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閲覧履歴

ラベキュアパック400

ヘリコバクター・ピロリ除菌治療剤

1シート 348.9円

添付文書番号

6199102X1024_1_15

企業コード

170033

作成又は改訂年月

2022年11月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

876199

薬効分類名

ヘリコバクター・ピロリ除菌治療剤

承認等

販売名

ラベキュアパック400

販売名コード

6199102X1024

販売名英字表記

Rabecure PACK

販売名ひらがな

らべきゅあぱっく400

承認番号等

承認番号
22500AMX01533000

販売開始年月

2014年2月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
クラリスロマイシン錠

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

ラベキュアパック800

販売名コード

6199102X2020

販売名英字表記

Rabecure PACK

販売名ひらがな

らべきゅあぱっく800

承認番号等

承認番号
22500AMX01534000

販売開始年月

2014年2月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
クラリスロマイシン錠

規制区分

処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ラベプラゾールナトリウムアモキシシリン水和物クラリスロマイシン

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本製品に包装されている各製剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩、ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、スボレキサント、ロミタピドメシル酸塩、タダラフィル〔アドシルカ〕、チカグレロル、イブルチニブ、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)、ルラシドン塩酸塩、アナモレリン塩酸塩、フィネレノン、イサブコナゾニウム硫酸塩を投与中の患者
  3. 肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者
  4. 伝染性単核症の患者[アモキシシリン水和物で発疹の発現頻度を高めるおそれがある。]
  5. 高度の腎障害のある患者

組成・性状

組成

ラベキュアパック400
パリエット錠10mg
有効成分
1錠中
ラベプラゾールナトリウム  10mg
添加剤
エチルセルロース、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ、カルメロースカルシウム、グリセリン脂肪酸エステル、酸化チタン、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、D-マンニトール
サワシリン錠250
有効成分
1錠中
アモキシシリン水和物  250mg(力価)
添加剤
白糖、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、サッカリンナトリウム水和物、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、香料、デキストリン、黄色5号アルミニウムレーキ
クラリス錠200
有効成分
1錠中
クラリスロマイシン  200mg(力価)
添加剤
デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、カルナウバロウ、パラフィン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ヒプロメロース、酸化チタン、軽質無水ケイ酸
ラベキュアパック800
パリエット錠10mg
有効成分
1錠中にラベプラゾールナトリウム  10mg
添加剤
エチルセルロース、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ、カルメロースカルシウム、グリセリン脂肪酸エステル、酸化チタン、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、D-マンニトール
サワシリン錠250
有効成分
1錠中にアモキシシリン水和物  250mg(力価)
添加剤
白糖、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、サッカリンナトリウム水和物、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、香料、デキストリン、黄色5号アルミニウムレーキ
クラリス錠200
有効成分
1錠中にクラリスロマイシン  200mg(力価)
添加剤
デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、カルナウバロウ、パラフィン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ヒプロメロース、酸化チタン、軽質無水ケイ酸

製剤の性状

ラベキュアパック400
パリエット錠10mg
剤形フィルムコーティング錠
(腸溶錠)
識別コードパリエット10
外形
側面
直径(mm)
6.7
質量(mg)
132
厚さ(mm)
3.6
淡黄色
サワシリン錠250
剤形素錠
識別コード250
SAW
外形
側面
直径(mm)
約10.0
質量(mg)
約380
厚さ(mm)
約4.7
うすい
だいだい色
クラリス錠200
剤形フィルムコーティング錠
外形
側面
直径(mm)
約8.6
質量(mg)
約250
厚さ(mm)
約5.4
白色
ラベキュアパック800
パリエット錠10mg
剤形フィルムコーティング錠
(腸溶錠)
識別コードパリエット10
外形
側面
直径(mm)
6.7
質量(mg)
132
厚さ(mm)
3.6
淡黄色
サワシリン錠250
剤形素錠
識別コード250
SAW
外形
側面
直径(mm)
約10.0
質量(mg)
約380
厚さ(mm)
約4.7
うすい
だいだい色
クラリス錠200
剤形フィルムコーティング錠
外形
側面
直径(mm)
約8.6
質量(mg)
約250
厚さ(mm)
約5.4
白色

効能又は効果

〈適応菌種〉
アモキシシリン、クラリスロマイシンに感性のヘリコバクター・ピロリ
〈適応症〉
胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

効能又は効果に関連する注意

  1. ラベプラゾールナトリウムの投与が胃癌による症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確認のうえ投与すること(胃MALTリンパ腫、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助を除く)。
  2. 進行期胃MALTリンパ腫に対するヘリコバクター・ピロリ除菌治療の有効性は確立していない。
  3. 特発性血小板減少性紫斑病に対しては、ガイドライン等を参照し、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療が適切と判断される症例にのみ除菌治療を行うこと。
  4. 早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃以外には、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療による胃癌の発症抑制に対する有効性は確立していない。
  5. ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に用いる際には、ヘリコバクター・ピロリが陽性であること及び内視鏡検査によりヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であることを確認すること。

用法及び用量

通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回10mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。

重要な基本的注意

  1. 本製品に包装されている個々の製剤を単独、もしくは本製品の効能又は効果以外の目的に使用しないこと。また、用法及び用量のとおり、同時に服用すること。
    〈ラベプラゾールナトリウム〉
  2. ラベプラゾールナトリウムの投与中には、血液像や肝機能に注意し、定期的に血液学的検査・血液生化学的検査を行うことが望ましい。
    〈アモキシシリン水和物〉
  3. ショック、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群の発生を確実に予知できる方法はないが、事前に当該事象の既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質によるアレルギー歴は必ず確認すること。
  4. 顆粒球減少、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。
  5. 黄疸、AST、ALTの上昇等があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。
  6. 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。
    〈クラリスロマイシン〉
  7. 血小板減少、汎血球減少、溶血性貧血、白血球減少、無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

〈ラベプラゾールナトリウム〉
  1. 薬物過敏症の既往歴のある患者
〈アモキシシリン水和物〉
  1. ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、アモキシシリン水和物に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
  2. 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
  3. 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
    観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
〈クラリスロマイシン〉
  1. 他のマクロライド系薬剤に対して過敏症の既往歴のある患者
  2. 心疾患のある患者、低カリウム血症のある患者
    QT延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心室細動を起こすことがある。

腎機能障害患者

〈クラリスロマイシン〉
クラリスロマイシンの血中濃度が上昇するおそれがある。
  1. 腎機能障害患者でコルヒチンを投与中の患者
    投与しないこと。クラリスロマイシンとの併用によるコルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状が報告されている。
  2. 高度の腎機能障害のある患者
    投与しないこと。アモキシシリン水和物、クラリスロマイシンの血中濃度が上昇することがあり、本製品では各製剤の投与量を調節できない。

肝機能障害患者

ラベプラゾールナトリウムにおいて、肝硬変患者で肝性脳症の報告がある。
クラリスロマイシンにより肝機能障害を悪化させることがある。
  1. 肝機能障害患者でコルヒチンを投与中の患者
    投与しないこと。クラリスロマイシンとの併用によるコルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状が報告されている。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
〈ラベプラゾールナトリウム〉
  1. 動物実験(ラット経口400mg/kg、ウサギ静注30mg/kg)で胎児毒性(ラットで化骨遅延、ウサギで体重の低下、化骨遅延)が報告されている。また、ラットにラベプラゾールナトリウム(25mg/kg/日)、アモキシシリン水和物(400mg/kg/日以上)及びクラリスロマイシン(50mg/kg/日以上)を4週間併用投与した試験で、雌で栄養状態の悪化が認められている。
〈クラリスロマイシン〉
  1. 動物実験で、母動物に毒性があらわれる高用量において、胎児毒性(心血管系の異常、口蓋裂、発育遅延等)が報告されている。
    なお、国外における試験で次のような報告がある。SD系ラット(15~150mg/kg/日)及びCD-1系マウス(15~1,000mg/kg/日)において、それぞれ母動物に毒性があらわれる最高用量でラット胎児に心血管系異常並びにマウス胎児に口蓋裂が認められた。また、サル(35~70mg/kg/日)において、母動物に毒性があらわれる70mg/kg/日で9例中1例に低体重の胎児がみられたが、外表、内臓、骨格には異常は認められなかった。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
〈ラベプラゾールナトリウム〉
  1. 動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
〈アモキシシリン水和物〉
  1. 母乳中へ移行することが報告されている。
〈クラリスロマイシン〉
  1. ヒト母乳中へ移行することが報告されている。なお、動物実験(ラット)の乳汁中濃度は、血中濃度の約2.5倍で推移した。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

〈ラベプラゾールナトリウム〉
  1. 消化器症状等の副作用があらわれた場合は休薬するなど慎重に投与すること。ラベプラゾールナトリウムは主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多く、副作用があらわれることがある。
〈アモキシシリン水和物〉
  1.  
    1. 生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすい。
    2. ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
〈クラリスロマイシン〉
  1. 一般に生理機能が低下しており、高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

〈ラベプラゾールナトリウム〉
ラベプラゾールナトリウムの代謝には肝代謝酵素チトクロームP450 2C19(CYP2C19)及び3A4(CYP3A4)の関与が認められている。また、ラベプラゾールナトリウムの胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を促進又は抑制することがある。
〈クラリスロマイシン〉
クラリスロマイシンは主としてCYP3Aにより代謝される。また、クラリスロマイシンはCYP3A、P-糖蛋白質(P-gp)を阻害する,

併用禁忌(併用しないこと)

指示文
〈ラベプラゾールナトリウム〉
薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アタザナビル硫酸塩
(レイアタッツ)
アタザナビルの作用が減弱するおそれがある。
ラベプラゾールナトリウムの胃酸分泌抑制作用により、胃内pHが上昇し、アタザナビルの溶解性が低下し、アタザナビルの血中濃度が低下するおそれがある。
リルピビリン塩酸塩
(エジュラント)
リルピビリン塩酸塩の作用を減弱するおそれがある。
ラベプラゾールナトリウムの胃酸分泌抑制作用により、胃内pHが上昇し、リルピビリン塩酸塩の吸収が低下し、リルピビリンの血中濃度が低下することがある。
指示文
〈クラリスロマイシン〉
薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ピモジド
(オーラップ)
QT延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の心血管系副作用が報告されている。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン
(クリアミン)
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
血管攣縮等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
スボレキサント
(ベルソムラ)
スボレキサントの血漿中濃度が顕著に上昇し、その作用が著しく増強するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
ロミタピドメシル酸塩
(ジャクスタピッド)
ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
タダラフィル
(アドシルカ)
左記薬剤のクリアランスが高度に減少し、その作用が増強するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
チカグレロル
(ブリリンタ)
チカグレロルの血漿中濃度が著しく上昇するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
イブルチニブ
(イムブルビカ)
イブルチニブの作用が増強するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
イバブラジン塩酸塩
(コララン)
過度の徐脈があらわれることがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)
(ベネクレクスタ)
腫瘍崩壊症候群の発現が増強するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
ルラシドン塩酸塩
(ラツーダ)
ルラシドンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
アナモレリン塩酸塩
(エドルミズ)
アナモレリンの血中濃度が上昇し、副作用の発現が増強するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
フィネレノン
(ケレンディア)
フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
イサブコナゾニウム硫酸塩
(クレセンバ)
イサブコナゾールの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。

併用注意(併用に注意すること)

指示文
〈ラベプラゾールナトリウム〉
薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ジゴキシン
メチルジゴキシン
相手薬剤の血中濃度が上昇することがある。
ラベプラゾールナトリウムの胃酸分泌抑制作用により、胃内pHが上昇し、相手薬剤の吸収を促進する。
イトラコナゾール
ゲフィチニブ
相手薬剤の血中濃度が低下するおそれがある。
ラベプラゾールナトリウムの胃酸分泌抑制作用により、胃内pHが上昇し、相手薬剤の吸収を抑制するおそれがある。
水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム含有の制酸剤
ラベプラゾールナトリウム単独投与に比べ制酸剤同時服用、制酸剤投与1時間後服用で平均血漿中濃度曲線下面積がそれぞれ8%、6%低下したとの報告がある。
機序は不明である。
メトトレキサート
メトトレキサートの血中濃度が上昇することがある。高用量のメトトレキサートを投与する場合は、一時的にラベプラゾールナトリウムの投与を中止することを考慮すること。
機序は不明である。
指示文
〈アモキシシリン水和物〉
薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ワルファリンカリウム
ワルファリンカリウムの作用が増強されるおそれがある。
腸内細菌によるビタミンKの産生を抑制することがある。
経口避妊薬
経口避妊薬の効果が減弱するおそれがある。
腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられている。
プロべネシド
アモキシシリン水和物の血中濃度を増加させる。
アモキシシリン水和物の尿細管分泌を阻害し、尿中排泄を低下させると考えられている。
指示文
〈クラリスロマイシン〉
薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ジゴキシン
嘔気、嘔吐、不整脈等が報告されているので、ジゴキシンの血中濃度の推移、自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、投与量を調節する等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンの腸内細菌叢に対する影響により、ジゴキシンの不活化が抑制されるか、もしくはP-gpを介したジゴキシンの輸送が阻害されることにより、その血中濃度が上昇する。
スルホニル尿素系血糖降下剤
グリベンクラミド
グリクラジド
グリメピリド 等
低血糖(意識障害に至ることがある)が報告されているので、異常が認められた場合には、投与を中止し、ブドウ糖の投与等の適切な処置を行うこと。
機序は不明である。左記薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
カルバマゼピン
テオフィリン
アミノフィリン水和物
シクロスポリン
タクロリムス水和物
エベロリムス
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、左記薬剤の血中濃度の推移等に注意し、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
アトルバスタチンカルシウム水和物
シンバスタチン

ロバスタチン
(国内未承認)
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う横紋筋融解症が報告されているので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
腎機能障害のある患者には特に注意すること。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
コルヒチン
コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状(汎血球減少、肝機能障害、筋肉痛、腹痛、嘔吐、下痢、発熱等)が報告されているので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
ベンゾジアゼピン系薬剤
(CYP3Aで代謝される薬剤)
トリアゾラム
ミダゾラム 等
非定型抗精神病薬
(CYP3Aで代謝される薬剤)
クエチアピンフマル酸塩
アリピプラゾール
ブロナンセリン 等
ジソピラミド
トルバプタン
エプレレノン
エレトリプタン臭化水素酸塩
カルシウム拮抗剤
(CYP3Aで代謝される薬剤)
ニフェジピン
ベラパミル塩酸塩 等
リオシグアト
ジエノゲスト
ホスホジエステラーゼ5阻害剤
シルデナフィルクエン酸塩
タダラフィル
〔シアリス、ザルティア〕等
クマリン系抗凝血剤
ワルファリンカリウム
ドセタキセル水和物
アベマシクリブ
オキシコドン塩酸塩水和物
フェンタニル/フェンタニルクエン酸塩
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
なお、トルバプタンにおいては、クラリスロマイシンとの併用は避けることが望ましいとされており、やむを得ず併用する場合においては、トルバプタンの用量調節を特に考慮すること。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病)
ベネトクラクスの副作用が増強するおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
抗凝固剤
(CYP3Aで代謝され、P-gpで排出される薬剤)
アピキサバン
リバーロキサバン
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンのCYP3A及びP-gpに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝及び排出が阻害される。
(P-gpで排出される薬剤)
ダビガトランエテキシラート
エドキサバントシル酸塩水和物
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンのP-gpに対する阻害作用により、左記薬剤の排出が阻害される。
イトラコナゾール
HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビル
ロピナビル・リトナビル
ダルナビル エタノール付加物 等
クラリスロマイシンの未変化体の血中濃度上昇による作用の増強等の可能性がある。
また、イトラコナゾールの併用においては、イトラコナゾールの血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性がある。
異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンと左記薬剤のCYP3Aに対する阻害作用により、相互に代謝が阻害される。
リファブチン
エトラビリン
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性がある。
また、クラリスロマイシンの未変化体の血中濃度が低下し、活性代謝物の血中濃度が上昇し、クラリスロマイシンの作用が減弱する可能性がある。
異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
また、左記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、クラリスロマイシンの代謝が促進される。
リファンピシン
エファビレンツ
ネビラピン
クラリスロマイシンの未変化体の血中濃度が低下し、活性代謝物の血中濃度が上昇する可能性がある。クラリスロマイシンの作用が減弱する可能性があるので、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
左記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、クラリスロマイシンの代謝が促進される。
天然ケイ酸アルミニウム
クラリスロマイシンの吸収が低下するとの報告がある。
左記薬剤の吸着作用によるものと考えられる。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

〈ラベプラゾールナトリウム〉
  1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
  2. 汎血球減少(頻度不明)、無顆粒球症(頻度不明)、血小板減少(0.1%未満)、溶血性貧血(頻度不明)
  3. 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1~5%未満)、黄疸(頻度不明)
  4. 間質性肺炎(0.1%未満)
    発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線等の検査を実施し、投与を中止するとともに、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
  5. 皮膚障害(頻度不明)
    中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑等があらわれることがある。
  6. 急性腎障害(頻度不明)、間質性腎炎(頻度不明)
    腎機能検査(BUN、クレアチニン等)に注意すること。
  7. 低ナトリウム血症(頻度不明)
  8. 横紋筋融解症(頻度不明)
    筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
  9. 視力障害(頻度不明)
  10. 錯乱状態(頻度不明)
    せん妄、異常行動、失見当識、幻覚、不安、焦燥、攻撃性等があらわれることがある。
〈アモキシシリン水和物〉
  1. ショック、アナフィラキシー(各0.1%未満)
    呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等を起こすことがあるので、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  2. アレルギー反応に伴う急性冠症候群(頻度不明)
  3. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(各0.1%未満)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症、紅皮症(剥脱性皮膚炎)(いずれも頻度不明)
    発熱、頭痛、関節痛、皮膚や粘膜の紅斑・水疱、膿疱、皮膚の緊張感・灼熱感・疼痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  4. 顆粒球減少(0.1%未満)、血小板減少(頻度不明)
  5. 肝障害(頻度不明)
    黄疸(0.1%未満)、AST、ALTの上昇(各0.1%未満)等があらわれることがある。
  6. 腎障害(0.1%未満)
    急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。
  7. 大腸炎(0.1%未満)
    偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  8. 間質性肺炎、好酸球性肺炎(いずれも頻度不明)
    咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
  9. 無菌性髄膜炎(頻度不明)
    項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等を伴う無菌性髄膜炎があらわれることがある。
〈クラリスロマイシン〉
  1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
    呼吸困難、痙攣、発赤等があらわれることがある。
  2. QT延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心室細動(いずれも頻度不明)
    QT延長等の心疾患のある患者、低カリウム血症のある患者においては特に注意すること。
  3. 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全(いずれも頻度不明)
    劇症肝炎、AST、ALT、γ-GTP、LDH、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがある。
  4. 血小板減少、汎血球減少、溶血性貧血、白血球減少、無顆粒球症(いずれも頻度不明)
  5. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)
    異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
  6. PIE症候群・間質性肺炎(いずれも頻度不明)
    発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
  7. 偽膜性大腸炎、出血性大腸炎(いずれも頻度不明)
    偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  8. 横紋筋融解症(頻度不明)
    筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれることがある。横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
  9. 痙攣(頻度不明)
    痙攣(強直間代性、ミオクロヌス、意識消失発作等)があらわれることがある。
  10. 急性腎障害、尿細管間質性腎炎(いずれも頻度不明)
    乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  11. IgA血管炎(頻度不明)
  12. 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
    初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。

その他の副作用

〈胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症〉
0.1~5%未満
0.1%未満
過敏症
発疹、蕁麻疹
瘙痒感
血液
白血球減少
好酸球増多、好中球減少、リンパ球減少、リンパ球増多、血小板減少、白血球増加
肝臓
ALT、AST、γ-GTPの上昇
Al-P、LDHの上昇
循環器
動悸、血圧上昇
消化器
下痢、軟便、味覚異常、腹痛、腹部膨満感、嘔気、便秘、舌炎、胃部不快感、鼓腸放屁
口渇、口内炎、胸やけ、口唇炎、痔核、食道炎、食欲不振、腸炎
精神神経系
頭痛
めまい
その他
中性脂肪の上昇
顔面浮腫、倦怠感、舌のしびれ感、熱感、蛋白尿、眼圧上昇、手足のしびれ感、尿酸の上昇、尿糖異常、勃起増強
注)発現頻度は胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるラベプラゾールナトリウム、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与の承認時までの臨床試験及び製造販売後調査を含む。
ラベプラゾールナトリウム、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンでは、他にもそれぞれに次の副作用が認められている。
〈ラベプラゾールナトリウム〉
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹、瘙痒感
蕁麻疹
血液
白血球減少、白血球増加、好酸球増多、貧血
赤血球減少、好中球増多、リンパ球減少
肝臓
AST、ALT、Al-P、γ-GTP、LDHの上昇
総ビリルビンの上昇
循環器
血圧上昇
動悸
消化器
便秘、下痢、腹部膨満感、嘔気、口内炎
腹痛、苦味、カンジダ症、胃もたれ、口渇、食欲不振、鼓腸
舌炎、嘔吐、顕微鏡的大腸炎(collagenous colitis、lymphocytic colitis)
精神神経系
頭痛
めまい、ふらつき、眠気、四肢脱力、知覚鈍麻、握力低下、口のもつれ、失見当識
せん妄、昏睡
その他
総コレステロール・中性脂肪・BUNの上昇、蛋白尿、血中TSH増加
かすみ目、浮腫、倦怠感、発熱、脱毛症、しびれ感、CKの上昇
目のちらつき、関節痛、筋肉痛、高アンモニア血症、低マグネシウム血症、女性化乳房
注)発現頻度は製造販売後調査を含む。
〈アモキシシリン水和物〉
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹
発熱
瘙痒
血液
好酸球増多
消化器
下痢、悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛
黒毛舌
菌交代症
口内炎、カンジダ症
ビタミン
欠乏症
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他
梅毒患者において、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応(発熱、全身倦怠感、頭痛等の発現、病変部の増悪)が起こることがある。
〈クラリスロマイシン〉
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹
瘙痒感
精神神経系
めまい、頭痛
幻覚、失見当識、意識障害、せん妄、躁病、眠気、振戦、しびれ(感)、錯感覚、不眠
感覚器
味覚異常(にがみ等)
耳鳴、聴力低下、嗅覚異常
消化器
悪心、嘔吐、胃部不快感、腹部膨満感、腹痛、下痢
食欲不振、軟便、口内炎、舌炎、口渇
口腔内びらん、胸やけ、歯牙変色、舌変色
血液
好酸球増多
肝臓
AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、Al-P上昇
筋・骨格
筋肉痛
その他
倦怠感、浮腫、カンジダ症、発熱
動悸、CK上昇、脱毛、頻尿、低血糖

臨床検査結果に及ぼす影響

  1. ヘリコバクター・ピロリの除菌判定上の注意
    ラベプラゾールナトリウム等のプロトンポンプインヒビターやアモキシシリン水和物、クラリスロマイシン等の抗生物質の服用中や投与終了直後では、13C-尿素呼気試験の判定が偽陰性になる可能性があるため、13C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合は、これらの薬剤の投与終了後4週以降の時点で実施することが望ましい。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
  1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
    〈ラベプラゾールナトリウム〉
  2. 腸溶錠であり、服用にあたっては、噛んだり、砕いたりせずに、のみくだすよう注意すること。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
〈ラベプラゾールナトリウム〉
  1. ラベプラゾールナトリウムの長期投与中に良性の胃ポリープを認めたとの報告がある。
  2. 海外における複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターによる治療において骨粗鬆症に伴う股関節骨折、手関節骨折、脊椎骨折のリスク増加が報告されている。特に、高用量及び長期間(1年以上)の治療を受けた患者で、骨折のリスクが増加した。
  3. 海外における主に入院患者を対象とした複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターを投与した患者においてクロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染のリスク増加が報告されている。
非臨床試験に基づく情報
〈ラベプラゾールナトリウム〉
  1. ラットに5mg/kg以上を2年間経口投与した毒性試験において、雌で胃にカルチノイドの発生がみられたとの報告がある。
  2. 動物実験(ラット経口投与25mg/kg以上)で甲状腺重量及び血中サイロキシンの増加が報告されているので、使用にあたっては甲状腺機能に注意する。
  3. ラットに類薬であるランソプラゾール(50mg/kg/日)、アモキシシリン水和物(500mg/kg/日)及びクラリスロマイシン(160mg/kg/日)を併用投与した試験で、母動物での毒性の増強とともに胎児の発育抑制の増強が認められている。
〈アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン〉
  1. ラットにアモキシシリン水和物(2,000mg/kg/日)、ランソプラゾール(15mg/kg/日以上)を4週間併用経口投与した試験、及びイヌにアモキシシリン水和物(500mg/kg/日)、ランソプラゾール(100㎎/kg/日)、クラリスロマイシン(25mg/㎏/日)を4週間併用経口投与した試験で、アモキシシリン水和物を単独あるいは併用投与した動物に結晶尿が認められているが、結晶はアモキシシリン水和物が排尿後に析出したものであり、体内で析出したものではないことが確認されている。

薬物動態

血中濃度

  1. 反復投与
    健康成人男子にラベプラゾールナトリウム20mg注)、アモキシシリン水和物750mg(力価)、及びクラリスロマイシン400mg(力価)を1日2回7日間(計12回)反復経口投与した時のラベプラゾールナトリウム、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの薬物動態パラメータは以下のとおりである。
    ラベプラゾールナトリウム
    Cmax
    (ng/mL)
    tmax
    (hr)
    AUC0-12
    (ng・hr/mL)
    t1/2
    (hr)
    EM(n=15)
    578±293
    3.0±0.7
    934±438
    0.72±0.19
    PM(n=4)
    948±138
    2.8±0.5
    2600±474
    1.80±0.32
    (Mean±S.D.)
    ※肝代謝酵素チトクロームP450 2C19遺伝子型
    EM;extensive metabolizer PM;poor metabolizer
    注)本製品(ラベキュアパック)の承認された用法及び用量は「ラベプラゾールナトリウムとして1回10mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)を1日2回を上限とする。」である。
    アモキシシリン水和物
    Cmax
    (μg/mL)
    tmax
    (hr)
    AUC0-12
    (μg・hr/mL)
    t1/2
    (hr)
    9.86±2.79
    1.63±0.37
    25.82±5.41
    1.09±0.19
    (Mean±S.D.)
    n=19(※:n=16)
    クラリスロマイシン
    測定法
    Cmax
    (μg/mL)
    tmax
    (hr)
    AUC0-12
    (μg・hr/mL)
    t1/2
    (hr)
    成人(EM、n=15)
    400mg
    HPLC
    未変化体
    2.33
    2.4
    17.50
    6.43
    HPLC
    代謝物
    0.82
    2.6
    7.65
    9.71
    成人(PM、n=4)
    400mg
    HPLC
    未変化体
    1.99
    2.5
    14.03
    4.49
    HPLC
    代謝物
    0.95
    2.4
    8.46
    7.51
    ※肝代謝酵素チトクロームP450 2C19遺伝子型
    EM;extensive metabolizer PM;poor metabolizer

分布

  1. 乳汁中移行
    〈アモキシシリン水和物〉
    授乳婦6例にアモキシシリン水和物として500mg(力価)単回経口投与後の乳汁中移行は投与後2~6時間後でtrace~0.6μg/mLであった,

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    1. アモキシシリン単独投与時
      アモキシシリン水和物250mg(力価)を空腹時単回投与したときの最高血中濃度は腎機能正常例(2例)の3.5μg/mLに対し、慢性腎不全例(5例)では7.7μg/mLとなり、半減期はそれぞれ0.97時間、12.6時間であった。
    2. クラリスロマイシン単独投与時
      腎機能正常者と種々な程度の腎機能障害者に200mg(力価)を空腹時単回経口投与し、クレアチニンクリアランス(Ccr)とその体内動態との関係を検討した結果、腎機能の低下に伴ってCmaxの上昇、t1/2の延長及びAUCの増加が認められた(測定法:Bioassay)。
      クレアチニン
      クリアランス
      (mL/min)
      Cmax
      (μg/mL)
      tmax
      (hr)
      t1/2
      (hr)
      AUC
      (μg・hr/mL)
      Ccr≒100(n=5)
      2.02
      1.24
      2.38
      8.89
      Ccr≒ 50(n=5)
      2.15
      1.89
      5.74
      21.69
      Ccr≒ 30(n=5)
      2.55
      0.96
      4.69
      18.73
      Ccr≒ 5(n=5)
      3.54
      1.48
      6.13
      36.89
  2. 高齢者
    1. クラリスロマイシン単独投与時
      重篤な基礎疾患のない66~82歳(平均72.2歳)の女性3名に200mg(力価)を空腹時単回経口投与し、その体内動態を検討した結果、健常成人と比べるとtmax、t1/2はほぼ同様であったが、Cmax、AUCは明らかに高かった(測定法:Bioassay)。
      Cmax
      (μg/mL)
      tmax
      (hr)
      t1/2
      (hr)
      AUC
      (μg・hr/mL)
      高齢者(n=3)
      3.72
      2.3
      4.2
      19.20

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内臨床試験
    ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者を対象とした国内の臨床試験(ラベプラゾールナトリウム、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの1日2回7日間経口投与)における除菌率は下表のとおりである。
    各薬剤の1回投与量
    投与回数
    除菌率
    胃潰瘍
    十二指腸潰瘍
    ラベプラゾールナトリウム10mg
    アモキシシリン水和物750mg(力価)
    クラリスロマイシン200mg(力価)
    2回/日
    87.7%
    (57例/65例)
    83.3%
    (45例/54例)
    85.7%
    (102例/119例)
    ラベプラゾールナトリウム10mg
    アモキシシリン水和物750mg(力価)
    クラリスロマイシン400mg(力価)
    2回/日
    89.7%
    (61例/68例)
    87.8%
    (36例/41例)
    89.0%
    (97例/109例)
    なお、海外で行われたヘリコバクター・ピロリ陽性の胃・十二指腸潰瘍等に対する除菌の臨床試験注)においても、同程度の成績が得られている。
    注)各薬剤の投与量及び投与期間は下記のとおりである。
    ラベプラゾールナトリウムとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回1000mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回500mg(力価)の3剤を1日2回、7日間経口投与。
    なお、承認された用法及び用量は「ラベプラゾールナトリウムとして1回10mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)を1日2回を上限とする。」である。

安全性解析対象症例129例(クラリスロマイシン200mg群)、123例(クラリスロマイシン400mg群)中それぞれ31.0%(40/129例)、44.7%(55/123例)に副作用が認められた。主な副作用はそれぞれ下痢12.4%(16/129例)、 21.1%(26/123例)、軟便10.1%(13/129例)、10.6%(13/123例)、味覚異常0.0%(0/129例)、10.6%(13/123例)であった。

薬効薬理

作用機序
アモキシシリン水和物は細菌の細胞壁合成を阻害する。
クラリスロマイシンは細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、蛋白合成を阻害する。
ラベプラゾールナトリウムは酸分泌細胞の酸性領域で活性体(スルフェンアミド体)になり、プロトンポンプ(H、K-ATPase)のSH基を修飾して酵素活性を阻害することにより、酸分泌を抑制し胃内pHを上昇させる。アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンとの3剤併用療法におけるラベプラゾールナトリウムの役割は胃内pHを上昇させることにより、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの抗菌活性を高めることにあると考えられる。
抗菌作用
  1. アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンはヘリコバクター・ピロリに対し抗菌作用を示す。
  2. アモキシシリン水和物とクラリスロマイシンとの併用における抗菌力には、相乗又は相加作用が認められ、いずれの菌株においても拮抗作用は認められていない。
ヘリコバクター・ピロリ感染動物モデルにおける除菌効果
スナネズミを用いたヘリコバクター・ピロリ感染モデルにおいて、胃内生菌数に対するアモキシシリン水和物とクラリスロマイシンの2剤併用の効果は、ラベプラゾールナトリウムを加えることにより、相乗効果が認められた。

有効成分に関する理化学的知見

〈ラベプラゾールナトリウム〉
一般的名称
ラベプラゾールナトリウム(Rabeprazole Sodium)
化学名
Monosodium(RS)-2-({[4-(3-methoxypropoxy)-3-methylpyridin-2-yl]methyl}sulfinyl)-1H-benzimidazolide
分子式
C18H20N3NaO3S
分子量
381.42
性状
ラベプラゾールナトリウムは白色~微黄白色の粉末である。
本品は水に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けやすい。
本品は0.01mol/L水酸化ナトリウム試液に溶ける。
本品は吸湿性である。
本品の水溶液(1→20)は旋光性を示さない。
本品は結晶多形が認められる。
化学構造式
融点
225℃(分解)
分配係数
約214(pH7.0、水-1-オクタノール系)
〈アモキシシリン水和物〉
一般的名称
アモキシシリン水和物(Amoxicillin Hydrate)略号:AMPC
化学名
(2S,5R,6R)-6-[(2R)-2-Amino-2-(4-hydroxyphenyl)acetylamino]-3,3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylic acid trihydrate
分子式
C16H19N3O5S・3H2O
分子量
419.45
性状
アモキシシリン水和物は白色~淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。水又はメタノールに溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくい。
化学構造式
融点
約195℃(分解)
〈クラリスロマイシン〉
一般的名称
クラリスロマイシン(Clarithromycin)略号:CAM
化学名
(2R,3S,4S,5R,6R,8R,10R,11R,12S,13R)-5-(3,4,6-Trideoxy-3-dimethylamino-β-D-xylo-hexopyranosyloxy)-3-(2,6-dideoxy-3-C-methyl-3-O-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyloxy)-11,12-dihydroxy-6-methoxy-2,4,6,8,10,12-hexamethyl-9-oxopentadecan-13-olide(日局に準拠)
分子式
C38H69NO13
分子量
747.95
性状
クラリスロマイシンは、白色の結晶性の粉末で、味は苦い。アセトン又はクロロホルムにやや溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
化学構造式
(日局に準拠)
融点
220~227℃

取扱い上の注意

  1. 本製品はアルミ袋及び乾燥剤により品質保持をはかっている。調剤直前にアルミ袋を開封しPTPシートを取り出すこと。
  2. アルミ袋開封後は湿気を避けて保存すること。

包装

〈ラベキュアパック400〉
PTP入り7シート(1シート×7)(アルミ袋内に乾燥剤封入)
〈ラベキュアパック800〉
PTP入り7シート(1シート×7)(アルミ袋内に乾燥剤封入)

主要文献

1
Mayhew B. S. et al.: Drug Metab. Dispos., 2000;28(9):1031-1037 [PRT-1053]
2
Suzuki A. et al.: Drug Metab. Pharmacokinet., 2003;18(2):104-113 [PRT-1054]
3
厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性過敏症症候群 [PRT-1055]
4
楠信男ら:Chemotherapy, 1978;26(3):311-316 [PRT-1056]
5
瀧井昌英ら:Chemotherapy, 1989;37(1):15-21 [PRT-1057]
6
足立暁ら:Chemotherapy, 1988;36(S.3):660-666 [PRT-1058]
7
古谷博ら:Chemotherapy, 1973;21(8):1752-1758 [PRT-1059]
8
青河寛次ら:Chemotherapy, 1973;21(8):1780-1786 [PRT-1060]
9
Kuwayama H. et al.: Aliment. Pharmacol. Ther., 2007;25(9):1105-1113 [PRT-0531]
10
懸川友人ら:Chemotherapy, 1988;36(S.3):123-128 [PRT-1061]

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