作成又は改訂年月
**
2020年6月改訂
(第12版)
*
2018年6月改訂
日本標準商品分類番号
承認等
販売名
*ペンタゾシン注30mg「KN」
販売名コード
承認・許可番号
*23000AMX00072000
*PENTAZOCINE Injection 30mg「KN」
薬価基準収載年月
販売開始年月
貯法・使用期限等
貯法:
室温保存
使用期限:
外箱及びアンプルに表示
規制区分
劇薬
向精神薬
習慣性医薬品
注意−習慣性あり
処方箋医薬品
注意−医師等の処方箋により使用すること
組成
1アンプル中の分量
1mL
有効成分
日局ペンタゾシン30mg含有
添加物
乳酸
等張化剤
性状
性状 | 無色澄明の水溶液 |
pH | 4.0〜5.0 |
浸透圧比 | 約1(日局生理食塩液対比) |
---|
一般的名称
**禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
頭部傷害がある患者又は頭蓋内圧が上昇している患者[頭蓋内圧が上昇することがある。]
重篤な呼吸抑制状態にある患者及び全身状態が著しく悪化している患者[呼吸抑制を増強することがある。]
**ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中又は投与中止後1週間以内の患者[オピオイド離脱症状(又はその悪化)があらわれるおそれがある。](「相互作用」の項参照)
効能又は効果/用法及び用量
効能又は効果
用法及び用量
通常、ペンタゾシンとして30〜60mgを筋肉内・皮下または静脈内に注射するが、症例により適宜増減する。
**使用上の注意
慎重投与
薬物依存の既往歴のある患者
麻薬依存患者[軽度の麻薬拮抗作用が認められているので、ときとして禁断症状を呈することがある。]
胆道疾患のある患者[大量投与した場合Oddi氏筋を収縮する。]
心筋梗塞の患者[特に静脈内投与の場合、急性心筋梗塞患者の動脈圧、血管抵抗を上昇させる。]
肝機能障害のある患者[本剤の作用が増強するおそれがある。]
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
外来患者に投与した場合には、十分に安静にした後、安全を確認し帰宅させること。
眠気、めまい、ふらつき等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
連用により薬物依存を生ずることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。特に薬物依存の既往歴のある患者には注意すること。(「副作用」の項参照)
相互作用
併用禁忌
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|
**ナルメフェン塩酸塩水和物:セリンクロ | 本剤の離脱症状を起こすおそれがある。また、本剤の鎮痛作用を減弱させるため、効果を得るために必要な用量が通常用量より多くなるおそれがある。緊急の手術等によりやむを得ず本剤を投与する場合、患者毎に用量を漸増し、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察すること。また、手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には、少なくとも1週間前にナルメフェン塩酸塩水和物の投与を中断すること。 | μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。 |
---|
併用注意
動物実験(ウサギ)においてサリチルアミドとの併用によりペンタゾシンのCmaxが約2倍程度高くなり、サリチルアミドのCmaxは過剰のペンタゾシンを併用することにより約2.5倍となるとの報告があるので、併用しないことが望ましい。また、やむをえず併用する場合には本剤を減量するなど注意すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|
モルヒネ製剤 | 本剤の作用が増強されることがある。 併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。 また、本剤は高用量において、モルヒネの作用に拮抗することがあるので、通常、モルヒネとの併用は避けること。 | ペンタゾシンの作用は、脳内オピオイドレセプターの飽和濃度に左右される。 |
**中枢性鎮痛剤:ブプレノルフィン塩酸塩、エプタゾシン臭化水素酸塩等 ベンゾジアゼピン誘導体・その他の鎮静剤:ジアゼパム、ニトラゼパム、メダゼパム等 中枢性薬剤(睡眠剤等):バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール等) アルコール | 本剤の作用が増強されることがある。 併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。 | 中枢神経系が抑制されることによると考えられる。 |
**セロトニン神経系賦活作用を有する抗うつ剤:アミトリプチリン塩酸塩等 | 抗うつ剤の作用が増強され、不安感、悪心、発汗、潮紅等が起こるおそれがある。併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。 | 中枢のセロトニン作動活性を増強すると考えられる。 外国において、セロトニン神経系賦活を作用機序とする抗うつ剤(フルオキセチン)投与患者でセロトニン神経系賦活作用の増強に由来すると考えられる症状(不安感、悪心、発汗、潮紅等)が認められたとの報告がある。 |
**メサドン塩酸塩 | メサドン塩酸塩の鎮痛作用を減弱させることがある。また、退薬症候を起こすおそれがある。 | 本剤はメサドン塩酸塩の作用するμ受容体の部分アゴニストである。 |
---|
副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
**ショック、アナフィラキシー(頻度不明):ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、顔面蒼白、呼吸困難、チアノーゼ、血圧下降、頻脈、全身発赤、血管浮腫、蕁麻疹等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
呼吸抑制(頻度不明):呼吸抑制がみられることがある。このような場合には、酸素吸入(必要に応じて人工呼吸)か、又はドキサプラムの投与が有効であるが、麻薬拮抗剤(レバロルファン)は無効である。
依存性(頻度不明):連用により薬物依存を生ずることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。特に薬物依存の既往歴のある患者には注意すること。また、連用後、投与を急に中止すると、振戦、不安、興奮、悪心、動悸、冷感、不眠等の禁断症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量すること。
**中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明):中毒性表皮壊死融解症があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
無顆粒球症(頻度不明):無顆粒球症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
神経原性筋障害(頻度不明):大量連用により、神経原性の四肢の筋萎縮が起こり、脱力、歩行困難があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような場合には投与を中止すること。
痙攣(頻度不明):強直性痙攣又は間代性痙攣があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
| 頻度不明 |
精神神経系 | 傾眠、めまい、ふらつき、発汗、幻覚※1、しびれ感、多幸感、不安、興奮、頭痛、頭重、痙攣、複視、錯乱※1、鎮静、意識障害、振戦、浮遊感 |
循環器 | 血圧上昇、皮膚潮紅、熱感、血圧低下 |
消化器 | 悪心・嘔吐、口渇、便秘 |
過敏症※2 | 顔面浮腫、発赤、発疹、多形紅斑 |
血液 | 白血球減少、貧血 |
肝臓 | 肝機能異常 |
泌尿器 | 排尿障害、尿閉 |
その他 | 胸内苦悶、疲労感、不快感、悪寒、発熱、脱力感、倦怠感 |
高齢者への投与
低用量から投与を開始するとともに、投与間隔を延長するなど慎重に投与すること。[高齢者では高い血中濃度が持続する傾向等が認められている。]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[胎児に対する安全性は確立されていない。]
分娩時の投与により新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
分娩前に投与した場合、出産後新生児に禁断症状(神経過敏、振戦、嘔吐等)があらわれることがある。
小児等への投与
乳児・小児への投与に関する安全性は確立されていないので、投与しないことが望ましい。
過量投与
症状:傾眠、呼吸抑制、血圧低下等を起こすことがあり、重症の場合には、循環不全、昏睡、痙攣等を起こすことがある。
処置:十分な呼吸維持と循環器系の補助療法を行う。痙攣に対する治療は必須であり、中枢神経抑制作用に対してはナロキソン投与を行う。
適用上の注意
皮下・筋肉内注射時:皮下・筋肉内への連続注射により、まれに注射部位に潰瘍等の障害があらわれることがある。
筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に配慮すること。
神経走行部位を避けるよう注意して注射すること。
繰り返し注射する場合には、同一注射部位を避けること。なお、乳児・小児には投与しないことが望ましい。
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き部位をかえて注射すること。
アンプルカット時:本剤はワンポイントカットアンプルであるが、異物混入を避けるため、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭したのちカットすることが望ましい。
その他の注意
バルビタール系薬剤(注射液)と同じ注射筒で使用すると沈殿を生ずるので、同じ注射筒で混ぜないこと。
薬効薬理
麻薬拮抗性鎮痛薬で、オピオイドκ受容体に対する作動薬としての活性と、μ受容体に対する弱い拮抗活性あるいは部分的作動薬としての活性を持つ。ペンタゾシンの中枢における作用は、鎮痛、鎮静、呼吸抑制を含めモルヒネ様オピオイドのそれにほぼ類似する。鎮痛作用はκ1オピオイド受容体に対する作動性活性によるものである。ラセミ体が用いられるが、鎮痛作用はオピオイド受容体に親和性のあるl異性体に起因する。消化管に対する作用では、モルヒネに比べ胆管内圧の上昇は少ないが、ブプレノルフィンと比較すると幾分大きい。心血管系に対しては、高用量において血圧上昇及び心拍数の増加を起こす。術後患者を対象とした比較では、ペンタゾシン30mgの投与が、モルヒネ10mg、ペチジン75〜100mgにほぼ匹敵する鎮痛効果を示した。1)
有効成分に関する理化学的知見
一般名:ペンタゾシン(Pentazocine)
化学名:(2
RS,6
RS,11
RS)-6,11-Dimethyl-3-(3-methylbut-2-en-1-yl)-1,2,3,4,5,6-hexahydro-2,6-methano-3-benzoazocin-8-ol
分子式:C19H27NO分子量:285.42
性状:白色〜微黄白色の結晶性の粉末で、においはない。
酢酸(100)又はクロロホルムに溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、ジエチルエーテルにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点:150〜158℃
構造式:
取扱い上の注意
<安定性試験>
最終包装製品を用いた加速試験(40℃、6カ月)の結果、ペンタゾシン注30mg「KN」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。2)
包装
ペンタゾシン注30mg「KN」 : 1mL×10アンプル
ペンタゾシン注30mg「KN」 : 1mL×50アンプル
主要文献及び文献請求先
主要文献
第十五改正日本薬局方解説書
小林化工株式会社・社内資料(安定性試験)
文献請求先
主要文献欄に記載の文献・社内資料は下記にご請求下さい。
小林化工株式会社 安全管理部
〒919-0603 福井県あわら市矢地5-15
フリーダイヤル 0120-37-0690 TEL 0776-73-0911
FAX 0776-73-0821
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
小林化工株式会社
福井県あわら市矢地5-15