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フエロン注射用100万

天然型インタ-フェロン ベータ製剤

1瓶 5939円

添付文書番号

6399402D1058_2_14

企業コード

480220

作成又は改訂年月

2023年4月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

876399

薬効分類名

天然型インタ-フェロン ベータ製剤

承認等

販売名

フエロン注射用100万

販売名コード

6399402D1058

販売名英字表記

FERON Injection

販売名ひらがな

ふえろんちゅうしゃよう

承認番号等

承認番号
22100AMX01811

販売開始年月

2009年10月

貯法、有効期間

貯法
凍結を避け10℃以下に保存すること
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること
生物由来製品

販売名

フエロン注射用300万

販売名コード

6399402D2054

販売名英字表記

FERON Injection

販売名ひらがな

ふえろんちゅうしゃよう

承認番号等

承認番号
22100AMX01810

販売開始年月

2009年10月

貯法、有効期間

貯法
凍結を避け10℃以下に保存すること
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること
生物由来製品

一般的名称

インターフェロン ベータ

警告

本剤の投与により間質性肺炎,自殺企図があらわれることがあるので,患者に対し副作用発現の可能性について十分説明すること。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 自己免疫性肝炎の患者[自己免疫性肝炎が増悪するおそれがある。]
  2. 小柴胡湯を投与中の患者
  3. 本剤の成分及びウシ由来物質に対し,過敏症の既往歴のある患者
  4. ワクチン等生物学的製剤に対し,過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

フエロン注射用100万
有効成分
インターフェロン ベータ注1)  1バイアル中 100万国際単位
添加剤
人血清アルブミン  3mg
塩化ナトリウム  0.35mg
乳糖水和物注2)  1mg
pH調節剤  適量
溶解液:日本薬局方生理食塩液(2mL)添付
本剤は製造工程でウシ血清及びブタの膵臓の抽出成分であるトリプシンを使用している。
注1)ヒトの線維芽細胞由来
注2)ウシの乳由来
フエロン注射用300万
有効成分
インターフェロン ベータ注3)  1バイアル中 300万国際単位
添加剤
人血清アルブミン  9mg
塩化ナトリウム  1.05mg
乳糖水和物注4)  3mg
pH調節剤  適量
溶解液:日本薬局方生理食塩液(2mL)添付
本剤は製造工程でウシ血清及びブタの膵臓の抽出成分であるトリプシンを使用している。
注3)ヒトの線維芽細胞由来
注4)ウシの乳由来

製剤の性状

フエロン注射用100万
剤形無色透明バイアルびん
pH4.5~5.5注5)
浸透圧比約1(生理食塩液との比)注5)
性状
白色の塊又は粉末の凍結乾燥製剤
注5)添付溶解液(日本薬局方生理食塩液)1mLに溶解したとき
フエロン注射用300万
剤形無色透明バイアルびん
pH4.5~5.5注6)
浸透圧比約1(生理食塩液との比)注6)
性状
白色の塊又は粉末の凍結乾燥製剤
注6)添付溶解液(日本薬局方生理食塩液)1mLに溶解したとき

効能又は効果

  • 膠芽腫,髄芽腫,星細胞腫,
  • 皮膚悪性黒色腫,
  • HBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善,
  • C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善,
  • リバビリンとの併用による以下のいずれかのC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善,
    • 血中HCV-RNA量が高値の患者
    • インターフェロン製剤単独療法で無効の患者又はインターフェロン製剤単独療法後再燃した患者
  • C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(HCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く)

効能又は効果に関連する注意

〈リバビリンとの併用によるC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
  1. 本剤の使用にあたっては,HCV-RNAが陽性であること,及び組織像又は肝予備能,血小板数等により,慢性肝炎であることを確認すること。ウイルス量,セログループ,ジェノタイプ等により有効性が異なるので,適切な症例を選ぶこと。
  2. 血中HCV-RNA量が高値のC型慢性肝炎に本剤を用いる場合,血中HCV-RNA量がアンプリコア法で100KIU/mL以上であること,又はリアルタイムPCR法で5.0LogIU/mL以上であることを確認すること。
〈C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(HCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く)〉
  1. 本剤の使用にあたっては,HCV-RNAが陽性であること,及び組織像又は肝予備能,血小板数等により,代償性肝硬変であることを確認すること。ウイルス量,セログループ,ジェノタイプ等により有効性が異なるので,適切な症例を選ぶこと。
  2. HCVセログループ1の場合には,血中HCV-RNA量がアンプリコア法では100KIU/mL以上でないこと,又はbDNAプローブ法では1Meq/mL以上でないことを確認すること。

用法及び用量

〈膠芽腫,髄芽腫,星細胞腫〉
局所投与
添付溶解液の適量に溶解し,通常,成人は1日100万~600万国際単位を髄腔内(腫瘍内を含む)に投与する。なお年齢,症状により適宜増減する。
点滴静注
生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し,通常,成人は1日100万~600万国際単位を点滴静注する。なお年齢,症状により適宜増減する。
〈皮膚悪性黒色腫〉
添付溶解液の適量に溶解し,通常,成人は病巣あたり1日1回40万~80万国際単位を腫瘍内又はその周辺部に投与する。
1日総投与量は100万~300万国際単位とする。なお腫瘍の大きさ,状態および年齢,症状により適宜増減する。
〈HBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善〉
静脈内投与又は点滴静注
生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し,通常,成人は1回300万国際単位を初日1回,以後6日間1日1~2回,2週目より1日1回静脈内投与又は点滴静注する。
〈C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
静脈内投与又は点滴静注
使用にあたっては,HCV-RNAが陽性であることを確認したうえで行う。
生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し,通常,成人は1回300万~600万国際単位を1日1回連日静脈内投与又は点滴静注する。
〈リバビリンとの併用によるC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
静脈内投与又は点滴静注
使用にあたっては,HCV-RNAが陽性であることを確認したうえで行う。
生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し,通常,成人は1日600万国際単位で投与を開始し,投与後4週間までは連日,以後週3回静脈内投与又は点滴静注する。
〈C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(HCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く)〉
静脈内投与又は点滴静注
使用にあたっては,HCV-RNAが陽性であることを確認したうえで行う。
生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し,通常,成人は1日600万国際単位で投与を開始し,投与後6週間までは1日300万~600万国際単位を連日,以後1日300万国際単位を週3回静脈内投与又は点滴静注する。

用法及び用量に関連する注意

〈効能共通〉
  1. 本剤を長期投与する場合には,臨床効果及び副作用の程度を考慮し,投与を行い,効果が認められない場合には投与を中止すること。
〈膠芽腫,髄芽腫,星細胞腫〉
  1. 2カ月間の投与を目安とし,その後の継続投与については,臨床効果及び副作用の程度を考慮し,慎重に行うこと。
〈皮膚悪性黒色腫〉
  1. 1カ月間の投与を目安とし,その後の継続投与については,臨床効果及び副作用の程度を考慮し,慎重に行うこと。
〈HBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善〉
  1. 4週間の投与を目安とし,その後の継続投与については,臨床効果及び副作用の程度を考慮し,慎重に行うこと。
〈C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
  1. ウイルス量,セログループ,ジェノタイプ等により有効性が異なるので,用法・用量を選ぶこと。
  2. 投与期間は,臨床効果及び副作用の程度を考慮し,慎重に決定する。なお,総投与量として25,200万国際単位投与しても効果が認められない場合には投与を中止すること。
〈リバビリンとの併用によるC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
  1. 通常,成人には下記の用法・用量のリバビリンを経口投与する。本剤の投与に際しては,患者の状態を考慮し,減量,中止等の適切な処置を行うこと。
    患者の体重
    リバビリンの投与量
    1日の投与量
    朝食後
    夕食後
    60kg以下
    600mg
    200mg
    400mg
    60kgを超え80kg以下
    800mg
    400mg
    400mg
    80kgを超える
    1,000mg
    400mg
    600mg
  2. 本剤の使用にあたっては,ヘモグロビン濃度が12g/dL以上であることが望ましい。
  3. 本剤及びリバビリンの投与期間は,臨床効果(HCV-RNA,ALT等)及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定すること。特に白血球数,好中球数,血小板数,ヘモグロビン濃度の変動に注意し,異常が認められた場合には,用量の変更あるいは投与の中止について考慮すること。
    HCVセログループ1で血中HCV-RNA量が高値の患者における通常の投与期間は48週間である。それ以外の患者における通常の投与期間は24週間である。
  4. ヘモグロビン濃度,白血球数,好中球数及び血小板数の減少が認められた場合には,下記を参考に本剤及びリバビリンの用量の変更あるいは投与の中止について考慮すること。
    • ヘモグロビン濃度(心疾患又はその既往歴のない患者)
      ヘモグロビン濃度
      リバビリン
      本剤
      10g/dL未満
      減量
      (600mg/日→400mg/日
      800mg/日→600mg/日
      1,000mg/日→600mg/日)
      用量変更なし
      8.5g/dL未満
      中止
      中止
    • ヘモグロビン濃度(心疾患又はその既往歴のある患者)
      ヘモグロビン濃度
      リバビリン
      本剤
      10g/dL未満
      又は
      投与中,投与前値に比べて2g/dL以上の低下が4週間持続
      減量
      (600mg/日→400mg/日
      800mg/日→600mg/日
      1,000mg/日→600mg/日)
      用量変更なし
      8.5g/dL未満
      又は
      減量後,4週間経過しても12g/dL未満
      中止
      中止
    • 白血球数,好中球数及び血小板数
      検査項目
      数値
      リバビリン
      本剤
      白血球数
      1,500/mm3未満
      用量変更なし
      半量に減量
      好中球数
      750/mm3未満
      血小板数
      50,000/mm3未満
      白血球数
      1,000/mm3未満
      中止
      中止
      好中球数
      500/mm3未満
      血小板数
      25,000/mm3未満
  5. 48週(総投与量として93,600万国際単位)を超えて投与した場合の有効性,安全性は確立していない。
〈C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(HCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く)〉
  1. ウイルス量,セログループ,ジェノタイプ等により有効性が異なるので,適切な用法・用量を選ぶこと。
  2. 投与期間は,臨床効果及び副作用の程度を考慮し,慎重に決定する。通常,成人は1日600万国際単位を1週間,以後1日300万国際単位を5週間連日,7週目より1日300万国際単位を週3回静脈内投与又は点滴静注し,投与期間は34~36週間(総投与量として39,900万国際単位)とする。
  3. 白血球数,好中球数,血小板数の減少がみられた場合には,下表を参考に用量の変更,投与間隔の延長及び投与の中止について考慮すること。また,本剤の投与により蛋白尿や血清アルブミン低下があらわれるおそれがあるので,臨床検査値の異常に注意のうえ適宜減量を考慮すること。
    減量又は投与間隔の延長
    中止
    白血球数
    1,500/mm3未満
    1,000/mm3未満
    好中球数
    750/mm3未満
    500/mm3未満
    血小板数
    50,000/mm3未満
    25,000/mm3未満
    投与の再開,変更後の用量の増量及び投与間隔の短縮に際しては,白血球数,好中球数,血小板数が上表の値に回復していることを確認すること。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 本剤の投与中は血液学的検査(白血球,血小板等,投与初期では2~3日に1回),肝機能検査(AST,ALT等),尿検査(蛋白尿)及び腎機能検査を定期的に行い,治療の継続が困難と認められた場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
  2. 糖尿病が増悪又は発症することがあり,昏睡に至ることがあるので,定期的に検査(血糖値,尿糖等)を行うこと。
  3. 溶血性尿毒症症候群(血小板減少,溶血性貧血,腎不全を主徴とする)があらわれることがあるので,定期的に腎機能検査及び血液学的検査(血小板,赤血球,末梢血液像等)を行うこと。
  4. 網膜症があらわれることがあるので,網膜出血,軟性白斑及び糖尿病網膜症の増悪に注意し,定期的に眼底検査を行うなど観察を十分に行うこと。視力低下,視野中の暗点が認められた場合は速やかに医師の診察を受けるよう患者を指導すること。
  5. 過敏症等の反応を予測するため,使用に際しては十分な問診を行うとともに,あらかじめ本剤によるプリック試験を行うことが望ましい。
  6. 本剤の投与初期において,一般に発熱がみられる。その程度は個人差が著しいが高熱を呈する場合もあるので,発熱に対してあらかじめ十分配慮すること。
  7. 間質性肺炎の既往歴のある患者に使用するにあたっては,定期的に聴診,胸部X線等の検査を行うなど,十分に注意すること。
  8. 間質性肺炎があらわれることがあるので,咳嗽,呼吸困難等があらわれた場合には直ちに連絡するよう患者に対し注意を与えること。
  9. 本剤の投与にあたっては,抑うつ,自殺企図をはじめ,躁状態,攻撃的行動,不眠,不安,焦燥,興奮,攻撃性,易刺激性等の精神神経症状発現の可能性について患者及びその家族に十分理解させ,これらの症状があらわれた場合には直ちに連絡するよう注意を与えること。
  10. 間歇投与又は投与を一時中止し,再投与する場合は,慎重に投与すること。
〈HBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善〉
  1. 本剤の使用にあたっては,初日300万国際単位を1回のみ投与し,発熱等患者の状態を十分観察すること。
〈C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
  1. 本剤の使用にあたっては,初日300万~600万国際単位を1回投与し,発熱等患者の状態を十分観察すること。
〈リバビリンとの併用によるC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
  1. C型慢性肝炎で本剤をリバビリンと併用する場合,本剤単独投与で認められている副作用があらわれる可能性があるので,十分注意すること。
  2. 本剤の使用にあたっては,初日600万国際単位を1回投与し,発熱等患者の状態を十分観察すること。
  3. ヘモグロビン濃度,白血球数,好中球数及び血小板数の検査を投与開始後1週間は2~3日に1回,以後投与開始後4週間までは毎週,その後は4週間に1回程度を目安として,投与間隔に応じた頻度で実施すること。本剤をリバビリンと併用する場合,投与開始前のヘモグロビン濃度が14g/dL未満あるいは好中球数が2,000/mm3未満の患者で,減量を要する頻度が高くなる傾向が認められている。
  4. 甲状腺機能検査は12週間に1回実施すること。
〈C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(HCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く)〉
  1. 本剤の使用にあたっては,初日600万国際単位を1回投与し,発熱等患者の状態を十分観察すること。
  2. 本剤の投与初期から白血球減少,好中球減少,血小板減少等があらわれるおそれがあるので,投与開始から2週間は入院して管理することが望ましい。
  3. 臨床検査値の異常が多く発現しているので十分配慮し,血液学的検査は投与開始2週間は少なくとも2~3日に1回,以後連日投与では毎週,週3回投与では4週間に1回程度,肝機能検査及び尿検査は連日投与では毎週,週3回投与では4週間に1回程度を目安として,投与間隔に応じた頻度で実施すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 薬物過敏症の既往歴のある患者
  2. アレルギー素因のある患者
  3. 心疾患又はその既往歴のある患者
    心疾患が悪化するおそれがある。
  4. 高血圧症を有する患者
    脳出血がみられたとの報告がある。
  5. 高度の白血球減少又は血小板減少のある患者
    白血球減少又は血小板減少が悪化するおそれがある。
  6. 精神神経障害又はその既往歴のある患者
    精神神経障害が悪化するおそれがある。
  7. 自己免疫疾患(ただし自己免疫性肝炎を除く)又はその素因のある患者
    自己免疫疾患が悪化するおそれがある。
  8. 糖尿病又はその既往歴,家族歴のある患者,耐糖能障害のある患者
    糖尿病が増悪又は発症しやすい。
  9. 喘息又はその既往歴のある患者
    喘息が増悪又は再発することがある。
  10. 間質性肺炎の既往歴のある患者
    間質性肺炎が増悪又は再発することがある。

腎機能障害患者

  1. 重篤な腎障害のある患者
    腎障害が悪化するおそれがある。

肝機能障害患者

  1. 重篤な肝障害のある患者
    肝障害が悪化するおそれがある。

生殖能を有する者

〈リバビリンとの併用の場合〉
  1. リバビリンの添付文書「1.警告」の避妊に関する注意について,その指示を徹底すること。

妊婦

〈本剤単独の場合〉
  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
〈リバビリンとの併用の場合〉
  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性にはリバビリンを併用しないこと。リバビリンの動物実験で催奇形性作用(ラット及びウサギ:1mg/kg/日)及び胚・胎児致死作用(ラット:10mg/kg/日)が認められている。

授乳婦

〈リバビリンとの併用の場合〉
  1. 授乳を避けさせること。リバビリンの動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

用量に注意すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

相互作用

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
小柴胡湯
間質性肺炎があらわれるおそれがある。なお,類薬(インターフェロン アルファ製剤)と小柴胡湯との併用で間質性肺炎があらわれたとの報告がある。
機序は不明である。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ワルファリン
ワルファリンの作用を増強することがあるので用量を調節するなど注意すること。
機序は不明である。
テオフィリン
テオフィリンの血中濃度を高めるおそれがある。
インターフェロン-βは肝薬物代謝酵素活性を抑制するとの報告がある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

〈本剤単独の場合〉
  1. 間質性肺炎(0.1%未満)
    発熱,咳嗽,呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には,速やかに胸部X線等の検査を実施し,本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
  2. 重篤なうつ状態(0.1%未満),自殺企図(0.1%未満),躁状態(0.1%未満),攻撃的行動(頻度不明)
    抑うつ,自殺企図があらわれることがある。また,躁状態,攻撃的行動があらわれ,他害行為に至ることがある。不眠,不安,焦燥,興奮,攻撃性,易刺激性等があらわれた場合には投与を中止するなど,投与継続の可否について慎重に検討すること。また,これらの症状が認められた場合には,投与終了後も観察を継続することが望ましい。
  3. 糖尿病(1型及び2型)(0.1~5%未満)
  4. 自己免疫現象によると思われる症状・徴候
    甲状腺機能異常(0.1~5%未満),溶血性貧血(0.1%未満),1型糖尿病の増悪又は発症(0.1%未満)等があらわれることがある。
  5. ショック(0.1%未満)
  6. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)
  7. 重篤な肝障害(0.1~5%未満)
    黄疸や著しいトランスアミナーゼの上昇を伴う肝障害があらわれることがある。
  8. 急性腎障害(0.1%未満)
  9. 溶血性尿毒症症候群(HUS)(頻度不明)
  10. 脳出血(頻度不明),消化管出血(0.1%未満),球後出血(頻度不明)
  11. 脳梗塞(0.1%未満)
  12. 心不全(頻度不明),狭心症(頻度不明),心筋梗塞(0.1%未満)
  13. 敗血症(0.1%未満)
    易感染性となり,敗血症があらわれることがある。
  14. 網膜症(0.1%未満)
  15. 痙攣(頻度不明)
    痙攣(全身発作,部分発作)があらわれることがあり,また意識障害を伴うことがある。
  16. 認知症様症状(特に高齢者)(頻度不明)
  17. 麻痺(0.1%未満)
  18. 汎血球減少(0.1~5%未満),白血球減少(2,000/mm3未満)(0.1~5%未満),顆粒球減少(1,000/mm3未満)(5%以上),血小板減少(50,000/mm3未満)(0.1~5%未満)
  19. ネフローゼ症候群(0.1%未満)
    血清総蛋白減少,血清アルブミン低下を伴う重篤な蛋白尿が認められることがある。
〈リバビリンとの併用の場合〉
  1. 貧血注1)
    赤血球減少(250万/mm3未満)(5%未満),ヘモグロビン減少(8g/dL未満)(5%未満),ヘモグロビン減少(8以上9.5g/dL未満)(5%以上),ヘモグロビン減少(9.5以上11g/dL未満)(5%以上)があらわれることがある。
    注1)貧血は主に溶血性貧血
  2. 自己免疫現象によると思われる症状・徴候
    甲状腺機能異常(5%以上)等があらわれることがある。
  3. 重篤な肝障害(5%未満)
    著しいトランスアミナーゼの上昇を伴う肝障害があらわれることがある。
  4. 脳梗塞(5%未満)
  5. 重篤なうつ状態(頻度不明),自殺企図(頻度不明),躁状態(頻度不明),攻撃的行動(頻度不明)
    抑うつ,自殺企図があらわれることがある。また,躁状態,攻撃的行動があらわれ,他害行為に至ることがある。不眠,不安,焦燥,興奮,攻撃性,易刺激性等があらわれた場合には投与を中止するなど,投与継続の可否について慎重に検討すること。また,これらの症状が認められた場合には,投与終了後も観察を継続することが望ましい。
  6. せん妄(頻度不明),幻覚(頻度不明)
  7. 間質性肺炎(頻度不明)
    発熱,咳嗽,呼吸困難等の呼吸器症状,また,胸部X線異常があらわれた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
  8. 心不全(頻度不明)
  9. 溶血性尿毒症症候群(HUS)(頻度不明)
  10. ネフローゼ症候群(頻度不明)
    血清総蛋白減少,血清アルブミン低下を伴う重篤な蛋白尿が認められることがある。
  11. 糖尿病(1型及び2型)(頻度不明)
  12. 敗血症(頻度不明)
    易感染性となり,敗血症があらわれることがある。
  13. 網膜症(頻度不明)
  14. 白血球減少(2,000/mm3未満)(5%以上),顆粒球減少(1,000/mm3未満)(5%以上),血小板減少(50,000/mm3未満)(5%未満)

その他の副作用

〈本剤単独の場合〉
5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
全身症状
発熱(72.3%)注2) ,悪寒(18.2%),全身倦怠感(20.4%)
かぜ症候群
過敏症
発疹,そう痒感,蕁麻疹
血液
白血球減少(18.1%),血小板減少(18.7%),顆粒球減少,白血球分画異常,貧血
好酸球増多,出血傾向
肝臓
AST上昇,ALT上昇
Aℓ-P上昇,LDH上昇,総ビリルビン上昇,γ- GTP上昇
黄疸
腎臓
蛋白尿(13.5%)
BUN上昇,クレアチニン上昇,血尿,膀胱炎
尿閉
精神神経系
頭痛・頭重(19.6%)
抑うつ,痙攣,意識障害,傾眠,不安,不眠,焦燥,めまい,知覚異常,手足のしびれ,振戦
躁状態,興奮,健忘,失語,幻覚・妄想,無気力,歩行困難
構語障害
循環器
血圧上昇,不整脈,動悸,四肢冷感,潮紅
血圧低下,チアノーゼ
心筋症,心電図異常
呼吸器
咳嗽,上気道炎,呼吸困難
肺炎,嗄声
消化器
食欲不振(12.7%),悪心・嘔吐
下痢,腹痛,消化不良,便秘,腹部膨満感,口内・口唇炎,口渇,歯周炎,歯痛,味覚異常
胃潰瘍,胃炎
潰瘍性大腸炎
皮膚
湿疹,脱毛,発汗,ざ瘡
丘疹
乾癬悪化,
白斑注3)
眼底出血等の網膜の微小循環障害注4),眼痛,視力異常,眼球充血,結膜下出血,眼の異和感
注射部位
疼痛,発赤,熱感,腫脹
色素沈着
潰瘍注3)
その他
関節痛(10.8%),血清アルブミン低下
耳鳴,筋肉痛,肩こり等の緊張亢進,腰痛,浮腫,胸部圧迫感,疼痛,咽頭炎,疲労,脱力感,単純疱疹,血清総蛋白減少,トリグリセライド上昇,血清コレステロール上昇,血中コレステロール低下,血糖上昇
難聴,易感染性,帯状疱疹,腹水,体重減少,嗅覚錯誤,蜂窩織炎,筋痙直,関節炎,月経異常,膿瘍,リンパ節症,血清カリウム上昇,血清アミラーゼ上昇
手指関節拘縮,ヘモグロビンA1C上昇

注)発現頻度は製造販売後調査を含む。
注2)発熱に対しては解熱剤の投与等適切な処置を行うこと。
注3)皮膚悪性黒色腫への局所投与時に認められた副作用。
注4)飛蚊視,視力低下感等を伴うことがある。
〈リバビリンとの併用の場合〉
5%以上
5%未満
頻度不明
全身症状
発熱(98.3%)注5),悪寒(82.2%),全身倦怠感(88.5%),かぜ症候群
インフルエンザ様症状
過敏症
発疹,そう痒感
蕁麻疹
血液
白血球減少(75.3%),血小板減少(62.1%),顆粒球減少(81.6%),白血球分画異常(96.6%),赤血球減少(70.7%),ヘモグロビン減少(76.4%),ヘマトクリット減少(71.3%),網状赤血球減少,網状赤血球増多(75.9%),好酸球増多,好中球増多,血小板増多
出血傾向,白血球増多
肝臓
AST上昇,ALT上昇,Aℓ-P上昇,LDH上昇,総ビリルビン上昇,γ-GTP上昇
腎臓
蛋白尿(50.6%),BUN上昇,血尿
クレアチニン上昇,膀胱炎,頻尿,排尿障害
精神神経系
頭痛・頭重(80.5%),不眠,めまい,抑うつ,焦燥,手足のしびれ,不安
意識障害,傾眠,知覚異常,振戦,無気力,歩行困難,健忘,異常感,感情不安定,耳閉,注意力障害
妄想,怒り
循環器
血圧上昇,動悸,潮紅,四肢冷感
不整脈,血圧低下
呼吸器
咳嗽,上気道炎,呼吸困難,鼻出血
肺炎,鼻漏,血痰,嗄声,鼻炎,気管支炎,鼻閉
消化器
食欲不振(59.2%),悪心・嘔吐,下痢,腹痛,消化不良,便秘,口内・口唇炎,味覚異常
腹部膨満感,口渇,歯周・歯髄・歯肉炎,歯痛,胃炎,歯の異常,排便障害,腸炎,舌炎,痔核,おくび,鼓腸放屁,腸管機能異常
膵炎
皮膚
湿疹,脱毛
ざ瘡,発汗,皮膚乾燥,白癬,紅斑,紫斑,脂漏,爪の異常,過角化,皮膚潰瘍,毛質異常,落屑
丘疹
眼底出血等の網膜の微小循環障害注6)
眼痛,視力異常,結膜下出血,眼球充血,結膜炎,眼の異和感,眼そう痒症,眼精疲労,硝子体浮遊物,羞明,視覚異常,視野欠損,麦粒腫
注射部位
発赤
疼痛,熱感,腫脹,色素沈着,そう痒,出血
その他
関節痛(58.0%),筋肉痛,肩こり等の緊張亢進,背部・腰部痛,浮腫,胸部圧迫感,疼痛,咽頭炎,体重減少,尿糖,血清アルブミン低下(54.0%),血清総蛋白減少,血清コレステロール上昇,血中コレステロール低下,血中尿酸上昇,血清カルシウム低下,血清無機リン低下,CRP上昇
疲労,脱力感,難聴,単純疱疹,帯状疱疹,蜂窩織炎,筋痙直,手指関節拘縮,耳鳴,冷汗,不正出血,神経痛,頚部痛,易感染性,花粉症,外耳炎,耳痛,中耳炎,前立腺炎,嗅覚異常,四肢不快感,サルコイドーシス,トリグリセライド上昇,血清アミラーゼ上昇,血糖上昇
CK上昇,血清カリウム上昇,ヘモグロビンA1C上昇
注)発現頻度は製造販売後臨床試験を含む。
注5)発熱に対しては解熱剤の投与等適切な処置を行うこと。
注6)飛蚊視,視力低下感等を伴うことがある。

適用上の注意

薬剤調製時の注意
  1. 調製方法
    用時調製し,溶解後は速やかに使用すること。
  2. アンプルカット時
    添付溶解液の容器はワンポイントカットアンプルである。カット時には異物混入を避けるため,カット部分をエタノール綿等で清拭してから,アンプル枝部のワンポイントマークの反対方向へ折ること。その際,カット部分で手指を傷つけないよう十分に注意すること。
薬剤投与時の注意
  1. 静脈内投与時
    静脈内投与する場合は,例えば,生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液1~20mLに溶解し投与する。
  2. 点滴静注時
    点滴静注の場合は,例えば,生理食塩液100~250mL,又は5%ブドウ糖注射液100~500mLに溶解し投与する。
  3. 局所投与時
    局所疼痛の強い場合には,局所麻酔剤に溶解し投与することが可能である。例えば0.5~1%プロカイン塩酸塩注射液1~3mLに溶解し投与する。ただし,リドカイン注射液等は配合不可である。

薬物動態

血中濃度

  1. 点滴静脈内投与
    腫瘍患者に,本剤3×106IU及び6×106IUを点滴静注(1時間)したとき,点滴終了直後にそれぞれ40IU/mL,96IU/mLの血清中濃度が検出され用量依存性がみられた。以後二相性で指数関数的に減少し初期相半減期は15~43分であり,後期相半減期は5.7~18.1時間であった。
    また,本剤3×106IU/日を2カ月間点滴静注(1時間)したが,投与後の血中濃度は初回投与時と同様に推移し,蓄積傾向は認められなかった。
  2. 静脈内投与
    健康成人に本剤3×106IUを静脈内投与したとき,投与終了直後に血清中濃度は最高値67IU/mLを示した。その後速やかに低下し,投与開始後45分以降は検出限界以下となった。
  3. 髄腔内投与
    脳腫瘍患者に本剤3×106IUを髄腔内に投与したとき,髄液中には12時間後約103IU/mL,48時間後にも約102IU/mLの力価が認められ,また血清中にもわずかに検出された。

分布

ラット,マウスに静脈内投与後,15~30分で体内臓器濃度は最高に達し,3時間後にはほとんど消失した。脾臓,肝臓及び腎臓に高い活性の分布が認められたが,これらは血中濃度を越えなかった。マウスにおける皮下投与では臓器・組織への分布はほとんど認められなかった。

排泄

悪性黒色腫患者に本剤3~6×106IUを点滴静注(1時間)し,尿中排泄をみたが活性は全く検出されなかった。
ラットで尿中への活性物質の排泄を力価で追跡したが認められなかった。しかし14C-インターフェロン-βを使用した実験では72時間までに投与量の72.9%が尿中に排泄された。胆汁中排泄は少なかった。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈膠芽腫,髄芽腫,星細胞腫〉
  1. 国内第II相試験
    1日1.0~6.0×106IUを主とした点滴静注又は局所投与で膠芽腫57例中8例(14.0%),髄芽腫20例中4例(20.0%),星細胞腫25例中6例(24.0%)に奏効を認めた。
〈皮膚悪性黒色腫〉
  1. 国内臨床試験
    1日1.0~3.0×106IUを主とした局所投与で20例中10例(50.0%)に奏効を認めた。また3年以上の生存が3例に観察され,3年生存率は28.2%と生存期間の延長が認められた。なお病巣別奏効率は75.4%(211病巣中159病巣に奏効)であった。
〈HBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善〉
  1. 国内臨床試験
    点滴静注により1日3.0~6.0×106IUを72例に投与した。DNAポリメラーゼ(DNA-P)は投与終了直後には48.0%(24/50)が陰性化した。HBe抗原陰性化(Seronegative: SN)率,HBe抗体陽性化(Seroconversion: SC)率は投与終了直後で各々16.9%(12/71),1.4%(1/71)であったが,投与終了後6カ月で各々22.6%(12/53),5.7%(3/53)であった。長期追跡調査では本剤投与終了後2年目のSN率は40~50%,SC率は23~30%であった。また二重盲検法による比較試験を69例について実施し,DNA-Pの著明改善(陰性化ないし投与前値の1/10以下に低下)が対照群に比し有意に認められた。また1日3.0~6.0×106IUを44例に静脈内投与した。DNA-Pは投与終了直後に44.1%(15/34)が陰性化し,SN率は14.3%(6/42)であり,点滴静注の成績と同等であった,,,,
〈C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
  1. 国内臨床試験
    1日6.0×106IUを110例に6週間静脈内投与又は点滴静注した。ALT(GPT)の投与終了後6カ月間以上の正常化持続(著効)は36.4%(40/110)に認められた。投与終了後6カ月間以上の正常上限値の2倍以内持続(有効)を含めた有効率は61.8%(68/110)であった。また投与終了後6カ月目のHCV-RNAの陰性化率(CRT-PCR法)は15.6%(7/45)であった,
    なお,C型慢性非活動性肝炎(56例)において,HCVジェノタイプ(遺伝子型)別及びHCV-RNA量(CRT-PCR法)別の投与終了後6カ月目のHCV-RNA陰性化率(CRT-PCR法)及びALT(GPT)著効率は,下記のとおりであった。
    HCV
    ジェノタイプ
    HCV-RNA量
    (コピー/50μL)
    HCV-RNA
    陰性化率
    ALT(GPT)
    著効率
    I(1a)型
    105未満
    データなし
    データなし
    105以上
    データなし
    0.0%(0/1)
    II(1b)型
    105未満
    0.0%(0/3)
    20.0%(1/5)
    105以上
    3.8%(1/26)
    11.1%(3/27)
    III(2a)型
    105未満
    100.0%(3/3)
    100.0%(3/3)
    105以上
    28.6%(2/7)
    57.1%(4/7)
    Ⅳ(2b)型
    105未満
    データなし
    データなし
    105以上
    0.0%(0/5)
    20.0%(1/5)
〈リバビリンとの併用によるC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
  1. 国内第III相試験
    「HCVセログループ1かつ血中HCV-RNA量が高値の患者:対象A」及び「HCVセログループ1以外かつ血中HCV-RNA量が高値の患者,及びIFN製剤による治療歴のある血中HCV-RNA量が低値の患者:対象B」を対象として,本剤1日6.0×106IUを4週間連日投与後,1日6.0×106IUを週3回20週間投与し,リバビリン1日600~800mgを24週間併用投与した際の,本剤/リバビリン併用群と対照薬群であるIFNα-2b/リバビリン併用群におけるHCVセログループ別及びHCV-RNA量(アンプリコア法)別の投与終了後24週目のHCV-RNA陰性化率(アンプリコア法)は,下記のとおりであった。
    HCV-RNA陰性化率
    本剤/リバビリン
    併用群
    IFNα-2b/リバビリン
    併用群
    対象A
    18.7%(17/91)
    15.6%(7/45)
    対象B
    80.0%(20/25)
    83.3%(10/12)
  2. 国内第III相試験
    HCVセログループ1で血中HCV-RNA量が高値であり,うつ病の既往歴(インターフェロン アルファ製剤によるうつ病の既往歴を含む)のあるC型慢性肝炎患者,又はうつ病の合併症あるいはその疑いのあるC型慢性肝炎患者(ハミルトンうつ病評価尺度17項目の総スコアが13以下)を対象として,本剤1日6.0×106IUを4週間連日投与後,1日6.0×106IUを週3回44週間投与し,リバビリン1日400~1,000mgを48週間併用投与する試験を精神科医による診察を定期的に行ったうえで実施した。投与開始24週後,48週後の投与中止率はそれぞれ8.6%(5/58),17.2%(10/58)であり,48週間投与終了後24週目のHCV-RNA陰性化率(アンプリコア法)は22.4%(13/58)であった。
〈C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(HCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く)〉
  1. 国内第III相試験
    静脈内投与又は点滴静注により,1日6.0×106IU1週間連日投与後,3.0×106IU連日又は週6回投与により計6~7週間投与したとき,さらに週3回投与を継続して計20~22週間又は計34~36週間投与したとき,投与終了後6カ月目のHCV-RNA陰性化率(アンプリコア法)及びALT(GPT)著効率は,下記のとおりであった。
    投与期間
    HCV-RNA
    陰性化率
    ALT(GPT)
    著効率
    6~7週間
    14.6%(7/48)
    16.7%(8/48)
    20~22週間
    28.9%(13/45)
    28.9%(13/45)
    34~36週間
    38.8%(19/49)
    40.8%(20/49)
    本剤を20週間以上投与したとき,HCVセログループ別,HCV-RNA量(bDNAプローブ法)別の投与終了後6カ月目のHCV-RNA陰性化率及びALT(GPT)著効率は,下記のとおりであった。
    HCV
    セログループ
    HCV-RNA量
    (Meq/mL)
    HCV-RNA
    陰性化率
    ALT(GPT)
    著効率
    セログループ1
    1未満
    35.7%(10/28)
    25.0%(7/28)
    セログループ1
    以外
    1未満
    48.5%(16/33)
    45.5%(15/33)
    1以上
    10.0%(3/30)
    30.0%(9/30)

製造販売後調査等

〈C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善〉
  1. 特定使用成績調査
    承認条件により実施した特別調査でのC型慢性肝炎(500例)において,HCVセログループ別及びHCV-RNA量(アンプリコア法)別の投与終了後6カ月以降のHCV-RNA陰性化率(アンプリコア法)及びALT(GPT)著効率は,下記のとおりであった。
    HCV
    セログループ
    HCV-RNA量
    (Kコピー/mL)
    HCV-RNA
    陰性化率
    ALT(GPT)
    著効率
    セログループ1
    100未満
    66.7%(22/33)
    69.7%(23/33)
    100以上
    8.5%(12/142)
    27.1%(32/118)
    セログループ2
    100未満
    71.4%(55/77)
    78.3%(54/69)
    100以上
    14.5%(11/76)
    45.9%(28/61)
〈C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(HCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く)〉
  1. 製造販売後臨床試験
    静脈内投与又は点滴静注により,下記の用法・用量にて投与した結果,I群に対するIII群の優越性は示されなかった。
    I群:1日6.0×106IUを1週間連日,以後1日3.0×106IUを5週間連日,7週目以降は1日3.0×106IUを週3回により計126回投与(投与期間34~36週間,総投与量39,900万IU)
    II群:1日6.0×106IUを1週間連日,以後1日3.0×106IUを5週間連日,7週目以降は1日3.0×106IUを週3回により計168回投与(投与期間48~50週間,総投与量52,500万IU)
    III群:1日6.0×106IUを6週間連日,7週目以降は1日3.0×106IUを週3回により計168回投与(投与期間48~50週間,総投与量63,000万IU)
    各群の投与終了24週後のHCV-RNA陰性化率(アンプリコア法又はコバスTaqMan HCV法)及びALT持続正常化率は,下記のとおりであった。
    投与群
    HCV-RNA
    陰性化率注1)
    ALT持続
    正常化率注2)
    I群
    25.4%(18/71)
    44.8%(30/67)
    II群
    25.7%(18/70)
    34.8%(23/66)
    III群
    25.4%(18/71)
    40.3%(27/67)
    注1)判定不能例(I群:20例,II群:28例,III群:27例)は非陰性例として集計。
    注2)判定不能例(I群:21例,II群:28例,III群:24例)は非持続正常化例として集計。
    HCVセログループ別,HCV-RNA量(アンプリコアHCVモニター法又はコバスTaqMan HCV法)別の投与終了24週後のHCV-RNA陰性化率は,下記のとおりであった。
    HCV
    セログループ
    HCV-RNA量
    HCV-RNA陰性化率注3)
    I群
    II群
    III群
    セログループ1
    100KIU/mL未満又は
    5.0LogIU/mL未満
    50.0%
    (4/8)
    55.6%
    (5/9)
    50.0%
    (5/10)
    セログループ1
    以外
    100KIU/mL未満又は
    5.0LogIU/mL未満
    52.4%
    (11/21)
    50.0%
    (8/16)
    45.5%
    (10/22)
    100KIU/mL以上又は
    5.0LogIU/mL以上
    7.7%
    (3/39)
    7.5%
    (3/40)
    5.6%
    (2/36)
    注3)判定不能例(I群:19例,II群:26例,III群:26例)は非陰性例として集計。
    また,減量又は投与間隔の延長がなされた症例の割合及び投与中止された症例の割合は,下記のとおりであった。
    I群
    II群
    III群
    減量又は投与間隔の延長がなされた症例の割合
    52.1%
    (37/71)
    54.3%
    (38/70)
    80.3%
    (57/71)
    副作用により減量又は投与間隔の延長がなされた症例の割合
    36.6%
    (26/71)
    45.7%
    (32/70)
    64.8%
    (46/71)
    投与中止された症例の割合
    23.9%
    (17/71)
    41.4%
    (29/70)
    31.0%
    (22/71)
    副作用により投与中止された症例の割合
    9.9%
    (7/71)
    10.0%
    (7/70)
    14.1%
    (10/71)

薬効薬理

作用機序
  1. 抗腫瘍作用,
    腫瘍細胞表面に結合し,その増殖を抑制する直接作用と,宿主を介して抗腫瘍免疫能を活性化することにより,腫瘍の増殖を抑制する間接作用とが考えられている。
  2. 抗ウイルス作用
    細胞膜上のレセプターを介して細胞に働き,2-5A合成酵素,プロテインキナーゼ等を誘導し,細胞を抗ウイルス状態に保つと考えられている。
抗腫瘍作用
  1. In vitro
    ヒト脳腫瘍由来細胞株(AJ)に対し,本剤103IU/mLを処理したところ,著明な増殖抑制を認めた。またヒト悪性黒色腫由来細胞株(HMV-1)に対しても強い増殖抑制(IC50:130IU/mL)を認めた。
  2. In vivo
    悪性神経膠腫由来細胞株(Gℓ-MK)をヌードマウスの皮下に移植後,腹腔内投与により腫瘍の増殖抑制を認めた。Gℓ-MK及び神経膠芽腫由来細胞株(Gℓ-AK)をヌードマウスの皮下に移植後,腫瘍内投与により著明な増殖抑制を認めた。また投与後の腫瘍組織では,細胞成分の著明な減少,核濃縮,細胞突起形成増加傾向等,著明な抗腫瘍効果を示した。多形性膠芽腫由来細胞株(GL-5-JCK)をヌードマウスに移植後,静脈内投与又は腫瘍内投与により有意な増殖抑制を認めた。またヒト悪性黒色腫由来細胞株(HMV-1)をヌードマウスに移植後,腫瘍内投与により著明な増殖抑制を認めた。
抗ウイルス作用
  1. In vitro
    ヒト胎児皮膚由来HES/YS細胞を用いて,本剤で一晩処理後,各種RNA,DNAウイルスを接種したところ,VSV>HSV-1>アデノウイルス3型,19型>アデノウイルス4型>アデノウイルス8型の順で抗ウイルス効果を認めた。
    B型肝炎ウイルス(HBV)DNAを挿入したヒト肝芽腫細胞のHepG2細胞を用いて,本剤で3日間処理後,細胞中のHBV複製阻害を認めた。C型肝炎ウイルス(HCV)感染したヒトTリンパ細胞を用いて,本剤で8日間処理後,細胞内のHCV複製阻害を認めた。
  2. In vivo
    ウサギ角膜へルペスウイルス感染に対し,本剤1.4×105IUを局所(点眼)投与し抗ウイルス効果を認めた。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
インターフェロン ベータ(Interferon Beta)
分子式
C908H1406N246O252S7(ポリペプチド部分のみ)
分子量
20024.83(ポリペプチド部分のみ)
SDS-PAGE法による実測値約22000(糖鎖を含む)
性状
白色の塊又は粉末で,精製水,生理食塩液及び5%ブドウ糖注射液に極めて溶けやすく,生理食塩液を加えて溶かすとき無色澄明な液となる。
化学構造式
糖鎖を結合したアミノ酸166個からなるポリペプチド

包装

〈フエロン注射用100万〉
1バイアル(溶解液:日局生理食塩液(2mL)添付)
〈フエロン注射用300万〉
1バイアル(溶解液:日局生理食塩液(2mL)添付)

主要文献

1
日野邦彦 他: 臨床薬理 1988; 19(3): 625-635
2
永井政勝 他: 脳神経外科 1982; 10(5): 463-476
3
石原和之 他: 日本癌治療学会誌 1983; 18(1): 41-53
4
鈴木宏 他: 肝胆膵 1984; 9(4): 611-631
5
鈴木宏 他: 肝胆膵 1986; 13(1): 123-133
6
鈴木宏 他: 肝胆膵 1986; 12(5): 809-822
7
鈴木宏 他: 肝臓 1988; 29(11): 1537-1538
8
小俣政男 他: 医学のあゆみ 1988; 146(11): 815-816
9
小幡裕 他: 薬理と治療 1988; 16(11): 4707-4719
10
浪久利彦 他: 肝胆膵 1988; 17(6): 1241-1253
11
鈴木宏 他: 肝胆膵 1991; 23(5): 1065-1079
12
鈴木宏 他: 肝胆膵 1995; 31(1): 161-175
13
社内資料: BM532のC型慢性肝炎に対するTDR-030併用試験(2009年10月16日承認,CTD2.7.6)
14
社内資料: IFNα製剤に不耐容のC型慢性肝炎患者を対象としたBM532とTDR-030併用試験(2009年10月16日承認,CTD2.7.6)(1)
15
社内資料: IFNα製剤に不耐容のC型慢性肝炎患者を対象としたBM532とTDR-030併用試験(2009年10月16日承認,CTD2.7.6)(2)
16
若林俊彦 他: 癌と化学療法 1982; 9(8): 1400-1406
17
永尾伸一 他: GANN 1983; 74(3): 452-458
18
宗川吉汪: 自然 1981; 36(2): 26-35
19
井田亘隆 他: GANN 1982; 73(6): 952-960
20
三木啓全: Neurologia medico-chirurgica 1982; 22(10): 785-796
21
石古博昭 他: 臨床とウイルス 1983; 11(2): 172-176
22
林恭行 他: Journal of Virology 1989; 63(7): 2936-2940
23
清水洋子 他: Journal of Virology 1994; 68(12): 8406-8408
24
山西律子: 日本眼科学会雑誌 1980; 84(9): 1206-1212

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