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ベリナートP静注用500

血漿分画製剤(乾燥濃縮人C1‐インアクチベーター製剤)

1瓶 101325円

作成又は改訂年月

**
2019年10月改訂
(第22版)
*
2019年8月改訂

日本標準商品分類番号

876343

日本標準商品分類番号等

2011年7月
2017年3月

薬効分類名

血漿分画製剤(乾燥濃縮人C1‐インアクチベーター製剤)

承認等

販売名

ベリナートP静注用500

販売名コード

6343426F1032

承認・許可番号

22100AMX00056
Berinert P I.V.Injection 500

薬価基準収載年月

2009年3月

販売開始年月

1990年9月

貯法・使用期限等

*貯  法
凍結を避けて30℃以下で保存
*使用期限
36箇月、使用の期限は外箱に表示

規制区分

特定生物由来製品
処方箋医薬品
注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

有効成分:人C1‐インアクチベーター
1バイアル中の分量 10mL:500国際単位
備考:ヒト血液由来成分
採血国:米国、ドイツ、オーストリア
採血の区分注):非献血
添加物:グリシン
1バイアル中の分量 10mL:100mg
添加物:クエン酸ナトリウム水和物
1バイアル中の分量 10mL:30mg
添加物:塩化ナトリウム
1バイアル中の分量 10mL:85mg
本剤には溶解液として日局注射用水10mLが添付されている。
注)「献血又は非献血の区別の考え方」の項を参照。

性状

本剤は、白色ないし淡黄色の凍結乾燥製剤であり、添付の溶解液(日局注射用水10mL)全量で溶解した場合、1mL中にヒトC1‐インアクチベーター50国際単位を含有する無色ないし淡黄色の澄明な液剤となる。
pH
6.5〜7.5
浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)

特殊記載

本剤は、貴重なヒト血液を原料として製剤化したものである。原料となった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程における一定の不活化・除去処理などを実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること。(「使用上の注意」の項参照)

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

効能又は効果/用法及び用量

○遺伝性血管性浮腫の急性発作
○侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制

用法及び用量

本剤を添付の日局注射用水全量で徐々に溶解し、直接静注するか、点滴静注する。直接静注の場合は、緩徐に行う。
○遺伝性血管性浮腫の急性発作
通常、成人には1,000〜1,500国際単位を投与する。本剤投与後、数時間以内に効果の発現が認められないか、あるいは、不十分な場合には、500〜1,000国際単位を追加投与する。また、24時間後でも症状の改善が不十分な場合には、その症状に応じて繰り返し投与する。
○侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制
通常、成人には侵襲を伴う処置前の6時間以内に1,000〜1,500国際単位を投与する。

使用上の注意

慎重投与

溶血性・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。]
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。]

重要な基本的注意

[患者への説明]
本剤の使用にあたっては疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV‐1抗体及び抗HIV‐2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV及びHAVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、ヒトパルボウイルスB19についてもNATによるスクリーニングを実施し、適合した血漿を用いている。
その後の製造工程である60℃、10時間液状加熱処理及びナノフィルトレーションは、HIVをはじめとする各種ウイルス除去・不活化効果を有することが確認されているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
肝炎ウイルス等の感染症の危険性を完全に否定できないので、観察を十分に行い、肝障害があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
頻回輸注した場合、患者の血清中にC1‐インアクチベーターに対するインヒビターの発生を完全に否定できないので、観察を十分に行うこと。
侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制を目的として本剤を投与する場合、処置中及び処置後も患者の状態を慎重に観察するとともに、発作に備え適切な対応がとれるよう体制を整えておくこと。

副作用

副作用等発現状況の概要

遺伝性血管性浮腫の急性発作治療を対象とした国内での臨床試験において、総投与例7例中、本剤との因果関係が疑われる副作用は認められなかった。また、本剤に起因すると思われる臨床検査値異常も認められなかった。1,2)なお、国外では過敏症が2例報告されている。(承認時)
遺伝性血管性浮腫の急性発作治療を対象とした市販後の使用成績調査において、77例中2例にALT(GPT)、Al‐Pの上昇各2件、AST(GOT)、γ‐GTPの上昇、好酸球増多各1件が報告された。(再審査終了時)

重大な副作用

ショック、アナフィラキシー
頻度不明
ショック、アナフィラキシーがあらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、頻脈、血圧上昇、血圧低下、潮紅、蕁麻疹、呼吸困難、頭痛、めまい、悪心等が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、アナフィラキシーは遺伝性血管性浮腫の発作と同様の症状を示すため、観察を十分に行うこと。

その他の副作用

過敏症
頻度不明
発疹、発熱、発赤等
投与部位
頻度不明
注射部位反応

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。

適用上の注意

調製時
溶解時に著しい沈殿の認められるものは投与しないこと。
他剤との混合注射は避けることが望ましい。
本剤は溶解後ただちに使用すること。
一部を使用した残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。

その他の注意

海外において、体外循環下の心臓外科手術の前後でのCapillary Leak Syndrome(毛細血管漏出症候群)を予防又は治療するために本剤を投与した場合において、致死的な血栓症を発現したとの報告がある。(承認外用法・用量)

薬物動態

遺伝性血管性浮腫患者に本剤を投与したときの最高血中濃度到達時間、血中半減期、回収率、上昇率は以下のとおりである(外国人データ)。3)

薬物動態の表

    18歳未満(6例) 18歳以上(19例)
投与量(国際単位/kg) 平均±標準偏差 16.2±4.9 15.2±3.3
最高血中濃度到達時間(hr) 中央値(範囲) 0.6(0.1−2.0) 1.0(0.3−32.0)
血中半減期(hr) 中央値(範囲) 32.9(7.3−70.5) 39.1(19.4−90.4)
回収率(%)注1) 中央値(範囲) 98.2(69.2−106.8) 74.8(57.2−195.9)
上昇率(%/国際単位/kg)注2) 中央値(範囲) 2.2(1.7−2.6) 2.0(1.5−5.1)
注1)理論的上昇期待値に対する実測上昇値の百分率
注2)投与後のC1‐インアクチベーター活性が最高に達した時点の上昇率

臨床成績

遺伝性血管性浮腫患者のうち急性発作を発症した患者3例に1,000〜2,500国際単位を投与した臨床試験において、全症例とも有効以上であった。1,2)

薬効薬理

C1‐インアクチベーターの作用
C1‐インアクチベーターは分子量105kDaの糖蛋白で、補体成分C1r及びC1sの他、血液凝固・線溶系の第XIIa因子、第XIa因子、プラスミン及びカリクレインに対して阻止作用を有する。C1‐インアクチベーターは、1対1のモル比で前述の活性物質と複合体を形成することによって、その活性を阻害する。4〜6)

取扱い上の注意

本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号(ロット番号)、投与又は処方した日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、使用日から少なくとも20年間保存すること。

包装

500国際単位1バイアル
(日局注射用水 10mL×1バイアル、薬液用両刃針添付)

主要文献及び文献請求先

主要文献

1
児玉順三 他:診療と新薬, 24(10), 2041, 1987
2
笹田昌孝 他:産婦人科の進歩, 42(1), 124, 1990
3
Martinez‐Saguer, I., et al.:Transfusion, 50(2), 354, 2010
4
Agostoni, A., et al.:J. Allergy Clin. Immunol., 114(3), S51, 2004
5
Cicardi, M., et al.:Springer Semin. Immun., 27(3), 286, 2005
6
Davis III, A.E., et al.:Mol. Immunol., 45(16), 4057, 2008

文献請求先

CSLベーリング株式会社 くすり相談窓口
**〒107‐0061 東京都港区北青山一丁目2番3号
0120‐534‐587

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

**製造販売(輸入)
CSLベーリング株式会社
東京都港区北青山一丁目2番3号

その他の説明(付属機器の取り扱い等)

献血又は非献血の区別の考え方
献血又は非献血の区別は製剤の安全性の優劣を示すものではありません。この表示区別は、下記の手順に従って決められています。

[ベリナートP静注用500の使用方法]
1
薬剤バイアル及び溶解液バイアルを室温に戻す。両バイアルのプラスチックキャップをはずし、ゴム栓をアルコール綿等で消毒する。
2
溶解器(薬液用両刃針)のシールを完全にはがして開封する。ブリスター包装から取り出さないこと。(図1)

3
溶解液バイアルを水平の台に置き、しっかりと握る。溶解器をブリスター包装に入れたままの状態で取り、青色側アダプターの穿刺部を、溶解液バイアルのゴム栓にまっすぐ下向きに刺しこむ。(図2)

4
ブリスター包装の縁をつかみ、ブリスター包装のみを垂直に引き上げ、溶解器から慎重に取り外す。このとき、溶解器を一緒に引き上げないよう注意する。(図3)

5
薬剤バイアルを水平の台に置き、しっかりと握る。溶解器を付けた溶解液バイアルを逆さまにして、バイアル全体をしっかりと握り、溶解器の透明側アダプターの穿刺部を薬剤バイアルのゴム栓にまっすぐ下向きに刺し込む。このとき溶解液が薬剤バイアル中に移行します。(図4)

6
片手で青色の部分をつかみ、もう片方の手で透明な部分をつかみ、慎重に回して二つに分ける。(図5)

7
透明な部分を付けたまま、薬剤バイアルを泡立てないように緩やかに揺り動かして完全に溶解する。バイアルを振らないこと。(図6)

8
空の滅菌済注射器に空気を吸い込む。薬剤バイアルが直立した状態で、注射器を溶解器のルアーロックに接続し、薬剤バイアルの中に空気を注入する。(図7)

9
注射器のプランジャーを押したまま、薬剤バイアルごと全体を上下逆さまにして、プランジャーをゆっくりと引っ張りながら、薬液を注射器の中に吸引する。(図8)

10
薬液が注射器の中に移行したら、注射器のプランジャーを下向きにしたままの状態で、溶解器を注射器から取り外す。(図9)

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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