医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

閲覧履歴

アレグラドライシロップ5%

アレルギー性疾患治療剤

1g 79円

添付文書番号

4490023R2027_1_04

企業コード

780069

作成又は改訂年月

2022年2月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

87449

薬効分類名

アレルギー性疾患治療剤

承認等

販売名

アレグラドライシロップ5%

販売名コード

4490023R2027

販売名英字表記

Allegra Dry Syrup

販売名ひらがな

あれぐらどらいしろっぷ

承認番号等

承認番号
22600AMX00016

販売開始年月

2015年1月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

一般的名称

フェキソフェナジン塩酸塩

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

アレグラドライシロップ5%
有効成分
日局フェキソフェナジン塩酸塩  50mg(1g中)
添加剤
エチルセルロース、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、含水二酸化ケイ素、精製白糖、キサンタンガム、香料

製剤の性状

アレグラドライシロップ5%
剤形顆粒
色調白色

効能又は効果

  • アレルギー性鼻炎
  • 蕁麻疹
  • 皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒

用法及び用量

〈成人〉
通常、成人にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回60mg(ドライシロップとして1.2g)を1日2回、用時懸濁して経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
〈小児〉
通常、12歳以上の小児にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回60mg(ドライシロップとして1.2g)、7歳以上12歳未満の小児にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回30mg(ドライシロップとして0.6g)を1日2回、用時懸濁して経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
通常、2歳以上7歳未満の小児にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回30mg(ドライシロップとして0.6g)、6ヵ月以上2歳未満の小児にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回15mg(ドライシロップとして0.3g)を1日2回、用時懸濁して経口投与する。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
〈アレルギー性鼻炎〉
  1. 季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。

特定の背景を有する患者に関する注意

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

小児等

低出生体重児、新生児又は6ヵ月未満の乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

高齢者

異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。腎機能が低下していることが多く、血中濃度が上昇する場合がある。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
エリスロマイシン
本剤の血漿中濃度を上昇させるとの報告がある。
P糖蛋白の阻害による本剤のクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因するものと推定される。
水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤
本剤の作用を減弱させることがあるので、同時に服用させないなど慎重に投与すること。
水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムが本剤を一時的に吸着することにより吸収量が減少することによるものと推定される。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
    呼吸困難、血圧低下、意識消失、血管浮腫、胸痛、潮紅等の過敏症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  2. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
    AST、ALT、γ-GTP、Al-P、LDHの上昇等の肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
  3. 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.2%注1) )、好中球減少(0.1%未満注1)
注1)発現頻度はドライシロップ及び錠剤において認められた副作用の合計。

その他の副作用

0.1~5%未満注2)
0.1%未満注2)
頻度不明
精神神経系
頭痛、眠気、疲労、倦怠感、めまい、不眠、神経過敏
悪夢、睡眠障害、しびれ感
消化器
嘔気、嘔吐、口渇、腹痛、下痢、消化不良
便秘
過敏症
そう痒
蕁麻疹、潮紅、発疹
血管浮腫
肝臓
AST上昇、ALT上昇
腎臓・泌尿器
頻尿
排尿困難
循環器
動悸、血圧上昇
その他
呼吸困難、味覚異常、浮腫、胸痛、月経異常
注2)発現頻度はドライシロップ及び錠剤において認められた副作用の合計。

臨床検査結果に及ぼす影響

アレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3~5日前から本剤の投与を中止すること。

過量投与

  1. 外国での過量投与症例として、高用量を服用した2例の報告があり、1800mgを服用した症例では症状はなく、3600mgを服用した症例では、めまい、眠気及び口渇がみられた。
  2. 処置
    本剤は血液透析によって除去できない。

適用上の注意

薬剤調製時の注意
本剤は用時調製の製剤であるので、調製後の保存は避け、水に懸濁後は速やかに使用すること。

薬物動態

血中濃度

  1. 小児(6ヵ月~6歳)
    小児及び成人の試験での血漿中フェキソフェナジン濃度を用い、母集団薬物動態解析により薬物動態パラメータを推定した 。
    血漿中濃度パラメータ
    年齢
    投与量
    (mg)
    症例数
    AUC0-∞
    (ng・h/mL)
    Cmax
    (ng/mL)
    CL/F
    (L/h)
    6ヵ月-1歳
    15
    55
    1090(46.2)
    130(40.9)
    15.6(29.9)
    2-6歳
    30
    80
    1060(24.3)
    157(29.3)
    29.9(24.0)
    7-11歳
    30
    173
    710(19.8)
    114(22.4)
    43.9(19.8)
    12-15歳
    60
    97
    1150(23.0)
    189(19.4)
    54.5(21.0)
    成人
    60
    109
    1110(28.2)
    175(18.1)
    57.8(24.9)
    平均(変動係数%)
  2. 小児(7~15歳)
    通年性アレルギー性鼻炎患者にフェキソフェナジン塩酸塩錠30mg(7〜11歳:50例)及び60mg(12〜15歳:19例)を1日2回28日間反復経口投与したとき、最終回投与時のフェキソフェナジンの血漿中濃度パラメータは以下のとおりであった 。
    血漿中濃度パラメータ
    対象患者
    年齢(歳)
    投与量
    症例数
    AUC0-∞
    (ng・hr/mL)
    Cmax
    (ng/mL)
    t1/2
    (hr)
    CL/F
    (L/hr)
    日本人小児患者注1)
    7-11
    30mg
    50
    851±325
    150±77
    15.8±10.8
    40.1±14.6
    12-15
    60mg
    19
    1215±269
    185±77
    12.3±9.2
    51.6±10.9
    外国人小児患者注2)
    (参考)
    7-12
    30mg
    14
    1091±400
    184±88
    8.8±3.0
    29.1±10.5
    (平均±SD)
    各パラメータの算出方法
    注1)NONMEMによるベイズ推定
    注2)ノンコンパートメント解析
  3. 成人
    健康成人男子8例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル60mg注3) を空腹時単回経口投与したとき、血漿中フェキソフェナジン濃度及びパラメータは以下のとおりであった。反復投与時には蓄積傾向はみられなかった 。
    注3)フェキソフェナジン塩酸塩カプセルとアレグラ錠60mgは生物学的に同等であった。
    血漿中濃度パラメータ
    投与量
    (mg)
    AUC0-∞
    (ng・hr/mL)
    tmax
    (hr)
    Cmax
    (ng/mL)
    t1/2
    (hr)
    CL/F
    (L/h)
    60
    1445±517
    2.2±0.8
    248±112
    9.6±5.7
    44.4±18.2
    120
    3412±969
    1.9±0.7
    564±221
    13.8±8.9
    35.0±9.3
    (平均±SD)
  4. 生物学的同等性試験
    クロスオーバー法により、健康成人男子にアレグラドライシロップ5%0.6g(フェキソフェナジン塩酸塩として30mg)注4) 又はアレグラ錠30mg1錠をそれぞれ空腹時単回経口投与したとき、フェキソフェナジン血漿中濃度及びパラメータは以下のとおりであり、生物学的に同等であることが確認された 。
    注4)成人における本剤の承認用量は1回60mg(ドライシロップとして1.2g)を1日2回である。
    血漿中濃度パラメータ
    投与製剤
    例数
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC0-48
    (ng・hr/mL)
    tmax
    (hr)
    t1/2
    (hr)
    アレグラドライシロップ5%
    72
    128±61.5
    773±271
    1.50
    9.34±3.29
    アレグラ錠30mg
    71
    127±57.7
    783±271
    2.00
    9.90±3.81
    (平均±SD、tmaxは中央値)

吸収

健康成人男子22例にクロスオーバー法で、空腹時及び食後(高脂肪食)にフェキソフェナジン塩酸塩錠120mg注4) を単回経口投与したとき、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ15%及び14%減少した (外国人データ)。

分布

健康成人33例に塩酸フェキソフェナジン40、200及び400mg注4) を1日2回経口投与したとき、投与後1時間及び12時間のフェキソフェナジンのin vivoにおける血漿蛋白との結合率は、13〜7359ng/mLの濃度範囲で60〜82%(69.4±5.9%)であった 。

排泄

健康成人男子8例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル60mgを単回経口投与したときの投与後48時間までの尿中フェキソフェナジンの平均累積回収率は、11.1%であった。
健康成人男子に14C-フェキソフェナジン塩酸塩溶液60mgを単回経口投与したとき、投与後11日までの尿及び糞中の回収率は91.5%で、放射能を示す分画のほとんどはフェキソフェナジンであり、糞中に約80%、尿中に約11.5%排泄された, (外国人データ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    成人の腎機能障害患者29例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル80mg注4) を単回投与したとき、クレアチニンクリアランス41〜80mL/min及び11〜40mL/minの患者におけるフェキソフェナジンのCmaxは健康成人に比し、それぞれ1.5倍及び1.7倍高く、平均消失半減期はそれぞれ1.6倍及び1.8倍長かった。また、透析患者(クレアチニンクリアランス:10mL/min以下)におけるフェキソフェナジンのCmaxは健康成人に比し、1.5倍高く、平均消失半減期は1.4倍長かった。なお、忍容性は良好であった (外国人データ)。
  2. 肝機能障害患者
    成人の肝機能障害患者17例(アルコール性肝硬変10例、ウイルス肝炎5例、その他2例)にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル80mg注4) を単回投与したとき、肝機能障害患者におけるフェキソフェナジンの薬物動態は、被験者間の分散も大きく、肝障害の程度による体内動態の差はみられなかった。Child-Pugh分類でB又はC1であった患者のフェキソフェナジンのAUC0-∞は2176ng・hr/mL、Cmaxは281ng/mL、t1/2は16.0hrであった。これらの値は健康若年者における値のそれぞれ1.2、1.1、1.2倍であった。なお、忍容性は良好であった (外国人データ)。
  3. 高齢者
    65歳以上の健康高齢者20例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル80mg注4) を単回投与したときのフェキソフェナジンのAUC0-∞は2906ng・hr/mL、Cmaxは418ng/mL、t1/2は15.2hrであった。これらの値は健康若年者における値のそれぞれ1.6、1.6、1.1倍であった。なお、忍容性は良好であった (外国人データ)。

薬物相互作用

  1. エリスロマイシン
    健康成人男子18例にフェキソフェナジン塩酸塩円形錠注5) 1回120mg1日2回注4) とエリスロマイシン1回300mg1日4回7日間併用して反復経口投与したとき、血漿中フェキソフェナジンのCmaxはフェキソフェナジン塩酸塩単独投与時の約2倍に上昇した。一方、血漿中エリスロマイシン濃度には、併用による影響はなかった。
    この血漿中フェキソフェナジン濃度上昇の機序は動物試験から、P糖蛋白の阻害によるフェキソフェナジンのクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因するものと推定された,
    注5)フェキソフェナジン塩酸塩円形錠とアレグラ錠60mgは生物学的に同等であった。
  2. 水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤
    健康成人男子22例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル120mg注4) の投与15分前に水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤を単回投与したとき、フェキソフェナジンのAUC0-30及びCmaxはフェキソフェナジン塩酸塩単独投与時の約40%減少した (外国人データ)。
  3. ケトコナゾール
    健康成人男子23例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル1回120mg1日2回注4) とケトコナゾール錠400mg1日1回7日間併用して反復経口投与したとき、血漿中フェキソフェナジン濃度はフェキソフェナジン塩酸塩単独投与時の約2倍に上昇したが、血漿中ケトコナゾール濃度には、併用による影響はなかった 。血漿中フェキソフェナジン濃度上昇の機序はエリスロマイシンと同様と推定された(外国人データ)。
  4. オメプラゾール
    健康成人男子23例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル120mg注4) の投与11時間前と1時間前にオメプラゾールカプセルをそれぞれ40mg及び20mgを単回投与したとき、フェキソフェナジン塩酸塩の薬物動態に影響はなかった (外国人データ)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈アレルギー性鼻炎〉
  1. 国内第3相試験(小児)
    1. 通年性アレルギー性鼻炎患者を対象に、本剤(6ヵ月〜1歳は1回15mg、2〜11歳は1回30mg)を1日2回4~12週間経口投与した非盲検試験(解析対象109例)で、くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉の合計症状スコア(2〜11歳)の改善がみられた。
      国内主要試験成績(症状スコア変化量 平均±SD)
      対象患者
      症例数
      投与前
      変化量
      95%信頼区間
      通年性アレルギー性鼻炎
      102
      5.9±1.3
      -1.78±1.88
      -2.15〜-1.41
      上記試験は6ヵ月〜11歳を対象に実施されたが、くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉の合計スコアの変化量は2〜11歳を対象として評価した。
      副作用は傾眠が0.9%(1/109例)であった 。
    2. 通年性アレルギー性鼻炎患者を対象に、フェキソフェナジン塩酸塩錠(7〜11歳は1回30mg1日2回、12〜15歳は1回60mg1日2回)又は対照薬としてケトチフェンフマル酸塩ドライシロップ(1回1g1日2回)を4週間経口投与した二重盲検比較試験(解析対象127例)で、くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉の合計スコアの変化量において対照薬に対するフェキソフェナジン塩酸塩錠の非劣性が検証された。
      国内主要試験成績(参考)(スコア変化量 平均±SE)
      投与群
      症例数
      投与前
      変化量
      解析結果(共分散分析)注1)
      フェキソフェナジン塩酸塩
      64
      6.09±0.20
      -2.06±0.19
      差の点推定値:-0.227
      95%片側信頼限界上限:0.172
      (非劣性限界値=0.9)
      ケトチフェンフマル酸塩
      63
      6.10±0.19
      -1.83±0.20
      注1)投与前スコア及び年齢層を共変量とした共分散分析を行い、調整済みの2群の差の点推定値及びその95%片側信頼限界上限を示した。
      本剤の副作用発現率は5.3%(4/75例)であり、主な副作用は傾眠2.7%(2/75例)であった 。
  2. 国内第3相試験(成人)
    季節性アレルギー性鼻炎患者を対象とした二重盲検並行群間用量比較試験(解析対象307例)で、プラセボ又はフェキソフェナジン塩酸塩錠1回60mgを1日2回、2週間経口投与したとき、くしゃみ発作、鼻汁、眼症状の合計症状スコアの変化量は以下のとおりであった。
    国内主要試験成績(症状スコア変化量 平均±SE)
    投与群
    症例数
    投与前
    変化量
    検定(共分散分析)
    プラセボ
    105
    6.74±0.14
    0.07±0.18
    p=0.0244
    60mg
    100
    6.64±0.14
    -0.36±0.18
    上記試験はプラセボを対照として1回60mg、120mgの1日2回投与の3群比較で実施されたが、解析結果にはプラセボと60mgの比較のみを示した。
    本剤60mg投与群の副作用発現率は9.9%(10/101例)であり、主な副作用は眠気及び白血球減少症が各3.0%(3/101例)であった 。
  3. 海外第3相試験(成人)
    秋季季節性アレルギー性鼻炎患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(解析対象570例)で、プラセボ又はフェキソフェナジン塩酸塩錠1回60mgを1日2回、14日間経口投与したとき、フェキソフェナジン塩酸塩錠はプラセボに比し症状スコアの有意な減少が示された。
    海外主要試験成績(症状スコア変化量 平均±SE)
    投与群
    症例数
    投与前
    変化量
    検定(共分散分析)
    プラセボ
    141
    8.88±0.14
    -1.56±0.20
    p=0.0001
    60mg
    141
    8.81±0.14
    -2.64±0.20
    上記海外主要試験(12~15歳を含む)はプラセボを対照として3用量(1回60mg、120mg、240mg)を用いて1日2回投与の比較を行っているが、解析結果にはプラセボと60mgの比較のみを示した。
    本剤60mg投与群の副作用発現率は14.2%(20/141例)であり、主な副作用は頭痛2.8%(4/141例)、めまい及び白血球減少が各2.1%(3/141例)であった 。
〈アトピー性皮膚炎〉
  1. 国内第3相試験(小児)
    1. アトピー性皮膚炎患者を対象とした非盲検試験(解析対象103例)で、本剤(6ヵ月〜1歳は1回15mg、2〜11歳は1回30mg)を1日2回4~12週間経口投与したとき、かゆみスコア(6ヵ月〜11歳)の改善がみられた。
      国内主要試験成績(症状スコア変化量 平均±SD)
      対象患者
      症例数
      投与前
      変化量
      95%信頼区間
      アトピー性皮膚炎
      103
      2.06±0.59
      -0.46±0.53
      -0.56〜-0.36
      上記試験は6ヵ月~11歳を対象に実施されたが、かゆみの合計スコアの変化量は2~11歳を対象として評価した。
      副作用は白血球数減少が1.0%(1/103例)であった 。
    2. アトピー性皮膚炎患者を対象に、フェキソフェナジン塩酸塩錠(7〜11歳は1回30mgを1日2回、12〜15歳は1回60mgを1日2回)又は対照薬としてケトチフェンフマル酸塩ドライシロップ(1回1gを1日2回)を4週間経口投与した二重盲検比較試験(解析対象162例)で、対照薬に対するフェキソフェナジン塩酸塩錠の非劣性が示された。
      小児 国内主要試験成績(スコア変化量 平均±SE)
      投与群
      症例数
      投与前
      変化量
      解析結果(共分散分析)注2)
      本剤
      77
      2.32±0.05
      -0.50±0.06
      差の点推定値:0.050
      95%片側信頼限界上限:0.185
      (非劣性限界値=0.37)
      ケトチフェンフマル酸塩
      85
      2.38±0.05
      -0.58±0.06
      注2)投与前スコア及び年齢層を共変量とした共分散分析を行い、調整済みの2群の差の点推定値及びその95%片側信頼限界上限を示した。
      本剤の副作用発現率は10.8%(9/83例)であり、主な副作用は傾眠3.6%(3/83例)であった 。
  2. 国内第3相試験(成人)
    アトピー性皮膚炎患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(解析対象400例)で、プラセボ又はフェキソフェナジン塩酸塩錠60mgを1日2回、1週間経口投与したとき、かゆみスコアの変化量は以下のとおりであった。
    国内主要試験成績(症状スコア変化量 平均±SE)
    投与群
    症例数
    投与前
    変化量
    検定(共分散分析)
    プラセボ
    199
    4.79±0.05
    -0.50±0.06
    p=0.0005
    60mg
    201
    4.68±0.05
    -0.75±0.07
    本剤60mg投与群の副作用発現率は23.2%(48/207例)であり、主な副作用は眠気3.9%(8/207例)及び血清ビリルビン上昇1.4%(3/207例)であった 。
〈蕁麻疹〉
  1. 国内第3相試験(成人)
    慢性蕁麻疹患者を対象とした二重盲検並行群間比較試験(解析対象214例)で、フェキソフェナジン塩酸塩錠1回10mg注3) 又は60mgを1日2回、1週間経口投与したとき、かゆみ及び発疹の合計症状スコアの変化量は以下のとおりであった。
    かゆみ及び発疹の合計症状スコア変化量(平均±SE)
    投与群
    症例数
    投与前
    変化量
    検定(共分散分析)
    10mg
    74
    5.68±0.25
    -2.12±0.34
    p=0.0042
    60mg
    68
    6.40±0.21
    -3.53±0.33
    上記試験は1回10mg、60mg、120mgの1日2回投与の3群比較で実施されたが、解析結果には10mgと60mgの比較のみを示した。
    本剤60mg投与群の副作用発現率は25.3%(19/75例)であり、主な副作用は眠気10.7%(8/75例)及び倦怠感4.0%(3/75例)であった 。
  2. 海外第3相試験(成人)
    慢性蕁麻疹患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(解析対象439例)で、プラセボ又は本剤1回60mgを1日2回、4週間経口投与したとき、本剤はプラセボに比し平均かゆみスコアの有意な減少が示された。
    海外主要試験成績(症状スコア変化量 平均±SE)
    投与群
    症例数
    投与前
    変化量
    検定(共分散分析)
    プラセボ
    90
    1.92±0.09
    -0.47±0.07
    p=0.0001
    60mg
    86
    1.98±0.10
    -1.07±0.07
    上記海外主要試験(12~15歳を含む)はプラセボを対照として4用量(1回20mg、60mg、120mg、240mg)を用いて1日2回投与の比較を行っているが、解析結果にはプラセボと60mgの比較のみを示した。
    本剤60mg投与群の副作用発現率は21.3%(19/89例)であり、主な副作用は頭痛10.1%(9/89例)であった 。

その他

  1. 精神運動能に対する影響
    1. 健康成人にフェキソフェナジン塩酸塩120mg注3) 、第一世代の抗ヒスタミン薬及びプラセボを二重盲検、3剤3期クロスオーバーでそれぞれ単回投与し、ワープロ入力試験に及ぼす影響を検討したとき、その影響は第一世代の抗ヒスタミン薬に比べ有意に小さく、プラセボと同様であった 。
    2. 健康成人にフェキソフェナジン塩酸塩120mg、第二世代の抗ヒスタミン薬及びプラセボを二重盲検、クロスオーバーでそれぞれ単回投与し、ポジトロン放出断層撮影法(PET)を用いて脳への移行性を検討した結果、フェキソフェナジンによる大脳皮質のヒスタミンH1受容体の占拠はほとんどみられなかった。また、視覚刺激反応時間検査においてプラセボと差がなかった 。
    3. ブタクサアレルギー患者に、フェキソフェナジン塩酸塩60mg、第一世代の抗ヒスタミン薬、アルコール及びプラセボを二重盲検、4剤4期クロスオーバーでそれぞれ単回投与し、シミュレーター上での自動車運転能力に及ぼす影響を検討したとき、運転能力に及ぼす影響は第一世代の抗ヒスタミン薬に比べ有意に小さく、プラセボと同様であった (外国人データ)。
  2. 心血管系へ及ぼす影響
    1. 成人の季節性アレルギー性鼻炎患者にフェキソフェナジン塩酸塩を1回240mg注3) まで1日2回2週間投与したとき、プラセボと比較して、QTc間隔の有意な変化は見られなかった (外国人データ)。
    2. 健康成人にフェキソフェナジン塩酸塩を1回60mg1日2回6ヵ月、1回400mg注3) 1日2回6.5日間及び240mg1日1回注3) 1年間投与しても、プラセボに比して、QTc間隔の有意な変動はみられなかった (外国人データ)。
    3. 健康成人男子を対象にしたエリスロマイシンとの薬物相互作用の検討(フェキソフェナジン塩酸塩1回60mg及び120mg1日2回7日間、エリスロマイシン1回300mg1日4回7日間)において、併用により血漿中フェキソフェナジン濃度が約2倍に上昇した場合にでもQTcなどの心電図を含め安全性に問題はみられなかった 。
    4. Cmaxが承認用量投与時の10倍以上となる条件下での検討において、心電図への影響はなく、有害事象の増加も認められなかった (外国人データ)。
    5. フェキソフェナジン塩酸塩にはクローン化したヒト心筋遅延整流K+チャネルに対する影響は認められていない (外国人データ)。
注3)成人における本剤の承認用量は1回60mg、1日2回である。

薬効薬理

作用機序
フェキソフェナジン塩酸塩は、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし、加えて炎症性サイトカイン遊離抑制作用、好酸球遊走抑制作用及び各種ケミカルメディエーター遊離抑制作用を示す。
ヒスタミンH1受容体拮抗作用
フェキソフェナジン塩酸塩は、ヒスタミンH1受容体においてヒスタミンと拮抗し、モルモット摘出回腸標本及び気管標本におけるヒスタミン誘発収縮を抑制した(10-7~3×10-6M)。また、全身投与でモルモット・ヒスタミン誘発気道収縮及び皮膚反応を抑制した。なお、フェキソフェナジン塩酸塩にはアドレナリン、アセチルコリン、セロトニン及びタキキニンの各受容体並びにL型カルシウムチャネルに対する親和性は認められていない 。
好酸球、炎症性サイトカイン及び細胞接着分子に対する作用
フェキソフェナジン塩酸塩は、季節性アレルギー性鼻炎患者由来鼻粘膜上皮細胞培養上清により誘発されるヒト好酸球の遊走を10-6M以上で抑制した。また、季節性アレルギー性鼻炎患者由来鼻粘膜上皮細胞を活性化ヒト好酸球とともに培養したときに培養上清中に遊離される炎症性サイトカインであるIL-8及びGM-CSFをそれぞれ10-6M以上及び10-9M以上で抑制し、細胞接着分子であるsICAM-1を10-9M以上で減少させた 。
ケミカルメディエーター遊離抑制作用
フェキソフェナジン塩酸塩は、健康成人の末梢血好塩基球及びアトピー性皮膚炎患者の末梢血白血球からの抗ヒトIgE抗体刺激によるヒスタミン遊離を抑制した(10-6〜10-5M)。また、モルモット抗原誘発即時型喘息モデルにおいて気管支肺胞洗浄液(BALF)中のロイコトリエン量を減少させた 。
I型アレルギー病態モデル動物に対する作用
フェキソフェナジン塩酸塩は、モルモット抗原誘発アレルギー性鼻炎、ラット受身皮膚アナフィラキシー(PCA)反応、ラット抗原誘発全身性アナフィラキシー反応及びモルモット抗原誘発即時型喘息反応を抑制した 。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
フェキソフェナジン塩酸塩
(Fexofenadine Hydrochloride)
化学名
2-(4-{(1RS)-1-Hydroxy-4-[4-(hydroxydiphenylmethyl)piperidin-1-yl]butyl}phenyl)-2-methylpropanoic acid monohydrochloride
分子式
C32H39NO4・HCl
分子量
538.12
性状
本品は白色の結晶性の粉末である。
本品はメタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水に溶けにくい。
本品のメタノール溶液(3→100)は旋光性を示さない。
本品は結晶多形が認められる。
化学構造式
分配係数
2.0(pH7、水-オクタノール系)

包装

30g(0.3g×100包)
60g(0.6g×100包)

主要文献

1
社内資料:小児における母集団薬物動態解析(2014年1月17日承認、CTD2.5.3.1)
2
社内資料:小児における薬物動態(2006年10月20日承認、CTD2.5.3(2))
3
社内資料:健康成人における薬物動態(2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.1.(1))
4
社内資料:健康成人における生物学的同等性(2014年1月17日承認、CTD2.7.6.2)
5
社内資料:食事の影響(2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.1.(1).2))
6
社内資料:健康成人における蛋白結合
7
社内資料:健康成人における代謝(2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.1.(2))
8
社内資料:腎機能障害患者における薬物動態(2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.3.(4))
9
社内資料:肝機能障害患者における薬物動態(2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.3.(3))
10
社内資料:高齢者における薬物動態(2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.3.(2))
11
浦江明憲 他:臨床薬理. 2000;31(5):639-648
12
社内資料:エリスロマイシンとの相互作用(2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.2.(1)、ト.I.5.(1))
13
社内資料:オメプラゾール及び水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウムとの相互作用(2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.2.(3)(4))
14
社内資料:ケトコナゾールとの相互作用(2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.2.(2))
15
社内資料:小児通年性アレルギー性鼻炎患者における無対照試験(2014年1月17日承認、CTD2.7.6.2)
16
馬場廣太郎:耳鼻咽喉科臨床. 2007;100(2)補冊(119):1-20
17
社内資料:季節性アレルギー鼻炎患者における用量比較試験(2000年9月22日承認、申請資料概要ト.II.2.(2))
18
Bernstein, D.I., et al.:Ann. Allergy Asthma Immunol. 1997;79(5):443-448
19
中川秀己 他:西日本皮膚科. 2006;68(5):553-565
20
Kawashima, M., et al.:Br. J. Dermatol. 2003;148(6):1212-1221
21
Kawashima, M., et al.:Int. Arch. Allergy Immunol. 2001;124:343-345
22
Finn, A.F., et al.:J. Allergy Clin. Immunol. 1999;104(5):1071-1078
23
浦江明憲 他:臨床薬理. 2000;31(5):649-658
24
Tashiro, M., et al.:J. Clin. Pharmacol. 2004;44(8):890-900
25
Weiler, J.M., et al.:Ann. Intern. Med. 2000;132:354-363
26
Pratt, C.M., et al.:Am. J. Cardiol. 1999;83:1451-1454
27
Pratt, C., et al.:Clin. Exp. Allergy. 1999;29(Suppl.3):212-216
28
社内資料:高用量における心電図の検討試験(2000年9月22日承認、申請資料概要ト.I.5.(4))
29
社内資料:QTc間隔延長の可能性に関する検討(2000年9月22日承認、申請資料概要ホ.II.2.(1))
30
社内資料:薬効薬理の検討
31
Abdelaziz, M.M., et al.:J. Allergy Clin. Immunol. 1998;101:410-420

文献請求先及び問い合わせ先

サノフィ株式会社 コールセンター くすり相談室
〒163-1488 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号
フリーダイヤル 0120-109-905 FAX(03)6301-3010

製造販売業者等

製造販売元
サノフィ株式会社
〒163-1488 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号
提携先
ADARE社

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

MESSAGE

MESSAGE

LABEL