医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

閲覧履歴

トラネキサム酸注1gシリンジ「NP」

抗プラスミン剤

1筒 153円

添付文書番号

3327401G1030_3_06

企業コード

530100

作成又は改訂年月

2023年11月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

873327

薬効分類名

抗プラスミン剤

承認等

販売名

トラネキサム酸注1gシリンジ「NP」

販売名コード

3327401G1030

販売名英字表記

Tranexamic Acid Injection Syringe

販売名ひらがな

とらねきさむさんちゅう1gしりんじ「NP」

承認番号等

承認番号
22500AMX00799

販売開始年月

2005年9月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
トラネキサム酸注射液

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

トラネキサム酸注射液

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. トロンビンを投与中の患者
  2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

トラネキサム酸注1gシリンジ「NP」
有効成分
1シリンジ(10mL)中日本薬局方 トラネキサム酸  1000mg

製剤の性状

トラネキサム酸注1gシリンジ「NP」
pH7.0~8.0
浸透圧比約2(生理食塩液に対する比)
性状
無色澄明の液

効能又は効果

  • 全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向
    (白血病、再生不良性貧血、紫斑病など及び手術中・術後の異常出血)
  • 局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血
    (肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)
  • 下記疾患における紅斑・腫脹・そう痒などの症状
    湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹
  • 下記疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹などの症状
    扁桃炎、咽喉頭炎
  • 口内炎における口内痛及び口内粘膜アフター

用法及び用量

トラネキサム酸として、通常成人1日250~500mgを1~2回に分けて静脈内又は筋肉内注射する。術中・術後などには必要に応じ1回500~1000mgを静脈内注射するか、又は500~2500mgを点滴静注する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 血栓のある患者(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)及び血栓症があらわれるおそれのある患者
    血栓を安定化するおそれがある。
  2. 消費性凝固障害のある患者
    ヘパリン等と併用すること。血栓を安定化するおそれがある。
  3. 術後の臥床状態にある患者及び圧迫止血の処置を受けている患者
    静脈血栓を生じやすい状態であり、本剤投与により血栓を安定化するおそれがある。離床、圧迫解除に伴い肺塞栓症を発症した例が報告されている。

腎機能障害患者

  1. 腎不全のある患者
    血中濃度が上昇することがある。
  2. 人工透析患者

妊婦

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
トロンビン
血栓形成傾向があらわれるおそれがある。
血栓形成を促進する作用があり、併用により血栓形成傾向が増大する。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ヘモコアグラーゼ
大量併用により血栓形成傾向があらわれるおそれがある。
ヘモコアグラーゼによって形成されたフィブリン塊は、本剤の抗プラスミン作用によって比較的長く残存し閉塞状態を持続させるおそれがあると考えられている。
バトロキソビン
血栓・塞栓症を起こすおそれがある。
バトロキソビンによって生成するdesAフィブリンポリマーの分解を阻害する。
凝固因子製剤
エプタコグアルファ等
口腔等、線溶系活性が強い部位では凝固系がより亢進するおそれがある。
凝固因子製剤は凝固系を活性化させることにより止血作用を発現する。一方、本剤は線溶系を阻害することにより止血作用を発現する。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. ショック(頻度不明)
  2. 痙攣(頻度不明)
    人工心肺を用いた心臓大血管手術の周術期に本剤を投与した患者において、術後に痙攣があらわれることがある。また、人工透析患者において痙攣があらわれたとの報告がある。

その他の副作用

0.1~1%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
そう痒感、発疹等
消化器
悪心、嘔吐
食欲不振、下痢
一過性の色覚異常(静脈内注射時)
その他
眠気、頭痛

適用上の注意

全般的な注意
使用時には、以下の点に注意すること。
  • 感染に対する配慮をすること。
  • シリンジが破損するおそれがあるので、シリンジを鉗子等で叩くなど、強い衝撃を与えないこと。
  • 押子(プランジャー)が外れたり、ガスケットが変形し薬液が漏出したりするおそれがあるので押子のみを持たないこと。
  • 押子を反時計回りに回転させると接続にゆるみが生じ、ガスケットから押子が外れるおそれがあるので、押子を反時計回りに回転させないこと。
  • 押子を引かないこと。
  • シリンジが破損するおそれがあるので、高圧自動注入装置及び極端な陰圧が発生する回路には使用しないこと。
薬剤投与時の注意
  1. 使用に際しては、ブリスター包装を開封口からゆっくり開け、外筒(バレル)を持って取り出すこと。
  2. 押子の緩みがないか確認すること。緩みが認められた場合は、押子を時計回りに回転させ締め直すこと。
  3. 筒先のキャップをゆっくり回転させながら外して、注射針等に確実に接続すること。キャップを外した後は、筒先に触れないこと。
  4. 注射針等を接続する場合は誤刺に注意し、しっかりと固定すること。
  5. 静脈内注射時
    ゆっくり静脈内に投与すること。急速に投与すると、まれに悪心、胸内不快感、心悸亢進、血圧低下等があらわれることがある。
  6. 筋肉内注射時
    組織・神経等への影響を避けるため以下の点に注意すること。
    • 注射部位については、神経走行部位を避けて慎重に投与すること。
    • 繰り返し注射する場合には、左右交互に注射するなど、同一部位を避けること。なお、小児等には特に注意すること。
    • 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
薬剤投与後の注意
開封後の使用は1回限りとし、使用後の残液はシリンジとともに速やかに廃棄すること。

その他の注意

非臨床試験に基づく情報
イヌに長期・大量投与したところ網膜変性があらわれたとの報告がある。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    健康成人男性5例にトラネキサム酸500mgを単回筋肉内投与又は1,000mgを単回静脈内投与したとき、薬物動態パラメータは次のとおりであった。
    単回静脈内投与及び単回筋肉内投与時のトラネキサム酸の薬物動態パラメータ
    投与量
    投与法
    例数
    Cmax(μg/mL)
    Tmax(hr)
    t1/2(hr)
    Vd(L)
    500mg
    筋注
    3
    21.2
    0.5
    2.0
    1,000mg
    静注
    2
    1.9
    42.4

分布

マウスに14C-トラネキサム酸を20mg/kgの投与量で単回静脈内投与及び単回筋肉内投与したときの組織内分布は、肝、腎、肺で高く、膵、副腎、脾、子宮、心、筋肉がこれに次ぎ、脳では低かった。

排泄

健康成人男性5例にトラネキサム酸500mgを単回筋肉内投与又は1,000mgを単回静脈内投与したとき、投与後24時間以内に投与量のそれぞれ76%及び80%が未変化体として尿中に排泄された。

薬効薬理

作用機序
線維素溶解現象(線溶現象)は生体の生理的ならびに病的状態において、フィブリン分解をはじめ、血管の透過性亢進等に関与し、プラスミンによって惹起される生体反応を含め、種々の出血症状やアレルギー等の発生進展や治癒と関連している。トラネキサム酸は、このプラスミンの働きを阻止し、抗出血・抗アレルギー・抗炎症効果を示す。
抗プラスミン作用
トラネキサム酸は、プラスミンやプラスミノゲンのフィブリンアフィニティー部位であるリジン結合部位(LBS)と強く結合し、プラスミンやプラスミノゲンがフィブリンに結合するのを阻止する。このため、プラスミンによるフィブリン分解は強く抑制される。更に、α2-マクログロブリン等血漿中アンチプラスミンの存在下では、トラネキサム酸の抗線溶作用は一段と強化される,,,,
止血作用
異常に亢進したプラスミンは、血小板の凝集阻止、凝固因子の分解等を起こすが、軽度の亢進でも、フィブリン分解がまず特異的に起こる。したがって一般の出血の場合、トラネキサム酸は、このフィブリン分解を阻害することによって止血すると考えられる。
抗アレルギー・抗炎症作用
トラネキサム酸は、血管透過性の亢進、アレルギーや炎症性病変の原因になっているキニン等の産生を抑制する(モルモット、ラット),,,

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
トラネキサム酸(Tranexamic Acid)
化学名
trans-4-(Aminomethyl)cyclohexanecarboxylic acid
分子式
C8H15NO2
分子量
157.21
性状
・白色の結晶又は結晶性の粉末である。・水に溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
化学構造式

取扱い上の注意

  1. ブリスター包装は使用時まで開封しないこと。
  2. 以下の場合には使用しないこと。
    • ブリスタ-包装が破損している場合
    • シリンジから薬液が漏れている場合
    • 性状その他薬液に異状が認められる場合
    • シリンジに破損等の異状が認められる場合
    • キャップが外れている場合

包装

10mL×10シリンジ

主要文献

1
佐野光司ほか:臨床薬理 1976;7(4):375-382(L20220879)
2
豊島 滋ほか:基礎と臨床1971;5:740-748(L20220880)
3
安孫子雍史:Med Pharm. 1976;10(1):7-11(L20220881)
4
Iwamoto M:Thrombos Diathes Haemorrh. 1975;33(3):573-585(L20220902)
5
Markus G, et al.:J Biol Chem. 1979;254(4):1211-1216(L20220882)
6
Abiko Y, et al.:Biochim Biophys Acta. 1969;185(2):424-431(L20220883)
7
Abiko Y, et al.:Biochim Biophys Acta. 1970;214(3):411-418(L20220884)
8
山田外春ほか:プラスミン研究会報告集 1974;14:364-366(L20220885)
9
木村義民ほか:アレルギー 1966;15(9):755-763(L20220886)
10
近藤元治:プラスミン研究会報告集 1966;6:36-37(L20220887)
11
山崎英正ほか:日本薬理学雑誌 1967;63 (6):560-571(L20220888)

文献請求先及び問い合わせ先

ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
TEL 0120-226-898FAX 050-3535-8939

製造販売業者等

製造販売元
ニプロ株式会社
大阪府摂津市千里丘新町3番26号

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

MESSAGE

MESSAGE

LABEL