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ゾレア皮下注用150mg

気管支喘息治療剤季節性アレルギー性鼻炎治療剤慢性蕁麻疹治療剤(ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤)

1瓶 29104円

添付文書番号

2290400D1033_1_14

企業コード

300242

作成又は改訂年月

2021年8月改訂
(第4版)

日本標準商品分類番号

87229

薬効分類名

気管支喘息治療剤季節性アレルギー性鼻炎治療剤慢性蕁麻疹治療剤(ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤)

承認等

販売名

ゾレア皮下注用150mg

販売名コード

2290400D1033

販売名英字表記

Xolair for s.c. injection(一部)最適使用推進ガイドライン対象品目

販売名ひらがな

ぞれあひかちゅうよう150mg

承認番号等

承認番号
22300AMX01262000

販売開始年月

2009年3月

貯法、有効期間

貯法
2~8℃に保存
有効期間
4年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること
生物由来製品

一般的名称

オマリズマブ(遺伝子組換え)

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

ゾレア皮下注用150mg
有効成分
オマリズマブ(遺伝子組換え)202.5mg
ただし、本剤の調製方法に基づき、日局注射用水1.4mLに溶解した溶液1.2mL中に含まれる量は150mgである。
添加剤
精製白糖  145.5mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物  2.8mg
L-ヒスチジン  1.8mg
ポリソルベート20  0.5mg
本剤の有効成分であるオマリズマブ(遺伝子組換え)は、チャイニーズハムスター卵巣細胞から産生されるヒト化マウスモノクローナル抗体である。オマリズマブ(遺伝子組換え)の製造工程において、ブタペプトン(胃)を使用している。
※本剤溶解後の溶液は粘性があるため、注射液吸引時の損失を考慮し、1バイアルから150mgを注射するに足る量を確保するために過量充填されている。

製剤の性状

ゾレア皮下注用150mg
pH5.8~6.5(溶解後)
浸透圧
273~455mmol/kg(溶解後)
性状
白色の塊で、溶解後は、無色~微黄色で、澄明又はわずかに混濁した液

効能又は効果

  • 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
  • 季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)注)
  • 特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)
注)最適使用推進ガイドライン対象

効能又は効果に関連する注意

〈気管支喘息〉
  1. 高用量の吸入ステロイド薬及び複数の喘息治療薬を併用しても症状が安定せず、通年性吸入抗原に対して陽性を示し、体重及び初回投与前血清中総IgE濃度が投与量換算表で定義される基準を満たす場合に本剤を追加して投与すること。
    症状が安定しないとは、下記の症状のいずれかが改善しないことを示す。
    成人の場合
    • 喘息に起因する明らかな呼吸機能の低下(FEV1.0が予測正常値に対し80%未満)
    • 毎日喘息症状が観察される
    • 週1回以上夜間症状が観察される
    小児の場合
    • 毎日喘息症状が観察される
    • 週1回以上夜間症状が観察される
    • 週1回以上日常生活が障害される
〈季節性アレルギー性鼻炎〉
  1. 最新のガイドライン等を参考に、以下のいずれにも該当する患者に、ヒスタミンH1受容体拮抗薬に追加して投与すること。
    • 原因となる花粉抗原に対して血清特異的IgE抗体検査等で陽性を示す
    • 過去の治療において、花粉抗原の除去と回避を行ったうえで、鼻噴霧用ステロイド薬とケミカルメディエーター受容体拮抗薬を併用しても、重症又は最重症のアレルギー性鼻炎症状が認められた
    • 体重及び初回投与前血清中総IgE濃度が投与量換算表で定義される基準を満たす
〈特発性の慢性蕁麻疹〉
  1. 食物、物理的刺激等の蕁麻疹の症状を誘発する原因が特定されず、ヒスタミンH1受容体拮抗薬の増量等の適切な治療を行っても、日常生活に支障をきたすほどの痒みを伴う膨疹が繰り返して継続的に認められる場合に本剤を追加して投与すること。

用法及び用量

〈気管支喘息〉
通常、オマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75~600mgを2又は4週間毎に皮下に注射する。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、下記の投与量換算表により設定する。
〈季節性アレルギー性鼻炎〉
通常、成人及び12歳以上の小児にはオマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75~600mgを2又は4週間毎に皮下に注射する。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、下記の投与量換算表により設定する。
投与量換算表(1回投与量)
4週間毎投与
2週間毎投与
投与量換算表では、本剤の臨床推奨用量である0.008mg/kg/[IU/mL]以上(2週間間隔皮下投与時)又は0.016mg/kg/[IU/mL]以上(4週間間隔皮下投与時)となるよう投与量が設定されている。
〈特発性の慢性蕁麻疹〉
通常、成人及び12歳以上の小児にはオマリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間毎に皮下に注射する。

用法及び用量に関連する注意

〈気管支喘息、季節性アレルギー性鼻炎〉
  1. 投与量換算表に該当しない患者への投与は行わないこと。
  2. 本剤投与中に大幅に体重が変化した場合には、本剤の臨床推奨用量が投与されない可能性があるので、投与量換算表に基づいて投与量並びに投与間隔を再設定すること。特に小児では、成長に伴う体重の増加に注意すること。
  3. 本剤投与によりIgEの消失半減期が延長し、血清中総IgE濃度が上昇するので本剤投与中に測定した血清中総IgE濃度による用法・用量の再設定は行わないこと。また、本剤投与中止後1年間は血清中総IgE濃度の上昇が持続する場合があるので、1年未満に投与を再開する場合は、最初の用量設定時に得られた血清中総IgE濃度に基づいて用量を設定すること。ただし、本剤の投与中断期間が1年以上の場合は、血清中総IgE濃度を再測定してもよい。
  4. 本剤投与中に喘息又は季節性アレルギー性鼻炎の症状の改善が認められた場合においても、投与量換算表により設定された投与量を変更しないこと。
〈気管支喘息〉
  1. 用法及び用量どおり、16週間使用しても効果が認められない場合には、漫然と投与を続けないよう注意すること。
〈季節性アレルギー性鼻炎〉
  1. 本剤投与が必要な季節性アレルギー性鼻炎に係る原因花粉抗原の飛散時期にのみ投与すること。なお、日本人を対象とした臨床試験において、本剤の12週以降の使用経験は無いため、12週以降も継続して投与する場合は、患者の状態を考慮し、その必要性を慎重に判断すること。また、症状発現初期に投与を開始することが望ましい。
〈特発性の慢性蕁麻疹〉
  1. 日本人を対象とした臨床試験において、本剤の12週以降の使用経験は無いため、12週以降も継続して投与する場合は、患者の状態を考慮し、その必要性を慎重に判断すること。特に、用法及び用量どおり、12週間使用しても効果が認められない場合には、漫然と投与を続けないよう注意すること。

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 本剤の投与は、各適応疾患の治療に精通している医師のもとで行うこと。
  2. 本剤投与後にショック、アナフィラキシーが発現する可能性があること、及びその徴候や症状について患者に十分説明し、異常が認められた場合には、速やかに担当医師に連絡するよう、患者を指導すること。
  3. 本剤投与中に、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Churg-Strauss症候群)があらわれることがあり、これらの多くは経口ステロイド剤の減量・中止時に発現している。本剤使用時は、好酸球数の推移及び発疹、肺症状の悪化(肺の浸潤等)、心臓合併症(心筋炎等)、ニューロパシー等の血管炎症状に注意すること。
  4. 本剤の投与中止により、通常、遊離IgE濃度及び症状が治療前の状態に戻る。
  5. 本剤投与中にめまい、疲労、失神、傾眠があらわれることがあるため、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事する場合には十分に注意させること。
  6. 本剤はIgEと複合体を形成し、遊離IgEを減少させる。IgEは寄生虫感染に対する宿主防御機能に関与する因子の1つと考えられていることから、寄生虫感染のリスクが高い地域に旅行する場合には注意すること。
  7. 本剤の投与によって合併する他のアレルギー性疾患の症状が変化する可能性があり、当該アレルギー性疾患に対する適切な治療を怠った場合、症状が急激に悪化し、喘息等では死亡に至るおそれもある。本剤投与中止・終了後の疾患管理も含めて、本剤投与中から、合併するアレルギー性疾患を担当する医師と適切に連携すること。患者に対して、医師の指示なく、それらの疾患に対する治療内容を変更しないよう指導すること。
〈気管支喘息〉
  1. 本剤は気管支拡張薬、ステロイド薬、ヒスタミンH1受容体拮抗薬等と異なり、すでに起こっている発作や症状を速やかに軽減する薬剤ではないので、患者に十分説明しておく必要がある。
  2. 本剤を投与中、大発作をみた場合は気管支拡張薬あるいはステロイド薬を投与する必要がある。
  3. 長期ステロイド療法を受けている患者で、本剤投与によりステロイド薬の減量をはかる場合には十分な管理下で徐々に行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(サル)で本剤が胎盤を通過することが報告されている。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(サル)で乳汁中への移行が報告されている。

小児等

〈気管支喘息〉
  1. 低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
  2. 6歳以上の小児を対象とした臨床試験において、頭痛、発熱、上腹部痛が多く認められている。
〈季節性アレルギー性鼻炎、特発性の慢性蕁麻疹〉
  1. 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
    気管支痙攣、呼吸困難、血圧低下、失神、蕁麻疹、舌浮腫、口唇浮腫、咽・喉頭浮腫等があらわれることがある。本剤投与後2時間以内に発現することが多いが、2時間以上経過してから発現することもある。また、長期間の定期的投与後においても発現することがある。

その他の副作用

5%以上
1%~5%未満
1%未満
頻度不明
感染症及び寄生虫症
鼻咽頭炎
上気道感染、咽頭炎、副鼻腔炎、寄生虫感染、尿路感染
血液
血小板数減少
出血
神経系障害
頭痛
傾眠、めまい
錯感覚、失神
血管障害
潮紅
起立性低血圧
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
咳嗽、アレルギー性気管支痙攣、喉頭浮腫
胃腸障害
消化不良、悪心
下痢、上腹部痛
過敏症
蕁麻疹
そう痒症、発疹
血管浮腫、血清病注)
皮膚
光線過敏、脱毛
筋骨格系
四肢痛、筋骨格痛
関節痛、筋痛、関節腫脹
全身障害
熱感、疲労、腕の腫脹、発熱、けん怠感
体重増加、インフルエンザ様疾患
注射部位
紅斑、腫脹
そう痒感、疼痛、出血、熱感、硬結
発疹、腫瘤、浮腫、蕁麻疹、しびれ感、不快感
注)Ⅲ型過敏反応であり、関節炎及び関節痛、発疹(蕁麻疹又はその他の発疹)、発熱及びリンパ節腫脹を特徴とする。

臨床検査結果に及ぼす影響

本剤は血中IgEと複合体を形成するため、IgEの消失半減期が延長し、血清中総IgE濃度が上昇する。従って、本剤投与中のIgE測定値を、気管支喘息及び季節性アレルギー性鼻炎の用法・用量の再設定には用いないこと。また、高IgE血症を示す疾患(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症等)の診断やアレルギー性の喘息の治療効果の診断の根拠として用いないこと。

適用上の注意

薬剤調製時の注意
  1. 調製前の準備
    投与量が150mgを超える場合は投与液量一覧表を参考に、複数のバイアルを使用する。この場合、必要数の注射筒及び注射針(18ゲージ、25ゲージ)を用意すること。
  2. 調製方法
    本剤の溶解には日局注射用水以外は使用しないこと。
    1. 溶解時には以下の点に留意すること。
      • 18ゲージの注射針を装着した注射筒を用いて、1バイアルあたり日局注射用水を1.4mL採取し、バイアル内の粉末にかかるように注入し、バイアルを立てた状態で約1分間渦を描くように回転させる。この間バイアルは振ったりせず静かに回し、泡が立たないようにすること。
      • 次いで約5分毎に5~10秒間バイアルを回し、完全に粉末を溶解させる。
      • 溶解には約15~20分程度を要するが、20分以上かかる場合もある。その場合、溶液中にゲル状の粒子が見えなくなるまで約5分毎に5~10秒間バイアルを回す操作を繰り返す。40分以内に溶解しない場合には使用しないこと。また、溶解時に泡立ちが見られることがある。
    2. 溶解後は出来るだけ速やかに使用すること。直ちに使用しない場合は、2~8℃で保存し、8時間以内に使用すること。使用後の残液は使用しないこと。
薬剤投与時の注意
  1. 外観に異常を認めた場合には使用しないこと。
  2. 下記投与液量一覧表を参考に、必要バイアル数を溶解し、投与に必要な総投与液量を18ゲージの注射針を装着した注射筒を用いて採取する。
    本剤1バイアルを日局注射用水1.4mLに溶解した溶液1.2mLがオマリズマブ(遺伝子組換え)の投与量150mgに相当する。
  3. 採取後25ゲージの注射針に交換し、皮下注射する。溶液は粘性があるため、注射するのに5~10秒を要する場合がある。
  4. 1回につき1.2mL(150mg)を超えて投与する場合には、1箇所あたり1.2mLを超えないように部位を分けて投与すること。
    投与液量一覧表
    オマリズマブ(遺伝子組換え)投与量
    必要バイアル数の例
    総投与液量
    75mg
    1本
    0.6mL
    150mg
    1本
    1.2mL
    225mg
    2本
    1.8mL
    300mg
    2本
    2.4mL
    375mg
    3本
    3.0mL
    450mg
    3本
    3.6mL
    525mg
    4本
    4.2mL
    600mg
    4本
    4.8mL

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 国内臨床試験において、アナフィラキシーは報告されていないが、気管支喘息患者を対象とした海外臨床試験において報告されており、発現頻度は成人で0.1%(7例/5,367例)、小児で0.2%(1例/624例)であった。また、海外市販後の自発報告において、アナフィラキシー及びアナフィラキシーの可能性のある過敏症反応の発現頻度は、少なくとも0.2%と推定され、そのうち発現時間別では約30%が本剤投与2時間以降に発現しており、市販後データ及び海外文献報告において、投与回数別では約70%が本剤投与3回目以内に発現していた,
  2. 悪性腫瘍の発現頻度は、国内及び海外の無作為化プラセボ対照二重盲検臨床試験において、本剤群4,254例で4.14例/1,000人・年(14例/3,382人・年)、対照群3,178例で4.45例/1,000人・年(11例/2,474人・年)であった(発現頻度比:0.93[95%信頼区間:0.39、2.27])。また、5年間の追跡調査を行った気管支喘息患者を対象とした海外の市販後観察研究においては、本剤群5,007例で16.01件/1,000人・年(295件/18,426人・年)、対照群2,829例で19.07件/1,000人・年(190件/9,963人・年)であった(発現頻度比:0.84[95%信頼区間:0.62、1.13])。なお、本剤を悪性腫瘍のリスクが高い患者(例:高齢者、喫煙者)に使用した場合の影響は不明である。本剤のがん原性試験は、一般的にがん原性試験に使用されるマウス及びラットのIgEと結合しないことから、実施されていない。
  3. 動脈血栓塞栓イベントの発現頻度は、国内及び海外の投与期間8週間以上無作為化プラセボ対照二重盲検臨床試験において、本剤群3,342例で2.69例/1,000人・年(5例/1,856人・年)、対照群2,895例で2.38例/1,000人・年(4例/1,680人・年)であった(発現頻度比:1.13[95%信頼区間:0.24、5.71])。内訳は、本剤群で心筋梗塞が2例、脳卒中、不安定狭心症、一過性脳虚血発作がそれぞれ1例、対照群で心血管死が3例、不安定狭心症が1例であった。また、5年間の追跡調査を行った気管支喘息患者を対象とした海外の市販後観察研究においては、本剤群5,007例で7.52件/1,000人・年(115件/15,286人・年)、対照群2,829例で5.12件/1,000人・年(51件/9,963人・年)であり、ベースラインの心血管危険因子で調整した多変量解析では、ハザード比1.32[95%信頼区間:0.91、1.91]であった。
  4. 気管支喘息患者を対象とした本剤の臨床試験は、国内成人臨床試験で48週間、国内小児臨床試験で24週間、海外成人臨床試験で5年間、海外小児臨床試験で3年間までの期間で実施されており、これらの期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立していない。
  5. スギ花粉症患者を対象とした本剤の臨床試験は、日本人の成人及び12歳以上の小児を対象として12週間の期間で実施されており、この期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立していない。
  6. 特発性の慢性蕁麻疹患者を対象とした本剤の臨床試験は、日本人の成人及び12歳以上の小児を含む臨床試験で12週間、海外の成人及び12歳以上の小児の臨床試験で最長24週間で実施されており、これらの期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立していない。
  7. 本剤投与により、抗オマリズマブ抗体が発現することがある。
非臨床試験に基づく情報
  1. 動物を用いた反復皮下投与毒性試験において、カニクイザルでは15mg/kg/週以上(幼若動物)及び30mg/kg/週以上(成熟動物)の群で、チンパンジーでは250mg/kg/週の群で血小板数の減少が報告されている。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与試験の成績
    日本人健康成人男子19名(血清中総IgE濃度:32~96IU/mL、体重:50.5~69.8kg)に、本剤150mgを単回皮下投与した。その時の血清中オマリズマブ(遺伝子組換え)濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。
    血清中オマリズマブ(遺伝子組換え)濃度推移(平均値±標準偏差)
    血清中オマリズマブ(遺伝子組換え)の薬物動態パラメータ(n=19)
    投与量
    (mg)
    Tmax
    (日)
    Cmax
    (μg/mL)
    T1/2
    (日)
    AUC0-inf
    (日・μg/mL)
    Vz/F
    (L)
    CL/F
    (mL/日)
    150
    7
    [2~14]
    16.7
    ±2.7
    21.0
    ±3.5
    642
    ±134
    7.25
    ±1.33
    242
    ±45.4
    Tmaxは中央値[範囲]、その他は平均値±標準偏差
  2. 母集団解析の成績
    母集団解析の結果から、日本人及び外国人に投与量換算表に従って本剤(日本人:75~375mg、外国人:75~600mg)を皮下投与した際の薬物動態及び遊離IgE濃度の抑制効果は同様であることが示された。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈気管支喘息〉
  1. 国内第Ⅲ相試験(成人)
    中等症から重症のアレルギー性喘息患者(高用量吸入ステロイド薬に加え、喘息治療薬1剤以上を併用してもコントロール不十分な患者)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤を既存治療に上乗せ投与した。朝のピークフローのベースライン値は本剤群(151例)323L/min、プラセボ群(164例)328L/minであり、最終評価時の平均改善量は本剤群で15.45L/min、プラセボ群で2.25L/min、群間差[95%信頼区間]は13.19L/min[5.93、20.46]と、プラセボ群に比して本剤群で有意に多かった(p<0.001、投与群、投与間隔及びベースライン値を共変量としたANCOVA)。
    高用量の吸入ステロイド薬及び喘息治療薬を2剤以上併用もしくは経口ステロイド薬を併用しているにもかかわらず、喘息症状がある(毎日の喘息症状がある、週1回以上の夜間症状がある、% FEV1.0が予測値の80%未満のいずれかを満たす)という条件に合致する部分集団(効能・効果に合致する部分集団)においては、朝のピークフローのベースライン値は本剤群(70例)308L/min、プラセボ群(91例)301L/minであり、最終評価時の平均改善量は本剤群で13.92L/min、プラセボ群で3.15L/min、群間差[95%信頼区間]は10.77L/min[1.49、20.04]と、プラセボ群に比して本剤群で有意に多く(p=0.023、投与群、投与間隔及びベースライン値を共変量としたANCOVA)、試験全体での結果とほぼ同様であった。
    副作用発現頻度は本剤群で48.3%(73/151例)であった。主な副作用は、注射部位紅斑22.5%(34/151例)、注射部位そう痒感11.3%(17/151例)であった。
  2. 外国第Ⅲ相試験(成人)
    重症持続型アレルギー性喘息患者(高用量吸入ステロイド薬に加え、長時間作用型β2刺激薬を併用してもコントロール不十分な患者)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤を上乗せ投与した結果、治験薬投与期間(28週間)あたりの喘息増悪(全身性ステロイド薬による治療を必要とする喘息症状の悪化)の頻度は、本剤群(209例)0.68回、プラセボ群(210例)0.91回、群間比[95%信頼区間]は0.738[0.552、0.998]と、プラセボ群に比して本剤群で有意に低かった(p=0.042、投与群、投与間隔、実施国、喘息治療薬及びベースライン値を共変量としたポアソン回帰分析)。
    副作用発現頻度は本剤群で11.8%(29/245例)であった。主な副作用は、悪心、注射部位紅斑、頭痛及びそう痒症各1.2%(3/245例)であった。
  3. 国内第Ⅲ相試験(小児)
    最重症持続型の小児(6~15歳)アレルギー性喘息患者(吸入ステロイド薬(>200μg/day フルチカゾンプロピオン酸エステル又は相当量)に加え、喘息治療薬2剤以上を併用してもコントロール不十分な患者)を対象とした非対照非盲検試験において、本剤を38例に24週間上乗せ投与した。治験薬投与期間(24週間)終了時の血清中遊離IgE濃度(ng/mL)の幾何平均[95%信頼区間]は15.551[13.844、17.469]と、目標濃度の25ng/mL以下に抑制された。また、喘息増悪(吸入ステロイド薬の維持用量からの倍増を3日間以上必要とする、又は全身性ステロイド薬による治療を必要とする喘息症状の悪化)の頻度は、ベースライン(試験開始前1年間と試験中の観察期間を合わせた期間)の2.99回/患者・年に対して治験薬投与期間(24週間)では0.92回/患者・年であった。
    副作用発現頻度は26.3%(10/38例)であった。主な副作用は、頭痛10.5%(4/38例)、注射部位疼痛7.9%(3/38例)、注射部位紅斑、注射部位腫脹及び蕁麻疹が各5.3%(2/38例)であった(小児承認時までの集計)。
  4. 外国第Ⅲ相試験(小児)
    中等症~重症持続型の小児(6~11歳)アレルギー性喘息患者(吸入ステロイド薬(≥200μg/day フルチカゾンプロピオン酸エステル又は相当量)単剤又は他の喘息治療薬を併用してもコントロール不十分な患者)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤を52週間上乗せ投与した。吸入ステロイド薬固定期間(24週間)あたりの喘息増悪(吸入ステロイド薬の維持用量からの倍増を3日間以上、又は全身性ステロイド薬による治療を3日間以上必要とする喘息症状の悪化)の頻度は、本剤群(384例)0.45回、プラセボ群(192例)0.64回、群間比[95%信頼区間]は0.693[0.553、0.903](p=0.007)、治験薬投与期間(52週間)あたりの喘息増悪の頻度は、本剤群(384例)0.78回、プラセボ群(192例)1.36回、群間比[95%信頼区間]は0.573[0.453、0.725](p<0.001)と、いずれもプラセボ群に比して本剤群で有意に低かった(投与群、投与間隔、実施国、喘息増悪歴を共変量としたポアソン回帰分析)。
    吸入ステロイド薬(>200μg/day フルチカゾンプロピオン酸エステル又は相当量)及び喘息治療薬を2剤以上併用しているにもかかわらず、喘息症状がある(毎日の喘息症状がある、週1回以上の夜間症状がある、週1回以上の日常生活障害がある、のいずれかを満たす)という条件に合致する部分集団(効能・効果に合致する部分集団)においては、吸入ステロイド薬固定期間(24週間)あたりの喘息増悪の頻度は、本剤群(111例)0.73回、プラセボ群(48例)1.15回、群間比[95%信頼区間]は0.638[0.421、0.966](p=0.034)、治験薬投与期間(52週間)あたりの喘息増悪の頻度は、本剤群(111例)1.29回、プラセボ群(48例)2.38回、群間比[95%信頼区間]は0.541[0.366、0.799](p=0.002)と、いずれもプラセボ群に比して本剤群で有意に低く(投与群、投与間隔、喘息増悪歴を共変量としたポアソン回帰分析)、試験全体での結果とほぼ同様であった,
    副作用発現頻度は、本剤群で6.9%(29/421例)であった。主な副作用は、頭痛1.7%(7/421例)、紅斑1.4%(6/421例)であった。
〈季節性アレルギー性鼻炎〉
  1. 国内第Ⅲ相試験
    既存治療で鼻症状が効果不十分な12歳以上のスギ花粉症患者(前スギ花粉シーズンに鼻噴霧用ステロイドに加え、経口アレルギー性鼻炎治療薬1剤以上を投与してもくしゃみ、鼻汁及び鼻閉のすべての症状が発現し、そのうち1つ以上の鼻症状スコア※※が3点以上の重症又は最重症の患者)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、161例に本剤をフェキソフェナジン塩酸塩に上乗せ投与した。本剤投与期間は12週間であり、フェキソフェナジン塩酸塩は12週間を通して投与し、このうち4週間では鼻噴霧用フルチカゾンプロピオン酸エステルも投与した。症状ピーク期※※※のNasal Symptom Score※※※※(平均値±標準偏差)は、本剤群が3.65±1.56、プラセボ群が4.70±2.18であり、プラセボ群に比べて本剤群で低かった。投与群間差(本剤群−プラセボ群、最小二乗平均値[95%CI])は−1.03[−1.44、−0.62]であり、投与群間に有意な差が認められた(p<0.001)。
    第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬及びプロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬
    ※※くしゃみ(0~4点)、鼻汁(0~4点)、及び鼻閉(0~4点)
    ※※※鼻噴霧用ステロイド併用期間の70%以上を含む、又は症状ピーク期の70%以上が鼻噴霧用ステロイド併用期間を含む、のいずれかを満たす1日のNasal symptom scoreの平均値の累積値が最大となる3週間以上の最短期間(2018年2月23日~3月24日)。
    ※※※※鼻症状スコアの合計(0~12点)
    副作用発現頻度は本剤群で1.2%(2/161例)であった。主な副作用は、AST増加2例(1.2%)であった。
〈特発性の慢性蕁麻疹〉
  1. 国際共同第Ⅲ相試験
    既存治療で効果不十分な12歳以上の特発性の慢性蕁麻疹患者(ヒスタミンH1受容体拮抗薬で効果不十分な患者)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、218例(日本人105例)に本剤をヒスタミンH1受容体拮抗薬に上乗せ投与した。
    プラセボ又は本剤150mg注)又は300mgを4週間隔で3回皮下投与した。12週後の週間そう痒スコアのベースラインからの変化量、週間膨疹スコア※※のベースラインからの変化量及びUAS7※※※が0(以下、UAS7=0)となった患者の割合を次表に示す。
    (注)本剤の承認された用法及び用量は1回300mgである。)
    1週間のそう痒スコア(1日0~3)を累計したスコア。
    ※※1週間の膨疹スコア(1日0~3)を累計したスコア。
    ※※※7-day Urticaria Activity Score:1週間のそう痒スコア及び膨疹スコアを累計したスコア。
    300mg群
    150mg群
    プラセボ群
    群間差
    [95%信頼区間]、p値
    300mg群
    150mg群
    全体集団
    週間そう痒
    スコア
    -10.22
    (73例)
    -8.80
    (70例)
    -6.51
    (74例)
    -3.70
    [-5.31、-2.10]
    p<0.001a)
    -2.29
    [-3.92、-0.65]
    p=0.006a)
    週間膨疹
    スコア
    -12.17
    (73例)
    -10.04
    (70例)
    -7.41
    (74例)
    -4.76
    [-6.84、-2.67]b)
    -2.63
    [-4.75、-0.50]b)
    UAS7=0
    達成割合
    35.6%
    (26/73例)
    18.6%
    (13/70例)
    4.1%
    (3/74例)
    日本人部分集団
    週間そう痒
    スコア
    -9.54
    (35例)
    -7.29
    (34例)
    -5.17
    (36例)
    -4.37
    [-6.77、-1.97]c)
    -2.12
    [-4.54、0.30]c)
    週間膨疹
    スコア
    -12.06
    (35例)
    -8.36
    (34例)
    -5.77
    (36例)
    -6.29
    [-9.41、-3.17]c)
    -2.59
    [-5.74、0.55]c)
    UAS7=0
    達成割合
    31.4%
    (11/35例)
    11.8%
    (4/34例)
    2.8%
    (1/36例)
    a)国、投与群、週、投与群と週の交互作用を固定効果、被験者を変量効果、ベースライン値を共変量とする反復測定混合モデルを用いて検定。
    b)国、投与群、週、投与群と週の交互作用を固定効果、被験者を変量効果、ベースライン値を共変量とする反復測定混合モデル。
    c)投与群、週、投与群と週の交互作用を固定効果、被験者を変量効果、ベースライン値を共変量とする反復測定混合モデル。
    副作用発現頻度は、300mg群で9.6%(7/73例)、150mg群で8.5%(6/71例)であった。主な副作用は、頭痛300mg群2.7%(2/73例)、150mg群1.4%(1/71例)、鼻咽頭炎300mg群1.4%(1/73例)、150mg群1.4%(1/71例)であった。

薬効薬理

作用機序
本剤は、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体であり、IgEと高親和性受容体(FcεRI)の結合を阻害することで、好塩基球、肥満細胞等の炎症細胞の活性化を抑制する。
IgEに対する阻害作用
本剤はヒトIgEとFcεRIの結合を競合的に阻害し、血清中遊離IgE濃度を減少させた。なお、本剤はすでにFcεRIと結合したIgEには結合しない,,
ヒスタミン遊離に対する効果
ブタクサ特異的IgEでの感作時に本剤を添加することにより、ブタクサ抗原刺激によるヒト好塩基球からのヒスタミン遊離が抑制された。
気道収縮に対する効果
気管支喘息患者において、抗原吸入による即時型喘息反応及び遅発型喘息反応が抑制された,
気道過敏性に対する効果
気管支喘息患者において、メサコリンに対する気道過敏性が改善した。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
オマリズマブ(遺伝子組換え)
Omalizumab(Genetical Recombination)
分子量
約149,000
本質
ヒト化マウス抗ヒトIgEモノクローナル抗体に由来する軽鎖(C1048H1609N278O350S6;分子量:23,895.03)と重鎖(C2204H3389N588O673S15;分子量:49,372.00)をコードするDNAの導入によりチャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される糖蛋白質

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

1バイアル

主要文献

1
Limb, SL. et al.: J Allergy Clin. Immunol. 2007;120(6):1378-1381 [20090675]
2
Lieberman, PL. et al.: J Allergy Clin Immunol. 2017;140(6):1734-1736.e4. [20210080]
3
社内資料:薬物動態試験 [20090677]
4
社内資料:母集団薬物動態/薬力学解析(2013年8月20日承認、CTD2.7.2.3) [20133898]
5
Ohta, K. et al.: Respirology 2009;14(8):1156-1165 [20100362]
6
Humbert, M. et al.: Allergy 2005;60(3):309-316 [20083599]
7
社内資料:喘息患者を対象とした国内小児臨床試験(B1301試験)(2013年8月20日承認、CTD2.7.6-4.2.1) [20133996]
8
Lanier, B. et al.: J Allergy Clin. Immunol. 2009;124(6):1210-1216 [20132382]
9
社内資料:喘息患者を対象とした海外小児臨床試験(IA05試験)(2013年8月20日承認、CTD2.7.6-4.1.1) [20133997]
10
社内資料:スギ花粉症患者を対象とした国内臨床試験(F1301試験)(2019年12月11日承認、CTD2.7.6-4.1.1) [20190555]
11
社内資料:特発性の慢性蕁麻疹患者を対象とした国際共同試験(E2306試験)(2017年3月24日承認、CTD2.7.6-4.1.1) [20170085]
12
社内資料:薬理試験(阻害様式)(2009年1月21日承認、CTD2.6.2-2.4.3) [20090915]
13
社内資料:薬理試験(ヒスタミン遊離に対する効果及びFcεRI結合IgEへの影響) [20090916]
14
Fahy, J. V. et al.: Am. J. Respir. Crit. Care Med. 1997;155(6):1828-1834 [20083589]
15
Zielen, S. et al.: Int Arch Allergy Immunol 2013;160(1):102-110 [20132833]
16
Boulet, L. P. et al.: Am. J. Respir. Crit. Care Med. 1997;155(6):1835-1840 [20083590]

文献請求先及び問い合わせ先

ノバルティスファーマ株式会社 ノバルティスダイレクト
〒105-6333 東京都港区虎ノ門1-23-1

製造販売業者等

製造販売
ノバルティスファーマ株式会社
東京都港区虎ノ門1-23-1

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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