添付文書番号
3334403A2143_1_05
企業コード
530169
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
873334
薬効分類名
血液凝固阻止剤
承認等
販売名
ダルテパリンNa静注5000単位/5mL「日医工」
販売名コード
販売名英字表記
Dalteparin Na I. V. Injection
販売名ひらがな
だるてぱりんNaじょうちゅう5000たんい/5mL「にちいこう」
承認番号等
販売開始年月
貯法、有効期間
規制区分
一般的名称
ダルテパリンナトリウム注射液
禁忌(次の患者には投与しないこと)
組成・性状
組成
ダルテパリンNa静注5000単位/5mL「日医工」
有効成分 | 1バイアル(5mL)中 ダルテパリンナトリウム(ブタ小腸粘膜由来) 5,000低分子ヘパリン国際単位 (抗第Xa因子活性) |
---|
添加剤 | 等張化剤、pH調節剤 |
---|
製剤の性状
ダルテパリンNa静注5000単位/5mL「日医工」
pH | 5.0~7.5 |
---|
浸透圧比 | 約1(生理食塩液対比) |
---|
剤形・性状 | 無色澄明の水性注射剤 |
---|
効能又は効果
血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)
汎発性血管内血液凝固症(DIC)
用法及び用量
〈血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)〉
本剤を直接又は生理食塩液により希釈して投与する。
出血性病変又は出血傾向を有しない患者の場合
通常、成人には体外循環開始時、ダルテパリンナトリウムとして15~20国際単位/kgを回路内に単回投与し、体外循環開始後は毎時7.5~10国際単位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。
出血性病変又は出血傾向を有する患者の場合
通常、成人には体外循環開始時、ダルテパリンナトリウムとして10~15国際単位/kgを回路内に単回投与し、体外循環開始後は毎時7.5国際単位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。
〈汎発性血管内血液凝固症(DIC)〉
通常、成人にはダルテパリンナトリウムとして1日量75国際単位/kgを24時間かけて静脈内に持続投与する。
なお、症状に応じ適宜増減する。
重要な基本的注意
脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。
併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。
本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合にはプロタミンを投与する。プロタミン1mgは本剤の100国際単位の効果を抑制する。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
高度な出血症状を有する患者(汎発性血管内血液凝固症(DIC)を除く)
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。症状が悪化するおそれがある。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin-induced thrombocytopenia)の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。投与が必要な場合は、本剤投与後は血小板数を測定すること。HITがあらわれることがある。
本剤の成分又はヘパリン、他の低分子量ヘパリンに対し過敏症の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
肝機能障害患者
重篤な肝障害又はその既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、乳汁中へ移行することが確認されている。
小児等
高齢者
相互作用
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|
抗凝固剤 ヘパリンナトリウム ワルファリン等 | 出血傾向が増強するおそれがある。 | 相加的に抗凝固作用が増強される。 |
血小板凝集抑制作用を有する薬剤 アスピリン ジピリダモール等 | 出血傾向が増強するおそれがある。 | 血小板凝集抑制作用を有するため、抗凝固作用が増強される。 |
非ステロイド性消炎鎮痛薬 イブプロフェン等 | 出血傾向が増強するおそれがある。 | 血小板凝集抑制作用を有するため、抗凝固作用が増強される。 (特に腎不全のある患者) |
血栓溶解剤 ウロキナーゼ t-PA製剤等 | 出血傾向が増強するおそれがある。 | 血栓溶解作用と、本剤の抗凝固作用の相加的作用による。 |
テトラサイクリン系抗生物質 強心配糖体 ジギタリス製剤 | 本剤の作用が減弱するおそれがある。 | 機序は不明である。 |
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
ショック・アナフィラキシー(頻度不明)
呼吸困難、浮腫等を伴うアナフィラキシーがあらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
出血(0.85%)
頭蓋内出血(0.08%)、消化管出血(0.27%)、後腹膜出血(頻度不明)等の重篤な出血があらわれることがある。
血小板減少(0.01%)
血小板数を測定し、著明な減少が認められた場合には投与を中止すること。
血栓症(頻度不明)
著明な血小板減少とそれに伴う血栓症の発現が報告されている。ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の場合は、著明な血小板減少と脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓症やシャント閉塞、回路内閉塞を伴う。本剤投与後は血小板数を測定し、著明な減少や血栓症を疑わせる異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
| 0.1~5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
---|
過敏症 | | そう痒感、発熱 | 発疹 |
---|
肝臓 | ALTの上昇 | AST、Al-Pの上昇 | |
---|
消化器 | | 嘔気、食欲不振 | |
---|
皮膚 | | | 脱毛 |
---|
その他 | | | 骨粗鬆症 |
---|
適用上の注意
薬剤投与後の注意
外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。
その他の注意
臨床使用に基づく情報
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)はヘパリン-血小板第4因子複合体に対する自己抗体(HIT抗体)の出現による免疫学的機序を介した病態であり、重篤な血栓症(脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等)を伴うことがある。HIT発現時に出現するHIT抗体は100日程度で消失~低下するとの報告がある。また、投与終了数週間後に、HITが遅延して発現したとの報告もある。
本剤は未分画ヘパリンや他の低分子量ヘパリン又は合成多糖類と製造工程、分子量の分布が異なり、同一単位(抗第Xa因子活性)でも他のヘパリン類とは必ずしも互換性がないため、投与量の設定の際には本剤の用法・用量に従うこと。
非臨床試験に基づく情報
動物実験での反復投与試験(ラット)において高用量で対照薬(ヘパリン)に比べて軽度の骨多孔症がみられたとの報告がある。
薬効薬理
作用機序
ダルテパリンナトリウムの抗凝固作用は、アンチトロンビンⅢとの相互作用が主な作用と考えられる。いわゆるヘパリンの各種凝固因子に対する阻害作用は、その分子量約5,000を境に大きく異なることが確かめられている。すなわち、ヘパリンがアンチトロンビンⅢを介して抗第Xa因子作用を発揮するためには分子量が5,000あれば十分であるが、一方ヘパリンがアンチトロンビンⅢを介して抗第Ⅱa(トロンビン)因子作用を発揮するためには分子量は少なくとも5,000以上を必要とする。ダルテパリンナトリウムは平均分子量が約5,000であるため、抗凝固作用の要であると考えられる抗第Xa因子活性は従来のヘパリン(平均分子量12,000~15,000)と同等であるが、出血との相関性が示唆される活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)延長作用(抗トロンビン作用と高い相関性を示す)は弱い。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称
ダルテパリンナトリウム(Dalteparin Sodium)
分子量
数平均分子量4,400~5,600(67.0~74.0%が分子量3,000~8,000の範囲に分布)
性状
白色~帯灰褐色の粉末又は塊で、においはない。
水に溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
吸湿性である。
化学構造式
取扱い上の注意
保存剤を添加していないので、残液を保存使用しないこと。
包装
主要文献
1
Holmer E., et al.:Biochem. J. 1981;193(2):395-400
文献請求先及び問い合わせ先
製造販売業者等