作成又は改訂年月
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2019年7月改訂(製造販売元社名変更、他)
〈第5版〉
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2018年6月改訂
日本標準商品分類番号
日本標準商品分類番号等
薬効分類名
承認等
販売名
ジーラスタ皮下注3.6mg
販売名コード
承認・許可番号
22600AMX01304
G-LASTA Subcutaneous Injection
薬価基準収載年月
販売開始年月
貯法・使用期限等
貯法
遮光下、2〜8℃に保存
使用期限
包装に表示の期限内に使用すること
規制区分
処方箋医薬品
注意−医師等の処方箋により使用すること
組成
有効成分(1シリンジ0.36mL中)
ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え) 3.6mg
添加物(1シリンジ0.36mL中)
D-ソルビトール 18mg
氷酢酸 0.216mg
水酸化ナトリウム 適量
ポリソルベート20 0.0144mg
性状
色・性状 | 無色澄明の液 |
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pH | 3.7〜4.3 |
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浸透圧比 | 約1(生理食塩液対比) |
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一般的名称
禁忌
本剤の成分又は他の顆粒球コロニー形成刺激因子製剤に過敏症の患者
骨髄中の芽球が十分減少していない骨髄性白血病の患者及び末梢血液中に骨髄芽球の認められる骨髄性白血病の患者[芽球が増加することがある。](「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)
効能又は効果
効能又は効果に関連する使用上の注意
臨床試験に組み入れられた患者における発熱性好中球減少症発現のリスク等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと(「臨床成績」の項参照)。
本剤を使用する際には、国内外の最新のガイドライン等を参考にすること。
用法及び用量
通常、成人にはがん化学療法剤投与終了後の翌日以降、ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)として、3.6mgを化学療法1サイクルあたり1回皮下投与する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
がん化学療法剤の投与開始14日前から投与終了後24時間以内に本剤を投与した場合の安全性は確立していない。
使用上の注意
慎重投与
薬物過敏症の既往歴のある患者
アレルギー素因のある患者
重要な基本的注意
過敏症等の反応を予測するために、使用に際してはアレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。
本剤投与により骨痛、背部痛等が起こることがあるので、このような場合には非麻薬性鎮痛剤を投与するなどの適切な処置を行うこと。
急性骨髄性白血病患者では本剤投与により芽球の増加を促進させることがあるので、定期的に血液検査及び骨髄検査を行い、芽球の増加が認められた場合には本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内臨床試験の安全性評価対象例632例中、副作用(臨床検査値異常を含む)の発現例は474例(75.0%)であった。主な副作用(5.0%以上)は、LDH上昇162例(25.6%)、背部痛121例(19.1%)、発熱91例(14.4%)、関節痛90例(14.2%)、けん怠感65例(10.3%)、ALT(GPT)上昇61例(9.7%)、Al-P上昇61例(9.7%)、頭痛53例(8.4%)、筋肉痛51例(8.1%)、AST(GOT)上昇45例(7.1%)、白血球増加45例(7.1%)、好中球増加41例(6.5%)、発疹37例(5.9%)、リンパ球減少35例(5.5%)等であった。[承認時]
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
間質性肺疾患(0.5%)
肺臓炎、肺障害等の間質性肺疾患が発現又は増悪することがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難及び胸部X線検査異常等が認められた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮し、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
急性呼吸窮迫症候群(頻度不明)
急性呼吸窮迫症候群が発現することがあるので、観察を十分に行い、急速に進行する呼吸困難、低酸素血症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には、呼吸管理等の実施を考慮し、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
芽球の増加(頻度不明)
急性骨髄性白血病において、芽球の増加を促進させることがあるので、観察を十分に行い、芽球の増加が認められた場合には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
脾腫(0.3%)・脾破裂(頻度不明)
脾腫、脾破裂が発現することがあるので、血液学的検査値の推移に留意するとともに、腹部超音波検査等により観察を十分に行い、脾臓の急激な腫大が認められた場合には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
毛細血管漏出症候群(頻度不明)
毛細血管漏出症候群が発現することがあるので、観察を十分に行い、低血圧、低アルブミン血症、浮腫、肺水腫、胸水、腹水、血液濃縮等が認められた場合には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
Sweet症候群(頻度不明)
Sweet症候群が発現することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
皮膚血管炎(頻度不明)
皮膚血管炎が発現することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
*大型血管炎(大動脈、総頸動脈、鎖骨下動脈等の炎症)(頻度不明)
大型血管の炎症が発現することがあるので、発熱 、CRP上昇 、大動脈壁の肥厚等が認められた場合には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
その他の副作用
皮膚
5%以上
発疹
皮膚
1〜5%未満
蕁麻疹、紅斑、そう痒症
皮膚
1%未満
多形紅斑、皮膚剥脱
筋・骨格
5%以上
背部痛、関節痛、筋肉痛
筋・骨格
1〜5%未満
骨痛、四肢痛
筋・骨格
1%未満
筋骨格痛
消化器
1〜5%未満
下痢、便秘、腹痛、腹部不快感、悪心、嘔吐、口内炎
肝臓
5%以上
ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇
肝臓
1〜5%未満
肝機能異常、血中ビリルビン増加、γ-GTP増加
血液
5%以上
白血球増加、好中球増加、リンパ球減少
血液
1〜5%未満
貧血、血小板減少、白血球減少
血液
1%未満
単球増加
代謝及び栄養
1〜5%未満
電解質(カリウム、カルシウム、リン、クロール、ナトリウム)異常、高血糖、食欲減退
精神神経系
5%以上
頭痛
精神神経系
1〜5%未満
味覚異常、めまい、異常感覚
精神神経系
1%未満
感覚鈍麻、不眠症
呼吸器
1%未満
口腔咽頭痛、咳嗽、呼吸困難
腎臓
頻度不明
糸球体腎炎
その他
5%以上
LDH上昇、発熱、けん怠感、Al-P上昇
その他
1〜5%未満
潮紅、浮腫、CRP上昇、疼痛、胸痛
その他
1%未満
血中アルブミン減少、尿酸増加、注射部位反応(注射部位疼痛を含む)
高齢者への投与
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること [高齢者では、一般に生理機能(造血機能、肝機能、腎機能等)が低下している]。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい [妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
2授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること [授乳中の投与に関する安全性は確立していない]。
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1本剤を使用する際は、チップキャップを外し、適当な注射針を取り付け投与すること。
2使用後の残液は確実に廃棄すること。
その他の注意
本剤の国内臨床試験において、悪性リンパ腫患者での骨髄異形成症候群発現が報告されている(0.3%、2/632例)。
顆粒球コロニー形成刺激因子が、数種のヒト膀胱癌及び骨肉腫細胞株に対しin vitro あるいはin vivo で増殖促進傾向を示したとの報告がある。
本剤の投与と抗ペグフィルグラスチム抗体及び抗フィルグラスチム抗体の発現との関連性は不明である。
薬物動態
1血清中濃度
単回投与1),2)
肺癌患者
がん化学療法施行後の肺癌患者に本剤30、60及び100μg/kg
注)を単回皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。C
max及びAUC
0-∞は投与量比以上に増加し、本剤の薬物動態は非線形性を示した。(薬物動態の表1参照)
血清中濃度推移(平均値+標準偏差)
悪性リンパ腫患者
がん化学療法施行後の悪性リンパ腫患者に本剤1.8、3.6及び6.0mg
注)を単回皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。C
max及びAUC
0-∞は投与量比以上に増加し、本剤の薬物動態は非線形性を示した。(薬物動態の表2参照)
血清中濃度推移(平均値+標準偏差)
反復投与2)
悪性リンパ腫患者に、本剤1.8、3.6及び6.0mg注)を化学療法1サイクルごとに単回皮下投与したときの血清中トラフ濃度は、化学療法2〜4サイクルにおいていずれの投与量でも定量下限値(0.2ng/mL)未満であった。
注)本剤の承認用量は1回3.6mgである (「用法・用量」の項参照)。
2消失3)
本剤の消失には、好中球及び好中球前駆細胞に発現しているG-CSF受容体を介して本剤が細胞内へ取りこまれ、細胞内分解を受ける経路が寄与していると推察される。
3腎機能低下患者における薬物動態(外国人データ4))
健康成人又は腎機能低下患者(軽度、中程度、重度、末期腎不全)に対して本剤6mg注)を単回皮下投与したとき、本剤の薬物動態パラメータと腎機能の程度に関連は認められなかった。
注)本剤の承認用量は1回3.6mgである (「用法・用量」の項参照)。
投与量 | 30μg/kg | 60μg/kg | 100μg/kg |
被験者数 | 6 | 6 | 6 |
tmax(h) | 36.0 (8.0, 48.1) | 47.6 (8.0, 263.1) | 46.8 (24.0, 141.3) |
Cmax (ng/mL) | 18.5±14.0 | 74.2±63.5 | 157.0±127.3 |
AUC0-∞ (ng・h/mL) | 1285±520 | 5497±4704※ | 13364±9187 |
t1/2(h) | 57.4±38.7 | 44.8±21.1※ | 38.4±10.5 |
投与量 | 1.8mg | 3.6mg | 6.0mg |
被験者数 | 10 | 9 | 9 |
tmax(h) | 110.9 (60.2, 134.8) | 109.8 (61.5, 113.8) | 64.3 (13.0, 110.6) |
Cmax (ng/mL) | 47.7±40.5 | 96.8±64.8 | 249.2±163.6 |
AUC0-∞ (ng・h/mL) | 6177±5818 | 13393±9349 | 32501±24807 |
t1/2(h) | 16.9±4.4 | 29.3±13.5 | 27.5±7.4 |
臨床成績
1国内第III相試験(悪性リンパ腫)5)
悪性リンパ腫患者注1)109名を対象にフィルグラスチムを対照薬とした二重盲検比較試験を実施した。その結果、化学療法注2)1サイクルあたり本剤3.6mgの1回皮下投与はフィルグラスチム50μg/m2連日皮下投与の好中球数減少抑制効果に劣らず、好中球数500/mm3未満の日数(平均値±標準偏差)は本剤投与群4.5±1.2日、フィルグラスチム群4.7±1.3日であった。
注1)
化学療法開始前2週間以内の検査で、下記の基準を満たす造血能及び肝・腎機能を有する患者
・好中球数が1,000/μL以上
・血小板数が7.5×104/μL以上
・総ビリルビンが施設基準値上限の1.5倍以下
・クレアチニンが1.5mg/dL以下
注2)
エトポシド100mg/m2をDay1から3に、デキサメタゾン40mgをDay1から3に、シクロホスファミド水和物1,200mg/m2をDay1に、シタラビン2,000mg/m2をDay2から3にそれぞれ静脈内投与し、リツキシマブ(遺伝子組換え)(投与時期、用法及び用量は規定せず)を併用可能とされた。
2国内第III相試験(乳癌)6)
乳癌患者注1)346名を対象にプラセボを対照薬とした二重盲検比較試験を実施した。その結果、化学療法注2)1サイクルあたり本剤3.6mgの1回皮下投与はプラセボと比較して有意に発熱性好中球減少症の発症を抑制し(p値<0.001、χ2検定)、発熱性好中球減少症の発症割合は本剤投与群1.2%(173名中2名)、プラセボ群68.8%(173名中119名)であった。
注1)
化学療法開始前2週間以内の検査で、下記の基準を満たす造血能及び肝・腎機能を有する患者
・好中球数が1,500/μL以上
・ヘモグロビン濃度が10g/dL以上
・血小板数が1.0×105/μL以上
・AST(GOT)及びALT(GPT)が施設基準値上限の3倍以下
・総ビリルビンが施設基準値上限の1.5倍以下
・クレアチニンが1.5mg/dL以下
注2)
21日を1サイクルとして、ドセタキセル水和物75mg/m2、シクロホスファミド水和物600mg/m2をDay1にそれぞれ静脈内投与することとされた。
薬効薬理
薬理作用
好中球前駆細胞の分化促進作用7)
in vitroコロニー形成試験において、ヒト由来のCD34陽性細胞及びマウス由来の骨髄細胞を本剤存在下で培養することにより、好中球前駆細胞の分化が促進された。
好中球減少に対する作用8)
シクロホスファミド投与により末梢血の好中球減少が誘導されたマウスに本剤を投与することにより、好中球減少が抑制された。
作用機序
本剤は骨髄中の好中球前駆細胞に存在するG-CSF受容体に結合し、好中球前駆細胞から好中球への分化を促し、末梢血中の好中球数を増加させると推察される。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)
Pegfilgrastim (Genetical Recombination)
分子量
約40,000
本質
メトキシポリエチレングリコール(分子量:約20,000)1分子がフィルグラスチム(遺伝子組換え)のMet1のアミノ基に結合した修飾タンパク質である。
取扱い上の注意
プランジャーロッドの無理な操作はしないこと。またバックストップは、投与終了後まで外さないこと。
できるだけ使用直前までピロー包装からシリンジを取り出さないこと。
シリンジ先端部のフィルム・チップキャップが外れている、又はシリンジの破損等の異常が認められるときは使用しないこと。
包装
主要文献及び文献請求先
主要文献
1社内資料:肺癌患者を対象とした第I相臨床薬理試験
2社内資料:悪性リンパ腫患者を対象とした用量設定試験
3Yang B.B. et al.:Clin. Pharmacokinet. 50, 295 (2011)
4Yang B.B. et al.:J. Clin. Pharmacol. 48, 1025 (2008)
5社内資料:悪性リンパ腫患者を対象とした第III相臨床試験
6社内資料:乳癌患者を対象とした第III相臨床試験
7社内資料:薬理試験(顆粒球・マクロファージ系コロニー形成試験)
8社内資料:薬理試験(抗がん剤に起因する好中球減少改善試験)
**文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
協和キリン株式会社 くすり相談窓口
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受付時間 9:00〜17:30(土・日・祝日及び弊社休日を除く)
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
**製造販売元
協和キリン株式会社
東京都千代田区大手町1-9-2