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閲覧履歴

クエチアピン錠200mg「日医工」

抗精神病剤

1錠 34.4円

添付文書番号

1179042F1160_1_08

企業コード

530169

作成又は改訂年月

2023年10月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

871179

薬効分類名

抗精神病剤

承認等

販売名

クエチアピン錠25mg「日医工」

販売名コード

1179042F1160

販売名英字表記

Quetiapine Tablets

販売名ひらがな

くえちあぴんじょう25mg「にちいこう」

承認番号等

承認番号
22400AMX01236000

販売開始年月

2012年12月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
クエチアピンフマル酸塩錠

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

クエチアピン錠100mg「日医工」

販売名コード

1179042F2166

販売名英字表記

Quetiapine Tablets

販売名ひらがな

くえちあぴんじょう100mg「にちいこう」

承認番号等

承認番号
22400AMX01237000

販売開始年月

2012年12月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
クエチアピンフマル酸塩錠

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注2)
注2)注意―医師等の処方箋により使用すること

販売名

クエチアピン錠200mg「日医工」

販売名コード

1179042F3162

販売名英字表記

Quetiapine Tablets

販売名ひらがな

くえちあぴんじょう200mg「にちいこう」

承認番号等

承認番号
22400AMX01238000

販売開始年月

2012年12月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

基準名

日本薬局方
クエチアピンフマル酸塩錠

規制区分

劇薬
処方箋医薬品 注3)
注3)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

クエチアピンフマル酸塩錠

警告

  1. 著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
  2. 投与にあたっては、あらかじめ上記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
  2. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
  3. アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
  4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  5. 糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者

組成・性状

組成

クエチアピン錠25mg「日医工」
有効成分
1錠中
クエチアピンフマル酸塩  28.78mg
クエチアピンとして  25mg
添加剤
乳糖水和物、リン酸水素カルシウム水和物、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ
クエチアピン錠100mg「日医工」
有効成分
1錠中
クエチアピンフマル酸塩  115.13mg
クエチアピンとして  100mg
添加剤
乳糖水和物、リン酸水素カルシウム水和物、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ
クエチアピン錠200mg「日医工」
有効成分
1錠中
クエチアピンフマル酸塩  230.26mg
クエチアピンとして  200mg
添加剤
乳糖水和物、リン酸水素カルシウム水和物、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、カルナウバロウ

製剤の性状

クエチアピン錠25mg「日医工」
剤形フィルムコーティング錠
色調うすい黄みの赤色
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
6.1mm
大きさ(厚さ)
2.9mm
質量93mg
本体コード
243
25
包装コード
243
クエチアピン錠100mg「日医工」
剤形フィルムコーティング錠
色調うすい黄色
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
8.6mm
大きさ(厚さ)
4.0mm
質量254mg
本体コード
244
100
包装コード
244
クエチアピン錠200mg「日医工」
剤形フィルムコーティング錠
色調白色
外形
表面
裏面
側面
大きさ
大きさ(直径)
11.1mm
大きさ(厚さ)
5.5mm
質量507mg
本体コード
245
200
包装コード
245

効能又は効果

統合失調症

用法及び用量

通常、成人にはクエチアピンとして1回25mg、1日2又は3回より投与を開始し、患者の状態に応じて徐々に増量する。通常、1日投与量は150~600mgとし、2又は3回に分けて経口投与する。
なお、投与量は年齢・症状により適宜増減する。ただし、1日量として750mgを超えないこと。

用法及び用量に関連する注意

  1. 肝機能障害患者には、少量(例えば1回25mg1日1回)から投与を開始し、1日増量幅を25~50mgにするなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
  2. 高齢者には、少量(例えば1回25mg1日1回)から投与を開始し、1日増量幅を25~50mgにするなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

重要な基本的注意

  1. 本剤の投与により、著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の致命的な経過をたどることがあるので、本剤投与中は、血糖値の測定や口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行うこと。特に、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者では、血糖値が上昇し、代謝状態を急激に悪化させるおそれがある。
  2. 本剤の投与により、低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
  3. 本剤の投与に際し、あらかじめ上記8.1及び8.2の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。
  4. 本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。
  5. 本剤は、特に治療開始初期に起立性低血圧を起こすことがあるので、立ちくらみ、めまい等の低血圧症状があらわれた場合には減量等、適切な処置を行うこと。
  6. 本剤は主として中枢神経系に作用するため、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
  7. 前治療薬からの切り替えの際、精神症状が悪化する可能性があるので観察を十分行いながら前治療薬の用量を減らしつつ、本薬を徐々に増量することが望ましい。また、症状の悪化が認められた場合には、他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
  8. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、嘔吐等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
  9. 無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 心・血管疾患、脳血管障害、低血圧又はそれらの疑いのある患者
    投与初期に一過性の血圧降下があらわれることがある。
  2. てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者
    痙攣閾値を低下させるおそれがある。
  3. 不整脈又はその既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者
    QT間隔が延長する可能性がある。
  4. 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者
    症状を悪化させるおそれがある。
  5. 糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
  6. 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者
    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。

肝機能障害患者

本剤は主に肝臓により代謝されるため、クリアランスが減少し、血漿中濃度が上昇することがある。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット及びウサギ)で胎児への移行が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで母乳中へ移行することが報告されている。

小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

高齢者

非高齢者に比べてクエチアピンの経口クリアランスが30~50%低く、AUCは約1.5倍であり、高い血漿中濃度が持続する傾向が認められている。また、海外臨床試験において非高齢者と比較し、起立性低血圧の発現頻度が増加する傾向が認められている。

相互作用

本剤の代謝に関与する主なP450酵素はCYP3A4である。

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
(ボスミン)
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体の刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
中枢神経抑制剤
アルコール
中枢神経抑制作用が増強することがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、慎重に投与すること。
薬力学的相互作用を起こすことがある。
CYP3A4誘導作用を有する薬剤注)
フェニトイン
カルバマゼピン
バルビツール酸誘導体
リファンピシン
本剤の作用が減弱することがある。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により、本剤のクリアランスが増加することがある。
強いCYP3A4阻害作用を有する薬剤
イトラコナゾール
本剤の作用を増強するおそれがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、本剤を減量するなどして慎重に投与すること。
併用により本剤の血漿中濃度が高値となり、QT間隔が延長するおそれがある。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を強く阻害するため、血漿中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
エリスロマイシン
本剤の作用を増強するおそれがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、慎重に投与すること。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、血漿中濃度が上昇する可能性がある。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
QT延長があらわれるおそれがある。
併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
アドレナリン含有歯科麻酔剤
リドカイン・アドレナリン
重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体の刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
注)これらの薬剤を投与中止する場合には、本剤の減量を要することがある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明)
    死亡に至るなどの致命的な経過をたどることがあるので、血糖値の測定や、口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与を行うなど、適切な処置を行うこと。
  2. 低血糖(頻度不明)
    脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
  3. 悪性症候群(Syndrome malin)(0.2%)
    無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加やCKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある。
    なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
  4. 横紋筋融解症(頻度不明)
    筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
  5. 痙攣(頻度不明)
  6. 無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)
  7. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
    AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
  8. 麻痺性イレウス(頻度不明)
    腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  9. 遅発性ジスキネジア(0.9%)
    口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
  10. 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)
    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  11. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)

その他の副作用

5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
不眠(19.3%)、易刺激性、傾眠(14.2%)、不安、頭痛、めまい
幻覚の顕在化、健忘、攻撃的反応、昏迷、神経症、妄想の顕在化、リビドー亢進、感情不安定、激越、錯乱、思考異常、自殺企図、人格障害、躁病反応、多幸症、舞踏病様アテトーシス、片頭痛、悪夢、うつ病、独語、衝動行為、自動症
統合失調性反応、協調不能、レストレスレッグス症候群、軽躁、注意力障害、過眠症、自殺念慮、自傷行動、焦躁感、鎮静、意識レベルの低下、せん妄、敵意
錐体外路症状
アカシジア、振戦、構音障害
筋強剛、流涎過多、運動緩慢、歩行障害、ジスキネジア、嚥下障害
ジストニア、眼球回転発作
構語障害、錐体外路障害、パーキンソン症候群
血液
顆粒球減少
白血球数増加、好酸球増加症、貧血、血小板減少
循環器系
頻脈
起立性低血圧、心悸亢進、心電図異常
低血圧、高血圧、徐脈、不整脈、失神
血管拡張、動悸、心電図QT延長
肝臓
AST上昇、ALT上昇、LDH上昇
Al-P上昇、γ-GTP上昇
ビリルビン血症
肝機能検査異常
呼吸器系
去痰困難、鼻炎
咳増加、鼻閉
消化器系
便秘、食欲減退
悪心
食欲亢進、嘔吐、腹痛、下痢、消化不良
鼓腸放屁、消化管障害、吐血、直腸障害、過食、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、膵炎、胃炎、胃不快感
瞳孔反射障害
弱視、結膜炎
代謝・内分泌
高プロラクチン血症、T4減少
高コレステロール血症
月経異常、甲状腺疾患、高脂血症、高カリウム血症、肥満症
T3減少、痛風、低ナトリウム血症、水中毒、多飲症、TSH減少、TSH上昇、高トリグリセリド血症、高尿酸血症、尿糖陽性、FT4減少、乳汁漏出症
過敏症
発疹
血管浮腫、そう痒、湿疹
泌尿器系
排尿障害、排尿困難、尿失禁、尿閉、BUN上昇
持続勃起、射精異常、インポテンス、頻尿、膀胱炎、尿蛋白陽性
その他
倦怠感、無力症、CK上昇
口内乾燥、体重増加
多汗、発熱、体重減少、胸痛、筋肉痛、舌麻痺、しびれ感、背部痛、浮腫、ほてり、歯痛
顔面浮腫、頸部硬直、腫瘤、過量投与、骨盤痛、歯牙障害、関節症、滑液包炎、筋無力症、痙縮、悪化反応、偶発外傷、耳の障害、味覚倒錯、ざ瘡、脱毛症、薬剤離脱症候群(不眠、悪心、頭痛、下痢、嘔吐)、口渇、回転性めまい、悪寒、靭帯捻挫、意欲低下、末梢性浮腫、関節痛

過量投与

  1. 症状
    主な症状は傾眠、鎮静、頻脈、低血圧等である。まれに昏睡、死亡に至る症例が報告されている。
  2. 処置
    低血圧の処置を行う場合、アドレナリン、ドパミンは、本剤のα-受容体遮断作用により低血圧を悪化させる可能性があるので投与しないこと。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
  2. 国内臨床試験において、本剤と因果関係が不明の心筋梗塞、出血性胃潰瘍が報告されている。また、申請時に用いた外国長期投与試験において、急性腎障害が報告されている。
  3. 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、本剤を含む非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告がある。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
非臨床試験に基づく情報
  1. イヌで長期大量(100mg/kg/日を6及び12カ月間)経口投与により、コレステロール合成阻害によると考えられる三角状後白内障が認められた。しかし、カニクイザル(最大225mg/kg/日を56週間)及びげっ歯類に投与しても白内障は認められなかった。また、臨床試験においても、本剤と関連した角膜混濁は認められなかった。
  2. ラットに24カ月間経口投与したがん原性試験において、20mg/kg/日以上の雌の投与群で乳腺腫瘍の発現頻度の上昇が報告されている。これらの腫瘍の所見は、げっ歯類においてプロラクチンと関連した所見として報告されているが、ヒトではプロラクチン濃度の上昇と腫瘍形成の関連性は明確にされていない。

薬物動態

血中濃度

  1. 反復投与(錠剤投与時)
    1. 統合失調症患者にクエチアピンを1回用量25~100mgの範囲で漸増して1日2回反復経口投与した。100mgの用量で7回反復投与した後の血漿中クエチアピンの薬物動態パラメータは表1のとおりである。
      非高齢者では、投与約2.6時間後に最高血漿中濃度(平均397ng/mL)に達した。血漿中からのクエチアピンの消失は速やかであり、半減期は3.5時間であった。
      表1 統合失調症患者にクエチアピン100mgを1日2回反復投与時の薬物動態パラメータ
      n
      Cmax
      (ng/mL)
      Tmax
      (h)
      AUC0-12h
      (μg・h/mL)
      t1/2
      (h)
      CL/F
      (L/h)
      非高齢者
      12
      397±57
      2.6±0.7
      1.69±0.19
      3.5±0.2
      67.1±7.1
      高齢者
      11
      483±96
      2.9±0.3
      2.59±0.54
      3.6±0.3
      50.9±6.7
      (平均値±標準誤差)
    2. 外国人統合失調症患者にクエチアピンを1回用量25~250mgの範囲で漸増して1日3回反復経口投与した。1回用量を75mg、150mg及び250mgとしたときの定常状態における薬物動態パラメータは表2のとおりである。血漿中クエチアピン濃度は用量に比例して増加し、男女差は認められなかった。
      表2 外国人統合失調症患者にクエチアピンを1日3回反復投与したときの定常状態における薬物動態パラメータ
      用量
      Cmax
      (ng/mL)
      Tmax
      (h)a)
      AUC0-8h
      (μg・h/mL)
      t1/2
      (h)
      CL/F
      (L/h)
      75mg tid
      277± 54
      294± 41
      1.0(0.5-3.0)
      1.0(0.5-3.0)
      1.07±0.19
      1.20±0.17
      2.7±0.1b)
      3.4±0.3b)
      89±12
      86±16
      150mg tid
      625±121
      572± 63
      1.0(0.5-4.0)
      1.5(0.5-4.0)
      2.30±0.33
      2.41±0.34
      3.0±0.3b)
      4.4±0.8b)
      78±10
      73± 8
      250mg tid
      778±108
      879± 72
      1.5(0.5-4.0)
      1.5(1.0-3.0)
      3.38±0.46
      4.08±0.53
      5.8±0.3c)
      6.6±0.8c)
      87±10
      72± 9
      (平均値±標準誤差、n=11~13)
      a)中央値(範囲)、b)投与後3~8時間の半減期、c)終末相の半減期
  2. 生物学的同等性試験
    1. クエチアピン錠25mg「日医工」
      クエチアピン錠25mg「日医工」及びセロクエル25mg錠を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(クエチアピンとして25mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中クエチアピン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
      表3 薬物動態パラメータ
      判定パラメータ
      参考パラメータ
      AUC0→24
      (ng・hr/mL)
      Cmax
      (ng/mL)
      Tmax
      (hr)
      t1/2
      (hr)
      クエチアピン錠25mg「日医工」
      192.6±78.6
      54.120±35.575
      1.46±0.83
      2.68±0.42
      セロクエル25mg錠
      204.9±78.1
      54.050±24.839
      1.18±0.61
      2.69±0.45
      (1錠投与, Mean±S.D., n=20)
      図1 血漿中薬物濃度推移
      血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
    2. クエチアピン錠100mg「日医工」
      クエチアピン錠100mg「日医工」及びセロクエル100mg錠を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(クエチアピンとして100mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中クエチアピン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
      表4 薬物動態パラメータ
      判定パラメータ
      参考パラメータ
      AUC0→24
      (ng・hr/mL)
      Cmax
      (ng/mL)
      Tmax
      (hr)
      t1/2
      (hr)
      クエチアピン錠100mg「日医工」
      920.8±713.5
      272.759±137.729
      1.33±0.71
      2.72±0.66
      セロクエル100mg錠
      842.9±427.7
      266.579±133.057
      0.89±0.35
      2.74±0.65
      (1錠投与, Mean±S.D., n=20)
      図2 血漿中薬物濃度推移
      血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

吸収

クエチアピンの経口吸収性は良好であり、クエチアピンのCmax及びAUCに及ぼす食事の影響は認められなかった。(錠剤投与時のデータ)

分布

ヒト血漿中におけるクエチアピンの蛋白結合率は83.0%であった(in vitro)。

代謝

  1. クエチアピンは複数の経路で広範囲に代謝され、クエチアピンの代謝に関与する主なP450酵素はCYP3A4であった(in vitro)。
  2. ヒト血漿中の主要代謝物は薬理活性を示さなかった。
  3. In vitro試験において、未変化体及び代謝物はCYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4活性に対して弱い阻害作用を示したが、ヒトでの血漿中濃度の約10倍以上の濃度でみられる作用であり、薬物相互作用の惹起を示唆するものではないと考えられた。

排泄

  1. 健康成人男子にクエチアピン20mgを単回経口投与したところ、尿中への未変化体の排泄率は検出限界以下であった。
  2. 外国人統合失調症患者に14C標識クエチアピンを経口投与したところ、尿及び糞中への放射能排泄率はそれぞれ投与量の72.8%及び20.2%であった。

特定の背景を有する患者

  1. 肝機能障害患者
    肝機能障害患者(アルコール性肝硬変)にクエチアピン25mgを単回経口投与したところ、クエチアピンのCmax及びAUCinfは健康成人よりも高く(約1.5倍)、t1/2は健康成人よりも長かった(約1.8倍)(外国人データ)。(錠剤投与時のデータ)
    表5 外国人肝機能障害患者にクエチアピン25mgを単回投与したときの薬物動態パラメータ
    被験者
    Cmax
    (ng/mL)
    Tmax
    (h)a)
    AUCinf
    (μg・h/mL)
    t1/2
    (h)
    CL/F
    (L/h)
    肝機能障害患者
    78.5±14.4
    1.0(0.5-1.5)
    0.386±0.077
    5.5±1.0
    79.4±10.7
    健康成人
    53.0± 3.5
    1.25(0.6-3.0)
    0.248±0.020
    3.1±0.2
    105±8
    (平均値±標準誤差、n=8)
    a)中央値(範囲)
  2. 高齢者
    高齢者における血漿中濃度は非高齢者よりも高く推移し、高齢者のAUC0-12h(平均2.59μg・h/mL)は非高齢者(平均1.69μg・h/mL)の約1.5倍であった。

薬物相互作用

  1. フェニトイン(CYP3A誘導剤)
    外国人におけるフェニトイン併用投与例において、クエチアピンの経口クリアランスが約5倍に増加し、Cmax及びAUCはそれぞれ66%及び80%低下した。
  2. ケトコナゾール(CYP3Aの強い阻害剤)
    外国人に強いCYP3A4阻害剤であるケトコナゾール(経口剤:国内未発売)を併用投与したとき、クエチアピンのCmax及びAUCはそれぞれ単独投与の3.35倍及び6.22倍であった。

PharmacokineticsEtc

クエチアピン錠200mg「日医工」は、クエチアピン錠100mg「日医工」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判定され、生物学的に同等とみなされた。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内第Ⅲ相二重盲検比較試験(ハロペリドール)
    統合失調症患者197例を対象としてクエチアピンの有効性及び安全性についてハロペリドールを対照に多施設二重盲検比較試験を行った。投与期間は8週とした。その結果、最終全般改善度を指標とした改善率はクエチアピン群38.1%(37/97例)、ハロペリドール群25.8%(24/93例)であり、同等性(非劣性)が検証された。副作用の発現率はクエチアピン群67.0%(67/100例)、ハロペリドール群82.5%(80/97例)であり、クエチアピン投与群で有意に低かった(p=0.014)。クエチアピン投与群における主な副作用は、不眠症21例(21.0%)、傾眠19例(19.0%)、倦怠感15例(15.0%)、神経過敏症14例(14.0%)、振戦12例(12.0%)、不安10例(10.0%)、無力症10例(10.0%)であった。
  2. 国内第Ⅲ相二重盲検比較試験(モサプラミン)
    統合失調症患者181例を対象としてクエチアピンの有効性及び安全性についてモサプラミンを対照に多施設二重盲検比較試験を行った。投与期間は8週とした。その結果、最終全般改善度を指標とした改善率はクエチアピン群37.2%(32/86例)、モサプラミン群28.8%(23/80例)であり、同等性(非劣性)が検証された。副作用の発現率はクエチアピン群61.1%(55/90例)、モサプラミン群81.1%(73/90例)であり、クエチアピン投与群で有意に低かった(p=0.004)。クエチアピン投与群における主な副作用は、神経過敏症22例(24.4%)、不眠症19例(21.1%)、不安17例(18.9%)、めまい11例(12.2%)、振戦10例(11.1%)、倦怠感10例(11.1%)、無力症10例(11.1%)、アカシジア9例(10.0%)であった。
  3. 国内第Ⅲ相一般臨床試験
    他の抗精神病薬において寛解を示さなかった(治療抵抗性)統合失調症患者32例を対象とし、有効性及び安全性を検討することを目的とした多施設オープン試験を実施した。投与期間は8週とした。その結果、最終全般改善度を指標とした改善率は40.9%(9/22例)であった。副作用の発現率は46.9%(15/32例)であった。主な副作用は、不眠症8例(25.0%)、神経過敏症7例(21.9%)、不安5例(15.6%)、振戦3例(9.4%)であった。

薬効薬理

作用機序
本薬の薬理学的特徴はドパミンD2受容体に比してセロトニン5-HT2A受容体に対する親和性が高いこと、及び種々の受容体に対して親和性があることであり、これらが臨床における作用に寄与しているものと考えられている。
受容体親和性
ラット脳組織を用いた試験で、ドパミンD1及びD2受容体、セロトニン5-HT1及び5-HT2受容体、ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1及びα2受容体に対して親和性を示したが、ムスカリン受容体及びベンゾジアゼピン受容体に対してはほとんど親和性を示さなかった。また、ドパミンD2受容体に比して、セロトニン5-HT2受容体に対する親和性は高かった(in vitro)。
ドパミン及びセロトニン受容体拮抗作用
ドパミン作動薬のアポモルヒネにより誘発した行動(リスザルの瞬目反応、マウスのよじ登り運動及び遊泳障害)並びにセロトニン作動薬のキパジンで誘発した行動(ラット首振り運動)を、用量依存的に抑制した,
錐体外路系に対する作用
  1. ヒトでの作用
    統合失調症患者を対象とした海外のプラセボ対照二重盲検比較試験において、錐体外路障害の発現頻度には、プラセボ投与群とほとんど差を認めなかった。
  2. 動物での作用
    サルにおけるジストニア惹起作用及びラットにおけるカタレプシー惹起作用は、ハロペリドールに比べて弱かった。ラットでの電気生理学的試験では辺縁系に対し選択的な作用を示し、錐体外路症状との関連が深いとされる黒質線条体系に対しては作用を示さなかった。
血漿中プロラクチンに対する作用
  1. ヒトでの作用
    統合失調症患者を対象とした海外のプラセボ対照二重盲検比較試験において、プロラクチン濃度は、変化しなかった。
  2. 動物での作用
    ラットにおいて、血漿中プロラクチン濃度推移はハロペリドールと異なり、持続的な上昇を示さなかった。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
クエチアピンフマル酸塩(Quetiapine Fumarate)
化学名
2-[2-(4-Dibenzo[b,f][1,4]thiazepin-11-ylpiperazin-1-yl)ethoxy]ethanol hemifumarate
分子式
(C21H25N3O2S)2・C4H4O4
分子量
883.09
性状
白色の粉末である。
メタノールにやや溶けにくく、水又はエタノール(99.5)に溶けにくい。
化学構造式

包装

〈クエチアピン錠25mg「日医工」〉
100錠[10錠×10;PTP]
500錠[10錠×50;PTP]
500錠[プラスチックボトル;バラ]
〈クエチアピン錠100mg「日医工」〉
100錠[10錠×10;PTP]
500錠[10錠×50;PTP]
500錠[バラ]
〈クエチアピン錠200mg「日医工」〉
100錠[10錠×10;PTP]
500錠[バラ]

主要文献

1
Vonderhaar B. K.:Pharmacol. Ther. 1998;79(2):169-178
2
患者及び高齢者における血漿中濃度(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.3.(2))
3
反復投与中の血漿中濃度(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.3.(3).1))
4
社内資料:生物学的同等性試験(錠25mg)
5
社内資料:生物学的同等性試験(錠100mg)
6
食事の影響(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.3.(3).3))
7
血漿蛋白結合(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.2.(2).4))
8
クエチアピン代謝に関するP450アイソフォーム(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.3.(5).1))
9
主要代謝物の薬効薬理試験(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要ホ.1.(3))
10
クエチアピン及び代謝物のin vitro代謝阻害能(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.3.(5).2))
11
村崎光邦 他:臨床評価. 1999;27(1):101-144
12
代謝及び排泄(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.3.(4))
13
肝障害の影響(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.3.(3).4))
14
患者及び高齢者における血漿中濃度(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.3.(2))
15
他剤がクエチアピンに及ぼす影響(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要へ.3.(6).2))
16
社内資料:生物学的同等性試験(錠200mg)
17
村崎光邦 他:臨床精神薬理. 2001;4(1):127-155
18
工藤義雄 他:臨床医薬. 2000;16(12):1807-1842
19
前田久雄 他:臨床精神薬理. 1999;2(6):653-668
20
Goldstein J. M.:Schizophrenia, Breaking Down Barriers(Wiley)1996;177-208
21
薬効を裏付ける試験(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要ホ.1.(1))
22
安全性に関する外国成績(セロクエル錠:2000年12月12日承認、申請資料概要ト.3.(1))

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