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ソマチュリン皮下注120mg

持続性ソマトスタチンアナログ徐放性製剤

1筒 308922円

添付文書番号

2499413G1025_1_07

企業コード

470310

作成又は改訂年月

2020年1月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

872499

薬効分類名

持続性ソマトスタチンアナログ徐放性製剤

承認等

販売名

ソマチュリン皮下注60mg

販売名コード

2499413G1025

販売名英字表記

Somatuline 60mg for s.c. Injection

販売名ひらがな

そまちゅりん

承認番号等

承認番号
22400AMX00734000

販売開始年月

2013年1月

貯法、有効期間

貯法
2~8℃で保存
有効期間
2年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

ソマチュリン皮下注90mg

販売名コード

2499413G2021

販売名英字表記

Somatuline 90mg for s.c. Injection

販売名ひらがな

そまちゅりん

承認番号等

承認番号
22400AMX00735000

販売開始年月

2013年1月

貯法、有効期間

貯法
2~8℃で保存
有効期間
2年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

ソマチュリン皮下注120mg

販売名コード

2499413G3028

販売名英字表記

Somatuline 120mg for s.c. Injection

販売名ひらがな

そまちゅりん

承認番号等

承認番号
22400AMX00736000

販売開始年月

2013年1月

貯法、有効期間

貯法
2~8℃で保存
有効期間
2年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注3)
注3)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ランレオチド酢酸塩

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

ソマチュリン皮下注60mg
有効成分
1シリンジ(244mg)中ランレオチド酢酸塩注1)  71.5mg
ランレオチドとして  60mg
添加剤
酢酸
注1)注射量
ソマチュリン皮下注90mg
有効成分
1シリンジ(366mg)中ランレオチド酢酸塩注2)  107.2mg
ランレオチドとして  90mg
添加剤
酢酸
注2)注射量
ソマチュリン皮下注120mg
有効成分
1シリンジ(488mg)中ランレオチド酢酸塩注3)  143.0mg
ランレオチドとして  120mg
添加剤
酢酸
注3)注射量

製剤の性状

ソマチュリン皮下注60mg
剤形徐放性注射剤(針付きプレフィルドシリンジ製剤)
pH5.8~6.4
色調・性状
白色~黄白色の半固形物(ゲル)
ソマチュリン皮下注90mg
剤形徐放性注射剤(針付きプレフィルドシリンジ製剤)
pH5.8~6.4
色調・性状
白色~黄白色の半固形物(ゲル)
ソマチュリン皮下注120mg
剤形徐放性注射剤(針付きプレフィルドシリンジ製剤)
pH5.8~6.4
色調・性状
白色~黄白色の半固形物(ゲル)

効能又は効果

  • 下記疾患における成長ホルモン、IGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態及び諸症状の改善
    先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合)
  • 甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍
  • 膵・消化管神経内分泌腫瘍
    (参考)
    ソマチュリン皮下注
    60mg
    90mg
    120mg
    先端巨大症・下垂体性巨人症
    甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍
    膵・消化管神経内分泌腫瘍
    ○:効能あり、-:効能なし

効能又は効果に関連する注意

〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
  1. 下垂体性巨人症については、脳性巨人症や染色体異常など他の原因による高身長例を鑑別し、下垂体性病変に由来するものであることを十分に確認すること。
〈甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍〉
  1. 治療の際は、まず外科的処置を考慮すること。本剤は、外科的処置の施行が困難な患者、外科的処置で効果が不十分な患者又は周術期のリスク低減のため術前に甲状腺機能の改善を図る必要がある患者に使用すること。
〈膵・消化管神経内分泌腫瘍〉
  1. 臨床試験に組み入れられた患者の症候の有無等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

用法及び用量

〈先端巨大症・下垂体性巨人症、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍〉
通常、成人にはランレオチドとして90mgを4週毎に3ヵ月間、深部皮下に注射する。その後は患者の病態に応じて60mg、90mg又は120mgを4週毎に投与する。
〈膵・消化管神経内分泌腫瘍〉
通常、成人にはランレオチドとして120mgを4週毎に、深部皮下に注射する。

用法及び用量に関連する注意

〈効能共通〉
  1. 注射部位は原則として臀部の上部外側とすること。
    投与の際は、深部皮下への投与となるよう注射針を皮膚面に垂直に根元又は許容される深さまで素早く刺すこと。投与毎に注射部位を左右交互に変え、同一部位へ連続して注射しないよう、局所を十分観察して投与すること。
〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
  1. 用量は120mgを上限とし、成長ホルモン濃度、IGF-I濃度及び臨床症状により、30mg単位で適宜増減できる。なお、120mgまで増量しても、改善がみられない場合には、他の治療法への切替えを考慮すること。
〈甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍〉
  1. 用量は120mgを上限とし、甲状腺刺激ホルモン濃度、甲状腺ホルモン濃度及び臨床症状により、30mg単位で適宜増減できる。なお、120mgまで増量しても、改善がみられない場合には、他の治療法への切替えを考慮すること。
〈先端巨大症・下垂体性巨人症、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍〉
  1. 中等度から重度の肝機能障害又は中等度から重度の腎機能障害のある患者では、60mgを開始用量として4週毎に3ヵ月間、深部に皮下投与した後、120mgを上限として30mg単位で適宜増減すること。
  2. 本剤60mg又は90mgにて良好で安定した状態を示す患者には、本剤120mgに用量変更し、投与間隔をそれぞれ8週毎又は6週毎に延長できる場合があるが、延長する際には患者の状態を十分観察しながら投与すること。
〈膵・消化管神経内分泌腫瘍〉
  1. 膵・消化管神経内分泌腫瘍に対して国内で承認されているソマチュリン皮下注製剤は、120mg製剤のみである。
  2. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 本剤の投与中はインスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等のバランスが変化することにより、一過性の低又は高血糖を伴うことがある。投与開始時及び投与量を変更する場合は患者を十分に観察すること。
  2. 本剤の投与により徐脈があらわれることがあるので、特に心疾患を有する患者では、本剤の投与開始時に患者の状態を十分に観察すること。
  3. 本剤の投与中に甲状腺機能の低下を伴うことがあるので、甲状腺関連の所見が認められた場合には甲状腺機能検査を行うこと。
  4. 本剤の投与により胆石の形成又は胆石症の悪化(急性胆嚢炎、膵炎)が報告されているので、本剤の投与前及び投与中は、定期的に(6~12ヵ月毎に)超音波、X線による胆嚢及び胆管検査を受けることが望ましい。
〈先端巨大症・下垂体性巨人症、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍〉
  1. 下垂体腺腫は進展することがあり、これに伴い視野狭窄などの重篤な症状を生じることがあるので患者の状態を十分観察すること。腫瘍の進展が認められた場合は、他の治療法への切り替え等適切な処置を行うこと。
〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
  1. 成長ホルモン及びIGF-I(ソマトメジン-C)を定期的に測定することが望ましい。
〈甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍〉
  1. 甲状腺刺激ホルモン濃度及び甲状腺ホルモン濃度を定期的に測定することが望ましい。
〈膵・消化管神経内分泌腫瘍〉
  1. がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 心疾患を有する患者
    本剤の投与開始時に患者の状態を十分に観察すること。本剤の投与により徐脈があらわれることがある。

腎機能障害患者

  1. 中等度から重度の腎機能障害のある患者

肝機能障害患者

  1. 中等度から重度の肝機能障害のある患者

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ)で、本薬0.45mg/kg/日を胎児の器官形成期に13日間反復投与した場合、胚・胎児死亡率の増加が認められている。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の状態を観察し、十分に注意しながら本剤を投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
シクロスポリン(経口剤)
シクロスポリンの血中濃度が低下することがある。
本剤がシクロスポリンの消化管吸収を阻害するため。
インスリン製剤及び血糖降下薬
血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。
ブロモクリプチン
ブロモクリプチンのAUCが上昇したとのオクトレオチド(類薬)の報告がある。
機序は不明である。
CYP3A4で代謝される薬剤
キニジン等
主にCYP3A4で代謝される薬剤の血中濃度を上昇させることがある。
本剤が成長ホルモンの産生を抑制することにより、CYP3A4で代謝される薬剤のクリアランスを低下させる可能性がある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 徐脈(3.7%)
    徐脈が認められた場合、β-遮断剤、カルシウム拮抗剤等の徐脈作用を有する薬剤又は水分や電解質を補正する薬剤を投与している患者では、必要に応じてこれらの用量を調節すること。

その他の副作用

5%以上
5%未満
頻度不明
血液
貧血
胃腸
下痢、白色便、腹痛、腹部膨満、鼓腸、悪心
腹部不快感、嘔吐、便秘、硬便、血中アミラーゼ増加、消化不良、膵炎
脂肪便、膵酵素減少
全身
倦怠感
異常感、疲労、発熱
肝・胆道系
胆石症
AST増加、ALT増加、血中ビリルビン増加、ALP増加、γ-GTP増加
胆管拡張、AST異常、ALT異常、血中ビリルビン異常、胆管炎
皮膚・皮下組織
脱毛
発疹、蕁麻疹、紅斑
筋・骨格系
筋骨格痛、筋肉痛
精神・神経系
頭痛、傾眠、浮動性めまい
不眠、嗜眠
内分泌系
TSH減少、プロラクチン減少
代謝・栄養障害
ヘモグロビンA1c増加、耐糖能異常、低血糖、血中ブドウ糖増加、血中ブドウ糖減少、糖尿病、コントロール不良の糖尿病、高血糖、食欲減退
注射部位
硬結、疼痛、そう痒感
紅斑
腫瘤、結節、膿瘍
その他
体重減少、高血圧
ほてり、血中ナトリウム減少

適用上の注意

薬剤投与前の注意
  1. 投与前(30分程度)に冷蔵庫より取り出し、室温に戻すこと。
  2. 投与直前にラミネート包装を開封すること。
薬剤投与時の注意
  1. 深部皮下に投与し、静脈内には投与しないこと。
  2. 神経走行部位及び血管内への注射を避け、原則として臀部の上部外側の深部皮下に投与すること。
  3. 投与毎に注射部位を左右交互に変え、同一部位へ連続して注射しないよう、局所を十分観察して投与すること。
  4. 注射針を皮膚面に垂直に根元又は許容される深さまで素早く刺し、プランジャーをゆっくりと20秒程度かけて最後まで押し切ること。
  5. プランジャーの先端がシリンジの端まで到達していることを目視で確認すること。
  6. 注射針を刺した状態で針刺し事故防止装置が働かないよう、プランジャーを押したまま注射部位より注射針を抜き取り、その後プランジャーを押す力を緩めること。
  7. 注射部位をもまないように患者に指導すること。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
本剤を反復投与した患者に抗ランレオチド抗体が出現することがある。なお、抗体に起因すると考えられる特異的な副作用は認められていない。
非臨床試験に基づく情報
マウス及びラットを用いた1日1回皮下投与による2年間のがん原性試験において、投与部位(皮下)に限局した腫瘍性変化が認められている。一方、ランレオチド製剤による臨床試験において、投与部位での腫瘍発生は報告されていない。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回皮下投与
    健康成人男性18例に本剤30注5)又は60mgを単回皮下投与したときの血清中ランレオチド濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
    (前図:投与後84日までの図、後図:投与後3日までの拡大図)
    用量
    30mg(n=9)
    60mg(n=9)
    AUCinf[ng・h/mL]
    1037±173
    1745±408
    Cmax[ng/mL]
    5.64±3.08
    4.75±2.61
    t1/2[d]
    16.3±7.9
    28.5±14.0
    tmax注1)[h]
    12.0(6-12)
    6.0(4-48)
    平均±標準偏差
    注1)中央値(最小値-最大値)
  2. 反復皮下投与
    〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
    先端巨大症又は下垂体性巨人症患者23例に本剤60、90又は120mgを4週毎に12週反復皮下投与したとき、血清中ランレオチド濃度は反復投与4回目でほぼ定常状態に達し、反復投与4回目の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。
    用量
    60mg(n=8)
    90mg(n=7)
    120mg(n=8)
    AUCτ注2)[ng・h/mL]
    1676±378
    3139±1478
    3666±883
    Cmax[ng/mL]
    6.17±1.73
    10.58±6.02
    12.39±4.70
    Cmin注3)[ng/mL]
    1.85±0.67
    3.25±1.51
    4.37±1.29
    tmax注4)[h]
    5.0(4-24)
    8.0(4-8)
    7.0(4-8)
    AUCの蓄積係数(RAUC
    1.71±0.43
    2.43±0.73
    2.49±1.07
    平均±標準偏差
    注2)反復投与4回目の投与間隔(4週)のAUC
    注3)トラフ濃度
    注4)中央値(最小値-最大値)
    〈甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍〉
    甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍患者13例に本剤90mgを4週毎に反復皮下投与したとき、血清中ランレオチドのトラフ濃度の平均±標準偏差は、初回投与で1.43±0.95ng/mL(13例)、反復投与4回目で2.43±1.05ng/mL(7例)であった。
    〈膵・消化管神経内分泌腫瘍〉
    神経内分泌腫瘍患者28例に本剤120mgを4週毎に反復皮下投与したとき、血清中ランレオチドのトラフ濃度は反復投与3回目でほぼ定常状態に達し、その平均±標準偏差は5.32±3.31ng/mL(27例)であった。
  3. 定速静脈内投与
    健康成人27例にランレオチド酢酸塩7μg/kgを20分間定速静脈内投与注5)したとき、全身クリアランスは0.38L/h/kg、定常状態分布容積は0.23L/kg、半減期は1.14時間であった。

分布

ランレオチド(12~60ng/mL添加時)のヒト血清蛋白結合率は78.6~82.6%であった(in vitro試験)。

代謝

ランレオチドはラット肝臓及び腎臓ホモジネートで代謝された(in vitro試験)。

排泄

  1. 健康成人27例にランレオチド酢酸塩7μg/kgを20分間定速静脈内投与注5)したとき、未変化体の尿中排泄率は4%未満であった。
  2. 胆管カニューレされたSD系ラットへ14C-ランレオチドを単回静脈内投与した結果、投与放射能の61%が胆汁中へ排泄された。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    重度の慢性腎不全患者(12例)にランレオチド酢酸塩7μg/kgを単回静脈内投与注5)したとき、健康成人(12例)に対しAUCinfは1.8倍に上昇し、t1/2が1.8倍に延長し、全身クリアランスは43%低かった(外国人データ)。
  2. 肝機能障害患者
    アジア人の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B及びCの患者8例)にランレオチド酢酸塩7μg/kgを20分間定速単回静脈内投与注5)したとき、健康成人(12例)に対しCmaxは有意な差はみられなかったが、AUCinfは1.4倍に上昇し、t1/2は3.0倍に延長し、全身クリアランスは31%低かった(外国人データ)。
  3. 高齢者
    健康高齢者(65~80歳、12例)にランレオチド酢酸塩7μg/kgを20分間定速単回静脈内投与注5)したとき、非高齢者(13例)に対しt1/2は1.9倍に延長したが、Cmax、AUCinf及び全身クリアランスは非高齢者と同程度であった(外国人データ)。

薬物相互作用

  1. シクロスポリン
    健康成人24例に本剤を単回皮下投与し、投与14日後にシクロスポリン300mgを12例に単回経口投与したとき、シクロスポリンの相対的バイオアベイラビリティは19%低下した(外国人データ)。
注5)本剤の承認された用法及び用量は、「先端巨大症・下垂体性巨人症」及び「甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍」では60mg、90mg又は120mgを、「膵・消化管神経内分泌腫瘍」では120mgを、4週毎に深部皮下に注射するとされている。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
  1. 国内第Ⅱ相試験
    活動性の先端巨大症患者29例及び下垂体性巨人症患者3例による無作為化非盲検並行群間用量反応試験において、本剤60、90又は120mgを単回投与し、その8週後から4週毎に4回反復投与したときの4週後の結果は、下表のとおりであった,
    投与群
    平均血清GH濃度注1)の単回投与前値に対する低下率が50%を超えた被験者の割合
    血清IGF-I濃度が正常化した被験者の割合
    60mg(11例)
    64%(7/11)
    46%(5/11)
    90mg(10例)
    90%(9/10)
    50%(5/10)
    120mg(11例)
    100%(11/11)
    36%(4/11)
    全体(32例)
    84%(27/32)
    44%(14/32)
    注1)1時間毎に計4回測定した値の平均
    全投与期間を通じて副作用は、32例中27例(84.4%)に認められた。発現率が10%以上の副作用は、注射部位硬結17例(53.1%)、白色便13例(40.6%)、下痢10例(31.3%)、注射部位疼痛5例(15.6%)、胆石症5例(15.6%)、腹部膨満4例(12.5%)、腹痛4例(12.5%)であった。
  2. 国内第Ⅲ相試験
    活動性の先端巨大症患者30例及び下垂体性巨人症患者2例による非盲検長期投与試験において、本剤90mgを4週毎に4回投与した後、投与開始12週後及び28週後での血清成長ホルモン(GH)濃度、血清IGF-I濃度及び臨床症状に基づく用量調節基準注2) に従って、投与開始16週後から本剤60、90又は120mgを4週毎に投与したときの結果は、下表のとおりであった,
    注2)平均血清GH濃度が1μg/L未満かつ血清IGF-I濃度が年齢・性別基準範囲内かつ臨床的活動性を示す症候がない場合は、用量を維持した。これらの条件を1つでも満たさない場合は、用量を増量した。なお、血清IGF-I濃度が年齢・性別基準範囲の下限を下回った場合、又は臨床上問題となる副作用が発現し、医師が減量すべきと判断した場合は、時期によらず用量を1段階減量した。
    観察時点
    各観察時点までの総投与回数
    平均血清GH
    濃度注3)
    (μg/L注4)
    平均血清GH濃度注3)が2.5μg/L未満まで抑制された被験者の割合
    血清IGF-I濃度が正常化した被験者の割合
    投与開始前
    0
    10.19±10.55
    (n=32)
    投与開始4週後
    1
    4.23±4.77
    (n=32)
    34%(11/32)
    28%(9/32)
    投与開始12週後
    3
    4.07±4.97
    (n=32)
    50%(16/32)
    41%(13/32)
    投与開始28週後
    7
    3.78±5.27
    (n=31)
    53%(17/32)
    56%(18/32)
    投与開始52週後
    13
    3.46±3.10
    (n=32)
    47%(15/32)
    53%(17/32)
    注3)1時間毎に計4回測定した値の平均
    注4)平均±標準偏差
    全投与期間を通じて副作用は、32例中28例(87.5%)に認められた。発現率が10%以上の副作用は、下痢17例(53.1%)、注射部位硬結11例(34.4%)、胆石症11例(34.4%)、白色便10例(31.3%)、脱毛症5例(15.6%)、注射部位そう痒感4例(12.5%)、注射部位疼痛4例(12.5%)であった。
〈甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生下垂体腫瘍患者13例(うち術前投与患者注5)6例、長期投与患者注6)7例)による国内第Ⅲ相非盲検非対照試験において、本剤90mgを4週毎に4回投与した後、血中遊離サイロキシン(FT4)濃度及び臨床症状に基づく用量調節基準注7)に従って、投与開始16週後から本剤60、90又は120mgを4週毎に投与した。血中TSH濃度、血中遊離トリヨードサイロニン(FT3)濃度及び血中FT4濃度の中央値は下表のとおりであった。
    注5)投与開始24週以内にTSH産生下垂体腫瘍の摘出術を施行するため本剤の投与を終了した患者
    注6)術前投与患者に該当しない患者
    注7)血中FT4濃度が基準値上限を超えている場合又は甲状腺中毒症の臨床症状を認める場合は、用量を1段階増量した。臨床上問題となる副作用が発現し、医師が減量すべきと判断した場合は、用量を1段階減量した。これらの条件に該当しない場合は、用量を維持した。
    評価項目
    評価時期
    全体
    術前投与患者
    長期投与患者
    血中TSH濃度
    (μIU/mL)
    P
    3.49(13例)
    [0.74, 10.20]
    3.59(6例)
    [1.52, 10.20]
    3.08(7例)
    [0.74, 10.20]
    4週
    1.90(13例)
    [0.04, 7.54]
    1.25(6例)
    [0.04, 5.05]
    2.36(7例)
    [0.10, 7.54]
    12週
    2.05(9例)
    [0.03, 5.69]
    0.98(2例)
    [0.61, 1.34]
    2.41(7例)
    [0.03, 5.69]
    24週
    3.15(6例)
    [1.41, 7.03]
    3.15(6例)
    [1.41, 7.03]
    48週
    2.97(6例)
    [2.01, 8.64]
    2.97(6例)
    [2.01, 8.64]
    F
    2.01(13例)
    [0.01, 8.64]
    0.76(6例)
    [0.04, 5.05]
    2.81(7例)
    [0.01, 8.64]
    血中FT3濃度
    (pg/mL)
    P
    5.12(13例)
    [4.11, 18.50]
    5.80(6例)
    [4.70, 8.24]
    4.86(7例)
    [4.11, 18.50]
    4週
    3.61(13例)
    [2.56, 14.60]
    3.02(6例)
    [2.56, 4.98]
    3.89(7例)
    [2.73, 14.60]
    12週
    3.55(9例)
    [2.26, 16.10]
    2.92(2例)
    [2.29, 3.55]
    3.68(7例)
    [2.26, 16.10]
    24週
    3.79(6例)
    [2.68, 5.61]
    3.79(6例)
    [2.68, 5.61]
    48週
    3.36(6例)
    [2.45, 5.30]
    3.36(6例)
    [2.45, 5.30]
    F
    3.33(13例)
    [2.29, 18.30]
    2.99(6例)
    [2.29, 4.98]
    3.38(7例)
    [2.45, 18.30]
    血中FT4濃度
    (ng/dL)
    P
    2.25(13例)
    [1.35, 6.61]
    2.44(6例)
    [1.88, 3.03]
    1.85(7例)
    [1.35, 6.61]
    4週
    1.29(13例)
    [1.10, 4.44]
    1.43(6例)
    [1.21, 1.98]
    1.29(7例)
    [1.10, 4.44]
    12週
    1.33(9例)
    [0.85, 7.53]
    1.45(2例)
    [1.18, 1.72]
    1.33(7例)
    [0.85, 7.53]
    24週
    1.34(6例)
    [0.91, 2.92]
    1.34(6例)
    [0.91, 2.92]
    48週
    1.16(6例)
    [1.03, 2.47]
    1.16(6例)
    [1.03, 2.47]
    F
    1.23(13例)
    [1.03, 5.90]
    1.34(6例)
    [1.18, 1.98]
    1.22(7例)
    [1.03, 5.90]
    中央値(例数)[最小値,最大値]
    P:投与開始前、F:最終評価時点
    副作用は、安全性評価対象13例中12例(92.3%)に認められた。発現率が10%以上の副作用は、下痢10例(76.9%)、白色便5例(38.5%)、胆石症及び注射部位硬結各3例(23.1%)、頭痛、軟便、注射部位そう痒感、倦怠感、及びグリコヘモグロビン増加各2例(15.4%)であった。
〈膵・消化管神経内分泌腫瘍〉
  1. 国内第Ⅱ相試験
    切除不能又は遠隔転移を有する神経内分泌腫瘍患者28例による国内第Ⅱ相非盲検試験において、本剤120mgを4週毎に投与した結果、奏効例注8)は認められなかったが、継続試験において奏効例が1/17例に認められた,,
    副作用は、国内第Ⅱ相非盲検試験において安全性評価対象32例中27例(84.4%)に認められた。発現率が10%以上の副作用は、注射部位硬結9例(28.1%)、白色便6例(18.8%)、鼓腸4例(12.5%)であった。継続試験においては17例中15例(88.2%)に認められた。発現率が10%以上の副作用は、白色便5例(29.4%)、注射部位硬結4例(23.5%)、糖尿病4例(23.5%)、鼓腸3例(17.6%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、腹部膨満、腹痛、下痢、注射部位疼痛及び倦怠感が各2例(11.8%)であった。
    注8)完全奏効又は部分奏効の症例
  2. 海外第Ⅲ相試験
    切除不能又は遠隔転移を有する無症候性の膵・消化管神経内分泌腫瘍患者204例による海外第Ⅲ相プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験において、本剤120mgを4週毎に96週間投与した結果、無増悪生存期間(PFS)の中央値は本剤群で96週を超え、プラセボ群で72週(95%信頼区間: 48.6-96.0)であり、プラセボ群と比較し本剤群で有意なPFSの延長が認められた(ハザード比0.47、95%信頼区間0.30-0.73; 層別ログランク検定p=0.0002),
    図 無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
    本剤120mg群の副作用は、101例中50例(49.5%)に認められた。発現率が10%以上の副作用は、下痢26例(25.7%)、腹痛14例(13.9%)であった。

薬効薬理

作用機序
ソマトスタチンは、下垂体前葉において5種類のヒトソマトスタチン受容体(hsst)サブタイプのうち主に2型(hsst2)及び5型(hsst5)との結合を介して、成長ホルモン分泌を抑制することが知られている。ソマトスタチンの類縁体であるランレオチド(酢酸塩)はhsst2及びhsst5に対して高い結合親和性を示した。
血清成長ホルモン(GH)濃度低下作用
ラットにおいて、ランレオチド(酢酸塩)の単回皮下投与により血清GH濃度が低下した。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度低下作用
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)刺激により血漿中TSH濃度を上昇させたラットにおいて、ランレオチド(酢酸塩)の単回皮下投与により血漿中TSH濃度が低下した。
腫瘍増殖抑制作用
ヒト膵癌由来MIA PaCa-2細胞株及び結腸・直腸癌由来COLO320DM細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、ランレオチド(酢酸塩)は腫瘍増殖抑制作用を示した,

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ランレオチド酢酸塩(Lanreotide Acetate)
化学名
3-(2-Naphthyl)-D-alanyl-L-cysteinyl-L-tyrosyl-D-tryptophyl-L-lysyl-L-
valyl-L-cysteinyl-L-threoninamide cyclic(2→7)-disulfide acetate
分子式
C54H69N11O10S2xC2H4O2x: 1.0~2.0)
分子量
1096.32(遊離塩基として)
性状
本品は白色の粉末である。本品はジメチルスルホキシド及びエタノール(99.5)に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、水にやや溶けにくい。
化学構造式

取扱い上の注意

  1. 冷蔵(2~8℃)で、ラミネート包装のまま保存すること。
  2. 本剤は滅菌済みであるため、使用直前までラミネート包装を開封しないこと。また、取り出した後は速やかに使用すること。
  3. ラミネート包装が開封、または破損している場合、あるいはシリンジにひび・破損等の異常が認められるときは使用しないこと。
  4. 落としたり衝撃を与えたりしないこと。破損及び不具合の原因となることがある。

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

〈ソマチュリン皮下注60mg〉
1シリンジ
〈ソマチュリン皮下注90mg〉
1シリンジ
〈ソマチュリン皮下注120mg〉
1シリンジ

主要文献

1
社内報告: 生殖発生毒性(ラット、ウサギ). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.6.6.6)
2
社内報告: 薬物動態(ラット、乳汁移行). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.6.4.6.3.1)
3
社内報告: がん原性(マウス、ラット). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.6.6.5)
4
社内報告: 薬物動態(健康成人、単回). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.7.6.6)
5
社内報告: 無作為化非盲検用量反応試験(先端巨大症又は下垂体性巨人症患者). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.7.6.26)
6
社内報告: 国内第Ⅲ相非盲検非対照試験(甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍). 2020.(2020年12月25日承認、CTD2.7.6.1)
7
社内報告: 国内第Ⅱ相非盲検試験(神経内分泌腫瘍患者). 2017.(2017年7月3日承認、CTD2.7.6.5)
8
社内報告: 薬物動態(健康成人、ランレオチド酢酸塩). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.7.6.14)
9
社内報告: 薬物動態(ヒト血清蛋白結合率). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.6.4.4.3)
10
社内報告: 薬物動態(ラットin vitro). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.6.4.5.1)
11
社内報告: 薬物動態(ラットin vivo). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.6.4.6.2.1)
12
社内報告: 薬物動態(腎機能障害患者). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.7.6.10)
13
社内報告: 薬物動態(肝機能障害患者). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.7.6.11)
14
社内報告: 薬物動態(健康高齢者). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.7.6.13)
15
社内報告: 薬物相互作用(シクロスポリン、ビタミンK). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.7.6.3)
16
Shimatsu A, et al.: Endocr J. 2013; 60(5): 651-63.
17
社内報告: 非盲検長期投与試験(先端巨大症又は下垂体性巨人症患者). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.7.6.33)
18
Ito T, et al.: Invest New Drugs. 2017; 35(4): 499–508.
19
社内報告: 国内第Ⅱ相非盲検継続投与試験(神経内分泌腫瘍患者). 2017.(2017年7月3日承認、CTD2.7.6.6)
20
Caplin ME, et al.: N Engl J Med. 2014; 371(3): 224-33.
21
社内報告: 無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験(神経内分泌腫瘍患者). 2017.(2017年7月3日承認、CTD2.7.6.1)
22
社内報告: 作用機序(受容体結合親和性). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.6.2.2.1)
23
社内報告: 血清中GH濃度の低下作用(ラット). 2012.(2012年6月29日承認、CTD2.6.2.2.2)
24
社内報告: 血漿中TSH濃度の低下作用(ラット). 2020.(2020年12月25日承認、CTD2.6.2.2.1)
25
社内報告: 腫瘍増殖抑制作用(膵癌移植マウス). 2017.(2017年7月3日承認、CTD2.6.2.2.1)
26
社内報告: 腫瘍増殖抑制作用(大腸癌移植マウス). 2017.(2017年7月3日承認、CTD2.6.2.2.2)

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