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閲覧履歴

レグパラ錠25mg

カルシウム受容体作動薬

1錠 518.6円

添付文書番号

3999023F1022_2_11

企業コード

230124

作成又は改訂年月

2019年11月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

873999

薬効分類名

カルシウム受容体作動薬

承認等

販売名

レグパラ錠12.5mg

販売名コード

3999023F3025

販売名英字表記

REGPARA TABLETS

承認番号等

承認番号
22700AMX00169

販売開始年月

2015年6月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

レグパラ錠25mg

販売名コード

3999023F1022

販売名英字表記

REGPARA TABLETS

承認番号等

承認番号
21900AMX01750

販売開始年月

2008年1月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

レグパラ錠75mg

販売名コード

3999023F2029

販売名英字表記

REGPARA TABLETS

承認番号等

承認番号
21900AMX01751

販売開始年月

2008年1月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注3)
注3)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

シナカルセト塩酸塩

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

レグパラ錠12.5mg
有効成分
1錠中 シナカルセト塩酸塩  13.78mg
シナカルセトとして  12.5mg
添加剤
黄色三二酸化鉄、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トリアセチン、乳糖水和物、ヒプロメロース、部分アルファー化デンプン、ポビドン、マクロゴール400
レグパラ錠25mg
有効成分
1錠中 シナカルセト塩酸塩  27.55mg
シナカルセトとして  25mg
添加剤
青色2号アルミニウムレーキ、黄色三二酸化鉄、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トリアセチン、乳糖水和物、ヒプロメロース、部分アルファー化デンプン、ポビドン、マクロゴール400
レグパラ錠75mg
有効成分
1錠中 シナカルセト塩酸塩  82.65mg
シナカルセトとして  75mg
添加剤
黄色三二酸化鉄、クロスポビドン、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、トリアセチン、乳糖水和物、ヒプロメロース、部分アルファー化デンプン、ポビドン、マクロゴール400

製剤の性状

レグパラ錠12.5mg
剤形フィルムコーティング錠
色調淡黄赤色
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
6mm
大きさ(厚さ)
3.4mm
質量約104mg
識別コードKR05
レグパラ錠25mg
剤形フィルムコーティング錠
色調淡緑色~淡黄緑色
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
8mm
大きさ(厚さ)
4mm
質量約207mg
識別コードKR02
レグパラ錠75mg
剤形フィルムコーティング錠
色調淡黄色
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
8mm
大きさ(厚さ)
4mm
質量約207mg
識別コードKR03

効能又は効果

  • 維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
  • 下記疾患における高カルシウム血症
    ・副甲状腺癌
    ・副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症

用法及び用量

〈維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症〉
開始用量としては、成人には1日1回シナカルセトとして25mgを経口投与する。以後は、患者の副甲状腺ホルモン(PTH)及び血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1日1回25~75mgの間で適宜用量を調整し、経口投与する。ただし、PTHの改善が認められない場合には、1回100mgを上限として経口投与する。増量を行う場合は増量幅を25mgとし、3週間以上の間隔をあけて行うこと。
〈副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症〉
開始用量としては、成人にはシナカルセトとして1回25mgを1日2回経口投与する。以後は、患者の血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1回25~75mgの間で適宜用量を調整し、1日2回経口投与する。増量を行う場合は1回の増量幅を25mgとし、2週間以上の間隔をあけて行うこと。なお、血清カルシウム濃度の改善が認められない場合は、1回75mgを1日3回又は4回まで経口投与できる。

用法及び用量に関連する注意

〈維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症〉
  1. 本剤は血中カルシウムの低下作用を有するので、血清カルシウム濃度が低値でないこと(目安として9.0mg/dL以上)を確認して投与を開始すること。
  2. 血清カルシウム濃度は、本剤の開始時及び用量調整時は週1回測定し、維持期には2週に1回以上測定すること。血清カルシウム濃度が8.4mg/dL以下に低下した場合は、下表のように対応すること。血清カルシウム濃度やPTHのコントロールが困難な場合には減量幅を12.5mgとすることを考慮すること。
    血清カルシウム濃度
    対応
    処置
    検査
    増量・再開
    本剤の投与
     
    8.4mg/dL以下
    原則として本剤の増量は行わない。(必要に応じて本剤の減量を行う。)
    カルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮する。
    血清カルシウム濃度を週1回以上測定する。
     
    心電図検査を実施することが望ましい。
    増量する場合には、8.4mg/dL以上に回復したことを確認後、増量すること。
    7.5mg/dL以下
    直ちに休薬する。
    再開する場合には、8.4mg/dL以上に回復したことを確認後、休薬前の用量か、それ以下の用量から再開すること。
    血清カルシウム濃度の検査は、本剤の薬効及び安全性を適正に判断するために、服薬前に実施することが望ましい。また、低アルブミン血症(血清アルブミン濃度が4.0g/dL未満)の場合には、補正値注)を指標に用いることが望ましい。
  3. PTHが管理目標値に維持されるように、定期的にPTHを測定すること。PTHの測定は本剤の開始時及び用量調整時(目安として投与開始から3ヵ月程度)は月2回とし、PTHがほぼ安定したことを確認した後は月1回とすることが望ましい。なお、PTHの測定は本剤の薬効及び安全性を適正に判断するために服薬前に実施することが望ましい。
〈副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症〉
  1. 血清カルシウム濃度は、本剤の開始時及び用量調整時は週1回を目安に測定し、維持期には定期的に測定することが望ましい。血清カルシウム濃度が8.4mg/dL以下に低下した場合は、必要に応じて減量又は休薬し、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮する。ただし、血清カルシウム濃度が7.5mg/dL以下に低下した場合は、直ちに休薬すること。また、低アルブミン血症(血清アルブミン濃度が4.0g/dL未満)の場合には、補正値注)を指標に用いることが望ましい。血清カルシウム濃度やPTHのコントロールが困難な場合には減量幅を12.5mgとすることを考慮すること。
注)補正カルシウム濃度算出方法:
補正カルシウム濃度(mg/dL)=血清カルシウム濃度(mg/dL)-血清アルブミン濃度(g/dL)+4.0

重要な基本的注意

  1. 本剤投与中は定期的に血清カルシウム濃度を測定し、低カルシウム血症が発現しないよう十分注意すること。低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合には、本剤の減量等も考慮するとともにカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること。また、本剤投与中にカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を中止した際には、低カルシウム血症の発現に注意すること。
  2. 本剤の開始時及び用量調整時は頻回に患者の症状を観察し、副作用の発現などに注意すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 低カルシウム血症の患者
    低カルシウム血症を悪化させるおそれがある。
  2. 痙攣発作のある患者又はその既往歴のある患者
    海外臨床試験において、痙攣発作の既往歴を有する患者等で、痙攣発作が発現したとの報告がある。
  3. 消化管出血や消化管潰瘍又はその既往歴のある患者
    症状を悪化又は再発させるおそれがある。

肝機能障害患者

本剤は肝臓で代謝されるので、曝露量が増加する。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット及びウサギ)で母動物の低カルシウム血症、体重増加抑制及び摂餌量減少、胎児重量の減少が観察されている。また、動物実験(ラット及びウサギ)で胎盤を通過することが報告されている。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。また、動物実験(ラット)で授乳期に本剤を母動物に投与した場合、授乳期新生児に一過性の体重増加抑制が認められている。

小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

高齢者

副作用が発現した場合には減量するなど注意すること。65歳以上の患者における副作用(特にQT延長)の発現頻度は65歳未満の患者に比較して高い傾向が認められている。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アゾール系抗真菌剤
イトラコナゾール 等
マクロライド系抗生物質
エリスロマイシン
クラリスロマイシン 等
アミオダロン塩酸塩
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記のようなCYP3A4阻害剤等との併用で、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。本剤とケトコナゾールを併用したとき、本剤のAUCが約2倍増加した。
三環系抗うつ薬
アミトリプチリン塩酸塩
イミプラミン塩酸塩 等
ブチロフェノン系抗精神病薬
ハロペリドール 等
フレカイニド酢酸塩
ビンブラスチン硫酸塩
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤のCYP2D6阻害作用により左記のようなCYP2D6基質薬物の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。本剤とデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を併用したとき、デキストロメトルファンのAUCが約11倍増加した。
カルシトニン
ビスホスホン酸塩系骨吸収抑制剤
パミドロン酸二ナトリウム水和物
アレンドロン酸ナトリウム水和物
インカドロン酸二ナトリウム水和物 等
副腎皮質ホルモン
コルチゾン
プレドニゾロン
デキサメタゾン 等
血清カルシウム濃度が低下するおそれがある。
本剤の血中カルシウム低下作用が増強される可能性がある。
ジギトキシン
ジアゼパム 等
本剤の血中濃度に影響を与えるおそれがある。
血漿蛋白結合率が高いことによる。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 低カルシウム血症・血清カルシウム減少(13.7%)
    低カルシウム血症に基づくと考えられる症状(QT延長、しびれ、筋痙攣、気分不良、不整脈、血圧低下及び痙攣等)があらわれた場合には、血清カルシウム濃度を確認し、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること。
  2. QT延長(5.3%)
  3. 消化管出血、消化管潰瘍(頻度不明)
  4. 意識レベルの低下(0.2%)、一過性意識消失(0.2%)
  5. 突然死(0.3%)
    本剤投与例に原因不明の突然死が報告されている。

その他の副作用

5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
消化器
悪心・嘔吐 (25.1%)、胃不快感(17.1%)、食欲不振、腹部膨満
上腹部痛、下痢、便秘、胃・十二指腸炎、消化不良、腹部不快感、胃腸障害、逆流性食道炎、腹痛
胃潰瘍、口内炎、心窩部不快感、便潜血、胃腸炎、痔核、裂孔ヘルニア
循環器
血圧上昇、不整脈
血圧低下、心筋梗塞、心室性期外収縮、心房細動、動悸、心筋虚血、上室性期外収縮、頻脈
精神・神経
頭痛、しびれ、めまい、錯感覚、不眠症
筋骨格
筋痙攣、四肢痛、関節痛
筋痛、こわばり
代謝
CK上昇、LDH上昇、血糖上昇、脱水、高脂血症、総コレステロール上昇
感覚器
味覚異常
肝臓
Al-P上昇
AST・ALT上昇
ビリルビン上昇、γ-GTP上昇
結膜出血、眼乾燥
皮膚
そう痒
発疹、脱毛、皮下出血
内分泌
甲状腺腫
血液
貧血
血小板減少
その他
倦怠感、浮腫
気分不良、脱力、胸部不快感、口渇、体重減少、シャント閉塞、胸痛、発熱、勃起不全

過量投与

  1. 症状
    低カルシウム血症を発現させると考えられる。
  2. 処置
    低カルシウム血症の徴候及び症状を観察し、低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。なお、本剤は血液透析により除去されない。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 透析導入前の二次性副甲状腺機能亢進症を伴う慢性腎不全患者に本剤を投与した海外臨床試験において、透析施行中の患者に比べて血清カルシウム濃度が正常下限(8.4mg/dL)未満になりやすいとの報告がある。なお、透析導入前の二次性副甲状腺機能亢進症を伴う慢性腎不全患者への投与は承認外である。
  2. 海外において、本剤による過度のPTHの低下により、無形成骨症が生じたとの報告がある。
  3. 海外において、本剤投与後の急激なPTHの低下により、低カルシウム血症及び低リン酸血症を伴う飢餓骨症候群(hungry bone syndrome)を発現したとの報告がある。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    1. 健康成人
      健康成人に本剤25、50及び100mgを空腹時に単回経口投与したときの血漿中シナカルセト濃度は投与量に依存して高くなっており、二相性の消失を示した。薬物動態パラメータは下表のとおりであった。
      健康成人にシナカルセト塩酸塩を単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
      健康成人にシナカルセト塩酸塩を単回投与したときの薬物動態パラメータ
      投与量(mg)
      薬物動態パラメータ
      25
      Cmax(ng/mL)
      2.63±1.23
      tmax(h)
      3.9±1.4
      AUC(ng・h/mL)
      18.5±10.5
      t1/2(h)
      7.70±3.54
      50
      Cmax(ng/mL)
      17.73±10.89
      tmax(h)
      4.0±0.0
      AUC(ng・h/mL)
      117.7±65.7
      t1/2(h)
      24.81±9.41
      100
      Cmax(ng/mL)
      41.88±12.19
      tmax(h)
      4.0±1.3
      AUC(ng・h/mL)
      409.8±160.3
      t1/2(h)
      32.22±5.63
      平均値±標準偏差, n=6
    2. 血液透析患者
      血液透析患者に本剤25、50及び100mgを空腹時に単回経口投与したときの非透析日及び透析日における血漿中シナカルセト濃度は投与量に依存して高くなっており、二相性の消失を示した。薬物動態パラメータは下表のとおりであり、透析の影響は認められなかった。
      血液透析患者にシナカルセト塩酸塩を単回投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
      血液透析患者にシナカルセト塩酸塩を単回投与したときの薬物動態パラメータ
      投与量(mg)
      薬物動態パラメータ
      非透析日
      透析日
      25
      Cmax(ng/mL)
      5.16±2.34
      9.92±6.64
      tmax(h)
      5.6±1.1
      4.8±1.4
      AUC(ng・h/mL)
      57.6±25.1
      85.4±26.0
      t1/2(h)
      28.45±14.24
      32.94±14.52
      50
      Cmax(ng/mL)
      17.89±10.00
      20.71±13.71
      tmax(h)
      6.0±1.1
      4.6±1.6
      AUC(ng・h/mL)
      207.1±91.8
      218.6±99.6
      t1/2(h)
      38.58±20.19
      33.96±10.23
      100
      Cmax(ng/mL)
      26.92±15.80
      36.70±26.09
      tmax(h)
      4.8±1.8
      4.4±1.8
      AUC(ng・h/mL)
      383.3±126.5
      408.4±125.8
      t1/2(h)
      38.47±8.62
      40.12±7.50
      平均値±標準偏差, Cmax、tmaxはn=8、それ以外はn=7
  2. 反復投与
    健康成人に本剤50mgを7日間反復経口投与したときの血漿中シナカルセトのトラフ濃度推移より、7日間の投与期間中にほぼ定常状態に達していることが確認された。
    血液透析患者を対象に、反復投与時の血漿中シナカルセトのトラフ濃度推移について最長53週間検討しているが、経時的な上昇又は低下傾向は認められず、反復投与により血漿中シナカルセト濃度は定常状態に到達していることが確認された。

吸収

  1. バイオアベイラビリティ
    本剤(25~100mg)を経口投与したときのバイオアベイラビリティ(平均値)は、5.1~28.4%(国内)及び7.9~24.4%(海外)であった。
  2. 食事の影響
    健康成人を対象に本剤50mgを単回経口投与したときの本剤の薬物動態に対する食事の影響を検討した結果、空腹時及び食後投与時における本剤の薬物動態パラメータはほぼ同様な値を示しており、本剤の薬物動態に及ぼす食事の影響は小さいと考えられた。

分布

健康成人の血漿を使用したin vitro試験でのシナカルセト(25~100ng/mL)の血漿蛋白結合率は男性で96.67~97.67%、女性で94.33~97.67%と高く、男女間に差は認められなかった。また、本剤を単回経口投与したときのシナカルセトの血漿蛋白結合率は、外国人肝機能正常者及び肝機能障害者を対象とした試験において94.7~97.1%、外国人腎機能正常者及び腎機能障害者を対象とした試験で92.7~95.1%とほぼ同じ値を示した,。結合蛋白種としてアルブミンが考えられ、サイトⅡに対する親和性が高いことが示唆された,

代謝

外国人健康成人を対象として14C標識体75mgを単回経口投与した結果、シナカルセトはN-脱アルキル化又はナフタレン環の酸化により速やかに代謝されることが確認された。

排泄

健康成人を対象とした試験における本剤の未変化体の尿中排泄率は非常に低く、反復投与による尿中排泄に対する影響は認められなかった。外国人健康成人を対象として14C標識体75mgを単回経口投与した結果より、本剤は主に代謝物として尿中に排泄されることが確認された。

特定の背景を有する患者

  1. 肝機能障害患者
    肝機能正常者と肝機能障害患者を対象に、本剤50mgを空腹時に単回経口投与したときの薬物動態を検討した結果、Child-Pugh分類で中等度及び高度な肝機能障害を有する患者において、肝機能正常者と比べAUCがそれぞれ2.4倍及び4.2倍上昇した。なお、Child-Pugh分類で軽度の肝機能障害を有する患者のAUCは肝機能正常者と同様であった。

薬物相互作用

  1. その他の薬剤
    胃内pHを変動させる薬剤(炭酸カルシウム)あるいはリン吸着剤(セベラマー塩酸塩)との併用試験において、本剤の薬物動態に変化は認められなかった,(外国人データ)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症〉
  1. 国内第Ⅲ相試験(血液透析)
    血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者143例(本剤72例、プラセボ71例)を対象に、本剤又はプラセボを1日1回25mgより投与開始し、100mgまでの範囲で用量調整を行い、14週間経口投与した。その結果、投与終了時において血清intact PTH濃度が目標値(250pg/mL以下)に達した被験者の割合は、本剤で51.4%、プラセボで2.8%であり、本剤ではプラセボと比較し有意に高かった(χ2=42.521、p<0.001)。
    副作用発現頻度は73.6%(53/72例)であった。主な副作用は、悪心33.3%(24/72例)、胃不快感22.2%(16/72例)、嘔吐19.4%(14/72例)、倦怠感9.7%(7/72例)及び消化不良8.3%(6/72例)であった。
  2. 国内第Ⅱ/Ⅲ相試験(血液透析)
    血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者369例を対象に、本剤を投与した国内第Ⅱ/Ⅲ相試験の結果は以下の通りであった,,
    • 血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者65例を対象に、本剤を用量反応試験終了時と同用量又はそれより低い用量注1)から投与開始し、100mgまでの範囲で用量調整を行い、44 週間経口投与した。その結果、投与終了時において血清intact PTH濃度が目標値(250pg/mL以下)に達した被験者の割合は43.1%であった。
      副作用発現頻度は70.8%(46/65例)であった。主な副作用は、嘔気18.5%(12/65例)、腹部膨満16.9%(11/65例)、胃不快感13.8%(9/65例)、食欲不振12.3%(8/65例)、上腹部痛、消化器不調、嘔吐及び食欲減退 各7.7%(5/65例)であった。
    • 血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者105例を対象に、本剤を1日1回12.5mg注1)より投与開始し、100mgまでの範囲で用量調整を行い、52週間経口投与した。その結果、投与終了時において血清intact PTH濃度が目標値(250pg/mL以下)に達した被験者の割合は43.8%であった。
      副作用発現頻度は84.8%(89/105例)であった。主な副作用は、胃不快感22.9%(24/105例)、低カルシウム血症21.9%(23/105例)、嘔気15.2%(16/105例)、心電図QT補正間隔延長13.3%(14/105例)及び食欲不振11.4%(12/105例)であった。
    • 血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者199例を対象に、本剤を1日1回25mgより投与開始し、100mgまでの範囲で用量調整を行い、52 週間経口投与した。その結果、投与終了時において血清intact PTH濃度が目標値(250pg/mL以下)に達した被験者の割合は57.8%であった。
      副作用発現頻度は72.5%(145/200例)であった。主な副作用は、胃不快感21.5%(43/200例)、悪心14%(28/200例)、嘔吐9.5%(19/200例)、低カルシウム血症9.0%(18/200例)及び食欲不振7.5%(15/200例)であった。
    注1)維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症に対する本剤の開始用量は1日1回25mgである。
  3. 国内第Ⅲ相試験(腹膜透析)
    腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者29例を対象に、本剤を1日1回25mgより投与開始し、100mgまでの範囲で用量調整を行い、16週間経口投与した。その結果、投与終了時において血清intact PTH濃度が目標値(250pg/mL以下)に達した被験者の割合は24.1%であり、腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者における本剤の血清intact PTH濃度低下効果が確認された。
    副作用発現頻度は75.9%(22/29例)であった。主な副作用は、悪心41.4%(12/29例)、嘔吐、胃不快感 各20.7%(6/29例)、食欲不振17.2%(5/29例)、腹部膨満、血中カルシウム減少、血圧低下及び低カルシウム血症 各6.9%(2/29例)であった。
〈副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    副甲状腺癌に伴う高カルシウム血症患者5例、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症に伴う高カルシウム血症患者2例を対象に、本剤1回25mgを1日2回より投与開始し、1回75mg 1日3回までの範囲で用量調整を行い、経口投与した。用量調整期終了時(投与期間4~13週間)には、補正血清カルシウム濃度は7例中5例でベースライン値から1.0mg/dL以上減少し、5例で10.3mg/dL以下に低下した。
    副作用の発現頻度は100%(7/7例)であった。主な副作用は、悪心57.1%(4/7例)、嘔吐42.9%(3/7例)、胃食道逆流性疾患28.6 %(2/7例)、便秘、胃炎、口腔内不快感、肝障害、血中亜鉛減少、低比重リポ蛋白増加、体重減少、筋痙縮、頭痛及び感覚鈍麻 各14.3%(1/7例)であった。
  2. 海外第Ⅱ相試験
    副甲状腺癌患者29例、副甲状腺摘出術が禁忌又は摘出後に再発し、血清カルシウム濃度が12.5mg/dLを超えた原発性副甲状腺機能亢進症患者17例を対象に、本剤1回30mgを1日2回より投与開始し、1回90mg 1日4回までの範囲注2)で用量調整を行い、経口投与した。用量調整期終了時(投与期間1~22週間)には、血清カルシウム濃度は46例中33例(71.7%)でベースライン値から1.0mg/dL以上減少し、14例(30.4%)で10.3mg/dL以下に低下した,
    副作用発現頻度は84.8%(39/46例)であった。主な副作用は、悪心58.7%(27/46例)、嘔吐41.3%(19/46例)、錯感覚15.2%(7/46例)、体重減少及び食欲減退 各8.7%(4/46例)、無力症、脱水、筋痙縮及び頭痛 各6.5%(3/46例)であった。
    注2)副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症に対する本剤の開始用法・用量は1回25mgを1日2回であり、最高用法・用量は1回75mgを1日4回である。

薬効薬理

作用機序
本剤は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体を介して作用を発現する。カルシウム受容体はPTH分泌に加え、PTH生合成及び副甲状腺細胞増殖を制御している。本剤は、カルシウム受容体に作動し、主としてPTH分泌を抑制することで、血清PTH濃度を低下させる。また、反復投与では本剤の副甲状腺細胞増殖抑制作用も血清PTH濃度低下に寄与すると考えられる,,
PTH分泌抑制作用(in vitro
本剤は、ウシ副甲状腺細胞及びヒト副甲状腺細胞からのPTH分泌を濃度依存的に抑制した,
副甲状腺細胞増殖抑制作用
本剤は、部分腎摘ラットへの反復経口投与により副甲状腺細胞増殖を抑制し、副甲状腺過形成の進展を抑制した。
血清PTH及びカルシウム濃度低下効果
本剤は、正常ラット及び部分腎摘ラットへの単回経口投与により血清PTH及びカルシウム濃度を投与量依存的に低下させた。
骨障害抑制効果
二次性副甲状腺機能亢進症では、血清PTH濃度の上昇による骨障害が発症する。本剤は、部分腎摘ラットへの反復経口投与により血清PTH濃度の上昇による骨障害の症状である骨髄線維化、皮質骨粗鬆化、皮質骨骨密度低下及び骨強度低下を抑制した。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
シナカルセト塩酸塩(Cinacalcet Hydrochloride)(JAN)
化学名
N-[(1R)-1-(Naphthalen-1-yl)ethyl]-3-[3-(trifluoromethyl)phenyl]propan-1-amine monohydrochloride
分子式
C22H22F3N・HCl
分子量
393.87
性状
白色~帯微黄白色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水に溶けにくく、ヘキサンにほとんど溶けない。
化学構造式
融点
約181℃

承認条件

〈副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症〉
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後に本剤が投与された全症例を対象に使用成績調査を実施し、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

包装

〈レグパラ錠12.5mg〉
[PTP]100錠(10錠×10)
〈レグパラ錠25mg〉
[PTP]100錠(10錠×10)
〈レグパラ錠75mg〉
[PTP]100錠(10錠×10)

主要文献

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Ohashi N, et al. : Br J Clin Pharmacol. 2004; 57: 726-734
6
社内資料:バイオアベイラビリティ(2007年10月19日承認、CTD2.5.2.1)
7
社内資料:本剤の薬物動態に及ぼす食事の影響に関する検討(2007年10月19日承認、CTD2.7.6.2.1)
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社内資料:本剤の血漿蛋白結合に関する検討(2007年10月19日承認、CTD2.6.4.4.3.1)
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11
社内資料:本剤の血漿蛋白に対する結合部位の検討(2007年10月19日承認、CTD2.6.4.4.3.2)
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東純一ほか:薬理と治療. 2007;35:953-962
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