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閲覧履歴

イグザレルト錠10mg

選択的直接作用型第Xa因子阻害剤

1錠 351.9円

添付文書番号

3339003F1024_1_23

企業コード

630004

作成又は改訂年月

2023年11月改訂
(第6版、効能変更)

日本標準商品分類番号

873339

薬効分類名

選択的直接作用型第Xa因子阻害剤

承認等

販売名

イグザレルト錠10mg

販売名コード

3339003F1024

販売名英字表記

Xarelto tablets 10mg

販売名ひらがな

いぐざれるとじょう10mg

承認番号等

承認番号
22400AMX00042000

販売開始年月

2012年4月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
36ヵ月

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

イグザレルト錠15mg

販売名コード

3339003F2020

販売名英字表記

Xarelto tablets 15mg

販売名ひらがな

いぐざれるとじょう15mg

承認番号等

承認番号
22400AMX00041000

販売開始年月

2012年4月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
36ヵ月

規制区分

処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

リバーロキサバン

警告

〈効能共通〉
  1. 本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがある。本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること。本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されていないため、本剤投与中は、血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血等の徴候を十分に観察すること。これらの徴候が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
  1. 成人の深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間の15mg1日2回投与時においては、特に出血の危険性が高まる可能性を考慮するとともに、患者の出血リスクに十分配慮し、特に、腎障害、高齢又は低体重の患者では出血の危険性が増大するおそれがあること、また、抗血小板剤を併用する患者では出血傾向が増大するおそれがあることから、これらの患者については治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ本剤を投与すること。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
  1. 脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。硬膜外カテーテル留置中、若しくは脊椎・硬膜外麻酔又は腰椎穿刺後日の浅い場合は、本剤の投与を控えること。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

〈効能共通〉
  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 出血している患者(頭蓋内出血、消化管出血等の臨床的に重大な出血)[出血を助長するおそれがある。]
  3. 凝固障害を伴う肝疾患の患者
  4. 中等度以上の肝障害(Child-Pugh分類B又はCに相当)のある患者
  5. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性
  6. HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、ロピナビル・リトナビル、アタザナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル)、ニルマトレルビル・リトナビルを投与中の患者
  7. コビシスタットを含有する製剤を投与中の患者
  8. アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール)の経口又は注射剤を投与中の患者
  9. エンシトレルビルを投与中の患者
  10. 急性細菌性心内膜炎の患者[血栓はく離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。]
〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
  1. 腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)の患者
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
  1. 重度の腎障害(成人ではクレアチニンクリアランス30mL/min未満、小児ではeGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者

組成・性状

組成

イグザレルト錠10mg
有効成分
1錠中リバーロキサバン  10mg含有
添加剤
結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、乳糖水和物、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、三二酸化鉄、マクロゴール4000、酸化チタン
イグザレルト錠15mg
有効成分
1錠中リバーロキサバン  15mg含有
添加剤
結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、乳糖水和物、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、三二酸化鉄、マクロゴール4000、酸化チタン

製剤の性状

イグザレルト錠10mg
剤形フィルムコーティング錠
色調淡赤色
外形
  
大きさ
大きさ(直径)
6mm
大きさ(厚さ)
2.8mm
質量87.5mg
識別コード
イグザレルト錠15mg
剤形フィルムコーティング錠
色調赤色
外形
  
大きさ
大きさ(直径)
6mm
大きさ(厚さ)
2.8mm
質量87.5mg
識別コード

効能又は効果

成人
  • 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
  • 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
小児
  • 静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制
  • Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制

効能又は効果に関連する注意

〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
  1. 成人では、ショックや低血圧が遷延するような血行動態が不安定な肺血栓塞栓症患者、若しくは血栓溶解療法又は肺塞栓摘除術が必要な肺血栓塞栓症患者に対する本剤の安全性及び有効性は検討されていないので、これらの患者に対してヘパリンの代替療法として本剤を投与しないこと。
  2. 小児では、本剤は急性期への適切な初期治療(ヘパリン投与等)が5日以上なされた後に投与すること。
  3. 下大静脈フィルターが留置された患者に対する本剤の安全性及び有効性は検討されていない。

用法及び用量

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
成人
通常、成人には深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する。
小児
通常、体重30kg以上の小児にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。
〈Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
通常、体重50kg以上の小児にはリバーロキサバンとして10mgを1日1回経口投与する。

用法及び用量に関連する注意

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
  1. クレアチニンクリアランス30~49mL/minの患者には、10mgを1日1回投与する。
  2. クレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者には、本剤投与の適否を慎重に検討した上で、投与する場合は、10mgを1日1回投与する。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
  1. 体重30kg未満の小児等に投与する場合は、リバーロキサバンドライシロップを使用すること。体重30kg以上で本剤(錠剤)の服用が困難な小児には、本剤以外の剤形を選択すること。
〈Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
  1. 体重20kg未満の小児等に投与する場合は、リバーロキサバンドライシロップを使用し、体重20kg以上50kg未満の小児等に投与する場合は、リバーロキサバン錠2.5mg又はドライシロップを使用すること。また、体重50kg以上で本剤(錠剤)の服用が困難な小児には、本剤以外の剤形を選択すること。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)は本剤の抗凝固作用について標準化された指標でなく、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)等の凝固能検査は、本剤の抗凝固作用をモニタリングする指標として推奨されない。
  2. 出血等の副作用が生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値)、便潜血等の検査を実施し、急激なヘモグロビン値や血圧の低下等の出血の徴候が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
  3. 患者には、鼻出血、皮下出血、歯肉出血、血尿、喀血、吐血及び血便等、異常な出血の徴候が認められた場合には、医師に連絡するよう指導すること。
  4. 抗血小板剤2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、本剤との併用についてはさらに慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、これらの薬剤と併用すること。
  5. 本剤の投与中に手術や侵襲的処置を行う場合、臨床的に可能であれば本剤の投与後24時間以上経過した後に行うことが望ましい。手術や侵襲的処置の開始を遅らせることができない場合は、緊急性と出血リスクを評価すること。本剤の投与は、手術や侵襲的処置後、患者の臨床状態に問題がなく出血がないことを確認してから、可及的速やかに再開すること。
  6. 本剤と他の抗凝固剤との切り替えにおいては、以下の点に留意すること。
    • ワルファリンから本剤に切り替える必要がある場合は、ワルファリンの投与を中止した後、PT-INR等、血液凝固能検査を実施し、治療域の下限以下になったことを確認した後、可及的速やかに本剤の投与を開始すること。
    • 注射剤の抗凝固剤(ヘパリン等)から本剤に切り替える場合、次回の静脈内又は皮下投与が予定された時間の0~2時間前又は持続静注中止後より、本剤の投与を開始すること。
    • 本剤からワルファリンへの切り替え時において抗凝固作用が不十分になる可能性が示唆されているので、抗凝固作用が維持されるよう注意し、PT-INR等、血液凝固能検査の値が治療域の下限を超えるまでは、ワルファリンと本剤を併用すること。(小児の静脈血栓塞栓症を対象とした国際共同第Ⅲ相試験では、ワルファリンを2日間併用した後にPT-INRを測定し、2.0以上であることを確認できた場合に本剤を中止した。)なお、本剤の投与終了後24時間経過するまでは、PT-INRはワルファリンの抗凝固作用を正確に反映しない。
    • 本剤から注射剤の抗凝固剤に切り替える場合、本剤の投与を中止し、次回の本剤投与が予定された時間に抗凝固剤の静脈内投与又は皮下投与を開始すること。
  7. 間質性肺疾患があらわれることがあるので、咳嗽、血痰、呼吸困難、発熱等の症状があらわれた場合には、速やかに主治医に連絡するよう患者に指導すること。
  8. 服用を忘れた場合は直ちに本剤を服用し、翌日から毎日1回の服用を行うよう患者に指導すること。服用を忘れた場合でも、一度に2回分を服用せず、次の服用まで12時間以上空けるよう、患者に指導すること。
  9. 本剤投与中の患者で生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時に本剤の抗凝固作用の中和を必要とする場合には、中和剤であるアンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)の電子添文を必ず参照し、禁忌、用法及び用量に関連する注意、重要な基本的注意、特定の背景を有する患者に関する注意、副作用等の使用上の注意の記載を確認すること。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
  1. 本剤の投与期間については、症例ごとの静脈血栓塞栓症(成人では、深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の再発リスク並びに出血リスクを考慮して決定し、漫然と継続投与しないこと。
  2. 特に成人の深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間の15mg1日2回投与中は、出血のリスクに十分注意すること。
  3. 成人の深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間は、ワルファリンから本剤への切り替えを控えること。初期3週間治療後は、ワルファリンから本剤への切り替え時に抗凝固作用が不十分となる可能性を考慮した上で切り替えの適否を慎重に判断すること。
  4. 成人の深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の本剤15mg1日2回3週間投与時に服用を忘れた場合は、直ちに服用し、同日の1日用量が30mgとなるよう、患者に指導すること。この場合、一度に2回分を服用させてもよい。翌日からは毎日2回の服用を行うよう患者に指導すること。
  5. 小児に本剤を使用する場合、小児の抗凝固薬療法に精通した医師あるいはその指導のもとで治療を行うこと。
〈Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
  1. Fontan手術後患者においてはFontan循環に起因する多様かつ進行性の臓器障害を生じうることから、症例ごとの血栓塞栓症の発症リスク並びに出血リスクに加え、肝機能、腎機能、合併症等の患者の状態を十分に観察し、継続投与の可否を慎重に判断すること。
  2. 小児の抗凝固薬療法に精通した医師あるいはその指導のもとで治療を行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 出血リスクが高い患者
    以下のような患者では、出血の危険性が増大する。
    • 止血障害のある患者(血小板減少症等)
    • 凝固障害のある患者
    • 先天性又は後天性の出血性疾患のある患者
    • コントロールできない重症の高血圧症の患者
    • 血管性網膜症の患者
    • 活動性悪性腫瘍の患者
    • 活動性の潰瘍性消化管障害の患者
    • 消化管潰瘍発症後日の浅い患者
    • 頭蓋内出血発症後日の浅い患者
    • 脊髄内又は脳内に血管異常のある患者
    • 脳脊髄や眼の手術後日の浅い患者
    • 気管支拡張症又は肺出血の既往のある患者
  2. 低体重の患者
    出血の危険性が増大することがある。
  3. 潰瘍性消化管障害のおそれのある患者
    潰瘍性消化管障害に対する適切な予防に配慮すること。

腎機能障害患者

  1. 腎不全の患者
    投与しないこと。成人を対象とした国内外第Ⅲ相試験において、クレアチニンクリアランス15mL/min未満の患者は除外されている。
  2. 重度の腎障害患者
    〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
    本剤投与の適否を慎重に検討すること。本剤の血中濃度が上昇することが示唆されている。国内外第Ⅲ相試験において、クレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者は除外されている。
    〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
    投与しないこと。成人を対象とした国内外第Ⅲ相試験において、クレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者は除外されている。また、小児等を対象とした臨床試験では、eGFRが30mL/min/1.73m2未満の患者は除外されている。
  3. 中等度の腎障害のある患者
    本剤投与の適否を慎重に検討すること。成人ではクレアチニンクリアランス30~49mL/min、小児ではeGFRが30~60mL/min/1.73m2の患者で本剤の血中濃度が上昇することが示唆されており、出血の危険性が増大することがある。

肝機能障害患者

  1. 凝固障害を伴う肝疾患の患者
    投与しないこと。出血の危険性が増大するおそれがある。
  2. 中等度以上の肝障害のある患者(Child-Pugh分類B又はCに相当)
    投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胎盤通過性(ラット)、子宮内出血、母動物に毒性があらわれる用量で総奇形発生率の増加(ウサギ)、死産の増加等の胚・胎児毒性、出生児の生存率低下及び一般状態の悪化(ラット)が報告されている。

授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット、経口投与)で乳汁中に移行することが報告されている。ヒトの母乳中に移行することが報告されている。

小児等

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
  1. 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
  1. 生後6ヵ月未満の下記に該当する乳児へは本剤投与による治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、患者の状態を十分に観察しながら投与すること。生後6ヵ月未満の下記に該当する乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
    • 在胎週数37週未満
    • 体重2.6kg未満
    • 経口栄養の期間が10日未満
〈Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
  1. 2歳未満及び9歳以上の小児を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

一般に腎機能などの生理機能が低下している。なお、非弁膜症性心房細動患者を対象とした国内第Ⅲ相試験において75歳以上の患者では75歳未満の患者と比較し、重大な出血及び重大ではないが臨床的に問題となる出血の発現率が高かった。

相互作用

本剤は主としてチトクロームP450 3A4及び2J2(CYP3A4及びCYP2J2)により代謝される。また、本剤はP-糖タンパク及び乳癌耐性タンパク(BCRP)の基質である。

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビル(ノービア)
ロピナビル・リトナビル(カレトラ)
アタザナビル(レイアタッツ)
ダルナビル(プリジスタ、プリジスタナイーブ)
ホスアンプレナビル(レクシヴァ)
ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッド)
本剤の血中濃度が上昇し、抗凝固作用が増強されることにより、出血の危険性が増大するおそれがある。
CYP3A4の強力な阻害及びP-糖タンパクの阻害によりクリアランスが減少する。
コビシスタットを含有する製剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)
本剤の血中濃度が上昇し、抗凝固作用が増強されることにより、出血の危険性が増大するおそれがある。
CYP3A4の強力な阻害によりクリアランスが減少する。
以下のアゾール系抗真菌剤(経口又は注射剤)
イトラコナゾール(イトリゾール)
ボリコナゾール(ブイフェンド)
ミコナゾール(フロリード)
ケトコナゾール(国内未発売)
本剤の血中濃度が上昇し、抗凝固作用が増強されることにより、出血の危険性が増大するおそれがある。
CYP3A4の強力な阻害及びP-糖タンパクの阻害によりクリアランスが減少する。
エンシトレルビル(ゾコーバ)
本剤の血中濃度が上昇し、抗凝固作用が増強されることにより、出血の危険性が増大するおそれがある。
CYP3A4の強力な阻害及びP-糖タンパクの阻害によりクリアランスが減少する。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
抗凝固剤
ヘパリン製剤、低分子量ヘパリン製剤(エノキサパリンナトリウム等)、フォンダパリヌクスナトリウム、ワルファリンカリウム等
出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。
両剤の抗凝固作用が相加的に増強される。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
抗血小板剤
アスピリン、クロピドグレル硫酸塩、チクロピジン塩酸塩等
非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤
ナプロキセン、ジクロフェナクナトリウム等
出血の危険性が増大するおそれがあるので、これらの薬剤と本剤の併用については、治療上の有益性と危険性を考慮して慎重に判断すること。投与中は観察を十分に行い、注意すること。
本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。
本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
血栓溶解剤
ウロキナーゼ、t-PA製剤(アルテプラーゼ等)
出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。
本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される。
フルコナゾール
ホスフルコナゾール
本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。成人の静脈血栓塞栓症発症後の初期3週間、並びにFontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制では、治療上やむを得ないと判断された場合を除き、これらの薬剤との併用を避けること。
非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、体重30kg以上の小児の静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、並びに成人の静脈血栓塞栓症患者における初期3週間治療後の再発抑制では、本剤10mg1日1回投与を考慮する、あるいは治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤の投与が適切と判断される患者にのみ併用すること。
フルコナゾールがCYP3A4を阻害することにより本剤のクリアランスが減少するおそれがある。
クラリスロマイシン
エリスロマイシン
本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。成人の静脈血栓塞栓症発症後の初期3週間、並びにFontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制では、治療上やむを得ないと判断された場合を除き、これらの薬剤との併用を避けること。
非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、体重30kg以上の小児の静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、並びに成人の静脈血栓塞栓症患者における初期3週間治療後の再発抑制では、本剤10mg1日1回投与を考慮する、あるいは治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤の投与が適切と判断される患者にのみ併用すること。
これらの薬剤がCYP3A4及びP-糖タンパクを阻害することにより本剤のクリアランスが減少する。
リファンピシン
本剤の血中濃度が低下し、抗凝固作用が減弱したとの報告がある。
リファンピシンがCYP3A4を強力に誘導し、P-糖タンパクを誘導することにより本剤のクリアランスが増加する。
フェニトイン
カルバマゼピン
フェノバルビタール
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
これらの薬剤等がCYP3A4を強力に誘導することにより本剤のクリアランスが増加する。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 出血
    頭蓋内出血(0.09%)、脳出血(0.06%)、出血性卒中(0.06%)、眼出血(0.23%)、網膜出血(0.08%)、直腸出血(1.25%)、胃腸出血(0.74%)、メレナ(0.53%)、上部消化管出血(0.36%)、下部消化管出血(0.21%)、出血性胃潰瘍(0.14%)、関節内出血(0.16%)、コンパートメント症候群を伴う筋肉内出血(0.01%)等の重篤な出血があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。重篤な出血等の異常が認められた場合は投与を中止すること。
    なお、出血に伴う合併症として、ショック、腎不全、呼吸困難、浮腫、頭痛、浮動性めまい、蒼白、脱力感があらわれることがある。また、一部の例では貧血の結果として胸痛又は狭心症様の心虚血症状があらわれている。
  2. 肝機能障害・黄疸
    ALT上昇、AST上昇を伴う肝機能障害(0.1~1%未満)、黄疸(頻度不明)があらわれることがある。
  3. 間質性肺疾患(頻度不明)
    血痰、肺胞出血を伴う場合もあるので、咳嗽、血痰、息切れ、呼吸困難、発熱、肺音の異常等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等を行うこと。
  4. 血小板減少(頻度不明)
  5. 急性腎障害(頻度不明)
    経口抗凝固薬の投与後に急性腎障害があらわれることがある。経口抗凝固薬投与後の急性腎障害の中には、血尿を認めるもの、腎生検により尿細管内に赤血球円柱を多数認めるものが報告されている,

その他の副作用

1~10%
未満
0.1~1%未満
0.1%未満
頻度不明
精神神経系
頭痛、浮動性めまい、不眠
失神
感覚器
結膜出血
耳出血
消化器
歯肉出血
肛門出血、下痢、悪心、口腔内出血、血便、腹痛、便潜血、上腹部痛、消化不良、便秘、嘔吐、吐血、口内乾燥、胃食道逆流性疾患、胃炎
痔核、アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇
循環器
血腫
頻脈、低血圧
血管偽動脈瘤形成
呼吸器
鼻出血、喀血
呼吸困難
血液
貧血
INR増加、ヘモグロビン減少、鉄欠乏性貧血
血小板増加症(血小板数増加等)
肝臓
ALT上昇、AST上昇、血中ビリルビン上昇、Al-P上昇
γ-GTP上昇、直接ビリルビン上昇
LDH上昇
腎臓
血尿
尿中血陽性
尿路出血、腎クレアチニン・クリアランス減少、血中クレアチニン上昇、腎機能障害、BUN上昇
生殖器
月経過多
性器出血
筋・骨格系
四肢痛、関節痛
筋肉内出血
皮膚
斑状出血
皮下出血、皮下血腫、脱毛、皮膚裂傷
擦過傷
過敏症
発疹、そう痒、アレルギー性皮膚炎
じん麻疹(全身性そう痒症等)、アレルギー反応、血管浮腫
その他
挫傷
創傷出血、処置後出血、無力症、末梢性浮腫、食欲減退、疲労
限局性浮腫、倦怠感、創部分泌、発熱、硬膜下血腫

過量投与

  1. 症状
    出血性合併症が生じるおそれがある。
  2. 処置
    吸収を抑えるために活性炭投与を考慮すること。出血が認められる場合は、以下の処置を行うこと。
    • 適宜、次回の投与を延期するか中止すること。消失半減期は成人で5~13時間、小児等で1~4時間である。
    • 症例ごとの出血の重症度及び部位に応じた出血に対する処置を講じること。
    • 機械的圧迫(高度の鼻出血等)、出血管理のための外科的止血、補液及び血行動態の管理、血液製剤(合併する貧血又は凝固障害に応じて濃厚赤血球輸血、新鮮凍結血漿輸注を行う)又は血小板輸血等の適切な対症療法の開始を考慮すること。
タンパク結合率が高いので、血液透析は本剤の除去には有用でないと考えられる。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 海外において実施された3抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗β2グリコプロテインI抗体)のいずれもが陽性で、血栓症の既往がある抗リン脂質抗体症候群患者を対象とした本剤とワルファリンの非盲検無作為化試験において、血栓塞栓性イベントの再発が、ワルファリン群61例では認められなかったのに対し、本剤群では59例中7例に認められた。
  2. 適応外であるが、海外において実施された経カテーテル的大動脈弁置換術後1~7日後の患者を対象に本剤または抗血小板薬による治療を比較した試験において、抗血小板薬群に比較して本剤群で死亡及び血栓塞栓事象が多く認められたとの報告がある。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    日本人若年健康成人男子32例にリバーロキサバン5、10、20又は40mg注)を空腹時に単回経口投与した際、血漿中未変化体濃度は投与後0.5~4時間に最高血漿中濃度(Cmax)に達した。リバーロキサバンの1回用量の範囲において、投与量に応じた曝露量の増加が認められた。
    投与量
    AUC
    (μg・h/L)
    Cmax
    (μg/L)
    tmax
    (h)
    t1/2
    (h)
    5mg
    815.5(13.2)
    141.3(14.5)
    1.4(0.5~2.5)
    5.7(19.8)
    10mg
    1564(24.5)
    226.9(18.7)
    1.4(0.5~4.0)
    7.1(35.3)
    20mg
    2777(26.9)
    341.7(29.6)
    3.3(0.5~4.0)
    8.9(50.1)
    40mg
    3051(21.3)
    329.4(26.1)
    1.4(0.5~2.0)
    12.6(40.0)
    ※:中央値(範囲)  幾何平均値(幾何CV(%))、n=8
  2. 反復投与
    日本人高齢男女36例に、リバーロキサバン10、15又は20mg注)を1日1回7日間食後に反復経口投与した際、初回投与時と比較し薬物動態特性に大きな変動はなく、蓄積性も認められなかった。
    投与量
    測定日
    AUC(0-24)
    (μg・h/L)
    Cmax
    (μg/L)
    tmax
    (h)
    t1/2
    (h)
    10mg
    1日目
    1443(21.0)
    232.6(18.7)
    3.0(1.0~4.0)
    5.7(18.2)
    7日目
    1533(14.9)
    246.9(10.6)
    3.0(1.5~4.0)
    7.7(41.2)
    15mg
    1日目
    2080(26.7)
    347.6(23.0)
    4.0(1.0~4.0)
    6.3(35.1)
    7日目
    2243(21.1)
    330.6(20.8)
    3.5(0.5~4.0)
    8.7(26.9)
    20mg
    1日目
    2419(24.6)
    391.2(21.2)
    2.5(2.0~4.0)
    6.1(20.8)
    7日目
    2839(20.9)
    398.5(24.8)
    3.0(1.5~4.0)
    7.7(23.6)
    ※:中央値(範囲)  幾何平均値(幾何CV(%))、n=12
     
    症候性深部静脈血栓症(DVT)患者及び肺塞栓症(PE)患者を対象とした国内第Ⅲ相試験の血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析による薬物動態パラメータ(推定値)は、以下のとおりであった。
    用法・用量
    AUC(0-24),ss
    (μg・h/L)
    Cmax,ss
    (μg/L)
    15mg 1日1回
    2977.5(36.8)
    276.9(19.8)
    15mg 1日2回
    5955.0(36.8)
    363.0(26.7)
    幾何平均値(幾何CV(%))
    ※:合計72例の血漿中濃度データに基づく推定値

吸収

  1. バイオアベイラビリティ
    リバーロキサバン5mg及び20mg注)を空腹時に経口投与した際、絶対的バイオアベイラビリティはそれぞれ112%及び66%であった(外国人データ)。
  2. 食事の影響
    1. リバーロキサバン20mg注)を食後に投与した際、AUCは空腹時投与した際と比較し39%増加した(外国人データ)。
    2. 日本人若年健康成人男子11例に、リバーロキサバン15mgを空腹時及び食後に単回経口投与した際、食後投与時にはtmaxの遅延が認められたが、AUC、Cmaxに影響は認められなかった。

分布

  1. 分布容積
    リバーロキサバンを静脈内投与した際、分布容積(Vss)は約50Lであった(外国人データ)。
  2. タンパク結合率
    In vitro試験において、リバーロキサバンは血漿タンパクと高い結合能を示し、ヒト血漿タンパク結合率は約92~95%であった。主にアルブミンに結合する。

代謝

リバーロキサバンは主にCYP3A4及びCYP2J2による代謝経路により代謝され、主要な代謝物はモルホリノン環の酸化分解体及びアミド結合の加水分解体である。In vitro試験において、リバーロキサバンが輸送タンパクであるP-糖タンパク(P-gp)及び乳癌耐性タンパク(BCRP)の基質であることが示されている。

排泄

リバーロキサバンを静脈内投与した際、全身クリアランスは約10L/hであり、投与量の42%が未変化体のまま腎排泄された。健康成人男子4例に[14C]リバーロキサバン10mgを単回経口投与した際、投与量の約2/3は不活性代謝物として尿中及び糞中に排泄され、残りの約1/3が未変化体のまま腎排泄された(外国人データ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎障害患者
    軽度(クレアチニンクリアランス(CLcr):50~79mL/min)、中等度(CLcr:30~49mL/min)及び重度(CLcr:15~29mL/min)の腎障害のある患者各8例にリバーロキサバン10mgを空腹時単回経口投与した場合、健康被験者と比較しAUCはそれぞれ1.4、1.5及び1.6倍に上昇した。第Ⅹa因子活性阻害率は1.5、1.9及び2.0倍に増加し、プロトロンビン時間(PT(秒))も1.3、2.2及び2.4倍延長した。CLcrが15mL/min未満の患者における検討は実施していない(外国人データ)。
  2. 肝障害患者
    軽度の肝障害のある肝硬変患者(Child-Pugh分類A 8例)では、リバーロキサバン10mgを投与した際の薬物動態は健康被験者と比較してほぼ同様であり(AUCは1.2倍上昇)、薬力学的効果に差は認められなかった。中等度の肝障害のある肝硬変患者(Child-Pugh分類B 8例)では健康被験者と比較してAUCが2.3倍上昇した。なお、非結合型のAUCは2.6倍上昇した。第Ⅹa因子活性阻害率は2.6倍増加し、PT(秒)も2.1倍延長した。Child-Pugh分類Cの患者における検討は実施していない(外国人データ)。
  3. 小児
    〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
    小児の急性静脈血栓塞栓症(VTE)患者(18歳未満)を対象とした国際共同第Ⅲ相試験の血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析による薬物動態パラメータ(推定値)は、以下のとおりであった。国際共同第Ⅲ相試験では、非日本人成人にリバーロキサバン20mg注)(日本人成人にリバーロキサバン15mg)を1日1回投与時の曝露量に相当するよう体重で調整した用法・用量でリバーロキサバンを投与した。
    用法
    年齢
    n
    AUC(0-24),ss
    (μg・h/L)
    Cmax,ss
    (μg/L)
    Ctrough,ss
    (μg/L)
    t1/2
    (h)
    1日
    1回
    12~
    <18※1
    173
    2120
    (26.4)
    238
    (20.0)
    20.7
    (45.9)
    4.17
    (19.1)
    6~
    <12※1
    29
    1960
    (31.8)
    247
    (23.1)
    15.4
    (56.4)
    3.44
    (21.6)
    1日
    2回
    12~
    <18※2
    1
    1770
    123
    30.5
    3.76
    6~
    <12※1
    38
    1960
    (32.0)
    148
    (25.5)
    27.5
    (51.4)
    3.11
    (18.4)
    2~
    <6※2
    39
    2370
    (42.2)
    185
    (31.8)
    30.6
    (72.3)
    2.90
    (25.1)
    0.5~
    <2※2
    4
    1640
    (49.4)
    156
    (39.8)
    12.6
    (82.8)
    1.92
    (19.6)
    1日
    3回
    2~
    <6※2
    5
    2480
    (30.9)
    162
    (25.4)
    41.2
    (46.6)
    2.24
    (15.9)
    0.5~
    <2※2
    18
    1890
    (34.4)
    132
    (27.2)
    26.2
    (57.0)
    1.89
    (21.3)
    生後~<0.5※2
    13
    1590
    (29.6)
    119
    (24.1)
    18.5
    (50.4)
    1.61
    (17.8)
    幾何平均値(幾何CV(%))
    ※1:錠剤又はドライシロップとして投与
    ※2:ドライシロップとして投与
    〈Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
    Fontan手術後の機能的単心室症患者(2~8歳)を対象とした国際共同第Ⅲ相試験の血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析による曝露量(推定値)は、以下のとおりであった。国際共同第Ⅲ相試験では、非日本人成人にリバーロキサバン10mgを1日1回投与時の曝露量に相当するよう体重で調整した用法・用量でドライシロップを投与した。
    n
    AUC(0-24),ss
    (μg・h/L)
    Cmax,ss
    (μg/L)
    Ctrough,ss
    (μg/L)
    76
    1440(484.2~4444)
    109.0(39.7~287.1)
    22.8(6.4~104.7)
    幾何平均値(範囲)
    ※:Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制で承認された用法・用量と同一
     
    体重30kg以上の小児のFontan手術後の機能的単心室症患者(9歳以上)にリバーロキサバンを承認用法・用量で投与した場合の曝露量を、Fontan手術後の機能的単心室症患者(2~8歳)を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(パートA)及び小児の急性VTE患者(18歳未満)を対象とした臨床試験の血漿中濃度を用いて構築した母集団薬物動態モデルに基づくシミュレーションにより予測した。その結果、承認用法・用量で投与した場合の曝露量は非日本人成人にリバーロキサバン10mgを1日1回投与したときと同程度であった。

薬物相互作用

  1. リトナビル
    健康成人男子12例にリトナビル600mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは2.5倍、Cmaxは1.6倍上昇し抗凝固作用が増強された(外国人データ)。
  2. ケトコナゾール・フルコナゾール
    健康成人男子20例にケトコナゾール400mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは2.6倍、Cmaxは1.7倍上昇し抗凝固作用が増強された(外国人データ)。
    健康成人男子13例にフルコナゾール400mgとリバーロキサバン20mg注)を併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは1.4倍、Cmaxは1.3倍上昇した(外国人データ)。
  3. クラリスロマイシン・エリスロマイシン
    健康成人男子15例にクラリスロマイシン500mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは1.5倍、Cmaxは1.4倍上昇した(外国人データ)。
    健康成人男子15例にエリスロマイシン500mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUC及びCmaxともに1.3倍上昇した(外国人データ)。
  4. リファンピシン
    健康成人男子18例にリファンピシン(開始用量150mgより600mgまで漸増)とリバーロキサバン20mg注)を併用投与した際、リバーロキサバンのAUCが約50%低下し、それに伴い抗凝固作用も減弱した(外国人データ)。
  5. エノキサパリン
    健康成人男子10例にエノキサパリン4000IUとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンの薬物動態に影響はなかった。抗第Ⅹa因子活性は相加的に増加したが、PT及びaPTTには影響は認められなかった(外国人データ)。
  6. アスピリン
    健康成人男子13例にアスピリン500mgを投与した翌日にアスピリン100mgとリバーロキサバン15mgを併用投与した際、リバーロキサバンの薬物動態及び抗凝固作用に影響は認められなかった(外国人データ)。
  7. クロピドグレル
    健康成人男子11例にクロピドグレル300mgを投与した翌日にクロピドグレル75mgとリバーロキサバン15mgを併用投与した際、リバーロキサバンの薬物動態に影響は認められなかった。別の試験において一部の被験者に出血時間の延長が認められたとの報告がある(外国人データ)。
  8. ナプロキセン
    健康成人男子11例にナプロキセン500mg1日1回反復投与時にリバーロキサバン15mgを併用投与した際、出血時間の延長は認められなかったが、一部の被験者において抗凝固作用の増強が認められた(外国人データ)。
  9. ワルファリン
    日本人健康成人男子12例(VKORC1遺伝子1639位のAアレルがホモ接合体を有している被験者)にワルファリンを反復投与し、PT-INRが2.0~3.0に到達した後に、リバーロキサバン15mgを1日1回反復投与に切り替えた際、aPTT、第Ⅹa因子活性阻害及び内在性トロンビン産生能(ETP)への影響は相加的であったが、PT及びPT-INRのピーク値はリバーロキサバン単独投与時と比較しそれぞれ2.3倍及び2.9倍になった。リバーロキサバン投与開始後3日目には、ワルファリンの影響は消失した。なお、薬物動態に相互作用は認められなかった。
  10. その他の薬剤
    ミダゾラム、ジゴキシン及びアトルバスタチンとリバーロキサバンの併用による薬物相互作用試験を実施したが、薬物動態学的相互作用は認められず、制酸剤(水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合剤)、ラニチジン及びオメプラゾールは、リバーロキサバンの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
 
注)本剤の成人における承認用法・用量は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」では15mg1日1回投与である。なお、腎機能の程度に応じて減量する場合は、10mg1日1回投与である。「静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制」では、発症後の初期3週間は15mg1日2回投与、その後は15mg1日1回投与である。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    非弁膜症性心房細動患者を対象に、本剤と用量調節ワルファリンの有効性及び安全性を比較検討する多施設共同、無作為化、ダブルダミー法による、二重盲検、実薬対照、並行群間比較試験(J-ROCKET AF試験)を実施した。
    非弁膜症性心房細動患者1278例(安全性解析対象例数)に対して本剤15mg(CLcr:30~49mL/minの患者には10mg)1日1回(QD)又はワルファリンカリウム(目標PT-INR:70歳未満は2.0~3.0、70歳以上は1.6~2.6)が夕食後に投与された。平均投与期間は本剤群498.9日、ワルファリン群481.1日であった。有効性主要評価項目は本剤群637例中11例、ワルファリン群637例中22例に認められ、年間イベント発現率はそれぞれ1.26及び2.61(/100患者年)であった(ハザード比(HR):0.49、95%信頼区間(CI):0.24~1.00、per protocol解析対象集団、治験薬投与下)。
    エンドポイント
    リバーロキサバン
    (N=639)
    n(/100患者年)
    ワルファリン
    (N=639)
    n(/100患者年)
    ハザード比
    (95%信頼区間)
    有効性主要評価項目※1
    11(1.26)
    22(2.60)
    0.48
    (0.23~1.00)
    有効性副次的評価項目1※2
    16(1.83)
    24(2.84)
    0.65
    (0.34~1.22)
    有効性副次的評価項目2※3
    19(2.17)
    25(2.96)
    0.74
    (0.41~1.34)
    脳卒中
    10(1.14)
    21(2.48)
    0.46
    (0.22~0.98)
    虚血性脳卒中
    7(0.80)
    17(2.01)
    0.40
    (0.17~0.96)
    出血性脳卒中
    3(0.34)
    4(0.47)
    0.73
    (0.16~3.25)
    非中枢神経系塞栓症
    1(0.11)
    1(0.12)
    0.99
    (0.06~15.8)
    心筋梗塞
    3(0.34)
    1(0.12)
    2.92
    (0.30~28.1)
    心血管死
    6(0.68)
    2(0.24)
    2.96
    (0.60~14.7)
    (安全性解析対象集団、治験薬投与下)
    ※1:脳卒中又は非中枢神経系塞栓症の複合エンドポイント
    ※2:脳卒中、非中枢神経系塞栓症又は心血管死の複合エンドポイント
    ※3:脳卒中、非中枢神経系塞栓症、心筋梗塞又は心血管死の複合エンドポイント
     
    安全性主要評価項目の年間イベント発現率はそれぞれ18.04及び16.42(/100患者年)であり、本剤のワルファリンに対する非劣性が検証された(HR:1.11、95%CI:0.87~1.42、非劣性の許容限界値:HR2.0)。
    エンドポイント
    リバーロキサバン
    (N=639)
    n(/100患者年)
    ワルファリン
    (N=639)
    n(/100患者年)
    ハザード比
    (95%信頼区間)
    安全性主要評価項目
    138(18.04)
    124(16.42)
    1.11
    (0.87~1.42)
    重大な出血
    26(3.00)
    30(3.59)
    0.85
    (0.50~1.43)
    重大ではないが臨床的に問題となる出血
    119(15.42)
    99(12.99)
    1.20
    (0.92~1.56)
    (安全性解析対象集団、治験薬投与下)
    ※:「重大な出血」又は「重大ではないが臨床的に問題となる出血」の複合エンドポイント
     
    副作用(臨床検査値異常を含む)は639例中326例(51.0%)に認められ、主な副作用は、鼻出血88例(13.8%)、皮下出血50例(7.8%)、歯肉出血40例(6.3%)、血尿24例(3.8%)、結膜出血23例(3.6%)、尿中血陽性18例(2.8%)、貧血17例(2.7%)、創傷出血15例(2.3%)、喀血14例(2.2%)、口腔内出血12例(1.9%)、痔出血11例(1.7%)、便潜血陽性9例(1.4%)、網膜出血7例(1.1%)、メレナ7例(1.1%)、便潜血7例(1.1%)、出血7例(1.1%)等であった。
  2. 海外第Ⅲ相試験
    非弁膜症性心房細動患者を対象に、本剤と用量調節ワルファリンの有効性及び安全性を比較検討する多施設共同、無作為化、ダブルダミー法による、二重盲検、実薬対照、並行群間比較試験(ROCKET AF試験)を実施した。
    非弁膜症性心房細動患者14236例(安全性解析対象例数)に対して本剤20mg(CLcr:30~49mL/minの患者には15mg)QD注1)又はワルファリンナトリウム(PT-INR:2.0~3.0)が夕食後に投与された。平均投与期間は本剤群572.2日、ワルファリン群579.9日であった。有効性主要評価項目は本剤群6958例中188例、ワルファリン群7004例中241例に認められ、年間イベント発現率はそれぞれ1.71及び2.16(/100患者年)であり、本剤のワルファリンに対する非劣性が検証された(HR:0.79、95%CI:0.66~0.96、非劣性の許容限界値:HR1.46、per protocol解析対象集団、治験薬投与下)。
    エンドポイント
    リバーロキサバン
    (N=7061)
    n(/100患者年)
    ワルファリン
    (N=7082)
    n(/100患者年)
    ハザード比
    (95%信頼区間)
    有効性主要評価項目※1
    189(1.70)
    243(2.15)
    0.79
    (0.65~0.95)
    有効性副次的評価項目1※2
    346(3.11)
    410(3.63)
    0.86
    (0.74~0.99)
    有効性副次的評価項目2※3
    433(3.91)
    519(4.62)
    0.85
    (0.74~0.96)
    脳卒中
    184(1.65)
    221(1.96)
    0.85
    (0.70~1.03)
    虚血性脳卒中
    149(1.34)
    161(1.42)
    0.94
    (0.75~1.17)
    出血性脳卒中
    29(0.26)
    50(0.44)
    0.59
    (0.37~0.93)
    非中枢神経系塞栓症
    5(0.04)
    22(0.19)
    0.23
    (0.09~0.61)
    心筋梗塞
    101(0.91)
    126(1.12)
    0.81
    (0.63~1.06)
    心血管死
    170(1.53)
    193(1.71)
    0.89
    (0.73~1.10)
    (安全性解析対象集団、治験薬投与下、1施設分の症例を集計から除外)
    ※1:脳卒中又は非中枢神経系塞栓症の複合エンドポイント
    ※2:脳卒中、非中枢神経系塞栓症又は心血管死の複合エンドポイント
    ※3:脳卒中、非中枢神経系塞栓症、心筋梗塞又は心血管死の複合エンドポイント
     
    安全性に関しては、以下の成績が得られた。
    エンドポイント
    リバーロキサバン
    (N=7111)
    n(/100患者年)
    ワルファリン
    (N=7125)
    n(/100患者年)
    ハザード比
    (95%信頼区間)
    安全性主要評価項目
    1475(14.91)
    1449(14.52)
    1.03
    (0.96~1.11)
    重大な出血
    395(3.60)
    386(3.45)
    1.04
    (0.90~1.20)
    重大ではないが臨床的に問題となる出血
    1185(11.80)
    1151(11.37)
    1.04
    (0.96~1.13)
    (安全性解析対象集団、治験薬投与下)
    ※:「重大な出血」又は「重大ではないが臨床的に問題となる出血」の複合エンドポイント
     
    副作用(臨床検査値異常を含む)は7111例中2096例(29.5%)に認められ、主な副作用は、鼻出血537例(7.6%)、歯肉出血196例(2.8%)、血尿195例(2.7%)、血腫124例(1.7%)、斑状出血117例(1.6%)、挫傷94例(1.3%)、貧血92例(1.3%)、直腸出血89例(1.3%)、胃腸出血81例(1.1%)、結膜出血77例(1.1%)等であった。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
  1. 国内第Ⅲ相試験(成人)
    急性症候性DVT又はPE患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討する多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、並行群間比較試験(J-EINSTEIN-DVT及び-PE試験)を実施した。
    症候性の急性DVT患者59例(安全性解析対象例数)中22例及び25例に対して、初期3週間は本剤10mg又は15mg1日2回(BID)、その後は15mgQDが、急性症候性PE患者37例(安全性解析対象例数)中30例に対して、初期3週間は本剤15mgBID、その後は15mgQDがいずれも食後に投与された。対照薬として最低初期5日間未分画ヘパリン(aPTT:正常対照の1.5~2.5倍)静注との併用下でワルファリンカリウム(目標PT-INR:1.5~2.5)が投与された。投与期間は医師の判断により3、6又は12ヵ月に決定された。平均投与期間は、急性DVT患者で本剤10mgBID→15mgQD群191.8日、15mgBID→15mgQD群186.8日、対照薬群192.1日であり、急性PE患者で本剤群204.7日、対照薬群213.0日であった。有効性評価項目及び出血事象等は盲検下で評価された。
    ※:抗凝固療法の開始が必要な場合、治験薬投与開始前48時間以内の非経口抗凝固薬(未分画ヘパリン又はフォンダパリヌクス)の投与は可とした。急性DVT患者では、本剤10mgBID→15mgQD群の23例中13例、本剤15mgBID→15mgQD群の25例中15例及び対照薬群の12例中7例で、急性PE患者では、本剤群の30例中28例、対照薬群7例中6例で非経口抗凝固薬の前投与があった(ITT解析対象集団)。なお、未分画ヘパリンの前投与があった場合、治験薬投与開始は未分画ヘパリンの投与終了後4時間以降に行い、フォンダパリヌクスの前投与があった場合、治験薬投与開始はフォンダパリヌクスの投与終了後12~24時間の間に行うとの規定を設けた。
     
    有効性主要評価項目(症候性DVT又はPEの複合エンドポイント)は、急性DVT患者では本剤15mgBID→15mgQD群の25例中1例(4.0%)にPEが認められ、他群には認められなかった。急性PE患者では本剤群30例及び対照薬群7例のいずれにおいても、有効性主要評価項目の発現は認められなかった(ITT解析対象集団)。
    安全性に関しては、以下の成績が得られた,
    エンドポイント
    急性DVT患者
    急性PE患者
    リバーロキサバン
     
    対照薬※1
    (N=12)
    n(%)
    リバーロキサバン
    15mgBID→
    15mgQD
    (N=30)
    n(%)
     
    対照薬※1
    (N=7)
    n(%)
    10mgBID→
    15mgQD
    (N=22)
    n(%)
    15mgBID→
    15mgQD
    (N=25)
    n(%)
    安全性主要評価項目※2
    3(13.6)
    2(8.0)
    1(8.3)
    1(3.3)
    0(0.0)
    重大な出血
    0(0.0)
    0(0.0)
    0(0.0)
    0(0.0)
    0(0.0)
    重大ではないが臨床的に問題となる出血
    3(13.6)
    2(8.0)
    1(8.3)
    1(3.3)
    0(0.0)
    BID:1日2回、QD:1日1回(安全性解析対象集団、治験薬投与下)
    ※1:最低初期5日間未分画ヘパリン静注との併用下でワルファリン(目標PT-INR:1.5~2.5)を継続投与
    ※2:「重大な出血」又は「重大ではないが臨床的に問題となる出血」の複合エンドポイント
     
    副作用(臨床検査値異常を含む)は本剤10mg又は15mgの1日2回3週間投与後に15mgが1日1回投与されたDVT患者22例中8例(36.4%)及び25例中7例(28.0%)、並びに本剤15mgの1日2回3週間投与後に15mgが1日1回投与されたPE患者30例中15例(50.0%)に認められた。合計77例中30例(39.0%)に認められた副作用で主なものは皮下出血8例(10.4%)、鼻出血6例(7.8%)、血便排泄4例(5.2%)等であった。
  2. 海外第Ⅲ相試験(成人)
    急性症候性DVT又はPE患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討する多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、並行群間比較試験(EINSTEIN-DVT及び-PE試験)を実施した。
    症候性の急性DVT患者3429例及び急性PE患者4817例(安全性解析対象例数)に対して、初期3週間は本剤15mgBID、その後は20mgQD注1)が食後に投与、又は最低初期5日間エノキサパリンナトリウム1mg/kgBID皮下注との併用下でビタミンK拮抗薬(目標PT-INR:2.0~3.0)の標準治療が対照薬として投与された。投与期間は医師の判断により3、6又は12ヵ月に決定された。平均投与期間は、急性DVT患者で本剤群194.4日、対照薬群188.2日、急性PE患者で本剤群216.9日、対照薬群214.9日であった。有効性評価項目及び出血事象等は盲検下で評価された。
    ※:抗凝固療法の開始が必要な場合、治験薬投与開始前48時間以内の非経口抗凝固薬(ヘパリン又はフォンダパリヌクス)の投与は可とした。急性DVT患者では、本剤群の1731例中1264例及び対照薬群の1718例中1213例で、急性PE患者では、本剤群の2419例中2237例、対照薬群2413例中2223例で非経口抗凝固薬の前投与があった(ITT解析対象集団)。なお、ヘパリンの前投与があった場合、治験薬投与開始は未分画ヘパリンの投与終了後4時間以降、低分子量ヘパリンの1日2回投与終了後6~12時間の間又は1日1回投与終了後12~24時間の間に行い、フォンダパリヌクスの前投与があった場合、治験薬投与開始はフォンダパリヌクスの投与終了後12~24時間の間に行うとの規定を設けた。
     
    有効性主要評価項目の発現頻度は、急性DVT患者では本剤群2.1%、対照薬群3.0%(HR:0.68、95%CI:0.44~1.04)、急性PE患者ではそれぞれ2.1%及び1.8%であり、いずれにおいても本剤の標準治療に対する非劣性が検証された(HR:1.12、95%CI:0.75~1.68、非劣性の許容限界値:DVT及びPEともHR2.0、ITT解析対象集団)。
    エンドポイント
    急性DVT患者
    急性PE患者
    リバーロキサバン
    (N=1731)
    n(%)
    対照薬※1
    (N=1718)
    n(%)
    リバーロキサバン
    (N=2419)
    n(%)
    対照薬※1
    (N=2413)
    n(%)
    有効性主要評価項目※2
    36(2.1)
    51(3.0)
    50(2.1)
    44(1.8)
    症候性PE
    20(1.2)
    18(1.0)
    23(1.0)
    20(0.8)
    PE(死亡)※3
    4(0.2)
    6(0.3)
    11(0.5)
    7(0.3)
    症候性DVT
    14(0.8)
    28(1.6)
    18(0.7)
    17(0.7)
    症候性PE及びDVTの併発
    1(<0.1)
    0(0.0)
    0(0.0)
    2(<0.1)
    (ITT解析対象集団)
    ※1:最低5日間エノキサパリン1mg/kg1日2回皮下投与との併用下でビタミンK拮抗薬(ワルファリン又はacenocoumarol、目標PT-INR:2.0~3.0)を継続投与
    ※2:症候性DVT又は症候性PEの複合エンドポイント(PEの可能性が否定できない原因不明の死亡を含む)
    ※3:致死的PE又はPEの可能性が否定できない原因不明の死亡
     
    急性DVT患者では、安全性主要評価項目の発現頻度は本剤群8.1%、対照薬群8.1%(HR:0.97、95%CI:0.76~1.22)、「重大な出血」の発現頻度はそれぞれ0.8%及び1.2%であった(HR:0.65、95%CI:0.33~1.28)。急性PE患者では、安全性主要評価項目の発現頻度は本剤群10.3%、対照薬群11.4%(HR:0.90、95%CI:0.76~1.07)、「重大な出血」の発現頻度はそれぞれ1.1%及び2.2%であった(HR:0.49、95%CI:0.31~0.79),
    エンドポイント
    急性DVT患者
    急性PE患者
    リバーロキサバン
    (N=1718)
    n(%)
    対照薬※1
    (N=1711)
    n(%)
    リバーロキサバン
    (N=2412)
    n(%)
    対照薬※1
    (N=2405)
    n(%)
    安全性主要評価項目※2
    139(8.1)
    138(8.1)
    249(10.3)
    274(11.4)
    重大な出血
    14(0.8)
    20(1.2)
    26(1.1)
    52(2.2)
    重大ではないが臨床的に問題となる出血
    129(7.5)
    122(7.1)
    228(9.5)
    235(9.8)
    (安全性解析対象集団、治験薬投与下)
    ※1:最低5日間エノキサパリン1mg/kg1日2回との併用下でビタミンK拮抗薬(ワルファリン又はacenocoumarol、目標PT-INR:2.0~3.0)を継続投与
    ※2:「重大な出血」又は「重大ではないが臨床的に問題となる出血」の複合エンドポイント
     
    副作用(臨床検査値異常を含む)は本剤15mgの1日2回3週間投与後に20mgが1日1回投与されたDVT患者1718例及びPE患者2412例にそれぞれ401例(23.3%)及び776例(32.2%)に認められた。合計4130例中1177例(28.5%)に認められた副作用で主なものは、鼻出血240例(5.8%)、月経過多101例(2.4%)、挫傷81例(2.0%)、歯肉出血77例(1.9%)、血尿76例(1.8%)、喀血75例(1.8%)、直腸出血66例(1.6%)、血腫60例(1.5%)、頭痛56例(1.4%)、腟出血44例(1.1%)等であった。
    本試験では、55歳未満の女性における本剤との因果関係が否定できない月経過多の発現頻度が12.4%(100例/804例)であった。
  3. 国際共同第Ⅲ相試験(小児)
    小児の急性VTE患者(18歳未満)を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討する多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、並行群間比較試験(EINSTEIN-Jr phase Ⅲ試験)を実施した。
    小児の急性VTE患者491例(安全性解析対象例数)に対して、ヘパリン(未分画、低分子量)又はフォンダパリヌクスによる初期治療を5日以上受けた後、9日以内に割り付けた本剤群又は対照群において、本剤群では非日本人成人に本剤20mg注1)(日本人成人に本剤15mg)を1日1回投与時の曝露量に相当するよう体重で調整された用法・用量(小児のVTEに対する承認用法・用量と同一)が投与され※1、対照群では初期治療を継続投与又はビタミンK拮抗薬(目標PT-INR:2.5、範囲:非日本人2.0~3.0、日本人2.0~2.5)に切り替えて投与された※2。主要投与期間は、2歳以上の患者及び2歳未満の非カテーテル関連VTE患者では3ヵ月とし、以降3ヵ月ごとに医師の判断により最長12ヵ月の投与が可能であった。また2歳未満のカテーテル関連VTE患者では主要投与期間を1ヵ月とし、1ヵ月ごとに医師の判断により最長3ヵ月まで投与が可能であった。主要投与期間における平均投与期間は、2歳以上の患者及び2歳未満の非カテーテル関連VTE患者では本剤群88.0日、対照群86.7日、また2歳未満のカテーテル関連VTE患者では本剤群29.8日、対照群29.5日であった。有効性評価項目及び出血事象等は盲検下で評価された。
    ※1:ヘパリンから本剤の移行にあたっては、未分画ヘパリンの投与終了4時間後、低分子量ヘパリンの1日2回投与終了12時間後又は1日1回投与終了24時間後とし、フォンダパリヌクスの前投与があった場合、治験薬投与開始はフォンダパリヌクスの投与終了24時間後に本剤投与を行うとの規定を設けた。
    ※2:24時間の間隔を空けた2回の測定でINRが2.0を超えれば、ヘパリン(未分画、低分子量)又はフォンダパリヌクスの投与を終了できた。
     
    有効性主要評価項目の発現頻度(主要投与期間中)は、本剤群1.2%、対照群3.0%(HR:0.40、95%CI:0.11~1.41)であった(最大の解析対象集団)。
    エンドポイント
    リバーロキサバン
    (N=335)
    対照薬
    (N=165)
    n(%)
    95%CI(%)
    n(%)
    95%CI(%)
    有効性主要評価項目※1
    4(1.2)
    0.4-3.0
    5(3.0)
    1.2-6.6
    有効性副次評価項目※2
    5(1.5)
    0.6-3.4
    6(3.6)
    1.6-7.6
    (最大の解析対象集団。主要投与期間中)
    ※1:再発性症候性VTEの発現頻度
    ※2:「再発性症候性VTE」又は画像検査上の「無症候性の血栓像の悪化」の複合エンドポイント
     
    安全性主要評価項目の発現頻度は本剤群3.0%、対照群1.9%(HR:1.58、95%CI:0.51~6.27)、「重大な出血」の発現頻度はそれぞれ0%及び1.2%であった。
    エンドポイント
    リバーロキサバン
    (N=329)
    対照薬
    (N=162)
    n(%)
    95%CI(%)
    n(%)
    95%CI(%)
    安全性主要評価項目※1
    10(3.0)
    1.6-5.5
    3(1.9)
    0.5-5.3
    重大な出血
    0
    2(1.2)
    重大ではないが臨床的に問題となる出血
    10(3.0)
    1(0.6)
    (安全性解析対象集団、治験薬投与下。主要投与期間)
    ※1:「重大な出血」又は「重大ではないが臨床的に問題となる出血」の複合エンドポイント
     
    副作用(臨床検査値異常を含む)は、主要投与期間中に本剤が投与された小児の急性VTE患者329例中90例(27.4%)に認められた。主な副作用は、鼻出血20例(6.1%)、月経過多20例(6.1%)であった。ベースライン時に月経のある患者における月経過多は86例中20例(23.3%)であった。
    本試験では、日本人小児の急性VTE患者6例(本剤群4例(生後0.6ヵ月~4.2歳、2.7~12.7kg)、対照群2例(生後0.9ヵ月~1.5歳、3.0kg~8.7kg))が投与を受けた。主要投与期間中、本剤群、対照群ともに再発性症候性VTE、無症候性の血栓像の悪化、重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血は認められなかった。また、本剤群4例中で主要投与期間中に認められた副作用は軽度の口腔内出血1例のみであった。
〈Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
  1. 国際共同第Ⅲ相試験
    小児のFontan手術後4ヵ月以内の機能的単心室症患者(2~8歳)を対象に、本剤注2)の薬物動態、薬力学、安全性及び有効性を検討する多施設共同試験(UNIVERSE試験)※1を実施した。
    小児のFontan手術後の機能的単心室症患者110例(安全性解析対象例数)に対して、本剤群では非日本人成人に本剤10mgを1日1回投与時の曝露量に相当するよう体重で調整された用法・用量(小児のFontan手術後患者に対する承認用法・用量のうち、体重30kg未満の区分)が投与され、対照群ではアセチルサリチル酸(ASA)約5mg/kgを1日1回投与した※2。いずれの群も投与期間は12ヵ月間とし、体重増加による用量調整は第6ヵ月時点で実施した。平均投与期間は、本剤群331.8日、対照群336.4日であった。有効性評価項目及び出血事象等は盲検下で評価された。
    ※1:本試験はパートA及びパートBから構成され、薬物動態及び薬力学を評価するパートAでは非盲検、非対照とし、安全性及び有効性を評価するパートBでは無作為化、非盲検、実薬対照とした。
    ※2:本剤群の76例(パートA12例、パートB64例)中61例、対照群の34例中29例が前治療として抗血小板薬又は抗凝固薬の投与を受けていた。前治療の内訳は、ASAが本剤群48例及び対照群23例、ヘパリンが本剤群18例及び対照群6例、ワルファリンが本剤群11例及び対照群5例であった。
     
    有効性主要評価項目の発現頻度(パートB、治験薬投与終了までの期間)は、本剤群1.6%、対照群8.8%であった(最大の解析対象集団)。
    エンドポイント
    リバーロキサバン
    (N=64)
    対照薬
    (N=34)
    n(%)
    95%CI(%)
    n(%)
    95%CI(%)
    有効性主要評価項目※1
    1(1.6)
    NA
    3(8.8)
    0.0-19.8
    NA:0例又は1例の場合CIは算出せず(最大の解析対象集団、パートB、治験薬投与終了までの期間※2
    ※1:あらゆる血栓性イベント(静脈又は動脈)
    ※2:治験薬の初回投与から最終来院(すなわち、最終有効性評価日;第12ヵ月又は中止時来院)まで
     
    安全性主要評価項目である「重大な出血」の発現頻度(パートB、治験薬投与下)は本剤群1.6%、対照群0%であった。本剤群で認められた「重大な出血」は鼻出血であった。
    エンドポイント
    リバーロキサバン
    (N=64)
    対照薬
    (N=34)
    n(%)
    95%CI(%)
    n(%)
    95%CI(%)
    重大な出血※1
    1※2(1.6)
    NA
    0
    NA
    重大ではないが臨床的に問題となる出血
    4(6.3)
    0.0-13.0
    3(8.8)
    0.0-19.8
    NA:0例又は1例の場合CIは算出せず(安全性解析対象集団、パートB、治験薬投与下)
    ※1:安全性主要評価項目
    ※2:成人において濃厚赤血球又は全血2単位以上に相当する量の輸血
     
    副作用(臨床検査値異常を含む)は、本剤が投与された小児のFontan手術後の機能的単心室症患者76例中23例(30.3%)に認められた。主な副作用は、斑状出血6例(7.9%)、鼻出血3例(3.9%)、血腫3例(3.9%)であった。
     
    本試験では、日本人小児のFontan手術後の機能的単心室症患者9例(本剤群8例、対照群1例)が投与を受けた。本剤群、対照群ともにあらゆる血栓性イベント(静脈又は動脈)の発現は認められなかった。「重大な出血」は、本剤群1例(輸血を要する鼻出血)で認められた。
 
注1)本剤の成人における承認用法・用量は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」では15mg1日1回投与である。なお、腎機能の程度に応じて減量する場合は、10mg1日1回投与である。「静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制」では、発症後の初期3週間は15mg1日2回投与、その後は15mg1日1回投与である。
注2)ドライシロップ

薬効薬理

作用機序
本剤は、選択的かつ直接的第Ⅹa因子阻害剤であり、経口投与で効果を示す。内因系及び外因系血液凝固カスケード中の第Ⅹa因子を本剤が阻害することで、トロンビン産生及び血栓形成が抑制される。本剤はトロンビンを阻害せず、また血小板に対する直接作用を有さない。
抗血栓効果
本剤は、マウス、ラット又はウサギの静脈及び動脈血栓症モデルにおいて、用量依存的に血栓形成を抑制した。また、ウサギ静脈血栓症モデルにおいて、血栓形成後の血栓の増大を抑制した,,

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
リバーロキサバン(Rivaroxaban)
化学名
5-Chloro-N-({(5S)-2-oxo-3-[4-(3-oxomorpholin-4-yl)phenyl]-1,3-oxazolidin-5-yl}methyl)thiophene-2-carboxamide
分子式
C19H18ClN3O5S
分子量
435.88
性状
本品は白色~微黄色の粉末である。
化学構造式

承認条件

〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制(小児)、Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制〉
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

〈イグザレルト錠10mg〉
100錠[10錠(PTP)×10]
140錠[14錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]
500錠[瓶、バラ]
〈イグザレルト錠15mg〉
100錠[10錠(PTP)×10]
140錠[14錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]
500錠[瓶、バラ]

主要文献

1
社内資料: 妊娠ラットにおける胎盤通過性(2012年1月18日承認、CTD2.6.4.4.6)
2
社内資料: ウサギにおける胚・胎児発生に関する毒性試験(2012年1月18日承認、CTD2.6.6.6.2.2)
3
社内資料: ラットにおける出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験(2012年1月18日承認、CTD2.6.6.6.3)
4
社内資料: ラットにおける乳汁中分泌(2012年1月18日承認、CTD2.6.4.6.4)
5
Brodsky S, et al.: J Am Soc Nephrol. 2018; 29: 2787-2793
6
Zakrocka I, et al.: Adv Clin Exp Med. 2022; 31: 165-173
7
Pengo V, et al.: Blood. 2018; 132: 1365-1371
8
社内資料: 日本人急性症候性深部静脈血栓症患者及び急性症候性肺塞栓症患者における曝露量の推定
9
社内資料: 日本人非弁膜症性心房細動患者における国内第Ⅲ相試験(2012年1月18日承認、CTD2.7.6.46)
10
社内資料: 非弁膜症性心房細動患者における国外第Ⅲ相試験(2012年1月18日承認、CTD2.7.6.47)
11
社内資料: 日本人急性症候性深部静脈血栓症患者における国内第Ⅲ相試験(2015年9月24日承認、CTD2.7.6.4)
12
社内資料: 日本人急性症候性肺塞栓症患者における国内第Ⅲ相試験(2015年9月24日承認、CTD2.7.6.5)
13
社内資料: 急性症候性深部静脈血栓症患者における国外第Ⅲ相試験(2015年9月24日承認、CTD2.7.6.1)
14
社内資料: 急性症候性肺塞栓症患者における国外第Ⅲ相試験(2015年9月24日承認、CTD2.7.6.2)
15
社内資料: 急性静脈血栓塞栓症の小児患者を対象とした第Ⅲ相試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.6.12)
16
社内資料: Fontan手術後の2~8歳の小児を対象とした第Ⅲ相試験(2023年11月24日承認、CTD2.7.6.1)
17
Perzborn E, et al.: J Thromb Haemost. 2005; 3: 514-521
18
Biemond BJ, et al.: Thromb Haemost. 2007; 97: 471-477
19
社内資料: マウスにおける血栓塞栓死予防試験(2012年1月18日承認、CTD2.6.2.2.2.1.8)

文献請求先及び問い合わせ先

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バイエル薬品株式会社・メディカルインフォメーション
〒530-0001大阪市北区梅田二丁目4番9号
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製造販売業者等

製造販売元
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先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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