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閲覧履歴

ルーラン錠4mg

抗精神病剤

1錠 12円

添付文書番号

1179043F1032_2_25

企業コード

400093

作成又は改訂年月

2023年10月改訂
(第4版)

日本標準商品分類番号

871179

薬効分類名

抗精神病剤

承認等

販売名

ルーラン錠4mg

販売名コード

1179043F1032

販売名英字表記

Lullan Tablets

承認番号等

承認番号
21900AMX01287

販売開始年月

2001年2月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

ルーラン錠8mg

販売名コード

1179043F2039

販売名英字表記

Lullan Tablets

承認番号等

承認番号
21900AMX01288

販売開始年月

2001年2月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

ルーラン錠16mg

販売名コード

1179043F3027

販売名英字表記

Lullan Tablets

承認番号等

承認番号
22000AMX00849

販売開始年月

2008年7月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注3)
注3)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

ペロスピロン塩酸塩

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
  2. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
  3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  4. アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)

組成・性状

組成

ルーラン錠4mg
有効成分
1錠中ペロスピロン塩酸塩水和物  4.31mg
ペロスピロン塩酸塩として  4mg
添加剤
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、濃グリセリン、シリコーン樹脂、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、トウモロコシ油、酸化チタン、カルナウバロウ
ルーラン錠8mg
有効成分
1錠中ペロスピロン塩酸塩水和物  8.62mg
ペロスピロン塩酸塩として  8mg
添加剤
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、濃グリセリン、シリコーン樹脂、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、トウモロコシ油、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ
ルーラン錠16mg
有効成分
1錠中ペロスピロン塩酸塩水和物  17.24mg
ペロスピロン塩酸塩として  16mg
添加剤
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、濃グリセリン、酸化チタン、カルナウバロウ

製剤の性状

ルーラン錠4mg
外形
大きさ
大きさ(直径)
約7.1mm
大きさ(厚さ)
約3.0mm
質量約123mg
識別コード057
色・剤形
白色~帯黄白色のフィルムコート錠
ルーラン錠8mg
外形
大きさ
大きさ(直径)
約7.1mm
大きさ(厚さ)
約3.0mm
質量約123mg
識別コード058
色・剤形
割線を施した淡黄色のフィルムコート錠
ルーラン錠16mg
外形
大きさ
大きさ(長径)
約13.1mm
大きさ(短径)
約5.6mm
大きさ(厚さ)
約4.0mm
質量約245mg
識別コードDS059
色・剤形
割線を施した白色~帯黄白色のフィルムコート錠

効能又は効果

統合失調症

用法及び用量

通常、ペロスピロン塩酸塩として成人1回4mg 1日3回より始め、徐々に増量する。維持量として1日12~48mgを3回に分けて食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は48mgを超えないこと。

重要な基本的注意

  1. 悪性症候群の発現に伴いCKが上昇すること、また、本剤によりCKが高くなる場合があることから、観察を十分に行うこと。なお、他の抗精神病薬において、急激な増量により悪性症候群があらわれたとの報告がある。
  2. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
  3. 興奮、非協調性、緊張、衝動性の調節障害等の陽性症状を悪化させることがあるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
  4. 本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することが考えられるので注意すること。
  5. 本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤の投与に際しては、あらかじめこれらの副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 心・血管疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者
    一過性の血圧降下があらわれることがある。
  2. パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者
    錐体外路症状が悪化するおそれがある。
  3. てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者
    痙攣閾値を低下させるおそれがある。
  4. 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
    悪性症候群が起こりやすい。
  5. 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者
    症状を悪化させるおそれがある。
  6. 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
    血糖値が上昇することがある。
  7. 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。

腎機能障害患者

腎障害モデル動物(ラット)で本剤の血中濃度の増大が認められている。

肝機能障害患者

肝障害モデル動物(ラット)で本剤の血中濃度の増大が認められている。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

少量(1回4mg)から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では錐体外路症状等の副作用があらわれやすく、また、一般に生理機能が低下している。動物実験(ラット)で老齢動物、肝障害及び腎障害モデル動物において血清中濃度の増大等が認められている。

相互作用

本剤は、主としてCYP3A4によって代謝される。

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
ボスミン
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アドレナリン含有歯科麻酔剤
リドカイン・アドレナリン
血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤
バルビツール酸誘導体等
相互に中枢神経抑制作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ともに中枢神経抑制作用を有する。
ドパミン作動薬
レボドパ製剤
ブロモクリプチン
相互に作用が減弱することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
本剤はドパミン受容体遮断作用を有する。
降圧剤
相互に降圧作用を増強する可能性があるので、減量するなど慎重に投与すること。
ともに降圧作用を有する。
ドンペリドン
メトクロプラミド
内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現しやすくなることがある。
ともにドパミン受容体遮断作用を有する。
アルコール(飲酒)
相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。
ともに中枢神経抑制作用を有する。
H2受容体遮断薬
シメチジン等
相互に胃液分泌抑制作用を増強する可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
ともに胃液分泌抑制作用を有する。
CYP3A4の選択的阻害剤
マクロライド系抗生物質等
本剤による副作用が強くあらわれる可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4によって代謝される薬剤
シサプリド
トリアゾラム 等
CYP3A4によって代謝される薬剤及び本剤による副作用が強くあらわれる可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
本剤とこれら併用薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、代謝を競合的に阻害する可能性がある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 悪性症候群(1%未満)
    無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。
  2. 遅発性ジスキネジア(0.1~1%未満)
    長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
  3. 麻痺性イレウス(1%未満)
    腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。
  4. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(1%未満)
    低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。なお、抗精神病薬の高用量、長期間投与がSIADH発現の危険因子になるとの報告がある。
  5. 痙攣(頻度不明)
  6. 横紋筋融解症(頻度不明)
    筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
  7. 無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)
  8. 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明)
    高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがある。口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。
  9. 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)
    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
循環器
心悸亢進、胸内苦悶感、血圧低下
頻脈、心室性期外収縮、徐脈、血圧上昇
錐体外路症状※)
パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎、仮面様顔貌、寡黙寡動、歩行障害等)(25.6%)、アカシジア(静坐不能)(25.4%)、ジスキネジア(口周部・四肢等の不随意運動、構音障害、嚥下障害等)(13.1%)
ジストニア(斜頚、眼球上転発作等)
肝臓
AST、ALT上昇
ALP、γ-GTP上昇
LDH上昇
視力障害、眼のかすみ、角膜びらん
過敏症
発疹、紅斑
消化器
便秘、悪心・嘔吐、食欲減退
食欲亢進
腹部不快感、下痢、腹痛
内分泌
プロラクチン上昇
月経異常
乳汁分泌
泌尿器
排尿障害
頻尿
血液
白血球増加、白血球減少、白血球分類異常、赤血球増加、赤血球減少、ヘモグロビン増加、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット増加、ヘマトクリット減少、血小板減少
精神神経系
不眠(22.8%)、眠気(14.5%)、焦燥・不安、めまい・ふらつき、過度鎮静
興奮・易刺激性、頭重・頭痛、うつ状態
頭部異常感、しびれ感、眼瞼下垂、頭鳴
痙攣発作、躁状態、自殺企図、精神病症状の増悪、妄想、幻覚、衝動行為、思考異常
その他
脱力倦怠感、口渇、CK上昇
無力感、発汗、尿蛋白
発熱、ほてり(顔面紅潮)、射精障害、鼻閉、体重増加、水中毒、多飲症、気分不快感、喀痰、総コレステロール上昇、総コレステロール低下、総蛋白低下、尿糖、尿ウロビリノーゲン、血清ナトリウム低下、血清クロール低下
血糖上昇
※)症状があらわれた場合には、必要に応じて減量又は抗パーキンソン薬の投与等、適切な処置を行うこと。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
  1. 本剤の吸収は食事の影響を受けやすいので、食後に服用するよう指導すること。
  2. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
  2. 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告がある。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
  3. ヒトにおけるプロラクチン上昇と腫瘍発生との関連については、明確にはわかっていないが、種々の疫学調査の結果では、ヒトにおけるこの種の薬剤の長期間投与と腫瘍発生との関連性は示されていない。
非臨床試験に基づく情報
  1. げっ歯類(マウス、ラット)のがん原性試験において、乳腺腫瘍(雌マウス100mg/kg以上で腺癌、雌マウス300mg/kg以上で腺棘細胞腫、雌ラット5mg/kg以上で腺癌)、下垂体腫瘍(雌マウス300mg/kg以上で前葉腺腫)及び膵臓内分泌部腫瘍(雄ラット15mg/kg以上で島細胞腺腫)の発生頻度の上昇が報告されている。これらの所見は、プロラクチンに関連した変化として、げっ歯類ではよく知られている。
  2. 動物(雌ラット)の慢性毒性試験において、1mg/kg以上で骨量(骨密度)の減少を伴う病理組織学的な骨梁減少が認められた。これらの所見はプロラクチン上昇に起因するエストロゲン分泌抑制に基づく変化と考えられ、他の抗精神病薬(ハロペリドール等)でも認められている。

薬物動態

血中濃度

  1. 単回投与
    健康成人にペロスピロン1、2、4及び8mg注)を各2例に単回経口投与したとき、血清中ペロスピロン濃度の最高値は投与後0.5~4時間に認められ、その濃度(Cmax)は投与量に対応して上昇した。
    健康成人に8mgを単回経口投与したとき、血清中ペロスピロン濃度のCmaxは2.2~5.7ng/mL、Tmaxは1.4~2.3hr、AUCは10.1~15.7ng・hr/mLであり、消失は二相性を示し、投与後6時間前後まではt1/2α 1~3時間、それ以降はt1/2β 5~8時間であった。
  2. 反復投与
    健康成人6例に1日1回4mgを3日間反復経口投与したとき注)、血清中ペロスピロンのCmax、AUC及びt1/2は投与1日目と3日目で大差なく、反復投与により、上昇や低下あるいは生物学的半減期の変化はないと考えられた。
    後期第Ⅱ相試験で患者に1回4~32mg、1日用量として12~96mg注)を4週間あるいは8週間反復投与したとき、血清中ペロスピロンの濃度を同投与量で比較すると投与開始後4週目と8週目で大差なく、また、血清中ペロスピロン濃度の平均値は用量依存的に上昇する傾向を示した。第Ⅰ相臨床試験における健康成人の反復投与で示唆されたように、患者での長期投与においても蓄積性を示唆する血中濃度の変動はないと考えられた。

吸収

  1. 食事の影響
    健康成人12例に1回2mg注)を経口投与したとき、食後投与におけるCmax及びAUCはそれぞれ絶食下投与の1.6倍及び2.4倍となった。
  2. 吸収率
    動物に14C標識ペロスピロンを経口投与した時と静脈内投与した時の尿中排泄率の比から推定した吸収率は、ラットでは約80%、サルでは約90%であり、いずれの動物においても消化管からの吸収は良好であると考えられた,,

分布

動物に14C標識ペロスピロンを経口投与したとき、投与放射能は速やかに組織に分布し、ほとんどの組織で血清中よりも高い濃度を示した(ラット、サル)。

代謝

各種動物で同定あるいは推定された12種の代謝物(1,2-シクロヘキサンジカルボキシイミドの水酸化体、ブチレン鎖とピペラジンのN-脱アルキルによる開裂体、イソチアゾール環のS-酸化体等)及びペロスピロンについて検討した結果、10種の代謝物がヒトにおいても血清及び尿中に認められた。
血清中ペロスピロン濃度がCmaxを示す投与後1時間の血清中で、最も濃度が高い代謝物は1-水酸化ペロスピロンで、ペロスピロンの約3倍の濃度であり、また、投与後8時間までの尿には、1-水酸化ペロスピロンが最も多く排泄された。

排泄

健康成人に4mg及び8mgを単回経口投与(各6例)後24時間までにペロスピロンは投与量の約0.3%が未変化体として尿中に排泄された。1~8mg投与注)(各2例)において、ペロスピロンの尿中排泄率に投与量による変動は認められなかった。
健康成人に1日1回、4mgを3日間反復経口投与したとき注)、投与1、2及び3日目の投与後24時間までの尿中排泄率は大差なく、ペロスピロン反復投与による排泄の変動はないと考えられた。
また、動物に14C標識ペロスピロンを経口投与したとき、投与放射能は、ラットでは尿中に22%、糞中に74%、胆汁中に約40%が排泄され、サルでは尿中に40%、糞中に46%が排泄された,,

薬物相互作用

CYP3A4の特異的阻害剤であるケトコナゾールにより、ペロスピロンのヒト肝ミクロソームにおける代謝が強く阻害された(in vitro)。
注)本剤の承認された用法及び用量は「通常、ペロスピロン塩酸塩として成人1回4mg1日3回より始め、徐々に増量する。維持量として1日12~48mgを3回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は48mgを超えないこと。」である。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内前期第Ⅱ相試験
    統合失調症患者を対象に、本剤を漸増漸減法で8週間投与した非盲検試験において、12~48mg/日投与例での最終全般改善率(中等度改善以上)は50%(34/68例)であった。
  2. 国内後期第Ⅱ相試験
    統合失調症患者を対象に、本剤を漸増漸減法で8週間投与した非盲検試験において、12~48mg/日投与例での最終全般改善率(中等度改善以上)は50%(61/122例)であった。
  3. 国内第Ⅲ相試験(ハロペリドール対照試験)
    統合失調症患者を対象に、本剤を漸増漸減法で8週間投与した二重盲検比較試験において、12~48mg/日投与例での最終全般改善率(中等度改善以上)は43%(27/63例)であった。
  4. 国内第Ⅲ相試験(モサプラミン塩酸塩対照試験)
    統合失調症患者を対象に、本剤を漸増漸減法で8週間投与した二重盲検比較試験において、12~48mg/日投与例での最終全般改善率(中等度改善以上)は35%(22/63例)であった。
  5. 国内長期投与試験
    後期第Ⅱ相試験で効果が認められ、安全性上も問題ないとされた症例を対象に、本剤を6ヵ月以上1年をめどに投与した非盲検長期投与試験において、12~48mg/日投与例での最終全般改善率(中等度改善以上)は69%(29/42例)であった。

薬効薬理

作用機序
脳内においてドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT2受容体に高い結合活性を示し、拮抗的に作用する。D2受容体拮抗作用を介して統合失調症の陽性症状を改善し、5-HT2 受容体拮抗作用を介して統合失調症の陰性症状を改善すると考えられている。ラット脳内でのドパミン代謝回転又はFos蛋白発現を指標とした作用機序の検討から、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体に対する作用選択性がハロペリドールに比べ弱いことが示唆された,
ドパミンD2受容体拮抗作用
ラット及びマウスでのメタンフェタミン又はアポモルヒネによる興奮や常同行動等の行動変化並びにラットでの条件回避反応を抑制し、これらの効力はハロペリドールの約1/3~1/5であった,
セロトニン5-HT2受容体拮抗作用
ラットでのトリプタミン又はp-クロロアンフェタミンによる前肢けいれんや体温上昇等の行動変化を抑制し、その効力はハロペリドールに比べ10倍以上強力であった,
恐怖条件付け誘発すくみ行動抑制作用
ラットでの恐怖条件付けすくみ行動試験(情緒障害モデル)で心理ストレスによるすくみ行動(無動症状)の発現を抑制した。
その他の作用(カタレプシー誘発作用、ブラジキネジア誘発作用)
ラット及びマウスでのカタレプシー誘発作用、マウスでのブラジキネジア(寡動)誘発作用はハロペリドールの1/10以下であった,

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
ペロスピロン塩酸塩水和物(Perospirone Hydrochloride Hydrate)
化学名
cis-N-[4-[4-(1,2-benzisothiazol-3-yl)-1-piperazinyl]butyl]cyclohexane-1,2-dicarboximide monohydrochloride dihydrate
分子式
C23H30N4O2S・HCl・2H2O
分子量
499.07
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(95)にやや溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
化学構造式
融点
98℃付近で溶け始め、120℃付近で固化し、185℃付近より再び溶け始め、190℃付近で澄明となった。

包装

〈ルーラン錠4mg〉
100錠[10錠(PTP)×10]
1,000錠[10錠(PTP)×100]
1,000錠[瓶、バラ]
〈ルーラン錠8mg〉
100錠[10錠(PTP)×10]
1,000錠[瓶、バラ]
〈ルーラン錠16mg〉
100錠[10錠(PTP)×10]

主要文献

1
稲永和豊ほか: 基礎と臨床. 1997; 31: 2113-2157
2
村崎光邦ほか: 基礎と臨床. 1997; 31: 2181-2206
3
水野佳子ほか: 基礎と臨床. 1997; 31: 543-568
4
水野佳子ほか: 基礎と臨床. 1997; 31: 737-753
5
水野佳子ほか: 基礎と臨床. 1997; 31: 799-809
6
藤本恵一ほか: 基礎と臨床. 1997; 31: 581-657
7
水野佳子ほか: 基礎と臨床. 1997; 31: 811-819
8
村崎光邦ほか: 基礎と臨床. 1997; 31: 2159-2179
9
村崎光邦ほか: 臨床評価. 1997; 24: 159-205
10
工藤義雄ほか: 臨床評価. 1997; 24: 207-248
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