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閲覧履歴

エビリファイ持続性水懸筋注用300mg

持続性抗精神病薬

1瓶 34697円

添付文書番号

1179410E1027_1_09

企業コード

180078

作成又は改訂年月

2023年10月改訂
(第2版、効能変更)

日本標準商品分類番号

871179

薬効分類名

持続性抗精神病薬

承認等

販売名

エビリファイ持続性水懸筋注用300mg

販売名コード

1179410E1027

販売名英字表記

ABILIFY prolonged release aqueous suspension for IM injection

販売名ひらがな

えびりふぁいじぞくせいすいけんきんちゅうよう300㎎

承認番号等

承認番号
22700AMX00644

販売開始年月

2015年5月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
36箇月

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

エビリファイ持続性水懸筋注用400mg

販売名コード

1179410E2023

販売名英字表記

ABILIFY prolonged release aqueous suspension for IM injection

販売名ひらがな

えびりふぁいじぞくせいすいけんきんちゅうよう400㎎

承認番号等

承認番号
22700AMX00645

販売開始年月

2015年5月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
36箇月

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

アリピプラゾール水和物持続性注射剤

警告

  1. 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることもある重大な副作用が発現するおそれがあるので、本剤投与中は高血糖の徴候・症状に注意すること。特に、糖尿病又はその既往歴もしくはその危険因子を有する患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与することとし、投与にあたっては、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
  2. 投与にあたっては、あらかじめ上記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに医師の診察を受けるよう指導すること。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
  2. バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。]
  3. アドレナリン(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)、クロザピンを投与中の患者
  4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

エビリファイ持続性水懸筋注用300mg
有効成分
アリピプラゾール水和物注)  390mg
アリピプラゾールとして  375mg
添加剤
カルメロースナトリウム(15.6mg)、D-マンニトール(78.0mg)、リン酸二水素ナトリウム一水和物(1.39mg)、水酸化ナトリウム(pH調整剤)注)
エビリファイ持続性水懸筋注用400mg
有効成分
アリピプラゾール水和物注)  494mg
アリピプラゾールとして  475mg
添加剤
カルメロースナトリウム(19.76mg)、D-マンニトール(98.8mg)、リン酸二水素ナトリウム一水和物(1.76mg)、水酸化ナトリウム(pH調整剤)注)
注)懸濁した薬液の吸引時及び投与時の損失を考慮し、1バイアルからアリピプラゾール300mg又は400mgを注射可能な量を確保するために過量充填されている。

製剤の性状

エビリファイ持続性水懸筋注用300mg
性状
凍結乾燥製剤:白色の塊
注射用水:無色澄明の液
凍結乾燥製剤を注射用水で懸濁するとき白色の懸濁液となる。
pH:6.5~7.5(注射用水で懸濁時)
浸透圧比(生理食塩液に対する比):約1(注射用水で懸濁時)
エビリファイ持続性水懸筋注用400mg
性状
凍結乾燥製剤:白色の塊
注射用水:無色澄明の液
凍結乾燥製剤を注射用水で懸濁するとき白色の懸濁液となる。
pH:6.5~7.5(注射用水で懸濁時)
浸透圧比(生理食塩液に対する比):約1(注射用水で懸濁時)

効能又は効果

  • 統合失調症
  • 双極Ⅰ型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制

用法及び用量

通常、成人にはアリピプラゾールとして1回400mgを4週に1回臀部筋肉内又は三角筋内に投与する。なお、症状、忍容性に応じて1回量300mgに減量すること。

用法及び用量に関連する注意

  1. 本剤は、初回投与後徐々に血漿中薬物濃度が上昇することから、初回投与後は2週間を目処に、以下の投与量を参考に経口アリピプラゾール製剤の併用を継続するなどの適切な治療を行うこと。
    切替え前の
    経口アリピプラゾール製剤の
    投与量注)
    切替え後の
    経口アリピプラゾール製剤の
    投与量(2週間)
    6~15mg/日
    6mg/日
    18~24mg/日
    12mg/日
    30mg/日
    15mg/日
    注)統合失調症及び双極性障害における躁症状の改善の承認用法及び用量に従うこと。
  2. 本剤とCYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)及び/又はCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合には、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがあるため、以下の表を参考に減量等を考慮すること。
    減量後の
    本剤の用量
    本剤400mg単剤投与に相当する用量
    CYP2D6阻害剤又はCYP3A4阻害剤のいずれかを併用する場合
    300mg
    CYP2D6阻害剤及びCYP3A4阻害剤のいずれも併用する場合
    200mg
    本剤300mg単剤投与に相当する用量
    CYP2D6阻害剤又はCYP3A4阻害剤のいずれかを併用する場合
    200mg
    CYP2D6阻害剤及びCYP3A4阻害剤のいずれも併用する場合
    160mg

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 本剤は持続性製剤であり、精神症状の再発及び再燃の予防を目的とする製剤であることから、急性期の治療や複数の抗精神病薬の併用を必要とするような不安定な患者には用いないこと。また、本剤投与にあたっては以下の点に留意すること。
    1. 一度投与すると直ちに薬物を体外に排除する方法がないため、予め本剤投与の必要性について十分に検討し、副作用の予防、副作用発現時の処置、過量投与等について十分留意すること。
    2. 過去にアリピプラゾールによる治療の経験がない場合には、まず経口アリピプラゾール製剤を投与し、忍容性を確認した後、本剤を投与すること。
    3. 過去にアリピプラゾールによる治療の経験がある場合であっても、現在、経口アリピプラゾール製剤以外の抗精神病薬を使用している患者では、原則として、経口アリピプラゾール製剤に切り替え、症状が安定した後に本剤を投与すること。
  2. 本剤は持続性製剤であることから、投与中止後も患者の症状を慎重に観察し、副作用等の発現に十分に注意すること。
  3. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
  4. 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることもある重大な副作用が発現するおそれがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の高血糖の徴候・症状に注意するとともに、糖尿病又はその既往歴もしくはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
  5. 低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
  6. 本剤の投与に際し、あらかじめ8.4及び8.5の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに医師の診察を受けるよう、指導すること。
  7. 原疾患による可能性もあるが、本剤投与後に病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害があらわれたとの報告がある。衝動制御障害の症状について、あらかじめ患者及び家族等に十分に説明を行い、症状があらわれた場合には、医師に相談するよう指導すること。また、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察し、症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
  8. 本剤の投与により体重の変動(増加、減少)を来すことがあるので、本剤投与中は体重の推移を注意深く観察し、体重の変動が認められた場合には原因精査(合併症の影響の有無等)を実施し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
  9. 他の抗精神病薬を既に投与しているなど血清プロラクチン濃度が高い場合に本剤を投与すると、血清プロラクチン濃度が低下し月経が再開することがあるので、月経過多、貧血、子宮内膜症などの発現に十分注意すること。
  10. 嚥下障害が発現するおそれがあるので、特に誤嚥性肺炎のリスクのある患者に本剤を投与する場合には、慎重に経過を観察すること。
〈統合失調症〉
  1. 興奮、敵意、誇大性等の精神症状が悪化することがあるので、観察を十分に行い、悪化が見られた場合には他の治療方法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者
    一過性の血圧降下があらわれるおそれがある。
  2. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
    痙攣閾値を低下させることがある。
  3. 糖尿病又はその既往歴を有する患者、もしくは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
    血糖値が上昇することがある。
  4. 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者
    症状を悪化させるおそれがある。
  5. 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。

肝機能障害患者

肝障害を悪化させるおそれがある。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。なお、経口アリピプラゾール製剤の臨床試験において流産の報告がある。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。経口アリピプラゾール製剤においてヒトで乳汁中への移行が認められている。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4及びCYP2D6で代謝される。

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
ボスミン
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすおそれがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
クロザピン
クロザリル
クロザピンは原則単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。本剤は半減期が長いため、本剤が体内から消失するまでクロザピンを投与しないこと。
本剤が血中から消失するまでに時間を要する。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アドレナリン含有歯科麻酔剤
リドカイン・アドレナリン
血圧降下を起こすおそれがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤
バルビツール酸誘導体、麻酔剤等
中枢神経抑制作用があるので、減量するなど注意すること。
ともに中枢神経抑制作用を有する。
降圧剤
相互に降圧作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ともに降圧作用を有する。
抗コリン作用を有する薬剤
抗コリン作用を増強させることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ともに抗コリン作用を有する。
ドパミン作動薬
レボドパ製剤
ドパミン作動作用を減弱するおそれがあるので、投与量を調節するなど慎重に投与すること。
本剤はドパミン受容体遮断作用を有する。
アルコール
(飲酒)
相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。
ともに中枢神経抑制作用を有する。
CYP2D6阻害作用を有する薬剤
キニジン、パロキセチン等
本剤の作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量するなど考慮すること。
本剤の主要代謝酵素であるCYP2D6を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
イトラコナゾール、クラリスロマイシン等
本剤の作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量するなど考慮すること。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
肝代謝酵素(特にCYP3A4)誘導作用を有する薬剤
カルバマゼピン、リファンピシン等
本剤の作用が減弱するおそれがある。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により本剤の血中濃度が低下するおそれがある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 悪性症候群(頻度不明)
    無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。
  2. 遅発性ジスキネジア(0.3%)
    長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
  3. 麻痺性イレウス(頻度不明)
    腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。
  4. アナフィラキシー(頻度不明)
  5. 横紋筋融解症(頻度不明)
    CK上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等に注意すること。
  6. 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(頻度不明)
    本剤投与中は口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、インスリン製剤の投与などの適切な処置を行うこと。死亡に至るなどの致命的な経過をたどることがある。
  7. 低血糖(0.3%)
    脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  8. 痙攣(頻度不明)
  9. 無顆粒球症、白血球減少(頻度不明)
  10. 肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明)
    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  11. 肝機能障害(0.8%)
    AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。

その他の副作用

5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
不眠、めまい、傾眠、頭痛、不安、うつ病、勃起不全
睡眠障害、異常思考、躁病反応、神経過敏、錯乱、夢遊症、知覚減退、妄想、注意力障害、自殺企図、幻覚、激越(不安、焦燥、興奮)、気力低下、リビドー減退、錯感覚、嗜眠、鎮静、射精障害、性機能不全、吃音
精神症状、悪夢、双極性障害、リビドー亢進、昏迷、攻撃的反応、拒食、独語、もやもや感、感情不安定、末梢神経障害、失神、神経症、譫妄、認知症、健忘、記憶障害、舌麻痺、片頭痛、顔面痙攣、持続勃起、パニック反応、びくびく感、衝動制御障害(病的賭博、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等)、運動過多、精神的機能障害、感覚障害、眉間反射異常、広場恐怖症、無感情、気分動揺、異常行動、下肢静止不能症候群
錐体外路症状
アカシジア
ジスキネジア、ジストニア(筋緊張異常)、振戦、寡動、筋強剛、流涎
眼球回転発作、眼球挙上、パーキンソン症候群、歩行異常、錐体外路障害
構音障害、反射亢進、嚥下障害、からだのこわばり、筋緊張、口のもつれ、眼瞼下垂
循環器
高血圧、心電図異常(期外収縮、QT延長、第一度房室ブロック等)
低血圧、頻脈、心悸亢進、起立血圧異常、起立性低血圧、狭心症、徐脈
消化器
悪心、下痢、便秘、食欲亢進
嘔吐、食欲不振
腹痛、胃炎、口内炎、歯肉痛、舌障害、口唇炎、消化不良、びらん性胃炎、胃腸炎、腸炎、十二指腸炎、口唇腫脹、歯周病、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、膵炎、歯の知覚過敏
血液
血小板減少、白血球増多、白血球減少、好中球減少、貧血
ヘモグロビン低下、ヘモグロビン上昇、好中球増多、赤血球減少、赤血球増多、リンパ球減少、リンパ球増多、ヘマトクリット値低下、ヘマトクリット値上昇、単球減少、単球増多、好酸球減少、好酸球増多、好塩基球減少、好塩基球増多、血小板増多
内分泌
卵巣障害、月経異常、血中甲状腺刺激ホルモン増加
プロラクチン低下、プロラクチン上昇
肝臓
ALT上昇
AST上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、LDH低下、Al-P上昇、Al-P低下、総ビリルビン上昇、総ビリルビン低下、脂肪肝、肝炎、黄疸
腎臓
ケトン尿、尿糖
蛋白尿、尿沈渣異常、BUN上昇、BUN低下、クレアチニン上昇、尿比重上昇、尿比重低下、尿ウロビリノーゲン上昇、尿ビリルビン上昇、尿中NAG上昇、血中尿素減少、血中尿酸減少、尿量減少
泌尿器
尿潜血、排尿障害、頻尿、膀胱炎、血尿、多尿、尿閉、尿失禁
過敏症
発疹
湿疹、そう痒症、薬物過敏症、紅斑、光線過敏性反応、酒さ、血管浮腫、蕁麻疹
皮膚
皮膚炎
真菌感染、皮膚乾燥、ざ瘡、皮膚剥脱、乾皮症、色素沈着障害、脂漏、男性型多毛症、脱毛
代謝異常
血中インスリン増加、高血糖
高尿酸血症、脂質代謝障害、コレステロール上昇、トリグリセライド上昇、CK上昇、HDL-コレステロール低下、口渇
コレステロール低下、HDL-コレステロール上昇、高脂血症、リン脂質低下、多飲症、CK低下、水中毒、トリグリセライド低下、血中ブドウ糖変動
呼吸器
鼻炎、気管支痙攣、気管支炎、咽喉頭症状、咽頭炎、しゃっくり、鼻乾燥、嚥下性肺炎、上気道感染、呼吸困難
霧視、羞明
視力障害、調節障害、眼乾燥、眼の異常感、眼痛、眼のチカチカ、糖尿病性白内障、瞬目過多
注射部位
注射部位疼痛、注射部位紅斑、注射部位硬結
注射部位腫脹
注射部位そう痒感、注射部位不快感、注射部位反応
注射部位内出血、注射部位腫瘤
その他
体重増加
疲労
筋痙縮、末梢性浮腫、カリウム低下、顎痛、性器出血、乳頭痛、熱感、死亡、転倒、関節脱臼、歯牙破折、体重減少、筋痛、耳鳴、挫傷、尿路感染
倦怠感、発熱、脱力感、胸痛、悪寒、気分不良、薬剤離脱症候群、顔面浮腫、低体温、疼痛、多汗、寝汗、肩こり、四肢痛、筋攣縮、四肢不快感、背部痛、関節痛、頚部痛、ほてり、末梢冷感、乳腺炎、膿瘍、外陰膣乾燥、流産、味覚異常、灼熱感、睡眠時驚愕、歯ぎしり、無オルガズム症、鼻出血、総蛋白上昇、総蛋白減少、グロブリン分画異常、ナトリウム上昇、ナトリウム低下、クロール上昇、クロール低下、A/G上昇、A/G低下、アルブミン上昇、アルブミン低下、カリウム上昇、握力低下、花粉症、関節炎、関節硬直、筋萎縮、脂肪腫、坐骨神経痛、大脳動脈狭窄

過量投与

  1. 症状
    経口アリピプラゾール製剤の外国の臨床試験及び市販後自発報告において、最高1,260mgまで偶発的又は企図的に急性過量投与された成人において嗜眠、傾眠、血圧上昇、頻脈、嘔吐等の症状が報告されている。また最高195mgまで偶発的に服用した小児において、一過性の意識消失、傾眠等の症状が発現した。
    本剤の外国の臨床試験において投与間隔内に2倍量(800mg)まで成人に本剤を過量投与された報告があるが、経口剤と比較して特記すべき症状は報告されていない。
  2. 処置
    血液透析は有用でないと考えられる。なお、他剤服用の可能性が考えられる場合はその影響にも留意すること。

適用上の注意

薬剤調製時の注意
  1. 本剤の使用にあたっては、〔操作方法〕を熟読すること。
  2. 添付の懸濁用液(日局注射用水)で懸濁すること。300mgバイアルは懸濁用液1.5mL、400mgバイアルは懸濁用液1.9mLで懸濁すること。
  3. 用時調製し、懸濁液が均質になるように30秒間激しく振とうし、懸濁させること。
  4. 調製後直ちに投与すること。やむを得ず直ちに投与できない場合は、バイアル内において室温で保存し、4時間以内に投与すること。ただし、その場合は投与前に60秒間激しく振とうし、再懸濁させること。
薬剤投与時の注意
  1. 以下の表に従った注射針を用いること。適切な血漿中濃度が得られないおそれがある。
    臀部筋肉投与時
    22G(黒)、針の長さ1½インチ(38mm)
    三角筋投与時
    体重90kg未満の場合:
    23G(青)、針の長さ1インチ(25mm)
    体重90kg以上の場合:
    22G(黒)、針の長さ1½インチ(38mm)
  2. 本剤は、臀部筋肉内又は三角筋内にのみ投与すること。静脈内には絶対に投与しないこと。
  3. 筋肉内注射にあたっては、下記の点に注意すること。
    1. 注射部位は、臀部の外側上部又は三角筋のみとし、他の筋肉内には投与しないこと。
    2. 注射部位は毎回左右交互とし、同一部位への反復注射は行わないこと。
    3. バイアル内の懸濁後の薬剤は投与量に応じて下表に従い注射容量を採取し直ちに全量投与すること。また、バイアルからの採取は1回のみとし、残液は廃棄すること。
      投与量
      160mg
      200mg
      300mg
      400mg
      注射容量
      0.8mL
      1.0mL
      1.5mL
      2.0mL
    4. 注射部位に疼痛、硬結等をみることがある。
    5. 注射部位をもまないように患者に指示すること。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 本剤による治療中原因不明の突然死が報告されている。
  2. 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、経口アリピプラゾール製剤を含む非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して、死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告がある。死因は様々であったが、心血管系(心不全、突然死等)又は感染症(肺炎等)による死亡が多かった。なお、経口アリピプラゾール製剤の3試験(計938例、平均年齢82.4歳;56~99歳)では、死亡及び脳血管障害(脳卒中、一過性脳虚血発作等)の発現率がプラセボと比較して高かった。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
非臨床試験に基づく情報
  1. げっ歯類(マウス、ラット)の経口投与によるがん原性試験において、乳腺腫瘍(雌マウス3mg/kg/日以上、雌ラット10mg/kg/日)及び下垂体腫瘍(雌マウス3mg/kg/日以上)の発生頻度の上昇が報告されている。これらの腫瘍はげっ歯類では血中プロラクチンの上昇と関連した変化としてよく知られている。ラットのがん原性試験において、60mg/kg/日(経口アリピプラゾール製剤の最高臨床推奨用量の100倍に相当)雌の投与群で副腎皮質腫瘍の発生頻度の上昇が報告されている。
  2. サルの反復経口投与試験において胆のう内の沈渣(泥状、胆砂、胆石)が4週間~52週間試験の25mg/kg/日以上の用量で、肝臓に限局性の肝結石症様病理組織所見が39週間試験の50mg/kg/日以上の用量で報告されている。沈渣はアリピプラゾール由来の複数の代謝物がサル胆汁中で溶解度を超える濃度となり沈殿したものと考えられた。なお、これら代謝物のヒト胆汁中における濃度(1日目15mg/日投与、その後6日間30mg/日反復経口投与時)はサル胆汁中における濃度の5.6%以下であり、また、ヒト胆汁中における溶解度の5.4%以下であった。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与(臀部筋肉内投与)
    統合失調症患者11例に本剤300mg(5例)及び400mg(6例)を臀部筋肉内に単回投与した時の血漿中濃度及び薬物動態パラメータを図16-1及び表16-1に示す。
    図16-1 統合失調症患者における臀部筋肉内単回投与時の血漿中アリピプラゾールの濃度推移(中央値)
    表16-1 臀部筋肉内単回投与時の薬物動態パラメータ
    化合物
    tmax
    (hr)
    Cmax
    (ng/mL)
    t1/2、Z
    (hr)
    AUC
    (mg・hr/L)
    300mg(5例)
    未変化体
    648
    (96.3-816)
    136
    (95.2-791)
    302
    (187-660)
    201
    (170-250)
    主代謝物
    (OPC-14857a
    984
    (168.4-1273)
    25.8
    (19.1-118)
    368
    (222-702)
    39.1
    (32.9-57.2)
    400mg(6例)
    未変化体
    841
    (120-1680)
    126
    (38.8-168)
    781
    (388-984)
    141
    (107-267)
    主代謝物
    (OPC-14857a
    841
    (120-1680)
    26.1
    (12.8-35.1)
    605b
    (432-760)
    45.0b
    (24.4-59.6)
    中央値(最小‐最大)、a:活性代謝物、b:5例
  2. 反復投与
    1. 臀部筋肉内投与
      統合失調症患者28例に本剤300mg(12例)及び400mg(16例)を臀部筋肉内に反復投与した時の血漿中アリピプラゾール濃度は、本剤4回目投与前〔初回投与後12週(84日)〕までにほぼ定常状態に達した。本剤300mg及び400mg投与後の血漿中アリピプラゾールトラフ濃度の中央値は、初回投与以降、アリピプラゾール錠剤6mg/日投与時の定常状態におけるアリピプラゾールトラフ濃度の中央値(42.980ng/mL)からアリピプラゾール錠剤24mg/日投与時の定常状態におけるアリピプラゾールCmaxの中央値(310.160ng/mL)までの範囲内を推移した(図16-2、表16-2)。
      図16-2 統合失調症患者における臀部筋肉内反復投与時の血漿中アリピプラゾールの濃度推移(中央値)
      本剤投与開始後2週間は経口アリピプラゾール製剤を併用
      表16-2 臀部筋肉内5回目投与後の薬物動態パラメータ
      化合物
      tmax
      (hr)
      Cmax
      (ng/mL)
      t1/2、Z
      (hr)
      AUC28d
      (mg・hr/L)
      300mg(11例)
      未変化体
      120
      (71.3-672)
      244
      (105-409)
      b
      (505-808)
      126
      (63.1-245)
      主代謝物
      (OPC-14857a
      263
      (47.3-672)
      72.8
      (53.7-107)
      1030c
      (544-1720)
      40.6
      (26.8-58.3)
      400mg(13例)
      未変化体
      95.7
      (48.0-669)
      217
      (124-424)
      1030d
      (759-3020)
      104
      (71.7-251)
      主代謝物
      (OPC-14857a
      120
      (8.00-673)
      68.0
      (40.5-129)
      e
      (884-2440)
      35.9
      (20.4-76.2)
      中央値(最小-最大)、a:活性代謝物、b:2例、c:4例、d:8例、e:2例、-:算出不可
    2. 三角筋内投与
      統合失調症患者13例に本剤400mgを三角筋内に反復投与した時の血漿中アリピプラゾール濃度は、本剤4回目投与前〔初回投与後12週(84日)〕までにほぼ定常状態に達した。本剤400mg投与後の血漿中アリピプラゾールトラフ濃度の中央値は、初回投与以降、アリピプラゾール錠剤6mg/日投与時の定常状態における血漿中アリピプラゾールトラフ濃度の中央値(42.980ng/mL)からアリピプラゾール錠剤24mg/日投与時の定常状態におけるアリピプラゾールCmaxの中央値(310.160ng/mL)までの範囲内を推移した(図16-3、表16-3)。
      図16-3 統合失調症患者における三角筋内反復投与時の血漿中アリピプラゾールの濃度推移(中央値)
      表16-3 三角筋内5回目投与後の薬物動態パラメータ
      化合物
      tmax
      (hr)
      Cmax
      (ng/mL)
      t1/2、Z
      (hr)
      AUC28d
      (mg・hr/L)
      400mg(13例)
      未変化体
      95.8
      (48.5-262)
      331
      (190-595)
      825b
      (551-2030)
      153
      (69.4-324)
      主代謝物
      (OPC-14857a
      123
      (94.9-671)
      96.5
      (71.0-148)
      1060c
      (558-2240)
      54.6
      (31.6-89.7)
      中央値(最小-最大)、a:活性代謝物、b:12例、c:10例

      233例の日本人及び外国人の統合失調症患者の成績を対象として母集団解析を実施し、構築されたモデルを用いて、400mgを臀部筋肉内又は三角筋内に反復投与した時の定常状態における血漿中アリピプラゾール濃度の推移を推定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について、幾何平均値の比の信頼区間は0.8~1.25の範囲であった。

分布

  1. 分布容積
    統合失調症患者における本剤400mgを臀部筋肉内又は三角筋内に反復投与した時の分布容積(Vz/F/BW)の中央値は114L/kg及び44.8L/kgであった。外国の健康成人におけるアリピプラゾール2mg静脈内投与時の分布容積(Vss/BW)の平均値は4.94L/kgであった。
  2. 血清蛋白結合率
    未変化体の血清蛋白結合率は99%以上で、主としてアルブミンと結合し、蛋白結合においてワルファリンとの結合置換は生じない。また、主代謝物であるOPC-14857の血清蛋白結合率も99%以上である(in vitro、平衡透析法)。

代謝

アリピプラゾールは主としてCYP3A4とCYP2D6によって脱水素化と水酸化を受け、またCYP3A4によってN-脱アルキル化を受ける。脱水素体(OPC-14857)が血漿中における主代謝物である。OPC-14857はアリピプラゾール(未変化体)と同様の代謝酵素及び代謝経路によって代謝される。
臀部筋肉内に本剤400mg及び300mg 5回目投与後のアリピプラゾールに対するOPC-14857のAUC28dの割合の中央値はそれぞれ約34及び33%であった。また、三角筋内に本剤400mg 5回目投与後のアリピプラゾールに対するOPC-14857のAUC28dの割合の中央値は約34%であった。

排泄

健康成人に14C標識アリピプラゾール20mgを経口投与した時、投与放射能の約27%及び60%がそれぞれ尿中及び糞便中に排泄された。未変化体は糞中に約18%排泄され、尿中には検出されなかった(外国人データ)。

特定の背景を有する患者

エビリファイ錠の成績を以下に示す。
  1. 腎機能障害患者
    重度の腎機能障害被験者6例(クレアチニンクリアランス<30mL/min)における試験では、腎機能障害による血中薬物動態への影響は少なかった(外国人データ)。
  2. 肝機能障害患者
    肝機能障害被験者19例(Child-Pugh分類A~C)における試験では、肝機能障害によるクリアランスへの影響は少なかった(外国人データ)。
  3. 高齢者
    健康高齢者(65歳以上)にアリピプラゾール15mgを単回経口投与した時のクリアランスは、非高齢者(18~64歳)よりも約20%低かった(外国人データ)。
  4. 性別・喫煙
    健康成人にアリピプラゾール15mgを単回経口投与した時のアリピプラゾールの薬物動態に性差はみられなかった。また、統合失調症患者での母集団解析の結果、喫煙はアリピプラゾールの薬物動態に影響を与える因子ではなかった(外国人データ)。

薬物相互作用

エビリファイ錠の成績を以下に示す。
  1. キニジン
    健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するキニジン166mgとアリピプラゾール10mgの併用により、アリピプラゾールのAUCは107%増加した(外国人データ)。
  2. パロキセチン
    健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するパロキセチン20mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ39%及び140%増加した。
  3. イトラコナゾール
    健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するイトラコナゾール100mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ19%及び48%増加した。
  4. ケトコナゾール
    健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール200mgとアリピプラゾール15mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ37%及び63%増加した(外国人データ)。
  5. カルバマゼピン
    統合失調症又は統合失調感情障害患者において、CYP3A4の誘導作用を有するカルバマゼピン400mgとアリピプラゾール30mgの併用投与により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ68%及び73%低下した(外国人データ)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈統合失調症〉
  1. 第Ⅲ相国際共同試験
    アリピプラゾール錠で症状の安定した統合失調症患者(455例、国内症例237例を含む)を対象に実施したアリピプラゾール錠に対する実薬対照二重盲検試験において、本剤400mg(忍容性に応じて300mg)を4週間に1回、52週間臀部筋肉内に投与した。精神症状の非悪化/非再発率において本剤群の錠剤群に対する非劣性が検証された(表17-1)。また、精神症状の悪化/再発までの時間は図17-1のとおりであった。
    表17-1 カプラン・マイヤー法による26週後の精神症状の非悪化/非再発率(二重盲検期)
    投与群
    対象
    例数
    26週後
    非悪化/非再発率(%)a
    SEa
    錠剤群に対する差
    95%信頼区間
    本剤群
    228
    95.0
    1.5
    0.3
    -3.9,4.5
    錠剤群
    227
    94.7
    1.6
    a:カプラン・マイヤー法による26週後(183日)の精神症状の非悪化/非再発率
    図17-1 精神症状の悪化/再発までの時間のカプラン・マイヤー曲線(二重盲検期)

    副作用発現頻度は、本剤群で228例中130例(57.0%)、錠剤群で227例中112例(49.3%)であった。主な副作用は、本剤群では注射部位疼痛62例(27.2%)、注射部位紅斑33例(14.5%)、注射部位硬結25例(11.0%)、アカシジア15例(6.6%)、体重増加15例(6.6%)及び注射部位腫脹15例(6.6%)、錠剤群で注射部位疼痛39例(17.2%)、注射部位紅斑22例(9.7%)、アカシジア13例(5.7%)及び体重増加12例(5.3%)であった。
〈双極Ⅰ型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制〉
  1. 第Ⅲ相国際共同試験
    アリピプラゾール錠で気分症状の安定した最も新しいエピソードが躁病の双極Ⅰ型障害患者(265例、国内症例19例を含む)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検試験において、本剤400mg(忍容性に応じて300mg)を4週間に1回、52週間臀部筋肉内に投与した。気分エピソード再発までの時間は、表17-2及び図17-2に示すとおりであり、本剤群はプラセボ群と比較して有意に気分エピソード再発までの期間を延長した(p<0.0001、log-rank検定)。
    表17-2 カプラン・マイヤー法による気分エピソードの再発までの時間の解析結果(二重盲検期)
    投与群
    対象
    例数
    再発率(%)
    再発までの時間
    中央値(日数)
    ハザード比a
    95%信頼区間
    p値b
    本剤群
    132
    26.5
    NE
    0.451
    0.299, 0.678
    <0.0001
    プラセボ群
    133
    51.1
    308
    NE=算出不可
    a:ハザード比は、投与群を要因とするCox比例ハザードモデルから算出した。
    b:p値は、log-rank検定から算出した。
    図17-2 気分エピソードの再発までの時間のカプラン・マイヤー曲線(二重盲検期)
    副作用発現頻度は、本剤群で132例中82例(62.1%)、プラセボ群で133例中67例(50.4%)であった。主な副作用は、本剤群では体重増加30例(22.7%)、アカシジア27例(20.5%)、不安6例(4.5%)、傾眠5例(3.8%)、不眠症、落ち着きのなさ、疲労、うつ病及び食欲亢進が各4例(3.0%)、プラセボ群で体重増加21例(15.8%)、アカシジア17例(12.8%)、不眠症6例(4.5%)、落ち着きのなさ5例(3.8%)、疲労、体重減少及び躁病が各4例(3.0%)であった。
  2. 長期投与試験
    第Ⅲ相国際共同試験を完了した患者(継続例)及びアリピプラゾール錠で気分症状の安定した新たな双極Ⅰ型障害患者(新規例)(計464例、国内症例75例を含む)を対象に実施した非盲検長期投与試験において、本剤400mg(忍容性に応じて300mg)を4週間に1回、最大52週間臀部筋肉内に投与した。62.7%(291/464例)の患者が最大52週間の投与を完了した。本剤投与による維持治療期においてベースライン時から最終来院時まで気分症状の安定状態を維持していた患者の割合は88.9%(409/460例)であった(表17-3)。
    表17-3 気分症状の安定基準を満たした患者の割合(本剤維持治療期)
    時期
    新規例(379例)
    継続例(85例)
    計(464例)
    対象例数
    例数(%)
    対象例数
    例数(%)
    対象例数
    例数(%)
    ベースライン
    379
    379(100.0)
    84
    84(100.0)
    463
    463(100.0)
    最終来院時
    376
    327(87.0)
    84
    82(97.6)
    460
    409(88.9)
    対象例数=該当時期に評価された被験者数
    例数=安定状態を維持していた被験者数
    本剤投与による維持治療期の副作用発現頻度は、464例中263例(56.7%)であった。主な副作用は、アカシジア68例(14.7%)、体重増加55例(11.9%)、注射部位疼痛32例(6.9%)、不眠症31例(6.7%)及び振戦25例(5.4%)であった。

薬効薬理

作用機序
アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、ドパミンD3受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用及びセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤である。明確な機序は不明であるが、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられている。
受容体親和性
受容体結合試験で、組換え型ヒトドパミンD2、ヒトドパミンD3、ヒトセロトニン5-HT1A及びヒトセロトニン5-HT2A受容体に対して高い親和性を示し、ヒトドパミンD4、ヒトセロトニン5-HT2C、ヒトセロトニン5-HT7、ラット大脳皮質α1-アドレナリン及びヒトヒスタミンH1受容体に中程度の親和性を示した,。ウシ線条体ムスカリンM1、ラット心臓ムスカリンM2及びモルモット回腸ムスカリンM3受容体に対する親和性は低かった(in vitro)。
ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用
ドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した,in vitro)。マウス及びラットにおいて、ドパミン作動性神経伝達が亢進した状態ではドパミンD2受容体に対してアンタゴニストとして作用し、ドパミン作動性神経伝達が低下した状態ではドパミンD2受容体に対してアゴニストとして作用した,
ドパミンD3受容体部分アゴニスト作用
ドパミンD3受容体に対して部分アゴニストとして作用した(in vitro)。
セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用
セロトニン5-HT1A受容体に対して部分アゴニストとして作用した(in vitro)。マウス脳内のセロトニン代謝物5-ヒドロキシインドール酢酸含量を減少させ、ラット縫線核のセロトニンニューロン発火を抑制した。
セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用
ラットにおいてセロトニン5-HT2A受容体アゴニストにより誘発される行動変化を抑制した。また、セロトニンによるラットP11細胞内Ca2+濃度の増加を抑制した(in vitro)。
統合失調症諸症状に関連する動物モデルでの改善作用
陽性症状の指標と考えられているラット条件回避反応を抑制し、不安症状の指標であると考えられているラットコンフリクト反応を抑制した。
カタレプシー惹起作用
マウス及びラットにおけるアポモルヒネ誘発常同行動抑制作用に対するカタレプシー惹起作用のED50値の用量比は、クロルプロマジン及びハロペリドールより大きかった。
血中プロラクチン濃度を調節する下垂体前葉ドパミンD2受容体に対する作用
ラット下垂体前葉ドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した(in vitro)。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
アリピプラゾール水和物〔Aripiprazole Hydrate(JAN)〕
化学名
7-{4-[4-(2,3-Dichlorophenyl)piperazin-1-yl]butoxy}- 3,4-dihydroquinolin-2(1H)-one monohydrate
分子式
C23H27Cl2N3O2・H2O
分子量
466.40
性状
白色の結晶である。テトラヒドロフラン、酢酸(100)、ベンジルアルコールに溶けやすく、ジメチルスルホキシドにやや溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、メタノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
化学構造式

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

〈エビリファイ持続性水懸筋注用300mg〉
1バイアル(懸濁用液 日局注射用水2mL及びPSFバイアルアダプター(医療機器届出番号:11B1X10017000015)1個を添付)
〈エビリファイ持続性水懸筋注用400mg〉
1バイアル(懸濁用液 日局注射用水2mL及びPSFバイアルアダプター(医療機器届出番号:11B1X10017000015)1個を添付)

主要文献

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Schlotterbeck, P. et al.:Int J Neuropsychopharmacol.2007;10(3):433.
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3
社内資料:反復筋肉内投与試験(2015年3月26日承認、CTD2.7.6.1)
4
社内資料:反復三角筋内投与試験
5
社内資料:注射剤の母集団薬物動態解析2
6
社内資料:腎障害患者における薬物動態(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
7
社内資料:肝障害患者における薬物動態(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
8
社内資料:年齢、性別による影響(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
9
社内資料:母集団薬物動態及び薬力学解析(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
10
社内資料:キニジンとの相互作用(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
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13
社内資料:ケトコナゾールとの相互作用(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
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社内資料:カルバマゼピンとの相互作用(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
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