医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

閲覧履歴

オペプリム

副腎癌化学療法剤副腎皮質ホルモン合成阻害剤

1カプセル 802.1円

添付文書番号

2499006M1026_2_15

企業コード

800015

作成又は改訂年月

2023年1月改訂
(第4版)

日本標準商品分類番号

872499

薬効分類名

副腎癌化学療法剤副腎皮質ホルモン合成阻害剤

承認等

販売名

オペプリム

販売名コード

2499006M1026

販売名英字表記

Opeprim

販売名ひらがな

おぺぷりむ

承認番号等

承認番号
15800AMY00091

販売開始年月

1984年3月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ミトタン

警告

ショック時や重篤な外傷を受けた時には、一時的に投与を中止すること。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 重篤な外傷のある患者[副腎抑制を起こすおそれがある。]
  2. スピロノラクトン、ペントバルビタール、ドラビリン、エンシトレルビルフマル酸、レナカパビルを投与中の患者

組成・性状

組成

オペプリム
有効成分
1カプセル中ミトタン  500mg
添加剤
カプセル内容物:
セラセフェート、ステアリン酸マグネシウム、タルク
カプセル本体:
ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチン

製剤の性状

オペプリム
外形
大きさ
全長:21.8mm
長径:7.4mm
短径:7.1mm
質量650mg
識別コードYA928
色・剤形
白色・硬カプセル(0号)

効能又は効果

  • 副腎癌
  • 手術適応とならないクッシング症候群

効能又は効果に関連する注意

<手術適応とならないクッシング症候群>
下垂体性ACTH過剰分泌によるクッシング症候群(クッシング病)の患者には、下垂体腺腫摘出及び下垂体放射線照射等の方法も考慮すること。

用法及び用量

通常成人1回1カプセル~2カプセル1日3回経口投与から開始し、有効量まで漸増し、以後、症状、血中・尿中ステロイド濃度、副作用等により適宜増減する。

重要な基本的注意

  1. 投与量が確定するまで治療は入院中に開始すること。
  2. 長期連続大量投与により、脳の機能障害を起こすことがある。治療を長期継続する場合は、一定期間ごとに行動的及び神経学的評価を行うこと。
  3. 眩暈、嗜眠等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分に注意させること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
    治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
  2. 無月経の症状を呈している患者
    本剤の作用により月経が再開することがある。

肝機能障害患者

  1. 副腎皮質からの転移腫瘍以外の肝疾患のある患者
    代謝が妨げられて蓄積するおそれがある。

生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後十分な期間適切な避妊をするよう指導すること。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験は実施していない。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。小児において、5~6ヵ月後に中枢神経症状が発現し、急激な血漿中濃度の上昇を来していたとの報告がある。

高齢者

減量するなど注意すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

相互作用

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
スピロノラクトン
(アルダクトンA)
本剤の作用が阻害されるおそれがある。
機序は明確でないが、ミトタンの薬効が阻害されるとの海外報告がある。
ペントバルビタール
(ラボナ)
睡眠作用が減弱するおそれがある。
機序は明確でないが、ペントバルビタールの睡眠作用を減弱するとの海外報告がある。
ドラビリン
(ピフェルトロ)
エンシトレルビルフマル酸
(ゾコーバ)
レナカパビル
(シュンレンカ)
これらの薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
本剤の肝チトクロームP-450(CYP3A4)誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進されると考えられる。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
エプレレノン
エサキセレノン
本剤の作用が阻害されるおそれがある。
本剤の薬効をこれらの薬剤の類薬(スピロノラクトン)が阻害するとの報告がある。
トリロスタン
副腎皮質機能抑制作用が増強するおそれがある。
トリロスタンは副腎皮質ステロイドホルモン生合成阻害作用を有する。
CYP3A4で代謝を受ける薬剤
ミダゾラム
アムロジピン
クラリスロマイシン等
併用薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
本剤は肝チトクロームP-450(CYP3A4)を誘導するため、CYP3A4で代謝を受ける薬剤の血中濃度に影響を与える可能性がある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 胃潰瘍(頻度不明)、胃腸出血(頻度不明)
  2. 紅皮症(頻度不明)
  3. 認知症(頻度不明)、妄想(頻度不明)
  4. 副腎不全(頻度不明)
    本剤の投与により副腎不全が起こることがある。このような場合は、副腎ステロイド補充を行うこと。
  5. 低血糖(頻度不明)
  6. 腎障害(尿細管障害)(頻度不明)
  7. 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)
    AST、ALT、γ-GTP、ALPの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

その他の副作用

10%以上
10%未満
頻度不明
消化器
食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢
便秘、口渇
口内異常感、腹痛
皮膚
発疹
脱毛、そう痒
色素沈着、皮膚乾燥
中枢神経系
嗜眠
頭痛、眩暈
歩行不安定、脳波異常、言語障害、振戦、不穏、不安、健忘、神経過敏、神経症、しびれ
内分泌
女性型乳房
帯下増加、性器出血、ACTH高値
肝臓
AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、γ-GTP上昇
代謝・栄養
総コレステロール上昇
低尿酸血症、低ナトリウム血症、低カリウム血症
血液
白血球減少
貧血、血小板増加、眼底出血
腎臓
浮腫、乏尿、血漿レニン活性上昇
循環器
高血圧、動悸、QT延長
その他
味覚異常、関節痛、筋肉痛
全身倦怠感、耳鳴、腰痛、発熱、のぼせ、脱力感

過量投与

  1. 症状
    中枢神経症状があらわれることがある。特に血漿中濃度が20μg/mLを超えた場合に中枢神経症状が多く認められたとの報告がある(外国人データ)。
  2. 処置
    本剤は消失半減期が長いことから、中止後も一定期間観察を行うこと。なお、本剤は脂溶性が高く、分布容積が大きいため、血液透析による除去は期待できない。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    ミトタン10gを経口投与すると血中濃度は4~6時間後に最高となり、その後、徐々に低下する(外国人データ)。
  2. 反復投与
    〈効能共通〉
    1. 本剤の血漿中濃度と累積投与量の関係は下図のとおりである。
      図 本剤の血漿中濃度と累積投与量
      (右図は累積投与量2,000g、血漿中濃度20μg/mLまでの拡大図)
    〈副腎皮質癌〉
    1. 副腎皮質癌患者7例にミトタン総量200gを投与したときの本剤投与中止後の血漿中濃度の終末相半減期は18~159日(中央値53日)であった(外国人データ)。

分布

主に脂肪組織内に蓄積され、次いで副腎に多く蓄積される(外国人データ)。

排泄

投与量の60~65%は吸収されずに糞便中に排泄される。吸収量の4分の1は水溶性代謝物として尿中に排泄される(外国人データ)。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内一般臨床試験
    本剤投与が必要とされた全国35施設46例における臨床成績は以下のとおりであった。効果は、ステロイドに対する効果、抗腫瘍効果、有用性の3つに分けて評価した。
    46例中31例(約67%)でステロイド減少効果が認められた。腫瘍の大きさが測定された副腎癌18例中7例(38.9%)で抗腫瘍効果が認められた。
    46例中36例(78.3%)で副作用が認められた。主な副作用注1)注2)は、食欲不振28/47例(59.6%)、嘔気26/47例(55.3%)、総コレステロール上昇19/39例(48.7%)、γ-GTP上昇6/27例(22.2%)、嗜眠8/47例(17.0%)、発疹8/47例(17.0%)、ALP上昇7/42例(16.7%)、AST上昇7/45例(15.6%)、ALT上昇7/45例(15.6%)、嘔吐7/47例(14.9%)、下痢7/47例(14.9%)、LAP上昇3/25例(12.0%)であった。
    各担当医師による「++、+、-」の3段階の判定では、下表のとおり47例中31例(約66%)で有用性が認められた。
    疾患名
    症例数
    有用性
    ++
    +
    不明
    クッシング症候群
    クッシング病
    16
    8
    5
    0
    3
    副腎腺腫
    5
    1
    1
    0
    3
    副腎癌
    16
    2
    4
    3
    7
    その他注3)
    3
    2
    1
    0
    0
    その他の副腎癌
    6注1)
    2
    5
    0
    0
    合計
    46
    15
    16
    3
    13
    注1)1例については、2期間、2施設において研究されたので、2つのデータとして扱った。
    注2)自覚的副作用については47例、臨床検査上の副作用については検査症例数に基づき発現頻度を算出した。
    注3)結節性副腎異形成(疑)2例、異所性ACTH産生腫瘍1例。

薬効薬理

作用機序
  1. 細胞毒作用
    副腎組織の変化は皮質に選択的であり、とくに皮質の束状層、網状層の萎縮や壊死がイヌにおいて認められている。
  2. ステロイド合成阻害作用
    ステロイド分泌量の低下が認められるが、その合成阻害部位は、まだ決定されていない。種々の実験による推定阻害部位は、次の反応段階である。
    • コレステロール側鎖切断の段階:副腎癌及びクッシング病患者各6例、イヌ(in vitro
    • 3位脱水素の段階:副腎癌及びクッシング病患者各6例、ウシ(in vitro
    • 21位水酸化の段階:副腎癌患者3例
    • 11位水酸化の段階:副腎癌患者3例、ウシ(in vitro
    • 18位水酸化の段階:ヒトの摘出副腎癌
  3. ステロイド代謝への作用
    コルチゾールの代謝物のうち、6β-ヒドロキシ体を増加させる(外国人データ)。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ミトタン(mitotane)(JAN)
化学名
1,1-Dichloro-2-(2-chlorophenyl)-2-(4-chlorophenyl)ethane
分子式
C14H10Cl4
分子量
320.04
性状
白色~微黄白色の結晶である。クロロホルム、四塩化炭素、アセトニトリル又はシクロヘキサンに溶けやすく、エタノール(95)又はイソオクタンにやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
化学構造式
融点
75~79℃

包装

100カプセル[瓶、バラ、乾燥剤入り]

主要文献

1
Goto T, et al.:Clin Pediatr Endocrinol. 2008;17:71-74.
2
Wortsman J, et al.:JAMA. 1977;238:2527.
3
Straw JA, et al.:Proc Soc Exp Biol Med. 1965;118:391-394.
4
Baudin E, et al.:Cancer. 2001;92:1385-1392.
5
社内資料:薬力学的研究
6
社内資料:血漿中濃度と累積投与量の関係に関する資料
7
Moolenaar AJ, et al.:Cancer Chem Pharm. 1981;7:51-54.
8
Moy RH:J Lab Clin Med. 1961;58:296-304.
9
木野内喬 他:ホルモンと臨床. 1982;30:841-851.
10
Kaminsky N, et al.:J Natl Cancer Inst. 1962;29:127-159.
11
小島元子 他:日本内分泌学会雑誌. 1984;60:852-871.
12
Hart MM, et al.:Steroids. 1971;17:559-574.
13
小島元子 他:日本内分泌学会雑誌. 1982;58:407.
14
小島元子 他:ホルモンと臨床. 1981;29:1499-1505.
15
長沼 廣 他:日本内分泌学会雑誌. 1982;58:405.
16
Touitou Y, et al.:J Steroid Biochem. 1978;9:1217-1224.
17
Bledsoe T, et al.:J Clin Endo. 1964;24:1303-1311.

文献請求先及び問い合わせ先

株式会社ヤクルト本社
くすり相談窓口
〒105-8660 東京都港区海岸1-10-30
電話:0120-589601
FAX:03-6747-8029

製造販売業者等

製造販売元
株式会社ヤクルト本社
東京都港区海岸1-10-30

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

MESSAGE

MESSAGE

LABEL