週間経口投与した結果は以下のとおりである。
    インスリン製剤との併用試験(二重盲検期、16週時)の結果
    投与群
    HbA1c(NGSP値)(%)
    投与前からの変化量
    プラセボとの差
    プラセボ併用a)(n=115)
    0.51±0.21
    [0.11, 0.92]
    サキサグリプチン5mg併用(n=113)
    −0.40±0.20
    [−0.80, −0.01]
    −0.92b)
    [−1.07, −0.76]
    平均値±標準誤差[95%信頼区間]
    a)インスリン製剤単独
    b)p<0.001、t検定
    二重盲検期後、本剤5mgを1日1回36週間継続投与した結果、最終評価時点(52週時)のHbA1c(NGSP値)のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)(本剤継続群のみ)は−0.61±0.72%であった。副作用発現頻度は33.6%(74/220例)であり、主な副作用は、低血糖17.7%(39/220例)であった。

薬効薬理

作用機序
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は食事の摂取により腸管から分泌されるホルモンであり、インスリン分泌増強作用及びグルカゴン分泌抑制作用を介して、生体内の血糖恒常性維持に重要な役割を果たす。本剤はGLP-1を分解するDPP-4活性を阻害することにより活性型GLP-1の血中濃度を上昇させ、インスリン分泌促進作用を介して血糖低下作用を発揮する,
DPP-4活性阻害作用及び活性型GLP-1濃度増加作用
  1. ヒトDPP-4(腎臓由来)活性を阻害し、サキサグリプチン及び主要活性代謝物のKi値は、それぞれ1.3±0.31nmol/L及び2.6±1.0nmol/Lであった(in vitro)。
  2. 正常ラットを用いた経口グルコース負荷試験において、本剤の単回投与により血漿中の活性型GLP-1濃度が上昇した。
  3. 2型糖尿病患者において、本剤5mgの1日1回投与により血漿中DPP-4活性が阻害され、血漿中活性型GLP-1濃度が増加した。
耐糖能改善及び食後血糖改善作用
  1. 肥満かつ耐糖能異常を呈するZucker Fattyラットを用いた経口グルコース負荷試験において、本剤の単回投与により血糖値上昇が抑制された。
  2. 食事療法・運動療法を実施しても血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者において、本剤5mgの1日1回14日間朝食前投与により、朝食後及び夕食後の血糖値上昇が抑制された。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
サキサグリプチン水和物(Saxagliptin Hydrate(JAN))
化学名
(1S,3S,5S)-2-[(2S)-2-Amino-2-(3-hydroxytricyclo[3.3.1.13,7]dec-1-yl)acetyl]-2-azabicyclo[3.1.0]hexane-3-carbonitrile monohydrate
分子式
C18H25N3O2・H2O
分子量
333.43
性状
白色~淡黄色又は淡褐色の粉末であり、塊を含む場合がある。エタノール(95)にやや溶けやすく、水にやや溶けにくい。
化学構造式

取扱い上の注意

  1. アルミピロー開封後は高温・高湿を避けて保存すること。
  2. 本剤は無包装状態で高温・高湿により影響を受けることが認められたため、無包装又は分包の場合は特に注意すること。

包装

〈オングリザ錠2.5mg〉
[PTP]100錠(10錠×10)
〈オングリザ錠5mg〉
[PTP]100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)

主要文献

1
Scirica BM, et al.: N Engl J Med. 2013; 369: 1317-1326
2
Scirica BM, et al.: Circulation. 2014; 130: 1579-1588
3
社内資料: 単回及び反復経口投与試験(2013年3月25日承認、CTD2.7.6.2.1)
4
社内資料: 臨床薬理試験(2013年3月25日承認、CTD2.7.6.3.4)
5
社内資料: 14C標識体単回投与試験(2013年3月25日承認、CTD2.7.2.2.2.4)
6
社内資料: 食事の影響の検討(2013年3月25日承認、CTD2.7.6.2.9)
7
社内資料: ヒト及び各種動物における血清蛋白結合試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.4.4.3)
8
社内資料: ヒト及び各種動物におけるin vitro代謝試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.4.5.3)
9
Boulton DW, et al.: Clin Pharmacokinet. 2011; 50: 253-265
10
社内資料: 年齢及び性別の影響(2013年3月25日承認、CTD2.7.2.2.4.1)
11
Patel CG, et al.: Clin Pharmacol, 2011; 2: 13-25
12
Upreti VV, et al.: Br J Clin Pharmacol. 2011; 72: 92-102
13
Patel CG, et al.: Diabetes Obes Metab. 2011; 13: 604-614
14
清野 裕: 薬理と治療. 2014; 42: 503-518
15
社内資料: 単独療法継続長期投与試験(2013年3月25日承認、CTD2.7.6.4.22)
16
清野 裕: 薬理と治療. 2014; 42: 519-534
17
社内資料: インスリン製剤との併用試験
18
Drucker D, et al.: Lancet. 2006; 368: 1696-1705
19
社内資料: in vivoにおける薬理作用(2013年3月25日承認、CTD2.6.2.2.4)
20
社内資料: 血漿中活性型GLP-1濃度に対する作用(2013年3月25日承認、CTD2.6.2.2.3)
21
社内資料: DPPに対する阻害作用(2013年3月25日承認、CTD2.6.2.2)

文献請求先及び問い合わせ先

協和キリン株式会社 くすり相談窓口
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2
電話 0120-850-150
受付時間 9:00~17:30(土・日・祝日及び弊社休日を除く)

製造販売業者等

製造販売元
協和キリン株式会社
東京都千代田区大手町1-9-2

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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