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閲覧履歴

ベルケイド注射用3mg

抗悪性腫瘍剤(プロテアソーム阻害剤)

1瓶 83096円

添付文書番号

4291412D1024_1_21

企業コード

800155

作成又は改訂年月

2022年7月改訂
(第2版)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤(プロテアソーム阻害剤)

承認等

販売名

ベルケイド注射用3mg

販売名コード

4291412D1024

販売名英字表記

VELCADE Injection

販売名ひらがな

べるけいどちゅうしゃよう3mg

承認番号等

承認番号
21800AMX10868000

販売開始年月

2006年12月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
36ヵ月

規制区分

毒薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ボルテゾミブ

警告

  1. 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍又は全身性ALアミロイドーシスの治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
  2. 治療初期は入院環境で医師の管理下にて適切な処置を行うこと。
  3. 国内の臨床試験において、本剤との因果関係の否定できない肺障害(間質性肺炎)による死亡例が認められている。海外ではまれであるが、国内では本剤との因果関係の否定できない肺障害(間質性肺炎、肺水腫、急性呼吸窮迫症候群、胸水等)がより高頻度に発生する可能性があるため、特に以下の事項に十分注意すること。
    1. 本剤による治療を開始するにあたり、胸部X線検査、胸部CT検査等を実施し、異常の有無を確認した上で、治療開始の可否を慎重に判断すること。
    2. 本剤による治療中及び治療後、特に治療開始後早期は、息切れ、呼吸困難、咳、発熱等の自覚症状や、胸部聴診所見、呼吸数等での異常の有無を慎重に観察すること。必要に応じて動脈血酸素飽和度や胸部CT検査等を適切に実施し、経過を観察すること。本剤による肺障害が疑われた場合には、投与中止も含め適切な処置を行うこと。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

ボルテゾミブ、マンニトール又はホウ素に対して過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

ベルケイド注射用3mg
有効成分
(1バイアル中)
ボルテゾミブ  3mg含有
添加剤
D-マンニトール30mg

製剤の性状

ベルケイド注射用3mg
剤形凍結乾燥注射剤
色・性状
白色~微黄白色の塊又は粉末
pH
4.0~7.0
(本剤1バイアルを生理食塩液3mL又は1.2mLに溶解したとき)

効能又は効果

  • 多発性骨髄腫
  • マントル細胞リンパ腫
  • 原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫
  • 全身性ALアミロイドーシス

効能又は効果に関連する注意

〈多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫及び全身性ALアミロイドーシス〉
「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

用法及び用量

〈多発性骨髄腫〉
通常、成人に1日1回、ボルテゾミブとして1.3mg/m2(体表面積)を以下のA法又はB法で静脈内投与又は皮下投与する。本剤は最低72時間空けて投与すること。
A法:
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、週2回、2週間(1、4、8、11日目)投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、2又は8サイクルまで投与を繰り返す。3又は9サイクル以降は、週1回、2週間(1、8日目)投与し、13日間休薬(9~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、18サイクルまで投与を繰り返す。週1回投与への移行時期は併用する抗悪性腫瘍剤を考慮して選択すること。
B法(再発又は難治性の場合に限る):
週2回、2週間(1、4、8、11日目)投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。
8サイクルを超えて継続投与する場合には上記の用法・用量で投与を継続するか、又は維持療法として週1回、4週間(1、8、15、22日目)投与した後、13日間休薬(23~35日目)する。この5週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。
〈マントル細胞リンパ腫〉
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人に1日1回、ボルテゾミブとして1.3mg/m2(体表面積)を1、4、8、11日目に静脈内投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、6サイクルまで(6サイクル目に初めて奏効が認められた場合は8サイクルまで)投与を繰り返す。本剤は最低72時間空けて投与すること。なお、静脈内投与が困難な場合には、皮下投与することもできる。
〈原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫〉
通常、成人に1日1回、ボルテゾミブとして1.3mg/m2(体表面積)を1、4、8、11日目に静脈内投与又は皮下投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。本剤は最低72時間空けて投与すること。
〈全身性ALアミロイドーシス〉
他の薬剤との併用において、通常、成人に1日1回、ボルテゾミブとして1.3mg/m2(体表面積)を1、8、15、22日目に皮下投与する。28日間を1サイクルとし、6サイクルまで投与を繰り返す。注射部位反応が発現した場合には、静脈内投与することもできる。

用法及び用量に関連する注意

〈効能共通〉
  1. 本剤の投与については、以下の記載に従って、適切に減量、休薬又は投与中止の判断を行うこと。
    1. 多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症、リンパ形質細胞リンパ腫及び全身性ALアミロイドーシス
      • Grade 3/4の副作用の場合(末梢性ニューロパチー又は神経障害性疼痛を除く)
        Grade 3以上の非血液毒性(末梢性ニューロパチー・神経障害性疼痛を除く)又はGrade 4の血液毒性に該当する副作用が発現した場合は、回復するまで休薬する。投与を再開する場合には、本剤の投与による有益性と危険性を慎重に検討した上で、下表を目安として減量等を考慮する。副作用が回復しない場合又は最低投与量(0.7mg/m2)でも再発する場合は、本剤の投与中止を考慮する。
        Grade 3/4の副作用(末梢性ニューロパチー又は神経障害性疼痛を除く)に対する減量の目安
        副作用発現時の投与量
        減量の目安
        1.3mg/m2
        1.0mg/m2
        1.0mg/m2
        0.7mg/m2
        0.7mg/m2
        投与中止
      • 末梢性ニューロパチー又は神経障害性疼痛について
        本剤に起因すると考えられる末梢性ニューロパチー又は神経障害性疼痛が発現した場合は、以下に示す用法及び用量変更の目安に従って減量、休薬又は中止すること。
        末梢性ニューロパチー又は神経障害性疼痛に対する用法及び用量変更の目安
        NCI-CTCAE Grade(症状)
        用法及び用量変更の目安
        疼痛又は機能消失を伴わないGrade 1
        (症状がない;深部腱反射の低下又は知覚異常)
        なし
        疼痛を伴うGrade 1又はGrade 2(中等度の症状がある;身の回り以外の日常生活動作の制限)
        1.3mg/m2の場合1.0mg/m2へ減量又は1.0mg/m2の場合0.7mg/m2へ減量
        疼痛を伴うGrade 2又はGrade 3
        (高度の症状がある;身の回りの日常生活動作の制限)
        回復するまで休薬。症状が回復した場合は、0.7mg/m2に減量した上で週1回投与に変更
        Grade 4(生命を脅かす;緊急処置を要する)
        投与中止
    2. マントル細胞リンパ腫
      新たなサイクルを開始する前に以下を確認すること。
      • 血小板数が100,000/µL以上、好中球数が1,500/µL以上及びヘモグロビン値が8g/dL以上であること。
      • 非血液毒性がGrade 1又は投与前値に回復していること。
        副作用発現時の用法及び用量変更の目安
        副作用
        用法及び用量変更の目安
        発熱を伴うGrade 3以上の好中球減少症、7日間を超えて持続するGrade 4の好中球減少症、血小板数10,000/µL未満が発現した場合
        好中球数が750/µL以上、血小板数が25,000/µL以上に回復するまで最長2週間本剤を休薬する。
        • 本剤休薬後も副作用が上記の基準まで回復しない場合には、本剤の投与を中止すること。
        • 副作用が上記の基準まで回復した場合には、本剤の投与量を1段階減量して投与する。(1.3mg/m2の場合1.0mg/m2へ減量、1.0mg/m2の場合0.7mg/m2へ減量)
        本剤投与日(各サイクルの第1日目以外)に血小板数が25,000/µL未満又は好中球数が750/µL未満の場合
        本剤の投与を最長2日間延期し、2日を越える延期を要する場合は本剤を休薬する。
        Grade 3以上の非血液毒性が発現した場合(末梢性ニューロパチー又は神経障害性疼痛を除く)
        Grade 2以下に回復するまで本剤を休薬する。回復した場合は本剤の投与量を1段階減量して投与する。(1.3mg/m2の場合1.0mg/m2へ減量、1.0mg/m2の場合0.7mg/m2へ減量)
        末梢性ニューロパチー又は神経障害性疼痛が発現した場合
        「7.1.1 末梢性ニューロパチー又は神経障害性疼痛について」に従うこと。
        ※NCI-CTCAE v4.0
〈多発性骨髄腫〉
  1. 未治療の多発性骨髄腫に対し、本剤単独投与での有効性及び安全性は確立していない。
  2. 週1回投与への移行時期、本剤と併用する抗悪性腫瘍剤等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知した上で選択すること。
〈マントル細胞リンパ腫〉
  1. 本剤単独投与での有効性及び安全性は確立していない。
  2. 本剤を含むがん化学療法については、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知した上で、患者の状態や化学療法歴に応じて選択をすること。
  3. 皮下投与の臨床試験成績は得られていない。
〈全身性ALアミロイドーシス〉
  1. 本剤単独投与での有効性及び安全性は確立していない。
  2. 本剤と併用する薬剤等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知した上で選択すること。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 肺障害があらわれることがあるので、息切れ、呼吸困難、胸水、咳、及び発熱等の自覚症状や、胸部聴診所見、呼吸数等での異常の有無を慎重に観察すること。また、必要に応じて動脈血酸素飽和度や胸部CT等の検査を適切に実施し、慎重に経過を観察すること。肺障害の危険因子は現時点では明確でないため、肺障害の既往歴のない患者においても、慎重な経過観察を行う必要がある。
  2. 心障害による死亡例、うっ血性心不全の急性発現又は増悪、心嚢液貯留、左室駆出率低下が報告されているため、心障害の既往や症状の危険因子がある場合には、患者の状態には十分に注意すること。
  3. 本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。
  4. 末梢神経障害があらわれることがあるので、灼熱感、知覚過敏、感覚減退、錯感覚、不快感、神経障害性疼痛等のニューロパチーの症状について観察すること。また、末梢性ニューロパチーが発現する可能性のある薬剤を併用する場合には注意すること。
  5. 国内臨床試験では重度の発熱性好中球減少症、好中球減少症(好中球数減少)及び貧血(ヘモグロビン減少)が認められているため、頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
  6. 本剤は血小板減少症を引き起こすことが認められている。本剤の投与前に毎回血小板数を確認すること。本剤投与により発現した血小板減少に伴う胃腸出血及び脳出血の報告例があるので、必要に応じ輸血を考慮すること。
  7. 本剤の投与により悪心、下痢、便秘及び嘔吐の発現が認められており、制吐剤又は止痢剤による処置を要することがある。脱水症状を予防するため、必要に応じ補液及び電解質補充を行うこと。本剤の投与期間中は嘔吐又は下痢がみられるため、患者には脱水症状を避ける適切な対処方法を指導すること。浮動性めまい、頭部ふらふら感又は失神発作があらわれた場合には、医師の診察を受けるよう患者を指導すること。
    また、イレウスが報告されているため、便秘を認めた患者は慎重に観察すること。
  8. 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと。
  9. 低血圧(起立性低血圧を含む)の管理には、必要に応じて降圧剤の調節、水分補給、ミネラルコルチコイド又は交感神経作動薬の投与等の支持療法を行うこと。
  10. 疲労、浮動性めまい、失神、起立性低血圧、霧視が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
  11. 腫瘍量の急激な減少に伴い、腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome)があらわれることがあるため、予防措置として、高尿酸血症治療剤の投与及び適切な水分補給等を考慮すること。急激に腫瘍量が減少した患者においては血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
〈原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫〉
  1. 本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」等)を熟読すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 間質性肺炎、肺線維症等の肺障害の既往歴のある患者
    投与前に間質性陰影を認めた患者で致死的な急性肺障害の経過をたどる例が報告されている。
  2. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性でHBc抗体陽性若しくはHBs抗体陽性の患者
    本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。
  3. 末梢性ニューロパチーの症状(足又は手のしびれ、疼痛又は灼熱感)や徴候のある患者
    本剤の投与期間中に症状が増悪(Grade 3以上を含む)するおそれがある。
  4. 失神の既往や症状がある患者、低血圧が発現する可能性のある薬剤を投与中の患者及び脱水状態にある患者
    患者の状態を十分に観察すること。低血圧(起立性低血圧を含む)が投与期間を通じ報告されている。
  5. 経口血糖降下剤を併用した糖尿病患者
    血糖値を注意深く観察し、経口血糖降下剤の用量に留意して慎重に投与すること。海外臨床試験において、低血糖及び高血糖が報告されている。

肝機能障害患者

本剤のクリアランスが低下し、副作用が強くあらわれるおそれがある。

生殖能を有する者

妊娠可能年齢にある女性においては本剤投与中及び投与終了後一定期間は避妊するよう指導すること。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、原則として投与しないこと。動物実験では、妊娠ウサギの器官形成期にボルテゾミブを0.05mg/kg(0.6mg/m2)投与したところ、有意な着床後死亡の増加とそれに伴う生存胎児数の減少が認められた。これらの生存胎児は有意な体重の減少も示した。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。海外臨床試験において、65歳以上と65歳未満の患者で安全性及び有効性に差は認められなかったが、高齢者では一般に生理機能が低下している。
なお、年齢別でのGrade 3以上の有害事象の発現頻度は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした海外第Ⅲ相試験(039試験)の本剤群においては50歳以下で64%(27/42例)、51~64歳で78%(128/165例)、65歳以上で75%(93/124例)であった。また、海外第Ⅱ相試験(024試験及び025試験)においては50歳以下で74%(29/39例)、51~65歳で80%(104/130例)、66歳以上で85%(74/87例)であった。

相互作用

ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験より、ボルテゾミブがチトクロームP450 3A4、2C19及び1A2の基質であることが示されている。本剤とCYP3A4の基質、阻害剤又は誘導剤を併用している患者においては、副作用又は効果の減弱について注意深く観察すること。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A4阻害剤
ケトコナゾール注)
ケトコナゾール(400mg/日を4日間反復経口投与)と併用したとき、ボルテゾミブのAUCは35%増加した。
これらの薬剤のCYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
CYP3A4誘導剤
リファンピシン等
リファンピシン(600mg/日を7日間反復経口投与)と併用したとき、ボルテゾミブのAUCは45%低下した。
これらの薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。
注)国内では外用剤のみ発売

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 肺障害
    間質性肺炎(0.2%、2.5%注1))、急性肺水腫(0.5%、0.4%注1))、胸水(0.1%、1.6%注1))、急性呼吸窮迫症候群(0.1%、頻度不明注1))があらわれることがある。国内の臨床試験及び市販後の報告において、本剤との因果関係の否定できない肺障害(間質性肺炎)による死亡例が認められており,、海外と比較して肺障害の発生頻度が高い可能性がある。なお、肺障害の対処方法及び可能性のあるリスク因子について臨床試験では確認されていない。急性骨髄性白血病に対し、本剤、ダウノルビシン塩酸塩及び高用量シタラビンの24時間持続点滴(2000mg/m2/日)を併用した海外の臨床試験において、本剤との因果関係を否定できない急性呼吸窮迫症候群による死亡が報告されている。
  2. 心障害
    うっ血性心不全(1.3%)、心嚢液貯留(0.1%)、心原性ショック(0.1%)、心停止(0.1%)、心肺停止(頻度不明)があらわれることがある。また、投与前の左室駆出率に異常の無い患者においても左室駆出率低下が報告されている。海外臨床試験においてQT間隔延長の報告があるが、薬剤との関連性については明らかになっていない。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした海外第Ⅲ相試験において、本剤群及びデキサメタゾン群で発現した心障害の発現頻度はそれぞれ14%及び12%であった。そのうち心不全等(急性肺水腫、心不全、うっ血性心不全、心原性ショック、肺水腫)の発現頻度はそれぞれ5%及び4%であった。
  3. 末梢神経障害
    末梢性感覚ニューロパチー(28.2%)、神経障害性疼痛(14.8%)、錯感覚(8.6%)、末梢性ニューロパチー(8.1%)、感覚減退(3.6%)、末梢性運動ニューロパチー(2.3%)、灼熱感(0.4%)があらわれることがあり、重症の感覚性ニューロパチーも報告されている。本剤の投与により、感覚障害による末梢性ニューロパチーが主に認められるが、感覚障害と運動障害が混在するニューロパチーの発現例も報告されている。末梢性ニューロパチーに加えて、起立性低血圧やイレウスを伴う重度の便秘等、一部の有害事象に自律神経ニューロパチーが関与している可能性があるが、十分な情報は得られていない。また、本剤の投与により糖尿病性ニューロパチー等の基礎疾患を悪化させる可能性がある。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした海外第Ⅲ相試験においてGrade 2以上の末梢性ニューロパチーを認めた患者では用量調整により末梢性ニューロパチーの改善あるいは回復が51%で認められた。また、海外第Ⅱ相試験においてGrade 3以上の末梢性ニューロパチーを発現した患者又はGrade 2のニューロパチーを呈し、投与を中止した患者では、末梢性ニューロパチーの改善あるいは回復が73%で認められた。
  4. ギラン・バレー症候群、脱髄性多発ニューロパチー(頻度不明)
  5. 骨髄抑制
    血小板減少(39.0%)、好中球減少(34.8%)、貧血(21.9%)、白血球減少(17.9%)、リンパ球減少(10.9%)、発熱性好中球減少症(2.8%)、汎血球減少(0.1%)があらわれることがある。骨髄機能が抑制された結果、感染症(敗血症性ショック等)や出血等の重篤な副作用が発現することがある。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした海外第Ⅲ相試験における重症の出血(Grade 3以上)の発現率は本剤群で4%、デキサメタゾン群で5%であった。血小板数は各サイクルの11日目に最低値に達し、通常は次サイクル開始前までに回復した。血小板数の減少と回復のパターンは週2回投与の8サイクルにわたり一貫しており、蓄積性の血小板減少症は認められなかった。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした海外第Ⅲ相試験において血小板数の最低値の平均は、投与開始前の約40%であった。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした海外第Ⅲ相試験における投与開始前の血小板数と血小板減少症の重症度との関係を以下の表に示す。
    再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした海外第Ⅲ相試験における投与開始前の血小板数と血小板減少症の重症度との関係
    投与開始前の
    血小板数注2)
    患者数
    (n=331)注3)
    10,000/µL未満の
    患者数(%)
    10,000~25,000/µLの
    患者数(%)
    75,000/µL以上
    309
    8(3%)
    36(12%)
    50,000/µL以上
    75,000/µL未満
    14
    2(14%)
    11(79%)
    10,000/µL以上
    50,000/µL未満
    7
    1(14%)
    5(71%)
    注2)投与開始前の血小板数として50,000/µL以上を臨床試験の選択基準とした。
    注3)投与開始前のデータが1例で不明
  6. イレウス(0.7%)
    食欲不振、嘔吐、便秘、腹部膨満感等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
  7. 肝機能障害
    ASTの増加(0.7%)、ALTの増加(0.7%)、γ-GTPの増加(0.6%)、ALPの増加(0.5%)及び血中ビリルビンの増加(0.6%)等を伴う肝機能障害(B型肝炎ウイルスの再活性化によるものを含む)があらわれることがある。
  8. 低血圧
    低血圧(3.0%)、起立性低血圧(2.2%)があらわれることがある。低血圧の機序は不明であるが、一部は自律神経ニューロパチーが関与している可能性がある。
  9. 腫瘍崩壊症候群(0.3%)
  10. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)
  11. 発熱(12.4%)
    本剤の投与日から翌日にかけて高頻度にGrade 1~2の薬剤性の発熱があらわれることがあるので、患者の状態を観察し、必要に応じて解熱剤等による処置を考慮すること。また発熱が持続する場合や呼吸器症状を伴う場合には、肺障害の可能性について注意すること。
  12. 可逆性後白質脳症症候群(頻度不明)
    痙攣、血圧上昇、頭痛、意識障害、錯乱、視覚障害等があらわれることがある。
  13. 進行性多巣性白質脳症(頻度不明)
    本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注1)日本人における発現率(多発性骨髄腫を対象とした静脈内投与における国内臨床試験、特定使用成績調査及び使用成績調査、並びにマントル細胞リンパ腫、多発性骨髄腫及び全身性ALアミロイドーシスを対象とした国際共同試験(日本人症例のみ)の集計)

その他の副作用

10%以上
10%未満5%以上
5%未満
頻度不明
感染症
感染
帯状疱疹、肺炎
単純ヘルペス、鼻咽頭炎、敗血症、口腔カンジダ症、麦粒腫、感染性腸炎、膀胱炎、中耳炎、蜂巣炎、毛包炎
気管支肺炎、白癬感染、外耳炎
血液
出血、白血球数増加、好中球数増加、単球数増加
免疫系障害
過敏症
代謝・栄養
食欲不振
体重減少、脱水、高血糖、高尿酸血症、低アルブミン血症、低血糖症、高アミラーゼ血症
高コレステロール血症
電解質
低カリウム血症、低ナトリウム血症、高カリウム血症、高カルシウム血症
高ナトリウム血症
精神神経系
頭痛、不眠症
浮動性めまい、うつ病、失神、味覚異常、嗜眠、神経痛、不安、痙攣、傾眠、体位性めまい
嗅覚錯誤
霧視、結膜炎、眼瞼炎、眼部腫脹、ドライアイ、霰粒腫
角膜びらん、眼瞼出血、後天性涙腺炎、視力障害
循環器
高血圧、心房細動、動悸、頻脈、期外収縮、不整脈、心房粗動、徐脈
心電図QT延長
呼吸器
呼吸困難、咳嗽、鼻出血、咽喉頭疼痛、鼻漏、肺高血圧症
喀血、上気道の炎症、咽頭不快感、無気肺、胸膜炎、気胸
消化器
下痢、悪心、便秘、嘔吐
腹痛
消化不良、口内炎、腹部膨満、胃炎、鼓腸、胃腸出血、歯肉炎、嚥下障害、胃食道逆流、腸炎、過敏性腸症候群、歯周炎、レッチング、舌潰瘍、おくび、齲歯
口唇炎、耳下腺腫大
肝臓
肝機能異常
肝障害
皮膚
発疹
そう痒症、脱毛症、紅斑、多汗症、蕁麻疹、点状出血、顔面腫脹、紫斑、多形紅斑、薬疹、紅色汗疹、皮膚出血
好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群)、丘疹、水疱性皮膚炎
筋骨格
筋骨格痛
筋痙縮、筋痛、筋力低下、骨痛、筋骨格硬直、関節炎
腎臓・泌尿器
腎機能障害、排尿障害(尿閉、神経因性膀胱等)、尿中血陽性
蛋白尿、β2ミクログロブリン増加、尿沈渣異常
全身
疲労、無力症
浮腫
悪寒、疼痛、倦怠感、口渇、胸痛、顔面浮腫
その他
注射部位反応、静脈炎、潮紅、血中クレアチニン増加、総蛋白減少、ほてり、PO2低下、末梢冷感、血中重炭酸塩減少、血中尿酸減少
LDH増加、CRP増加、腫瘍熱、PO2上昇、血中クレアチニン減少、総蛋白増加、血中重炭酸塩増加

過量投与

  1. 徴候、症状
    推奨用量の2倍を超えた過量投与により、致命的な転帰を伴う急性の症候性低血圧及び血小板減少症が報告されている。

適用上の注意

薬剤調製時の注意
  1. 静脈内投与
    1バイアルを日局生理食塩液3.0mLで溶解して使用すること。
  2. 皮下投与
    1バイアルを日局生理食塩液1.2mLで溶解して使用すること。
    注射液の調製法
    投与経路
    ボルテゾミブ
    (mg/バイアル)
    日局生理食塩液
    ボルテゾミブ
    最終濃度
    静脈内投与
    3.0mg
    3.0mL
    1.0mg/mL
    皮下投与
    3.0mg
    1.2mL
    2.5mg/mL
  3. 本剤の取り扱い及び調製にあたっては、手袋を使用するなど慎重に行うこと。本剤が皮膚又は粘膜に触れた場合には、直ちに石鹸でよく洗うこと。
薬剤投与時の注意
本剤のバイアルは1回使い切りである。溶解後は8時間以内に使用すること。バイアル中の未使用残液は適切に廃棄すること。
  1. 静脈内投与
    他の薬剤の混入を避けるため、本剤投与のためのルートを留置して実施すること。他の薬剤が投与されているルートを用いての投与は行わないこと。また、延長チューブを使用した際は、投与後速やかに日局生理食塩液でフラッシングを行うこと。
  2. 皮下投与
    繰り返し皮下投与する場合には、左右の大腿部、腹部等に交互に投与するなど同一注射部位を避けること。

その他の注意

非臨床試験に基づく情報
  1. 動物(サル及びイヌ)を用いた試験において、ボルテゾミブを体表面積換算で臨床推奨用量の約2~3倍量を静脈内投与することにより、心拍数増加、心筋収縮力減弱及び低血圧が認められ、死に至った。この心筋収縮力減弱及び低血圧の状態においても、陽性変力作用を示す薬剤あるいは昇圧剤投与に対する反応は認められた。イヌの試験において、致死用量ではQTc間隔の軽度な延長が認められた。
  2. 動物実験(ラット)において、0.20及び0.15mg/kg(1.20及び0.90mg/m2)群で精巣-精上皮の変性/萎縮及び低用量から卵巣黄体の単細胞壊死が認められた。
  3. チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いたin vitro染色体異常試験で、評価を行った最低用量である3.125µg/mL以上で染色体異常誘発性(構造的染色体異常)を示した。

薬物動態

血中濃度

  1. 単独投与
    再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に、本剤0.7、1.0又は1.3mg/m2(各n=3、6又は5~7)を単独で、1日1回、週2回、2週間(1、4、8、11日目)静脈内投与したときの1日目及び11日目における血漿中ボルテゾミブ濃度を検討した。
    各用量群の血漿中濃度推移は類似しており、速やかな分布相とそれに続く緩やかな長い消失相を特徴とする二相性の低下を示した。また、最終消失相における分布容積(Vz)より、ボルテゾミブの組織移行性が良好であることが示唆された。投与日間での比較の結果、1日目と比較し、11日目において、消失半減期(t1/2)の延長、全身クリアランス(CL)の低下が各用量群で見られた。このことに伴い、投与終了時の血漿中濃度(C0)並びに血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)も1日目より11日目で高値を示した。一方、用量間での比較の結果、C0に用量相関性は認められなかったが、AUCに関しては各試験日において、個体間でのばらつきは大きいが、用量相関性が認められた。,
    再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に本剤を0.7、1.0又は1.3mg/m2で静脈内投与したときの各試験日における血漿中ボルテゾミブの薬物動態パラメータ(解析法:ノンコンパートメントモデル)
    薬物動態
    パラメータ
    試験日
    0.7mg/m2(n=3)
    1.0mg/m2(n=6)
    1.3mg/m2(n=5~7)注)
    平均値
    SD
    平均値
    SD
    平均値
    SD
    C0(ng/mL)
    1
    73.75
    7.89
    144.92
    179.31
    185.84
    57.65
    11
    130.68
    71.97
    147.19
    72.33
    187.03
    54.31
    AUC(ng・hr/mL)
    1
    14.04
    0.70
    28.58
    24.86
    46.50
    19.89
    11
    112.01
    47.74
    108.39
    52.32
    186.60
    49.79
    t1/2(hr)
    1
    3.31
    0.88
    6.81
    8.81
    16.11
    20.75
    11
    64.59
    30.29
    32.46
    12.91
    57.39
    24.92
    CL(L/hr)
    1
    83.35
    10.52
    105.41
    75.66
    51.97
    18.99
    11
    11.77
    4.67
    19.63
    14.50
    12.10
    3.73
    Vz(L)
    1
    406.92
    154.03
    520.08
    349.87
    894.41
    682.35
    11
    978.51
    263.13
    731.69
    242.35
    957.81
    350.40
    注)1日目:n=7、11日目:n=5
    再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に本剤を0.7、1.0又は1.3mg/m2で静脈内投与したときの各試験日における血漿中ボルテゾミブ濃度推移(平均値+SD)
  2. 単独又は併用投与
    造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者に、本剤0.7、1.0又は1.3mg/m2(各n=6、5~6又は3~4)を単独又はメルファラン及びプレドニゾロン併用で静脈内投与したときの血漿中ボルテゾミブ濃度を検討した。その結果、血漿中ボルテゾミブの薬物動態は本剤単独投与時とメルファラン及びプレドニゾロン併用で大きく異ならなかった。
    造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者に本剤0.7、1.0又は1.3mg/m2を単独(B)又はメルファラン及びプレドニゾロン併用(VMP)で静脈内投与したときの血漿中ボルテゾミブ濃度推移(平均値+SD)
    造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者に本剤0.7、1.0又は1.3mg/m2を単独又はメルファラン及びプレドニゾロン併用で静脈内投与したときの血漿中ボルテゾミブの薬物動態パラメータ(解析法:ノンコンパートメントモデル)
    薬物動態
    パラメータ
    投与法
    0.7mg/m2(n=6)
    1.0mg/m2(n=5~6)注1)
    1.3mg/m2(n=3~4)注2)
    平均値
    SD
    平均値
    SD
    平均値
    SD
    C0.08h
    (ng/mL)
    単独
    45.43
    10.09
    59.42
    18.89
    120.3
    24.53
    併用
    34.40
    5.799
    69.50
    19.46
    88.87
    19.57
    AUClast
    (ng・hr/mL)
    単独
    28.82
    14.64
    62.56
    24.80
    115.0
    28.67
    併用
    26.69
    12.87
    82.77
    13.83
    75.59
    20.43
    注1)本剤単独投与時:n=6、メルファラン及びプレドニゾロン併用時:n=5
    注2)本剤単独投与時:n=4、メルファラン及びプレドニゾロン併用時:n=3
  3. 単独投与
    前治療歴のある多発性骨髄腫患者に、本剤1.3mg/m2を単独で、1日1回、週2回、2週間(1、4、8、11日目)皮下投与(n=17)及び静脈内投与(n=14)したとき11日目における血漿中ボルテゾミブ濃度を検討した。その結果、本剤皮下投与時のCmaxは静脈内投与時の約1/10であったが、AUClastは両投与間で大きく異ならなかった。(外国人データ)
    前治療歴のある多発性骨髄腫患者に本剤1.3mg/m2を皮下投与及び静脈内投与したときの血漿中ボルテゾミブの薬物動態パラメータ(解析法:ノンコンパートメントモデル)
    薬物動態
    パラメータ
    皮下投与(n=17)
    静脈内投与(n=14)
    平均値
    SD
    平均値
    SD
    Cmax(ng/mL)
    20.4
    8.87
    223
    101
    tmax(hr)注)
    0.50
    (0.08~1.00)
    0.03
    (0.03~0.08)
    AUClast(ng・hr/mL)
    155
    56.8
    151
    42.9
    注)中央値(最小値~最大値)

吸収

  1. 血漿蛋白結合率
    ヒトにおけるボルテゾミブの血漿蛋白結合率は78.9~85.7%であった(in vitro、限外ろ過法、10~1000ng/mL)。

代謝

ヒトにおけるボルテゾミブの主な代謝経路は脱ホウ素化であり、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験より、ボルテゾミブが主にチトクロームP450 3A4、2C19及び1A2の基質であることが示されている。チトクロームP450 2D6及び2C9の寄与は小さい。また、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験より、ボルテゾミブによるチトクロームP450 1A2、2C9、2D6及び3A4への阻害能は弱いが(IC50=>30µmol/L、>11.5µg/mL)、チトクロームP450 2C19に対する阻害能(IC50=18µmol/L、6.9µg/mL)が示されているため、本酵素の基質である薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。初代培養ヒト肝細胞を用いたin vitro試験より、ボルテゾミブによるチトクロームP450 1A2及び3A4の明確な誘導能は認められなかった。
代謝物の活性の有無:脱ホウ素化された代謝物は活性を示さない。,

排泄

ヒトにおけるボルテゾミブの排泄経路は特定されていない。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害
    クレアチニンクリアランス値(CrCL)で分類した様々な程度の腎機能を有する患者を対象に、本剤の薬物動態試験を実施した。また、透析後に本剤を投与した透析患者も本試験に組み入れた。本剤0.7~1.3mg/m2を週2回静脈内投与したときの8日目のボルテゾミブのクリアランス(CL)は以下の通りであった。(外国人データ)
    腎機能の程度別の血漿中ボルテゾミブのCL(8日目)
    腎機能の程度
    (CrCL)
    ≧60
    mL/min/1.73m2
    40~59
    mL/min/1.73m2
    20~39
    mL/min/1.73m2
    <20
    mL/min/1.73m2
    透析群
    n注)
    12
    9
    9
    3
    8
    平均値
    30.5
    29.6
    28.9
    27.7
    24.7
    SD
    10.0
    18.5
    13.5
    13.4
    10.1
    注)薬物動態評価対象例数
  2. 肝機能障害
    ビリルビン値で分類した様々な程度の肝機能を有する患者を対象に、本剤0.5~1.3mg/m2を週2回静脈内投与したときのボルテゾミブの用量で規格化したAUCは以下の通りであった。(外国人データ)
    肝機能の程度別の血漿中ボルテゾミブの用量で規格化したAUC(8日目)
    肝機能の程度
    (ビリルビン値)
    施設基準値
    以下
    施設基準値の
    >1.0~1.5倍
    施設基準値の
    >1.5~3倍
    施設基準値の
    >3倍
    n注)
    11
    9
    8
    14
    幾何平均値
    52.2
    51.9
    85.0
    83.2
    変動係数(%)
    25.7
    90.7
    26.6
    57.1
    注)薬物動態評価対象例数

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈多発性骨髄腫〉
  1. 海外第Ⅲ相比較試験(039試験)
    再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する海外第Ⅲ相比較試験(039試験)における成績概要は以下のとおりであった。
    1~3回の前治療歴を有する患者を対象とする無作為化非盲検群間比較試験の本剤群では1.3mg/m2を静脈内投与した。腫瘍増殖抑制期間(TTP)は、デキサメタゾン群の3.5ヵ月(中央値)に対して、本剤群で6.2ヵ月(中央値)であった。生存期間のハザード比は、0.57(95%信頼区間 0.40, 0.81; p<0.05)であった。なお、生存期間中央値は、全患者の本剤群で16.6ヵ月であった以外は、追跡期間が短くすべて評価不能であった。
    海外第Ⅲ相比較試験(039試験)における有効性解析の要約
    全患者
    前治療回数1回のみ
    前治療回数 >1回
    本剤
    デキサメタゾン
    本剤
    デキサメタゾン
    本剤
    デキサメタゾン
    評価項目
    n=333
    n=336
    n=132
    n=119
    n=200
    n=217
    TTP
    イベント数(%)
    147(44)
    196(58)
    55(42)
    64(54)
    92(46)
    132(61)
    中央値(月)
    (95%信頼区間)
    6.2
    (4.9, 6.9)
    3.5
    (2.9, 4.2)
    7.0
    (6.2, 8.8)
    5.6
    (3.4, 6.3)
    4.9
    (4.2, 6.3)
    2.9
    (2.8, 3.5)
    ハザード比
    (95%信頼区間)
    0.55
    (0.44, 0.69)
    0.55
    (0.38, 0.81)
    0.54
    (0.41, 0.72)
    p値注1)
    <0.0001
    0.0019
    <0.0001
    生存期間
    死亡患者数(%)
    51(15)
    84(25)
    12(9)
    24(20)
    39(20)
    60(28)
    ハザード比
    (95%信頼区間)
    0.57
    (0.40, 0.81)
    0.39
    (0.19, 0.81)
    0.65
    (0.43, 0.97)
    p値注1)
    <0.05
    <0.05
    <0.05
    注1)無作為化の層別因子により調整したLog-rank検定でのp値
    331例中324例(97.9%)に副作用が認められた。主な副作用[10%以上を記載]は、下痢[173例52.3%]、悪心[172例52.0%]、疲労[131例39.6%]、血小板減少[109例32.9%]、食欲不振[100例30.2%]、便秘[99例29.9%]、嘔吐[96例29.0%]、末梢性ニューロパチー[93例28.1%]、発熱[67例20.2%]、錯感覚[65例19.6%]、無力症[64例19.3%]、貧血[63例19.0%]、頭痛[62例18.7%]、発疹[61例18.4%]、筋骨格痛[61例18.4%]、好中球減少[59例17.8%]、腹痛[54例16.3%]、呼吸困難[42例12.7%]、感染[39例11.8%]、末梢性感覚ニューロパチー[38例11.5%]であった。
  2. 海外第Ⅲ相試験(MMY3002試験)
    造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫に対する海外第Ⅲ相試験(MMY3002試験)における成績概要は以下のとおりであった。
    造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者を対象とする無作為化非盲検群間比較試験において、メルファラン9mg/m2とprednisone60mg/m2の併用療法(MP療法)とMP療法に本剤注1)(静脈内投与)1.3mg/m2を上乗せしたMPB療法を比較した。腫瘍増殖抑制期間(TTP)は、MP群の15.0ヵ月(中央値)に対して、MPB群で20.7ヵ月(中央値)であった。生存期間は、MP群の43.1ヵ月(中央値)に対して、MPB群では未到達であった。,
    海外第Ⅲ相試験(MMY3002試験)における有効性解析の要約
    MPB
    n=344
    MP
    n=338
    TTP
    イベント数(%)
    101(29)
    152(45)
    中央値(月)(95%信頼区間)
    20.7(17.6, 24.7)
    15.0(14.1, 17.9)
    ハザード比(95%信頼区間)
    0.54(0.42, 0.70)
    p値注2)
    0.000002
    生存期間
    死亡患者数(%)
    109(32)
    148(44)
    中央値(月)(95%信頼区間)
    NE(46.2, NE)
    43.1(34.8, NE)
    ハザード比(95%信頼区間)
    0.65(0.51, 0.84)
    p値注2)
    0.00084
    注1)1サイクルを21日間として、本剤1.3mg/m2を、第1~8サイクルの第1、4、8及び11日目、第9~18サイクルの第1及び8日目に静脈内投与。
    注2)無作為化の層別因子により調整したLog-rank検定でのp値
    340例中331例(97.4%)に副作用が認められた。主な副作用[10%以上を記載]は、血小板減少[164例48.2%]、好中球減少[163例47.9%]、末梢性感覚ニューロパチー[148例43.5%]、悪心[134例39.4%]、下痢[119例35.0%]、神経障害性疼痛[117例34.4%]、貧血[109例32.1%]、白血球減少[108例31.8%]、嘔吐[87例25.6%]、疲労[85例25.0%]、リンパ球減少[78例22.9%]、便秘[77例22.7%]、食欲不振[70例20.6%]、腹痛[63例18.5%]、感染[59例17.4%]、発熱[55例16.2%]、無力症[54例15.9%]、発疹[48例14.1%]、錯感覚[41例12.1%]、筋骨格痛[41例12.1%]、帯状疱疹[40例11.8%]、不眠症[35例10.3%]であった。
    :国内未承認
  3. 国際共同第Ⅲ相試験(MMY3007試験)
    造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫に対する国際共同第Ⅲ相試験(MMY3007試験)における成績概要は以下のとおりであった。
    造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者680例(日本人患者24例を含む)を対象とする無作為化非盲検群間比較試験において、本剤注1)1.3mg/m2(皮下又は静脈内投与)、メルファラン9mg/m2及びプレドニゾロン又はprednisone60mg/m2の併用療法(MPB療法)とMPB療法にダラツムマブ(遺伝子組換え)16mg/kgを上乗せしたDMPB療法を比較した。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、DMPB群では未到達、MPB群で17.9ヵ月(中央値)(95%信頼区間:16.1~19.8)であり、DMPB群で統計学的に有意な延長を示した[ハザード比:0.51、95%信頼区間:0.39~0.67、p<0.0001注2)]。

    注1)1サイクルを21日間として、本剤1.3mg/m2を、第1~2サイクルの第1、4、8及び11日目、第3~18サイクルの第1及び8日目に皮下又は静脈内投与。
    注2)無作為化の層別因子により調整したLog-rank検定でのp値
    :国内未承認

    333例(日本人11例を含む)中250例(75.1%)に副作用が認められた。主な副作用[10%以上を記載]は、血小板減少[115例34.5%]、好中球減少[104例31.2%]、末梢性感覚ニューロパチー[92例27.6%]、貧血[39例11.7%]であった。
  4. 海外第Ⅲ相試験(MMY3021試験)
    前治療歴のある多発性骨髄腫患者に対する海外第Ⅲ相試験(MMY3021試験)における成績概要は以下のとおりであった。
    1~3回の前治療歴を有する患者を対象とする無作為化非盲検非劣性試験の皮下投与群及び静脈内投与群では本剤1.3mg/m2を投与した。主要評価項目であるサイクル4までの全奏効率(ORR)は、皮下投与群、静脈内投与群ともに42%であり、非劣性が検証された。副次評価項目である腫瘍増殖抑制期間(TTP)及び1年生存率は、静脈内投与群で9.4ヵ月(中央値)及び76.7%、皮下投与群で10.4ヵ月(中央値)及び72.6%であった。
    海外第Ⅲ相試験(MMY3021試験)における有効性解析の要約
    本剤静脈内投与
    本剤皮下投与
    サイクル4までの全奏効率(ORR注1)
    評価例数
    73
    145
    全奏効例数
    31
    61
    ORR(%)
    42
    42
    p値注2)
    0.00201
    ORR比(95%信頼区間)
    0.99(0.71, 1.37)
    TTP
    評価例数
    74
    148
    中央値(月)(95%信頼区間)
    9.4(7.6, 10.6)
    10.4(8.5, 11.7)
    ハザード比(95%信頼区間)
    0.839(0.564, 1.249)
    p値注3)
    0.38657
    1年生存率(%)(95%信頼区間)
    76.7(64.1, 85.4)
    72.6(63.1, 80.0)
    注1)CR+PR
    注2)非劣性検定でのp値
    注3)無作為化の層別因子により調整したLog-rank検定でのp値
    本剤を皮下投与した症例において、147例中124例(84%)に副作用が認められた。主な副作用[10%以上を記載]は、末梢性感覚ニューロパチー[51例35%]、血小板減少[44例30%]、好中球減少[34例23%]、神経痛[34例23%]、貧血[28例19%]、下痢[28例19%]、白血球減少[26例18%]、悪心[24例16%]、発熱[18例12%]であった。なお、皮下投与による局所注射部位反応は85例(58%)に認められた。
〈マントル細胞リンパ腫〉
  1. 国際共同第Ⅲ相試験(LYM3002試験)
    造血幹細胞移植の適応とならない未治療のマントル細胞リンパ腫に対する国際共同第Ⅲ相試験(LYM3002試験)の成績概要は以下のとおりであった。
    造血幹細胞移植の適応とならない未治療のマントル細胞リンパ腫患者を対象とする無作為化非盲検群間比較試験において、リツキシマブ(遺伝子組換え)375mg/m2、シクロホスファミド750mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、ビンクリスチン1.4mg/m2及びprednisone100mg/m2の併用療法(R-CHOP療法注1))と、R-CHOP療法のビンクリスチンを本剤に置き換えたVcR-CAP療法注2)(本剤[静脈内投与]1.3mg/m2、リツキシマブ(遺伝子組換え)375mg/m2、シクロホスファミド750mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2及びprednisone100mg/m2)を比較した。無増悪生存期間(PFS)は、R-CHOP群の14.4ヵ月(中央値)に対して、VcR-CAP群で24.7ヵ月(中央値)であった。生存期間は、R-CHOP群の56.3ヵ月(中央値)に対して、VcR-CAP群では未到達であった。
    国際共同第Ⅲ相試験(LYM3002試験)における有効性解析の要約
    VcR-CAP
    n=243
    R-CHOP
    n=244
    PFS
    イベント数(%)
    133(55)
    165(68)
    中央値(月)(95%信頼区間)
    24.7(19.8, 31.8)
    14.4(12.0, 16.9)
    ハザード比(95%信頼区間)
    0.63(0.50, 0.79)
    p値注3)
    <0.001
    生存期間
    死亡患者数(%)
    71(29)
    87(36)
    中央値(月)(95%信頼区間)
    NE(56.0, NE)
    56.3(47.2, NE)
    ハザード比(95%信頼区間)
    0.80(0.59, 1.10)
    p値注3)
    0.173
    注1)21日間を1サイクルとして、リツキシマブ(遺伝子組換え)375mg/m2、シクロホスファミド750mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2及びビンクリスチン1.4mg/m2(最大2mg)を1日目に静脈内投与並びにprednisone100mg/m2を1~5日目に経口投与
    注2)21日間を1サイクルとして、本剤1.3mg/m2を1、4、8及び11日目に静脈内投与、リツキシマブ(遺伝子組換え)375mg/m2、シクロホスファミド750mg/m2及びドキソルビシン50mg/m2を1日目に静脈内投与並びにprednisone100mg/m2を1~5日目に経口投与
    注3)無作為化の層別因子により調整したLog-rank検定でのp値
    :国内未承認
    240例(日本人7例を含む)中227例(94.6%)に副作用が認められた。主な副作用[10%以上を記載]は、好中球減少[190例79.2%]、血小板減少[163例67.9%]、白血球減少[100例41.7%]、貧血[86例35.8%]、下痢[57例23.8%]、末梢性感覚ニューロパチー[52例21.7%]、リンパ球減少[48例20.0%]、悪心[44例18.3%]、疲労[42例17.5%]、便秘[41例17.1%]、発熱性好中球減少症[36例15.0%]、発熱[33例13.8%]、食欲不振[31例12.9%]、無力症[29例12.1%]、神経痛[25例10.4%]であった。
〈全身性ALアミロイドーシス〉
  1. 国際共同第Ⅲ相試験(AMY3001試験)
    未治療の全身性ALアミロイドーシスに対する国際共同第Ⅲ相試験(AMY3001試験)の成績概要は以下のとおりであった。
    未治療の全身性ALアミロイドーシス患者を対象とする無作為化非盲検群間比較試験において、本剤注1)1.3mg/m2、シクロホスファミド水和物注2)300mg/m2(無水物換算)及びデキサメタゾン注3)40mgの併用療法(CyBorD療法)とCyBorD療法にダラツムマブ(遺伝子組換え)1,800mg・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)30,000単位注4)を上乗せしたDCyBorD療法を比較した。主要評価項目である血液学的完全奏効(CR)率は、DCyBorD群では53.3%、CyBorD群では18.1%であり、DCyBorD群で統計学的に有意な改善を示した。
    国際共同第Ⅲ相試験(AMY3001試験)における有効性解析の要約
    CyBorD
    n=193
    DCyBorD
    n=195
    血液学的CR率
    CR例数(%)
    35(18.1)
    104(53.3)
    オッズ比(95%信頼区間)
    5.13(3.22, 8.16)
    p値注5)
    <0.0001
    注1)28日間を1サイクルとし、本剤1.3mg/m2を1週間間隔で6サイクルまで皮下投与。なお、本剤の投与により注射部位反応が発現した場合、静脈内投与を可とした。
    注2)28日間を1サイクルとし、シクロホスファミド水和物300mg/m2(最大500mg)(無水物換算)を1週間間隔で6サイクルまで経口又は静脈内投与。
    注3)28日間を1サイクルとし、デキサメタゾン40mgを1週間間隔で6サイクルまで経口投与。
    注4)28日間を1サイクルとし、ダラツムマブ(遺伝子組換え)として1回1,800mg(ボルヒアルロニダーゼ アルファ30,000単位を含む)を、1週間間隔(1~8週目)、2週間間隔(9~24週目)及び4週間間隔(25週目以降)で24サイクルまで皮下投与。
    注5)層別Cochran-Mantel-Haenszel検定でのp値,有意水準:0.04999
    193例(日本人15例を含む)中156例(80.8%)に副作用が認められた。主な副作用[10%以上を記載]は、末梢性感覚ニューロパチー[52例26.9%]、便秘[37例19.2%]、下痢[34例17.6%]、血小板減少[26例13.5%]、リンパ球減少[22例11.4%]、貧血[21例10.9%]、疲労[21例10.9%]、感染[20例10.4%]であった。DCyBorD群の72.5%がベースライン時に全身性ALアミロイドーシスに関連する心臓障害を有していた。心臓障害関連の有害事象は、心不全8.3%、動悸5.7%、心房細動5.7%であり、重篤又は致死的な心臓障害関連の有害事象は、心不全6.2%,心停止3.6%、心房細動2.1%であった。重篤又は致死的な心臓障害を発現した患者はベースライン時に全身性ALアミロイドーシスに関連する心臓障害を有していた。なお、臨床試験ではMayo Clinic Cardiac Staging Systemに基づく心臓病期stageIIIb(NT-proBNP>8,500pg/mL)、NYHA分類クラスIIIB又はIVの患者は除外された。

製造販売後調査等

再発又は難治性の多発性骨髄腫及び未治療の多発性骨髄腫患者を対象に本剤を静脈内投与した特定使用成績調査及び使用成績調査において、1186例中1060例(89.4%)に副作用が認められた。主な副作用[10%以上を記載]は、血小板減少[691例58.3%]、白血球減少[332例28.0%]、発熱[299例25.2%]、貧血[216例18.2%]、感覚減退[199例16.8%]、好中球減少[184例15.5%]、便秘[183例15.4%]、下痢[181例15.3%]、末梢性ニューロパチー[170例14.3%]、LDH増加[139例11.7%]、帯状疱疹[134例11.3%]、CRP増加[129例10.9%]、発疹[126例10.6%]であった。

その他

再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象に本剤を静脈内投与した国内臨床試験、及び未治療の多発性骨髄腫患者を対象にメルファラン及びプレドニゾロンとの併用で本剤を静脈内投与した国内臨床試験の安全性評価症例において、133例中133例(100%)に副作用が認められた。主な副作用[30%以上を記載]は、リンパ球減少[131例98.5%]、白血球減少[128例96.2%]、好中球減少[127例95.5%]、血小板減少[126例94.7%]、貧血[88例66.2%]、食欲不振[75例56.4%]、下痢[75例56.4%]、発疹[75例56.4%]、便秘[69例51.9%]、悪心[67例50.4%]、LDH増加[67例50.4%]、CRP増加[66例49.6%]、発熱[52例39.1%]、体重減少[52例39.1%]、末梢性ニューロパチー[52例39.1%]、低ナトリウム血症[51例38.3%]、ALP増加[51例38.3%]、倦怠感[50例37.6%]、嘔吐[47例35.3%]、肝機能異常[47例35.3%]、高血糖[44例33.1%]、高カリウム血症[41例30.8%]であった。

薬効薬理

作用機序
  1. ボルテゾミブは、腫瘍細胞のプロテアソームを阻害することにより、その増殖を抑制しアポトーシスを誘導する。
  2. ボルテゾミブは、細胞の増殖やアポトーシスを制御する転写因子NF-κBの活性化を阻害する。
  3. ボルテゾミブは、NF-κBの活性化を阻害することにより、骨髄腫細胞と骨髄ストローマ細胞の接着を阻害し、IL-6等のサイトカインの分泌を抑制し、骨髄腫細胞の増殖を抑制する,
薬理作用
  1. ボルテゾミブは、in vitro試験において、ヒト骨髄腫由来RPMI8226及びU266細胞株、ヒトマントル細胞リンパ腫由来SP53、MINO、Grant 519及びJeko-1細胞株並びに多発性骨髄腫及びマントル細胞リンパ腫患者から分離した腫瘍細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導した。また、ドキソルビシン、ミトキサントロン、メルファラン又はデキサメタゾンに耐性となった骨髄腫細胞株に対しても増殖抑制作用を示した。,
  2. ボルテゾミブは、RPMI8226細胞株を移植した担癌マウスにおいて、腫瘍の増大を抑制し、延命効果を示した,

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ボルテゾミブ(Bortezomib)
化学名
{(1R)-3-Methyl-1-[(2S)-3-phenyl-2-(pyrazine-2-carboxamido)propanamido]butyl}boronic acid
分子式
C19H25BN4O4
分子量
384.24
性状
白色~微黄白色の粉末又は塊
化学構造式
分配係数
k0=100.87(pH1~8)
k1<0.1(pH8.5以上)
(1-オクタノール/水)
溶解性
2-プロパノール又はアセトニトリルに溶けにくい。

取扱い上の注意

包装開封後もバイアルを箱に入れて遮光保存すること。

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

3mg[1バイアル]

主要文献

1
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2
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3
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4
Venkatakrishnan K, et al.:Clin Ther. 2009; 31: 2444-2458
5
Hellmann A, et al.:Clin Pharmacokinet. 2011; 50: 781-791
6
社内資料:ボルテゾミブの毒性試験(2006年10月20日承認、CTD2.6.2.4)
7
社内資料:ボルテゾミブの毒性試験(2006年10月20日承認、CTD2.6.6.3、2012年12月21日承認、CTD2.6.6.3)
8
社内資料:ボルテゾミブの染色体異常試験(2006年10月20日承認、CTD2.6.6.4)
9
Ogawa Y, et al.:Cancer Sci. 2008; 99: 140-144
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社内資料:ボルテゾミブの国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(JPN-101)(2006年10月20日承認、CTD2.7.6.2.7)
11
Moreau P, et al.:Lancet Oncol. 2011; 12: 431-440
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社内資料:ボルテゾミブの蛋白結合率の検討(2006年10月20日承認、CTD2.6.4.4)
13
社内資料:ボルテゾミブの代謝の検討(2006年10月20日承認、CTD2.6.4.5)
14
社内資料:ボルテゾミブ代謝物の活性の検討(2006年10月20日承認、CTD2.6.2)
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社内資料:腎機能障害患者におけるボルテゾミブの薬物動態試験(2006年10月20日承認、CTD2.5.3)
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社内資料:DMPB療法を検討した国際共同第Ⅲ相試験(MMY3007試験)(2019年8月22日承認、CTD 2.7.6.1)
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社内資料:全身性ALアミロイドーシス患者に対する臨床成績(AMY3001試験)
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文献請求先及び問い合わせ先

ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
フリーダイヤル 0120-183-275
https://www.janssenpro.jp

製造販売業者等

製造販売元
ヤンセンファーマ株式会社
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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