医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

閲覧履歴

チオラ錠100

代謝改善解毒・シスチン尿症治療剤

1錠 23.5円

添付文書番号

3919003F2020_5_01

企業コード

671450

作成又は改訂年月

2023年7月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

873919

薬効分類名

代謝改善解毒・シスチン尿症治療剤

承認等

販売名

チオラ錠100

販売名コード

3919003F2020

販売名英字表記

Thiola Tablets

販売名ひらがな

ちおらじょう100

承認番号等

承認番号
14500AMZ01146

販売開始年月

1970年8月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

一般的名称

チオプロニン

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

チオラ錠100
有効成分
1錠中 チオプロニン  100mg
添加剤
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドン、沈降炭酸カルシウム、精製白糖、カルナウバロウ、その他1成分

製剤の性状

チオラ錠100
外形
上面
下面
側面
直径
9.3mm
厚さ
5.2mm
重量
340mg
識別コードMH165
(PTPシートに表示)
色調等
白色
糖衣錠

効能又は効果

  • 慢性肝疾患における肝機能の改善
  • 初期老人性皮質白内障
  • 水銀中毒時の水銀排泄増加
  • シスチン尿症

効能又は効果に関連する注意

〈シスチン尿症〉
飲水療法及び尿アルカリ化療法で、尿中シスチン濃度の飽和溶解度(一般に250mg/L)未満に保てない場合に、本剤の使用を検討すること。1日尿量2.5Lの場合、1日尿中シスチン排泄量の目安は600mgである。

用法及び用量

〈慢性肝疾患における肝機能の改善〉
チオプロニンとして、通常成人1回100mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈初期老人性皮質白内障〉
チオプロニンとして1回100~200mgを1日1~2回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減してもよい。
〈水銀中毒時の水銀排泄増加〉
チオプロニンとして1回100~200mgを1日3回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減してもよい。
〈シスチン尿症〉
チオプロニンとして、通常、成人には1回100mgから開始し、1日4回(食後および就寝前)経口投与する。最大量は1回500mg(1日2,000mg)とする。通常、小児には1日量として100mgから開始し、最大量として1日40mg/kgとする。ただし、成人最大量(1日2,000mg)を超えないものとする。

用法及び用量に関連する注意

〈シスチン尿症〉
  1. 用量(漸増)は、尿中シスチン排泄量に基づき設定すること。
  2. 成人では1日尿量が2.5L以上になるよう飲水することが望ましい。また、小児では、尿量が多くなるよう飲水することが望ましい。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 黄疸等の重篤な副作用があらわれることがあるので、投与中は定期的に肝機能検査(とくに投与後2、4、6週の検査)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、上記の異常には、発疹、そう痒感等の皮膚症状、食欲不振、悪心等の消化器症状、あるいは発熱、倦怠感等が先行してあらわれることがあるので、これらの症状についても観察を十分に行うこと。
  2. まれに無顆粒球症があらわれることがあるので、投与中は咽頭痛、発熱等の風邪様症状の発現に十分注意すること。
  3. ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、定期的に尿蛋白の検査を行うなど観察を十分に行うこと。
〈シスチン尿症〉
  1. 他の疾患での用法及び用量に比べて高用量になり、また、長期投与される場合が多いので、重篤な副作用(ネフローゼ症候群や無顆粒球症など)の発現に注意すること。なお、顆粒球減少は低用量での副作用としても報告されている。

特定の背景を有する患者に関する注意

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

〈シスチン尿症〉
  1. 日本で報告されている小児患者の最低使用年齢は1歳である。また、国内外で報告されている使用年齢は1~14歳(平均7.4歳)で、開始用量は1日量として9.3~28.6mg/kg(平均17.6mg/kg)である,,,,,,,,,
  2. 小児患者に1日40mg/kg以上投与した場合、ネフローゼ症候群や蛋白尿などの副作用があらわれるとの報告がある,,
  3. 米国の添付文書には9歳未満の小児に対する安全性と有効性は確立されていない、及び小児の開始用量は1日量として15mg/kgを目安に設定することと記載されている。

高齢者

減量するなど注意すること。一般に肝・腎機能が低下していることが多い。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、天疱瘡様症状(いずれも頻度不明)
  2. 黄疸(0.1%未満)
    AST・ALT・ALP・ビリルビン等の異常があらわれることがある。
  3. 無顆粒球症(0.1%未満)
  4. 間質性肺炎(頻度不明)
  5. ネフローゼ症候群(頻度不明)
  6. 重症筋無力症、多発性筋炎(いずれも頻度不明)
    関節リウマチ患者等に大量投与した場合、重症筋無力症、多発性筋炎があらわれたとの報告がある。

その他の副作用

0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
そう痒感、発疹
発熱、皮膚の発赤
皮膚
麻疹様皮疹
扁平苔癬
血液
汎血球減少、白血球減少、血小板減少等の血液障害
消化器
食欲不振、悪心・嘔吐
腹痛、下痢
肝臓
AST・ALT・ALP上昇等の肝機能障害
その他
倦怠感
味覚異常、インスリン自己免疫症候群、手足のしびれ感

副作用の共通の注釈

注)副作用の発現頻度は使用成績調査を含む

臨床検査結果に及ぼす影響

ニトロプルシド反応の原理により尿中ケトン体反応が偽陽性を呈することがある。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

薬物動態

血中濃度

健常成人男性5例にチオプロニン400mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは下表のとおりであった。24時間後には定量限界(10ng/mL)未満となった。
チオプロニン400mg単回経口投与時の薬物動態パラメータ
Cmax (ng/mL)
Tmax (hr)
T1/2 (hr)
AUC0-∞ (ng・hr/mL)
2605.5±845.8
1.1±0.4
1.2±0.1
4008.2±366.2
平均値±標準偏差、n=5

分布

ラットに35S-チオプロニンを腹腔内投与すると、腎臓、横隔膜、膵臓、副腎、精巣上体脂肪組織、肝臓、脾臓への移行率が高かった。また、投与24時間後の組織残留量は、腎臓、小腸を除き、無視し得る程度であった。

排泄

健常成人男性5例にチオプロニン400mgを単回経口投与したとき、投与後24時間までに投与量の約50%がチオプロニン及びチオプロニンを含有するジスルフィドとして尿中へ排泄された。
ラットに35S-チオプロニン50mg/kgを経口投与したとき、72時間後までに尿中に78%、糞中に13%が排泄され、尿中には酸化型チオプロニンを含めて5個の代謝産物が検出された。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈慢性肝疾患における肝機能の改善〉
  1. 慢性肝炎における国内臨床試験
    慢性肝炎76例を対象に、チオプロニン又はプラセボを1日600mg(分3)投与した二重盲検試験の結果、主治医による有用度判定ではプラセボ群の有用率は41.5%(37/38)に対しチオプロニンの有用率は56.6%(43/76)であり、プラセボ投与群に比べ有意差が認められた(P<0.001対比検定)。主な副作用は発疹、発熱等であった。
    注)本剤の承認された成人用量は1日300mgである。
  2. ヘモジデローシスにおける国内臨床試験
    ヘモジデリン沈着の肝障害11例に対し、7例に尿中への排泄鉄量の増加、6例に血清鉄の正常化及び減少が認められ、肝生検所見も改善された。副作用は頭重感(1例)であった。
  3. 薬物性肝障害における国内臨床試験
    フェノチアジン系薬剤療法に伴う薬物性肝障害に対する有効率は86.7%(26/30)であった。
  4. 薬物性肝障害における海外臨床試験
    腫瘍性疾患85例を対象にチオプロニン(静脈内または筋肉内)投与を行ったところ、抗腫瘍剤(シクロフォスファミド)による肝障害に対しても肝保護作用を示した。
〈初期老人性皮質白内障〉
  1. 国内臨床試験
    初期老人性皮質白内障患者(本剤139眼、プラセボ136眼)を対象に、1日300mg(分3)を1年間投与した二重盲検試験の結果、本剤投与群はプラセボ投与群と比較し細隙灯顕微鏡所見において有意(P=0.006)に水晶体混濁の進行を抑制し、総合判定も有意(P=0.008)に優れていた。本剤投与群76例中5例に副作用が認められ、主な副作用は発疹、胃部不快感(各2例)であった。
〈水銀中毒時の水銀排泄増加〉
  1. 国内臨床試験
    人体水銀蓄積患者に、チオプロニン1日600mg(分3)を6ヵ月間投与した水銀尿中排泄効果は、投与前に比べ約3~6倍の増加がみられ、臨床的にアルキル水銀の尿中への排泄促進効果を著しく増加させた,,
    注)本剤の承認された用量は1日400mgである。
〈シスチン尿症〉
  1. 国内臨床試験
    尿中シスチン排泄量が600mg/日を超えるシスチン尿症患者(有効性評価対象16例)を対象に、チオプロニンを1日400~2,000mg(分4)24週間投与した結果、尿中シスチン排泄量は無投与時(901.48±162.55mg/日)に比べ、投与期には488.60±111.48mg/日(2週と24週平均値)と有意に低下(P<0.01)し、その低下量に用量依存性がみられた。安全性評価対象22例中副作用は6例13件に認められ、主な副作用はそう痒感、かぜ症状群(各2件)等であった。

薬効薬理

作用機序
  1. 肝機能の改善作用
    チオプロニンは肝臓における過酸化脂質の生成抑制並びに肝疾患に伴う代謝障害改善によって肝細胞障害に対して保護作用を示すと考えられる,,
  2. 水晶体混濁防止作用
    チオプロニンは膜機能障害あるいはタンパク質凝集などの白内障進行の原因となる各種の変化を抑制することにより、白内障の進行を防止するものと考えられる。
  3. 水銀排泄促進作用
    チオプロニンは水銀と可溶性の安定なキレートを形成し、水銀排泄を促進させる。
  4. 尿中シスチン排泄量低下作用
    チオプロニンは分子内にSH基を有し、このSH基とシスチンのジスルフィド部分(S-S部分)がSS-SH交換反応を起こすことから、シスチン尿症の結石形成の原因となる難溶性のシスチンを易溶性のシスチン-チオプロニン複合体とシステインに変換され、尿中シスチン排泄量が低下すると考えられている,
肝臓保護及び代謝系に対する作用
  1. 試験管内で、アスコルビン酸処置をしたラット肝ミトコンドリアの過酸化脂質の生成を抑制して細胞膜を保護し、AST、GLDH等の酵素の遊出を抑えた。
  2. 試験管内で、ラットの肝ミトコンドリアにおけるエネルギー産生を増大させ、また、蛋白代謝を改善して肝の修復を促進させた。
  3. ラットへの投与では、糖代謝をはじめ、種々の酵素系の活性を高め、肝の代謝を円滑にした。
水晶体混濁に対する作用
チオプロニンは、牛水晶体蛋白の凝集を抑制した。さらに、ナフタリン及びジニトロフェノールによる家兎の実験的白内障の発症を遅延させた,
重金属排泄効果
チオプロニンは、ラット及びヒトの体内で重金属と結合して重金属解毒作用をあらわし、特に水銀の排泄促進効果を示した,,
シスチン濃度低下作用
チオプロニンは、水溶液(pH7.4、25℃)中でシスチンと化学反応し、シスチン濃度を低下させた,

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
チオプロニン(Tiopronin)
化学名
N-(2-mercaptopropionyl)glycine
分子式
C5H9NO3S
分子量
163.20
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末で、特異なにおいがあり、酸味がある。
水又はエタノール(95)に溶けやすく、酢酸エチルにやや溶けにくく、ジエチルエーテル又はクロロホルムに溶けにくい。
アンモニア試液又はpH5.0の酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液に溶ける。
化学構造式
融点
96~99℃

取扱い上の注意

本剤は高温・高湿を避けて保存すること。

包装

100錠[10錠(PTP)×10]

主要文献

1
木下勝博ほか:日本臨床. 1972;30(11):2324-2328
2
荒木徹ほか:日本泌尿器科学会雑誌. 1981;7(2):221-236
3
Pavanello L,et al.:Eur Urol. 1981;7(3):139-143
4
鄭漢彬:岐阜医紀. 1980;28:544-572
5
柳宏司ほか:日本泌尿器科学会雑誌. 2000;91(4):493-496
6
菊田芳克ほか:小児科診療. 1993;56(3):520-524
7
鈴木信行ほか:臨床泌尿器科. 1976;30(4):317-321
8
Koide T,et al.:J Urol. 1982;128(3):513-516
9
Rizzoni G,et al.:J Urol. 1979;122(3):381-382
10
Berio A.:IRCS Med Sci. 1980;8:659
11
Matsuura K,et al.:Pharm Pharmacol Commun. 1999;5:345-347
12
千葉剛久ほか:薬学雑誌. 1973;93(1):112-118
13
市田文弘ほか:肝胆膵. 1980;1(1):127-149
14
太田康幸ほか:岡山医学会雑誌. 1966;78:1297-1305
15
下山孝ほか:日本消化器病学会雑誌. 1965;62:717-724
16
Cacciari C,et al.:第2回国際チオラシンポジウム報告. 1972:32-34
17
市川宏ほか:日本眼科紀要. 1978;29(7):1168-1175
18
白川健一ほか:新潟医学会雑誌. 1976;90(10):495-501
19
浜田陸三ほか:医学のあゆみ. 1974;91(7):285-286
20
原田正純ほか:日本医事新報. 1977;2769:18-22
21
小出卓生ほか:泌尿紀要. 2003;49(2):115-120
22
Dioguardi N,et al.:日伊チオラシンポジウム報告. 1970:184-194
23
Zimmer BG,et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1978;28(1):811-816
24
千葉剛久ほか:薬学雑誌. 1972;92(6):757-762
25
山本覚次ほか:日本眼科学会雑誌. 1977;81(5):472-474
26
Funae Y,et al:Chem Pharm Bull. 1971;19(8):1618-1626
27
奥村重雄ほか:薬学雑誌. 1974;94(6):655-659
28
社内資料:薬理試験(承認年月日:2002.7.5、申請資料概要ホ.1)
29
渡辺猛ほか:日本眼科紀要. 1969;20(12):1125-1130
30
小川栄一ほか:災害医学. 1972;15(3):222-228
31
山口誠哉ほか:日本医事新報. 1974;2618:12-15

文献請求先及び問い合わせ先

ヴィアトリス製薬株式会社 メディカルインフォメーション部
〒105-0001 東京都港区虎ノ門5丁目11番2号
フリーダイヤル 0120-419-043

製造販売業者等

製造販売元
ヴィアトリス製薬株式会社
東京都港区虎ノ門5丁目11番2号

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

MESSAGE

MESSAGE

LABEL