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イーシー・ドパール配合錠

パーキンソニズム治療剤

1錠 19.6円

添付文書番号

1169100F1052_1_13

企業コード

230124

作成又は改訂年月

2021年9月改訂
(第1版)

日本標準商品分類番号

871169

薬効分類名

パーキンソニズム治療剤

承認等

販売名

イーシー・ドパール配合錠

販売名コード

1169100F1052

販売名英字表記

EC・Doparl Tablets

承認番号等

承認番号
22100AMX01201

販売開始年月

1980年2月

貯法、有効期間

貯法
室温保存
有効期間
3年

規制区分

処方箋医薬品 注1)
注1)注意―医師等の処方箋により使用すること

一般的名称

レボドパ/ベンセラジド塩酸塩

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがある。]
  2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

組成・性状

組成

イーシー・ドパール配合錠
有効成分
1錠中日局レボドパ 100mg、
日局ベンセラジド塩酸塩 28.5mg
ベンセラジドとして  25mg
添加剤
カルメロースカルシウム、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖水和物、バレイショデンプン

製剤の性状

イーシー・ドパール配合錠
直径(mm)
9.1
厚さ(mm)
3.5
重量(g)
0.27
表面
裏面
側面
色調
剤皮
淡赤色
素錠
識別コード
KH108
(錠剤本体、PTPシートに表示)

効能又は効果

パーキンソン病・パーキンソン症候群

用法及び用量

レボドパ未投与例の場合:
通常成人は初回1日量1~3錠を1~3回に分けて、食後に経口投与し、2~3日毎に1日量1~2錠ずつ漸増し、維持量として1日3~6錠を経口投与する。
レボドパ投与例の場合:
通常成人初回1日量は投与中のレボドパ量の約1/5に相当するレボドパ量(本剤1錠中レボドパ100mg含有)に切り換え、1~3回に分けて、食後に経口投与し、漸増もしくは漸減し、維持量として1日量3~6錠を経口投与する。
なお、年令、症状により適宜増減する。

用法及び用量に関連する注意

  1. 既にレボドパ単味製剤の投与を受けている患者に対して本剤を投与する場合には、レボドパ服用後少なくとも8時間の間隔をおいてから本剤を投与すること。ただし、その他の抗パーキンソン剤の投与を中止する必要はない。
  2. レボドパ単味製剤の投与を受けていない患者に対して本剤を投与する場合には少量から開始し、観察を十分に行い、慎重に維持量まで増量すること。

重要な基本的注意

  1. 閉塞隅角緑内障のおそれのある場合は、隅角検査あるいは眼圧検査を行うことが望ましい。
  2. レボドパ製剤の長期投与により、以下のような現象があらわれることがあるので、適切な処置を行うこと。
    • wearing-off(up and down)現象があらわれた場合には、1日用量の範囲内で投与回数を増すなどの処置を行うこと。
    • on and off現象があらわれた場合には、維持量の漸減又は休薬を行う。症状悪化に際しては、その他の抗パーキンソン剤の併用等の処置を行うこと。
  3. 前兆のない突発的睡眠、傾眠、調節障害及び注意力・集中力・反射機能等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
  4. セレギリン塩酸塩等(B型モノアミン酸化酵素阻害剤)との併用に際しては、使用前に必ずセレギリン塩酸塩等の添付文書を参照すること。
  5. レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されている。また、レボドパを投与された患者において、衝動制御障害に加えてレボドパを必要量を超えて求めるドパミン調節障害症候群が報告されている。患者及び家族等にこれらの症状について説明し、これらの症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  6. 溶血性貧血、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施すること。

特定の背景を有する患者に関する注意

合併症・既往歴等のある患者

  1. 胃潰瘍、十二指腸潰瘍のある患者又はその既往歴のある患者
    潰瘍が悪化するおそれがある。
  2. 糖尿病の患者
    血糖値の上昇を誘発し、インスリン必要量を増大させるとの報告がある。
  3. 重篤な心・肺疾患、気管支喘息又は内分泌系疾患のある患者
    これらの症状が悪化するおそれがある。
  4. 慢性開放隅角緑内障の患者
    眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがある。
  5. 自殺傾向等精神症状のある患者
    精神症状が悪化するおそれがある。
  6. 骨軟化症の患者
  7. 25歳以下の患者

腎機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

肝機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。動物実験(ウサギ)で胸骨核の癒合、過剰頸椎骨の催奇形作用が報告されている。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。乳汁分泌が抑制されるおそれがあり、また動物実験(ラット)でレボドパの乳汁移行が知られている。

高齢者

不安、不眠、幻覚、血圧低下等の副作用があらわれるおそれがあるので注意すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
レセルピン製剤
テトラベナジン
脳内ドパミンが減少し、本剤の作用が減弱するおそれがある。
脳内のドパミンを減少させてパーキンソン症状を悪化させる。
抗精神病薬
フェノチアジン系薬剤
クロルプロマジン等
ブチロフェノン系薬剤
ハロペリドール等
その他
ペロスピロン等
本剤の作用が減弱することがある。
これらの薬剤によりドパミン受容体が遮断される。
パパベリン塩酸塩
本剤の作用が減弱するおそれがある。
パパベリンが線条体でのドパミン受容体を遮断する可能性がある。
鉄剤
本剤の作用が減弱するおそれがある。
キレートを形成し、本剤の吸収が減少するとの報告がある。
イソニアジド
本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序は不明であるが、イソニアジドによりドパ脱炭酸酵素が阻害されると考えられている。
血圧降下剤
メチルドパ水和物
レセルピン
節遮断剤等
本剤が血圧低下を増強することがある。
レボドパに血圧降下作用があるためと考えられている。
他の抗パーキンソン剤
抗コリン剤
ブロモクリプチン
アマンタジン等
精神神経系及び循環器系の副作用が増強することがある。
長期投与により大脳皮質におけるアセチルコリン系感受性が亢進する。
NMDA受容体拮抗剤
メマンチン塩酸塩等
本剤の作用を増強するおそれがある。
これらの薬剤により、ドパミン遊離が促進する可能性がある。
全身麻酔剤
ハロタン等
不整脈を起こすおそれがある。
左記薬剤がカテコールアミンに対する心筋の感受性を増加させる。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

  1. 悪性症候群(頻度不明)
    急激な減量又は投与中止により、高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、ショック状態等を症状とする悪性症候群があらわれることがある。このような場合には、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等適切な処置を行うこと。
  2. 幻覚(1.4%)、抑うつ(0.1%)、錯乱(0.1%未満)
  3. 溶血性貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)
  4. 突発的睡眠(頻度不明)
    前兆のない突発的睡眠があらわれることがある。
  5. 閉塞隅角緑内障 (頻度不明)
    急激な眼圧上昇を伴う閉塞隅角緑内障を起こすことがあるので、霧視、眼痛、充血、頭痛、嘔気等が認められた場合には、投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。

その他の副作用

5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
精神神経系
不随意運動(顔面、口、頸部、四肢等)
焦燥感、精神高揚、せん妄、不安、不眠、頭痛、頭重、めまい、眠気、筋緊張低下
突発性硬直、構音障害
傾眠、病的賭博、病的性欲亢進、ドパミン調節障害症候群
消化器
嘔気、嘔吐、食欲不振、口渇、便秘、腹痛、胃部不快感、下痢、胸やけ、口内炎、腹部膨満感
唾液分泌過多
泌尿器
排尿異常
血液
白血球減少
皮膚
発疹
じん麻疹様湿疹、四肢色素沈着、口唇の水ぶくれ、脱毛
循環器
動悸、立ちくらみ、血圧低下
不整脈
視覚異常
肝臓
AST, ALT, Al-P上昇
その他
発汗、胸痛、脱力・倦怠感、浮腫
のぼせ感
唾液・痰・口腔内粘膜・汗・尿・便等の変色(黒色等)
注)発現頻度は1983年1月までの副作用頻度調査を含む。

臨床検査結果に及ぼす影響

ニトロプルシドナトリウム水和物の検尿テープによる尿検査では、ケトン体反応が偽陽性になる場合がある。

過量投与

  1. 症状
    異常な不随意運動、混乱、不眠、まれに嘔気、嘔吐、不整脈等が起こるおそれがある。

適用上の注意

薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

その他の注意

臨床使用に基づく情報
  1. 抗パーキンソン剤はフェノチアジン系化合物、レセルピン誘導体等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減しない。
    場合によってはこのような症状を増悪顕性化させることがある。
  2. 悪性黒色腫が発現したとの報告がある。
  3. 高蛋白食によりレボドパの吸収が低下するとの報告がある。
非臨床試験に基づく情報
動物実験(幼若ラット)において、ベンセラジド塩酸塩による骨端軟骨板の内軟骨性骨化の異常(閉鎖不全)が報告されている。

薬物動態

血中濃度

パーキンソン病患者3例にレボドパ300mgとベンセラジド75mgの配合剤を単回経口投与したときのレボドパの血中濃度推移は以下のとおりであった。投与後2時間で最高1.5~4μg/mLを示し、3時間までのAUCは4.69±1.1μg・h/mLであった。
パーキンソン病患者に単回経口投与したときのレボドパの血中濃度推移

分布

  1. 組織移行性
    14C-レボドパ50mg/kgとベンセラジド12.5mg/kgをラットに併用経口投与したとき、30分後の体組織への放射能分布は、胃>膵臓>甲状腺>腸>副腎>腎臓>脾臓>肺>肝臓の順であった。

代謝

パーキンソン病患者にレボドパ200mgとベンセラジド50mgの配合剤を経口投与したとき、投与後3時間の血漿中レボドパ及び3-O-メチルドパ(3-OM-DOPA)濃度はレボドパ1g単剤投与時より高値を示した。

排泄

パーキンソン病患者にレボドパ200mgとベンセラジド50mgの配合剤を経口投与したとき、投与後3時間までの尿中レボドパ排泄量はレボドパ1g単剤投与時で約0.7%であるのに対し配合剤では20~25%と増加した。

臨床成績

有効性及び安全性に関する試験

  1. 国内一般臨床試験
    国内20施設、239例のパーキンソン病患者を対象として実施された一般臨床試験において全般的改善度で79.1%(189/239例)の有効率(中等度改善以上)を示した。主要症状別の有効率(中等度改善以上)は筋強剛42.1%(82/195例)、振戦40.9%(63/154例)、無動~寡動32.6%(62/190例)であった。
    副作用発現頻度は53.6%(128/239例)であった。主な副作用は、ジスキネジー21.3%(51/239例)、嘔気7.9%(19/239例)、食欲不振及び口ジスキネジー 各5.4%(13/239例)であった。
  2. 国内二重盲検比較試験
    パーキンソン病患者94例を対象としてクロスオーバー法によるレボドパ/ベンセラジド配合剤とレボドパとの二重盲検比較試験において、医師の総合判定による全般改善度、全般安全度、全般有用度における両薬剤間の優劣を比較した結果、いずれもレボドパ/ベンセラジド配合剤が有意に優れていることが認められた。
    優劣比較(薬剤間)
    レボドパ/ベンセラジド配合剤が優る
    同等である
    レボドパが優る
    全般改善度
    48例
    (53%)
    24例
    (27%)
    18例
    (20%)
    全般安全度
    39例
    (43%)
    34例
    (38%)
    17例
    (19%)
    全般有用度
    53例
    (59%)
    18例
    (20%)
    19例
    (21%)
    n=90
    副作用発現頻度は52.2% (48/92例)であった。主な副作用は、食欲不振18.5%(17/92例)、不眠17.4%(16/92例)、嘔気15.2%(14/92例)、ジスキネジー13.0%(12/92例)及び便秘8.7%(8/92例)であった。

薬効薬理

作用機序
本剤に含有されているレボドパは脳内に移行し、錐体外路中枢である線条体、黒質等でドパミンに転換され作用をあらわす。一方、本剤に配合されているベンセラジド塩酸塩は常用量では脳内に移行せず、肝臓、腎臓、心臓、小腸等末梢においてドパ脱炭酸酵素を阻害し、末梢でのカテコールアミン産生を抑制し、血中レボドパ濃度を高めてその脳内への移行量を増加させる,,
なお、レボドパ単剤と異なり、本剤はビタミンB6併用の影響をほとんど受けない。

有効成分に関する理化学的知見

レボドパ
一般的名称
レボドパ(Levodopa)
化学名
3-Hydroxy-L-tyrosine
分子式
C9H11NO4
分子量
197.19
性状
白色又はわずかに灰色を帯びた白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。
化学構造式
融点
約275℃(分解)
分配係数
logP'OCT=-3.4
(測定法:フラスコシェイキング法、 n-オクタノール/pH7.4緩衝溶液)
溶解性
ギ酸に溶けやすく、水に溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
(飽和水溶液のpHは5.0~6.5である。)
旋光度
〔α〕20D -11.5~-13.0°
(乾燥後2.5g 1mol/L HCI 50mL 100mm)
ベンセラジド塩酸塩
一般的名称
ベンセラジド塩酸塩(Benserazide Hydrochloride)
化学名
(2RS)-2-Amino-3-hydroxy−N′-(2,3,4-trihydroxybenzyl) propanoylhydrazide monohydrochloride
分子式
C10H15N3O5・HCl
分子量
293.70
性状
白色~灰白色の結晶性の粉末である。
吸湿性である。
光によって徐々に着色する。
化学構造式
融点
約145℃(分解)
分配係数
logP'OCT=-1.9
(測定法:フラスコシェイキング法、 n-オクタノール/pH7.4緩衝溶液)
溶解性
水又はギ酸に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)に極めて溶けにくい。
(水溶液(1→100)のpHは4.0~5.0である。)
旋光度
DL体であり、光学不活性である。

取扱い上の注意

ピロー包装開封後は遮光のうえ、湿気を避けて保存すること。

包装

[PTP]100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)

主要文献

1
横地正之ほか:脳神経. 1979; 31: 339-348
2
兼田瑞穂ほか:薬理と治療. 1977; 5: 269-297
3
社内資料:一般臨床試験成績(1979年8月27日承認、申請資料概要X. 2))
4
水野美邦ほか:神経進歩. 1977; 21: 807-834
5
Pletscher A, et al.:Schweiz Med Wochenschr. 1970; 100: 797-804
6
兼田瑞穂ほか:薬理と治療. 1977; 5: 243-253

文献請求先及び問い合わせ先

協和キリン株式会社 くすり相談窓口
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2
電話 0120-850-150
受付時間 9:00~17:30(土・日・祝日及び弊社休日を除く)

製造販売業者等

製造販売元
協和キリン株式会社
東京都千代田区大手町1-9-2

先発薬

後発薬

                                                                                                                                                                                                       

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