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閲覧履歴

レキサルティ錠1mg

抗精神病薬

1錠 245.5円

添付文書番号

1179058F1020_1_07

企業コード

180078

作成又は改訂年月

2023年10月改訂
(第3版、効能変更、用法及び用量変更)

日本標準商品分類番号

871179

薬効分類名

抗精神病薬

承認等

販売名

レキサルティ錠1mg

販売名コード

1179058F1020

販売名英字表記

REXULTI tablets

販売名ひらがな

れきさるてぃじょう1mg

承認番号等

承認番号
23000AMX00010

販売開始年月

2018年4月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
36箇月

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

レキサルティ錠2mg

販売名コード

1179058F2027

販売名英字表記

REXULTI tablets

販売名ひらがな

れきさるてぃじょう2mg

承認番号等

承認番号
23000AMX00011

販売開始年月

2018年4月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
36箇月

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ブレクスピプラゾール錠

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
  2. バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。]
  3. アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
  4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

レキサルティ錠1mg
有効成分
1錠中
ブレクスピプラゾール  1mg
添加剤
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄
レキサルティ錠2mg
有効成分
1錠中
ブレクスピプラゾール  2mg
添加剤
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄

製剤の性状

レキサルティ錠1mg
剤形フィルムコーティング錠
色調淡黄色
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
6.1mm
大きさ(厚さ)
2.7mm
質量約93mg
識別コードBRX1
レキサルティ錠2mg
剤形フィルムコーティング錠
色調淡緑色
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
6.1mm
大きさ(厚さ)
2.7mm
質量約93mg
識別コードBRX2

効能又は効果

  • 統合失調症
  • うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)

効能又は効果に関連する注意

〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
  1. 本剤の併用は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤等による適切な治療を複数回行っても、十分な効果が認められない場合に限り、本剤による副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状)や他の治療も考慮した上で、その適否を慎重に判断すること。
  2. 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤を投与する場合には、リスクとベネフィットを考慮すること。

用法及び用量

〈統合失調症〉
通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgから投与を開始した後、4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを経口投与する。
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日量2mgに増量することができる。

用法及び用量に関連する注意

〈統合失調症〉
  1. 本剤の1日量4mgを超える用量での安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
  2. 本剤と中程度以上のCYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)及び/又は中程度以上のCYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合等には、本剤の血漿中濃度が上昇することから、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には、以下の表を参考に用法及び用量の調節を行うこと。0.5mgを投与する場合はレキサルティOD錠0.5mgを使用すること。
    (参考)
    強いCYP2D6阻害剤又は強いCYP3A阻害剤のいずれかを併用
    1回1mgを1日1回
    中程度のCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用
    CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者
    強いCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用
    1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回
    強いCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用
    中程度のCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用
    CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者が中程度以上のCYP3A阻害剤を併用
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
  1. 本剤は選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤又はミルタザピンと併用すること。[本剤単独投与での有効性は確認されていない。]
  2. 本剤投与による副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状等)を考慮して、本剤の投与量及び投与期間は必要最小限とすること。
  3. 臨床試験における有効性及び安全性の結果を熟知した上で、本剤2mgへの増量の要否を慎重に判断すること。本剤2mgへの増量を考慮する場合には、本剤1mg投与開始後6週間を目処に本剤2mgへの増量の要否を検討すること。[臨床試験において、本剤1mg群と2mg群で有効性は同程度であり、本剤2mg群では本剤1mg群と比べアカシジア等の錐体外路症状の発現割合は高くなる傾向が示されている。]
  4. 本剤2mgへの増量後はより頻回に患者の症状を観察し、錐体外路症状等の副作用の発現に注意すること。副作用が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。また、増量後は、6週間を目処に本剤2mgの投与継続の要否を検討し、期待する効果が得られない場合には漫然と投与を継続しないこと。
  5. 本剤と中程度以上のCYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)及び中程度以上のCYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合等には、本剤の血漿中濃度が上昇することから、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には、以下の表を参考に用法及び用量の調節を行うこと。0.5mgを投与する場合はレキサルティOD錠0.5mgを使用すること。
    (参考)
    1日1回1mgに相当する用法及び用量
    1日1回2mgに相当する用法及び用量
    強いCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用
    1回0.5mgを2日に1回
    1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回
    強いCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用
    中程度のCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用
    CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者が中程度以上のCYP3A阻害剤を併用

重要な基本的注意

〈効能共通〉
  1. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
  2. 本剤の投与により高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者では、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
  3. 本剤の投与に際し、あらかじめ8.2の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。
  4. 原疾患による可能性もあるが、本剤投与後に病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害があらわれたとの報告がある。衝動制御障害の症状について、あらかじめ患者及び家族等に十分に説明を行い、症状があらわれた場合には、医師に相談するよう指導すること。また、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察し、症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
  5. 本剤の投与により体重増加及び脂質異常症などの代謝の変化が発現することがあるので、本剤投与中は体重の推移を注意深く観察し、体重の変動が認められた場合には原因精査(合併症の影響の有無等)を実施し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
  6. 嚥下障害が発現するおそれがあるので、特に誤嚥性肺炎のリスクのある患者に本剤を投与する場合には、慎重に経過を観察すること。
  7. 投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、患者の状態を慎重に観察し、低血圧症状があらわれた場合は減量する等、適切な処置を行うこと。
〈統合失調症〉
  1. 興奮、敵意、誇大性等の精神症状を悪化させる可能性があるので、観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
  1. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
  2. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏等があらわれることが報告されている。また、これらの症状・行動を来した症例において、因果関係は明らかではないが、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、必要に応じて投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  3. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
  4. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

〈効能共通〉
  1. 心・血管疾患、脳血管障害、低血圧又はこれらの既往歴のある患者
    血圧降下があらわれることがある。
  2. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
    痙攣閾値を低下させることがある。
  3. 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
    血糖値が上昇することがある。
  4. 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
〈統合失調症〉
  1. 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者
    症状を悪化させるおそれがある。
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
  1. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者
    自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。
  2. 脳の器質的障害のある患者
    精神症状を増悪させることがある。
  3. 衝動性が高い併存障害を有する患者
    精神症状を増悪させることがある。

腎機能障害患者

  1. 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者
    減量又は投与間隔の延長等を考慮し、投与に際しては患者の状態を慎重に観察すること。本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがある。

肝機能障害患者

  1. 中等度から重度の肝機能障害(Child-Pugh分類B又はC)のある患者
    減量又は投与間隔の延長等を考慮し、投与に際しては患者の状態を慎重に観察すること。本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがある。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与された場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4及びCYP2D6で代謝される。

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
ボスミン
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすおそれがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される可能性がある。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アドレナリン含有歯科麻酔剤
リドカイン・アドレナリン
血圧降下を起こすおそれがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される可能性がある。
中枢神経抑制剤
バルビツール酸誘導体、麻酔剤等
相互に中枢神経抑制作用があるので、減量するなど注意すること。
ともに中枢神経抑制作用を有する。
降圧剤
相互に降圧作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ともに降圧作用を有する。
ドパミン作動薬
レボドパ製剤
ドパミン作動作用を減弱するおそれがあるので、投与量を調節するなど慎重に投与すること。
本剤はドパミン受容体遮断作用を有する。
アルコール(飲酒)
相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。
ともに中枢神経抑制作用を有する。
中程度以上のCYP2D6阻害作用を有する薬剤
キニジン、パロキセチン等
本剤の作用が増強するおそれがある。
本剤の主要代謝酵素であるCYP2D6を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤
イトラコナゾール、クラリスロマイシン等
本剤の作用が増強するおそれがある。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
肝代謝酵素(特にCYP3A)誘導作用を有する薬剤
カルバマゼピン、リファンピシン等
本剤の作用が減弱するおそれがある。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により本剤の血中濃度が低下するおそれがある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 悪性症候群(頻度不明)
    発熱、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗、白血球数増加、血清CK上昇等の異常が認められた場合には、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと。また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられ、急性腎障害に至ることがあるので注意すること。
  2. 遅発性ジスキネジア(頻度不明)
    長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
  3. 麻痺性イレウス(頻度不明)
    腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。
  4. 横紋筋融解症(頻度不明)
    CK上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等に注意すること。
  5. 高血糖(0.6%)、糖尿病性ケトアシドーシス(頻度不明)、糖尿病性昏睡(頻度不明)
    高血糖や糖尿病の悪化があらわれた場合、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、血糖値の測定や、口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与を行うなど、適切な処置を行うこと。
  6. 痙攣(0.1%未満)
  7. 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.2%)
  8. 肺塞栓症(0.1%未満)、深部静脈血栓症(0.1%未満)
    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
不眠、頭痛、傾眠、激越、浮動性めまい
落ち着きのなさ、不安、悪夢、回転性めまい、体位性めまい、自殺念慮、精神病性障害、歯ぎしり、異常な夢、チック、無為、平衡障害、敵意、錯感覚、幻聴、耳鳴、睡眠障害、勃起不全、パニック障害、抜毛癖、頭部動揺、衝動行為、頭部不快感、鎮静、易刺激性、リビドー減退、気力低下、躁病、感情不安定、知覚変容発作、離人感、注意力障害、感覚鈍麻、失神、下肢静止不能症候群、起立不耐性
錐体外路症状
アカシジア
振戦、錐体外路障害、ジスキネジア、流涎
パーキンソン症候群、筋骨格硬直、筋固縮、ジストニア、筋痙縮、運動緩慢、精神運動亢進、眼球回転発作
循環器
高血圧
心電図QT延長、起立性低血圧、徐脈、頻脈、不整脈、動悸、心室性期外収縮、第一度房室ブロック、右脚ブロック、心電図QRS群延長、低血圧、末梢循環不良
消化器
悪心、便秘、食欲亢進
口内乾燥、食欲不振、下痢、嘔吐、消化不良、腹痛、腹部不快感、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、胃炎、排便回数増加、歯肉痛、歯肉腫脹、口唇乾燥、裂肛、過食、胃腸障害、口腔内不快感、唾液変性、口渇
嚥下障害
血液
白血球増加症、貧血、APTT延長、血小板減少、血小板増加症、グリコヘモグロビン増加、ヘモグロビン低下、好中球減少症、好中球増多、総蛋白減少
内分泌
高プロラクチン血症
月経異常、高インスリン血症、血中甲状腺刺激ホルモン増加、血中甲状腺刺激ホルモン減少、血中コルチコトロピン増加、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、遊離サイロキシン減少、血中コルチコトロピン減少、遊離サイロキシン増加、低プロラクチン血症、性腺機能低下、乳汁分泌障害、血中インスリン異常
泌尿器
尿潜血陽性、尿閉、頻尿、蛋白尿、尿中ケトン体陽性、血中尿素増加
肝臓
肝障害、AST上昇、ALT上昇、高ビリルビン血症、γ-GTP上昇、脂肪肝、肝酵素上昇、LDH上昇、ALP上昇
過敏症
発疹、そう痒症、紅斑、湿疹
皮膚
皮膚炎、ざ瘡、逆むけ、皮膚乾燥、多汗症、寝汗
代謝異常
CK上昇、脂質異常症
糖尿病、高尿酸血症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、高カリウム血症、低リン血症、血中尿酸減少
呼吸器
気管支炎、咳嗽、鼻出血、息詰まり感、呼吸困難、口腔咽頭痛、副鼻腔うっ血
上咽頭炎
霧視、眼乾燥、眼瞼痙攣、瞬目過多、流涙増加、結膜炎、眼瞼浮腫、眼瞼下垂、羞明
その他
体重増加
倦怠感
疲労、体重減少、ほてり、筋肉痛、無力症、歩行障害、疼痛、不快感、背部痛、顎痛、筋攣縮、筋緊張、灼熱感、頚部痛、性器出血、非心臓性胸痛、四肢痛、関節硬直、カンジダ症、真菌感染、筋力低下、悪寒、異常感、熱感、浮腫、異物感
体温調節障害

過量投与

  1. 症状
    外国の臨床試験及び市販後自発報告で、最高54mgまで急性過量投与された成人において、幻聴等の症状が報告されている。
  2. 処置
    活性炭の早期投与によりCmax及びAUCが低下することが確認されているが、本剤の過量投与に対する治療的処置として有効であるかについては十分な情報が得られていない。また、本剤は血漿蛋白質への結合率が高いことから、血液透析は有用でないと考えられる。なお、他剤服用の可能性が考えられる場合はその影響にも留意すること。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
〈効能共通〉
  1. 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
  2. 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能又は効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告がある。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
  1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。
非臨床試験に基づく情報
マウスのがん原性試験において、雌の0.75mg/kg/日以上で、乳腺腫瘍及び下垂体腫瘍の発生頻度の上昇が報告されている。これらの腫瘍はげっ歯類では血中プロラクチンの上昇と関連した変化としてよく知られている。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    健康成人に本剤1mg、2mg及び4mg注)を空腹時単回経口投与した時、消失半減期は53~67時間であった(図16-1、表16-1)。
    図16-1 健康成人におけるブレクスピプラゾール単回投与時の血漿中濃度推移
    表16-1 本剤単回投与時の薬物動態パラメータ
    投与量
    例数
    tmax
    (h)
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC
    (ng・h/mL)
    t1/2
    (h)
    1mg
    8
    6.00
    (2.0~6.0)
    9.09±1.15
    514.1±149.4
    56.53±16.86
    2mg
    8
    6.00
    (4.0~8.0)
    17.97±2.50
    850.9±164.8
    52.88±16.19
    4mg
    5
    6.00
    (3.0~8.0)
    37.29±9.77
    2860±725.2
    66.58±17.81
    (平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(最小値~最大値))
  2. 反復投与
    統合失調症患者に本剤1mg及び4mg注)を食後1日1回14日間反復投与した時、未変化体の血漿中濃度は投与10日で定常状態に到達し、反復投与後の消失半減期はそれぞれ92時間及び71時間であった(表16-2)。
    表16-2 本剤反復投与時の薬物動態パラメータ
    例数
    tmax
    (h)
    Cmax
    (ng/mL)
    AUC24h
    (ng・h/mL)
    t1/2
    (h)
    1mg
    反復投与1日目
    7
    4.10
    (1.3~8.0)
    10.24±4.95
    159.5±67.11
    反復投与14日目
    6
    5.00
    (2.0~7.9)
    29.30±15.08
    537.0±263.5
    91.85±47.63
    4mg
    反復投与1日目
    8
    6.00
    (4.0~8.3)
    37.03±13.50
    601.4±197.2
    反復投与14日目
    7
    4.00
    (1.8~4.3)
    164.63±101.96
    3238±2184
    70.63±26.90
    (平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(最小値~最大値)、-:算出せず)

吸収

  1. 食事の影響
    健康成人に本剤4mg注)を空腹時又は食後に単回経口投与した時、ブレクスピプラゾールのCmax及びAUCに及ぼす食事の影響は認められなかった(外国人データ)。
  2. 絶対的バイオアベイラビリティ
    健康成人における経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは102%であった(外国人データ)。

分布

主としてアルブミン及びα1酸性糖蛋白質に結合し、ヒト血清蛋白結合率は、99.8%以上であった(in vitro、平衡透析法)。

代謝

主にCYP3A4とCYP2D6が関与し、主要代謝物であるスルホキシド体(DM-3411)が産生された(in vitro)。投与14日目では未変化体に対するDM-3411のAUCの割合は23~41%であった(外国人データ)。
統合失調症患者に本剤1mg及び4mg注)を食後1日1回14日間反復投与した時のCYP2D6遺伝子型別(EM:Extensive Metabolizer、IM:Intermediate Metabolizer)の薬物動態パラメータを表16-3に示す。
表16-3 CYP2D6遺伝子型別の薬物動態パラメータ
投与量
CYP2D6遺伝子型
例数
tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC24h
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
1mg
EM
5
4.10
(2.0~7.9)
31.96±15.21
584.9±261.0
74.44±23.69
IM
1
7.70
16.01
294.2
179.2
4mg
EM
4
3.00
(1.8~4.3)
87.10±23.53
1563±530.1
61.26±31.29
IM
3
4.00
(3.9~4.1)
268.0±48.02
5470±900.5
83.33±17.42
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(最小値~最大値))
健康成人に本剤2mgを空腹時単回投与した時のCYP2D6遺伝子型別(EM:Extensive Metabolizer、PM:Poor Metabolizer)の薬物動態パラメータを表16-4に示す(外国人データ)。
表16-4 CYP2D6遺伝子型別の薬物動態パラメータ
投与量
CYP2D6遺伝子型
例数
tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
2mg
EM
34
5.51
(1.0~8.0)
24.4±7.95
1629±858
62.0±20.2
PM
6
5.52
(1.0~8.0)
29.2±6.63
3439±1477
79.9±11.7
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(最小値~最大値))

排泄

健康成人に14C標識ブレクスピプラゾール2mgを経口投与した時、投与放射能の46.0%及び24.6%がそれぞれ糞便中及び尿中に排泄された。未変化体は糞便中及び尿中にそれぞれ14%及び0.14%排泄された(外国人データ)。

特定の背景を有する患者

  1. 腎機能障害患者
    重度の腎機能障害被験者10例(クレアチニンクリアランス<30mL/min)に本剤3mg注)を空腹時単回経口投与した時のAUCは、腎機能正常被験者(クレアチニンクリアランス80mL/min超)と比べて1.7倍であった。また、重度の腎機能障害被験者においても未変化体の血漿蛋白結合率は99%以上、未変化体の腎排泄は1%未満であった(外国人データ)。
  2. 肝機能障害患者
    肝機能障害被験者22例(Child-Pugh分類A~C)に本剤2mgを空腹時単回経口投与した時、軽度あるいは中等度の肝障害被験者は、肝機能正常被験者と比べてCmaxで差はなく、AUCでそれぞれ1.3倍及び1.7倍であった。重度の肝障害被験者は、Cmaxで0.5倍、AUCで差はなかった。また、肝機能障害被験者(Child-Pugh分類A~C)においても未変化体の血漿蛋白結合率は99%以上であった(外国人データ)。
  3. 高齢者
    健康高齢者(65歳以上)にブレクスピプラゾール2mgを単回経口投与した時の薬物動態には年齢による影響は認められなかった(外国人データ)。
  4. 性別
    健康成人にブレクスピプラゾール2mgを単回経口投与した時の薬物動態には性別による影響は認められなかった(外国人データ)。

薬物相互作用

  1. ケトコナゾール
    健康成人において、CYP3Aの阻害作用を有するケトコナゾール400mgとブレクスピプラゾール2mgの併用により、ブレクスピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ19%及び97%増加した(外国人データ)。
  2. キニジン
    健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するキニジン324mgとブレクスピプラゾール2mgの併用により、ブレクスピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ11%及び94%増加した(外国人データ)。
  3. リファンピシン
    健康成人において、CYP3Aの誘導作用を有するリファンピシン600mgとブレクスピプラゾール4mg注)の併用投与により、ブレクスピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ31%及び73%低下した(外国人データ)。
  4. 活性炭
    健康成人において、ブレクスピプラゾール2mg投与1時間後の活性炭(経口活性炭/ソルビトール50g/240mL)投与で、ブレクスピプラゾールのCmaxは約5~23%、AUCは約31~46%低下した(外国人データ)。
  5. 生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーション
    生理学的薬物速度論モデルを用いて、ブレクスピプラゾール2mgと中程度以上のCYP2D6阻害剤及び/又は中程度以上のCYP3A阻害剤を併用投与した場合、CYP2D6 PM患者にブレクスピプラゾール2mgを単独投与又はブレクスピプラゾール2mgと中程度以上のCYP3A阻害剤を併用投与した場合のブレクスピプラゾールの曝露量の上昇比(曝露量上昇の要因のない患者にブレクスピプラゾール2mgを単独投与した時に対する比)を推定した結果は、表16-5のとおりであった。
    表16-5 生理学的薬物速度論モデルにより推定したブレクスピプラゾールの曝露量の上昇比
    ブレクスピプラゾールの曝露量上昇比a)
    Cmax
    AUC
    CYP2D6 PM患者がブレクスピプラゾールとケトコナゾールb)を併用
    1.27
    5.53
    ブレクスピプラゾールとキニジンd)及びケトコナゾールb)を併用
    1.26
    4.97
    CYP2D6 PM患者がブレクスピプラゾールとエリスロマイシンc)を併用
    1.23
    3.72
    ブレクスピプラゾールとキニジンd)及びエリスロマイシンc)を併用
    1.24
    3.80
    ブレクスピプラゾールとデュロキセチンe)及びケトコナゾールb)を併用
    1.23
    3.65
    ブレクスピプラゾールとデュロキセチンe)及びエリスロマイシンc)を併用
    1.20
    2.79
    ブレクスピプラゾールとパロキセチンd)を併用
    1.16
    2.25
    ブレクスピプラゾールとケトコナゾールb)を併用
    1.19
    2.07
    CYP2D6 PM患者にブレクスピプラゾールを投与
    1.06
    2.03
    ブレクスピプラゾールとキニジンd)を併用
    1.16
    1.90
    ブレクスピプラゾールとデュロキセチンe)を併用
    1.05
    1.56
    ブレクスピプラゾールとエリスロマイシンc)を併用
    1.12
    1.72
    a)曝露量上昇の要因のない患者にブレクスピプラゾール単独投与した時のCmax及びAUCの推定値に対する幾何平均比
    b)強いCYP3A阻害剤
    c)中程度のCYP3A阻害剤
    d)強いCYP2D6阻害剤
    e)中程度のCYP2D6阻害剤

注)本剤の承認された用量は、1日1回1~2mgである。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

〈統合失調症〉
  1. 国内第Ⅱ/Ⅲ相試験
    統合失調症患者458例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量は表17-1のとおりであった。本剤2mg群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(2mg群p=0.0124、MMRM解析)。
    表17-1 投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量(FAS、MMRM解析)
    投与群
    ベースラインのPANSS総スコア
    投与6週後
    変化量a)
    プラセボ群との対比較a)
    例数
    平均値±
    標準偏差
    例数
    平均値±
    標準偏差
    最小二乗
    平均値±
    標準誤差
    群間差
    [95%信頼区間]
    p値b)
    プラセボ群
    113
    97.19±19.27
    70
    81.74±22.23
    -7.63±2.11
    本剤1mg/日群
    112
    99.26±20.64
    73
    86.64±23.27
    -8.26±2.10
    -0.63
    [-6.50, 5.24]
    c)
    本剤2mg/日群
    113
    96.55±19.20
    81
    77.42±20.73
    -14.95±2.00
    -7.32
    [-13.04, -1.59]
    0.0124
    本剤4mg注1)/日群
    109
    96.39±15.73
    68
    79.12±21.52
    -11.49±2.10
    -3.86
    [-9.71, 2.00]
    0.1959
    a)固定効果を投与群、時期、投与群と時期の交互作用、共変量をベースライン値、ベースラインと時期の交互作用とし、分散共分散構造をUnstructuredとしたMMRM解析に基づく。
    b)検定の多重性は、本剤2mg/日群と4mg/日群の平均効果とプラセボ群の検定を有意水準0.05で行い、有意だった場合に、本剤2mg/日群とプラセボ群、本剤4mg/日群とプラセボ群の比較をそれぞれ有意水準0.05で行う方法で調整された。なお、本剤2mg/日群と4mg/日群の平均効果とプラセボ群の検定において、群間差[95%信頼区間]は-5.59[-10.62, -0.55]、p値は0.0298であった。
    c)本剤4mg/日群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められなかったことから、本剤1mg/日群とプラセボ群の対比較における検定は行われなかった。
    副作用発現頻度は、本剤1mg群で115例中28例(24.3%)、本剤2mg群で114例中26例(22.8%)、本剤4mg群で113例中33例(29.2%)であった。主な副作用は、本剤1mg群では統合失調症7例(6.1%)及び振戦3例(2.6%)、本剤2mg群で便秘3例(2.6%)、本剤4mg群で統合失調症8例(7.1%)、血中プロラクチン増加7例(6.2%)、アカシジア4例(3.5%)及び錐体外路障害4例(3.5%)であった。
  2. 海外第Ⅲ相試験
    1. 統合失調症患者674例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量は、表17-2のとおりであった。本剤4mg注1)群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(4mg群p=0.0022、MMRM解析)。
      表17-2 投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量(FAS、MMRM解析)
      投与群
      ベースラインのPANSS総スコア
      投与6週後
      変化量a)
      プラセボ群との対比較a)
      例数
      平均値±
      標準偏差
      例数
      平均値±
      標準偏差
      最小二乗
      平均値±
      標準誤差
      群間差
      [95%信頼区間]
      p値b)
      プラセボ群
      180
      94.63±12.84
      119
      77.40±21.10
      -13.53±1.52
      本剤1mg/日群
      117
      93.17±12.74
      81
      71.56±16.75
      -16.90±1.86
      -3.37
      [-8.06, 1.32]
      c)
      本剤2mg/日群
      179
      96.30±12.91
      130
      76.37±17.56
      -16.61±1.49
      -3.08
      [-7.23, 1.07]
      0.1448
      本剤4mg/日群
      181
      94.99±12.38
      128
      71.55±15.94
      -20.00±1.48
      -6.47
      [-10.6, -2.35]
      0.0022
      a)固定効果を投与群、施設、時期、投与群と時期の交互作用、共変量をベースライン値、ベースラインと時期の交互作用とし、分散共分散構造をUnstructuredとしたMMRM解析に基づく。
      b)検定の多重性は、本剤2mg/日群と4mg/日群の平均効果とプラセボ群の検定を有意水準0.05で行い、有意だった場合に、本剤2mg/日群とプラセボ群、本剤4mg/日群とプラセボ群の比較をそれぞれ有意水準0.05で行う方法で調整された。なお、本剤2mg/日群と4mg/日群の平均効果とプラセボ群の検定において、群間差[95%信頼区間]は-4.78[-8.37, -1.18]、p値は0.0093であった。
      c)本剤2mg/日群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められなかったことから、本剤1mg/日群とプラセボ群の対比較における検定は行われなかった。
      副作用発現頻度は、本剤1mg群で120例中35例(29.2%)、本剤2mg群で186例中60例(32.3%)、本剤4mg群で184例中68例(37.0%)であった。主な副作用は、本剤1mg群では不眠症8例(6.7%)、アカシジア5例(4.2%)、頭痛5例(4.2%)及び激越5例(4.2%)、本剤2mg群で不眠症13例(7.0%)、頭痛11例(5.9%)、体重増加7例(3.8%)及び激越7例(3.8%)、本剤4mg群でアカシジア11例(6.0%)、不眠症11例(6.0%)、体重増加9例(4.9%)及び頭痛8例(4.3%)であった。
    2. 統合失調症患者636例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量は表17-3のとおりであった。本剤2mg群及び4mg群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(2mg群p<0.0001、4mg群p=0.0006、MMRM解析)。
      表17-3 投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量(FAS、MMRM解析)
      投与群
      ベースラインのPANSS総スコア
      投与6週後
      変化量a)
      プラセボ群との対比較a)
      例数
      平均値±
      標準偏差
      例数
      平均値±
      標準偏差
      最小二乗
      平均値±
      標準誤差
      群間差
      [95%信頼区間]
      p値b)
      プラセボ群
      178
      95.69±11.46
      108
      75.15±18.73
      -12.01±1.60
      本剤0.25mg注1)/日群
      87
      93.61±11.53
      56
      71.64±17.60
      -14.90±2.23
      -2.89
      [-8.27, 2.49]
      本剤2mg/日群
      180
      95.85±13.75
      123
      70.70±18.53
      -20.73±1.55
      -8.72
      [-13.1, -4.37]
      <0.0001
      本剤4mg/日群
      178
      94.70±12.06
      121
      70.45±18.17
      -19.65±1.54
      -7.64
      [-12.0, -3.30]
      0.0006
      a)固定効果を投与群、施設、時期、投与群と時期の交互作用、共変量をベースライン値、ベースラインと時期の交互作用とし、分散共分散構造をUnstructuredとしたMMRM解析に基づく。
      b)検定の多重性は、本剤2mg/日群と4mg/日群の平均効果とプラセボ群の検定を有意水準0.05で行い、有意だった場合に、本剤2mg/日群とプラセボ群、本剤4mg/日群とプラセボ群の比較をそれぞれ有意水準0.05で行う方法で調整された。なお、本剤2mg/日群と4mg/日群の平均効果とプラセボ群の検定において、群間差[95%信頼区間]は-8.18[-12.0, -4.40]、p<0.0001であった。
      副作用発現頻度は、本剤0.25mg群で90例中24例(26.7%)、本剤2mg群で182例中58例(31.9%)、本剤4mg群で180例中69例(38.3%)であった。主な副作用は、本剤0.25mg群では頭痛7例(7.8%)、不眠症5例(5.6%)、下痢3例(3.3%)、口内乾燥3例(3.3%)、疲労3例(3.3%)及び体重増加3例(3.3%)、本剤2mg群で頭痛11例(6.0%)、不眠症9例(4.9%)、アカシジア8例(4.4%)及び悪心6例(3.3%)、本剤4mg群で頭痛16例(8.9%)、アカシジア12例(6.7%)、不眠症8例(4.4%)及び激越7例(3.9%)であった。
  3. 国内長期投与試験
    統合失調症患者を対象とした国内第Ⅱ/Ⅲ相試験からの継続例98例及び新たに組み入れられた統合失調症患者183例を対象に実施した非盲検長期投与試験において、ブレクスピプラゾール1~4注1)mgを1日1回52週間投与した時のPANSS総スコアの推移は表17-4のとおりであった。
    表17-4 PANSS総スコアの推移(FAS、OC)
    継続例
    (プラセボ群a)
    継続例
    (本剤群a)
    新規例
    切替え期開始時
    69.62±21.90
    (201)
    切替え期4週
    67.17±20.88
    (189)
    治療期開始時
    82.52±22.29
    (27)
    83.51±22.21
    (70)
    66.93±20.42
    (182)
    4週
    74.19±20.87
    (21)
    79.57±22.59
    (60)
    64.30±20.20
    (169)
    8週
    74.12±24.17
    (17)
    75.30±23.32
    (53)
    62.77±20.07
    (154)
    12週
    71.50±18.72
    (16)
    73.80±23.84
    (46)
    62.58±19.92
    (146)
    24週
    66.50±18.28
    (14)
    69.86±23.87
    (37)
    60.93±19.56
    (123)
    40週
    59.20±14.31
    (10)
    67.66±24.09
    (32)
    59.66±18.70
    (116)
    52週
    62.33±12.03
    (9)
    68.16±25.72
    (32)
    58.86±19.23
    (109)
    最終評価時
    (LOCF)
    77.56±24.14
    (27)
    81.86±25.81
    (70)
    63.82±22.61
    (182)
    平均値±標準偏差(評価例数)
    a)国内第Ⅱ/Ⅲ相試験における投与群
    治療期の副作用発現頻度は、281例中133例(47.3%)であった。主な副作用は、アカシジア22例(7.8%)、統合失調症15例(5.3%)、体重増加14例(5.0%)、振戦12例(4.3%)及び傾眠11例(3.9%)であった。

注1)本剤の承認された用量は、1日1回1mgから開始後、1日1回2mgである。
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
  1. 国内第Ⅱ/Ⅲ相試験
    今回の大うつ病エピソードに対して適切な抗うつ剤治療2~4回注2)で十分な効果が認められない大うつ病性障害患者740例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)(パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、エスシタロプラム、ミルナシプラン、デュロキセチン及びベンラファキシン)の併用下注3)で、ブレクスピプラゾール1mg又は2mgを1日1回6週間投与した。投与6週後におけるMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)合計点のベースラインからの変化量は下表に示すとおりであり、本剤1mg群及び2mg群の両群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(1mg群p=0.0089、2mg群p=0.0312、MMRM解析)(表17-5)。
    注2)抗うつ剤の承認用法・用量による6週間以上の治療。なお、直近の抗うつ剤治療として、SSRI又はSNRI(パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、エスシタロプラム、ミルナシプラン、デュロキセチン及びベンラファキシン)を承認用法・用量で8週間投与することとし、これらの抗うつ剤治療では十分な効果が認められないことを前方視的に確認した。
    注3)抗うつ剤を除いた中程度以上のCYP2D6阻害剤又は中程度以上のCYP3A阻害剤のいずれかを併用することは禁止とした。
    表17-5 投与6週後におけるMADRS合計点のベースラインからの変化量(FAS、MMRM解析)
    投与群
    ベースラインのMADRS合計点
    投与6週後
    変化量a)
    プラセボ群との対比較a)
    例数
    平均値±
    標準偏差
    例数
    平均値±
    標準偏差
    最小二乗
    平均値±
    標準誤差
    群間差
    [95%信頼区間]
    p値b)
    プラセボ群
    243
    27.3±6.2
    233
    20.5±9.2
    -6.7±0.47
    本剤1mg/日群
    248
    26.7±6.4
    237
    18.3±8.8
    -8.5±0.47
    -1.7
    [-3.0, -0.4]
    0.0089
    本剤2mg/日群
    245
    26.9±6.9
    218
    18.8±9.0
    -8.2±0.47
    -1.4
    [-2.7, -0.1]
    0.0312
    a)固定効果を投与群、時期、投与群と時期の交互作用、共変量をベースライン値、ベースラインと時期の交互作用とし、分散共分散構造をUnstructuredとしたMMRM解析に基づく。
    b)検定の多重性は、固定順序法を用いて調整した。はじめに本剤2mg群とプラセボ群の比較を行い、両側有意水準0.05で有意であった場合のみ、1mg群とプラセボ群の比較を両側有意水準0.05で行った。
    副作用発現頻度は、本剤1mg群で250例中84例(33.6%)、本剤2mg群で246例中129例(52.4%)であった。主な副作用は、アカシジア(本剤1mg群15例(6.0%)、本剤2mg群58例(23.6%)、以下同順)、体重増加(14例(5.6%)、16例(6.5%))、血中プロラクチン増加(6例(2.4%)、13例(5.3%))、振戦(14例(5.6%)、11例(4.5%))であった。

薬効薬理

作用機序
ブレクスピプラゾールは、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用、ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、アドレナリンα1B受容体アンタゴニスト作用及びアドレナリンα2C受容体アンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤である。明確な機序は不明であるが、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられている。
受容体親和性
受容体結合試験で、組換え型ヒトセロトニン5-HT1A、ヒトセロトニン5-HT2A、ヒトドパミンD2、ヒトアドレナリンα1B及びヒトアドレナリンα2C受容体に対して高い親和性を示した(in vitro)。
統合失調症諸症状関連の動物モデルでの改善作用
ラットにおいて、陽性症状の指標と考えられている条件回避反応を抑制し、認知機能障害の指標と考えられているフェンシクリジン誘発性の新奇物体の探索行動の低下を抑制した。
抗うつ剤の効果に及ぼす影響
  1. ラット強制水泳試験において、抗うつ剤の無動時間短縮作用を併用により増強した。
  2. マウス慢性緩和ストレスモデルにおいて、被毛状態の悪化、巣作り行動の減少に対する抗うつ剤の改善効果を併用により増強した。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ブレクスピプラゾール〔Brexpiprazole(JAN、INN)〕
化学名
7-{4-[4-(1-Benzothiophen-4-yl)piperazin-1-yl] butyloxy}quinolin-2(1H)-one
分子式
C25H27N3O2S
分子量
433.57
性状
白色(ほとんど白色を含む)の結晶又は結晶性の粉末である。N-メチルピロリドンに溶けやすく、N,N-ジメチルアセトアミドにやや溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
化学構造式

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

〈レキサルティ錠1mg〉
PTP:100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)
プラスチックボトル:500錠(バラ)
〈レキサルティ錠2mg〉
PTP:100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)
プラスチックボトル:500錠(バラ)

主要文献

1
社内資料:ラット乳汁移行性試験(2018年1月19日承認、CTD2.6.5.10)
2
Stone, M. et al.:BMJ.2009;339:b2880.
3
社内資料:国内単回投与試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
4
社内資料:統合失調症患者を対象とした国内反復投与試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
5
社内資料:食事の影響試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.2)
6
社内資料:静注液と錠剤の絶対的バイオアベイラビリティ試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.1.2)
7
社内資料:蛋白結合試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.2)
8
社内資料:推定代謝経路(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.2)
9
社内資料:統合失調症患者又は統合失調感情障害患者を対象とした反復投与試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
10
社内資料:CYP阻害剤併用投与による薬物相互作用試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
11
社内資料:単回投与時の薬物動態、マスバランス、食事の影響試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
12
社内資料:腎機能障害患者での薬物動態試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
13
社内資料:肝機能障害患者での薬物動態試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
14
社内資料:年齢及び性別の薬物動態への影響(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
15
社内資料:リファンピシン併用投与による薬物相互作用試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
16
社内資料:活性炭併用投与による薬物相互作用試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
17
社内資料:生理学的薬物速度論(PBPK)モデル解析(2023年12月22日承認、CTD2.7.2.3)
18
社内資料:統合失調症患者を対象とした国内プラセボ対照二重盲検試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.5)
19
社内資料:統合失調症患者を対象とした海外プラセボ対照二重盲検試験1(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.5)
20
社内資料:統合失調症患者を対象とした海外プラセボ対照二重盲検試験2(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.5)
21
社内資料:統合失調症患者を対象とした国内長期投与試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.5)
22
社内資料:うつ病・うつ状態に対する短期試験(2023年12月22日承認、CTD2.7.6.2)
23
Maeda, K. et al.:J Pharmacol Exp Ther.2014;350(3):589-604.
24
Maeda, K. et al.:J Pharmacol Exp Ther.2014;350(3):605-614.
25
社内資料:うつ症状関連の動物モデルにおける改善作用(2023年12月22日承認、CTD2.6.2.2)

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