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閲覧履歴

クラリチン錠10mg

持続性選択H1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤

1錠 44.6円

添付文書番号

4490027F1022_4_05

企業コード

630004

作成又は改訂年月

2020年8月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

87449

薬効分類名

持続性選択H1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤

承認等

販売名

クラリチン錠10mg

販売名コード

4490027F1022

販売名英字表記

Claritin tablets 10mg

販売名ひらがな

くらりちんじょう10mg

承認番号等

承認番号
21400AMZ00523000

販売開始年月

2002年9月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
36ヵ月

販売名

クラリチンレディタブ錠10mg

販売名コード

4490027F2029

販売名英字表記

Claritin reditabs tablets 10mg

販売名ひらがな

くらりちんれでぃたぶじょう10mg

承認番号等

承認番号
21600AMY00070000

販売開始年月

2004年11月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
36ヵ月

一般的名称

ロラタジン

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

クラリチン錠10mg
有効成分
1錠中ロラタジン  10mg含有
添加剤
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ステアリン酸マグネシウム
クラリチンレディタブ錠10mg
有効成分
1錠中ロラタジン  10mg含有
添加剤
無水クエン酸、ゼラチン、D-マンニトール、香料、l-メントール、バニリン、プロピレングリコール

製剤の性状

クラリチン錠10mg
剤形割線の入った円形の素錠
色調白色
外形
大きさ
大きさ(直径)
6.5mm
大きさ(厚さ)
2.6mm
質量100mg
識別コード
クラリチンレディタブ錠10mg
剤形口腔内速溶錠
色調白色
外形
大きさ
大きさ(直径)
12.5mm
大きさ(厚さ)
2.4mm
質量26.6mg
識別コード

効能又は効果

  • アレルギー性鼻炎
  • 蕁麻疹
  • 皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

用法及び用量

成人:通常、ロラタジンとして1回10mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
小児:通常、7歳以上の小児にはロラタジンとして1回10mgを1日1回、食後に経口投与する。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
〈アレルギー性鼻炎〉
  1. 季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. てんかんの既往のある患者
    十分な問診を行うこと。発作があらわれたとの報告がある。

腎機能障害患者

ロラタジン及び活性代謝物descarboethoxyloratadine(DCL)の血漿中濃度が上昇するおそれがある。

肝機能障害患者

ロラタジンの血漿中濃度が上昇するおそれがある。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。動物試験(ラット、ウサギ)で催奇形性は認められていないが、ラットで胎児への移行が報告されている。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行が報告されている。

小児等

  1. 3歳以上7歳未満の小児に対しては、ロラタジンドライシロップ1%を投与すること。
  2. 低出生体重児、新生児、乳児又は3歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

高い血中濃度が持続するおそれがある。一般に生理機能(肝、腎等)が低下している。

相互作用

ロラタジンからDCLへの代謝にはCYP3A4及びCYP2D6の関与が確認されている。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
エリスロマイシン、シメチジン
ロラタジン及びDCLの血漿中濃度の上昇が認められるので、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
薬物代謝酵素(CYP3A4、CYP2D6)阻害作用を有する医薬品との併用により、ロラタジンからDCLへの代謝が阻害され、ロラタジンの血漿中濃度が上昇する。[DCLの血漿中濃度が上昇する機序は不明]

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
    チアノーゼ、呼吸困難、血圧低下、血管浮腫等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  2. てんかん(頻度不明)
  3. 痙攣(頻度不明)
  4. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
    AST、ALT、γ-GTP、Al-P、LDH、ビリルビン等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

その他の副作用

1%以上
0.1~1%未満
0.1%未満
頻度不明
精神神経系
眠気、倦怠感
めまい、頭痛
呼吸器
鼻の乾燥感、咽頭痛
消化器
腹痛、口渇、嘔気・嘔吐、下痢、便秘、口内炎
口唇乾燥
胃炎
過敏症
発疹
じん麻疹
発赤、紅斑、そう痒
皮膚
脱毛
肝臓
ALT上昇、AST上昇、ビリルビン値上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇
腎臓
BUN上昇、タンパク尿
尿閉
循環器
動悸
頻脈
血液
好酸球増多、白血球減少、好中球減少、単球増多、リンパ球減少、白血球増多、リンパ球増多、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、好塩基球増多、血小板減少、好中球増多
その他
尿糖、眼球乾燥、耳鳴、ほてり
味覚障害、月経不順、胸部不快感
不正子宮出血、胸痛、難聴、浮腫(顔面・四肢)

臨床検査結果に及ぼす影響

アレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3~5日前より本剤の投与を中止すること。

過量投与

  1. 症状
    海外において、過量投与(40mgから180mg)により眠気、頻脈、頭痛が報告されている。
  2. 処置
    本剤は血液透析によって除去できない。

適用上の注意

薬剤調製時の注意
〈レディタブ錠10mg〉
通常の錠剤に比べ柔らかいため自動分包機には適さない。
薬剤交付時の注意
〈錠10mg〉
  1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
〈レディタブ錠10mg〉
  1. 以下の点について指導すること。
    1. ブリスターシートから取り出して服用すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
    2. 吸湿性を有するため、使用直前にブリスターシートから取り出すこと。
    3. ブリスターシートからの取り出しは、裏のシートを剥がした後、爪を立てずに指の腹で押し出すこと。欠けや割れが生じた場合は全量服用すること。レディタブ錠は錠剤と比べて性質上柔らかく、割れることがあるので、シートを剥がさずに押し出さないこと。
  2. 口腔内で速やかに崩壊することから唾液のみ(水なし)でも服用可能であるが、口腔粘膜から吸収されることはないため、水なしで服用した場合は唾液で飲み込むこと。
  3. 寝たままの状態では水なしで服用しないこと。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    1. 線形性
      健康成人男性(6~12例)にロラタジン錠10、20注)、40mg注)を空腹時に単回経口投与したとき、DCLの血漿中濃度について線形性が認められた。
    2. レディタブ錠10mgと錠10mgの生物学的同等性
      健康成人男性(23例)に空腹時、口腔内速溶錠(レディタブ錠)10mg又は錠10mgを水とともに、若しくはレディタブ錠10mgを水なしでそれぞれ単回経口投与したとき、DCLの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであった。レディタブ錠10mgは、水なし又は水とともに服用した場合のいずれにおいても、錠10mg(水あり)と生物学的に同等であることが確認された。
      飲水
      Cmax
      (ng/mL)
      tmax
      (hr)
      AUC(0-t)
      (ng・hr/mL)
      レディタブ錠10mg
      なし
      3.52±1.24
      1.98±0.593
      38.6±14.4
      あり
      3.46±1.04
      1.59±0.536
      37.9±12.3
      錠10mg
      あり
      3.49±1.35
      1.85±1.08
      37.7±14.2
      幾何平均比※1
      (90%信頼区間)
      1.02(0.946-1.10)
      1.03(0.970-1.09)
      幾何平均比※2
      (90%信頼区間)
      1.01(0.935-1.09)
      1.02(0.958-1.08)
      (平均±標準偏差、n=23)
      ※1:レディタブ錠10mg(水なし)/錠10mg
      ※2:レディタブ錠10mg(水あり)/錠10mg
  2. 反復投与
    健康成人男性(5例)にロラタジン錠10mgを1日1回5日間、空腹時に反復経口投与したとき、血漿中ロラタジン濃度は連投開始後4日までに定常状態に到達し、AUC(0-24hr)について算出した累積係数は1.3であった。
    健康成人男性(6例)にロラタジン錠20mg注)を1日1回5日間、空腹時に反復経口投与したとき、血漿中ロラタジン及びDCL濃度は連投開始後4日までに定常状態に到達し、AUC(0-24hr)について算出した累積係数はともに1.3であった。

吸収

  1. 食事の影響(錠10mg)
    健康成人男性(12例)にロラタジン錠10mgを食後又は空腹時に単回経口投与したときのロラタジン及びDCLの薬物動態パラメータは、以下のとおりであった。DCLの全身曝露に及ぼす食事の影響は認められなかった
    ※:成人又は小児を対象とした二重盲検比較試験はすべて食後投与の条件で実施されたため、用法・用量では食後投与を規定した。
    Cmax
    (ng/mL)
    tmax
    (hr)
    AUC(0-∞)
    (ng・hr/mL)
    t1/2
    (hr)
    ロラタジン
    食後
    7.73±6.81
    1.6±0.4
    31.2±36.3
    14.3±7.8
    空腹時
    4.46±4.98
    1.2±0.3
    15.4±20.5
    11.2±8.4
    DCL
    食後
    3.52±0.78
    2.3±0.6
    41.1±11.8
    14.5±3.3
    空腹時
    3.34±0.70
    1.7±0.3
    34.9±6.4
    12.5±4.7
    (平均±標準偏差、n=12)

分布

  1. 血漿タンパク結合
    ヒト血漿に添加したときのタンパク結合率は、ロラタジン96.8~97.9%、DCL73.3~75.6%であった(測定法:平衡透析法)(in vitro)。
  2. 組織中放射能濃度(ラット)
    ラット(n=3)に14C-ロラタジンを反復経口投与したとき、組織中放射能は大部分の組織で血漿より高く、特に下垂体、甲状腺、副腎、肝臓、涙腺、肺に高濃度の分布が認められた。また、脳内濃度は血漿より低かった。組織中放射能の生物学的半減期は、いずれの組織とも血漿より長かった。甲状腺では14日間反復投与でも定常状態に到達せず、蓄積性が示唆された。

代謝

ロラタジンは、ヒトに経口投与したとき、消化管から速やかに吸収され、初回通過効果によってDCLへと代謝される。ヒトの肝ミクロソームを用いたin vitro試験から、ロラタジンからDCLへの代謝にはCYP3A4及びCYP2D6の関与が確認されている。

排泄

健康成人男性(6例)に14C-ロラタジン40mg注)(水溶液)を空腹時に単回経口投与したとき、投与10日後までに総投与量の約80%が代謝物として尿及び糞中へ等量ずつ排泄された。尿中にロラタジンは検出されず、DCLは尿中放射能の2%未満であった(外国人データ)。
授乳婦(6例)にロラタジンカプセル40mg注)(非売品)を空腹時に単回経口投与したとき、少量のロラタジン及びDCLが母乳中に検出された。投与後48時間までの移行率は0.03%であった。AUC母乳/AUC血漿比は、ロラタジン及びDCLについてそれぞれ1.2及び0.8であった(外国人データ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    1. 薬物動態パラメータ
      腎機能障害患者(12例:クレアチニンクリアランス≦29mL/min)にロラタジンカプセル40mg注)(非売品)を空腹時に単回経口投与したときの血漿中濃度のCmax及びAUCは、健康成人男性(6例:クレアチニンクリアランス>80mL/min)との比較において、ロラタジンでは1.5~1.7倍、DCLでは約2倍に上昇した。腎機能障害患者におけるロラタジン及びDCLのt1/2はそれぞれ平均8時間及び20時間であり、いずれも健康成人と明らかな差は認められなかった(外国人データ)。
    2. 血液透析患者
      重症の腎機能障害患者(6例:クレアチニンクリアランス<5mL/min)にロラタジンカプセル40mg注)(非売品)を空腹時に単回経口投与後4~8時間(計4時間)に血液透析を行ったとき、血液透析を行わない場合と比較して、血漿中ロラタジン及びDCL濃度に変動は認められず、ロラタジン及びDCLともに透析液中へはほとんど排出されなかった(外国人データ)。
  2. 肝機能障害患者
    肝機能障害患者(7例)にロラタジンカプセル40mg注)(非売品)を空腹時に単回経口投与したときの血漿中濃度は、健康成人男性(24例)との比較において、ロラタジンではCmaxが1.4~1.7倍、AUCが2.8~3.8倍に上昇し、DCLではCmax、AUCともに健康成人と明らかな差は認められなかった。肝機能障害患者におけるロラタジン及びDCLのt1/2はそれぞれ平均24.1時間及び37.1時間であり、健康成人の2~3倍に延長していた(外国人データ)。
  3. 小児
    健康小児(13例、8~12歳)にロラタジンシロップ10mg(非売品)を食後に単回経口投与したときのロラタジン及びDCLの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は、以下のとおりであった(外国人データ)。
    Cmax
    (ng/mL)
    tmax
    (hr)
    AUC(0-t)
    (ng・hr/mL)
    t1/2
    (hr)
    ロラタジン
    4.38±3.13
    1.00±0.00
    8.98±6.21
    DCL
    3.79±0.978
    1.69±0.947
    51.7±25.3
    13.8±3.08
    (平均±標準偏差、n=13)
    小児及び成人の通年性アレルギー性鼻炎患者を対象とした国内製造販売後臨床薬理試験において、小児患者(104例、7~15歳)及び成人患者(104例、16~64歳)にそれぞれロラタジン錠10mgを1日1回28日間反復投与したときのロラタジン及びDCLによる全身曝露は、互いに類似していた。
  4. 高齢者
    高齢者(12例、66~78歳)にロラタジンカプセル40mg注)(非売品)を空腹時に単回経口投与したときの血漿中濃度は、非高齢の成人男性(24例、21~39歳)との比較において、ロラタジンではCmaxが1.6~1.9倍、AUCが1.5~2.0倍に上昇した。DCLではCmaxが約1.7倍であったが、AUCに明らかな差は認められなかった。高齢者でのロラタジン及びDCLのt1/2はそれぞれ平均18.2時間及び17.4時間であった(外国人データ)。

薬物相互作用

健康成人男性にロラタジン錠10mg及びエリスロマイシン(CYP3A4の阻害剤)又はシメチジン(CYP3A4及びCYP2D6の阻害剤)を空腹時に10日間経口投与したときの血漿中ロラタジン及びDCL濃度の変化率は下表に示すとおりであったが、QTc間隔を含め心電図への影響は認められなかった,。健康成人男性にロラタジン錠10mg及びケトコナゾール(国内では外用剤のみ発売)を空腹時に10日間経口投与したとき、血漿中ロラタジン及びDCL濃度の変化率は下表に示すとおりであったが、QTc間隔を含め心電図への影響は認められなかった(外国人データ)。
併用薬
n
ロラタジン
DCL
Cmax
AUC
Cmax
AUC
エリスロマイシン
(500mg1日3回)
22
+53%
+40%
+61%
+46%
シメチジン
(300mg1日4回)
24
+121%
+103%
+6%
+6%
ケトコナゾール
(200mg1日2回)
24
+223%
+307%
+67%
+73%

PharmacokineticsEtc

DCLの効力比は未変化体(ロラタジン)の7.9倍であり、ヒトに経口投与したときの主たる薬効に寄与しているのはDCLである。
注)本剤の成人における承認用量は、「通常、ロラタジンとして1回10mgを1日1回、食後に経口投与する。」である。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈アレルギー性鼻炎〉
  1. 国内長期投与試験(成人)
    通年性アレルギー性鼻炎に対してロラタジン錠10mgを1日1回9週間投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)は65.3%(32/49)であった。
    副作用は53例中8例(15.1%)に認められた。副作用は、眠気6例(11.3%)、倦怠感、嘔気及び発疹が各1例(1.9%)であった。
  2. 国内第Ⅲ相比較試験(メキタジンを対照とした比較試験)(成人)
    通年性アレルギー性鼻炎を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジン錠10mg(1日1回)あるいはメキタジン3mg(1日2回)を1週間投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)はそれぞれ49.4%(39/79)と45.8%(38/83)であった。
    副作用は100例中7例(7.0%)に認められた。副作用は、眠気4例(4.0%)、倦怠感2例(2.0%)、胃部不快感、嘔気及び発疹が各1例(1.0%)であった。
  3. 国内第Ⅲ相比較試験(プラセボ及びケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験)(成人)
    通年性アレルギー性鼻炎を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジン錠(10mg/日)、ケトチフェンフマル酸塩(ケトチフェンとして2mg/日)あるいはプラセボを2週間投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)はロラタジン群54.9%(56/102)、ケトチフェンフマル酸塩群55.1%(59/107)、プラセボ群39.1%(27/69)であった。また、5鼻症状スコア※1(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、鼻内そう痒感、後鼻漏)の投与前値及び投与2週後(又は中止時)の変化量を下表に示した。
    投与群
    n
    投与前
    (標準誤差)
    変化量
    (標準誤差)
    比較※2
    ロラタジン
    102
    8.23
    (0.22)
    -2.83
    (0.26)
    ロラタジンvsケトチフェン
    差の点推定値 0.03
    95%CI:-0.62~0.69
    ロラタジンvsプラセボ
    差の点推定値 -0.91
    95%CI:-1.64~-0.18
    ケトチフェン
    107
    7.41
    (0.22)
    -2.48
    (0.25)
    プラセボ
    69
    7.90
    (0.25)
    -1.77
    (0.31)
    ※1:各症状の程度を+++:3、++:2、+:1、-:0にスコア化して合計したスコア。
    ※2:投与前値を共変量とした共分散分析により、変化量の差(ロラタジン-ケトチフェン又はロラタジン-プラセボ)とそれぞれの95%両側信頼区間(95%CI)を算出した。
    副作用は103例中26例(25.2%)に認められた。主な副作用は、眠気14例(13.6%)、口渇感3例(2.9%)、咽頭痛、鼻の乾燥感及び倦怠感が各2例(1.9%)等であった。
  4. 国内第Ⅲ相比較試験(ケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験)(小児)
    通年性アレルギー性鼻炎を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジンシロップ(3~6歳:ロラタジンとして5mg/日、7~15歳:ロラタジンとして10mg/日、非売品)あるいはケトチフェンフマル酸塩(3~6歳:ケトチフェンとして1.2mg/日、7~15歳:ケトチフェンとして2mg/日)を2週間投与した。4鼻症状スコア※1(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、鼻内そう痒感)の投与前値及び投与2週後(又は中止時)の変化量を下表に示した。
    投与群
    n
    投与前
    (標準誤差)
    変化量
    (標準誤差)
    比較※2
    ロラタジン
    96
    7.08
    (0.19)
    -2.53
    (0.25)
    差の点推定値 -0.39
    95%CI:-1.04~0.25
    ケトチフェン
    91
    6.36
    (0.22)
    -1.74
    (0.26)
    ※1:各症状の程度を+++:3、++:2、+:1、-:0にスコア化して合計したスコア。
    ※2:投与前値及び年齢層を共変量とした共分散分析により、変化量の差(ロラタジン-ケトチフェン)とその95%両側信頼区間(95%CI)を算出した。
    副作用は96例中12例(12.5%)に認められた。主な副作用は、傾眠6例(6.3%)、腹痛2例(2.1%)等であった。
〈蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒〉
  1. 国内長期投与試験(成人)
    慢性じん麻疹に対してロラタジン錠10mgを1日1回8週間投与したときの最終治療効果(有効以上)は87.4%(76/87)であった。
    副作用は92例中10例(10.9%)に認められた。副作用は、眠気6例(6.5%)、倦怠感3例(3.3%)、心窩部不快感、腹部膨満感、下痢及び生理遅延が各1例(1.1%)であった。
  2. 国内第Ⅲ相比較試験(メキタジンを対照とした比較試験)(成人)
    慢性じん麻疹を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジン錠10mg(1日1回)あるいはメキタジン3mg(1日2回)を7日間投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)はそれぞれ71.3%(82/115)と66.7%(78/117)であった。
    副作用は119例中12例(10.1%)に認められた。副作用は、眠気8例(6.7%)、口渇2例(1.7%)、倦怠感、食欲亢進、腹部不快感及び舌のびらん・疼痛が各1例(0.8%)であった。
  3. 国内第Ⅲ相比較試験(シュードプラセボ及びケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験)(成人)
    慢性じん麻疹を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジン錠(10mg/日)、ケトチフェンフマル酸塩(ケトチフェンとして2mg/日)あるいはシュードプラセボ(ロラタジンとして1mg/日)を2週間投与したところ、投与2週後(又は中止時)の全般改善率(中等度改善以上)は、それぞれ80.5%、62.1%、43.8%であった(ロラタジンとケトチフェンの改善率の差の点推定値18.4%、95%両側信頼区間7.4%~29.3%)。また、皮膚症状スコア※1の投与前値及び投与2週後(又は中止時)の変化量を下表に示した。
    そう痒スコア
    投与群
    n
    投与前
    (標準誤差)
    変化量
    (標準誤差)
    比較※2
    ロラタジン
    128
    1.98
    (0.06)
    -1.48
    (0.07)
    ロラタジンvsケトチフェン
    差の点推定値 -0.27
    95%CI:-0.48~-0.07
    ロラタジンvsシュードプラセボ
    差の点推定値 -0.77
    95%CI:-1.00~-0.53
    ケトチフェン
    124
    1.97
    (0.06)
    -1.20
    (0.09)
    シュード
    プラセボ
    80
    2.08
    (0.07)
    -0.78
    (0.13)
    発斑スコア
    投与群
    n
    投与前
    (標準誤差)
    変化量
    (標準誤差)
    比較※2
    ロラタジン
    128
    1.95
    (0.06)
    -1.41
    (0.08)
    ロラタジンvsケトチフェン
    差の点推定値 -0.23
    95%CI:-0.43~-0.04
    ロラタジンvsシュードプラセボ
    差の点推定値 -0.55
    95%CI:-0.77~-0.33
    ケトチフェン
    124
    1.87
    (0.06)
    -1.11
    (0.09)
    シュード
    プラセボ
    80
    1.91
    (0.07)
    -0.82
    (0.11)
    ※1:そう痒、発斑の程度をそれぞれ+++:3、++:2、+:1、±:0.5、-:0にスコア化した。
    ※2:投与前値及び投与前値×投与群を共変量とした共分散分析により、変化量の差(ロラタジン-ケトチフェン又はロラタジン-シュードプラセボ)とそれぞれの95%両側信頼区間(95%CI)を算出した。
    副作用は128例中27例(21.1%)に認められた。主な副作用は、眠気17例(13.3%)、めまい・立ちくらみ・ふらつき感、口渇感及び胃痛が各2例(1.6%)等であった。
  4. 国内一般臨床試験(成人)
    湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症に対してロラタジン錠10mgを1日1回7日間投与したときの最終治療効果(有効以上)は61.0%(161/264)であった。
    副作用は284例中22例(7.7%)に認められた。副作用は、眠気15例(5.3%)、倦怠感4例(1.4%)、口渇3例(1.1%)、頭痛、肩こり、胃部不快感及び食欲不振が各1例(1.1%)であった。
  5. 国内第Ⅲ相比較試験(ケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験)(小児)
    代表的なそう痒性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジンドライシロップ(3~6歳:ロラタジンとして5mg/日、7~15歳:ロラタジンとして10mg/日)あるいはケトチフェンフマル酸塩(3~6歳:ケトチフェンとして1.2mg/日、7~15歳:ケトチフェンとして2mg/日)を2週間投与した。主要そう痒スコア※1の投与前値及び投与2週後(又は中止時)の変化量を下表に示した。
    投与群
    n
    投与前
    (標準誤差)
    変化量
    (標準誤差)
    比較※2
    ロラタジン
    101
    2.50
    (0.06)
    -0.51
    (0.08)
    差の点推定値 0.03
    95%CI:-0.18~0.25
    ケトチフェン
    100
    2.56
    (0.06)
    -0.58
    (0.08)
    ※1:そう痒の程度を++++:4、+++:3、++:2、+:1、-:0にスコア化し、日中又は夜間の高い方を主要そう痒スコアとした。
    ※2:投与前値及び年齢層を共変量とした共分散分析により、変化量の差(ロラタジン-ケトチフェン)とその95%両側信頼区間(95%CI)を算出した。
    副作用は101例中4例(4.0%)に認められた。副作用は、ALT増加及びAST増加が各2例(2.0%)、γ-GTP増加、肝機能検査値異常及び傾眠が各1例(1.0%)であった。

その他

  1. 眠気及び運転・機械操作能力に対する影響
    ロラタジン服用後の諸動作はプラセボ服用時と類似し、ロラタジンの運転・機械操作能力に対する影響は認められなかった。
    1. 健康成人男女(20例)を対象にパソコンでの数字入力作業による精神運動機能に及ぼす影響を検討したとき、ロラタジン10mg及び20mg注)投与時の正入力数はプラセボ投与時と有意差がなく、精神運動機能に影響を与えなかった。
    2. 通年性アレルギー性鼻炎に対する二重盲検比較試験の結果、ロラタジン10mg(103例)の眠気の発現頻度は、プラセボ(70例)と同程度であった。
    3. 健康成人男女(16例)を対象に入眠までの時間を比較したとき、ロラタジン10mg投与時の平均入眠時間はプラセボ投与時と有意差がなかった(外国人データ)。
    4. 健康成人男性(20例)を対象にサーキット上での自動車運転能力に及ぼす影響を検討したとき、ロラタジン10mg及び20mg注)投与時の運転能力はプラセボ投与時と有意差がなく、運転能力に影響を与えなかった(外国人データ)。
    5. 空軍パイロット及び民間航空会社パイロット(40例)を対象にフライトシミュレーション試験を実施した結果、ロラタジン10mgは、プラセボと比較してパイロットの航空機操作能力に影響を与えなかった(外国人データ)。
  2. 心血管系に及ぼす影響
    健康成人男性(50例)にロラタジン40mg注)を1日1回13週間投与したとき、プラセボ(20例)と比較してQTc間隔を含む心電図及び心拍数への影響は認められなかった(外国人データ)。
注)本剤の成人における承認用量は、「通常、ロラタジンとして1回10mgを1日1回、食後に経口投与する。」である。

薬効薬理

作用機序
ロラタジン及びDCLは、ヒスタミンH1受容体拮抗作用を示す。また、ヒスタミン、ロイコトリエンC4の遊離抑制作用を示す。
ヒスタミンH1受容体拮抗作用
ロラタジン及びDCLは、モルモットの肺H1受容体においてヒスタミンと拮抗し、モルモット摘出回腸のヒスタミン誘発収縮を抑制した(in vitro)。DCLのヒトH1受容体拮抗作用はロラタジンよりも強かった。また、ロラタジンは、ラットのヒスタミン誘発皮膚血管透過性亢進、マウスのヒスタミン誘発足蹠浮腫及びモルモットのヒスタミン誘発致死を抑制した(in vivo)。
ヒスタミン及びロイコトリエンC4遊離抑制作用
ロラタジン又はDCLは、ラット腹腔肥満細胞又はマウス肥満細胞株MC-9細胞からのヒスタミン又はロイコトリエンC4遊離を抑制し,in vitro)、能動感作モルモットに経口投与したときの摘出肺切片からの抗原誘発ヒスタミン遊離を抑制した(ex vivo)。
抗原誘発反応に対する作用
ロラタジンは、ラット及びモルモットの受身皮膚アナフィラキシー反応(PCA反応)並びに能動感作ラット及びモルモットの抗原誘発鼻腔内色素漏出反応を抑制した,
作用の持続性
ラットのヒスタミン誘発皮膚血管透過性亢進に対するロラタジンの抑制作用は、経口投与後12時間においても認められた(in vivo)。
ヒトにおいて錠10mg単回投与後14時間以上でもヒスタミン誘発皮内反応(膨疹及び紅斑)を抑制した。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ロラタジン(Loratadine)
化学名
Ethyl 4-(8-chloro-5,6-dihydro-11H-benzo[5,6]cyclohepta[1,2-b]pyridin-11-ylidene)-1-piperidinecarboxylate
分子式
C22H23ClN2O2
分子量
382.88
性状
本品は白色の結晶性の粉末である。
化学構造式
融点
約134℃
分配比
pH
1
4
7
11
分配比
(1-オクタノール/水)
13
1.7×103
1.2×104
1.6×104

包装

〈クラリチン錠10mg〉
100錠[10錠(PTP)×10]
420錠[14錠(PTP)×30]
500錠[10錠(PTP)×50]
1000錠[10錠(PTP)×100]
300錠[バラ]
〈クラリチンレディタブ錠10mg〉
50錠[10錠(ブリスター)×5]
300錠[10錠(ブリスター)×30]

主要文献

1
社内資料: 第Ⅰ相臨床試験(単回投与)(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.4.2.1)
2
社内資料: 生物学的同等性試験(クラリチンレディタブ錠2004年2月27日承認)
3
社内資料: 第Ⅰ相臨床試験(反復投与)(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.4.2.2)
4
社内資料: 食事の影響(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.4.3)
5
社内資料: 血漿タンパク結合(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.3.2.4)
6
社内資料: ラットの組織中濃度(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.3.2.1)
7
社内資料: ヒトにおける薬物動態試験(代謝、排泄)(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.3.3.1、ヘ.4.1)
8
Yumibe N, et al.: Biochem Pharmacol. 1996; 51: 165-172
9
Hilbert J, et al.: J Clin Pharmacol. 1988; 28: 234-239
10
社内資料: 腎機能障害患者における薬物動態(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.4.6)
11
社内資料: 肝機能障害患者における薬物動態(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.4.5)
12
社内資料: 小児における薬物動態(2007年10月19日承認、CTD2.7.6.4.1.5)
13
社内資料: 小児及び成人患者における国内製造販売後臨床薬理試験
14
社内資料: 高齢者における薬物動態(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.4.4)
15
Brannan MD, et al.: Clin Pharmacol Ther. 1995; 58: 269-278
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Kosoglou T, et al.: Br J Clin Pharmacol. 2000; 50: 581-589
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奥田稔他: 耳展. 1992; 35(補1): 13-26
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奥田稔他: 耳展. 1992; 35(補4): 327-345
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社内資料: プラセボ及びケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ト.1.1.3.3)
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久木田淳他: 臨床医薬. 1990; 6: 2457-2468
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久木田淳他: 臨床医薬. 1990; 6: 2689-2705
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社内資料: シュードプラセボ及びケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ト.1.1.2.3)
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久木田淳他: 臨床医薬. 1990; 6: 2443-2456
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川島眞他: 臨床医薬. 2007; 23: 991-1016
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Neves-Pinto RM, et al.: American J Rhinology. 1992; 6: 23-27
30
社内資料: 心電図に及ぼす影響の検討(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ト.1.2.4)
31
社内資料: モルモットのH1受容体親和性(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ホ.1.4.1)
32
社内資料: モルモットのヒスタミン誘発収縮に対する作用(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ホ.1.4.1)
33
Anthes JC, et al.: Eur J Pharmacol. 2002; 449: 229-237
34
社内資料: ラットのヒスタミン誘発皮膚血管透過性亢進に対する作用(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ホ.1.2.1)
35
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37
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38
社内資料: アレルギー性皮膚炎モデルにおける作用(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ホ.1.1.1)
39
社内資料: アレルギー性鼻炎モデルにおける作用(クラリチン錠2002年7月5日承認、申請資料概要ホ.1.1.2)
40
中島光好他: 臨床医薬. 1990; 6: 1537-1549

文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
塩野義製薬株式会社 医薬情報センター
〒541-0045大阪市中央区道修町3丁目1番8号
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製造販売元
バイエル薬品株式会社
大阪市北区梅田二丁目4番9号
販売元
塩野義製薬株式会社
大阪市中央区道修町3丁目1番8号

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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