医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

閲覧履歴

シグニフォーLAR筋注用キット10mg

持続性ソマトスタチンアナログマイクロスフェア型徐放性製剤

1キット 111623円

添付文書番号

2499417G1023_2_04

企業コード

870276

作成又は改訂年月

2020年6月改訂
(第2版)

日本標準商品分類番号

872499

薬効分類名

持続性ソマトスタチンアナログマイクロスフェア型徐放性製剤

承認等

販売名

シグニフォーLAR筋注用キット10mg

販売名コード

2499417G4022

販売名英字表記

Signifor LAR kit for i.m.injection

販売名ひらがな

しぐにふぉーLARきんちゅうよう

承認番号等

承認番号
23000AMX00453000

販売開始年月

2018年8月

貯法、有効期間

貯法
凍結を避け、2~8℃に保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

シグニフォーLAR筋注用キット20mg

販売名コード

2499417G1023

販売名英字表記

Signifor LAR kit for i.m.injection

販売名ひらがな

しぐにふぉーLARきんちゅうよう

承認番号等

承認番号
22800AMX00677000

販売開始年月

2016年12月

貯法、有効期間

貯法
凍結を避け、2~8℃に保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

シグニフォーLAR筋注用キット30mg

販売名コード

2499417G5029

販売名英字表記

Signifor LAR kit for i.m.injection

販売名ひらがな

しぐにふぉーLARきんちゅうよう

承認番号等

承認番号
23000AMX00454000

販売開始年月

2018年8月

貯法、有効期間

貯法
凍結を避け、2~8℃に保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注3)
注3)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

シグニフォーLAR筋注用キット40mg

販売名コード

2499417G2020

販売名英字表記

Signifor LAR kit for i.m.injection

販売名ひらがな

しぐにふぉーLARきんちゅうよう

承認番号等

承認番号
22800AMX00678000

販売開始年月

2016年12月

貯法、有効期間

貯法
凍結を避け、2~8℃に保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注4)
注4)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

シグニフォーLAR筋注用キット60mg

販売名コード

2499417G3026

販売名英字表記

Signifor LAR kit for i.m.injection

販売名ひらがな

しぐにふぉーLARきんちゅうよう

承認番号等

承認番号
22800AMX00679000

販売開始年月

2016年12月

貯法、有効期間

貯法
凍結を避け、2~8℃に保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注5)
注5)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

パシレオチドパモ酸塩

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 重度(Child-Pugh分類クラスC)の肝機能障害のある患者

組成・性状

組成

シグニフォーLAR筋注用キット10mg
有効成分
パシレオチドパモ酸塩注1)  17.138mg(1バイアル中)
パシレオチドの含量注1)  12.5mg
添加剤
乳酸・グリコール酸共重合体(11:9)グルコースエステル注1)  16.431mg
乳酸・グリコール酸共重合体(1:1)注1)  16.431mg
専用分散液(2mL)注2)
1シリンジ中(2.25mL)、日局注射用水適量、及び添加剤としてD-マンニトール101.25mg、カルメロースナトリウム15.75mg、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール4.5mgを含有する。
注1)本剤は調製時及び投与時の損失を考慮し、パシレオチドとしてそれぞれ10mg、20mg、30mg、40mg又は60mgが投与できるよう過量充填されている。
注2)2mLが投与できるよう過量充填されている。
シグニフォーLAR筋注用キット20mg
有効成分
パシレオチドパモ酸塩注3)  32.904mg(1バイアル中)
パシレオチドの含量注3)  24mg
添加剤
乳酸・グリコール酸共重合体(11:9)グルコースエステル注3)  31.548mg
乳酸・グリコール酸共重合体(1:1)注3)  31.548mg
専用分散液(2mL)注4)
1シリンジ中(2.25mL)、日局注射用水適量、及び添加剤としてD-マンニトール101.25mg、カルメロースナトリウム15.75mg、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール4.5mgを含有する。
注3)本剤は調製時及び投与時の損失を考慮し、パシレオチドとしてそれぞれ10mg、20mg、30mg、40mg又は60mgが投与できるよう過量充填されている。
注4)2mLが投与できるよう過量充填されている。
シグニフォーLAR筋注用キット30mg
有効成分
パシレオチドパモ酸塩注5)  49.356mg(1バイアル中)
パシレオチドの含量注5)  36mg
添加剤
乳酸・グリコール酸共重合体(11:9)グルコースエステル注5)  47.322mg
乳酸・グリコール酸共重合体(1:1)注5)  47.322mg
専用分散液(2mL)注6)
1シリンジ中(2.25mL)、日局注射用水適量、及び添加剤としてD-マンニトール101.25mg、カルメロースナトリウム15.75mg、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール4.5mgを含有する。
注5)本剤は調製時及び投与時の損失を考慮し、パシレオチドとしてそれぞれ10mg、20mg、30mg、40mg又は60mgが投与できるよう過量充填されている。
注6)2mLが投与できるよう過量充填されている。
シグニフォーLAR筋注用キット40mg
有効成分
パシレオチドパモ酸塩注7)  65.808mg(1バイアル中)
パシレオチドの含量注7)  48mg
添加剤
乳酸・グリコール酸共重合体(11:9)グルコースエステル注7)  63.096mg
乳酸・グリコール酸共重合体(1:1)注7)  63.096mg
専用分散液(2mL)注8)
1シリンジ中(2.25mL)、日局注射用水適量、及び添加剤としてD-マンニトール101.25mg、カルメロースナトリウム15.75mg、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール4.5mgを含有する。
注7)本剤は調製時及び投与時の損失を考慮し、パシレオチドとしてそれぞれ10mg、20mg、30mg、40mg又は60mgが投与できるよう過量充填されている。
注8)2mLが投与できるよう過量充填されている。
シグニフォーLAR筋注用キット60mg
有効成分
パシレオチドパモ酸塩注9)  98.712mg(1バイアル中)
パシレオチドの含量注9)  72mg
添加剤
乳酸・グリコール酸共重合体(11:9)グルコースエステル注9)  94.644mg
乳酸・グリコール酸共重合体(1:1)注9)  94.644mg
専用分散液(2mL)注10)
1シリンジ中(2.25mL)、日局注射用水適量、及び添加剤としてD-マンニトール101.25mg、カルメロースナトリウム15.75mg、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール4.5mgを含有する。
注9)本剤は調製時及び投与時の損失を考慮し、パシレオチドとしてそれぞれ10mg、20mg、30mg、40mg又は60mgが投与できるよう過量充填されている。
注10)2mLが投与できるよう過量充填されている。

製剤の性状

シグニフォーLAR筋注用キット10mg
剤形粉末
色調ごくうすい黄色~うすい黄色
pH約5.6注11)
浸透圧比約1.0(生理食塩液に対する比)注12)
注11)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁後、生理食塩水で希釈した液
注12)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁した後のろ液
シグニフォーLAR筋注用キット20mg
剤形粉末
色調ごくうすい黄色~うすい黄色
pH約6.0注13)
浸透圧比約1.0(生理食塩液に対する比)注14)
注13)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁後、生理食塩水で希釈した液
注14)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁した後のろ液
シグニフォーLAR筋注用キット30mg
剤形粉末
色調ごくうすい黄色~うすい黄色
pH約5.6注15)
浸透圧比約1.0(生理食塩液に対する比)注16)
注15)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁後、生理食塩水で希釈した液
注16)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁した後のろ液
シグニフォーLAR筋注用キット40mg
剤形粉末
色調ごくうすい黄色~うすい黄色
pH約6.2注17)
浸透圧比約1.0(生理食塩液に対する比)注18)
注17)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁後、生理食塩水で希釈した液
注18)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁した後のろ液
シグニフォーLAR筋注用キット60mg
剤形粉末
色調ごくうすい黄色~うすい黄色
pH約5.8注19)
浸透圧比約1.0(生理食塩液に対する比)注20)
注19)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁後、生理食塩水で希釈した液
注20)本剤1バイアルを専用分散液で懸濁した後のろ液

効能又は効果

  • 下記疾患における成長ホルモン、IGF-I(ソマトメジン-C)
    分泌過剰状態及び諸症状の改善
    先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合)
  • クッシング病(外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合)
    (参考)
    シグニフォーLAR筋注用キット
    10mg
    20mg
    30mg
    40mg
    60mg
    1. 先端巨大症・下垂体性巨人症
    2. クッシング病
    ○:効能あり、―:効能なし

効能又は効果に関連する注意

〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
  1. 下垂体性巨人症については、脳性巨人症や染色体異常など他の原因による高身長例を鑑別し、下垂体性病変に由来するものであることを十分に確認すること。
  2. 高血糖の発症リスクを考慮し、他のソマトスタチンアナログで効果が不十分な場合など、本剤による治療がより適切と考えられる場合に使用すること。

用法及び用量

〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
通常、成人にはパシレオチドとして40mgを4週毎に3ヵ月間、臀部筋肉内に注射する。その後は患者の状態に応じて、20mg、40mg又は60mgを4週毎に投与する。
〈クッシング病〉
通常、成人にはパシレオチドとして10mgを4週毎に、臀部筋肉内に注射する。なお、患者の状態に応じて適宜増量できるが、最高用量は40mgとする。

用法及び用量に関連する注意

〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
  1. 用量は60mgを上限とし、成長ホルモン濃度、IGF-I濃度及び臨床症状により、20mg単位で適宜増減できる。なお、60mgまで増量しても改善がみられない場合には、他の治療法への切替えを考慮すること。
  2. 中等度(Child-Pugh分類クラスB)の肝機能障害のある患者では、20mgを4週毎に3ヵ月間、臀部筋肉内に注射する。その後は患者の状態に応じて20mg又は40mgを4週毎に投与する。
〈クッシング病〉
  1. 用量は40mgを上限とし、血中・尿中コルチゾール値、臨床症状等により、10mg~40mgの範囲で適宜増減できる。なお、40mgまで増量しても改善がみられない場合には、他の治療法への切替えを考慮すること。
  2. 中等度(Child-Pugh分類クラスB)の肝機能障害のある患者では、10mgを4週毎に臀部筋肉内に注射する。なお、患者の状態に応じて適宜増量できるが、最高用量は20mgとする。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 本剤の作用機序によりインスリン等の分泌が低下することで、高血糖を起こすことがある。投与開始前、投与開始後1ヵ月までは週1回、投与開始後1ヵ月から投与開始後3ヵ月までは1~2週に1回、血糖値を測定し、患者の状態を注意深く観察すること。本剤投与中は投与開始後4ヵ月以降も定期的に血糖値(空腹時血糖、HbA1c等)を測定し、本剤投与中止後も必要に応じて血糖値を測定すること。本剤の用量を増量する場合は、増量後4~6週間までは週1回を目安に血糖値を測定すること。
  2. 徐脈及びQT延長があらわれることがあるので、投与開始前及び投与開始3週後を目安に心電図検査を行うこと。また、その後も必要に応じて心電図検査を行うこと。
  3. ALT、AST等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、投与開始前、投与開始2~3週後、その後投与開始後3ヵ月までは月1回を目安に、それ以降は定期的に肝機能検査を行うこと。
  4. 胆石の形成又は胆石症の悪化(急性胆嚢炎、胆管炎又は膵炎)があらわれることがあるので、投与開始前及び投与中は、定期的に(6~12ヵ月毎)超音波、X線による胆嚢及び胆管検査を行うことが望ましい。
  5. 本剤の投与中は複数の下垂体ホルモンの分泌が抑制されるおそれがあるので、必要に応じて、投与開始前及び投与中は定期的に下垂体機能検査を行うこと。
  6. 本剤の投与中に甲状腺機能の低下を伴うことがあるので、患者の状態を十分に観察すること。甲状腺関連の異常所見が認められた場合には甲状腺機能検査を行うこと。
  7. 本剤の投与中に副腎皮質機能が低下し、低コルチゾール血症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること。脱力、疲労、食欲不振、悪心、嘔吐、低血圧、低ナトリウム血症、低血糖等の症状があらわれた場合には主治医に連絡するよう指導すること。低コルチゾール血症が疑われた場合には、本剤の減量又は休薬を考慮するとともに、必要に応じて適切な処置を行うこと。
〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
  1. 病態悪化に伴い、下垂体腺腫が進展することがあり、これに伴い視野狭窄などの重篤な症状を生じることがあるので患者の状態を十分に観察すること。腫瘍の進展が認められた場合は、他の治療法への切替え等適切な処置を行うこと。
  2. 成長ホルモン及びIGF-Iを定期的に測定することが望ましい。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 糖尿病の患者
    投与開始前に血糖値(空腹時血糖、HbA1c等)を測定し、血糖をコントロールしておくこと。投与開始後1ヵ月から投与開始後3ヵ月までは週1回、血糖値を測定することが望ましい。糖尿病が悪化するおそれがある。
  2. 臨床的に重大な徐脈、急性心筋梗塞、高度心ブロック、うっ血性心不全、不安定狭心症、持続性心室性頻脈、心室細動の既往歴のある患者
    徐脈があらわれる又は悪化するおそれがある。
  3. QT延長のある患者(先天性QT延長症候群、うっ血性心不全、低カリウム血症又は低マグネシウム血症の患者)
    低カリウム血症又は低マグネシウム血症の患者に本剤を投与する場合には、投与開始前に必ず電解質の補正を行い、投与中は定期的に血液検査を行うこと。QT延長が悪化するおそれがある。

肝機能障害患者

  1. 重度(Child-Pugh分類クラスC)の肝機能障害患者
    投与しないこと。血中濃度が上昇し、副作用がおこりやすくなるおそれがある。
  2. 中等度(Child-Pugh分類クラスB)の肝機能障害患者
    患者の状態に応じて適宜用量を調節すること。血中濃度が上昇するおそれがある。
  3. 軽度(Child-Pugh分類クラスA)の肝機能障害患者
    血中濃度が上昇するおそれがある。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット、ウサギ)で、母動物に毒性が発現する用量で、早期/総吸収胚数の発現率の増加、生存胎児数の減少、胎児体重の減少、流産及び骨格変異を含む生殖発生毒性が認められている。また、動物実験(ラット)で、臨床曝露量以下で雌の受胎能に影響が認められている(黄体数、着床数及び生存胎児数の減少、発情周期異常)。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の状態を観察し、十分に注意しながら本剤を投与すること。一般に、生理機能が低下している。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
シクロスポリン
シクロスポリンの血中濃度が低下することがある。
動物実験(イヌ)において、本剤がシクロスポリンの消化管吸収を阻害し、血中濃度を低下させたとの報告がある。
抗不整脈剤
QT延長を起こすことが知られている薬剤
QT延長を起こす又は悪化させるおそれがあるため、観察を十分に行うこと。
いずれもQT延長の副作用を有するため。
β遮断剤
アテノロール等
カルシウム拮抗剤
ベラパミル、ジルチアゼム等
水分や電解質を補正する薬剤
併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められるおそれがある。
いずれも徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。
CYP3A4で代謝される薬剤
キニジン等
主にCYP3A4で代謝される薬剤の血中濃度を上昇させることがある。
本剤が成長ホルモンの産生を抑制することにより、間接的にCYP3A4で代謝される薬剤のクリアランスを低下させる可能性がある。
ブロモクリプチン
類薬(オクトレオチド)でブロモクリプチンとの併用により、ブロモクリプチンのAUCが上昇したとの報告がある。
機序は不明である。
インスリン製剤
血糖降下剤
糖尿病用薬との併用時には低血糖の発現に注意すること。低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。
インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 高血糖、糖尿病の発症又は増悪(63.4%)
    糖尿病性ケトアシドーシスや糖尿病性昏睡に至るおそれがある。高血糖が認められた場合は、直ちに糖尿病治療薬を投与するなど適切な処置を行い、血糖コントロールの改善が認められない場合は本剤の減量又は投与中止を考慮すること。
  2. 徐脈(5.7%)、QT延長(1.7%)
    β遮断剤、カルシウム拮抗剤等の徐脈作用を有する薬剤又は水分や電解質を補正する薬剤を投与している患者において、徐脈又はQT延長が認められた場合、これらの用量を調節すること。
  3. 肝機能障害(6.3%)
    ALT増加、AST増加、γ-GTP増加を伴う肝機能障害を起こすことがある。黄疸や顕著な肝機能検査値異常が認められた場合には、本剤投与の中止を考慮すること。

その他の副作用

5%以上
5%未満
血液及びリンパ系障害
貧血
内分泌障害
副腎機能不全
神経系障害
頭痛、浮動性めまい
胃腸障害
下痢、腹痛、悪心、腹部膨満
嘔吐
肝胆道系障害
胆石症
胆嚢炎、胆汁うっ滞
皮膚及び皮下組織障害
脱毛症
臨床検査
血中CK増加、グリコヘモグロビン増加、リパーゼ増加、血中アミラーゼ増加、血中コルチゾール減少、プロトロンビン時間延長
全身障害及び注射部位反応
疲労
注射部位疼痛
代謝及び栄養障害
低血糖、食欲減退

適用上の注意

薬剤調製時の注意
  1. 本剤の使用にあたっては、取扱い方法を示した付属の文書を熟読すること。
  2. 調製は必ず付属の専用分散液及びバイアルアダプターを使用し、薬剤及び専用分散液を少なくとも30分室温で静置し、内容物を室温に戻してから行うこと。
  3. 専用分散液の全量をバイアル内に注入後、粉末が完全に懸濁するまで、水平方向に穏やかに振ること。
  4. 用時調製し、懸濁後は直ちに使用すること。
薬剤投与時の注意
  1. 筋肉内のみに投与し、静脈内には投与しないこと。
  2. 注射針は20ゲージを用いること。
  3. 注射部位は臀部の左右外側上部とし、三角筋等他の筋には投与しないこと。
  4. 臀部には左右交互に投与し、同一部位への投与は避けること。
  5. 神経走行部位及び血管内への投与を避けること。
  6. 注射針を刺入したとき、疼痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
薬剤投与後の注意
  1. 注射部位をもまないように患者に指示すること。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    健康成人(32例)に本剤10mg、20mg、40mg及び60mgを単回筋肉内投与したときの血漿中パシレオチド濃度は、投与後約20日にCmaxに達し、その後約12~18日間の半減期で消失した。Cmax及びAUCは、ほぼ用量に比例して増加した 。
    健康成人に本剤10mg、20mg、40mg及び60mgを単回筋肉内投与したときの血漿中パシレオチド濃度推移(各群n=8、平均値±標準偏差)
    健康成人に本剤10mg、20mg、40mg及び60mgを単回筋肉内投与したときの薬物動態パラメータ
    薬物動態
    パラメータ
    10mg(n=8)
    20mg(n=8)
    40mg(n=8)
    60mg(n=8)
    AUClast(ng・hr/mL)
    1,859±246
    3,848±1,087
    9,969±4,738
    12,841±1,349
    Cmax(ng/mL)
    4.37±1.07
    8.19±1.69
    19.8±10.4
    29.0±9.0
    Tmax(hr)
    408
    (336~480)
    456
    (336~528)
    480
    (384~576)
    504
    (240~576)
    T1/2(hr)
    291±62
    443±254
    341±111
    378±199
    Tmaxは中央値(最小値~最大値)を、それ以外は平均値±標準偏差を示す。
  2. 反復投与
    〈先端巨大症患者及び下垂体性巨人症患者〉
    先端巨大症患者(32例)及び下垂体性巨人症患者(1例)に本剤20mg、40mg及び60mgを4週毎に12週間筋肉内投与したときの血漿中パシレオチド濃度の推移は下図のとおりであり、投与3回目以降はほぼ定常状態となった。投与3回目における血漿中パシレオチド濃度のCmax(平均値±標準偏差、以下同様)は、各用量でそれぞれ8.23±2.35、17.3±9.61及び16.2±7.12ng/mLであった。トラフ濃度の累積係数(投与3回目/投与1回目)は、各用量でそれぞれ1.33±0.530、1.85±1.17及び1.64±1.41であった 。
    患者に本剤20mg、40mg及び60mgを4週毎に12週間筋肉内投与したときの血漿中パシレオチド濃度推移(各群n=11、平均値±標準偏差)
    〈クッシング病患者〉
    クッシング病患者を対象とした国際共同試験において、本剤10mg、30mg及び40mgを4週毎に12ヵ月間筋肉内投与したときのトラフ濃度は投与3回目でほぼ定常状態となった。定常状態におけるトラフ濃度(平均値)は、それぞれ2.39~3.36(n=13~59)、7.88~9.34(n=15~51)及び10.7~12.6(n=20~44)ng/mLであった 。

分布

パシレオチドの血漿蛋白結合率は濃度に依存せず約88%であり、血球にはほとんど移行しない (in vitro)。

代謝

  1. パシレオチドの代謝
    パシレオチドはヒト肝及び腎ミクロソーム中で代謝を受けない (in vitro)。健康成人(4例)に14C標識したパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μgを単回皮下投与したとき、血漿、尿及び糞中の主要成分はパシレオチドの未変化体であった (外国人のデータ)。
  2. CYPに対する阻害作用
    パシレオチドは臨床用量においてCYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4/5を阻害しなかった (in vitro)。
  3. CYPに対する誘導作用
    パシレオチドは臨床用量においてCYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19及び3Aを誘導しなかった (in vitro)。
  4. UGTに対する阻害作用
    パシレオチドは臨床用量においてUGT1A1を阻害しなかった (in vitro)。

排泄

  1. パシレオチドは主に胆汁中に排泄される。健康成人(4例)に14C標識したパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μgを単回皮下投与したとき、投与10日後における総投与放射能の糞中及び尿中排泄率はそれぞれ約48%及び約8%であった (外国人のデータ)。本剤20~60mgを日本人健康成人に単回筋肉内投与したときの見かけのクリアランス(CL/F)は約4.5~5.2L/hrであった (in vivo)。
  2. パシレオチドの見かけの膜透過係数は約0.1×10-5cm/minであり膜透過性は低かった 。パシレオチドはP-gpの基質であることが示唆されたが、BCRP、OCT1、OATP1B1、1B3又は2B1の基質ではなかった (in vitro)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害者における薬物動態
    健康被験者、軽度、中等度、重度の腎機能障害者及び末期腎不全患者にパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)900μgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。健康被験者に対する軽度、中等度、重度腎機能障害者及び末期腎不全患者における血漿中パシレオチド濃度のCmaxの幾何平均値の比とその90%信頼区間は、0.69[0.53, 0.88]、0.70[0.55, 0.90]、0.81[0.63, 1.04]及び1.05[0.76, 1.45]、AUCinfの幾何平均値の比とその90%信頼区間は0.77[0.62, 0.95]、0.85[0.69, 1.04]、0.95[0.77, 1.19]及び1.20[0.91, 1.57]であった (外国人のデータ)。
    パシレオチド二アスパラギン酸塩900μgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ
    薬物動態
    パラメータ
    健康被験者
    (n=19)
    軽度
    腎機能障害者
    (n=8)
    中等度
    腎機能障害者
    (n=8)
    重度
    腎機能障害者
    (n=8)
    末期
    腎不全患者
    (n=4)
    AUCinf
    (ng・hr/mL)
    189(21.1)注1)
    145(39.6)
    160(32.5)
    180(34.2)注2)
    227(17.0)
    Cmax
    (ng/mL)
    30.3(32.8)
    20.8(39.5)
    21.3(26.9)
    24.5(51.0)
    31.8(30.4)
    幾何平均(変動係数%)
    軽度腎機能障害者(eGFR 60~89mL/min/1.73m2
    中等度腎機能障害者(eGFR 30~59mL/min/1.73m2
    重度腎機能障害者(eGFR 15~29mL/min/1.73m2
    末期腎不全患者(eGFR 15mL/min/1.73m2未満)
    注1)n=16
    注2)n=7
  2. 肝機能障害者における薬物動態
    健康被験者並びに軽度、中等度及び重度肝機能障害者にパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。健康被験者に対する軽度、中等度及び重度肝機能障害者における血漿中パシレオチド濃度のCmaxの幾何平均値の比とその90%信頼区間は、1.03[0.72, 1.47]、1.46[1.04, 2.04]及び1.33[0.93, 1.90]、AUCinfの幾何平均値の比とその90%信頼区間は1.12[0.85, 1.48]、1.56[1.18, 2.06]及び1.42[1.07, 1.87]であった (外国人のデータ)。
    パシレオチド二アスパラギン酸塩600μgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ
    薬物動態
    パラメータ
    健康被験者
    (n=12)
    軽度
    肝機能障害者
    (n=6)
    中等度
    肝機能障害者
    (n=7)
    重度
    肝機能障害者
    (n=6)
    AUCinf
    (ng・hr/mL)
    88.9(33.8)
    100(24.8)
    139(31.3)
    126(41.5)
    Cmax
    (ng/mL)
    11.4(48.4)
    11.8(29.2)
    16.6(42.4)
    15.2(46.1)
    幾何平均(変動係数%)
    軽度肝機能障害者(Child-Pughスコア:5~6)
    中等度肝機能障害者(Child-Pughスコア:7~9)
    重度肝機能障害者(Child-Pughスコア:10~15)

薬物相互作用

健康成人(17例)にパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μg及びベラパミル240mg(徐放性製剤で国内未承認)を併用投与したとき、血漿中パシレオチド濃度のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用/単独)とその90%信頼区間は、0.98[0.91, 1.06]及び0.98[0.92, 1.05]であった (外国人のデータ)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈先端巨大症患者・下垂体性巨人症患者〉
  1. 国内第II相試験
    薬物治療歴のない又はソマトスタチンアナログ等の薬物治療でコントロール不良な先端巨大症患者及び下垂体性巨人症患者を対象とした無作為化非盲検試験において、本剤20、40又は60mgの用量を4週毎に1回筋肉内投与した。本剤の用量は、投与12週後及び28週後に、血清成長ホルモン(GH)濃度及び血清IGF-I濃度に応じ、60mgまでの増量が許容された。
    先端巨大症患者の32例、下垂体性巨人症患者の1例、合計33例が組み入れられ、20mg群(11例)、40mg群(11例)又は60mg群(11例)に無作為割付けされた。主要有効性評価項目である全患者(用量群併合)での投与12週後の奏効率(血清GH濃度が2.5μg/L未満かつ血清IGF-I濃度が性別及び年齢別の基準値範囲内であった患者の割合)は下表のとおりであった。用量群併合での投与48週後の奏効率は、15.2%(5/33例、95%信頼区間:5.1%,31.9%)であった 。
    先端巨大症患者及び下垂体性巨人症患者における投与12週後の奏効率
    本剤20mg
    n=11
    本剤40mg
    n=11
    本剤60mg
    n=11
    全被験者
    n=33
    投与12週後の
    奏効率
    9.1%(1/11)
    36.4%(4/11)
    9.1%(1/11)
    18.2%(6/33)
    [95%信頼区間]
    [0.2, 41.3]
    [10.9, 69.2]
    [0.2, 41.3]
    [7.0, 35.5]
    投与12週後のデータが欠測であった場合、非奏効例として扱った。
    用量群併合での投与48週後の腫瘍体積のベースラインからの変化率の平均値±標準偏差(評価例数)は、-6.2±39.89%(26例)であった(追加解析結果)。
    副作発現頻度は、33例中28例(84.8%)であった。主な副作用は高血糖14例(42.4%)、糖尿病8例(24.2%)、耐糖能障害4例(12.1%)、胆石症4例(12.1%)等であった。
〈先端巨大症患者〉
  1. 海外第III相試験
    薬物治療歴のない先端巨大症患者を対象とした無作為化盲検比較試験において、本剤の有効性及び安全性を、オクトレオチド酢酸塩徐放性製剤(オクトレオチドLAR)を対照に比較した。本剤群は40mgを4週毎に1回筋肉内投与し、オクトレオチドLAR群は20mgを4週毎に1回筋肉内投与した。投与12週後及び28週後に血清GH濃度及び血清IGF-I濃度に応じ、本剤は60mgまで、オクトレオチドLARは30mgまでの増量が許容された。
    合計336例が本剤群(165例)又はオクトレオチドLAR群(171例)に無作為割付けされた。主要有効性評価項目である48週後の奏効率は、本剤群31.5%(52/165例、95%信頼区間:24.5%,39.2%)、オクトレオチドLAR群18.1%(31/171例、95%信頼区間:12.7%,24.7%)であり、本剤群とオクトレオチドLAR群の間に統計学的に有意な差が認められた(p=0.004、Cochran-Mantel-Haenszel検定)。
    投与48週後の腫瘍体積のベースラインからの変化率の平均値±標準偏差(評価例数)は、本剤群-38.9±21.61%(114例)、オクトレオチドLAR群-36.9±23.65%(116例)であった。
    副作用発現頻度は、本剤投与群で86.2%(144/167名)、オクトレオチドLAR投与群で76.3%(129/169名)であった。主な副作用は本剤投与群では下痢 32.9%(55/167例)、高血糖 29.3%(49/167例)、胆石症 28.7%(48/167例)、オクトレオチドLAR投与群では下痢 42.0%(71/169例)、胆石症 34.9%(59/169例)、腹痛 18.3%(31/169例)であった 。
  2. 海外第III相試験
    オクトレオチドLAR又はランレオチド酢酸塩徐放性製剤(ランレオチド)の投与により、血清GH濃度及び血清IGF-I濃度のコントロール不良であった先端巨大症患者を対象とした無作為化比較試験において、本剤の有効性及び安全性を、オクトレオチドLAR又はランレオチドの投与継続を対照(実薬対照)に比較した。本剤群は40mg又は60mgの用量を4週毎に1回筋肉内投与した。実薬対照群のオクトレオチドLARは30mgを4週毎に1回筋肉内投与し、ランレオチドは120mgを4週毎に1回皮下投与した。投与薬は非盲検とし、本剤の用量は盲検とした。
    合計198例が本剤40mg群(65例)、本剤60mg群(65例)又は実薬対照群(68例)に無作為割付けされた。主要有効性評価項目である投与24週後の奏効率は、本剤40mg群15.4%(10/65例、95%信頼区間:7.6%, 26.5%)、本剤60mg群20.0%(13/65例、95%信頼区間:11.1%, 31.8%)、実薬対照群0%(0/68例、95%信頼区間:0%, 5.3%)であり、本剤40mg群及び本剤60mg群の奏効率は、いずれも実薬対照群と比較して統計学的に有意な差が認められた(層別ロジスティック回帰モデルを用いて算出した片側調整p値はそれぞれ、p=0.0006及びp<0.0001)。
    投与24週後の腫瘍体積のベースラインからの変化率の平均値±標準偏差(評価例数)は、本剤40mg群-14.4±18.78%(42例)、本剤60mg群-9.4±17.28%(37例)、実薬対照群-2.0±14.97%(36例)であった。
    副作用発現率は、本剤40mg群で71.4%(45/63名)、60mg群で74.2%(46/62名)、対照群で43.9%(29/66名)であった。主な副作用は、40mg群では高血糖 33.3%(21/63例)、糖尿病 19.0%(12/63例)、下痢 11.1%(7/63例)、60mg群では高血糖 29.0%(18/62例)、糖尿病 25.8%(16/62例)、下痢 19.4%(12/62例)、対照群では胆石症 12.1%(8/66例)、高血糖 6.1%(4/66例)、糖尿病 4.5%(3/66例)であった 。
〈クッシング病患者〉
  1. 国際共同第III相試験
    クッシング病患者を対象とした無作為化二重盲検国際共同試験において本剤の有効性及び安全性を検討した。本剤の開始用量は10mg又は30mgとし、4週毎に1回筋肉内投与した。投与4、7、9ヵ月後に、平均尿中遊離型コルチゾールに応じ、10、30又は40mgの範囲で1用量レベルずつの増量が許容され、安全性に問題がある場合には必要に応じ、5mgに達するまで減量とされた。
    合計150例が本剤10mg群(74例)又は本剤30mg群(76例)に無作為割付けされた。主要有効性評価項目である投与7ヵ月後の奏効率(平均尿中遊離型コルチゾールが基準値上限の166.48nmol/24hours以下であった被験者の割合)は、本剤10mg群41.9%(31/74例、95%信頼区間:30.51%, 53.94%)、本剤30mg群40.8%(31/76例、95%信頼区間:29.65%, 52.67%)であった。いずれの群も95%信頼区間の下限値は事前に規定した閾値である15%を超え、本剤10mg及び30mgの有効性が確認された。
    投与12ヵ月後の平均尿中遊離型コルチゾールのベースラインからの変化量の平均値±標準偏差(評価例数)は、本剤10mg群-195.1±282.46nmol/24hours(50例)、本剤30mg群-247.6±387.05nmol/24hours(54例)であった。
    投与12ヵ月後の腫瘍体積のベースラインからの変化率の平均値±標準偏差(評価例数)は、本剤10mg群-22.4±34.66%(35例)、本剤30mg群-16.8±36.32%(38例)であった。
    副作用発現率は、本剤10mg群で90.5%(67/74名)、30mg群で96.1%(73/76名)であった。主な副作用は、10mg群では高血糖 47.3%(35/74例)、下痢 28.4%(21/74例)、胆石症 18.9%(14/74例)、30mg群では高血糖 46.1%(35/76例)、胆石症 43.4%(33/76例)、下痢 35.5%(27/76例)であった 。

その他

心電図に対する影響
健康成人(112例)にパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μg及び1,950μgを1日2回5日間皮下投与したとき注) 、QTcI間隔(個体ごとに心拍数補正したQT間隔)のベースラインからの平均変化量のプラセボとの差は投与2時間後に最大となり、その平均値[90%信頼区間]はそれぞれ13.19[11.38, 15.01]及び16.12[14.30, 17.95]msecであった(外国人のデータ)。
注)パシレオチド二アスパラギン酸塩600μg及び1,950μgを1日2回5日間皮下投与したときのCmax(平均値±標準偏差)は、それぞれ24.3±7.20及び80.6±25.3ng/mLであり、本剤60mgを反復筋肉内投与したときの予想Cmaxはパシレオチド二アスパラギン酸塩600μgのCmaxと同程度であった 。

薬効薬理

作用機序
通常、下垂体腺腫には、5種類のソマトスタチン受容体サブタイプ(sstr1~5)が発現している。ソマトスタチン受容体サブタイプに対するパシレオチドの結合親和性(IC50値)は、sstr1で9.3±0.1nM、sstr2で1.0±0.1nM、sstr3で1.5±0.3nM、sstr4で>100nM、sstr5で0.16±0.01nM(平均値±標準誤差)であり、sstr1、2、3及び5に対し高い親和性を示す。これら複数のsstrサブタイプへの結合を介してGH分泌を抑制する 。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌抑制については主にsstr5を介すると考えられている,
GH分泌抑制作用
パシレオチドは、in vitroにおいて、成長ホルモン刺激ホルモン(GHRH)刺激による初代培養ラット下垂体細胞からのGH分泌を抑制した。In vivoにおいて、ラットへの皮下投与により血中GH濃度を低下させた 。
ラットへの浸透圧ミニポンプを用いた持続皮下投与では、GHRH刺激によるGH分泌を抑制した 。
ACTH分泌抑制作用
パシレオチドは、in vitroにおいて、マウス下垂体由来腫瘍細胞からのACTH分泌を抑制した 。
In vivoにおいて、正常ラットへの静脈内投与により、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン刺激によるACTH分泌及びコルチコステロン分泌を抑制した 。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
パシレオチドパモ酸塩(Pasireotide Pamoate)
化学名
Cyclo [-(4R)-4-(2-aminoethylcarbamoyloxy)-L-prolyl-L-phenylglycyl-D-tryptophyl-L-lysyl-
4-O-benzyl-L-tyrosyl-L-phenylalanyl-] mono [4,4'-methylenebis(3-hydroxy-2-naphthoate)]
分子式
C58H66N10O9・C23H16O6
分子量
1,435.58
性状
白色~うすい黄色の粉末
化学構造式
溶解性
メタノールに溶けにくく、エタノール又はアセトンに極めて溶けにくく、水、2-プロパノール、1-オクタノール又はアセトニトリルにほとんど溶けない。

承認条件

  1. 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
〈クッシング病〉
  1. 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

包装

〈シグニフォーLAR筋注用キット10mg〉
1バイアル(専用分散液2mL(シリンジ)、バイアルアダプター1個添付)
〈シグニフォーLAR筋注用キット20mg〉
1バイアル(専用分散液2mL(シリンジ)、バイアルアダプター1個添付)
〈シグニフォーLAR筋注用キット30mg〉
1バイアル(専用分散液2mL(シリンジ)、バイアルアダプター1個添付)
〈シグニフォーLAR筋注用キット40mg〉
1バイアル(専用分散液2mL(シリンジ)、バイアルアダプター1個添付)
〈シグニフォーLAR筋注用キット60mg〉
1バイアル(専用分散液2mL(シリンジ)、バイアルアダプター1個添付)

主要文献

1
社内資料:日本人健康成人を対象とした国内第I相臨床試験(G1101試験)(2016年9月28日承認、CTD2.7.2-2.2.1)[20160577]
2
社内資料:日本人先端巨大症及び下垂体性巨人症患者を対象とした国内第II相臨床試験(C1202試験)(2016年9月28日承認、CTD2.7.3-3.2.1.3)[20160578]
3
社内資料:クッシング病患者を対象とした国際共同第III相試験(G2304試験)(2018年3月23日承認、CTD2.7.2-2.3)[20180069]
4
社内資料:In vitro血漿蛋白結合及び血球移行(2016年9月28日承認、CTD2.7.2-2.1.1)[20160579]
5
社内資料:肝及び腎ミクロソームでのin vitro代謝(2016年9月28日承認、CTD2.7.2-2.1.2)[20160580]
6
Lin, TH. et al.:Cancer Chemother. Pharmacol. 2013;72(1), 181-188[20160581]
7
社内資料:CYPに対するin vitro阻害作用(2016年9月28日承認、CTD2.6.4-7.1)[20160582]
8
社内資料:CYPに対するin vitro誘導作用(2016年9月28日承認、CTD2.6.4-7.4)[20160583]
9
社内資料:UGTに対するin vitro阻害作用(2016年9月28日承認、CTD2.6.4-7.2)[20160584]
10
社内資料:In vitro膜透過性(2016年9月28日承認、CTD2.7.2-2.1.3)[20160585]
11
社内資料:トランスポーターによるin vitro輸送(2016年9月28日承認、CTD2.6.4-7.5)[20160586]
12
社内資料:腎機能障害者における薬物動態(B2126試験)(2016年9月28日承認、CTD2.7.2-2.4.2)[20160588]
13
社内資料:肝機能障害者における薬物動態(B2114試験)[20160587]
14
Kornberger, R. et al.:J. Clin. Pharmacol. 2014;54(11), 1263-1271[20160589]
15
社内資料:薬物治療歴のない先端巨大症患者を対象とした海外第III相臨床試験(C2305試験)(2016年9月28日承認、CTD2.7.3-3.2.1.1)[20160591]
16
Gadelha, MR. et al.:Lancet Diabetes Endocrinol. 2014;2(11), 875-884[20160592]
17
社内資料:心電図に対する影響(B2125試験)(2016年9月28日承認、CTD2.7.2-2.5)[20160590]
18
Bruns, C. et al.:Eur. J. Endocrinol. 2002;146(5), 707-716[20160593]
19
Hofland, LJ. et al.:Eur. J. Endocrinol. 2005;152(4), 645-654[20180071]
20
van der Hoek, J. et al.:Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab. 2005;289(2), E278-E287[20180072]
21
社内資料:GH及びIGF-I分泌抑制作用(ラット)(2016年9月28日承認、CTD2.6.2-2.2.3)[20160594]
22
Silva, AP. et al.:Eur. J. Endocrinol. 2005;153(3), R7-R10[20180073]

文献請求先及び問い合わせ先

レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社
〒107-0052 東京都港区赤坂4-8-18
TEL 03-4510-2922

製造販売業者等

製造販売元
レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社
東京都港区赤坂4-8-18

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

MESSAGE

MESSAGE

LABEL