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リックル配合顆粒

分岐鎖アミノ酸製剤

1包 58.2円

添付文書番号

3253003D1124_1_03

企業コード

300119

作成又は改訂年月

2023年9月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

873253

薬効分類名

分岐鎖アミノ酸製剤

承認等

販売名

リックル配合顆粒

販売名コード

3253003D1124

販売名英字表記

LICKLE Combination Granules

販売名ひらがな

りっくるはいごうかりゅう

承認番号等

承認番号
22100AMX01585000

販売開始年月

2003年7月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒

一般的名称

L-イソロイシンL-ロイシンL-バリン

禁忌(次の患者には投与しないこと)

先天性分岐鎖アミノ酸代謝異常のある患者[メープルシロップ尿症においては痙攣、呼吸障害等があらわれるおそれがある。]

組成・性状

組成

リックル配合顆粒
有効成分
日局L-イソロイシン  952mg
有効成分
日局L-ロイシン  1904mg
有効成分
日局L-バリン  1144mg
添加剤
軽質無水ケイ酸、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、l-メントール

製剤の性状

リックル配合顆粒
識別コードSW-950(分包に表示)
剤形・性状
白色の剤皮を施した顆粒剤

効能又は効果

食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善

効能又は効果に関連する注意

  1. 本剤の適用対象となる患者は、血清アルブミン値が3.5g/dL以下の低アルブミン血症を呈し、腹水・浮腫又は肝性脳症を現有するかその既往のある非代償性肝硬変患者のうち、食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する患者、又は、糖尿病や肝性脳症の合併等で総熱量や総蛋白(アミノ酸)量の制限が必要な患者である。糖尿病や肝性脳症の合併等がなく、かつ、十分な食事摂取が可能にもかかわらず食事摂取量が不足の場合には食事指導を行うこと。なお、肝性脳症の発現等が原因で食事摂取量不足の場合には熱量及び蛋白質(アミノ酸)を含む薬剤を投与すること。
  2. 以下の患者は肝硬変が高度に進行しているため本剤の効果が期待できないので投与しないこと。
    • 肝性脳症で昏睡度がⅢ度以上の患者
    • 総ビリルビン値が3mg/dL以上の患者
    • 肝臓での蛋白合成能が著しく低下した患者

用法及び用量

通常、成人に1回1包(4.74g)を1日3回食後経口投与する。

用法及び用量に関連する注意

  1. 本剤は分岐鎖アミノ酸のみからなる製剤で、本剤のみでは必要アミノ酸の全ては満たすことはできないので、本剤使用時には患者の状態に合わせた必要蛋白量(アミノ酸量)及び熱量(1日蛋白量40g以上、1日熱量1000kcal以上)を食事等により摂取すること。特に蛋白制限を行っている患者に用いる場合には、必要最小限の蛋白量及び熱量を確保しないと本剤の効果は期待できないだけでなく、本剤の長期投与により栄養状態の悪化を招くおそれがあるので注意すること。
  2. 本剤の投与によりBUN又は血中アンモニアの異常が認められる場合、本剤の過剰投与の可能性があるので注意すること。また、長期にわたる過剰投与は栄養状態の悪化のおそれもあるので注意すること。
  3. 本剤を2ヵ月以上投与しても低アルブミン血症の改善が認められない場合は、他の治療に切り替えるなど適切な処置を行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

一般に生理機能が低下していることが多く、本剤の投与により血中のアンモニアの上昇等の代謝障害があらわれやすい。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

0.1~5%未満
頻度不明
消化器
腹部膨満感、下痢、腹部不快感、食欲不振、口渇
嘔気、便秘、腹痛、嘔吐、おくび、胸やけ等
腎臓
BUN上昇、血中クレアチニン上昇等
代謝
血中アンモニア値の上昇等
肝臓
AST上昇、ALT上昇、T-Bilの上昇等
皮膚
発疹、そう痒等
その他
倦怠感、浮腫(顔、下肢等)、発赤、ほてり

薬物動態

血中濃度

  1. 生物学的同等性試験
    リックル配合顆粒とリーバクト配合顆粒を健康成人男子にそれぞれ1包(L-イソロイシン952mg、L-ロイシン1904mg、L-バリン1144mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、各血漿中濃度を測定した。投与前値で補正した値より得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
    各製剤1包投与時の薬物動態パラメータ
    Cmax
    (μg/mL)
    Tmax
    (hr)
    T1/2
    (hr)
    AUC0-4hr
    (μg・hr/mL)
    L-イソロイシン
    リックル配合顆粒
    25.26±5.16
    0.6±0.1
    0.4±0.1
    27.27±4.69
    リーバクト配合顆粒
    25.78±5.02
    0.7±0.2
    0.5±0.1
    27.91±4.58
    L-ロイシン
    リックル配合顆粒
    43.56±9.98
    0.6±0.1
    1.0±0.3
    61.85±8.57
    リーバクト配合顆粒
    45.61±9.75
    0.7±0.2
    1.1±0.3
    62.64±10.75
    L-バリン
    リックル配合顆粒
    37.25±5.57
    0.6±0.1
    1.4±0.4
    59.99±8.05
    リーバクト配合顆粒
    36.94±6.96
    0.8±0.2
    1.5±0.5
    58.87±10.35
    (Mean±S.D.)
    血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

吸収

ラットにおいて投与された分岐鎖アミノ酸は速やかに吸収され、血漿及び全血中濃度は投与後4時間に最高値を示した後、ゆっくりと減少した。反復投与後もその吸収に大きな影響を与えなかった。

分布

ラットに投与され、血漿中へ移行した分岐鎖アミノ酸は速やかに血漿蛋白合成に利用された。吸収された分岐鎖アミノ酸は全身に広く分布したが、蛋白合成の盛んな組織に強く分布した。反復投与においても、その分布に大きな影響を与えなかった。

排泄

ラットに投与された分岐鎖アミノ酸は168時間までに各々4%が尿・糞中に、41%が呼気中に排泄され、分岐鎖アミノ酸の一部はエネルギー源としても利用されていた。反復投与においても、その排泄に大きな影響を与えなかった。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内第Ⅱ相一般臨床試験
    低アルブミン血症の非代償性肝硬変患者248例を対象とした6ヵ月間の一般臨床試験において、低アルブミン血症の改善(血清アルブミン値の上昇)、血清総蛋白、トランスフェリン、体重の各栄養指標の改善及び全身倦怠感、易疲労感の改善が2週から2ヵ月の間に認められ、さらに、5ヵ月以降では腹水の改善が認められ、6ヵ月まで継続した。自他覚症状、栄養状態、精神神経症状、Quality of Life、安全度を総合したイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒の有用率は51.2%(104例/203例)であった。副作用発現頻度は5.2%(13/248例)であり、主な副作用は便秘1.6%(4/248例)であった。その後、これらの患者の生命予後調査を実施した結果、試験終了後に栄養状態の改善効果がみられた症例及びイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒を長期に投与した症例の生命予後が良好であった。
  2. 国内第Ⅲ相比較試験
    低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者193例を対象に、プラセボ剤との二重盲検比較試験(12週間)を実施した。その結果、自他覚症状、栄養状態、精神神経症状、Quality of Lifeを総合した全般改善度は、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒群45.8%(38例/83例)、プラセボ群17.3%(14例/81例)であり、さらに安全度を加味した有用率はイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒群49.4%(42例/85例)、プラセボ群18.1%(15例/83例)であった。副作用発現頻度は5.1%(5/98例)であり、主な副作用は腹満感及び下痢でそれぞれ2.0%(2/98例)であった。
  3. 国内一般臨床試験長期追跡調査
    血清アルブミン値の推移と臨床症状、生命予後との関連性を検討する目的で、一般臨床試験の患者を対象に2年間の追跡調査を実施した。その結果、血清アルブミン値の推移は腹水、浮腫、Performance Statusの臨床症状と正の相関をしていることが明らかになった。生命予後との関連性では、1年間に血清アルブミン値が0.2g/dL上昇することにより、不変を基準とした時に比べて単位時間当たりの死亡危険率(ハザード比)は0.77となり、0.4g/dLの上昇により0.59となることが推定された。
  4. 生命予後に関する国内比較臨床試験
    イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒が生命予後に及ぼす影響について明らかにすることを目的として、肝硬変の進行に伴って発現する重篤な合併症である「肝硬変の肝不全病態悪化(腹水、浮腫、肝性脳症、黄疸)、食道静脈瘤破裂(胃静脈瘤破裂)、肝癌発生および死亡」を生命予後につながるイベントとし、これによる中止・脱落までの時間を食事治療群と比較する無作為化比較臨床試験(試験期間2年以上)を実施した。その結果、解析対象症例622例(食事治療群308例、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒投与群314例)において、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒投与群で有意に上記の重篤な肝硬変合併症の発現が抑制されていた。また、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒投与群の食事治療群に対するハザード比は0.67、その95%信頼区間は0.49~0.93であった。

薬効薬理

作用機序
非代償性肝硬変患者の血中アミノ酸インバランスの是正を介して、アルブミン合成促進をもたらすものと考えられる。
慢性肝障害による低蛋白栄養状態に対する栄養状態改善効果
低栄養状態(低アルブミン血症状態)の肝硬変モデルとして四塩化炭素慢性肝障害ラットを用いてイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒の効果を検討した。
  1. イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同じ組成の分岐鎖アミノ酸を飼料に0、2.5、5.0、10.0%添加し、自由摂取させて検討したところ、ヒトの投与量に近い2.5%添加群が、無添加群及び他の添加群に比べて窒素出納、窒素出納効率、血漿総蛋白及び血漿アルブミン値上昇の各栄養指標で優れており、血漿Fischer比の是正も適切であった。
  2. L-イソロイシン、L-ロイシン、L-バリンの組成比をⅠ(2:1:1)、Ⅱ(1:2:1.2)、Ⅲ(1:1:2)と変化させた分岐鎖アミノ酸添加食を自由摂取させたところ、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同じ組成のⅡ群が、他の組成比の群に比べて窒素出納、血漿総蛋白及び血漿アルブミン値上昇の各栄養指標で優れており、血漿Fischer比の是正も適切であった。
  3. イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同じ組成の分岐鎖アミノ酸又は同一窒素量で同一エネルギー量の必須アミノ酸を飼料へ添加し、自由摂取させて検討したところ、分岐鎖アミノ酸添加群が、必須アミノ酸添加群より高い栄養効果を示し、血小板数減少抑制と肝臓重量の減少抑制もみられた。
脳内モノアミン、脳内アミノ酸に及ぼす影響
肝性脳症モデルとして門脈下大静脈吻合ラットを用いてイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒の効果を検討した。イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同じ組成の分岐鎖アミノ酸投与により血漿及び脳内アミノ酸濃度、脳内モノアミン濃度が正常化したが、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同一窒素量で同一エネルギー量の必須アミノ酸を投与した群ではむしろ増悪する傾向がみられた。

有効成分に関する理化学的知見

19.1 L-イソロイシン
一般的名称
L-イソロイシン(L-Isoleucine)
化学名
(2S,3S)-2-Amino-3-methylpentanoic acid
分子式
C6H13NO2
分子量
131.17
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味はわずかに苦い。ギ酸に溶けやすく、水にやや溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
化学構造式
19.2 L-ロイシン
一般的名称
L-ロイシン(L-Leucine)
化学名
(2S)-2-Amino-4-methylpentanoic acid
分子式
C6H13NO2
分子量
131.17
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味はわずかに苦い。ギ酸に溶けやすく、水にやや溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
化学構造式
19.3 L-バリン
一般的名称
L-バリン(L-Valine)
化学名
(2S)-2-Amino-3-methylbutanoic acid
分子式
C5H11NO2
分子量
117.15
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味はわずかに甘いが、後に苦い。ギ酸に溶けやすく、水にやや溶けやすく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
化学構造式

包装

84包(1包4.74g)、210包(1包4.74g)

主要文献

1
社内資料:生物学的同等性試験
2
松沢淑雅他:基礎と臨床, 1989;23(5):1943-1954
3
武藤泰敏他:JJPEN, 1989;11(9):1119-1134
4
武藤泰敏他:JJPEN, 1992;14(5):765-775
5
武藤泰敏他:JJPEN, 1989;11(9):1137-1154
6
武藤泰敏他:JJPEN, 1995;17(12):1135-1143
7
Muto, Y. et al.:Clinical Gastroenterology&Hepatology, 2005;3(7):705-713
8
武藤泰敏他:日本医事新報, 1983;No.3101, 3-9
9
大橋弘幸他:日本消化器病学会雑誌, 1989;86(8):1645-1653
10
大橋弘幸他:基礎と臨床, 1989;23(5):1905-1914
11
大橋弘幸他:基礎と臨床, 1989;23(5):1915-1929

文献請求先及び問い合わせ先

沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
TEL:0120-381-999 FAX:06-7708-8966

製造販売業者等

製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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