医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

閲覧履歴

スロンノンHI注10mg/2mL

抗トロンビン剤

1管 1396円

作成又は改訂年月

2021年12月作成
(第1版)

日本標準商品分類番号

87219

日本標準商品分類番号等

2020年3月
2011年5月
1990年1月

薬効分類名

抗トロンビン剤

承認等

販売名

スロンノンHI注10mg/2mL

販売名コード

2190408A2026

承認・許可番号

21700AMZ00240
SLONNON HI Injection 10mg/2mL

薬価基準収載年月

2005年7月

販売開始年月

2005年7月

貯法・使用期限等

貯法
室温、遮光保存
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。

規制区分

処方箋医薬品
※注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1管中に次の成分を含有
有効成分
アルガトロバン水和物(日局)10mg/2mL(0.5w/v%)
添加物
無水エタノール 300mg、濃グリセリン 900mg、pH調節剤

性状

pH5.5〜6.8
浸透圧比注)(生理食塩液対比)約1
注) 本品2mLを生理食塩液200mLで希釈時。なお、希釈しない場合、本品の浸透圧比は約29である。
外観無色澄明の液

一般的名称

アルガトロバン水和物注

警告

本剤の脳血栓症急性期の臨床試験において、出血性脳梗塞の発現が認められている。脳血栓症の患者に使用する場合には、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、出血が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

禁忌

出血している患者(頭蓋内出血、出血性脳梗塞、血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の凝固障害、月経期間中、手術時、消化管出血、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産婦等)[出血している患者に投与した場合には止血が困難になるおそれがある(「警告」の項参照)。]
脳塞栓又は脳塞栓のおそれがある患者(ただし、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型の患者を除く)[出血性脳梗塞を起こすおそれがある(「警告」及び「重要な基本的注意」の項参照)。]
重篤な意識障害を伴う大梗塞の患者[大梗塞の患者は出血性脳梗塞を起こすおそれがある(「警告」の項参照)。]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

効能又は効果に関連する使用上の注意

血液体外循環時に使用する場合、播種性血管内血液凝固症候群(DIC)に伴うアンチトロンビンIII低下患者では、血液体外循環時に投与した経験がないので、投与しないことが望ましい。

効能又は効果/用法及び用量

1
下記疾患に伴う神経症候(運動麻痺)、日常生活動作(歩行、起立、坐位保持、食事)の改善
  ・ 発症後48時間以内の脳血栓症急性期(ラクネを除く)
通常、成人に、はじめの2日間は1日6管(アルガトロバン水和物として60mg)を適当量の輸液で希釈し、24時間かけて持続点滴静注する。その後の5日間は1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を適当量の輸液で希釈し1日朝夕2回、1回3時間かけて点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
2
慢性動脈閉塞症(バージャー病・閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍、安静時疼痛ならびに冷感の改善
通常、成人1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を輸液で希釈し、1日2回、1回2〜3時間かけて点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
3
下記患者における血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)
    ・ 先天性アンチトロンビンIII欠乏患者
    ・ アンチトロンビンIII低下を伴う患者
     (アンチトロンビンIIIが正常の70%以下に低下し、かつ、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウムの使用では体外循環路内の凝血(残血)が改善しないと判断されたもの)
    ・ ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型患者
通常、成人に、体外循環開始時に1管(アルガトロバン水和物として10mg)を回路内に投与し、体外循環開始後は毎時2.5管(アルガトロバン水和物として25mg)より投与を開始する。凝固時間の延長、回路内凝血(残血)、透析効率及び透析終了時の止血状況等を指標に投与量を増減し、患者毎の投与量を決定するが、毎時0.5〜4管(アルガトロバン水和物として5〜40mg)を目安とする。
4
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止
本剤を適当量の輸液で希釈し、通常、成人にアルガトロバン水和物として0.1mg/kgを3〜5分かけて静脈内投与し、術後4時間までアルガトロバン水和物として6μg/kg/分を目安に静脈内持続投与する。その後抗凝固療法の継続が必要な場合は、0.7μg/kg/分に減量し静脈内持続投与する。なお、持続投与量は目安であり、適切な凝固能のモニタリングにより適宜調節する。
5
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制
本剤を適当量の輸液で希釈し、通常、成人にアルガトロバン水和物として0.7μg/kg/分より点滴静注を開始し、持続投与する。なお、肝機能障害のある患者や出血のリスクのある患者に対しては、低用量から投与を開始すること。活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を指標に投与量を増減し、患者毎の投与量を決定する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

慢性動脈閉塞症の患者に使用する場合
4週間を超えて投与した経験は少ないので、本剤の投与期間は4週間以内をめどとすること。
アンチトロンビンIII低下状態の血液透析患者に使用する場合
本剤を使用することによりアンチトロンビンIIIが70%以上に回復し、体外循環路内の凝血(残血)が管理可能と判断されたときには、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウムの使用を速やかに検討し、本剤を漫然と使用しないこと。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止に使用する場合
本剤の投与開始から10分程度で活性化全血凝固時間(ACT)を測定し、術後4時間まではACTが250〜450秒となるように持続投与量を調節すること。患者の状態により、術後4時間以降の抗凝固療法の継続の要否を判断するが、その後も抗凝固療法の継続が必要な場合は、0.7μg/kg/分に減量後、適宜aPTTを測定し、aPTTが投与前値の1.5〜3倍程度となるよう持続投与量を適宜調節し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
本剤のクリアランスが低下している肝機能障害のある患者に対して術後4時間以降も抗凝固療法が必要な場合は、0.2μg/kg/分に減量するなど注意すること。aPTTが目標とする範囲に達するまでは、適宜aPTTを測定し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
本剤による治療開始及び投与量変更時には、以下の表を参考に投与すること。
本剤を10mLに希釈し、6μg/kg/分で投与する場合の投与速度

本剤を20mLに希釈し、0.7μg/kg/分あるいは0.2μg/kg/分で投与する場合の投与速度
術後4時間以降も抗凝固療法を継続する必要があり、本剤を0.7μg/kg/分に減量後、aPTTが投与前値の3倍を超えた場合は、本剤の投与を中止すること。本剤投与を再開する場合には、aPTTが治療域(投与前値の1.5〜3倍以下)に回復したことを確認し、再開時の投与量は、投与中止前の1/2の用量を目安にすること。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制に使用する場合
本剤のクリアランスが低下している肝機能障害のある患者、又は出血のリスクのある患者に対しては、低用量(0.2μg/kg/分)から投与を開始するなど注意すること。
本剤による治療開始時には、以下の表を参考に投与を開始すること。
本剤を20mLに希釈し、0.7μg/kg/分あるいは0.2μg/kg/分で投与する場合の投与速度
本剤投与開始後は、aPTTを投与前値の1.5〜3倍の範囲かつ100秒以下となるように用量を調節すること。なお、出血のリスクのある患者ではaPTTが、投与前値の1.5〜2倍となるように用量を調節すること。
本剤投与開始2時間後及び本剤の投与量の変更2時間後を目安にaPTTを測定し、投与量を調節する。肝機能障害がある患者又は出血のリスクがある患者に対しては、本剤投与開始あるいは投与量変更6時間後にもaPTTを測定することが望ましい。aPTTが目標とする範囲に達するまでは、適宜aPTTを測定し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
aPTTが投与前値の3倍又は100秒を超えた場合は、本剤の投与を中止すること。本剤投与を再開する場合には、aPTTが治療域(投与前値の1.5〜3倍かつ100秒以下)に回復したことを確認し、投与中止前の1/2の用量を目安に開始すること。
本剤を使用することにより血小板数が回復し、安定した場合には、経口抗凝固薬(ワルファリン等)による治療の開始を考慮すること。なお、ワルファリンに切り替える場合は、本剤とワルファリンを5日間程度併用すること。本剤とワルファリンとの併用時は、aPTT及びプロトロンビン時間−国際標準比(PT-INR)をモニタリングすること。なお、本剤とワルファリンとの相互作用によりPT-INRが延長することから、本剤中止後にPT-INRが短縮することに注意すること。
経口抗凝固療法への移行が困難な患者を除き、本剤を漫然と使用しないこと。(国内外の臨床試験において本剤投与期間は概ね7〜14日間であった。また、国内で実施された臨床試験では、ワルファリンへの切り替えができなかった患者1例での投与期間は最長35日であった。)

使用上の注意

慎重投与

1
出血の可能性のある患者(消化管潰瘍、内臓の腫瘍、消化管の憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、脳出血の既往歴のある患者、血小板の減少している患者、重症高血圧症、重症糖尿病の患者、手術後の患者等)[出血を起こすおそれがある。]
2
抗凝固薬、血小板凝集抑制作用を有する薬剤、血栓溶解薬又はフィブリノーゲン低下作用を有する酵素製剤を投与中の患者[これらの薬剤と併用することにより、出血傾向の増強があらわれるおそれがある(「相互作用」の項参照)。]
3
重篤な肝障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。]

重要な基本的注意

血液凝固能検査等の出血管理を十分に行いつつ使用すること。
脳血栓症の患者に使用する場合、本剤の投与により出血性脳梗塞、脳内出血を助長する可能性があるので、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、出血が認められた場合には直ちに投与を中止すること(「警告」の項参照)。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制に使用する場合、下記の点に留意すること。
本剤を投与する際には、血小板数、aPTT及びプロトロンビン時間(PT)等を観察しながら、出血のリスクを考慮して慎重に投与すること(「用法及び用量に関連する使用上の注意」の項参照)。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型の患者のうち、脳塞栓又は脳塞栓のおそれのある患者に対しては、治療上の有益性と出血性脳梗塞等の危険性を十分に勘案し、適応を検討すること(「禁忌」の項参照)。
播種性血管内血液凝固症候群(DIC)に対する本剤の有用性は確認されていないので、基礎疾患、合併症等を十分に確認し、鑑別を行うこと。
本剤投与中に肝機能障害が発現した場合は、投与継続によるリスクとベネフィットを慎重に判断し、投与継続の可否を検討すること。また、投与を継続する場合は、肝機能及びPT、aPTTを頻回に検査し、観察を十分に行うこと。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止に使用する場合、本剤のクリアランスが低下している肝機能障害、又は出血のリスクのある患者に対する本剤の使用経験の報告はないことから、このような患者では、治療上のリスクとベネフィットを十分に勘案し、適応を検討すること。また、投与の際は十分な観察を行うこと。
血液体外循環時に使用する場合、下記の点に留意すること。
出血性病変又は出血傾向を有する患者の血液体外循環時には観察を十分に行い、出血の増悪がみられた場合には減量又は投与を中止すること。
外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。

相互作用

併用注意

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
抗凝固薬
  ヘパリン、ワルファリン等
出血傾向の増強があらわれるおそれがあるので、減量するなど注意すること。血液凝固作用を阻害することにより、凝固時間を延長し、出血傾向を増強すると考えられている。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
    アスピリン、オザグレルナトリウム、チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩、シロスタゾール、ジピリダモール等
出血傾向の増強があらわれるおそれがあるので、本剤を減量するなど注意すること。ただし、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止に使用する場合には、経皮的冠インターベンション施行において併用が必須とされる薬剤(アスピリン、チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩等)との併用を理由に減量しないこと。血小板凝集を抑制することにより、出血傾向を増強すると考えられている。
血栓溶解薬
  アルテプラーゼ、ウロキナーゼ等
出血傾向の増強があらわれるおそれがあるので、減量するなど注意すること。プラスミノーゲンをプラスミンに変換させ、生成したプラスミンがフィブリンを分解し血栓を溶解するため、出血傾向を増強すると考えられている。
フィブリノーゲン低下作用を有する酵素製剤
  バトロキソビン等
出血傾向の増強があらわれるおそれがあるので、減量するなど注意すること。フィブリノーゲンが低下することにより出血傾向を増強すると考えられている。

副作用

副作用等発現状況の概要

〈脳血栓症急性期〉
承認前の調査417例中報告された副作用は4.1%(17例)で、主な副作用は血小板・出血凝血障害(血尿)1.0%(4例)、血管(心臓外)障害(出血性脳梗塞)0.7%(3例)、発疹等の皮膚・皮膚付属器障害0.7%(3例)であった。
承認後における使用成績調査3,360例中報告された副作用は8.0%(267例)で、主な副作用はAST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等の肝臓・胆管系障害4.4%(148例)、血管(心臓外)障害(出血性脳梗塞)1.2%(41例)、血尿、消化管出血等の血小板・出血凝血障害1.2%(39例)であった。(再審査終了時)
〈慢性動脈閉塞症〉
承認前の調査180例中報告された副作用は13.3%(24例)で、主な副作用は熱感、下肢痛等の一般全身障害3.9%(7例)、下痢、嘔気等の消化器障害3.3%(6例)、発疹、皮疹等の皮膚・皮膚付属器障害2.2%(4例)であった。
承認後における使用成績調査5,019例中報告された副作用は3.5%(177例)で、主な副作用は、出血、血尿等の血小板・出血凝血障害1.0%(52例)、AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等の肝臓・胆管系障害0.7%(35例)、下痢、嘔気等の消化器障害0.5%(25例)であった。(再審査終了時)
〈血液体外循環〉
アンチトロンビンIII低下状態の血液透析患者を対象とした承認前の調査4例中報告された副作用は下痢25%(1例)であった。
承認後における調査では、80例中報告された副作用は17.5%(14例)で、その内訳は血小板・出血凝血障害12.5%(10例)、赤血球障害6.3%(5例)、肝臓・胆管系障害2.5%(2例)、代謝・栄養障害2.5%(2例)、白血球・網内系障害1.3%(1例)であった。(再審査終了時)
〈ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制〉
国内で実施された医師主導治験では、8例中6例に、出血関連の副作用6件、肝障害4件、皮疹2件等の副作用が報告された。
海外の臨床試験
米国で行われた臨床試験(安全性評価対象症例567例)では、168件の副作用が報告され、主な副作用は、深部静脈血栓症、出血等の血管障害27件、悪心等の胃腸障害24件、紫斑等の皮膚及び皮下組織障害18件等であった。

重大な副作用

1
出血性脳梗塞
1.2% 脳血栓症急性期の調査
脳血栓症急性期の患者に使用した場合、出血性脳梗塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2
脳出血(0.1%)、消化管出血(0.2%)
脳出血、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3
ショック・アナフィラキシーショック(頻度不明注1))
ショック、アナフィラキシーショック(蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4
劇症肝炎(頻度不明注1))、肝機能障害(0.02% 慢性動脈閉塞症の調査)、黄疸(0.03% 脳血栓症急性期の調査)
劇症肝炎等の重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注1) 自発報告において認められている副作用のため頻度不明。

その他の副作用

1
血液注2)
0.1〜5%未満
凝固時間の延長、出血、血尿、貧血(赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少)、白血球増多、白血球減少、血小板減少
2
過敏症注3)
0.1〜5%未満
皮疹(紅斑性発疹等)
3
過敏症注3)
0.1%未満
そう痒、蕁麻疹
4
血管
0.1%未満
血管痛、血管炎
5
肝臓 
0.1〜5%未満
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、ALP上昇、LDH上昇
6
肝臓 
0.1%未満
総ビリルビン上昇、γ-GTP上昇
7
腎臓 
0.1〜5%未満
BUN上昇、クレアチニン上昇
8
消化器
0.1〜5%未満
嘔吐、下痢
9
消化器
0.1%未満
食欲不振、腹痛
10
その他
0.1〜5%未満
頭痛
11
その他
0.1%未満
四肢の疼痛、四肢のしびれ、ふらつき、不整脈、心悸亢進、熱感、潮紅、悪寒、発熱、発汗、胸痛、過換気症候群、呼吸困難、血圧上昇、血圧低下、浮腫、腫脹、倦怠感、血清総蛋白減少
注2) このような場合には減量又は投与を中止すること。
注3) このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。なお、65歳以上の高齢者における副作用発現率は、脳血栓症急性期の使用成績調査では7.8%(184/2,357例)、慢性動脈閉塞症の使用成績調査では3.4%(117/3,392例)であった。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

過量投与

1
症状
本剤の過量投与により、出血の危険性が増大する。
2
処置
出血性の合併症が発現した場合は本剤の投与を中止し、出血の原因を確認すること。本剤の抗凝固作用を中和する薬剤は知られていないので、症状に応じて、外科的止血や新鮮凍結血漿輸注など適切な処置を行うこと。

適用上の注意

1
開封時
アンプルカット時の異物混入を避けるため、エタノール消毒綿等で清拭しカットすること。
2
投与時
本剤はそのまま静脈内に投与せずに希釈して使用すること。[本剤を原液のまま投与すると、溶血を起こすおそれがある。]

薬物動態

血中濃度1)
健康成人(6例)にアルガトロバン水和物2.25、4.5、9.0mgを30分間かけて点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度(HPLC-蛍光検出法: 検出限界0.010μg/mL)の推移は次のとおりである。
アルガトロバン水和物点滴静脈内投与時の血漿中未変化体濃度推移

血漿中未変化体濃度は点滴終了後、半減期15分 (t1/2α) 及び30分 (t1/2β) で2相性を示しながら速やかに消失した。
また、健康成人に本剤9.0mgを1回3時間で3日間連続点滴静注したとき、血漿中未変化体濃度は速やかに上昇し、点滴開始後1時間から終了時までほぼ一定濃度で推移した。各回投与時の濃度推移はほぼ同等であり、蓄積性は認められなかった。
分布
参考(動物実験)
ラットに14C-アルガトロバン3mg/kgを静脈内投与した時、組織内濃度は肝、腎及び消化管において血漿中濃度よりも高値であったが、脳、睾丸、子宮及び卵巣では血漿中より低値であった。組織内濃度は血漿中濃度に相関して経時的に低下しており、蓄積性は認められていない。
代謝
健康成人の尿及び糞中には未変化体の他、代謝物としてtetrahydroquinoline環の水酸化体及び芳香環化体が認められる。これらの代謝物の生成には、主としてCYP3A4が関与していた2)
排泄3)
アルガトロバン水和物9.0mgを健康成人に30分間かけて点滴静注した場合、投与24時間までの尿及び糞中への未変化体の排泄率はそれぞれ22.8%及び12.4%、代謝物の排泄率はそれぞれ1.7%及び13.1%であった。

臨床成績

脳血栓症急性期4〜7)
脳血栓症急性期患者417例を対象とした二重盲検比較試験を含む臨床試験で、神経症候(運動麻痺)、日常生活動作(歩行、起立、坐位保持、食事)の改善が認められ、改善率(改善以上)は68.4%(219/320例)であった。
また、プラセボを対照とした二重盲検比較試験における発症後48時間以内の症例での成績は次のとおりである。なお、両群とも基礎治療薬としてグリセロールを併用している。
(表1参照)
慢性動脈閉塞症8, 9, 10)
慢性動脈閉塞症患者180例を対象とした二重盲検比較試験を含む臨床試験で、四肢潰瘍、安静時疼痛、冷感等の改善が認められ、改善率(改善以上)は52.3%(80/153例)であった。
血液体外循環11)
先天性アンチトロンビンIII欠乏患者及びアンチトロンビンIII活性が70%未満の患者80例を対象とした調査で、アンチトロンビンIII活性の回復及び透析回路内残血等の改善が認められ、有効率(有効以上)は79.7%(47/59例)であった。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)12, 13)II型における血栓症の発症抑制
国内で実施された臨床試験
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)患者6例、血栓塞栓症を伴うHIT患者2例の計8例を対象とした医師主導治験で、死亡、四肢切断に至った症例は認められず、新たに血栓塞栓症が発現した症例は1例であった。
海外で実施された臨床試験
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)患者及び血栓塞栓症を伴うHIT患者に対し、抗トロンビン剤を使用しなかったヒストリカルコントロールを対照とした有効性及び安全性試験(試験1)と追加の有効性及び安全性試験(試験2)が米国で実施された。試験1では、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)患者160例、血栓塞栓症を伴うHIT患者144例の計304例が登録された。主要評価項目(複合評価項目)「37日の観察期間中における死亡(すべての原因)、四肢切断(すべての原因)又は新規血栓症」の発現率は、HIT患者ではヒストリカルコントロール群38.8%(57/147例)に対し、本剤投与群25.6%(41/160例)であった。血栓塞栓症を伴うHIT患者ではヒストリカルコントロール群56.5%(26/46例)に対し、本剤投与群43.8%(63/144例)であった。試験2では、HIT患者125例、血栓塞栓症を伴うHIT患者139例の計264例が登録された。試験1と同一の複合評価項目における発現率は、HIT患者ではヒストリカルコントロール群38.8%(57/147例)に対し、本剤投与群25.6%(32/125例)であった。血栓塞栓症を伴うHIT患者ではヒストリカルコントロール群56.5%(26/46例)に対し、本剤投与群41.0%(57/139例)であった。
表1
 アルガトロバン水和物群プラセボ群
改善率(改善以上/総症例)66.7%(20/30例)22.6%(7/31例)

薬効薬理

トロンビン阻害作用14〜17)
in vitro 試験において、アルガトロバン水和物はトロンビンによるフィブリン生成、血小板凝集及び血管収縮を強く阻害するが、他のトリプシン様セリン蛋白分解酵素に対する阻害効果は弱く、トロンビンを選択的に阻害する。
血液凝固阻止作用
in vitro 試験において、PT、aPTTを濃度に依存して延長したが、ヘパリンのような急激な延長は認められていない18)
健康成人にアルガトロバン水和物2.25mgを30分かけて点滴静注した場合、PTは1.18倍、部分トロンボプラスチン時間(PTT)は1.57倍に延長する1)
脳血栓症急性期患者に1日あたりアルガトロバン水和物60mgを2日間持続点滴静注した場合、PTは1.17倍、aPTTは1.53倍に延長する19)
慢性動脈閉塞症患者にアルガトロバン水和物10mgを3時間かけて点滴静注した場合、PTは1.14倍、aPTTは1.38倍に延長する8)
血液透析患者にアルガトロバン水和物を1時間あたり12〜48mg投与した場合、PTは2.5倍、PTTは3.4倍に延長する20)
脳血栓症急性期における凝固亢進状態に及ぼす作用19)
脳血栓症急性期患者において本剤投与によりフィブリノペプチドA(FPA)が有意に低下した。
阻血肢の組織酸素分圧等に及ぼす作用21)
慢性動脈閉塞症患者において本剤投与により阻血肢の経皮的組織酸素分圧、皮膚温度、深部温度が有意に上昇した。
抗血栓効果
脳血栓症22, 23)
光増感反応による中大脳動脈血栓症モデル(ラット)に対し、Ischemic Penumbraにおけるフィブリン微小血栓生成抑制、局所脳血流量改善、梗塞領域の拡大抑制及び片麻痺様の神経症候の改善作用を示す。
慢性動脈閉塞症24)
大腿動脈内乳酸注入による末梢動脈閉塞症モデル(ラット)に対し、病変の進展を抑制する。
血液体外循環
アンチトロンビンIII低下マウス及びラットにおける血栓症モデルに対し血栓生成抑制作用を示す。ヘパリンは同様の試験で血栓生成抑制作用を示さない25)
実験的体外循環モデル(イヌ)に対し、アルガトロバン水和物単独使用により、体外循環を行うことが可能である26)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
アルガトロバン水和物(Argatroban Hydrate)
化学名
(2R ,4R )-4-Methyl-1-((2S )-2-{[(3RS )-3-methyl-1,2,3,4-tetrahydroquinolin-8-yl]sulfonyl}amino-5-guanidinopentanoyl)piperidine-2-carboxylic acid monohydrate
分子式
C23H36N6O5S・H2O
分子量
526.65
構造式
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末で、味は苦い。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。光によって徐々に分解する。
分配係数
0.031(pH6.0、クロロホルム/緩衝液)

取扱い上の注意

本品は、「ワンポイントカットアンプル」を使用しているので、アンプル枝部のマークを上にして、反対方向に折りとること。

包装

スロンノンHI注10mg/2mL (2mL) 10管

主要文献及び文献請求先

主要文献

1
長沢 洋ほか:臨床薬理 1981;12(3):359-375
2
社内資料:アルガトロバンの代謝に関与するヒトチトクロームP450(CYP)分子種の推定
3
井澤 修ほか:薬理と治療 1986;14(S-5):1113-1125
4
田崎義昭ほか:基礎と臨床 1986;20(17):9041-9048
5
田崎義昭ほか:臨床と研究 1986;63(9):3047-3057
6
田崎義昭ほか:医学のあゆみ 1987;141(8):499-515
7
田崎義昭ほか:医学のあゆみ 1992;161(11):887-907
8
田辺達三ほか:臨床医薬 1986;2(12):1635-1644
9
田辺達三ほか:臨床医薬 1986;2(12):1645-1655
10
田辺達三ほか:循環器科 1987;22(2):185-202
11
Ota K, et al.:Nephrol Dial Transplant. 2003;18(8):1623-1630
12
社内資料:アルガトロバンのヘパリン起因性血小板減少症に対する臨床試験(自らが実施する治験)
13
社内資料:An open-label study of argatroban in patients with heparin-induced thrombocytopenia(HIT)
14
Kikumoto R, et al.:Biochemistry 1984;23(1):85-90
15
Okamoto S, et al.:Biochem Biophys Res Commun. 1981;101(2):440-446
16
原 啓人ほか:薬理と治療 1986;14(S-5):875-881
17
Nakamura K, et al.:Thromb Res. 1985;40(5):715-720
18
玉尾嘉邦ほか:薬理と治療 1986;14(S-5):869-874
19
田中友二ほか:臨床医薬 1987;3(1):133-142
20
松井則明ほか:人工臓器 1982;11(2):525-528
21
伊藤勝朗ほか:外科診療 1987;29(1):122-126
22
Kawai H, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1996;278(2):780-785
23
Kawai H, et al.:Jpn J Pharmacol. 1995;69(2):143-148
24
岩本政博ほか:薬理と治療 1986;14(S-5):903-911
25
Kumada T, et al.:Thromb Res. 1981;24(4):285-298
26
Kawada T, et al.:Artif Organs Today. 1992;2(3):177-184

文献請求先・製品情報お問い合わせ先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
アルフレッサ ファーマ株式会社 製品情報部
〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号
TEL 06-6941-0306
FAX 06-6943-8212

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
アルフレッサ ファーマ株式会社
大阪市中央区石町二丁目2番9号
提携
田辺三菱製薬株式会社

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

MESSAGE

MESSAGE

LABEL